(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164663
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】評価装置、試験インタフェースプログラム、評価方法、および評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20241120BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241120BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G01R31/28 H
G01R31/26 Z
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080308
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松崎 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】永田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 裕子
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AA10
2G003AF06
2G003AH01
2G003AH04
2G132AA00
2G132AE14
2G132AE19
2G132AE23
2G132AL09
4M106AA01
4M106AA02
4M106AA04
4M106BA01
4M106DD10
4M106DD23
4M106DJ14
4M106DJ38
(57)【要約】
【解決手段】第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果を取得する結果取得部と、第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定する推定部と、フェイル増加度に基づいて、判定基準を評価する評価部とを備える評価装置を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果を取得する結果取得部と、
前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定する推定部と、
前記フェイル増加度に基づいて、前記判定基準を評価する評価部と
を備える評価装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記フェイル増加度が予め定められた許容範囲内か否かを判定するフェイル増加度判定部を有する請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記評価部は、前記フェイル増加度が前記許容範囲外であったことに応じて前記フェイル増加度が前記許容範囲内となるように前記判定基準を調整する調整部を有する請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果は、複数の試験項目のそれぞれの項目試験結果を含み、
前記調整部は、前記判定基準として、前記複数の試験項目のうち、項目試験結果がフェイルであっても被試験デバイスの再試験を行わないこととする少なくとも1つの試験項目または項目試験結果の組を決定する
請求項3に記載の評価装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれについて、初回の試験結果、および初回の試験結果がフェイルであった場合の再試験の試験結果に基づいて、前記フェイル増加度を推定する請求項1に記載の評価装置。
【請求項6】
前記第1の複数の被試験デバイスの後に試験される第2の複数の被試験デバイスのそれぞれについて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを前記判定基準を用いて判定する再試験判定部を備える請求項5に記載の評価装置。
【請求項7】
被試験デバイスを試験する試験装置により実行される試験インタフェースプログラムであって、
前記試験インタフェースプログラムは、前記試験装置により実行されると、前記試験装置に、
一の被試験デバイスの試験を行うことを指示する試験指示を受けたことに応じて、前記試験装置により実行される試験プログラムを呼び出して前記一の被試験デバイスの試験を行うことを指示することと、
前記一の被試験デバイスの試験結果がフェイルであった場合に、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定することと、
前記一の被試験デバイスを再試験しないと判定したことに応じて、前記一の被試験デバイスの再試験をスキップすることと
を実行させる試験インタフェースプログラム。
【請求項8】
前記試験装置に、前記一の被試験デバイスを再試験すると判定したことに応じて、前記試験プログラムを呼び出して、前記一の被試験デバイスの試験を行うことを指示することを更に実行させる請求項7に記載の試験インタフェースプログラム。
【請求項9】
前記試験装置に、前記一の被試験デバイスの再試験をスキップしたことに応じて、前記一の被試験デバイスの試験の試験結果がフェイルであったことを試験指示の送信元に応答することを更に実行させる請求項8に記載の試験インタフェースプログラム。
【請求項10】
前記試験装置に、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かの判定において、前記一の被試験デバイスの試験結果がフェイルであり、かつ前記一の被試験デバイスの試験を再度行うことを指示する試験指示を受けたことに応じて、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かを前記判定基準を用いて判定することを実行させる請求項8に記載の試験インタフェースプログラム。
【請求項11】
前記試験装置に、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かの判定において、前記一の被試験デバイスの試験結果がフェイルであったことに応じて、前記一の被試験デバイスの試験を再度行うことを指示する試験指示を受けとることなく、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かを前記判定基準を用いて判定することを実行させる請求項8に記載の試験インタフェースプログラム。
【請求項12】
第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果を取得することと、
前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定することと、
前記フェイル増加度に基づいて、前記判定基準を評価することと
を備える評価方法。
【請求項13】
評価装置により実行され、前記評価装置に、
第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果を取得することと、
前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定することと、
前記フェイル増加度に基づいて、前記判定基準を評価することと
を実行させる評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、試験インタフェースプログラム、評価方法、および評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「被測定デバイスに対して行われる複数の項目の試験の試験結果を取得する結果取得部と、前記試験をフェイルした被測定デバイスに再試験を行うか否かを判定する第1判定部と、を備え、前記第1判定部は、予め複数の被測定デバイスに前記試験を複数回行った場合での試験結果の再現性に基づいて判定を行う、判定装置」と記載されている(請求項1)。特許文献2には、「分類部13は、取得した検査結果のうちの全ての検査項目(検査部30)の結果に不合格(FAIL)がなく、且つ、未実施が含まれる場合に、半導体装置2に再検査が必要であると判定し、処理をステップS105に進める」と記載されている(段落0040)。特許文献3には、「一方、制御部8は、検査部31~33から得られる検査結果において、再検査対象項目に該当する項目が不良であることを確認すると(ステップ#6、YES)、検査部31~33によるサンプルSの検査回数がN回(Nは2以上の整数)よりも少ないか否かを確認する(ステップ#8)。なお、再検査を一度も行っていない場合、この時点におけるサンプルSの検査回数は1回である」(段落0034)、および「制御部8は、サンプルSの検査回数がN回よりも少ないことを確認すると(ステップ#8、NO)、搬入出部4を制御して、サンプルSを載置部23に載置し直す(ステップ#9)。このとき、搬入出部4は、例えばサンプルSを、載置部23に対して挿し直したり、置き直したりする。そして、制御部8は、搬送部2を制御してサンプルSを再搬送させ、検査部31~33にサンプルSを再検査させる(ステップ#3)」(段落0035)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2021-143880号公報
[特許文献2] 特開2017-044480号公報
[特許文献3] 特開2013-238526号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果を取得する結果取得部と、前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定する推定部と、前記フェイル増加度に基づいて、前記判定基準を評価する評価部とを備える評価装置を提供する。
【0004】
上記の評価装置において、前記評価部は、前記フェイル増加度が予め定められた許容範囲内か否かを判定するフェイル増加度判定部を有してよい。
【0005】
上記のいずれかの評価装置において、前記評価部は、前記フェイル増加度が前記許容範囲外であったことに応じて前記フェイル増加度が前記許容範囲内となるように前記判定基準を調整する調整部を有してよい。
【0006】
上記のいずれかの評価装置において、前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果は、複数の試験項目のそれぞれの項目試験結果を含み、前記調整部は、前記判定基準として、前記複数の試験項目のうち、項目試験結果がフェイルであっても被試験デバイスの再試験を行わないこととする少なくとも1つの試験項目または項目試験結果の組を決定してよい。
【0007】
上記のいずれかの評価装置において、前記推定部は、前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれについて、初回の試験結果、および初回の試験結果がフェイルであった場合の再試験の試験結果に基づいて、前記フェイル増加度を推定してよい。
【0008】
上記のいずれかの評価装置は、前記第1の複数の被試験デバイスの後に試験される第2の複数の被試験デバイスのそれぞれについて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを前記判定基準を用いて判定する再試験判定部を備えてよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、被試験デバイスを試験する試験装置により実行される試験インタフェースプログラムであって、前記試験インタフェースプログラムは、前記試験装置により実行されると、前記試験装置に、一の被試験デバイスの試験を行うことを指示する試験指示を受けたことに応じて、前記試験装置により実行される試験プログラムを呼び出して前記一の被試験デバイスの試験を行うことを指示することと、前記一の被試験デバイスの試験結果がフェイルであった場合に、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定することと、前記一の被試験デバイスを再試験しないと判定したことに応じて、前記一の被試験デバイスの再試験をスキップすることとを実行させる試験インタフェースプログラムを提供する。
【0010】
上記の試験インタフェースプログラムは、前記試験装置に、前記一の被試験デバイスを再試験すると判定したことに応じて、前記試験プログラムを呼び出して、前記一の被試験デバイスの試験を行うことを指示することを実行させてよい。
【0011】
上記のいずれかの試験インタフェースプログラムは、前記試験装置に、前記一の被試験デバイスの再試験をスキップしたことに応じて、前記一の被試験デバイスの試験の試験結果がフェイルであったことを試験指示の送信元に応答することを実行させてよい。
【0012】
上記の試験インタフェースプログラムは、前記試験装置に、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かの判定において、前記一の被試験デバイスの試験結果がフェイルであり、かつ前記一の被試験デバイスの試験を再度行うことを指示する試験指示を受けたことに応じて、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かを前記判定基準を用いて判定することを実行させてよい。
【0013】
上記の試験インタフェースプログラムは、前記試験装置に、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かの判定において、前記一の被試験デバイスの試験結果がフェイルであったことに応じて、前記一の被試験デバイスの試験を再度行うことを指示する試験指示を受けとることなく、前記一の被試験デバイスを再試験するか否かを前記判定基準を用いて判定することを実行させてよい。
【0014】
本発明の第3の態様においては、第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果を取得することと、前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定することと、前記フェイル増加度に基づいて、前記判定基準を評価することとを備える評価方法を提供する。
【0015】
本発明の第4の態様においては、評価装置により実行され、前記評価装置に、第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果を取得することと、前記第1の複数の被試験デバイスのそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであった被試験デバイスを再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定することと、前記フェイル増加度に基づいて、前記判定基準を評価することとを実行させる評価プログラムを提供する。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る試験システム10の構成を示す。
【
図2】本実施形態に係る試験装置110および評価装置140の構成を示す。
【
図3】本実施形態に係る試験システム10により実行される評価フローを示す。
【
図4】本実施形態に係る試験システム10により生成される判定基準の一例を示す。
【
図5】本実施形態に係る試験システム10により実行される試験フローを示す。
【
図6】本実施形態に係る試験システム10により実行される試験手順の第1例を示す。
【
図7】本実施形態に係る試験システム10により実行される試験手順の第2例を示す。
【
図8】本実施形態に係る試験システム10による複数ロットのDUT20の試験の流れの一例を示す。
【
図9】本実施形態に係る試験システム10による判定基準の調整例を示す。
【
図10】本実施形態に係る試験システム10により生成される表示画面の一例を示す。
【
図11】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る試験システム10の構成を被試験デバイス(DUT:Device Under Test)20と共に示す。DUT20は、試験システム10による試験の対象となる回路が形成されたデバイスである。DUT20は、回路が形成されたウェハ、ウェハ上に形成された各IC/LSIチップ回路、ウェハが個片化されたIC/LSIチップ、または、IC/LSIチップがパッケージングされたIC/LSIパッケージ等であってよい。本図の例においては、試験システム10は、複数のDUT20が形成されたウェハ30を搭載して各DUT20を試験する。これに代えて、試験システム10は、2以上のDUT20を同時に試験してもよい。
【0020】
試験システム10は、DUT20の電気的試験を行う。これに代えて、またはこれに加えて、試験システム10は、DUT20の光入出力試験を行ってもよい。本実施形態においては、試験システム10がDUT20の電気的試験を行う場合を例として説明する。試験システム10がDUT20の光入出力試験を行う場合には、試験装置1およびDUT10は電気的接続に代えて光接続により接続される。
【0021】
試験システム10は、プローバ装置100と、試験装置110と、評価装置140とを備える。プローバ装置100は、ウェハ30を搬送してステージ上に載置する。プローバ装置100は、ステージを水平方向(「XY方向」とも示す。)に移動させてウェハ30上における試験対象となるDUT20とテストヘッド120のプローブカードとの位置合わせを行った後に、ステージを垂直方向(「Z方向」とも示す。)上側に移動させて試験対象のDUT20の各電極とプローブカードの各プローブピンとを電気的に接続する。
【0022】
DUT20の試験が完了すると、プローバ装置100は、ステージを垂直方向下側に移動させてDUT20をプローブカードから離した後、次に試験対象となるDUT20とプローブカードとの位置合わせし、DUT20の各電極とプローブカードの各プローブピンとを電気的に接続する。ウェハ30上の全DUT20の試験が完了すると、プローバ装置100は、ウェハ30を搬出し、次のウェハ30をステージ上に載置して次のウェハ30上の各DUT20をプローブカードに順に電気的に接続して試験させていく。なお、本図の例においては、プローバ装置100はステージを垂直および水平方向に移動させるが、これに代えて、プローバ装置100はテストヘッドを垂直方向または水平方向の少なくとも一方向に移動させてもよい。
【0023】
試験装置110は、プローバ装置100のステージに載置されたウェハ30上の試験対象のDUT20を試験する。試験装置110は、テストヘッド120と、メインフレーム130とを有する。テストヘッド120は、DUT20との間で信号を授受してDUT20を試験する試験モジュールを内蔵し、試験モジュールとDUT20との間を電気的に接続するプローブカードを図中下面側に搭載する。
【0024】
メインフレーム130は、プローバ装置100およびテストヘッド120に接続される。メインフレーム130は、DUT20の試験を行なうためにテストヘッド120の各部を制御する。本実施形態において、メインフレーム130は、テストヘッド120等が設けられる筐体とは別筐体である。これに代えて、メインフレーム130内の各構成は、テストヘッド120と同じ筐体に設けられてもよい。
【0025】
評価装置140は、試験装置110のメインフレーム130に接続される。評価装置140は、DUT20の試験結果がフェイルであった場合にDUT20を再試験するか否かを判定するための判定基準を評価する。評価装置140は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、評価装置140は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、評価装置140は、判定基準の評価用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。評価装置140は、試験装置110の近傍に設置されてよい。これに代えて、評価装置140は、インターネットを介して試験装置110に接続され、試験装置110に対して判定基準を評価するクラウドサービスを提供してもよい。
【0026】
図2は、本実施形態に係る試験装置110および評価装置140の構成を、DUT20、プローバ装置100、表示装置260、および入力装置270と共に示す。試験装置110は、1または複数の試験モジュール200と、試験制御部205と、試験インタフェース部210とを備える。
【0027】
各試験モジュール200は、テストヘッド120内のスロットに挿入されて、テストヘッド120のバックプレーンに着脱可能に接続される。試験モジュール200は、「ピンエレクトロニクスカード」または「テスタボード」等とも称されうる。各試験モジュール200は、試験装置110に搭載されたハイフィックスおよびプローブカード等の接続装置を介してDUT20に電気的に接続される。各試験モジュール200は、DUT20との間で信号を入出力し、DUT20から入力する信号を検査することによりDUT20を試験する。
【0028】
DUT20の動作試験用の試験モジュール200は、DUT20との間で信号を送受信してDUT20の良否を判定するための各種の回路を含んでよい。一例として、このような回路は、試験パターンを発生するパターン発生器、タイミングを発生するタイミング発生器、タイミング発生器により発生されたタイミングを用いて試験パターンを整形して試験信号を出力する波形整形器、試験信号を増幅してDUT20へと出力するドライバ回路、DUT20からの応答信号を目標値と比較する比較器、または比較器による比較結果を用いてDUT20の良否を判定する判定器等であってよい。また、DUT20のパラメトリック試験用の試験モジュール200は、DUT20に供給する電圧を発生する電圧発生器、DUT20に供給する電流を発生する電流発生器、DUT20が出力する電圧を測定する電圧測定器、DUT20が出力する電流を測定する電流測定器、DUT20が出力する信号の周波数を測定する周波数測定器等の少なくとも1つを含む各種の回路を含んでよい。
【0029】
試験制御部205は、メインフレーム130内に配置される。試験制御部205は、各試験モジュール200に接続され、DUT20の試験を制御する。試験制御部205は、試験装置110のテスタコントローラ等の試験制御装置として機能するコンピュータにより実現される場合、コンピュータ上で試験プログラムを実行することによりDUT20の試験を制御してよい。試験制御部205は、各試験モジュール200に試験パターンおよび試験シーケンスを供給して各試験モジュール200により実行させ、DUT20を試験させる。試験制御部205は、DUT20の試験結果を各試験モジュール200から収集して記録する。試験制御部205は、各DUT20の試験結果を、標準規格であるSTDF(Standard Test Data Format)形式で記録してよい。
【0030】
試験インタフェース部210は、プローバ装置100および試験制御部205に接続され、プローバ装置100および試験制御部205の間の通信を中継する。試験インタフェース部210は、試験装置110の外部の装置(本実施形態においてはプローバ装置100)に対して、試験装置110の主要部である各試験モジュール200および試験制御部205に対するインタフェース(試験インタフェース)として機能する。試験インタフェース部210は、試験装置110のテスタコントローラ等の試験制御装置として機能するコンピュータにより実現される場合、コンピュータ上で試験インタフェースプログラムを実行することにより試験装置110の外部に対するインタフェースとして機能してよい。このような試験インタフェースプログラムは、一般的な試験装置の試験制御装置が有する、外部の装置との間の通信を担う試験装置ドライバの上に付加されて、外部の装置に意識させることなくDUT20の再試験を実施可能とする付加ドライバとして機能してよい。これに代えて、試験インタフェース部210は、試験装置110の試験制御装置とは異なる装置またはコンピュータにより実現されてもよい。
【0031】
試験インタフェース部210は、試験指示部215と、再試験判定部220とを有する。試験指示部215は、プローバ装置100と試験制御部205との間の通信を中継する。試験指示部215は、プローバ装置100によって試験モジュール200に電気的に接続されたあるDUT20の試験を行うことを指示する試験指示をプローバ装置100から受けたことに応じて、試験装置110の試験制御装置により実行される試験プログラムを呼び出す等によって実行させるにより、試験制御部205に対してこのDUT20の試験を行うことを指示する。試験指示部215は、DUT20の試験結果を試験制御部205から受け取る。試験指示部215は、DUT20の試験結果を試験指示の送信元であるプローバ装置100に返信する。
【0032】
再試験判定部220は、試験指示部215に接続される。再試験判定部220は、DUT20の試験結果を試験指示部215から受け取る。再試験判定部220は、DUT20の試験結果がフェイルであった場合に、DUT20を再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する。本実施形態において、再試験判定部220は、この判定基準を評価装置140から受け取る。再試験判定部220は、再試験の要否を試験指示部215に通知する。再試験判定部220がDUT20を再試験すると判定したことに応じて、試験指示部215は、試験プログラムを呼び出して、DUT20の試験を再度行うことを指示する。再試験判定部220がDUT20を再試験しないと判定したことに応じて、試験指示部215は、DUT20の再試験をスキップする。
【0033】
評価装置140は、判定基準データベース(DB)230と、結果取得部235と、推定部240と、評価部245とを有する。判定基準DB230は、DUT20を再試験するか否かの判定基準を格納する。結果取得部235は、複数のDUT20のそれぞれの試験結果を試験装置110内の試験制御部205から試験指示部215経由で受信する等により取得する。結果取得部235は、試験結果を試験制御部205から直接受信してもよい。
【0034】
推定部240は、判定基準DB230および結果取得部235に接続される。推定部240は、複数のDUT20のそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定する。本実施形態において、推定部240は、判定基準DB230に格納された判定基準を参照する。
【0035】
評価部245は、判定基準DB230および推定部240に接続される。評価部245は、推定部240が推定したフェイル増加度に基づいて、判定基準を評価する。評価部245は、フェイル増加度判定部250と、調整部255とを有してもよい。フェイル増加度判定部250は、フェイル増加度が予め定められた許容範囲内か否かを判定する。調整部255は、判定基準を調整する。調整部255は、フェイル増加度が許容範囲外であったことに応じてフェイル増加度が許容範囲内となるように判定基準DB230に格納された判定基準を調整してよい。なお、評価部245は、表示装置260および入力装置270に接続されてよい。この場合、評価部245は、フェイル増加度等を表示装置260に表示し、調整部255は、入力装置270に入力されるユーザの指示または承認を受けて判定基準を調整してよい。
【0036】
図3は、本実施形態に係る試験システム10により実行される評価フローを示す。本評価フローにおいては、試験システム10は、判定基準を評価するために、試験結果がフェイルであったDUT20を判定基準によらず再試験をすることにより、判定基準を用いて適応的に再試験を行ったとすると再試験でどのような試験結果となったかについてのデータを収集する。
【0037】
ステップ300(S300)において、試験システム10は、複数のDUT20を試験する。試験システム10は、試験結果がフェイルであった全てのDUT20を再試験する。ここで、試験システム10は、全てのDUT20を2回またはそれ以上試験する等により、試験結果がパスであった各DUT20も再試験してもよい。なお、判定基準の評価のために試験および再試験するDUT20の数は、1枚のウェハ30に含まれるDUT20の数分であってよく、ウェハ30に含まれるDUT20の数の一部であってよく、複数枚のウェハ30に含まれるDUT20の数分であってもよい。なお、プローバ装置100は、DUT20を再試験するために、一旦DUT20をZ方向下向きに移動してテストヘッド120の各プローブピンをDUT20から離してから、DUT20をZ方向上向きに移動して各プローブピンをDUT20に再接続(「再タッチダウン」または「リプローブ」とも示す。)させてもよい。通常の再試験時に再タッチダウンを行わない場合には、プローバ装置100は、S300においても再タッチダウンを行わなくてもよい。
【0038】
S310において、結果取得部235は、複数のDUT20の試験および再試験の試験結果を試験制御部205から試験インタフェース部210経由で取得する。結果取得部235は、各DUT20の試験または再試験の度に試験制御部205が試験インタフェース部210へと送信する試験結果を順次取得してよく、複数のDUT20の試験および再試験の結果を試験制御部205から一括して取得してよい。結果取得部235は、試験結果を試験制御部205から直接取得してもよい。また、結果取得部235は、試験制御部205が試験装置110の外部の記憶装置等に保存した各DUT20の試験結果を読み出すことにより取得してもよい。
【0039】
S320において、推定部240は、複数のDUT20のそれぞれの試験結果に基づいて、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度を推定する。例えば、100個のDUT20の試験および再試験を行った結果、89個が初回の試験(「初検」または「初測」とも示す。)でパスとなり、初回の試験でフェイルとなった残り11個のうち5個が再試験(「再検」または「再測」とも示す。)でパスとなり、6個が再試験でもフェイルとなったとする。ここで、推定部240が、判定基準DB230に格納されたある判定基準を用いた場合には、初回の試験でフェイルとなった残り11個のDUT20のうち特定の6個のDUT20が再試験の対象となり、そのうちの4個のDUT20がパスであり、2個のDUT20がフェイルであったことを特定したとする。この場合、試験結果がフェイルであったDUT20を全て再試験した場合にはフェイル数は6個であるのに対し、試験結果がフェイルであったDUT20を判定基準を用いて再試験するか否かを判定して再試験した場合にはフェイル数は7個となる。
【0040】
この例において、推定部240は、この判定基準を用いて判定する場合のフェイル増加度は100個のDUT20の試験に対して1個分であったと算出する。なお、フェイル増加度は、様々な表現形式で表されてよい。例えば、フェイル増加度は、歩留まりの低下率(1/100=1.0%)、所定数のDUT20当たりのフェイル増加個数(100個あたり1個)、ウェハ30の1枚あたりのフェイル増加個数(ウェハ30に25個のDUT20が含まれる場合、0.25個)、初検でパスであったDUT20の数に対するフェイル増加個数の比率(1/89=1.12%)等のような、フェイルしたDUT20を全て再試験する場合に対してフェイルしたDUT20の再試験を判定基準を用いて判定する場合にどの程度フェイルが増加するかを示す任意の指標であってよい。また、推定部240は、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験する場合に対する、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定する場合のパスの減少度をフェイル増加度として用いてよい。
【0041】
なお、説明の便宜上、本明細書において初回の試験(または初測、初検)および再試験(または再測、再検)等の用語を用いているが、初回の試験とはDUT20に対して初めて行う試験に限られず、再度試験を行うか否かを判定基準DB230に格納されたある判定基準を用いて判定する対象となる試験を意味する。例えば、試験装置110がDUT20の仮試験等を行い、仮試験等の試験結果を破棄して2回目の試験を行い、2回目の試験の試験結果に基づいて再試験の要否を判定する場合には、2回目の試験が本明細書における初回の試験に対応する。また、試験装置110がDUT20を3回試験し、3回の試験の試験結果に基づいて再試験の要否を判定する場合には、3回の試験の組が本明細書における初回の試験に対応する。
【0042】
同様に、再試験とは、初回の試験によりDUT20の試験結果が判明し、判定基準を適用可能な状態で行う試験を意味する。試験装置110がDUT20の初回の試験を行って一旦パスまたはフェイルの試験結果を得た後に行う試験は、無条件で再度試験する場合、判定基準を用いて再度試験するか否かを決定する場合、フェイルであれば再度試験する場合のいずれも再試験とみなしてよい。また、例えば試験装置110がDUT20の1回目の試験を行い、1回目の試験の試験結果に応じて判定基準Aを用いて再試験をするか否かを判定して2回目の試験を行い、2回目の試験の試験結果に応じて判定基準Bを用いて再試験をするか否かを判定して3回目の試験を行った場合には、判定基準Aに対しては1回目の試験が初回の試験、2回目以降の試験は再試験とみなすことができ、判定基準Bに対しては1~2回目の試験が初回の試験、3回目の試験は再試験とみなすことができる。
【0043】
S330において、評価部245は、フェイル増加度に基づいて、判定基準を評価する。本実施形態において、フェイル増加度判定部250は、フェイル増加度が予め定められた許容範囲内か否かを判定する。例えば、フェイル増加度判定部250は、フェイル増加度が歩留まりの低下率で表される場合、フェイル増加度が0.5%未満等の許容範囲内か否かを判定する。評価部245は、フェイル増加度が許容範囲内である場合(S330においてNO)、処理をS350へと進める。
【0044】
フェイル増加度が許容範囲外であった場合(S330においてYES)、調整部255は、S340において、フェイル増加度が許容範囲内となるように判定基準DB230に格納された判定基準を調整する。調整部255は、フェイル増加度が許容範囲の上限よりも大きい場合に、再試験を行うと判定されるDUT20の数をより増やすように判定基準を調整する。また、調整部255は、フェイル増加度が許容範囲の下限よりも小さい場合に、再試験を行うと判定されるDUT20の数をより減らすように判定基準を調整してよい。
【0045】
S350において、評価部245は、判定基準の評価結果および調整結果を表示装置260に表示するための表示処理を行う。すなわち、評価部245は、S340において調整した判定基準を直ちに判定基準DB230に格納するのに代えて、判定基準の調整結果を一旦ユーザに提示する。
【0046】
S360において、評価部245は、入力装置270により判定基準に対するユーザの選択を入力する。評価部245は、S350においてユーザに提示した調整後の判定基準を承認するか否かの指示を入力してよい。また、S340において調整部255が判定基準について複数の調整案(調整候補)を生成した場合には、評価部245は、いずれの調整案を選択するかの指示を入力してよい。
【0047】
S370において、評価部245は、調整後の判定基準が承認または選択されたことに応じて、調整後の判定基準を判定基準DB230に登録する。なお、推定部240は、S350およびS360の処理を行わず自動的に調整後の判定基準を判定基準DB230に登録してもよい。
【0048】
以上に示した評価装置140によれば、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験した場合に対し、再試験するか否かを判定基準を用いて判定した場合のフェイル増加度を推定し、評価することができる。これにより、評価装置140は、判定基準が原因となってDUT20の歩留まりが許容範囲以上に低下しないかどうかをモニタリング可能とすることができる。
【0049】
また、評価装置140は、調整部255を有する場合には、判定基準を調整してフェイル増加度を許容範囲内に維持することができる。これにより、評価装置140は、DUT20の歩留まりに与える影響を抑えつつ、DUT20を適応的に再試験しないようにして試験時間を削減する等により試験の効率を向上することができる。
【0050】
図4は、本実施形態に係る試験システム10により生成される判定基準の一例を示す。
図3のS300において、試験装置110は、DUT20に対し、複数の試験項目の試験を行ってよい(参照)。本図の例においては、試験装置110は、各DUT20に対して、テスト識別情報(テストID)100001~600003が付された計21個の試験項目の試験を行う。各試験項目の試験は、DUT20における異なる回路ブロック、異なる端子、または異なる機能等に対するものであってよい。
【0051】
各DUT20の試験結果は、複数の試験項目のそれぞれの項目試験結果を含む。本図の例においては、DUT20は、初測において、試験項目100001、200002、200004、300002、400003、500002、および600002の7つの試験項目がフェイルとなり、他の試験項目の試験はパスである。
【0052】
図3のS300において、試験装置110は、初測においてフェイルであった全試験項目についてDUT20を再試験する。本図の例においては、DUT20は、再測において、7つの項目試験のうち試験項目200004、400003、および600002の3つの試験項目でパスとなり、他の試験項目の試験はフェイルである。
【0053】
試験装置110は、複数のDUT20についても同様に試験および再試験を行う。評価装置140は、各DUT20の試験および再試験の試験結果を取得する(
図3のS310)。判定基準が未設定である場合、または新たな判定基準を生成する場合、評価装置140は、
図3のS320およびS330を省略してS340に処理を進める。S340において、調整部255は、新たに判定基準を生成してよい。
【0054】
調整部255は、判定基準として、複数の試験項目のうち、項目試験結果がフェイルであってもDUT20の再試験を行わないこととする少なくとも1つの試験項目の組を決定してよい。このような少なくとも1つの試験項目の組は、例えば少なくとも1つの試験項目の組合せを示すデータセット、または少なくとも1つの試験項目を含むリスト形式のデータセット等によって表されてよい。調整部255は、複数のDUT20についての複数の項目試験結果を用いて、各試験項目が初測でフェイルであった場合に再測でもフェイルとなる割合を算出してよい。調整部255は、この割合が予め定められた閾値を超える場合に、この試験項目の項目試験結果がフェイルであってもDUT20の再試験を行わないこととしてよい。
【0055】
例えば、試験装置110が、本図に示したDUT20のように試験項目200002を50個のDUT20について再試験したとする。このうち43個のDUT20では再試験の項目試験結果がフェイルであったとすると、調整部255は、試験項目200002では再試験でもフェイルとなる割合(確率)が86%(=43/50)であると算出する。再試験を行わないこととする閾値が50%であったとすると、調整部255は、試験項目200002については試験でフェイルであっても再試験を行わないことする。
【0056】
また、試験装置110が、本図に示したDUT20のように試験項目200004を50個のDUT20について再試験したとする。このうち20個のDUT20では再試験の項目試験結果がフェイルであったとすると、調整部255は、試験項目200004では再試験でもフェイルとなる割合(確率)が40%(=20/50)であると算出する。再試験を行わないこととする閾値が50%であったとすると、調整部255は、試験項目200004については試験でフェイルであったならば再試験を行うことする。
【0057】
本図の例においては、調整部255は、このようにして項目試験結果がフェイルであってもDUT20の再試験を行わないこととする少なくとも1つの試験項目の組として、試験項目100001,200002、300002、および500002の組を決定している。調整部255は、これらの試験項目については項目試験結果がフェイルであってもDUT20の再試験を行わないとする判定基準を判定基準DB230に登録する。
【0058】
なお、項目試験結果は、パスおよびフェイルの区別のみではなく、例えばBINまたはSBINのように、どのような種類のフェイルかを識別可能な識別情報で表される場合がある。この場合、調整部255は、判定基準として、複数の試験項目のうち、項目試験結果がフェイルであってもDUT20の再試験を行わないこととする少なくとも1つの項目試験結果の組を決定してよい。
【0059】
以上に示した評価装置140によれば、フェイルであってもDUT20の再試験を行わないこととする試験項目または項目試験結果の組を用いて判定基準を決定することができるので、試験項目または項目試験結果毎に初検で誤フェイルとなる可能性が異なる場合であっても適切な判定基準を設定することができる。
【0060】
図5は、本実施形態に係る試験システム10により実行される試験フローを示す。本試験フローにおいて、試験システム10は、試験結果がフェイルとなったDUT20を適応的に再試験する。
【0061】
S500において、評価装置140は、ステージを移動させて、テストヘッド120の各プローブを試験対象のDUT20に接続する。試験対象のDUT20をテストヘッド120に接続すると、評価装置140は、試験装置110に対してDUT20の試験を指示する。評価装置140は、試験装置110に対する試験指示に、ウェハ30上における試験対象のDUT20のXY座標等の、試験対象のDUT20を特定するための情報を含めてよい。試験インタフェース部210内の試験指示部215は、試験指示を試験制御部205へと転送する。
【0062】
S510において、試験装置110内の試験制御部205および各試験モジュール200は、DUT20を試験する。試験制御部205は、試験結果を試験指示部215へと返信する。S520において、評価装置140内の結果取得部235は、DUT20の試験結果を試験指示部215から取得する。
【0063】
S530において、試験指示部215は、DUT20の試験結果がパスであった場合には、処理をS580へと進める(S530のNO)。試験指示部215は、DUT20の試験結果がフェイルであった場合には、処理をS540へと進める(S530のYES)。なお、試験が複数の試験項目を含む場合、試験装置110は、全ての試験項目でパスとなったことに応じてDUT20の試験がパスであったと判断する。DUT20の種類によっては、試験装置110は、一部の試験項目でフェイルであったDUT20を、機能制限デバイス等のグレードが異なる良品として試験をパスしたと判断してもよい。
【0064】
S540において、再試験判定部220は、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験するか否かを判定基準DB230に格納された判定基準を用いて判定する。例えば、再試験判定部220は、フェイルとなったいずれの試験項目も、判定基準において再試験を行わないものと定めている試験項目に該当しない場合に、DUT20を再試験すると判定する(S540のYES)。再試験判定部220は、DUT20の再試験を行わないと判定した場合には処理をS580へと進める(S540のNO)。
【0065】
S550において、試験指示部215は、テストヘッド120の各プローブをDUT20から一旦離してDUT20に再接続させることをプローバ装置100に指示する。評価装置140は、試験指示部215からの指示を受けて、テストヘッド120の各プローブをDUT20に再接続させる。なお、試験指示部215は、ユーザの指定等によってはS550の処理を省略し、リプローブなしてDUT20を再試験するようにしてもよい。
【0066】
S560において、試験指示部215は、再試験についての試験指示を試験制御部205に転送する。これを受けて、試験装置110内の試験制御部205および各試験モジュール200は、DUT20を再試験する。試験制御部205は、再試験の試験結果を試験指示部215へと返信する。S570において、試験指示部215は、DUT20の再試験の試験結果を試験制御部205から取得する。
【0067】
S580において、試験指示部215は、DUT20の試験結果または再試験結果を評価装置140へと返信等することにより、評価装置140に報告する。初検においてDUT20の試験結果がパスであった場合(S530のYES)には、試験指示部215は、試験結果を評価装置140へと応答する。試験指示部215は、DUT20の試験結果がフェイルであり(S530のYES)、DUT20の再試験をスキップしたこと(S540のNO)に応じて、DUT20の試験の試験結果がフェイルであったことを試験指示の送信元である評価装置140に応答してよい。試験指示部215は、DUT20の再試験が行われた場合(S540のYES)、再試験結果を評価装置140へと報告する。評価装置140は、DUT20の試験結果または再試験結果を受け取ると、テストヘッド120の各プローブからDUT20を離し、次に試験対象とするDUT20についてS500からの処理を進める。
【0068】
以上に示した試験装置110によれば、試験結果がフェイルとなったDUT20を再試験するか否かを予め定められた判定基準を用いて判定することができ、DUT20の歩留まり低下を抑えつつ試験効率を向上させることができる。また、試験装置110は、プローバ装置100等の試験装置110の外部の装置と試験装置110の試験制御部205との間のインタフェースとして試験インタフェース部210を組み込むことができる。試験インタフェース部210が試験インタフェースプログラムにより実現される場合には、DUT20の再試験を行う機能を有しない試験装置110に試験インタフェースプログラムをドライバとして付加することにより、プローバ装置100等との間のインタフェースを変更することなくDUT20の再試験を適応的に行う機能を試験装置110に付加することができる。
【0069】
図6は、本実施形態に係る試験システム10により実行される試験手順の第1例を示す。本図の例においては、プローバ装置100は、テストヘッド120に対して、1枚のウェハ30の複数のDUT20(図中8個のDUT20)を順番にコンタクトさせて試験装置110により試験させ、試験結果を収集するようにプログラミングされている。プローバ装置100は、各DUT20をテストヘッド120に接続すると、試験装置110に対してDUT20の試験を指示する(
図5のS500)。試験インタフェース部210は、評価装置140からの試験指示を試験制御部205へと転送して、試験制御部205および試験モジュール200によりDUT20の試験を行わせる(
図5のS510)。
【0070】
試験インタフェース部210は、DUT20の試験結果を試験制御部205から受け取る。本図の例におけるデバイス0、2、4、および6のように、初測の試験結果がパスであった場合(
図5のS530のNO)には、試験インタフェース部210は、試験結果をプローバ装置100に返信する(
図5のS580)。これを受けてプローバ装置100は、テストヘッド120に次のDUT20をコンタクトさせる。
【0071】
初測の試験結果がフェイルであった場合(
図5のS530のYES)、試験インタフェース部210内の再試験判定部220は、DUT20を再試験するか否かを判定基準を用いて判定する。本図の例におけるデバイス1および5のように、再試験を行うと判定したDUT20については(
図5のS540のYES)、試験インタフェース部210は、初測の試験結果を評価装置140に返信せずに試験装置110側で再試験を行って、再試験の試験結果を取得する(
図5のS550~S570)。そして、試験インタフェース部210は、再試験の試験結果をプローバ装置100へと返信する。本図の例におけるデバイス3および7のように、再試験を行わないと判定したDUT20については(
図5のS540のNO)、試験インタフェース部210は、再試験をスキップし、初測の試験結果(フェイルの試験結果)をプローバ装置100に返信する(
図5のS580)。
【0072】
このようにして、試験装置110は、試験対象のDUT20を再試験するか否かの判定において、そのDUT20の試験結果がフェイルであったことに応じて、そのDUT20の試験を再度行うことを指示する試験指示を外部の装置等から受けとることなく、DUT20を再試験するか否かを判定基準を用いて判定し、再試験を行うことができる。したがって、プローバ装置100自体が再試験を行う機能を有していなくても、試験装置110側で自動的にDUT20を適応的に再試験することができる。
【0073】
図7は、本実施形態に係る試験システム10により実行される試験手順の第2例を示す。本図の例においては、プローバ装置100は、テストヘッド120に対して、1枚のウェハ30の複数のDUT20(図中8個のDUT20)を順番にコンタクトさせて試験装置110により試験させ、試験結果を収集するようにプログラミングされている。さらに、プローバ装置100は、1枚のウェハ30の全てのDUT20を試験した後に、試験結果がフェイルであった各DUT20をテストヘッド120に順番に再コンタクトさせて試験装置110により再試験をさせる機能を有する。
【0074】
プローバ装置100は、各DUT20をテストヘッド120に接続すると、試験装置110に対してDUT20の試験を指示する(
図5のS500)。試験インタフェース部210は、プローバ装置100からの試験指示を試験制御部205へと転送して、試験制御部205および試験モジュール200によりDUT20の試験を行わせる(
図5のS510)。本図の例においては、初測の試験結果がパスであった場合およびフェイルであった場合のいずれにおいても(
図5のS530のNO/YES)、試験インタフェース部210は、初測の試験結果をプローバ装置100に返信する(S580)。
【0075】
全てのDUT20の初測を終えると、プローバ装置100は、初測の試験結果がフェイルであったDUT20をテストヘッド120に順番にコンタクトさせ(
図5のS550)、DUT20の試験を行うことを試験装置110に指示する。試験インタフェース部210内の再試験判定部220は、DUT20を再試験するか否かを判定基準を用いて判定する。本図の例におけるデバイス1および5のように、再試験を行うと判定したDUT20については(
図5のS540のYES)、試験インタフェース部210は、DUT20の試験指示を試験制御部205に転送する。試験装置110は、DUT20の試験を再度行って、再試験の試験結果を取得する(
図5のS560~S570)。そして、試験インタフェース部210は、再試験の試験結果をプローバ装置100へと返信する。本図の例におけるデバイス3および7のように、再試験を行わないと判定したDUT20については(
図5のS540のNO)、試験インタフェース部210は、再試験をスキップし、初測の試験結果(フェイルの試験結果)をプローバ装置100に返信する(
図5のS580)。
【0076】
このようにして、試験装置110は、DUT20を再試験するか否かの判定において、DUT20の試験結果がフェイルであり、かつDUT20の試験を再度行うことを指示する試験指示を外部の装置から受けたことに応じて、DUT20を再試験するか否かを判定基準を用いて判定し、適応的に再試験を行うことができる。したがって、プローバ装置100自体が初測の試験結果がフェイルであった全てのDUT20を再試験する機能を有している場合でも、試験装置110側で自動的に再試験を行うDUT20を適応的に判定し、再試験不要と判定したDUT20の再試験をスキップすることができる。
【0077】
図8は、本実施形態に係る試験システム10による複数ロットのDUT20の試験の流れの一例を示す。各ロットは、複数のスロット(例えば25個のスロット)を含む。各スロットは1枚のウェハ30を含んでよく、2以上のウェハ30を含んでもよい。本図の例においては、各スロットが1枚のウェハ30を含む場合を例として説明する。
【0078】
本図の横方向は時間の経過を示す。試験システム10は、ロットA、ロットB、…の順に各ロットの試験を行う。各ロットの試験において、試験システム10は、スロット1、スロット2、…、スロット25の順に各スロットの試験を行う。
【0079】
本図の例において、試験システム10は、スロット1~3に含まれる複数のDUT20(「第1の複数のDUT20」とも示す。)については、フェイルであった全てのDUT20を再試験する。試験システム10は、スロット1~3に含まれる第1の複数のDUT20を対象として
図3に示した評価フローを実行してよい。これにより、評価装置140内の推定部240は、第1の複数のDUT20のそれぞれについて、初回の試験結果、および初回の試験結果がフェイルであった場合の再試験の試験結果に基づいて、フェイル増加度を推定することができる(
図3のS320)。調整部255は、推定されたフェイル増加度が許容範囲内となるように判定基準DB230に格納された判定基準を調整する(
図3のS340)。評価部245は、必要に応じて調整後の判定基準の承認または選択を受けて、調整後の判定基準を判定基準DB230に登録する(
図3のS350~S370)。
【0080】
試験システム10は、スロット4~25に含まれる複数のDUT20(「第2の複数のDUT20」とも示す。)については、フェイルであった各DUT20を適応的に再試験する。試験システム10は、スロット4~25に含まれる第2の複数のDUT20のそれぞれを対象として
図5から7に示した試験フローを実行してよい。これにより、評価装置140内の再試験判定部220は、第1の複数のDUT20の後に試験される第2の複数のDUT20のそれぞれについて、試験結果がフェイルであったDUT20を再試験するか否かを判定基準DB230内の判定基準を用いて判定することができる。
【0081】
また、推定部240および評価部245は、第1の全DUT20を試験および再試験した場合を基準として、第2の複数のDUT20のフェイル増加度をモニタリングし、フェイル増加度が許容範囲外となった場合には判定基準を動的に調整してよい(
図3のS340~S370参照)。本図の例においては、推定部240は、例えばスロット4以降の各3スロット分のDUT20等の予め定められた数のDUT20の歩留まりまたはフェイル数等を用いてその3スロット分のDUT20についてのフェイル増加度を算出する。このようにして算出したフェイル増加度は、3スロット分のDUT20の個数をスライドウィンドウとするフェイル増加度の移動平均となる。
【0082】
評価部245は、フェイル増加度が許容範囲外である場合、フェイル増加度を許容範囲内とするように判定基準を調整する。これを実現するために、推定部240は、第1の全DUT20を試験および再試験した場合の歩留まりを基準として、適応的再試験の歩留まりの許容範囲を決定し、評価部245は各3スロット分のDUT20の歩留まりが許容範囲外となったことに応じて判定基準を調整してもよい。これにより、評価装置140は、各ロットに含まれる複数のDUT20の試験中に、フェイル増加度を動的に調整してDUT20の歩留まりを維持することができる。
【0083】
図9は、本実施形態に係る試験システム10による判定基準の調整例を示す。本図に示した表は、判定基準毎の再試験の削減率およびフェイル増加度(本図においてはフェイル増加率)を示す。
【0084】
本図の表は、第1列に「番号」、第2列に「再試験スキップテストID」、第3列に「再試験の削減率」、第4列に「フェイル増加率(歩留まり低下率)」を示す。「再試験スキップテストID」は、判定基準に相当し、DUT20がフェイルとなってもDUT20の再試験を行わない試験項目の組をテストIDのリストにより表したものである。例えば番号4の行は、試験項目の識別番号が52、53、55、6、または9のいずれかの試験項目でフェイルとなってもDUT20を再試験しないことを示す。
【0085】
「再試験の削減率」は、対応する判定基準を用いた場合に、フェイルとなった全てのDUT20を再試験する場合と比較して、再試験するDUT20の数をどの程度削減できるかを示す。推定部240および評価部245は、初測でフェイルとなったDUT20の数に対する、再試験不要と判定するDUT20の数の割合を再試験の削減率として算出してよい。
【0086】
「フェイル増加率(歩留まり低下率)」は、対応する判定基準を用いた場合に、フェイルとなった全てのDUT20を再試験する場合と比較して、最終的にフェイルと判断されるDUT20の数がどれだけ増加するかを示す。推定部240および評価部245は、DUT20全体のうち、初測でフェイルとなったDUT20が判定基準上再試験の対象とならないにも関わらず、再試験を行った場合にはパスとなるDUT20の数の割合を、「フェイル増加率(歩留まり低下率)」として算出してよい。これに代えて、推定部240および評価部245は、フェイルとなった全てのDUT20を再試験した場合のDUT20の歩留まりから、フェイルとなったDUT20を適応的に再試験した場合のDUT20の歩留まりを減じた値を「フェイル増加率(歩留まり低下率)」として算出してよい。
【0087】
推定部240は、第1の全DUT20を試験および再試験した試験結果を用いて、複数の試験項目のうちの様々な試験項目の組合せ毎に、「再試験の削減率」および「フェイル増加率(歩留まり低下率)」を算出することにより、複数の判定基準の候補を生成してよい。評価部245内の調整部255は、推定部240が生成した複数の判定基準の候補の中から、フェイル増加度が許容範囲内であり、再試験の削減率が最も高い候補(または再試験の削減率がより高いものをより優先して選択した候補)を選択して、判定基準DB230に登録してよい。
【0088】
また、評価部245は、複数の判定基準の候補を判定基準DB230に登録してよい。調整部255は、フェイル増加度の許容範囲が試験システム10のユーザ等から与えられたことに応じて、複数の判定基準の候補の中から、フェイル増加度が許容範囲内であり、再試験の削減率が最も高い候補(または再試験の削減率がより高いものをより優先して選択した候補)を選択して、再試験判定部220が使用するべき判定基準として設定してよい。
【0089】
また、
図8に例示したように動的に判定基準を調整するために、調整部255は、フェイル増加度を低下させる場合には複数の判定基準の候補のうち現在使用している判定基準よりもフェイル増加度が小さい判定基準を選択して、再試験判定部220が使用するべき判定基準として設定してよい。例えば、調整部255は、本図の例において番号15の判定基準を使用している場合に、実際のフェイル増加率が閾値0.5%以上となったことに応じて、番号15の判定基準よりもフェイル増加度が小さい判定基準(番号13より前の判定基準)を選択してもよい。
【0090】
同様に、調整部255は、フェイル増加度を増加させる場合には複数の判定基準の候補のうち現在使用している判定基準よりもフェイル増加度が大きい判定基準を選択して、再試験判定部220が使用するべき判定基準として設定してよい。これらの場合に、調整部255は、フェイル増加度を必要量だけ増減させることができると推定される候補のうち、再試験の削減率が最も高い候補(または再試験の削減率がより高いものをより優先して選択した候補)を選択してよい。
【0091】
図10は、本実施形態に係る試験システム10により生成される表示画面の一例を示す。本図の横軸は通しのスロット番号であり、縦軸は歩留まりを示す。本図の例においては、試験システム10は、スロット12およびスロット24において、フェイルであった全DUT20を再試験している。試験システム10は、スロット0~11の各DUT20についてはスロット0以前に設定した判定基準を用いて適応的試験を行っている。試験システム10は、スロット13~23の各DUT20についてはスロット12で設定した判定基準を用いて適応的試験を行っている。このように、試験システム10は、長期にわたって多数のDUT20を試験する場合に、DUT20の歩留まりの変化に追従して判定基準を調整することができる。
【0092】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0093】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0094】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0095】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のコンピュータ等のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0096】
図11は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0097】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0098】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0099】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0100】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0101】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0102】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0103】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0104】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0105】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0106】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0107】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0108】
10 試験システム
20 DUT
30 ウェハ
100 プローバ装置
110 試験装置
120 テストヘッド
130 メインフレーム
140 評価装置
200 試験モジュール
205 試験制御部
210 試験インタフェース部
215 試験指示部
220 再試験判定部
230 判定基準DB
235 結果取得部
240 推定部
245 評価部
250 フェイル増加度判定部
255 調整部
260 表示装置
270 入力装置
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード