(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164676
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】転写ユニットおよびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
G03G15/16 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080337
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和大
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅之
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA08
2H200GA03
2H200GA34
2H200GA47
2H200GA49
2H200GB12
2H200GB13
2H200GB22
2H200GB23
2H200GB43
2H200GB44
2H200HA02
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JA25
2H200JA29
2H200JA30
2H200JB13
2H200JB40
2H200JB45
2H200JB49
2H200JB50
2H200JC03
2H200JC12
2H200LA06
2H200LA14
2H200LA17
2H200LA24
2H200LA27
2H200LA29
2H200LA38
2H200LA40
2H200MA03
2H200PA10
2H200PA12
2H200PA14
2H200PB15
2H200PB17
(57)【要約】
【課題】像担持体に選択的に圧接される2本の転写ローラーの位置精度や切り換え動作の円滑性を向上可能な転写ユニットおよびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写ユニットは、転写ローラーとしての第1ローラーおよび第2ローラーと、第1軸受部材と、第2軸受部材と、ローラーホルダーと、第1付勢部材と、第2付勢部材と、切換カムと、駆動機構と、ユニットフレームと、固定カムと、を備える。ローラーホルダーを回転させることにより、第1ローラーおよび第2ローラーの一方を像担持体に対向配置するとともに、切換カムを回転させることにより、像担持体に対向配置された第1ローラーまたは第2ローラーを基準位置と離間位置とに選択配置する。固定カムは、像担持体に対向配置された第1ローラーまたは第2ローラーの位置決めを行う位置決め凹部を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と、前記芯金の外周面に積層された弾性層とを有し、前記弾性層を像担持体に圧接させて転写ニップ部を形成する転写ローラーを備え、前記像担持体上に形成されたトナー像を、前記転写ニップ部を通過する記録媒体に転写する転写ユニットにおいて、
前記転写ローラーとしての第1ローラーおよび前記第1ローラーよりも前記弾性層の軸方向長さが大きい第2ローラーと、
前記第1ローラーを回転可能に支持する第1軸受部材と、
前記第2ローラーを回転可能に支持する第2軸受部材と、
前記第1軸受部材および前記第2軸受部材を、それぞれ前記像担持体に対して接近または離間する方向に摺動可能に保持する第1軸受保持部および第2軸受保持部を有するローラーホルダーと、
前記第1軸受保持部と前記第1軸受部材との間に配置され、前記第1軸受部材を前記像担持体に接近する方向に付勢する第1付勢部材と、
前記第2軸受保持部と前記第2軸受部材との間に配置され、前記第2軸受部材を前記像担持体に接近する方向に付勢する第2付勢部材と、
前記第1軸受部材に形成された第1係合部および前記第2軸受部材に形成された第2係合部が係合する第1ガイド穴を有する切換カムと、
前記ローラーホルダーおよび前記切換カムを回転駆動する駆動機構と、
前記ローラーホルダーおよび前記切換カムを回転可能に支持するユニットフレームと、
前記ユニットフレームに固定される固定カムと、
を備え、
前記ローラーホルダーを回転させることにより、前記第1ローラーおよび前記第2ローラーのいずれか一方を前記像担持体に対向配置するとともに、
前記切換カムを回転させて前記第1ガイド穴における前記第1係合部または前記第2係合部の係合位置を変化させることにより、前記像担持体に対向配置された前記第1ローラーまたは前記第2ローラーを、前記像担持体に圧接されて転写ニップ部を形成する基準位置と、前記像担持体から離間した離間位置とに選択配置し、
前記固定カムは、
前記第1ガイド穴に重なるように形成され、前記第1係合部および前記第2係合部が係合する第2ガイド穴と、
前記第2ガイド穴の径方向外側の周縁部に形成され、前記第1ローラーが前記像担持体に対向配置されたとき前記第1係合部が係合し、前記第2ローラーが前記像担持体に対向配置されたとき前記第2係合部が係合する位置決め凹部と、
を有することを特徴とする転写ユニット。
【請求項2】
前記切換カムは、前記第1ガイド穴の径方向外側の周縁部に凹部が形成されており、前記第1係合部または前記第2係合部を前記凹部に係合させることで、前記像担持体に対向配置された前記第1ローラーまたは前記第2ローラーを前記基準位置に配置することを特徴とする請求項1に記載の転写ユニット。
【請求項3】
前記凹部は、最も径方向外側まで凹んだ底部と、前記底部から径方向内側に向かって傾斜する傾斜部と、を有し、
前記第1係合部または前記第2係合部を前記傾斜部に係合させることで、前記第1ローラーまたは前記第2ローラーを前記像担持体から所定距離だけ離間した第1離間状態とし、前記第1係合部または前記第2係合部を前記凹部から離間させることで、前記第1ローラーまたは前記第2ローラーを前記第1離間状態よりも離間距離が大きい第2離間状態とすることを特徴とする請求項2に記載の転写ユニット。
【請求項4】
前記駆動機構は、
前記切換カムの前記回転中心に固定されるシャフトと、
前記シャフトを回転させるローラー切換モーターと、
を有し、
前記ローラーホルダーは前記シャフトに回転可能に支持されており、前記ローラー切換モーターを用いて前記シャフトを回転させることにより、前記切換カムおよび前記ローラーホルダーを回転することを特徴とする請求項1に記載の転写ユニット。
【請求項5】
前記ローラーホルダーおよび前記切換カムの回転方向の位置を検知する複数の位置検知センサーと、
前記駆動機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の前記位置検知センサーの検知結果に基づいて前記駆動機構を制御することにより、前記第1ローラーおよび前記第2ローラーのいずれかを前記像担持体に対向配置するとともに、前記像担持体に対向配置された前記第1ローラーまたは前記第2ローラーを前記基準位置と前記離間位置とに選択配置することを特徴とする請求項1に記載の転写ユニット。
【請求項6】
異なる色の前記トナー像を形成する複数の画像形成部と、
前記画像形成部に沿って移動する、前記像担持体としての無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトを挟んで前記各画像形成部に配置された感光体ドラムに対向配置され、前記感光体ドラム上に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルト上に一次転写する複数の一次転写部材と、
前記中間転写ベルト上に一次転写された前記トナー像を前記記録媒体上に二次転写する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の前記転写ユニットとしての二次転写ユニットと、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムや中間転写ベルト等の像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写ユニットおよびそれを備えた画像形成装置に関し、特に、複数の転写部材の配置を切り換える機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、所定方向に回動される無端状の中間転写ベルトと、中間転写ベルトに沿って設けられた複数の画像形成部とを備え、各画像形成部により中間転写ベルト上に各色のトナー像を順次重ね合わせて一次転写した後、二次転写ローラーにより用紙等の記録媒体上にトナー像を二次転写する中間転写方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような中間転写方式の画像形成装置においては、耐久印字によって二次転写ローラーの表面へのトナー付着が進行する。特に、発色性や色の再現性を向上させるために、所定のタイミングで画像濃度や色ずれを補正するキャリブレーションを実行する必要があるが、キャリブレーションの実行時に中間転写ベルト上に形成されるパッチ画像は用紙に転写されずにベルトクリーニング装置によって除去される。そのため、パッチ画像が二次転写ローラーを通過する際に中間転写ベルト上に転写されたトナーの一部が二次転写ローラーに付着してしまう。
【0004】
従来は、非画像形成時に二次転写ローラーに転写逆電圧(トナーと同極性の電圧)を印加して二次転写ローラーに付着したトナーを中間転写ベルトに戻すことにより、二次転写ローラーを清掃する方法が行われていた。しかし、この方法では二次転写ローラーの清掃に時間を要するため、印字待ち時間が長くなるという問題点があった。
【0005】
そこで、二次転写ローラーを記録媒体に適したサイズに切り換え可能とすることで、生産性を向上させる方法が提案されており、例えば特許文献1には、互いに軸方向の長さの異なる複数の二次転写ローラー、及び複数の二次転写ローラーを回転可能に支持するとともに軸方向と平行な軸周りに回転可能な支持部を有する回転体と、記録媒体の幅に応じて複数の二次転写ローラーから一のローラーを選択し、支持部を回転させて一のローラーを中間転写ベルトに対向させる制御部を備える画像形成装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、転写ローラーとしての第1ローラーおよび第2ローラーと、第1軸受部材と、第2軸受部材と、ローラーホルダーと、第1付勢部材と、第2付勢部材と、切換カムと、転写電圧電源と、駆動機構と、を備えた転写ユニットが開示されている。転写ユニットは、ローラーホルダーを回転させることにより、第1ローラーおよび第2ローラーのいずれか一方を像担持体に対向配置するとともに、切換カムを回転させることにより、像担持体に対向配置された第1ローラーまたは第2ローラーを、像担持体に圧接されて転写ニップ部を形成する基準位置と、像担持体から離間した離間位置とに選択配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-156653号公報
【特許文献2】特開2022-112901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の構成では、二次転写ローラーを中間転写ベルトから離間させる離間機構の具体的な構成が記載されておらず、二次転写ローラーの切り換え時や交換時に二次転写ローラーや中間転写ベルトが損傷するおそれがあった。特許文献2の構成では、転写ローラーを移動状態から押圧状態に切り換える際の、転写ローラーの位置精度や切り換えの円滑性において更なる改良の余地があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、像担持体に選択的に圧接される2本の転写ローラーの切り換え時におけるローラーの位置精度や切り換え動作の円滑性を向上可能な転写ユニットおよびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、芯金と、芯金の外周面に積層された弾性層とを有し、弾性層を像担持体に圧接させて転写ニップ部を形成する転写ローラーを備え、像担持体上に形成されたトナー像を、転写ニップ部を通過する記録媒体に転写する転写ユニットである。転写ユニットは、転写ローラーとしての第1ローラーおよび第2ローラーと、第1軸受部材と、第2軸受部材と、ローラーホルダーと、第1付勢部材と、第2付勢部材と、切換カムと、駆動機構と、ユニットフレームと、固定カムと、を備える。第2ローラーは、第1ローラーよりも弾性層の軸方向長さが大きい。第1軸受部材は、第1ローラーを回転可能に支持する。第2軸受部材は、第2ローラーを回転可能に支持する。ローラーホルダーは、第1軸受部材および第2軸受部材を、それぞれ像担持体に対して接近または離間する方向に摺動可能に保持する第1軸受保持部および第2軸受保持部を有する。第1付勢部材は、第1軸受保持部と第1軸受部材との間に配置され、第1軸受部材を像担持体に接近する方向に付勢する。第2付勢部材は、第2軸受保持部と第2軸受部材との間に配置され、第2軸受部材を像担持体に接近する方向に付勢する。切換カムは、第1軸受部材に形成された第1係合部および第2軸受部材に形成された第2係合部が係合する第1ガイド穴を有する。駆動機構は、ローラーホルダーおよび切換カムを回転駆動する。ユニットフレームは、ローラーホルダーおよび切換カムを回転可能に支持する。固定カムは、ユニットフレームに固定される。ローラーホルダーを回転させることにより、第1ローラーおよび第2ローラーのいずれか一方を像担持体に対向配置するとともに、切換カムを回転させて第1ガイド穴における第1係合部または第2係合部の係合位置を変化させることにより、像担持体に対向配置された第1ローラーまたは第2ローラーを、像担持体に圧接されて転写ニップ部を形成する基準位置と、像担持体から離間した離間位置とに選択配置する。固定カムは、第1ガイド穴に重なるように形成され、第1係合部および第2係合部が係合する第2ガイド穴と、第2ガイド穴の径方向外側の周縁部に形成され、第1ローラーが像担持体に対向配置されたとき第1係合部が係合し、第2ローラーが像担持体に対向配置されたとき第2係合部が係合する位置決め凹部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、第2ガイド穴と位置決め凹部が形成された固定カムを配置することにより、第1ローラーまたは第2ローラーが像担持体に対向配置されたとき、第1軸受部材の第1係合部、または第2軸受部材の第2係合部が位置決め凹部に係合して位置決めされる。そして、第1ローラーおよび第2ローラーを基準位置と離間位置との間で移動させる際に、第1係合部、第2係合部が位置決め凹部に沿って移動する。従って、第1ローラーおよび第2ローラーが切換カムの回転によって周方向に位置ずれするおそれがなく、第1ローラーおよび第2ローラーの押圧状態、離間状態を切り換える際の位置精度を高めることができる。また、第1ローラーおよび第2ローラーの押圧状態、離間状態の切り換えを円滑に行うことができ、切り換え時における衝撃や振動、異音等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の二次転写ユニット9を備えた画像形成装置100の内部構成を示す概略図
【
図3】画像形成装置100に搭載される中間転写ユニット30の側面断面図
【
図4】画像形成装置100に搭載される本発明の一実施形態に係る二次転写ユニット9の斜視図
【
図5】本実施形態の二次転写ユニット9のローラーホルダー47の構成を示す拡大斜視図
【
図6】二次転写ユニット9のローラーホルダー47周辺を軸方向内側から見た斜視図
【
図7】本実施形態の二次転写ユニット9の駆動機構を示す斜視図
【
図8】本実施形態の二次転写ユニット9が搭載された画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図
【
図9】本実施形態の二次転写ユニット9の切換カム50を含む側面断面図であって、第1ローラー40が二次転写ニップ部Nを形成する基準位置に配置された状態を軸方向内側から見た図
【
図10】
図9の状態から切換カム50を取り外して固定カム52を露出させた状態を示す図
【
図11】
図9の状態から切換カム50を時計回り方向に所定角度だけ回転させた第1ローラー40の第1離間状態を示す図
【
図12】
図11の状態から切換カム50をさらに時計回り方向に所定角度だけ回転させた第1ローラー40の第2離間状態を示す図
【
図13】
図12の状態からシャフト51を反時計回り方向に回転させて第2ローラー41を駆動ローラー10に対向させた状態を示す図
【
図14】
図13の状態から切換カム50を反時計回り方向に所定角度だけ回転させて、第2ローラー41が二次転写ニップ部Nを形成する基準位置に配置された状態を示す図
【
図15】
図14の状態から切換カム50をさらに反時計回り方向に所定角度だけ回転させた第2ローラー41の第1離間状態を示す図
【
図16】
図15の状態から切換カム50をさらに反時計回り方向に所定角度だけ回転させた第2ローラー41の第2離間状態を示す図
【
図17】
図16の状態から切換カム50を時計回り方向に所定角度だけ回転させて第1ローラー40を駆動ローラー10に対向させた状態を示す図
【
図18】本実施形態の二次転写ユニット9の切換カム50を含む側面断面図であって、第3位置検知センサーS3により第2ローラー41の基準位置を検知する変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の二次転写ユニット9を備えた画像形成装置100の構成を示す概略図であり、
図2は、
図1における画像形成部Pa付近の拡大図である。
【0014】
図1に示す画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式のカラープリンターであり、以下のような構成になっている。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(
図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0015】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dが配設されている。さらに
図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ユニット9において記録媒体の一例としての用紙S上に一度に転写される。さらに、定着部13において用紙S上にトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを
図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0016】
トナー像が転写される用紙Sは、画像形成装置100の本体下部の用紙収納カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ユニット9へと搬送される。中間転写ベルト8には継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。
【0017】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。以下、画像形成部Paについて詳細に説明するが、画像形成部Pb~Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。
図2に示すように、感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(
図2の時計回り方向)に沿って帯電装置2a、現像装置3a、クリーニング装置7aが配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラー6aが配置されている。また、感光体ドラム1aに対し中間転写ベルト8の回転方向上流側には中間転写ベルト8を挟んでテンションローラー11に対向するベルトクリーニングユニット19が配置されている。
【0018】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、メインモーター60(
図8参照)により感光体ドラム1a~1dの回転が開始され、帯電装置2a~2dの帯電ローラー20によって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5から出射されたビーム光(レーザー光)によって感光体ドラム1a~1dの表面を光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。
【0019】
現像装置3a~3dには、それぞれマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色のトナーが所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dの現像ローラー21により感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0020】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dのクリーニングブレード22および摺擦ローラー23により除去される。
【0021】
ベルト駆動モーター61(
図8参照)による駆動ローラー10の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、用紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ユニット9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部13へと搬送される。中間転写ベルト8の表面に残存したトナーはベルトクリーニングユニット19によって除去される。
【0022】
定着部13に搬送された用紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が用紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面印字された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0023】
画像形成部Pdの下流側において中間転写ベルト8と対向する位置には画像濃度センサー25が配置されている。画像濃度センサー25としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上に形成された各パッチ画像(基準画像)に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、およびベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0024】
トナーおよびベルト表面からの反射光には正反射光と乱反射光とが含まれる。この正反射光および乱反射光は、偏光分離プリズムで分離された後、それぞれ別個の受光素子に入射する。各受光素子は、受光した正反射光と乱反射光を光電変換して制御部90(
図8参照)に出力信号を出力する。
【0025】
そして、正反射光と乱反射光の出力信号の特性変化からパッチ画像の画像濃度(トナー量)、画像位置を検知し、予め定められた基準濃度、基準位置と比較して現像電圧の特性値、露光装置5の露光開始位置およびタイミング等を調整することにより、各色について濃度補正および色ずれ補正(キャリブレーション)が行われる。
【0026】
図3は、画像形成装置100に搭載される中間転写ユニット30の側面断面図である。
図3に示すように、中間転写ユニット30は、下流側の駆動ローラー10と上流側のテンションローラー11とに掛け渡された中間転写ベルト8と、中間転写ベルト8を介して感光体ドラム1a~1dに接触する一次転写ローラー6a~6dと、押圧切換ローラー34と、を有する。
【0027】
テンションローラー11に対向する位置には、中間転写ベルト8の表面に残存するトナーを除去するためのベルトクリーニングユニット19が配置されている。駆動ローラー10には中間転写ベルト8を介して二次転写ユニット9が配設されており、二次転写ニップ部Nを形成している。二次転写ユニット9の詳細な構成については後述する。
【0028】
中間転写ユニット30は、一次転写ローラー6a~6dおよび押圧切換ローラー34の回転軸の両端部を回転可能、且つ中間転写ベルト8の進行方向に対し垂直(
図3の上下方向)に移動可能に支持する一対の支持部材(図示せず)と、一次転写ローラー6a~6dおよび押圧切換ローラー34を上下方向に往復移動させる駆動手段(図示せず)と、を有するローラー接離機構35を備えている。ローラー接離機構35は、4本の一次転写ローラー6a~6dを、それぞれ中間転写ベルト8を介して感光体ドラム1a~1d(
図1参照)に圧接するカラーモードと、一次転写ローラー6dのみを中間転写ベルト8を介して感光体ドラム1dに圧接するモノクロモードと、4本の一次転写ローラー6a~6dの全てを感光体ドラム1a~1dから離間させる退避モードとに切り換え可能である。
【0029】
図4は、画像形成装置100に搭載される本発明の一実施形態に係る二次転写ユニット9の斜視図である。
図5は、本実施形態の二次転写ユニット9の一端側の構成を示す拡大斜視図である。
図6は、二次転写ユニット9のローラーホルダー47周辺を軸方向内側から見た斜視図である。
図7は、本実施形態の二次転写ユニット9の駆動機構を示す斜視図である。なお、
図4、
図7ではユニットフレーム9aの記載を省略しており、
図5ではユニットフレーム9aを透過状態で示している。また、
図5、
図6では切換カム50および固定カム52の記載を省略しており、
図4、
図7では固定カム52の記載を省略している。
【0030】
図4~
図7に示すように、二次転写ユニット9は、二次転写ローラーとしての第1ローラー40および第2ローラー41と、第1軸受部材43と、第2軸受部材45と、ローラーホルダー47と、切換カム50と、固定カム52(
図9、
図10参照)と、ローラー切換モーター55と、を備える。
【0031】
第1ローラー40および第2ローラー41は、それぞれ芯金40a、41aの外周面に導電性を有する弾性層40b、41bが積層された弾性ローラーである。弾性層40b、41bの材質としては、例えばECO(エピクロルヒドリンゴム)等のイオン導電性ゴムが用いられる。
【0032】
第1ローラー40は、弾性層40bの軸方向長さが311mmであり、A3サイズの用紙に対応している。第2ローラー41は、弾性層41bの軸方向長さが第1ローラー40の弾性層40bよりも大きい。より詳細には、弾性層41bの軸方向長さは325mmであり、13インチサイズの用紙に対応している。
【0033】
第1軸受部材43は、第1ローラー40の軸方向の両端部に一対配置されており、芯金40aを回転可能に支持する。第2軸受部材45は、第2ローラー41の軸方向の両端部に一対配置されており、芯金41aを回転可能に支持する。
【0034】
ローラーホルダー47は、第1ローラー40、第2ローラー41の軸方向の両端部に一対配置されている。ローラーホルダー47は側面視略V字状であり、第1軸受保持部47a、第2軸受保持部47b、挿通孔47cを有する。第1軸受保持部47a、第2軸受保持部47bは、それぞれ第1軸受部材43、第2軸受部材45を摺動可能に保持する。挿通孔47cはV字状の頂点部分に形成され、シャフト51が回転可能に挿通される。ローラーホルダー47は合成樹脂等の絶縁材料で形成されている。
【0035】
図5に示すように、第1軸受保持部47aと第1軸受部材43の間には第1コイルバネ48が配置されている。第2軸受保持部47bと第2軸受部材45の間には第2コイルバネ49が配置されている。第1ローラー40は第1コイルバネ48によって、第2ローラー41は第2コイルバネ49によって、それぞれシャフト51から離間する方向(駆動ローラー10に圧接される方向)に付勢される。
【0036】
図4に示すように、シャフト51には第1遮光板51aが付設されており、第1位置検知センサーS1(
図9参照)の検知部を遮光することでシャフト51の回転角度を検知可能となっている。また、
図6に示すように、ローラーホルダー47の回転方向の一側面には第2遮光板47dが形成されている。第2遮光板47dは、ユニットフレーム9aに配置された第2位置検知センサーS2の検知部を遮光可能な位置に形成されている。
【0037】
ローラーホルダー47(シャフト51)の回転角度に応じて第1遮光板51aおよび第2遮光板47dが第1位置検知センサーS1および第2位置検知センサーS2をオンまたはオフすることで、ローラーホルダー47に支持される第1ローラー40および第2ローラー41の位置を検知することができる。第1ローラー40、第2ローラー41の位置検知制御については後述する。
【0038】
切換カム50は、第1ローラー40、第2ローラー41の軸方向の両端部においてローラーホルダー47の内側に一対配置されている。切換カム50は側面視で一部が切り欠かれた扇形状であり、扇形の要部分(2本の半径が交差する頂点部分)がシャフト51に固定されている。
【0039】
図7に示すように、シャフト51にはギア53、54を介してローラー切換モーター55が連結されている。切換カム50をシャフト51と共に回転させることで第1ローラー40、第2ローラー41の配置を切り換える。第1ローラー40、第2ローラー41の切り換え制御については後述する。
【0040】
図8は、本実施形態の二次転写ユニット9が搭載された画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0041】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部80からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、画像形成装置100の本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0042】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(またはROM92)には、キャリブレーションに用いる濃度補正テーブルや、後述するローラー切り換え制御に用いる第1位置検知センサーS1および第2位置検知センサーS2のオン/オフ状態と第1ローラー40、第2ローラー41の回転角度との関係等も記憶される。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。
【0043】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa~Pd、露光装置5、一次転写ローラー6a~6d、二次転写ユニット9、ローラー接離機構35、メインモーター60、ベルト駆動モーター61、画像入力部70、電圧制御回路71、操作部80等が挙げられる。
【0044】
画像入力部70は、画像形成装置100にパソコン等の上位機器から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部70より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0045】
電圧制御回路71は、帯電電圧電源72、現像電圧電源73、転写電圧電源74と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させる。これらの各電源は、電圧制御回路71からの制御信号によって、帯電電圧電源72は帯電装置2a~2d内の帯電ローラー20に、現像電圧電源73は現像装置3a~3d内の現像ローラー21に、転写電圧電源74は一次転写ローラー6a~6dおよび二次転写ユニット9内の第1ローラー40および第2ローラー41に、それぞれ所定の電圧を印加する。
【0046】
操作部80には、液晶表示部81、各種の状態を示すLED82が設けられており、ユーザーは操作部80のストップ/クリアボタンを操作して画像形成を中止し、リセットボタンを操作して画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする。液晶表示部81は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
【0047】
図9は、本実施形態の二次転写ユニット9の切換カム50を含む側面断面図であって、第1ローラー40が二次転写ニップ部Nを形成する位置に配置された状態を軸方向内側から見た図である。
図10は、
図9の状態から切換カム50を取り外して固定カム52を露出させた状態を示す図である。
【0048】
図9に示すように、切換カム50は平面視扇形状である。切換カム50には円弧状の第1ガイド穴63が形成されている。第1ガイド穴63の径方向外側の周縁部の中央には凹部64が形成されている。第1軸受部材43、第2軸受部材45にはそれぞれ第1ガイド穴63に係合する第1係合部43a、第2係合部45aが形成されている。
【0049】
凹部64は、最も径方向外側まで凹んだ底部64aと、底部64aから径方向内側に向かって傾斜する傾斜部64bとを有する。切換カム50の回転によって、第1軸受部材43の第1係合部43aおよび第2軸受部材45の第2係合部45aが、凹部64の底部64aまたは傾斜部64bに係合するか、若しくは凹部64から離間することで、後述するように中間転写ベルト8に対する第1ローラー40、第2ローラー41の接触状態を切り換え可能となっている。
【0050】
図10に示すように、固定カム52は、ローラーホルダー47と切換カム50の間に配置されている。固定カム52は、二次転写ユニット9のユニットフレーム9aにビス固定されている。
【0051】
固定カム52には、貫通穴52aと第2ガイド穴65が形成されている。貫通穴52aには、シャフト51が回転可能に挿通される。第2ガイド穴65は、切換カム50の第1ガイド穴64と重なる位置に形成されており、第1係合部43a、第2係合部45aが係合する。第2ガイド穴65の径方向外側の周縁部の中央には径方向外側に凹んだ溝状の位置決め凹部66が形成されている。位置決め凹部66の周方向の寸法(溝幅)は、第1係合部43a、第2係合部45aの外径よりも僅かに大きい。
【0052】
図9の状態では、第1軸受部材43の第1係合部43aが凹部64の底部64aに係合している。これにより、第1ローラー40が第1コイルバネ48(
図5参照)の付勢力によって中間転写ベルト8を介して駆動ローラー10に圧接されて二次転写ニップ部Nを形成し、第1ローラー40は駆動ローラー10に従動して回転する。第1ローラー40には、転写電圧電源74(
図8参照)によってトナーと逆極性(ここでは負極性)の転写電圧が印加される。具体的には、第1ローラー40が
図9の位置に配置されたとき、転写電圧電源74に電気的に接続された第1軸受部材43を介して転写電圧が印加される。
【0053】
また、シャフト51の第1遮光板51a(
図4参照)は第1位置検知センサーS1の検知部を遮光(オン)し、ローラーホルダー47の第1遮光板47d(
図6参照)は第2位置検知センサーS2の検知部を遮光(オン)している。この状態(S1/S2オン)を第1ローラー40の基準位置(ホームポジション)とする。この基準位置からの切換カム50の回転時間に基づいて切換カム50の回転角度を規制し、第1ローラー40の配置および離間状態を制御する。
【0054】
また、第1係合部43aは、固定カム52の位置決め凹部66に係合している。これにより、第1ローラー40が基準位置に精度よく位置決めされる。
【0055】
次に、必要に応じて
図4~
図10を参照しながら、
図11~
図18を用いて本実施形態の二次転写ユニット9における第1ローラー40、第2ローラー41の切り換え制御および位置検知制御について説明する。なお、
図11~
図18においては固定カム52の記載を省略している。
【0056】
図11は、
図9の状態から切換カム50を時計回り方向に所定角度(ここでは
図9の基準位置から10.6°)だけ回転させた状態を示す図である。シャフト51を時計回り方向に回転させると、シャフト51と共に切換カム50も回転する。一方、ローラーホルダー47は規制リブ9b(
図5参照)によって時計回り方向の回転が規制されている。その結果、第1軸受部材43の第1係合部43aが凹部64の底部64aから傾斜部64bに移動し、第1軸受部材43は第1コイルバネ48(
図5参照)の付勢力に抗して位置決め凹部66内をシャフト51に近づく方向に移動する。これにより、第1ローラー40は中間転写ベルト8に対して僅かに(2mm)離間した状態(第1離間状態)となる。
【0057】
第1ローラー40を駆動ローラー10に長時間継続して圧接させておくと、第1ローラー40が軸方向に撓み変形するおそれがある。そのため、ジョブ終了後に第1ローラー40を中間転写ベルト8(駆動ローラー10)から離間させておく必要がある。このとき、
図11に示した第1離間状態とする。
【0058】
また、シャフト51の第1遮光板51aは第1位置検知センサーS1の検知部から退避(オフ)し、ローラーホルダー47の第2遮光板47dは第2位置検知センサーS2の検知部を継続して遮光(オン)している。即ち、
図9の検知状態(S1/S2オン)から
図11の検知状態(S1オフ/S2オン)へ移行したとき、第1ローラー40の基準位置から第1離間状態への移動を検知することができる。
【0059】
図12は、
図11の状態から切換カム50をさらに時計回り方向に所定角度(ここでは
図9の基準位置から46.4°)だけ回転させた状態を示す図である。シャフト51を時計回り方向にさらに回転させると、シャフト51と共に切換カム50もさらに時計回り方向に回転する。一方、ローラーホルダー47は規制リブ9b(
図5参照)によって時計回り方向の回転が規制されている。その結果、第1軸受部材43の第1係合部43aが凹部64から移動し、第1軸受部材43は第1コイルバネ48(
図5参照)の付勢力に抗してさらにシャフト51に近づく方向に移動し、位置決め凹部66との係合が解除される。これにより、第1ローラー40は中間転写ベルト8に対して完全に(6.5mm)離間した状態(第2離間状態)となる。この第2離間状態は、第1ローラー40から第2ローラー41への切り換えを行う場合にのみ用いる。
【0060】
なお、
図12における第1位置検知センサーS1および第2位置検知センサーS2の検知状態は、
図11に示した第1離間状態と同様(S1オフ/S2オン)である。そこで、画像形成装置100の起動時にS1オフ/S2オン状態であるときは、第1離間状態と第2離間状態とを区別するために、ローラーホルダー47を画像形成装置100本体側(反時計回り方向)に一定時間回転させる。そして、S1/S2オン状態になれば第1離間状態と判定し、S1/S2オン状態にならなければ第2離間状態と判定する。
【0061】
また、第1ローラー40を第2離間状態から基準位置に戻す場合は、ローラーホルダー47および切換カム50を一旦反時計回り方向に回転させて第2ローラー41の基準位置(
図13参照)に切り換えた後、第1ローラー40の基準位置(
図9参照)に戻す必要がある。
【0062】
次に、二次転写ニップ部Nを形成するローラーを第1ローラー40から第2ローラー41へ切り換える手順について説明する。
図12に示した第2離間状態からシャフト51を反時計回り方向に回転させると、シャフト51と共に切換カム50も反時計回り方向に回転する。また、第1軸受部材43は第1コイルバネ48(
図5参照)の付勢力によって、第2軸受部材45は第2コイルバネ49(
図5参照)の付勢力によって、それぞれシャフト51から離間する方向に付勢されている。そのため、第1係合部43aおよび第2係合部45aは切換カム50の第1ガイド穴63の径方向外側の周縁部に押圧されている。これにより、ローラーホルダー47も切換カム50と共に反時計回り方向に回転する。
【0063】
そして、ローラーホルダー47が規制リブ9c(
図5参照)に当接するまで回転すると、
図13に示すように第2ローラー41が駆動ローラー10に対向する位置に配置される。
図13の状態では、シャフト51の第1遮光板51aは第1位置検知センサーS1の検知部から退避(オフ)しており、ローラーホルダー47の第2遮光板47dは第2位置検知センサーS2の検知部から退避(オフ)している。即ち、
図12の検知状態(S1オフ/S2オン)から
図13の検知状態(S1/S2オフ)へ移行したとき、第2ローラー41の駆動ローラー10に対向する位置への移動を検知することができる。
【0064】
図14は、
図13の状態から切換カム50を反時計回り方向に所定角度だけ回転させた状態を示す図である。シャフト51を反時計回り方向に回転させると、シャフト51と共に切換カム50も回転する。一方、ローラーホルダー47は規制リブ9c(
図5参照)によって反時計回り方向の回転が規制されている。その結果、第2軸受部材45の第2係合部45aが凹部64の底部64aに移動し、第2軸受部材45は第2コイルバネ49(
図5参照)の付勢力によってシャフト51から離間する方向に移動する。
【0065】
これにより、第2ローラー41は中間転写ベルト8を介して駆動ローラー10に圧接されて二次転写ニップ部Nを形成し、第2ローラー41は駆動ローラー10に従動して回転する。第2ローラー41には、転写電圧電源74(
図8参照)によってトナーと逆極性(ここでは負極性)の転写電圧が印加される。具体的には、第2ローラー41が
図14の位置に配置されたとき、転写電圧電源74に電気的に接続された第2軸受部材45を介して転写電圧が印加される。
【0066】
また、シャフト51の第1遮光板51aは第1位置検知センサーS1の検知部を遮光(オン)し、ローラーホルダー47の第2遮光板47dは第2位置検知センサーS2の検知部から退避(オフ)している。この状態(S1オン/S2オフ)を第2ローラー41の基準位置(ホームポジション)とする。即ち、
図13の検知状態(S1オフ/S2オン)から
図14の検知状態(S1オン/S2オフ)へ移行したとき、第2ローラー41の基準位置への移動を検知することができる。この基準位置からの切換カム50の回転時間に基づいて切換カム50の回転角度を規制し、第2ローラー41の配置および離間状態を制御する。
【0067】
図15は、
図14の状態から切換カム50を反時計回り方向に所定角度(ここでは
図14の基準位置から10.6°)だけ回転させた状態を示す図である。シャフト51を反時計回り方向に回転させると、シャフト51と共に切換カム50も反時計回り方向に回転する。一方、ローラーホルダー47は規制リブ9c(
図5参照)によって反時計回り方向の回転が規制されている。その結果、第2軸受部材45の第2係合部45aが凹部64の底部64aから傾斜部64bに移動し、第2軸受部材45は第2コイルバネ49(
図5参照)の付勢力に抗してシャフト51に近づく方向に移動する。これにより、第2ローラー41は中間転写ベルト8に対して僅かに(2mm)離間した状態(第1離間状態)となる。
【0068】
第2ローラー41を駆動ローラー10に長時間継続して圧接させておくと、第2ローラー41が軸方向に撓み変形するおそれがある。そのため、ジョブ終了後に第2ローラー41を中間転写ベルト8(駆動ローラー10)から離間させておく必要がある。このとき、
図15に示した第1離間状態とする。また、第2ローラー41の使用中にキャリブレーションを実行する場合は、第2ローラー41を第1離間状態として中間転写ベルト8上に形成された基準画像が第2ローラー41に付着しないようにする。なお、第2ローラー41を第1離間状態としてキャリブレーションを実行する場合は中間転写ベルト8の幅方向中央部に基準画像を形成することもできる。
【0069】
また、シャフト51の第1遮光板51aは第1位置検知センサーS1の検知部から退避(オフ)し、ローラーホルダー47の第2遮光板47dは第2位置検知センサーS2の検知部から継続して退避(オフ)している。即ち、
図14の検知状態(S1オン/S2オフ)から
図15の検知状態(S1/S2オフ)へ移行したとき、第2ローラー41の基準位置から第1離間状態への移動を検知することができる。
【0070】
図16は、
図15の状態から切換カム50をさらに反時計回り方向に所定角度(ここでは
図14の基準位置から46.4°)だけ回転させた状態を示す図である。シャフト51を反時計回り方向にさらに回転させると、シャフト51と共に切換カム50もさらに反時計回り方向に回転する。一方、ローラーホルダー47は規制リブ9c(
図5参照)によって反時計回り方向の回転が規制されている。その結果、第2軸受部材45の第2係合部45aが凹部64から移動し、第2軸受部材45は第2コイルバネ49(
図5参照)の付勢力に抗してさらにシャフト51に近づく方向に移動する。これにより、第2ローラー41は中間転写ベルト8に対して完全に(6.5mm)離間した状態(第2離間状態)となる。この第2離間状態は、第2ローラー41から第1ローラー40への切り換えを行う場合にのみ用いる。
【0071】
なお、
図16における第1位置検知センサーS1および第2位置検知センサーS2の検知状態は、
図15に示した第1離間状態と同様(S1/S2オフ)である。そこで、画像形成装置100の起動時にS1/S2オフ状態であるときは、第1離間状態と第2離間状態とを区別するために、ローラーホルダー47を両面搬送路18側(時計回り方向)に一定時間回転させる。そして、S1オン/S2オフ状態になれば第1離間状態と判定し、S1オン/S2オフ状態にならなければ第2離間状態と判定する。
【0072】
また、第2ローラー41を第2離間状態から基準位置に戻す場合は、ローラーホルダー47および切換カム50を一旦時計回り方向に回転させて第1ローラー40の基準位置(
図9参照)に切り換えた後、第2ローラー41の基準位置(
図14参照)に戻す必要がある。
【0073】
二次転写ニップ部Nを形成するローラーを第2ローラー41から第1ローラー40へ切り換える場合は、
図16に示した第2離間状態からシャフト51を時計回り方向に所定角度だけ回転させる。これにより、切換カム50およびローラーホルダー47も時計回り方向に所定角度だけ回転し、ローラーホルダー47が規制リブ9bに当接するまで回転したとき、第1ローラー40が駆動ローラー10に対向した
図17の状態となる。
図17の状態から、さらに切換カム50を時計回り方向に所定角度だけ回転させると、第1ローラー40が基準位置に配置された
図9の状態となる。以下、上記の手順を繰り返すことで第1ローラー40と第2ローラー41の切り換えを行う。
【0074】
本実施形態の構成によれば、ローラーホルダー47と切換カム50とを用いた簡易な構成で、第1ローラー40および第2ローラー41のいずれか一方を駆動ローラー10に対向配置するとともに、駆動ローラー10に対向配置された第1ローラー40または第2ローラー41を、二次転写ニップ部Nを形成する基準位置と中間転写ベルト8から離間した離間位置とに選択配置することができる。
【0075】
例えば、用紙Sが所定サイズ(ここではA3サイズ)以下である場合に軸方向長さの小さい弾性層40aを有する第1ローラー40を基準位置に配置する。これにより、画像形成中に中間転写ベルト8の幅方向の画像領域外(第1ローラー40の軸方向外側)に基準画像を形成してキャリブレーションを行う場合に中間転写ベルト8に形成された基準画像が第1ローラー40に接触しない。従って、画像形成中にキャリブレーションを実行可能となり、画像処理効率(生産性)を低下させることなく画像品質を向上させることができる。
【0076】
また、第1ローラー40に付着したトナーが用紙Sに付着することによる用紙Sの裏汚れを効果的に抑制することができる。さらに、第1ローラー40に付着したトナーを中間転写ベルト8上に戻すクリーニング動作を行う必要がないため、印字待ち時間も短縮することができる。
【0077】
一方、用紙Sが所定サイズよりも大きい(ここでは13インチサイズ)場合は、軸方向長さの大きい弾性層41aを有する第2ローラー41を基準位置に配置する。これにより、大サイズの用紙Sの幅方向両端部へのトナー像の二次転写を確実に行うことができる。
【0078】
また本実施形態では、切換カム50に加えて、第2ガイド穴65と位置決め凹部66が形成された固定カム52を配置している。これにより、第1ローラー40が駆動ローラー10との対向位置に配置されたとき、第1軸受部材43の第1係合部43aが位置決め凹部66に係合して位置決めされる。また、第2ローラー41が駆動ローラー10との対向位置に配置されたとき、第2軸受部材45の第2係合部45aが位置決め凹部66に係合して位置決めされる。そして、第1ローラー40および第2ローラー41を基準位置、第1離間状態、および第2離間状態の間で移動させる際に、第1係合部43a、第2係合部45aが位置決め凹部66に沿って移動する。
【0079】
従って、第1ローラー40および第2ローラー41が切換カム50の回転によって周方向に位置ずれするおそれがなく、第1ローラー40および第2ローラー41の押圧状態、離間状態を切り換える際の位置精度を高めることができる。また、第1ローラー40および第2ローラー41の押圧状態、離間状態の切り換えを円滑に行うことができ、切り換え時における衝撃や振動、異音等の発生を抑制することができる。
【0080】
また本実施形態では、第1ローラー40および第2ローラー41の離間位置を、中間転写ベルト8からの離間距離の小さい第1離間状態と、離間距離の大きい第2離間状態とに切り換え可能である。これにより、第1ローラー40および第2ローラー41の変形を防ぐためにジョブの終了時に駆動ローラー10から離間させておく場合、第2ローラー41の使用中にキャリブレーションを実行する場合は第1ローラー40および第2ローラー41を第1離間状態とすることで、二次転写ニップ部Nを形成する基準位置に配置するまでの時間を短縮することができる。従って、第1ローラー40および第2ローラー41の移動に伴う画像処理効率(生産性)の低下を最小限に抑えることができる。
【0081】
さらに本実施形態では、1つのローラー切換モーター55を用いてローラーホルダー47と切換カム50を駆動させることができる。これにより、ローラーホルダー47と切換カム50とを別々のモーターを用いて駆動させる場合に比べて駆動機構および駆動制御を簡素化することができ、画像形成装置100の低コスト化、コンパクト化に寄与する。
【0082】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、二次転写ユニット9を構成する第1ローラー40、第2ローラー41、ローラーホルダー47、切換カム50、固定カム52等の形状、寸法等は一例であり、本発明の効果を阻害しない範囲で任意に変更可能である。
【0083】
また、上記実施形態では第1位置検知センサーS1および第2位置検知センサーS2を用いて切換カム50の回転角度を規制し、第1ローラー40および第2ローラー41の配置および離間状態を検知しているが、例えば
図18に示すように、ユニットフレーム9aに第2位置検知センサーS2に加えて第3位置検知センサーS3を設け、ローラーホルダー47に第3遮光板47eを設けてもよい。この構成によれば、ローラーホルダー47の回転に伴い第3遮光板47eが第3位置検知センサーS3の検知部を遮光(オン)することで、第2ローラー41の基準位置を容易に検知することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像を用紙Sに二次転写する二次転写ユニット9を備えた中間転写式の画像形成装置100を例示したが、感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙に直接転写する直接転写式の画像形成装置に搭載される転写ユニットにおいても同様に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写ユニットを備えた画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、像担持体に選択的に圧接される2本の転写ローラーの切り換え時におけるローラーの位置精度や切り換え動作の円滑性を向上可能な転写ユニットおよびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0086】
Pa~Pd 画像形成部
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
6a~6d 一次転写ローラー
8 中間転写ベルト(像担持体)
9 二次転写ユニット(転写ユニット)
9a ユニットフレーム
25 画像濃度センサー
30 中間転写ユニット
40 第1ローラー(転写ローラー)
41 第2ローラー(転写ローラー)
43 第1軸受部材
43a 第1係合部
45 第2軸受部材
45a 第2係合部
47 ローラーホルダー
48 第1コイルバネ
49 第2コイルバネ
50 切換カム
51 シャフト(駆動機構)
52 固定カム
55 ローラー切換モーター(駆動機構)
63 第1ガイド穴
64 凹部
64a 底部
64b 傾斜部
65 第2ガイド穴
66 位置決め凹部
74 転写電圧電源
90 制御部
100 画像形成装置
N 二次転写ニップ部
S 用紙(記録媒体)
S1 第1位置検知センサー
S2 第2位置検知センサー
S3 第3位置検知センサー