(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164678
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】栽培装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/00 20180101AFI20241120BHJP
A01G 31/04 20060101ALI20241120BHJP
B65G 59/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A01G9/00 C
A01G31/04 A
B65G59/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080339
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】松永 浩司
(72)【発明者】
【氏名】新木 輝亮
(72)【発明者】
【氏名】松野 勤
(72)【発明者】
【氏名】脇田 優希
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314PD07
2B327ND02
2B327TA04
2B327TA07
2B327TC07
2B327TC08
(57)【要約】
【課題】植物の商品性と生産性とについて両立を図ることができる栽培装置を提供する。
【解決手段】栽培装置2は、植物を保持可能な筒状部201を有する保持具20と、複数の搬送路と、セパレータ22とを備える。複数の搬送路のそれぞれには、複数の保持具20が搬送方向に移動可能に配置されている。セパレータ22は、搬送方向に直交する方向に並んで隣り合う保持具20の保持部と保持具20の保持部との間を分けるように設けられて搬送方向に所定の長さを有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20)と、
それぞれ、複数の前記保持具が搬送方向に移動可能に配置されている複数の搬送路(110)と、
前記搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う前記保持具の保持部と前記保持具の前記保持部との間を分けるように前記搬送方向に所定の長さを有して設けられているセパレータ(22,122,222,322)と、
を備える栽培装置。
【請求項2】
前記保持部に株が定植された定植状態から収穫可能な収穫状態までの期間を、第1段階(G1)、第2段階(G2)および第3段階(G3)に三等分した場合、前記セパレータの先端位置は、前記第1段階における前記植物の上端位置と同等の高さに設定されている請求項1に記載の栽培装置。
【請求項3】
前記保持部に株が定植された定植状態から収穫可能な収穫状態までの期間を、第1段階(G1)、第2段階(G2)および第3段階(G3)に三等分した場合、前記セパレータの先端位置は、前記第1段階における前記植物の上端位置よりも高い位置に設定されている請求項1に記載の栽培装置。
【請求項4】
前記セパレータは、前記搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う前記保持具の保持部と前記保持具の前記保持部との間において、前記搬送路の搬送方向長さの全体にわたって設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項5】
前記セパレータは、前記搬送路のうち前記植物が収穫可能な後半レーン位置において設けられておらず、前記後半レーン位置を除くレーン位置において、前記搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う前記保持具の保持部と前記保持具の前記保持部との間に設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項6】
前記セパレータには、厚さ方向に貫通する通気用開口部が形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項7】
前記通気用開口部は、第1位置に設けられた第1開口部(22a)と、前記第1位置よりも前記植物が収穫可能な状態に近く、前記収穫可能な状態である位置を含む第2位置に設けられた第2開口部(22b)とを含み、
前記第2開口部は、前記第1開口部よりも大きい開口面積を有している請求項6に記載の栽培装置。
【請求項8】
ロボット装置(33)によって駆動されて開閉し、前記保持部を把持する一対の把持部(330)を備え、
前記保持部の上端部よりも低い位置において前記セパレータに形成された挿通用開口部(22c)を備え、
前記一対の把持部は、前記セパレータの外側から前記挿通用開口部に挿通されて閉動作することにより前記保持部を把持する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項9】
前記保持具の上方に設置されて、前記搬送方向に対して直交する方向に延びる直管状の照明装置(40)を複数個備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項10】
前記保持具の上方に設置されて、前記植物に向けて投光する照明装置(4)を備え、
前記セパレータは、透明である材質によって形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項11】
前記保持具の上方に設置されて、前記植物に向けて投光する照明装置(4)を備え、
前記セパレータは、白色である材質によって形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、植物の株を保持した保持具を生長に応じて搬送路上で移動させて植物を収穫する栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、植物の株を保持した保持具を生長に応じて各搬送路上で移動させ、生長した植物を搬送路の端部で収穫する栽培装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/042891号(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
横方向に並ぶ複数の搬送路を備える栽培装置の場合、保持具の搬送に伴って成長する植物は葉などが横方向に展開するため、隣り合う搬送路の植物の葉と葉とが絡み合う。このため、葉の傷みや欠損が生じて植物の商品性が低下することがある。また、隣り合う搬送路の植物の葉と葉との絡み合いを防止するために、保持具のサイズを大きくした場合、単位面積当たりの生産性が低下することになる。
【0005】
この明細書における開示の目的は、植物の商品性と生産性とについて両立を図ることができる栽培装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された栽培装置の一つは、栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20)と、それぞれ、複数の保持具が搬送方向に移動可能に配置されている複数の搬送路(110)と、搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う保持具の保持部と保持具の保持部との間を分けるように搬送方向に所定の長さを有して設けられているセパレータ(22,122,222,322)と、を備える。
【0008】
この栽培装置によれば、搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う植物の間に、セパレータが介在するため、葉などが絡み合うことを抑制できる。これにより、葉などが傷んだり欠損したりすることを抑えるので、植物の商品性が低下することを抑制できる。このようにセパレータによって商品性を確保できるので、葉などが絡み合わないようにスペースを確保するために、隣り合う保持部と保持部の間隔を大きく広げる必要がない。このため、商品性を確保しつつ保持具の大きさを抑えることが可能になり、単位面積当たりの生産性を向上できる。したがって、この栽培装置は、植物の商品性と生産性とについて両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の栽培装置が適用される可搬式ラックを示す図である。
【
図7】照明装置を備えた栽培装置の一例を示す平面図である。
【
図8】第1実施形態の栽培装置において、保持具の搬送工程の一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態の栽培装置において、保持具の搬送工程の一例を示す図である。
【
図10】第3実施形態の栽培装置を示す側面図である。
【
図11】第4実施形態の栽培装置を示す側面図である。
【
図12】第4実施形態の栽培装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0011】
第1実施形態
栽培装置の一例を開示する第1実施形態について
図1~
図7を参照しながら説明する。以下においては互いに直交の関係にある3方向を、X方向、Y方向、Z方向と示す。この明細書ではX方向とY方向とによって規定される平面が水平面に沿っている。Z方向が鉛直方向に沿っている。
【0012】
明細書に開示する栽培装置は、屋内にて水耕栽培によって苗状態から収穫可能な状態にまで成長した植物を収穫するために、保持具を搬送路上で移動させる装置である。栽培装置は、植物の株を定植した保持具を搬送路に搬入し、収穫可能状態の植物を保持する保持具を搬送路から搬出する装置である。搬送路には、複数の保持具が搬送方向に一列に並んで配置されている。保持具は、搬送路上に搬送方向に移動可能に支持されている。搬送路は、例えば
図1に示すような可搬式ラック1に設置されている。可搬式ラック1は、底部に設けられた車輪により搬送可能に構成されている。
【0013】
可搬式ラック1は、上下方向に間隔をあけて設置された複数の棚11を備えている。各棚11には、それぞれ植物3Pを保持する複数の保持具20が設けられている。可搬式ラック1は、保持具20を搬送可能な複数の搬送路110を備えている。搬送路110は、例えば、互いに平行な一対のレール部を含んで構成されている。このレール部は、円形状または四角形状の断面形状を有している。各棚11は、一対のレール部を備えている。一対のレール部には、レール部が延びる搬送方向に複数の保持具20が移動可能に設けられている。一対のレール部には、保持具20とスペーサ部材30とが搬送方向に移動可能に設けられている。一対のレール部は、図面ではX方向に延びているが、Y方向に延びるように設置されている構成でもよい。
【0014】
保持具20やスペーサ部材30は、搬送路110から搬出可能であり、搬送路110に対して搬入可能な部材である。スペーサ部材30は、保持具20とは異なる構成を有する部材であってもよい。スペーサ部材30には、植物を生育しない、または植物を保持していない保持具20を用いることができる。図面におけるスペーサ部材30は、植物3Pが保持されていない保持具20に置き換えることもできる。可搬式ラック1は、搬出入方向について一方部が他方部よりも低く位置するように、傾斜した一対のレール部を備える構成でもよい。この場合は、例えば搬出側が搬入側よりも低い位置になるように構成することが好ましい。
【0015】
各棚11は、X方向およびY方向に並ぶ複数の植物3Pを備えている。収穫可能な状態に成長した植物3Pは、植物3Pを保持する保持具20が設けられた棚11と、上方に隣り合う棚11との間に収まるように上方に延びている。
【0016】
図3に示すように栽培装置2は、複数の搬送路110と、各搬送路110上に配置された複数の保持具20と、搬送路110に沿う方向に延びるセパレータ22とを備える。複数の搬送路110は、搬送路110が延びる方向に対して直交する方向に並んでおり、互いに平行である。複数の保持具20は、各搬送路110において搬送路110が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配されており、搬送路110に対して移動可能である。
【0017】
図3、
図4に示すように、栽培装置2は、搬送路110が並ぶ方向に間隔をあけて並んでいる複数のセパレータ22を備える。セパレータ22は、搬送路110が並ぶ方向を板厚方向とする壁部であり、所定の高さ寸法を有する板状である。セパレータ22は、栽培装置2において保持具20とは別体に設けられている。セパレータ22は、保持具20が搬送方向に移動しても移動することなく所定の位置にとどまっている。隣り合う2つのセパレータ22の間隔は、保持具20の幅寸法とほぼ同等である。隣り合う2つのセパレータ22の間隔は、保持具20の幅寸法よりも大きく設定してもよい。
【0018】
セパレータ22は、栽培装置2において、搬送路110の搬送方向長さの全体にわたって延びている。セパレータ22は、搬送路110のうち植物が収穫可能な後半レーン位置に少なくとも設けられている構成でもよい。後半レーン位置は、搬送路110における搬出部を含む位置である。搬出部は、収穫可能な植物を搬送路110上から搬出する箇所である。また、セパレータ22は、搬送路110のうち植物が収穫可能な後半レーン位置に設けられており、かつ後半レーン位置を除く位置には設けられていない構成でもよい。後半レーン位置にセパレータ22を備える構成によれば、大きく生長した植物が隣の搬送路に位置する株などに絡み合うことを抑えることに寄与する。これは、株の品質確保を図ることができ、植物の商品性の確保に貢献できる。また、この構成によれば、後半レーン位置での植物の広がりを抑えることができるので、レーンピッチを抑えることができ、単位面積当たりの生産性を向上できる。
【0019】
図2に示すように、栽培装置は、把持部330の作動、ハンド部33の作動を制御する制御部100を備えている。把持部330は、ロボット装置のハンド部33における先端部に備えられている。把持部330は、制御部100によって作動が制御される。一対の把持部330は、把持する対象物である物体を両側から挟むように掴む一対のチャック部を含んでいる。ロボット装置は、把持部330とハンド部33とユニット本体部とを備える。ハンド部33は、端部に、保持具20やスペーサ部材30を掴む把持部330を備えている。培地は、保持具20の筒状部201内に設けられて植物3Pを保持している。培地は、例えば、寒天等のゲル状培地を用いてもよいし、ウレタン、ロックウール等の固形培地を用いてもよい。ハンド部33は、把持部330によって支持された保持具20の姿勢を変化させることができる装置として機能する。
【0020】
制御部100は、ハンド部33の作動と把持部330の作動とを個別に制御することができる。制御部100は、保持具20やスペーサ部材30の搬出および搬入を行うようにハンド部33の作動を制御する構成である。ユニット本体部は、制御部100を含み、制御部100によってハンド部33を前後方向、左右方向、上下方向に移動させる。ユニット本体部は、ハンド部33を、前後方向、左右方向および上下方向の各方向に移動させるための機構部を有する。各機構部は、例えば、所定方向に伸びるビームと、ビームに従って移動するスライダと、所定方向への駆動源としてのモータ等を含んで構成されている。ユニット本体部は、制御部100によって把持部330を、閉じる方向および開く方向に動作させる。
【0021】
制御部100は、ROMおよびRAM等のメモリとCPUとを含むマイクロコンピュータとその周辺回路とを含んで構成されている。制御部100は、メモリに記憶された収穫制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。各種制御対象機器には、把持部330、ハンド部33等が含まれる。また、制御部100は、メモリに記憶された栽培制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された制御対象機器の作動を制御する構成でもよい。メモリはコンピュータやプロセッサによって読み取り可能な各種プログラムと各種情報を非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。メモリは揮発性メモリと不揮発性メモリとを有している。
【0022】
図2に示すように、制御部100の入力側には、周辺機器が接続されている。カメラ31は、周辺機器の一例であり、制御部100の出力側に接続されている機器の作動を制御するための制御用センサとして機能する。カメラ31は、保持具20で保持されている植物の生育段階を確認したり、各部材の位置や姿勢などの状態を認識したりするための撮影装置である。制御部100は、カメラ31によって撮影された植物3Pの画像に基づいてロボット装置の作動を制御して保持具20の搬出または搬入を行う。この制御によって、植物3Pを保持する保持具20が搬送路110上で移動することにより、植物に成長に応じた保持具20の搬送が行われる。
【0023】
制御部100は、ハンド部33の作動、把持部330の作動を制御して、保持具20を掴んで保持具20の搬出と搬入とを実行する搬出入制御部100Aを備える。搬出入制御部100Aは、保持具20を掴んで、搬送路110に対する保持具20の搬入や搬出を行う。搬出入制御部100Aは、保持具20の搬出動作、搬入動作によって、搬送路110上に一列に並ぶ保持具20を搬送路110に沿って移動させる搬送動作を実行する。搬出入制御部100Aは、保持具20等の搬出動作とは逆の手順で把持部330等の動作を行うことにより、保持具20等の搬入動作を行うことができる。搬出入制御部100Aは、スペーサ部材30の搬出動作や搬入動作についても、保持具20の搬出動作や搬入動作と同様の制御により、実施することができる。
【0024】
栽培装置2は、保持具20の上方に設置されて、植物3Pに向けて投光する照明装置4を備える構成でもよい。照明装置4は、複数の保持具20に保持された植物3Pに対して、均等に光を当てるように構成されている。例えば照明装置4は、複数の搬送路110に配置された複数の保持具20の上方を覆うような光源を有する構成でもよい。制御部100は、照明装置4の運転、停止、光量などを制御する処理を実行する。
【0025】
次に保持具20およびセパレータ22の構成について説明する。
図3~
図6は、第1実施形態の保持具20に係る構成や、保持具20の両側に位置するセパレータ22を示している。栽培装置2は、複数の搬送路110とセパレータ22とを備えている。各搬送路110には、複数の保持具20が搬送方向に一列に並んで配置されている。複数の保持具20は、そのうちの少なくとも一つをスペーサ部材30に置き換えることができる。つまり、搬送方向に一列に並ぶ複数の保持具20には、少なくとも一つの保持具20と、単数または複数のスペーサ部材30が含まれている。
【0026】
保持具20は、平板状である基部202と、基部202に対して直交する方向に延びる筒状部201とを備えている。筒状部201は、基部202に一体に設けられて、栽培対象である植物3Pを保持可能な保持部である。筒状部201は、基部202のほぼ中央において基部202に対して直交する方向に延びている。筒状部201に保持された植物3Pは、葉部分が筒状部201から上方(UD方向)へ延びかつ横方向へ広がっている。植物3Pの根部分は、筒状部201内から下方(LD方向)へ延びる。
【0027】
筒状部201は、内部に培地を充填可能な軸方向長さを有している。筒状部201は、上端開口部と下端開口部とを含んでいる。上端開口部と下端開口部は、筒状部201の両端部に開口部を形成しており、同等の開口面積と開口形状に形成されている。保持具20は、筒状部201の上端開口部寄りの部位に、径方向外側に突出するストッパ部を備えている。ストッパ部は、筒状部201において、ストッパ部よりも下方に位置する部分に対して径方向外側に突出している。ストッパ部は、例えば、筒状部201の上端開口部の部位に対して、径方向外側に放射状に突出するフランジ形状である。
【0028】
一対の把持部330は、一対のチャック部によって筒状部201を両側から挟んで保持具20を直接掴むように構成されている。一対の把持部330は、ストッパ部よりも下方の位置において筒状部201を掴むように制御される。ストッパ部は、筒状部201において一対の把持部330が掴んでいる部分よりも径方向外側に突出している。この構成により、把持部330の把持力が低下した場合や適切に把持できない場合には、把持部330がストッパ部に接触して保持具20の落下を抑えることに寄与する。
【0029】
図5に示すように、セパレータ22は、Y方向に隣り合う筒状部201の間に起立する壁部である。セパレータ22は、搬送方向に直交する方向に隣り合う保持具20における筒状部201と筒状部201の間を分ける壁部である。セパレータ22は、透明である材質によって形成されている構成でもよい。この構成であるセパレータ22は、光を透過する機能を有する。また、セパレータ22は、白色である材質によって形成されている構成でもよい。この構成であるセパレータ22は、光を反射しやすく、周辺に光が散乱しやすい機能を有する。
【0030】
栽培装置2は、植物3Pを、保持具20に株が定植された定植状態から、収穫可能な収穫状態まで栽培する。定植状態から収穫状態までの期間は、三等分した、第1段階G1、第2段階G2および第3段階G3に分けることとする。株を定植した保持具20を搬入部に搬入したときから、搬出部から植物を搬出して収穫するまでの日数を三等分すると、順に第1段階G1、第2段階G2、第3段階G3である。
【0031】
図5は、第2段階G2の植物3Pと第1段階G1の植物3PとがY方向に隣り合う例を示している。セパレータ22の頂部の位置は、第1段階G1における植物3Pの上端位置と同等の高さに設定されている。セパレータ22の頂部の位置は、第1段階G1における植物3Pの上端位置よりも高い位置に設定されている構成でもよい。このようなセパレータの先端位置は、傷つきやすい第1段階G1の植物3Pの全体を側方において覆うことができる。このような構成によれば、セパレータ22によって、第2段階G2の植物3Pが、第1段階G1の植物3Pが存在するエリアに突き出ることを抑制できる。つまり、第2段階G2の植物3Pと第1段階G1の植物3Pとの間に存在するセパレータ22は、第2段階G2の植物3Pの横方向への展開を妨げる。これにより、第2段階G2の植物3Pが第1段階G1の植物3Pに絡み合うことを回避できる。
【0032】
図6は、第3段階G3の植物3Pと第3段階G3の植物3Pとが、スペーサ部材30を介在させてY方向に隣り合う例を示している。
図6に示す保持具20、スペーサ部材30および第3段階G3の植物3Pは、搬送路110上における搬出部または搬出部近傍に設けられている。セパレータ22は、スペーサ部材30と隣の保持具20との境界部において上方に立ち上がる壁部である。セパレータ22の頂部の位置は第1段階G1における植物3Pの上端位置と同等の高さに設定されているため、第3段階G3の植物の生育ベクトルを上方へ向けることに寄与する。また、隣り合う植物と植物との間のスペーサ部材30は、セパレータ22を乗り越えて横方向に展開した葉と葉との距離を確保して葉同士が絡み合うことを軽減する。またスペーサ部材30の存在により、
図6におけるセパレータ22を設けないように構成してもよい。
【0033】
図7に示すように、栽培装置2は、保持具20の上方に設置された複数の照明装置40を備える構成でもよい。照明装置40は、搬送方向に対して直交する方向に延びる直管状の光源部を有する。照明装置40は、搬送方向に対して直交する方向に並ぶ複数の保持具20の直上を横断するように設置されている。複数の照明装置40は、搬送方向に所定の間隔をあけて並んでいる。制御部100は、照明装置40の運転、停止、光量などを制御する処理を実行する。照明装置40は、光を直管状の光源部から放射状に拡散する。照明装置40は、光源部からの光拡散方向とセパレータ22が延びる方向である搬送方向とが一致するため、セパレータ22の影が大きくなりにくく良好な光分布を提供できる。
【0034】
複数の照明装置40は、等間隔で保持具20の上方に設置されている。照明装置40は、保持具20の筒状部201の直上に位置するように設置されている構成でもよい。この構成によれば、植物3Pの株や葉の直上に直管状の光源部が存在するため、光合成の促進を図ることができる。
【0035】
次に栽培工程において、最初に保持具20を搬入部に搬入する例を説明する。ロボット装置は、栽培工程において、株を保持している保持具20を一対の把持部330によって把持する。ロボット装置は、一対の把持部330によって筒状部201を両側から挟んで保持具20を掴んだ状態で搬送路110の搬入部に向けて保持具20を移動させる。ロボット装置は、把持した保持具20を搬入部の直上に移動させる。
【0036】
次にロボット装置は、把持した保持具20を直下に移動させて、一対のガイド機構部が一対のレール部の外側に位置するように保持具20の位置を設定する。この状態は、ロボット装置が、把持した保持具20を搬入部に配置した状態である。このように保持具20の搬入部への配置が完了すると、ロボット装置は、筒状部201を把持する状態を解除して保持具20を搬入部に残し、把持前の所定位置に後退する。
【0037】
さらに保持具20を搬入部に搬入する場合、ロボット装置は、把持した保持具20の他端側の側壁面を、搬入部に位置する保持具20における一端側の突出部に接触させる。他端側は、一対の把持部330によって把持された保持具20において、ロボット装置とは反対側に位置する。さらにロボット装置は、把持した保持具20と搬入部に位置する保持具20とが接触している状態から、把持した保持具20を他端側に向けて搬入部の直上まで平行移動させる。これにより、搬入部に位置する保持具20は、保持具1個分、他端側に向けてスライドした位置まで移動する。搬入部の位置にあった保持具20は、一対のガイド機構部が一対のレール部の外側を摺動しながら、保持具1個分、他端側に移動する。この移動において、保持具20は一端部または他端部が上方へ浮き上がったりすることなく、保持具20を安定した挙動でスライドさせることができる。ロボット装置は、搬入部の位置にある保持具20の筒状部201を把持する状態を解除して、把持前の所定位置に後退する。
【0038】
次に栽培工程において、収穫可能な状態になった植物3Pを保持している保持具20を搬出部から搬出する例を説明する。収穫可能状態に至るまでに、一対のレール部上に配置された複数の保持具20は、隣り合う保持具20と保持具20とが接触しながら搬出部側へ移動する。搬入部から搬出部まで並ぶ保持具20のすべては、隣の保持具20に接触しながら、一端部や他端部が上方へ浮き上がったりすることなく移動できる。
【0039】
ロボット装置は、搬出部へ移動して、搬出部に位置する保持具20の筒状部201を把持部330によって両側から挟んで掴む。さらにロボット装置は、把持した保持具20を搬出部の直上へ持ち上げて移動させる。これにより、搬入部には、保持具1個分のあきスペースができる。次にロボット装置は、持ち上げた保持具20を搬出部から離れた所定の位置へ、移動させて、植物3Pを収穫する。このように保持具20の搬出が完了すると、ロボット装置は、ロボット装置は、搬出した植物3Pの茎部分をカットして、葉部分を所定の収穫場に集める。
【0040】
また、保持具20は、搬送方向の一端側と他端側との少なくとも一方において、基部202よりも上方に突出する突出部を備える構成でもよい。この場合、搬送路110上の保持具20は、突出部が設けられていない側の端部である側壁面が隣の保持具20の突出部によって押されることによって玉突き搬送される。
【0041】
次に、搬送方向に直交する方向に隣り合う2列の保持具20の搬送例について、
図8を参照して説明する。
図8は、当該隣り合う2列の搬送路110のそれぞれの上に配置された4コマの保持具20について、植物3Pの生育過程を示している。
図8における植物3Pは、G1が第1段階の状態、G2が第2段階の状態、G3が第3段階の状態をそれぞれ示している。
図8の(1)~(5)の各状態では、保持具20などが、セパレータ22よりも、紙面上側の搬送路上に4コマ、紙面下側の搬送路上に4コマ配置されている。以下、紙面上側の搬送路を第1搬送路と称し、紙面下側の搬送路を第2搬送路と称する。
【0042】
(1)定植完了の状態について説明する。第1搬送路上には左から順に、第1段階G1の株を保持する2コマの保持具20と、さらに第3段階G3の植物を保持する2コマの保持具20とが設けられている。第2搬送路上には左から順に、第2段階G2の植物を保持する2コマの保持具20と、さらに2コマのスペーサ部材30とが設けられている。定植完了の状態から、所定期間の栽培を経て(2)収穫直前の状態に移行する。
【0043】
(2)収穫直前の状態について説明する。第1搬送路上における、第1段階G1、第3段階G3の各植物は、定植完了の状態に比べて生長している。第3段階G3の植物は、収穫可能な状態にまで生長している。第2搬送路上における第2段階G2の植物は、定植完了の状態に比べて生長している。第2搬送路の左端における第2段階G2の植物は、セパレータ22によって第1搬送路側に広がることが抑制されている。このため、第1段階G1の植物は、第2段階G2の植物と絡み合わないので、損傷しにくく、生長が阻害されない。第1搬送路上における第3段階G3の植物は、搬出部においてロボット装置によって搬出され、カット後、収穫される。
【0044】
(3)収穫後の状態について説明する。第1搬送路上のコマは、(2)収穫直前の状態に対して2コマ分、順送り搬送される。第1搬送路上の右端には、第1段階G1の植物を保持する2コマの保持具20が位置する。第2搬送路上のコマの位置は、(2)収穫直前の状態と同じである。
【0045】
(4)投入と移動の状態について説明する。第1搬送路上の左端には、2コマのスペーサ部材30が投入される。第1搬送路上には左から順に、2コマのスペーサ部材30と、さらに第1段階G1の植物を保持する2コマの保持具20とが位置する。第2搬送路上のコマは、(3)収穫後の状態に対して2コマ分、右側へ順送り搬送される。さらに第2搬送路上の左端には、第1段階G1の株を保持する2コマの保持具20が投入される。これにより、第2搬送路上には左から順に、第1段階G1の株を保持する2コマの保持具20と、さらに第2段階G2の植物を保持する2コマの保持具20とが位置する。第2搬送路の右端における第2段階G2の植物は、セパレータ22によって第1搬送路側に広がることが抑制されている。したがって、第1段階G1の植物は、第2段階G2の植物と絡み合わないので、損傷しにくく、生長が阻害されない。
【0046】
(5)定植完了の状態について説明する。第1搬送路上の右端には、2コマのスペーサ部材30が投入されて、第2段階G2の植物を保持する2コマの保持具20は左側へ順送りされる。第1搬送路上には右から順に、2コマのスペーサ部材30と、さらに第2段階G2の植物を保持する2コマの保持具20とが位置する。第2搬送路上のコマの位置は、(4)投入と移動の状態と同じである。
【0047】
以上のように、搬送路毎にコマの搬送が行われるため、隣り合う搬送路間で株の相対移動が発生する。株の相対移動が発生するがゆえに、セパレータ22は、隣り合う搬送路間における株の品質確保に貢献できる。栽培装置2は、(1)~(5)の各状態において、セパレータ22によって、葉などの展開面積の拡大を抑えるので、レーンピッチの拡大を抑えることに寄与する。これにより、植物の商品性と生産性とについて両立を図ることができる。
【0048】
第1実施形態の栽培装置2は、植物を保持可能な保持部を有する保持具20と、複数の搬送路110と、セパレータ22とを備える。複数の搬送路110のそれぞれには、複数の保持具20が搬送方向に移動可能に配置されている。セパレータ22は、搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う保持具20の保持部と保持具20の保持部との間を分けるように設けられて搬送方向に所定の長さを有している。
【0049】
この栽培装置2によれば、搬送方向に対して直交方向に隣り合う植物3Pの間に、セパレータ22が介在するため、葉などが絡み合うことを抑制できる。これにより、葉などが傷んだり欠損したりすることを抑えられるので、植物3Pの商品性低下を抑制できる。このようにセパレータ22によって商品性を確保でき、葉などが絡み合わないようにスペースを確保できるため、隣り合う保持部と保持部の間隔を大きく確保しなくても適正な栽培環境を確保できる。このため、商品性を確保しつつ保持具20の大きさを抑えることに貢献できるので、単位面積当たりの生産性を向上することができる。この栽培装置2は、植物の商品性と生産性とについて両立を図ることができる。
【0050】
保持部に株が定植された定植状態から収穫可能な収穫状態までの期間を、第1段階G1、第2段階G2および第3段階G3に三等分した場合、セパレータ22の先端位置は、第1段階G1における植物の上端位置と同等の高さに設定されている。この構成によれば、第1段階G1の植物が第2段階G2や第3段階のG2と隣り合う場合にセパレータの高さを抑えつつ、第1段階G1の植物を効果的に保護できる。またこの構成によれば、第1段階G1の植物を保護しつつ、これよりも大きく生長した隣の植物の葉の展開を妨げない栽培装置を提供できる。
【0051】
セパレータ22の先端位置は、第1段階G1における植物の上端位置よりも高い位置に設定されている。この構成によれば、隣の植物の葉の展開によって第1段階G1の植物が傷つくことを確実に抑止できる栽培装置を提供できる。
【0052】
セパレータ22は、搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う保持具の保持部と保持具の保持部との間において、搬送路の搬送方向長さの全体にわたって設けられている。この構成によれば、搬送路の搬送方向全体にわたって、当該直交する方向に並んで隣り合う植物が絡み合い生長が阻害されることを抑える栽培装置を提供できる。
【0053】
栽培装置2は、保持具20の上方に設置されて、搬送方向に対して直交する方向に延びる直管状の照明装置40を複数個備える。この構成によれば、照明装置40の光源部からの光拡散方向とセパレータ22が延びる方向とが一致する栽培装置を提供できる。これにより、照明装置40の照明がもたらすセパレータ22の影が大きくなりにくいので、植物に対して良好な光分布を提供できる。
【0054】
セパレータ22は、透明である材質によって形成されている。この構成によれば、照明装置4から提供される光がセパレータ22を透過しやすいため、影によって植物の光合成が妨げられる影響が小さい栽培装置を提供できる。
【0055】
セパレータ22は、白色である材質によって形成されている。この構成によれば、照明装置4から提供される光がセパレータ22で反射しやすいため、散乱光を促進して植物に対して様々な方向から光が当たりやすい栽培装置を提供できる。
【0056】
第2実施形態
第2実施形態について
図9を参照して説明する。第2実施形態の栽培装置2は、
図9に示すセパレータ122を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0057】
図9は、第2実施形態の栽培装置2における保持具等の搬送工程の一例を示している。
図9において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
【0058】
セパレータ122は、搬送路110のうち植物が収穫可能な後半レーン位置において設けられていない。後半レーン位置には、搬送路110における搬出部が含まれる。セパレータ122は、後半レーン位置を除くレーン位置において、搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う保持具における保持部と保持部との間に設けられている。
図9に示す例では、搬送路110における後半レーン位置は2コマ分に設定されている。したがって、
図9に示す例では、セパレータ122は、搬送路110において、後半の2コマ分を除く前半2コマ分について隣り合う保持具と保持具の間に設けられている。セパレータ122は、後半レーン位置に設けられていない構成を除き、第1実施形態に記載されたセパレータ22の構成と同様の構成を有している。
【0059】
第2実施形態の栽培装置2において、搬送方向に直交する方向に隣り合う2列の保持具20の搬送例について、
図9を参照して説明する。
図9は、当該隣り合う2列の搬送路110のそれぞれの上に配置された4コマの保持具20について、植物3Pの生育過程を示している。
図9における植物3Pは、G1が第1段階の状態、G2が第2段階の状態、G3が第3段階の状態をそれぞれ示している。
【0060】
図9の(1)定植完了の状態について説明する。第1搬送路上には左から順に、第1段階G1の株を保持する2コマの保持具20と、第3段階G3の植物を保持する2コマの保持具20とが設けられている。第2搬送路上には左から順に、第2段階G2の植物を保持する2コマの保持具20と、2コマのスペーサ部材30とが設けられている。第1段階G1の株と第2段階G2の植物との間には、上方へ突出するセパレータ122が設けられている。第3段階G3の2つの植物と2コマのスペーサ部材30との間には、セパレータ122が設けられていない。定植完了の状態から所定の栽培期間が経過すると、植物が生長して、(2)収穫直前の状態に移行する。
【0061】
(2)収穫直前の状態では、第1搬送路上における、第1段階G1、第3段階G3の各植物は、定植完了の状態に比べて生長している。第3段階G3の植物は収穫可能な状態にまで生長しており、第2搬送路上における第2段階G2の植物は定植完了の状態に比べて生長している。第2搬送路の第2段階G2の植物は、セパレータ22によって第1搬送路側に広がることが抑制されている。このため、第1段階G1の植物は、第2段階G2の植物と絡み合わないため、損傷しにくく、生長が阻害されない。第1搬送路上における第3段階G3の植物は、第2搬送路側へ広がっている。しかしながら、第2搬送路側に植物が存在してないため、隣の植物の葉と絡み合うことがなく、セパレータによる葉の展開を抑制する必要がない。第3段階G3の植物は、搬出部においてロボット装置によって搬出され、カット後、収穫される。
【0062】
(3)収穫後の状態では、第1搬送路上のコマは、(2)収穫直前の状態に対して2コマ分、右側へ順送り搬送される。これにより、第1搬送路上の右端には、第1段階G1の植物を保持する2コマの保持具20が位置する。第2搬送路上のコマの位置は、(2)収穫直前の状態に対して変化しない。
【0063】
(4)移動の状態では、第1搬送路上の左端には、2コマのスペーサ部材30が投入される。この投入により、第1搬送路上には左から順に、2コマのスペーサ部材30と、さらに第1段階G1の植物を保持する2コマの保持具20とが位置する。第2搬送路上のコマの位置は、(3)収穫後の状態に対して変化しない。第2搬送路の第2段階G2の植物は、セパレータ122によって第1搬送路側に広がることが抑制されている。このため、第1段階G1の植物は第2段階G2の植物と絡み合わないため、損傷しにくく、生長が阻害されない。
【0064】
(5)定植完了の状態では、第1搬送路上のコマの位置は、(4)移動の状態と同じである。第1搬送路上には左から順に、第2段階G2の株を保持する2コマの保持具20と、さらに2コマのスペーサ部材30とが位置する。第2搬送路上のコマは、(4)移動の状態に対して2コマ分、右側へ順送り搬送される。そして第2搬送路上の左端には、第1段階G1の株を保持する2コマの保持具20が投入される。このコマ送りにより、第2搬送路上には左から順に、第1段階G1の株を保持する2コマの保持具20と、第3段階G3の植物を保持する2コマの保持具20とが位置する。
【0065】
以上のように株の相対移動が発生するがゆえに、セパレータ122は、前半のレーン位置において隣り合う搬送路間における株の品質確保に貢献できる。栽培装置2は、(1)~(5)の各状態において、セパレータ122によって、葉などの展開面積の拡大を抑えるので、レーンピッチの拡大を抑えることに寄与する。
【0066】
第2実施形態のセパレータ122は、搬送路のうち植物が収穫可能な後半レーン位置において設けられていない。また、セパレータ122の高さは、搬送路のうち後半レーン位置において、後半レーン位置を除くレーン位置においてよりも低く設定されている構成でもよい。セパレータ122は、後半レーン位置を除くレーン位置において、搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う保持具の保持部と保持具の保持部との間に設けられている。セパレータ122によれば、搬送路の後半レーン位置では葉の展開を許容して植物の生長を促進でき、例えば前半のレーン位置では葉の干渉を抑えて植物の損傷を軽減できる。例えば後半レーン位置では、植物の葉が大きく広がり、光を多く浴びることができるので、収穫可能な状態やこれに近い状態である植物の光合成を促して色艶を向上できる。
【0067】
第3実施形態
第3実施形態について
図10を参照して説明する。第3実施形態の栽培装置は、
図10に示すセパレータ222を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0068】
図10において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図10に示すように、セパレータ222は、厚さ方向に貫通する複数の通気用開口部が形成されている。複数の通気用開口部は、セパレータ22において、搬送方向に間隔をあけて並ぶように形成されている。通気用開口部は、保持具20における保持部の上端と同等の高さ位置において開口するように設けられている。通気用開口部は、保持具20における保持部の上端よりも高い位置で開口するように設けられている構成でもよい。この構成によれば、植物の生長を促せる株元に通風することが図れ、生長を促進することができる。さらに通気用開口部は、保持具20の保持部における搬送方向の位置に対応して開口し、かつ保持部の側方に位置して設けられている構成でもよい。この構成によれば、保持部が保持する植物に対して確実に風を当てることができる。
【0069】
通気用開口部は、複数の第1開口部22aと、第1開口部22aよりも大きい開口面積を有する複数の第2開口部22bとを含んでいる。第1開口部22aは、保持部に植物3Pの株が定植された定植状態に近い第1位置に設けられている。第2開口部22bは、第1位置よりも植物3Pが収穫可能な状態に近い第2位置に設けられている。
【0070】
複数の第1開口部22aは、搬送路における前半のレーン範囲に、搬送方向に間隔をあけて並んで設けられている。複数の第2開口部22bは、搬送路における後半のレーン範囲に、搬送方向に間隔をあけて並んで設けられている。複数の第1開口部22aは、保持具20の搬送方向長さとほぼ同等の間隔をあけて並んでいる。複数の第2開口部22bは、保持具20の搬送方向長さとほぼ同等の間隔をあけて並んでいる。
【0071】
第3実施形態の栽培装置が備えるセパレータ222には、厚さ方向に貫通する通気用開口部が形成されている。この構成によれば、通気用開口部を通じてセパレータ222を横断する通風を形成できる。これにより、植物の商品性と生産性との両立を図りつつ、植物の生長促進を図る栽培装置を提供できる。
【0072】
通気用開口部は、第1位置に設けられた第1開口部22aと、第1位置よりも植物が収穫可能な状態に近く収穫可能な状態である位置を含む第2位置に設けられた第2開口部22bとを含む。第2開口部22bは、第1開口部22aよりも大きい開口面積を有している。この構成によれば、収穫可能な状態である植物に対してより多くの通風を当てて、収穫可能な状態に至っていない植物に対して通風量を抑える栽培装置を提供できる。また、収穫可能な状態である大きな植物に対してより広範囲に通風を当てることができ、収穫直前の植物の栽培を促進することに寄与する。
【0073】
第4実施形態
第4実施形態について
図11~
図12を参照して説明する。第4実施形態の栽培装置は、セパレータ322を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0074】
図11、
図12において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。各図に示すように、セパレータ322は、厚さ方向に貫通する複数の挿通用開口部22cが形成されている。挿通用開口部22cは、セパレータ322における搬送方向の両端部にそれぞれ設けられている。挿通用開口部22cは、例えば、セパレータ322において、搬送路の搬入部、搬出部に対応する位置のそれぞれに設けられている。第4実施形態の栽培装置は、
図12に示すように、搬送路110の両側に位置して搬送方向に延びる板状である一対のセパレータ322を備えている。
【0075】
挿通用開口部22cは、保持具20における保持部の上端部よりも低い位置において開口している。さらに挿通用開口部22cは、保持具20の保持部における搬送方向の位置に対応して開口し、かつ保持部の側方に位置して設けられている。挿通用開口部22cは、ロボット装置が備える把持部330が、セパレータ322の厚さ方向に挿通できる大きさの開口部である。この構成によれば、一対の把持部330は、閉じる方向に動作したときに挿通用開口部22cを通過して保持具20の保持部を把持することができる。また、一対の把持部330は、保持部を保持した状態から開く方向に動作したときに挿通用開口部22cを通過してセパレータ322の外側に変位することができる。
【0076】
第4実施形態の栽培装置は、ロボット装置によって駆動されて開閉し、保持部を把持する一対の把持部330を備える。栽培装置は、保持部の上端部よりも低い位置においてセパレータ322に形成された挿通用開口部22cを備える。一対の把持部330は、セパレータ322の外側から挿通用開口部22cに挿通されて閉動作することにより保持部を把持する。この構成によれば、一対の把持部330の動作を妨げることなく、搬入部や搬出部に対応する位置にセパレータ322を設けることができる栽培装置を提供できる。
【0077】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0078】
前述の実施形態におけるセパレータは、保持具20と一体に設けられている構成でもよい。この場合、セパレータは、保持具20が搬送方向に移動すると保持具20とともに移動する。このセパレータは、筒状部201の横に位置し、隣り合う2つのセパレータ22は、筒状部201の両側で、筒状部201を挟むように設けられている。
【0079】
図9に示す例では、セパレータ122は搬送路110において後半の2コマ分の位置には設けられていないが、後半の2コマ分の位置にセパレータを設ける構成でもよい。この場合、後半の2コマ分に位置するセパレータは、前半の2コマ分に位置するセパレータよりも、先端位置が低い構成としてもよい。
【0080】
第1実施形態のセパレータ22の先端位置は、搬送路110の後半レーン位置において、搬送路110における後半レーン位置を除くレーン位置においてよりも高い位置に設定されている構成でもよい。この構成によれば、後半レーン位置において大きく成長した植物が隣の搬送路の植物に絡み合うことを確実に抑制できる点において優れた栽培装置を提供できる。
【0081】
図2等に示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散、統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散、統合して構成することが可能である。
【0082】
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0083】
技術的思想の開示
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0084】
(技術的思想1)
栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20)と、
それぞれ、複数の前記保持具が搬送方向に移動可能に配置されている複数の搬送路(110)と、
前記搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う前記保持具の保持部と前記保持具の前記保持部との間において前記搬送方向に所定の長さを有して設けられているセパレータ(22,122,222,322)と、
を備える栽培装置。
【0085】
(技術的思想2)
前記保持部に株が定植された定植状態から収穫可能な収穫状態までの期間を、第1段階(G1)、第2段階(G2)および第3段階(G3)に三等分した場合、前記セパレータの先端位置は、前記第1段階における前記植物の上端位置と同等の高さに設定されている技術的思想1に記載の栽培装置。
【0086】
(技術的思想3)
前記保持部に株が定植された定植状態から収穫可能な収穫状態までの期間を、第1段階(G1)、第2段階(G2)および第3段階(G3)に三等分した場合、前記セパレータの先端位置は、前記第1段階における前記植物の上端位置よりも高い位置に設定されている技術的思想1に記載の栽培装置。
【0087】
(技術的思想4)
前記セパレータは、前記搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う前記保持具の保持部と前記保持具の前記保持部との間において、前記搬送路の搬送方向長さの全体にわたって設けられている技術的思想1から技術的思想3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0088】
(技術的思想5)
前記セパレータは、前記搬送路のうち前記植物が収穫可能な後半レーン位置において設けられておらず、前記後半レーン位置を除くレーン位置において、前記搬送方向に対して直交する方向に並んで隣り合う前記保持具の保持部と前記保持具の前記保持部との間に設けられている技術的思想1から技術的思想3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0089】
(技術的思想6)
前記セパレータには、厚さ方向に貫通する通気用開口部が形成されている技術的思想1から技術的思想4のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0090】
(技術的思想7)
前記通気用開口部は、前記保持部に株が定植された定植状態に近い第1位置に設けられた第1開口部(22a)と、前記第1位置よりも前記植物が収穫可能な状態に近い第2位置に設けられた第2開口部(22b)とを含み、
前記第2開口部は、前記第1開口部よりも大きい開口面積を有している技術的思想6に記載の栽培装置。
【0091】
(技術的思想8)
ロボット装置(33)によって駆動されて開閉し、前記保持部を把持する一対の把持部(330)を備え、
前記保持部の上端部よりも低い位置において前記セパレータに形成された挿通用開口部(22c)を備え、
前記一対の把持部は、前記セパレータの外側から前記挿通用開口部に挿通されて閉動作することにより前記保持部を把持する技術的思想1から技術的思想7のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0092】
(技術的思想9)
前記保持具の上方に設置されて、前記搬送方向に対して直交する方向に延びる直管状の照明装置(40)を複数個備える技術的思想1から技術的思想8のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0093】
(技術的思想10)
前記保持具の上方に設置されて、前記植物に向けて投光する照明装置(4)を備え、
前記セパレータは、透明である材質によって形成されている技術的思想1から技術的思想8のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0094】
(技術的思想11)
前記保持具の上方に設置されて、前記植物に向けて投光する照明装置(4)を備え、
前記セパレータは、白色である材質によって形成されている技術的思想1から技術的思想8のいずれか一項に記載の栽培装置。
【符号の説明】
【0095】
4,40…照明装置、 20…保持具、 22,122,222,322…セパレータ
110…搬送路、 201…筒状部(保持部)
G1…第1段階、 G2…第2段階、 G3…第3段階