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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164680
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】積雪検出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241120BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241120BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241120BHJP
   G01W 1/10 20060101ALN20241120BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06T7/60 150Z
H04N7/18 D
G01W1/10 P
G01W1/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080341
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】坪内 菜津子
(72)【発明者】
【氏名】有森 恭子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 雄喜
【テーマコード(参考)】
5C054
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FE28
5C054HA19
5L049CC06
5L050CC06
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA59
(57)【要約】
【課題】追加の設備を導入することなく、太陽光発電所の積雪状況に応じて除雪計画を提供し、また、積雪時にも有効な発電性能保証を行うための積雪検出システムを提供する。
【解決手段】一つの実施形態によれば、積雪検出システムは、太陽光パネルの面積に対する、前記太陽光パネル上に存在する積雪の面積の割合である第1積雪カバーリング率と、積雪状況に関する気象データとを取得する取得部を備える。さらに前記積雪検出システムは、前記気象データに基づいて、積雪分析及び気象分析を行う第1算出部をさらに備える。さらに前記積雪検出システムは、前記第1積雪カバーリング率と、前記積雪分析及び前記気象分析の結果とに基づいて、除雪作業の要否を判定する判定部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルの面積に対する、前記太陽光パネル上に存在する積雪の面積の割合である第1積雪カバーリング率と、積雪状況に関する気象データとを取得する取得部と、
前記気象データに基づいて、積雪分析及び気象分析を行う第1算出部と、
前記第1積雪カバーリング率と、前記積雪分析及び前記気象分析の結果とに基づいて、除雪作業の要否を判定する判定部とを備える、
積雪検出システム。
【請求項2】
前記第1算出部は、前記積雪分析及び前記気象分析に基づいて、所定時間以上前記太陽光パネル上の積雪が継続するか、または気温が0℃以下の状態が継続するかを分析し、
前記判定部は、所定時間以上前記太陽光パネル上の積雪が継続する、または気温が0℃以下の状態が継続する場合、前記第1積雪カバーリング率が正しい値であると判定し、前記除雪作業の要否を判定する、請求項1に記載の積雪検出システム。
【請求項3】
前記除雪作業の要否の判定の結果を表示部に出力する送信部をさらに備える、請求項1に記載の積雪検出システム。
【請求項4】
前記取得部は、太陽光発電所における実日射量データ、実発電量データ及び発電所設計データをさらに取得し、
前記第1算出部は、
前記実日射量データ、前記実発電量データ及び前記発電所設計データに基づいて、前記太陽光発電所全体における、前記太陽光パネルの面積に対する、前記太陽光パネル上に存在する積雪の面積の割合である第2積雪カバーリング率をさらに算出し、
前記判定部は、
前記第2積雪カバーリング率と、前記積雪分析及び前記気象分析の結果とに基づいて、前記除雪作業の要否を判定する、請求項1に記載の積雪検出システム。
【請求項5】
前記第1算出部は、
前記実日射量データと、実発電量に寄与した日射量である寄与日射量データと、前記太陽光パネルの面積に対する、前記太陽光パネル上の影の面積の割合である影割合とに基づいて、前記太陽光パネルが全く雪で覆われていない場合に前記太陽光パネルに寄与する日射量に対して、太陽光パネル上の積雪によって遮られている日射量の割合である日射遮り率Bを算出し、
前記第1積雪カバーリング率と、前記日射遮り率Bとに基づいて、補正係数Kを算出し、
前記第1積雪カバーリング率と、前記補正係数Kとを掛け合わせて前記第2積雪カバーリング率を算出する、請求項4に記載の積雪検出システム。
【請求項6】
実システム性能係数である実PR値、理論上のシステム性能係数である理論PR値または仮想上のシステム性能係数である仮想PR値を算出する第2算出部をさらに備え、
前記第2算出部は、
前記実発電量データと、前記太陽光パネルの太陽光パネル容量データと、前記実日射量データとに基づいて、前記実PR値を算出し、
前記太陽光パネル容量データと、前記実日射量データとに基づいて、前記理論PR値を算出し、または、
前記第2積雪カバーリング率と、前記太陽光パネル容量データと、前記実日射量データとに基づいて、前記仮想PR値を算出する、
請求項4に記載の積雪検出システム。
【請求項7】
前記第2算出部は、
前記実日射量データをPR計算モデルに取り込み、前記太陽光パネル上の積雪を考慮しない理論的な発電量である理論発電量データを算出し、
前記理論発電量データと、前記太陽光パネル容量データと、前記実日射量データとに基づいて、前記理論PR値を算出する、
請求項6に記載の積雪検出システム。
【請求項8】
前記第2算出部は、
前記実日射量データ及び前記第2積雪カバーリング率をPR計算モデルに取り込み、前記太陽光パネル上に存在する積雪及び影を考慮した仮想的な発電量である仮想発電量データを算出し、
前記仮想発電量データと、前記太陽光パネル容量データと、前記実日射量データとに基づいて、前記仮想PR値を算出する、
請求項6に記載の積雪検出システム。
【請求項9】
前記実PR値、前記理論PR値または前記仮想PR値を表示部に出力する送信部をさらに備える、請求項6に記載の積雪検出システム。
【請求項10】
前記第1算出部は、
日射量予測データ、積雪量予測データ及び前記第2積雪カバーリング率に基づいて、前記太陽光パネル上にできる影を考慮して算出される、太陽光パネルの面積に対する、その太陽光パネル上に堆積すると予測される積雪の面積の割合である、予測積雪カバーリング率をさらに算出し、
前記予測積雪カバーリング率に基づいて、前記太陽光パネル上に堆積すると予測される積雪によって損失する発電量である予測損失発電量をさらに算出し、または、
前記予測積雪カバーリング率と、前記太陽光パネルのパネル総面積とに基づいて、予測積雪総面積をさらに算出する、
請求項4に記載の積雪検出システム。
【請求項11】
前記第1算出部は、
前記予測損失発電量に電力の売電単価を掛け合わせることで、前記太陽光パネル上の前記除雪作業後に得られる売電収入予測値の増加額をさらに算出し、または、
前記予測積雪総面積に除雪費用単価を掛け合わせることで、前記太陽光パネル上の積雪の除雪費用をさらに算出する、
請求項10に記載の積雪検出システム。
【請求項12】
前記判定部は、前記売電収入予測値の増加額と、前記除雪費用との差額に基づいて、前記除雪作業の要否の判定を行う、請求項11に記載の積雪検出システム。
【請求項13】
前記判定部は、前記売電収入予測値の増加額と、前記除雪費用との差額が閾値以上となった場合に、前記除雪作業が必要であると判定する、請求項12に記載の積雪検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、積雪検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、太陽光発電所は無人の発電所であり、発電所内の監視システムによって発電所内の情報伝達を行っている。また、積雪地域において、太陽光発電所構内の積雪、降雪状況の確認は、積雪計や降雪計を用いて行われる。
【0003】
一方で、このような積雪地域における太陽光発電所では、パネル上の積雪によってパネルの損傷や故障リスクが生じるため、適切なタイミングで除雪作業を行う必要がある。
【0004】
また、太陽光発電所を建設する際、発注者と請負者の間で発電性能保証を取り決めるのが一般的であるが、積雪地域に太陽光発電所を建設する場合、積雪を考慮した発電性能保証の設定が難しい。そのため、積雪地域においても性能保証を行うことを可能とするシステムのニーズがある。
【0005】
また、近年、太陽光の売電時におけるより正確な発電量予測が求められている。そのため、積雪地域の太陽光発電所では、太陽光パネル上の積雪状況について、定量的かつ自動的に確認し、除雪計画を提供するシステムのニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-163632号公報
【特許文献2】特開2017-191044号公報
【特許文献3】特開2005-275491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
除雪に関するシステムとして、任意の積雪量判定装置を用いて計測した雪の厚さ及び将来の気象予測値(日射量及び降雪)を用いて、融雪前後の発電量を算出し、それらの差分に対応する発電量増加額が予測融雪費より高い場合に、備え付けの融雪装置に融雪指示するシステムが知られている。
【0008】
また、除雪に関するシステムとして、雪面を2箇所からカメラで撮影し、撮影された2箇所の間の距離から積雪高さを計算し、気象データと組み合わせることで、除雪作業の必要性を判断するシステムが知られている。
【0009】
また、性能保証に関するシステムとして、気象(日射量、日照時間、気温、風向及び風速)変動に対応した保証発電量及び発電量予測値を算出し、算出した発電量予測値が保証発電量よりも小さい場合、不足分の補償金を提示するシステムが知られている。
【0010】
従来の太陽光発電所における除雪システムでは、太陽光パネル上の積雪解析のために、積雪系や降雪計等の追加設備が必要である。このような追加設備の導入は、コストや手間がかかり、システム導入のハードルが高い。
【0011】
また、従来の太陽光発電所における性能保証システムでは、積雪以外の気象の変化に応じた性能保証の算出技術は知られているが、太陽光パネル上の積雪を考慮した技術は知られていない。
【0012】
そこで、本発明の実施形態は、追加の設備を導入することなく、太陽光発電所の積雪状況に応じて除雪計画を提供し、また、積雪時にも有効な発電性能保証を行うための積雪検出システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの実施形態によれば、積雪検出システムは、太陽光パネルの面積に対する、前記太陽光パネル上に存在する積雪の面積の割合である第1積雪カバーリング率と、積雪状況に関する気象データとを取得する取得部を備える。さらに前記積雪検出システムは、前記気象データに基づいて、積雪分析及び気象分析を行う第1算出部をさらに備える。さらに前記積雪検出システムは、前記第1積雪カバーリング率と、前記積雪分析及び前記気象分析の結果とに基づいて、除雪作業の要否を判定する判定部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における積雪検出システムの概略構成図である。
図2】第1実施形態における積雪検出システムの別の概略構成図である。
図3】第1実施形態における積雪検出システムの機能ブロック図である。
図4】第1実施形態における積雪検出システムが積雪解析及び除雪通知を行う際のフローチャートである。
図5】第2実施形態における積雪検出システムの概略構成図である。
図6】第2実施形態における積雪検出システムが積雪解析及び除雪通知を行う際のフローチャートである。
図7】第3実施形態における積雪検出システムの機能ブロック図である。
図8】第3実施形態における積雪検出システムが各PR値を算出する際のフローチャートである。
図9】第4実施形態における積雪検出システムの機能ブロック図である。
図10】第4実施形態における積雪検出システムが積雪解析及び除雪通知を行う際のフローチャートである。
図11】第4実施形態における売電収入予測値の増加額と、除雪費用との差額を表す図である。
図12】第5実施形態における積雪検出システムのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における積雪検出システムの概略構成図である。
【0017】
本発明の実施形態における積雪検出システム6は、例えば、太陽光発電所1の建屋400に設置され、太陽光発電所1内の太陽光パネル100上の積雪状況について、積雪解析を行い、除雪作業の要否を判定する。
【0018】
図1では、太陽光パネル100のストリング構成500が、互いに直列に接続された複数の太陽光パネル100を含んでいる。さらに図1では、太陽光パネル100のアレイ構成700が、互いに並列に接続された複数のストリング構成500を含んでいる。図1に示すアレイ構成700は、横方向に延び奥行き方向に隣り合う複数のストリング構成500を含んでおり、各ストリング構成500は、横方向に一列または複数列に並ぶ複数の太陽光パネル100を含んでいる。本実施形態における積雪解析は、例えば、アレイ構成700に対して一部分を監視カメラ2で撮影した画像を用いて解析を行う。本実施形態における積雪の解析は、アレイ構成700の一部分を監視カメラ2で撮影した画像だけではなく、太陽光パネル100単位またはストリング構成500について、一部分をカメラで撮影した画像についても適用が可能である。
【0019】
また、太陽光発電所1の建屋400には、太陽光発電所1内の日照状況、気象状況及び発電状況を監視する監視システム7が設置される。これら日照状況、気象状況及び発電状況は、それぞれ実日射量データ、気象データ及び実発電量データとして、監視システム7内の記憶部15に格納されている。また、太陽光発電所1の運転員は、これら日照状況、気象状況及び発電状況について、表示部13を通じて監視することができる。
【0020】
また、本実施形態では、太陽光発電所1の建屋400には、太陽光発電所1構内に設置された監視カメラ2によって撮影された映像または画像から、第1積雪カバーリング率を算出する外部システム5が設置される。第1積雪カバーリング率とは、太陽光パネル100の面積に対する、その太陽光パネル100上に存在する積雪の面積の割合を指す。この第1積雪カバーリング率は、太陽光パネル100単体ではなく、監視カメラ2の撮影範囲3にあるアレイ構成700の面積に対する、そのアレイ構成700上に存在する積雪の面積の割合として算出されてもよい。外部システム5によって算出された第1積雪カバーリング率は、積雪検出システム6内の記憶部17に格納される。
【0021】
本実施形態では、積雪検出システム6は、積雪解析にあたり、外部システム5から第1積雪カバーリング率の値を取得する。取得した値は、積雪検出システム6内の記憶部17に格納される。また、積雪検出システム6は、積雪解析に当たり、監視システム7から気象データを取得する。取得したデータは、記憶部17に格納される。また、これら値やデータは、例えば、ネットワーク機器20によって構築されるLAN(Local Area Network)を介して送受信が行われる。
【0022】
図2は、第1実施形態における積雪検出システムの別の概略構成図である。
【0023】
積雪検出システム6、監視システム7及び外部システム5は、例えば、太陽光発電所1から離れた管理所600に設置されてもよい。この場合、監視カメラ2によって撮影された映像または画像は、ネットワーク30を通じて伝送される。
【0024】
ネットワーク30は、例えば、ネットワーク機器20の他、光ケーブルやメタルケーブルといった有線回線や、衛星回線やマイクロ無線といった無線回線による伝送媒体により構築される。また、ネットワーク機器20は、例えば、ルータ、スイッチ、メディアコンバータなど、伝送媒体の種類に応じて、映像や画像を伝送するために必要な設備により構築される。以下、説明のため図1の構成を用いて説明する。
【0025】
図3は、第1実施形態における積雪検出システムの機能ブロック図である。
【0026】
積雪検出システム6は、取得部9、第1算出部10、判定部11、送信部12及び記憶部17を備える。また積雪検出システム6は、例えばPC(Personal Computer)に積雪検出システム6用のプログラムをインストールすることで実現できる。積雪検出システム6内のCPU(Central Processing Unit)が、積雪検出システム6のプログラムを実行することにより、取得部9、第1算出部10、判定部11、送信部12及び記憶部17の機能が実現される。また、記憶部17は、HDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置上に構築される。
【0027】
本実施形態では、積雪検出システム6の取得部9は、第1積雪カバーリング率を外部システム5から取得する構成となっているが、積雪検出システム6に算出部の機能ブロックを構築し、第1積雪カバーリング率を算出する構成としてもよい。
【0028】
また、詳細の構成は省略するが、監視システム7には、記憶部15が構築され、実日射量データ、実発電量データ及び気象データが格納される。また、外部システム5にも記憶部16が構築され、第1積雪カバーリング率が格納される。以下、積雪検出システム6の各機能ブロックについて説明する。
【0029】
取得部9は、外部システム5から、第1積雪カバーリング率の値を取得する。取得部9は、取得した値を記憶部17に格納する。また、取得部9は、監視システム7から、太陽光発電所1の実日射量データ、実発電量データ及び気象データを取得する。取得部9は、取得したデータを記憶部17に格納する。実日射量データは、例えば、所定期間分の太陽光発電所1における日射量(kW/m^2)であり、監視システム7用に設置された日射計によって収集されたデータ等を用いることができる。また、実発電量データは、例えば、所定期間分の太陽光発電所1で発電された発電量(kWh)であり、監視システム7用に設置された電力計によって収集されたデータ等を用いることができる。また、気象データは、例えば、太陽光発電所1における現在または過去の積雪量(m)のデータであり、監視システム7用に設置された積雪計によって収集されたデータ等を用いることができる。また、気象データは、例えば、太陽光発電所1における現在または過去の気温(℃)のデータであり、監視システム7用に設置された温度計によって収集されたデータ等を用いることができる。
【0030】
気象データは、太陽光発電所1の現地で測定されたデータを用いる以外に、例えば官公庁や民間企業によって提供される気象データを用いてもよい。これらのデータは、取得部9が、監視システム7の記憶部15から取得する他、例えば、インターネットを介してWeb API(Application Programming Interface)を用いて取得することが考えられる。
【0031】
第1算出部10は、取得部9が取得した気象データを用いて積雪解析を行う。本実施形態では、第1算出部は、積雪解析として、積雪分析及び気温分析を行う。積雪分析では、例えば、現在または過去における気温データ及び積雪量データ等を用いて、ある一定時間以上積雪が継続するか否かを分析する。また、気温分析では、第1算出部10は、例えば、現在または過去の気温を用いて、気温が0℃以下の状態がある一定時間以上継続するかを分析する。また、第1算出部10は、積雪解析の際に実日射量データを用いてもよい。
【0032】
これら積雪分析及び気温分析は、一般に用いられる分析手法を用いることができる。また、取得部9によって取得されたデータを入力とする教師ありの機械学習によって分析を行ってもよい。
【0033】
判定部11は、第1算出部10が分析した積雪分析及び気温分析の結果から、太陽光発電所1において、積雪がある一定時間以上継続するか否かを判定する。また判定部11は、太陽光発電所1において気温0℃がある一定時間以上継続するか否かを判定する。積雪がある一定時間以上継続すると判定した場合、または気温0℃がある一定時間以上継続すると判定した場合、判定部11は、取得部9で取得した第1積雪カバーリング率が正しい値であると判定する。
【0034】
また、判定部11は、第1積雪カバーリング率に基づいて、除雪作業の要否を判定する機能を備えていてもよい。例えば、判定部11は、第1積雪カバーリング率が閾値以上であり、かつ、積雪解析の結果、第1積雪カバーリング率が正しい値であると判定した場合に除雪作業が必要であると判定してもよい。
【0035】
以下では、説明の単純化のため、送信部12は、判定部11によって積雪カバーリング率が正しいと判定された場合、積雪解析の結果として、無条件に第1積雪カバーリング率の値及び除雪通知を監視システム7に送信する例を説明する。除雪通知は、監視システム7の表示部13に文字情報として表示される他、アイコンとして表示されてもよい。これにより、太陽光発電所1の運転員は、視覚的に除雪通知を確認することができる。また、除雪通知は、ライト等を通じた光情報や、スピーカー等を通じた音情報として運転員に提示してもよい。
【0036】
図4は、第1実施形態における積雪検出システムが積雪解析及び除雪通知を行う際のフローチャートである。
【0037】
ステップS1では、取得部9は、外部システム5から第1積雪カバーリング率を取得する。例えば、取得部9は、外部システム5の記憶部16にアクセスし、第1カバーリング率を取得することが考えられる。また、取得部9は、取得した第1カバーリング率を積雪検出システム6内の記憶部17に格納する。ステップS2では、取得部9は、監視システム7から気象データを取得する。上記と同様に、例えば、取得部9は、監視システム7の記憶部15にアクセスし、気象データを取得することが考えられる。また、取得部9は、取得した気象データを積雪検出システム6内の記憶部17に格納する。なお、ステップS1と、ステップS2とは互いに逆の順番で行われてもよい。
【0038】
ステップS3では、第1算出部10は、取得した気象データを用いて積雪分析を実施する。ステップS4では、第1算出部10は、取得した気象データを用いて気温分析を実施する。なお、ステップS1と、ステップS4とは互いに逆の順番で行われてもよい。
【0039】
ステップS5では、判定部11は、積雪分析の結果に基づいて、積雪がある一定時間以上継続するか否かを判定する。また、判定部11は、気温分析の結果に基づいて、太陽光発電所1で気温が0℃以下の状態がある一定時間以上継続する否かを判定する。また、ステップS5で、判定部11によって積雪がある一定時間以上継続すると判定された場合、または、気温が0℃以下の状態がある一定時間以上継続すると判定された場合、ステップS6では、送信部12は、監視システム7に積雪解析の結果として、第1積雪カバーリング率の値を送信し、また除雪通知も併せて送信する。ステップS5で、判定部11によって積雪がある一定時間以上継続すると判定されなかった場合、かつ、気温が0℃以下の状態がある一定時間以上継続すると判定されなかった場合、送信部12は、除雪通知等を送信せず、処理を終了する。
【0040】
本フローチャートにおける積雪検出は、例えば、所定時間ごとに繰り返される。例えば、30分に1回や1時間に1回等、あらかじめ決められた周期ごとに実施することが考えられる。また、繰り返しのタイミングは、積雪検出システム6の運用中に変更されてもよい。例えば、積雪検出システム6に設定部の機能ブロックを設けて、表示部13に表示されるユーザーインターフェースから運転員が繰り返しのタイミングを変更することが考えられる。
【0041】
本実施形態によれば、積雪検出システム6は、取得時の第1積雪カバーリング率の値だけでなく、積雪解析に伴う積雪の継続状況の予測や気温の状況の予測によって、第1積雪カバーリング率が正しいか否かを判断することができる。これにより、太陽光パネル100上の積雪状況を定量的かつ自動的に、精度よく確認することができる。また、太陽光発電所1の運転員は、積雪が継続しない場合や、気温が高くなる場合等、融雪によって除雪作業が不要となる場合の除雪作業を避けることができ、適切な除雪計画を立てることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、積雪検出システム6は、気象データの取得のためのセンサの設置や監視カメラ2の設置等、追加の設備を導入することなく積雪解析を行うことができる。これにより、システム導入コストを抑えることができる。
【0043】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態における積雪検出システムの概略構成図である。
【0044】
本実施形態における積雪の解析は、例えば、第1実施形態と同様に太陽光発電所1構内の太陽光パネル100の設置エリアを監視カメラ2で撮影した画像を用いて解析を行う。監視カメラ2の撮影範囲3及び設備構成は、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0045】
また、本実施形態における積雪検出システム6の機能ブロック図は図3と同一であるため、再度、図3を用いて説明する。また、本実施形態では、後述する寄与日射量の算出にあたり必要な太陽光パネル100の容量(kW)データについては、積雪検出システム6の記憶部17にあらかじめ格納しておく。
【0046】
本実施形態における第1算出部10は、第1実施形態と同様に、取得部9が取得した気象データを用いて積雪解析を行う。具体的には、第1算出部10は、積雪解析として、積雪分析及び気温分析を行う。
【0047】
また、本実施形態における第1算出部10は、外部システム5から取得した第1積雪カバーリング率と、監視システム7から取得した実発電量データ及び実日射量データ等に基づいて第2積雪カバーリング率を算出する。第2積雪カバーリング率は、太陽光発電所1全体における、太陽光パネル100の面積に対する、太陽光パネル100上に存在する積雪の面積の割合である。第1算出部10は、第2積雪カバーリング率を算出するための実発電量データ及び実日射量データとして、任意の期間分のデータを用いてもよい。例えば、第1算出部10は、実発電量データ及び実日射量データとして、過去数時間分のデータ、または過去1日分のデータといった、ある程度直近のデータ用いることが考えられる。積雪検出システム6は、監視カメラ2によって撮影された太陽光発電所1内の一部の撮影範囲から、実発電量データ及び実日射量データ等の追加の情報を取り込んで、第2積雪カバーリング率を算出し、太陽光発電所1全体の積雪解析を行うことができる。
【0048】
第2積雪カバーリング率は、太陽光パネル100が全く雪で覆われていない場合に、太陽光パネル100に寄与する日射量に対して、太陽光パネル100上の積雪によって遮られている日射量の割合である日射遮り率を考慮して算出される。
【0049】
以下、第2積雪カバーリング率を算出するための日射遮り率A及び日射遮り率Bの算出方法について説明する。
【0050】
日射遮り率Aは、上述した撮影範囲3において算出された第1積雪カバーリング率を用いる。
【0051】
日射遮り率Bは、実発電量に寄与した日射量である寄与日射量(kW/m^2)と、実日射量データとの比較によって算出する。また、寄与日射量は、実発電量から太陽光パネル100の容量を逆算して算出する。
【0052】
また、本実施形態において定義した日射遮り率は、積雪によって遮られる日射量のみを考慮するため、太陽光パネル100上の影によって遮られる影割合分の日射量を除外する。ここで、影割合とは、太陽光発電所1構内における太陽光パネル100の総面積に対して、それぞれの太陽光パネル100にかかっている影の総面積の割合のことを指す。影は、前段に配置されるアレイ構成700や周囲の障害物が原因となって生じ、また、影割合は、季節や時間帯によっても異なる。影割合分の日射量である影割合日射量(kW/m^2)は、例えば、実日射量に影割合を掛け合わせることによって算出できる。
【0053】
影割合は、発電所設計データ(アレイ間南北距離、アレイ傾斜角、太陽高度、アレイ寸法及び周囲の障害物の高さ等)を用いて算出される。日射遮り率Bは(1)の式で表される。発電所設計データは、積雪検出システム6の記憶部17にあらかじめ格納しておくことが考えられる。
日射遮り率B=(実日射量-寄与日射量-影割合日射量)÷(実日射量) (1)
【0054】
また、第2積雪カバーリング率を算出するため、日射遮り率A及びBから、補正係数Kを算出する。補正係数Kは、例えば、(2)の式で表される。
補正係数K=(日射遮り率A+日射遮り率B)÷2÷日射遮り率A (2)
【0055】
補正係数Kは、(2)の式の他、日射遮り率Aに対応する太陽光パネル100の領域が、日射遮り率Bに対応する太陽光パネル100の領域に占める割合を算出して、日射遮り率A及びBにそれぞれ重みづけすることで算出してもよい。
【0056】
上述した補正係数Kを用いて、第2積雪カバーリング率は、(3)の式で表される。第1算出部10は、算出した第2積雪カバーリング率を統計データとして記憶部17に格納してもよい。
第2積雪カバーリング率=第1積雪カバーリング率×補正係数K (3)
【0057】
第1算出部10は、上述した式(1)~(3)によって第2積雪カバーリング率を算出する。また、第1算出部10は、算出した第2積雪カバーリング率を記憶部17に格納する。
【0058】
また、判定部11は、第1算出部10分析した積雪分析及び気温分析の結果から、太陽光発電所1において、積雪がある一定時間以上継続するか否かを判定する。また判定部11は、太陽光発電所1において気温0℃がある一定時間以上継続するか否かを判定する。積雪がある一定時間以上継続すると判断した場合、または気温0℃がある一定時間以上継続すると判断した場合、判定部11は、第1算出部10で算出した第2積雪カバーリング率が正しい値であると判定する。
【0059】
図6は、第2実施形態における積雪検出システムが積雪解析及び除雪通知を行う際のフローチャートである。
【0060】
ステップS21では、取得部9は、外部システム5から第1積雪カバーリング率を取得する。ステップS22では、取得部9は、監視システム7から実日射量データ、実発電量データ及び気象データを取得する。
【0061】
ステップS23では、第1算出部10は、取得した気象データを用いて積雪分析を実施する。ステップS24では、第1算出部10は、取得した気象データを用いて気温分析を実施する。
【0062】
ステップS25~S29は、ステップS23~S24と並行して実行されるものとして説明する。これらの処理は、ステップS23~S24の前後に実行されてもよい。ステップS25では、第1算出部10は、実発電量データ及び太陽光パネル100のパネルの容量から、寄与日射量を算出する。ステップS26では、第1算出部10は、発電所設計データから影割合を算出する。また、算出した寄与日射量や影割合の値は、記憶部17に記憶してもよい。
【0063】
ステップS27では、第1算出部10は、実日射量データ、寄与日射量及び影割合から日射遮り率Bを算出する。日射遮り率Bを算出する際の実日射量(式(1)参照)は、例えば、過去の任意の所定期間分における実日射量を用いる事が考えられる。ステップS28では、第1算出部10は、ステップS21で取得した第1積雪カバーリング率を日射遮り率Aとして、日射遮り率A及び日射遮り率Bから補正係数Kを算出する。
【0064】
ステップS29では、第1算出部10は、補正係数K及び日射遮り率Aから第2積雪カバーリング率を算出する。ステップS30では、判定部11は、積雪分析の結果に基づいて、積雪がある一定時間以上継続するか否かを判定する。また、判定部11は、気温分析の結果に基づいて、太陽光発電所1で気温が0℃以下の状態がある一定時間以上継続する否かを判定する。
【0065】
また、ステップS30で、判定部11によって積雪がある一定時間以上継続すると判定された場合、または、気温が0℃以下の状態がある一定時間以上継続すると判定された場合、ステップS31では、送信部12は、監視システム7に積雪解析の結果として、第1積雪カバーリング率の値を監視システム7に送信し、また除雪通知も併せて送信する。ステップS30で、判定部11によって積雪がある一定時間以上継続すると判定されなかった場合、かつ、気温が0℃以下の状態がある一定時間以上継続すると判定されなかった場合、送信部12は、除雪通知等を送信せず、処理を終了する。
【0066】
本フローチャートにおける積雪解析は、例えば、所定時間ごとに繰り返される。例えば、30分に1回や1時間に1回等、あらかじめ決められた周期ごとに実施することが考えられる。また、繰り返しのタイミングは、積雪検出システム6の運用中に変更されてもよい。
【0067】
本実施形態によれば、第1算出部10は、実発電量データ、実日射量データ及び発電所設計データに基づいて、日射遮り率Bを算出する。また、第1算出部10は、日射遮り率Bに基づいて算出される補正係数Kを、第1積雪カバーリング率に掛け合わせて、第2積雪カバーリング率を算出する。積雪検出システム6は、監視カメラ2の撮影範囲から算出される第1積雪カバーリング率だけでなく、太陽光発電所1における追加の情報を計算に取り込んだ第2積雪カバーリング率を用いて積雪解析を行う。そのため、積雪検出システム6は、一部の撮影範囲から、太陽光発電所1全体の積雪解析を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、判定部11は、積雪解析によって第2積雪カバーリング率の値が正しいことを判定し、送信部12が除雪通知を送信することで、太陽光発電所1の運転員は、より適切な除雪計画を立てることができる。
【0069】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態における積雪検出システムの機能ブロック図である。
【0070】
本実施形態における積雪検出システム6は、システム性能係数PR(Performance Ratio)として、実PR値、理論PR値及び仮想PR値を算出する第2算出部14を備える。その他の機能ブロック図については、第2実施形態と同一であるため、説明を省略する。また、本実施形態では、PRの算出にあたり必要な太陽光パネル100の容量データである太陽光パネル容量データについては、積雪検出システム6の記憶部17にあらかじめ格納しておく。以下、実PR値、理論PR値及び仮想PR値の算出方法について説明する。
【0071】
実PR値とは、太陽光発電所1の実発電量及び実日射量に基づいて算出されるPR値である。第2算出部14は、取得部9を介して、記憶部17から実発電量データ、実日射量データ及び太陽光パネル容量データを取得する。また、第2算出部14は、取得したデータを式(4)に代入し、実PR値を算出する。
実PR値=実発電量÷(太陽光パネルの容量×累積実日射量) (4)
【0072】
累積日射量(kWh/m^2)は、所定期間分の実日射量データから算出される。この所定期間は、任意の期間であってよく、例えば、記憶部17に格納される実日射量データのうち、全期間分のデータを対象として所定期間としてもよく、また、一部の期間分のデータを対象として所定期間としてもよい。また、実発電量についても同様に、任意の期間として所定期間として算出される。
【0073】
理論PR値とは、太陽光パネル100上の積雪を考慮せずに、太陽光発電所1の日射量に基づいて算出される理論上のPR値である。第2算出部14は、取得部9を介して、記憶部17から実発電量データ及び太陽光パネル容量データを取得する。なお、実PR値の算出時に、これらのデータを取得している場合、第2算出部14は、改めて記憶部17から取得する必要はない。
【0074】
また、第2算出部14は、実日射量データをPR計算モデルに取り込み、理論的な発電量(kWh)(以下、理論発電量)である理論発電量データを算出する。このPR計算モデルは、太陽光発電シミュレータ等で一般的に用いられている計算式により算出することができる。また、第2算出部14は、理論発電量データを式(5)に代入し、理論PR値を算出する。
理論PR値=理論発電量÷(太陽光パネル容量×累積実日射量) (5)
【0075】
上記と同様に、理論発電量及び累積日射量については、所定期間分のデータから算出され、また、この所定期間は任意の期間であってよい。
【0076】
仮想PR値とは、前記太陽光パネル上の積雪及び影を考慮して、太陽光発電所1の日射量に基づいて算出される仮想的なPR値である。第2算出部14は、取得部9を介して、記憶部17から実発電量データ及び太陽光パネル容量データを取得する。なお、実PR値の算出時に、これらのデータを取得している場合、第2算出部14は、改めて記憶部17から取得する必要はない。また、第2算出部14は、第1算出部10から第2積雪カバーリング率を取得する。
【0077】
また、第2算出部14は、実日射量データ及び第2積雪カバーリング率をPR計算モデルに取り込み、仮想的な発電量(kWh)(以下、仮想発電量)である仮想発電量データを算出する。ここで、第2積雪カバーリング率は、例えばPR計算モデルの計算式の中で、太陽光パネル100上の面積を補正するために用いられる。また、第2積雪カバーリング率の代わりに、第1積雪カバーリング率を用いてもよい。このPR計算モデルは、太陽光発電シミュレータ等で一般的に用いられている計算式により算出することができる。また、第2算出部14は、仮想発電量データを式(6)に代入し、仮想PR値を算出する。
仮想PR値=仮想発電量÷(太陽光パネル容量×累積実日射量) (6)
【0078】
上記と同様に、仮想発電量及び累積日射量については、所定期間分のデータから算出され、また、この所定期間は任意の期間であってよい。
【0079】
送信部12は、各PR値の算出結果の値を監視システム7に送信する。各PR値は、監視システム7の表示部13に文字情報として表示される他、アイコンとして表示されてもよい。また、送信部12は、第2積雪カバーリング率の値を監視システム7に送信してもよい。
【0080】
図8は、第3実施形態における積雪検出システムが各PR値を算出する際のフローチャートである。
【0081】
ステップS41では、第2算出部14は、記憶部17から実日射量データ、実発電量データ及び太陽光パネル容量データを取得する。ステップS42では、第2算出部14は、第1算出部10より、第2積雪カバーリング率を取得する。また、記憶部17に第2積雪カバーリング率が格納されている場合、第2算出部14は、記憶部17から第2積雪カバーリング率を取得してもよい。
【0082】
ステップS43では、第2算出部14は、実日射量データ、実発電量データ及び太陽光パネル容量データを用いて実PR値(式(4)参照)を算出する。
【0083】
ステップS44~S46及びステップS47~S49は、ステップS43と並行して実行されるものとして説明する。これらの処理は、ステップS43の前後に実行されてもよい。ステップS44では、第2算出部14は、取得した実日射量データをPR計算モデルに取りこむ。ステップS45では、第2算出部14は、PR計算モデルの計算式から理論発電量データを算出する。
【0084】
ステップS46では、第2算出部14は、理論発電量データ、実日射量データ及び太陽光パネル容量データを用いて理論PR値(式(5)参照)を算出する。ステップS47では、第2算出部14は、取得した実日射量データ及び第2積雪カバーリング率をPR計算モデルに取りこむ。
【0085】
ステップS48では、第2算出部14は、PR計算モデルの計算式から仮想発電量データを算出する。ステップS49では、第2算出部14は、仮想発電量データ、実日射量データ及び太陽光パネル容量データを用いて仮想PR値(式(6)参照)を算出する。
【0086】
ステップS50では、送信部12は、各PR値及び第2積雪カバーリング率の値を監視システム7に送信する。
【0087】
本実施形態によれば、第2算出部14は、実PR値、理論PR値及び仮想PR値を算出し、送信部12は、これらの結果を監視システム7の表示部13に表示する。これにより、運転員は、各PR値を比較することによって、より詳細な情報を確認することができ、適切な除雪計画を立てることができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、運転員は、積雪を考慮した仮想PR値と、積雪を考慮しないPR値である理論PRとを比較することができるため、太陽光パネル100上に積雪がある場合とない場合について、性能比較を行うことができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、運転員は、表示部13に表示された各PR値を比較し、積雪を考慮した発電性能保証として役立てることができる。また、積雪検出システム6は、各PR値の比較によって、過去の売電量分析ができるようになり、これらPR値を学習することによって、将来の正確な売電量予測に繋げることができる。
【0090】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態における積雪検出システムの機能ブロック図である。
【0091】
本実施形態における積雪検出システム6は、気象予測データを用いて、除雪作業後によって得られる売電収入予測値の増加額や除雪費用を算出し、その差額に基づいて除雪の要否の判定を行う。以下、除雪作業後によって得られる売電収入予測値や除雪費用等算出方法について説明する。
【0092】
取得部9は、気象予測データを取得する。この例では、取得部9は、気象予測データとして、日射量予測データ及び積雪量予測データを取得する。これらの気象予測データは、例えば官公庁や民間企業によって提供される気象予測データを用いることが考えられる。また、気象予測データは、第1算出部10が気象データから機械学習等によって算出してもよい。この例では、取得部9が、インターネット40を介してWeb APIを用いて気象予測データを取得する例を用いて説明する。
【0093】
第1算出部10は、取得部9を介して、記憶部17から第2積雪カバーリング率を取得する。また、第1算出部10は、気象予測データ及び第2積雪カバーリング率に基づいて、予測積雪カバーリング率を算出する。予測積雪カバーリング率は、太陽光パネル100上にできる影を考慮して算出される、太陽光パネル100の面積に対する、その太陽光パネル100上に堆積すると予測される積雪の面積の割合である。予測積雪カバーリング率は、第2積雪カバーリング率の算出の際に用いた日射遮り率B(式(1)参照)の過去データ部分に予測データを代入して求められる。
【0094】
例えば、第1算出部10は、過去の第2積雪カバーリング率の統計データの中から、積雪量予測データから予測される積雪量と同等な過去の積雪量であった際の第2積雪カバーリング率を用いて、予測積雪カバーリング率を算出する。
【0095】
また、例えば、第1算出部10は、この第2積雪カバーリング率の算出の際に用いた実日射量及び寄与日射量の部分に、予測日射量及び予測寄与日射量を代入する。予測積雪カバーリング率の日射遮り率B’は、式(7)で表される。予測日射量及び予測寄与日射量には、任意の所定期間における予測日射量及び予測寄与日射量を代入する。予測積雪カバーリング率の算出方法は一例であり、その他、太陽光パネル上に堆積する積雪を予測するための種々の算出方法が採用される。
日射遮り率B’=(予測日射量-予測寄与日射量-影割合)÷(予測日射量) (7)
【0096】
また、第1算出部10は、予測積雪カバーリング率を予測日射遮り率として、予測損失発電量を算出する。予測損失発電量(kWh)とは、太陽光パネル100上に堆積すると予測される積雪によって損失する発電量である。予測損失発電量は、例えば、発電量の算出式に予測日射遮り率を掛け合わせることで算出することができる。
【0097】
また、第1算出部10は、予測損失発電量に売電単価を掛け合わせることによって、除雪作業後に得られる売電収入予測値の増加額を算出する。売電単価は、例えば、あらかじめ記憶部17に格納しておくことが考えられる。また、売電単価の変更にも対応できるように、積雪検出システム6に入力部の機能ブロックを設けて、運転員から、変更後の売電単価の入力を受け付けることとしてもよい。
【0098】
並行して、第1算出部10は、予測積雪カバーリング率及び太陽光発電所1に存在する太陽光パネル100の総面積から、太陽光パネル100上の予測積雪総面積を算出する。太陽光パネル100上の予測積雪総面積を算出にあたり、太陽光パネル100の総面積は、例えば、あらかじめ記憶部17に格納しておくことが考えられる。
【0099】
また、第1算出部10は、予測積雪総面積に除雪費用単価を掛け合わせることによって、除雪費用を算出する。除雪費用単価は、例えば、あらかじめ記憶部17に格納しておくことが考えられる。また、第1算出部10は、売電収入予測値の増加額と除雪費用の差額を算出する。
【0100】
判定部11は、売電収入予測値の増加額と除雪費用とを比較し、差額が閾値以上となった時に除雪作業が必要であると判定する。
【0101】
送信部12は、判定部11によって除雪作業が必要であると判定された場合、積雪解析の結果として、除雪通知を監視システム7に送信する。除雪通知は、監視システム7の表示部13に文字情報として表示される他、アイコンとして表示されてもよい。また、除雪通知は、ライト等を通じた光情報や、スピーカー等を通じた音情報として運転員に提示してもよい。また、送信部12は、売電収入予測値の増加額や除雪費用についても監視システム7に送信してもよい。これらの情報は、上記と同様に監視システム7の表示部13に文字情報等によって表示される。
【0102】
図10は、第4実施形態における積雪検出システムが積雪解析及び除雪通知を行う際のフローチャートである。
【0103】
ステップS61では、取得部9は、気象予測データとして、日射量予測データ及び積雪量予測データを取得する。このフローチャートでは、取得部9は、インターネット上の気象情報配信サービスを提供する気象情報配信サーバ(不図示)からこれらのデータを取得する例である。ステップS62では、第1算出部10は、取得部9を介して、記憶部17から第2積雪カバーリング率を取得する。この例では、第1算出部10は、過去の第2積雪カバーリング率の統計データの中から、積雪量予測データから予測される積雪量と同等な過去の積雪量に対応する第2積雪カバーリング率を取得する。
【0104】
ステップS63では、第1算出部10は、日射遮り率B’(式(7)参照)に、予測日射量及び予測寄与日射量を当てはめて予測積雪カバーリング率を算出する。ステップS64では、第1算出部10は、予測積雪カバーリング率を予測日射遮り率として、予測損失発電量を算出する。
【0105】
ステップS65では、第1算出部10は、記憶部17から取得部9を介して売電単価を取得する。ステップS66では、第1算出部10は、予測損失発電量と、売電単価とを掛け合わせて除雪作業後に得られる売電収入予測値の増加額を算出する。
【0106】
ステップS67~S70は、ステップS64~S66と並行して実行されるものとして説明する。これらの処理は、ステップS64~S66の前後に実行されてもよい。ステップS67では、第1算出部10は、記憶部17から取得部9を介して、太陽光発電所1の太陽光パネル100の総面積を取得する。ステップS68では、第1算出部10は、予測積雪カバーリング率と、太陽光パネル100の総面積とを掛け合わせて、太陽光パネル100上の予測積雪総面積を算出する。
【0107】
ステップS69では、第1算出部10は、記憶部17取得部9を介して除雪費用単価を取得する。ステップS70では、第1算出部10は、予測積雪総面積と、除雪費用単価とを掛け合わせて除雪費用を算出する。
【0108】
ステップS71では、第1算出部10は、ステップS66で算出した売電収入予測値の増加額と、ステップS70で算出した除雪費用との差額を算出する。ステップS72では、判定部11は、売電収入予測値の増加額と、除雪費用との差額が閾値以上であるかを判定する。ステップS72で、この差額が閾値以上である場合、ステップS73では、送信部12は、監視システム7に積雪解析の結果として、除雪通知を送信する。ステップS72で差額が閾値以上でない場合、送信部12は、除雪通知等を送信せず、処理を終了する。
【0109】
図11は、第4実施形態における売電収入予測値の増加額と、除雪費用との差額を表す図である。
【0110】
図11において、横軸は時間(t)を表し、縦軸は費用(円)を表している。図中の実線は、売電収入予測値の増加額を表すグラフであり、図中の破線は、除雪費用を表すグラフである。この図は、時間の経過ごとに、太陽光パネル100上の積雪が増していき、売電収入予測値の増加額が増加していく図を表している。また、時間の経過に伴って、太陽光パネル100上の積雪が増していき、除雪費用が増加していく図を表している。本実施形態における積雪検出システム6の判定部11は、売電収入予測値の増加額と、除雪費用との差額が閾値以上となったときに、除雪作業が必要であると判定する。
【0111】
本実施形態によれば、第1算出部10は、第2積雪カバーリング率に基づいて、予測積雪カバーリング率を算出する。これにより、積雪検出システム6は、太陽光パネル100上の将来の積雪に対する積雪カバーリング率を算出することができ、除雪計画に役立てることができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、第1算出部10は、予測積雪カバーリング率に基づいて、除雪作業後に得られる売電収入予測値の増加額を算出する。これにより、運転員は、売電収入予測値の増加額を考慮して除雪計画を立てることができる。
【0113】
また、本実施形態によれば、第1算出部10は、予測積雪カバーリング率に基づいて、太陽光発電所1における全太陽光パネル100上の除雪費用を算出する。これにより、運転員は、除雪費用を考慮して除雪計画を立てることができる。
【0114】
また、本実施形態によれば、第1算出部10は、売電収入予測値の増加額と、除雪費用との差額を算出し、その後、判定部11がこの差額が閾値以上であるかを判定する。これにより、運転員は、積雪検出システム6によって、適切な除雪作業のタイミングを知ることができ、除雪計画に役立てることができる。
【0115】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態における積雪検出システムのハードウェア構成図である。
【0116】
図12の積雪検出システム6は、CPU等のプロセッサ52と、RAM等の主記憶装置53と、HDD等の補助記憶装置54と、LAN(Local Area Network)ボード等のネットワークインタフェース55と、メモリスロットやメモリポート等のデバイスインタフェース56、と、これらの機器を互いに接続するバス57とを備えている。積雪検出システム6は例えば、PC等のコンピュータであり、キーボードやマウス等の入力装置や、LCD(Liquid Crystal Display)モニタ等の出力装置を備えている。
【0117】
本実施形態においては、積雪検出システム6の情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが、補助記憶装置54内にインストールされている。積雪検出システム6は、このプログラムを主記憶装置53に展開して、プロセッサ52により実行する。これにより、図3に示す各ブロックの機能を積雪検出システム6内で実現し、第1実施形態で説明した積雪解析等が可能となる。なお、この情報処理により生成されたデータは、主記憶装置53に一時的に保持されるか、補助記憶装置54内に格納され保存される。
【0118】
このプログラムは例えば、このプログラムを記録した外部装置58をデバイスインタフェース56に装着し、このプログラムを外部装置58から補助記憶装置54に格納することでインストール可能である。外部装置58の例は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体や、このような記録媒体を内蔵する記録装置である。記録媒体の例はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD-R(Compact Disk Recordable)、フレキシブルディスク、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD-R (Digital Versatile Disk Recordable)であり、記録装置の例はHDDである。また、このプログラムは例えば、このプログラムをネットワークインタフェース55を介してダウンロードすることでインストール可能である。
【0119】
本実施形態によれば、第1実施形態における積雪検出システム6の機能をソフトウェアにより実現することが可能となる。
【0120】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な積雪検出システム6は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した積雪検出システム6の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0121】
1:太陽光発電所、2:監視カメラ、3:撮影範囲、5:外部システム、
6:積雪検出システム、7:監視システム、9:取得部、10:第1算出部、
11:判定部、12:送信部、13:表示部、14:第2算出部、
15:記憶部、16:記憶部、17:記憶部、20:ネットワーク機器、
52:プロセッサ、53:主記憶装置、54:補助記憶装置、
55:ネットワークインタフェース、56:デバイスインタフェース、
57:バス、58:外部装置、100:太陽光パネル、400:建屋、
500:ストリング構成、600:管理所、700:アレイ構成
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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図12