(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164682
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】電極製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20241120BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20241120BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20241120BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 A
H01G13/00 381
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080343
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山崎 俊
【テーマコード(参考)】
5E082
5H050
【Fターム(参考)】
5E082MM05
5H050AA19
5H050BA13
5H050BA14
5H050BA17
5H050GA03
5H050GA04
5H050GA29
(57)【要約】
【課題】タブの加工を安定させる。
【解決手段】電極製造装置1は、電極シート10を搬送する搬送装置20と、圧縮装置40と、タブ形成装置60と、制御装置90とを備えている。電極シート10は、幅方向の端部において長さ方向に沿って未塗工部12aが設定された帯状の集電箔12と、帯状の集電箔12のうち未塗工部12aを除く部分に形成された電極活物質層14とを備えている。圧縮装置40は、電極シート10を挟み、電極活物質層14を圧縮する一対の圧延ロール42,44を有している。タブ形成装置60は、電極シート10にレーザを照射し、予め定められたピッチで予め定められた形状のタブ12bを形成する装置である。制御装置90は、圧縮装置40のプレス圧力に基づいて、タブ形成装置60のレーザ軌跡を制御するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極シートを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置で搬送される前記電極シートを圧縮する圧縮装置と、
前記電極シートが前記圧縮装置で圧縮された後で、前記搬送装置によって搬送される前記電極シートにタブを形成するタブ形成装置と、
制御装置と
を備え、
前記電極シートは、少なくとも一方の幅方向の端部において長さ方向に沿って未塗工部が設定された帯状の集電箔と、前記帯状の集電箔のうち前記未塗工部を除く部分に形成された電極活物質層とを備え、
前記圧縮装置は、前記電極シートを挟み、前記電極活物質層を圧縮する一対の圧延ロールを有し、
前記タブ形成装置は、前記電極シートにレーザを照射し、予め定められたピッチで予め定められた形状のタブを形成する装置であり、
前記制御装置は、前記圧縮装置のプレス圧力に基づいて、前記タブ形成装置のレーザ軌跡を制御するように構成された、
電極製造装置。
【請求項2】
前記電極シートの形状データを取得する形状取得装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記形状取得装置で取得された前記形状データに基づいて、前記タブ形成装置のレーザ軌跡を制御するように構成された、請求項1に記載された電極製造装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記圧縮装置で圧縮された後の前記電極シートのインライン膜厚に基づいて、前記電極シートの搬送量を制御するように構成された、請求項1または2に記載された電極製造装置。
【請求項4】
前記タブ形成装置でタブが形成された後で前記電極シートを巻取る巻取ロールをさらに備え、
前記制御装置は、前記巻取ロールに巻取られた前記電極シートの半径に基づいて、前記タブ形成装置のレーザ軌跡を補正するように構成された、請求項1または2に記載された電極製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-26982号公報には、長尺シート状の金属箔の短手方向において、金属箔と活物質層とが存在する塗工部と、活物質層が存在せず金属箔が露出した露出部とを有する電極シートが開示されている。同公報に開示されている電極シートは、露出部を貫通する貫通部と、露出部に存在する強化層とを有している。貫通部は、金属箔の短手方向において活物質層側に位置する端部に内側端部を有している。強化層は、金属箔の短手方向において内側端部と塗工部との間に位置している。かかる電極シートでは、塗工部がプレスロールでプレスされる際、塗工部の伸び量と露出部の伸び量の差が貫通部によって吸収されるとされている。これによって、露出部のしわが抑制されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、電極シートに形成されるタブの加工を安定させたいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される電極製造装置は、電極シートを搬送する搬送装置と、搬送装置で搬送される電極シートを圧縮する圧縮装置と、電極シートが圧縮装置で圧縮された後で、搬送装置によって搬送される電極シートにタブを形成するタブ形成装置と、制御装置とを備えている。電極シートは、少なくとも一方の幅方向の端部において長さ方向に沿って未塗工部が設定された帯状の集電箔と、帯状の集電箔のうち未塗工部を除く部分に形成された電極活物質層とを備えている。圧縮装置は、電極シートを挟み、電極活物質層を圧縮する一対の圧延ロールを有している。タブ形成装置は、電極シートにレーザを照射し、予め定められたピッチで予め定められた形状のタブを形成する装置である。制御装置は、圧縮装置のプレス圧力に基づいて、タブ形成装置のレーザ軌跡を制御するように構成されている。かかる電極製造装置によると、電極シートに形成されるタブの加工が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、電極製造装置1を示す模式図である。
【
図3】
図3は、タブ形成装置60を示す模式図である。
【
図4】
図4は、プレス圧力と、集電箔の伸びとの関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、集電箔12の変形量と、タブ12bのピッチの補正量との関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、電極シートの半径と、集電箔の伸びとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、ここで開示される技術の一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略される。
【0008】
図1は、電極製造装置1を示す模式図である。
図1では、電極シート10の幅方向に沿って見た電極製造装置1が模式的に示されている。
【0009】
〈電極製造装置1〉
電極製造装置1は、
図1に示されているように、搬送装置20と、圧縮装置40と、膜厚計50と、タブ形成装置60と、形状取得装置80と、制御装置90とを備えている。電極製造装置1は、電極シート10が巻出される巻出ロール21と、電極シート10が巻取られる巻取ロール22とを備えている。電極製造装置1では、蓄電デバイスを構成する電極シート10が製造される。電極シート10は、蓄電デバイスの内部に収容される電極体の正極シートまたは負極シートを構成する。蓄電デバイスとは、繰り返し充放電可能なデバイスをいい、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池(すなわち化学電池)の他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する概念である。以下、一例として、リチウムイオン二次電池に用いられる電極シート10の構成と併せて、電極シート10を製造する電極製造装置1について説明する。
【0010】
図2は、電極シート10の模式図である。
図2では、電極シート10にタブ12bが形成される様子が示されている。
図2では、電極シート10が搬送される方向は、矢印で示されている。
図2に示されているように、電極シート10は、集電箔12と、電極活物質層14とを備えている。
【0011】
集電箔12は、長尺な帯状の金属部材である。集電箔12としては、所要の導電性を有した金属材料が用いられうる。正極集電箔としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等が用いられうる。負極集電箔としては、例えば、銅、銅合金等が用いられうる。帯状の集電箔12の少なくとも一方の面には、電極活物質層14が形成されている。この実施形態では、集電箔12の両面に電極活物質層14が形成されている。電極活物質層14は、電極活物質を含む層である。正極活物質としては、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物が用いられうる。負極活物質としては、例えば、炭素材料、シリコン系材料およびそれらの混合酸化物等が用いられうる。電極活物質層は、バインダ、導電材等の電極活物質以外の添加剤を含んでいてもよい。
【0012】
電極シート10は、集電箔12に対して電極活物質層14となる電極合材スラリーが塗工され、乾燥されて形成されている。集電箔12には、未塗工部12aが設定されている。未塗工部12aは、幅方向の端部において長さ方向に沿って設定されている。この実施形態では、未塗工部12aは、幅方向の両端に設定されている。電極合材スラリーは、集電箔12に対して未塗工部12aを除いた部位に塗工される。これによって、集電箔12の未塗工部12aを除いた部位には、電極活物質層14が形成される。
【0013】
集電箔への電極活物質層の塗工には、公知の塗工装置を用いることができる。塗工装置としては、例えば、スリットコータ、グラビアコータ、ダイコータ、コンマコータ等を用いることができる。集電箔12は、バックアップロールに支持された状態で、当該バックアップロールに支持された面とは反対側の面に電極活物質層14が塗工されうる。塗工装置の下流には、集電箔12に塗工された電極活物質層14を乾燥させるための乾燥装置が設けられていてもよい。乾燥装置としては、熱風、赤外線等によって電極活物質層14を乾燥させる装置が用いられうる。
【0014】
図1に示されているように、電極シート10は、巻出ロール21に巻き付けられている。電極シート10は、予め設定された搬送経路に沿って搬送され、巻取ロール22に巻き取られる。巻出ロール21と巻取ロール22は、それぞれ巻出しおよび巻取りが完了したロールと新たなロールとを切り替えるオートスプライス装置に取り付けられていてもよい。巻出ロール21と巻取ロール22は、搬送装置20によって駆動される。なお、詳細な図示は省略するが、電極製造装置1では、電極シート10が搬送される搬送経路が設定されている。搬送経路は、例えば、ガイドロール、ダンサーロール、フィードロール等のロール25によって設定されうる。
【0015】
〈搬送装置20〉
搬送装置20は、電極シート10を搬送する。特に限定されないが、電極シート10の搬送速度は、30m/分~150m/分程度に設定されうる。この実施形態では、搬送装置20として、モータが用いられている。搬送装置20は、予め定められた搬送速度で電極シート10を搬送できるよう、巻出ロール21と巻取ロール22の回転を駆動する。搬送装置20によって駆動される巻出ロール21と巻取ロール22の回転速度は、制御装置90によって制御されていてもよい。巻出ロール21と巻取ロール22の回転速度は、電極シート10の搬送速度と一定になるように、予め定められたプログラムに従って制御されうる。巻出ロール21と巻取ロール22の回転速度は、例えば、巻出ロール21および巻取ロール22に巻かれている電極シート10の量に応じて制御されうる。巻出ロール21から巻出された電極シート10は、圧縮装置40に向かって搬送される。
【0016】
圧縮装置40と巻出ロール21の間には、図示しない異物除去装置が設けられていてもよい。巻出ロール21から巻出された電極シート10は、異物除去装置に搬送される。異物除去装置では、接触または非接触で電極シート10の表面の異物を除去できる装置が用いられうる。異物除去装置を通過した電極シート10は、圧縮装置40に搬送される。
【0017】
〈圧縮装置40〉
圧縮装置40は、搬送装置20で搬送される電極シート10を圧縮する。電極シート10の電極活物質層14は、圧縮装置40によって圧縮され、所要の厚みおよび密度に調整されうる。圧縮装置40は、一対の圧延ロール42,44を有している。電極シート10は、一対の圧延ロール42,44によって挟まれる。一対の圧延ロール42,44の間隙を通り圧延されることによって、電極シート10の電極活物質層14は、圧縮される。
【0018】
一対の圧延ロール42,44のうち、圧延ロール42は下方に設けられており、圧延ロール44は上方に設けられている。圧延ロール42,44は、図示しない回転駆動装置によって回転するように構成されている。電極シート10は、圧延ロール42,44の間を搬送される。圧延ロール42,44の間隙は、圧縮される前の電極シート10の厚みよりも狭く設定されている。これによって、電極シート10は、圧延ロール42,44によって圧縮されつつ搬送される。電極シート10は、圧延ロール42,44の間隙に対して略水平に搬送され、圧縮される。
【0019】
ところで、圧縮前の電極シート10に形成された電極活物質層14の厚みは、塗工されている電極合材スラリーの量によって変動しうる。塗工された電極合材スラリーの量は、必ずしも電極シート10の面内において一定ではない。また、圧延ロール42,44の回転によって、圧延ロール42,44の回転軸の軸受には摩擦熱が発生しうる。摩擦熱により、圧延ロール42,44が不均一に膨張しうる。このように、電極活物質層14の状態、圧延ロール42,44の状態等に応じて、圧縮後の電極シート10の厚みが一定にならない場合がある。圧縮装置40には、電極シート10の厚みのばらつきを抑える機構が設けられている。この実施形態では、電極シート10の厚みは、圧延ロール42,44の間隔を制御することによって調整される。なお、電極シート10の厚みのばらつきを抑える機構は、特に限定されず、電極シート10に作用するプレス圧力を制御する機構によって実現されてもよい。
【0020】
電極シート10のプレス圧力を調整することによって、電極活物質層14の厚みのばらつきが低減されうる。この実施形態では、プレス圧力は、圧延ロール42,44に接続されたプレスシリンダ43によって調整される。プレスシリンダ43は、圧延ロール42,44のうち少なくともいずれか一方を上方または下方に駆動することによって、圧延ロール42,44間の間隙を調整する。これによって、電極シート10に対するプレス圧力が調整される。電極シート10に対するプレス圧力は、圧延ロール42,44の間隙を通る電極シート10に形成されている電極活物質層14の量と、圧延ロール42,44の間隙とに応じて変動しうる。圧縮装置40には、プレス圧力を測定するための図示しない圧力計が設けられていてもよい。この実施形態では、圧力計は、圧縮装置40の油圧系統内に設けられている。プレス圧力の経時変化は、制御装置90に送信される。また、測定されるプレス圧力に応じて圧延ロール42,44の間隙が調整される。例えば、電極シート10の単位長さあたりの電極活物質層14の量が多いほどプレス圧力が高く、少ないほどプレス圧力が低くなる。圧縮装置40では、プレス圧力が高い場合ほど圧延ロール42,44の間隙が狭くなり、プレス圧力が低いほど圧延ロール42,44の間隙が広くなるようにプレスシリンダ43の移動量が制御される。相対的に電極活物質層14の量が多い部分が高いプレス圧力で圧縮されることによって、電極シート10の厚みのばらつきが低減されうる。
【0021】
なお、圧縮装置40の上流には、圧縮前に予備的に電極シート10を圧縮するプレス前延伸装置が設けられていてもよい。圧縮装置40の下流には、圧縮後の電極シート10の厚みを調整するプレス後延伸装置が設けられていてもよい。
【0022】
〈膜厚計50〉
膜厚計50は、圧縮装置40で圧縮された後の電極シート10のインライン膜厚を測定する装置である。膜厚計50は、電極シート10のうち、電極活物質層14が形成されている部位の膜厚を測定する。膜厚計50は、搬送される電極シート10の厚みを連続的に測定可能である限りにおいて、特に限定されない。この実施形態では、膜厚計50としては、非接触で膜厚を測定可能な装置が用いられている。膜厚計50は、電極シート10の幅方向において、一箇所の厚みを測定可能であってもよく、複数箇所の厚みを測定可能であってもよく、幅方向の予め定められた範囲または全範囲を測定可能であってもよい。測定された電極シート10の膜厚は、制御装置90に送信される。膜厚が測定された後は、電極シート10は、タブ形成装置60に搬送される。
【0023】
〈タブ形成装置60〉
タブ形成装置60は、搬送装置20で搬送される電極シート10の予め定められた位置にタブ12b(
図2参照)を形成する装置である。タブ形成装置60は、電極シート10が圧縮装置40で圧縮された後の電極シート10にタブ12bを形成する。タブ形成装置60では、電極シート10に対してレーザが照射される。これによって、電極シート10には、予め定められたピッチで予め定められた形状のタブ12bが形成される。タブ形成装置60によって形成されるタブ12bのピッチ、寸法等は、特に限定されず、目的とする電極体の構成に応じて適宜設定される。
【0024】
この実施形態では、タブ12bは、集電箔12の未塗工部12aの端部から幅方向外側に向かって突出している(
図2参照)。タブ12bは、基端から終端に向かって徐々に幅が狭くなった略台形状である。タブ12bの形状は、特に限定されず、例えば、略矩形状であってもよい。タブ12bのピッチは、電極体の構成に応じて予め定められうる。電極体がいわゆる積層電極体である場合には、タブ12bのピッチは、一定のピッチに設定されうる。なお、積層電極体とは、複数の正極シートおよび負極シートがセパレータを介して積層された構成の電極体である。電極体がいわゆる捲回電極体である場合には、タブ12bのピッチは、長さ方向に沿って変えられうる。電極シート10が捲回された際に複数のタブ12bが重なるように、タブ12bのピッチは、長さ方向に沿って徐々に広くなったり狭くなったりするように設定されうる。なお、捲回電極体とは、正極シートと、負極シートとがセパレータを介して重ねられて捲回された電極体である。
【0025】
タブ形成装置60は、タブ加工室65内に設けられていてもよい。タブ加工室65内は、外壁によって外部と隔てられている。タブ加工室65には、入口65aおよび出口65bが設けられている。
【0026】
図3は、タブ形成装置60を示す模式図である。
図3に示されているように、タブ形成装置60は、チャンバ61と、レーザ発振器62と、スキャナ63とを備えている。電極シート10は、チャンバ61の入口61aから出口61bに向かって搬送される。この実施形態では、上方から下方に向かって搬送されるように、電極シート10の搬送経路が設定されている。
【0027】
チャンバ61は、電極シート10にタブ12bを形成する空間を囲っている。この実施形態では、電極シート10は、略一定の速さでチャンバ61内を搬送される。チャンバ61内には、複数のガイドローラ61cと、ベルト61dと、ガイドローラ61eとが設けられている。複数のガイドローラ61cは、チャンバ61の入口61aから搬送される電極シート10を案内するローラである。ガイドローラ61eは、出口61bに向かって搬送される電極シート10を案内するローラである。電極シート10の両面がそれぞれ複数のガイドローラ61cおよびガイドローラ61eに沿って搬送されることによって、電極シート10の搬送時のバタつきが抑えられる。
【0028】
チャンバ61内を搬送される電極シート10には、レーザ発振器62からレーザが照射される。レーザの波長、周波数、出力等は適宜設定される。レーザ発振器62は、スキャナ63に取り付けられている。スキャナ63は、レーザの照射角度を制御する。スキャナ63によってレーザの照射角度が制御されることによって、電極シート10に照射されるレーザ軌跡Lが定められうる。スキャナ63は、電極シート10の面方向に沿って移動する図示しない移動装置に取り付けられていてもよい。レーザ軌跡Lは、スキャナ63の位置と、スキャナ63によるレーザの照射角度とによって定められていてもよい。この実施形態では、レーザ軌跡Lは、制御装置90によって制御されている。
【0029】
制御装置90は、例えば、マイクロコンピュータでありうる。制御装置90は、例えば、通信用インターフェースと、CPUと、ROMと、RAMとを備えている。制御装置90は、レーザ発振器62およびスキャナ63を制御することによって、レーザ軌跡Lを制御する。制御装置90は、例えば、搬送装置20等、電極製造装置1に設けられている他の設備も制御できるように構成されていてもよい。
【0030】
図2に示されているように、電極シート10の未塗工部12aの幅方向の両側には、同一形状の略台形状のタブ12bが形成される。スキャナ63(
図3参照)には、2つのレーザ発振器62(
図3参照)が接続されていてもよい。レーザ軌跡Lは、未塗工部12aの両側において、線対象になるように制御されうる。なお、未塗工部12aの両側に同一形状のタブ12bが形成される形態に限られない。集電箔の未塗工部の両側には、非対称のタブが形成されていてもよく、集電箔の未塗工部の片側にタブが形成されてもよい。
【0031】
タブ12bは、電極シート10(この実施形態では、未塗工部12a)に対してレーザ発振器62からレーザが照射され、端部が切断されることによって形成される。電極シート10に照射されるレーザのレーザ軌跡Lは、制御装置90(
図1参照)に予めプログラムされたタブ加工条件に応じ制御される。タブ加工条件は、目的の電極体の構成等に応じて予めプログラムされている。タブ加工条件は、目的の形状、ピッチ等に応じて設定されたレーザ軌跡Lを含んでいる。タブ形成時には、プログラムされたタブ加工条件に従ってレーザ発振器62とスキャナ63の挙動が順次制御される。これによって、電極シート10には、予め定められたピッチで予め定められた形状のタブ12bが形成される。なお、タブ12bのピッチおよび形状は、全てのタブ12bにおいて一定である必要はない。この実施形態では、タブ12bのピッチおよび形状は、電極体形成時に配置される位置等に応じて個別に設定され、加工条件にプログラムされている。
【0032】
電極シート10には、以下の手順でタブ12bが形成されうる。はじめに、電極シート10がチャンバ61(
図2参照)内に搬送される。次に、未塗工部12a上の基準位置Rにレーザが照射される。基準位置Rは、レーザが照射される位置の起点となる位置でありうる。次に、制御装置90がプログラムされている複数の加工条件のうち1つ目の加工条件に従ってレーザ発振器62とスキャナ63が制御され、未塗工部12aに対して予め定められたレーザ軌跡Lに沿ってレーザが照射される。次に、レーザ軌跡Lは、予め定められた長さG(例えば、隣り合うタブ12bの間の長さ)だけ電極シート10の上流側に向かって進むように設定されている。これによって、レーザが照射された位置よりも外側が切り落とされ、タブ12bの基端となる側面12a1が形成される。レーザの照射が停止され、電極シート10は、予め定められた長さだけ搬送される。電極シート10の切断端部は、基準位置Rまで搬送される。次の加工条件に従って、レーザ発振器62(
図1参照)とスキャナ63(
図1参照)が制御され、未塗工部12aに対して、基準位置Rから予め定められた軌跡に沿ってレーザが照射される。再び電極シート10が予め定められた長さ搬送される。以上の操作が繰り返されることによって、電極シート10の未塗工部12aには、タブ12bが順次形成される。レーザによって電極シート10から切断された集電箔12の未塗工部12aの破片は、ベルト61d(
図3参照)によって吸着されうる。ベルト61dは、例えば、電極シート10の幅方向の両側の端部に設けられている。ベルト61dに吸着された破片は、チャンバ61外に搬送され、図示しない廃材分離装置によって回収されうる。
【0033】
ここで、タブ形成装置60においてタブ12bが形成される際の電極シート10の搬送量は、回転エンコーダ70(
図1参照)によって計測される。
【0034】
〈回転エンコーダ70〉
回転エンコーダ70は、
図1に示されているように、タブ形成装置60よりも下流に設けられた一対のロール71,72のうち一方のロール71に設けられている。電極シート10の搬送経路は、ロール71に沿うように設定されている。ロール71は、電極シート10の搬送に伴って回転するように構成されている。ロール72は、電極シート10をロール71に対して押さえつける押さえロールである。ロール72は、図示しない回転駆動装置によって回転するように構成されている。これによって、ロール71の回転と、電極シート10の搬送とが合わせられやすい。回転エンコーダ70は、電極シート10が搬送されている際のロール71の回転数を検出する。ロール71の回転数は、制御装置90に送信される。
【0035】
受信した回転数に基づいて、制御装置90は、電極シート10の搬送量を計算する。制御装置90は、計算された搬送量に基づいて搬送装置20を駆動し、電極シート10が搬送される。制御装置90は、ロール71の回転数と、ロール71の半径と、電極シート10の厚みに基づいて電極シート10の搬送量を計算する。電極シート10の搬送量は、例えば、以下の式で計算される。
式:搬送量=2π×(ロール71の半径+電極シート10の厚みの半分)×ロール71の回転数
【0036】
ところで、圧縮装置40で圧縮された後の電極シート10の膜厚は、長さ方向において必ずしも一定ではない。長さ方向における電極シート10の膜厚は、塗工されている電極活物質層14のばらつき、圧縮時に電極活物質層14に対して加わるプレス圧力のばらつき等によって変わりうる。この実施形態では、測定された電極シート10のインライン膜厚は、制御装置90に送信される。制御装置90は、インライン膜厚に基づいて、電極シート10の搬送量を制御するように構成されている。制御装置90は、例えば、膜厚計50で測定されたインライン膜厚を上記の式の「電極シート10の厚み」として入力し、電極シート10の搬送量を制御しうる。制御装置90は、測定されたインライン膜厚が大きい程、電極シート10の搬送量が大きくなるように、搬送装置20を制御する。これによって、長さ方向における電極シート10の厚みのばらつきによらず、電極シート10の搬送量を合わせやすい。その結果、タブ形成装置60で形成されるタブ12bのピッチが安定しやすい。
【0037】
続いて、電極シート10は、形状取得装置80に向かって搬送される。タブ形成装置60と形状取得装置80の間には、半裁装置75が設けられていてもよい。半裁装置75は、タブ12bが形成された電極シート10の幅方向の中央部で切断する装置であり、スリッタとも称される。幅方向の中央部で切断されることによって、電極シート10の幅方向において、一端はタブ12bが設けられ、他端は未塗工部12aが設けられない状態となる。半裁された一方の電極シート10と他方の電極シート10は、それぞれ異なる巻取ロール22に巻取られる。半裁された電極シート10は、端部の粉塵を除去する図示しないエッジクリーナに搬送された後に形状取得装置80に搬送されてもよい。
【0038】
〈形状取得装置80〉
形状取得装置80は、電極シート10の形状データを取得する装置である。形状取得装置80は、電極シート10の画像を取得し、画像検査を行い、検査結果を出力する。ここでは、形状取得装置80は、圧縮装置40で圧縮され、タブ12bが形成された後の電極シート10の形状データを取得する。形状取得装置80は、カメラ81,82と、処理部84とを備えている。
【0039】
カメラ81,82では、それぞれ異なる形状データが取得される。カメラ81は、電極シート10の幅方向において、少なくとも一方の端部から他方の端部に亘って電極シート10を撮像可能なラインカメラである。カメラ81は、搬送中の電極シート10の画像データを取得し、処理部84に送信する。処理部84は、カメラ81から送信された電極シート10の画像データを寸法データに変換する。この実施形態では、カメラ81から送信された画像データは、電極シート10の幅寸法に変換される。処理部84は、電極シート10の幅寸法を電極シート10の長さ方向における位置情報と関連付けて記録する。このため、処理部84では、長さ方向においてそれぞれの位置における電極シート10の幅寸法が記録される。
【0040】
カメラ82は、電極シート10のタブ12bを撮像可能なエリアカメラである。カメラ82は、搬送中の電極シート10のタブ12bの画像データを取得し、処理部84に送信する。この実施形態では、処理部84は、カメラ82から送信される画像データを寸法に変換する。タブ12bの寸法は、タブ12bの高さ、幅、角度、隣り合うタブ12b間のピッチ等を含みうる。処理部84は、電極シート10の幅寸法と同様、タブ12bの寸法を電極シート10の長さ方向における位置情報と関連付けて記録する。このため、処理部84では、長さ方向においてそれぞれの位置における電極シート10の幅寸法に加えてタブ12bの寸法が記録される。電極シート10の形状データは、電極シート10の幅寸法、タブ12bの寸法を含みうる。形状取得装置80の処理部84によって処理され記録された当該形状データは、制御装置90に送信される。
【0041】
なお、形状取得装置80は、電極シート10の形状以外のデータを取得できるように構成されていてもよい。形状取得装置80は、例えば、電極シート10の外観を、形状データと併せて取得できるように構成されていてもよい。電極シート10の外観としては、例えば、電極活物質層14の剥がれ等の状態が取得されてもよい。形状取得装置80によって形状データを取得された電極シート10は、巻取ロール22に搬送され、巻取ロール22で巻取られる。形状取得装置80と巻取ロール22の間には、巻出ロール21と圧縮装置40の間と同様、図示しない異物除去装置が設けられていてもよい。
【0042】
巻取られた電極シート10は、巻取ロール22に巻取られた状態で次の工程に送られる。詳細な説明は省略するが、切出し工程、捲回工程、成形工程等を経て電極体が製造される。切出し工程では、巻取ロール22から電極シート10を巻出し所定の長さに切り出す。捲回工程では、電極シート10のタブ12bが重なるように、電極シート10を、他極の電極シートと共にセパレータを介して捲回し捲回体を作製する。成形工程は、捲回体を加圧成形して扁平形状に成形する。なお、電極体を製造する工程は、上述した形態に限定されない。製造された電極体は、ケースに収容される。電極体が収容されたケースには、電解液が注液され、組立体が製造される。組立体に対して種々の処理が施され、蓄電デバイスが製造される。
【0043】
ところで、本発明者の知見では、複数のタブが重ねられた電極が用いられた蓄電デバイスにおいて、タブの加工の安定性は、蓄電デバイスの性能に影響しうる。タブの加工が安定していない場合には、タブの溶接時に溶接不良が発生する等のおそれがある。本発明者の試行によると、タブのピッチ、形状、寸法等の目標値に応じた加工条件に基づいてタブ形成装置を制御し電極シートにタブを形成した場合であっても、タブのピッチ、形状、寸法等は、目標値(設定値)からずれる場合があることがあることがわかった。本発明者の試行により、電極シートは、加工時の加工条件に応じて、加工の前後、巻取り前後等において変形しうることがわかった。その結果、タブのピッチ、形状、寸法等も影響を受け、目標値から外れる場合がある。
【0044】
図4は、プレス圧力と、集電箔の伸びとの関係を示すグラフである。
図4の「プレス圧力」とは、電極活物質層が圧縮される際のプレス圧力を示している。
図4の「集電箔の伸び」とは、電極活物質層が圧縮された後の電極シートが巻取ロールに巻取られた状態で、集電箔が伸びる量を示している。本発明者の知見では、圧縮後の電極シートが巻取ロールに巻取られた後の集電箔の伸びる現象は、例えば、圧縮時に電極シートに作用した応力が、巻取ロールに巻取られた状態で緩和する際に起こりうる。このため、
図4に示されているように、電極活物質層が圧縮される際のプレス圧力が高い程、圧縮後の電極シートが巻取ロールに巻き取られた後の集電箔の伸びが大きくなる。ただし、プレス圧力が高くなる程、集電箔の伸びの増加率は小さくなる。このようなプレス圧力と集電箔の伸びの関係は、電極シートの材料、寸法等の条件に応じて異なりうる。プレス圧力が高い場合に、巻取ロールに巻取られた電極シートの集電箔は、必ずしも伸びるとは限らない。電極シートの材料によっては、巻取ロールに巻取られた電極シートの集電箔は、縮む場合もありうる。このため、製造される電極シートに応じて、試験、シミュレーション等によってプレス圧力と集電箔の変形の関係が予め取得されているとよい。
【0045】
図1に示されている実施形態では、電極製造装置1は、搬送装置20と、圧縮装置40と、タブ形成装置60と、制御装置90とを備えている。搬送装置20は、電極シート10を搬送する。圧縮装置40は、搬送装置20で搬送される電極シート10を圧縮する。タブ形成装置60は、電極シート10が圧縮装置40で圧縮された後で、搬送装置20によって搬送される電極シート10にタブ12bを形成する。電極シート10は、幅方向の端部において長さ方向に沿って未塗工部12aが設定された帯状の集電箔12と、帯状の集電箔12のうち未塗工部12aを除く部分に形成された電極活物質層14とを備えている。圧縮装置40は、電極シート10を挟み、電極活物質層14を圧縮する一対の圧延ロール42,44を有している。タブ形成装置60は、電極シート10にレーザを照射し、予め定められたピッチで予め定められた形状のタブ12bを形成する装置である。ここで、制御装置90は、圧縮装置40のプレス圧力に基づいて、タブ形成装置60のレーザ軌跡を制御するように構成されている。
【0046】
上述したように、圧縮装置40の圧延ロールで電極シート10の電極活物質層14に加わるプレス圧力は、制御装置90に送信される。制御装置90は、受信したプレス圧力に基づいてタブ形成装置60のレーザ軌跡を制御する。
図5は、集電箔12の変形量と、タブ12bのピッチの補正量との関係を示すグラフである。
図5に示されているように、制御装置90は、電極シート10が巻取ロール22に巻取られた状態の集電箔12の変形量(この実施形態では、集電箔12の伸び)が大きくなる程、タブ12bのピッチの補正量が大きくなるようにレーザ軌跡Lを補正する。ここでは、補正量を大きくすることは、タブ12bのピッチを小さくすることに相当する。例えば、プレス圧力が高い程、巻取り後の集電箔12の伸びが大きくなるため(
図4参照)、これに応じて隣り合うタブ12bの間のピッチが大きくなりうる。制御装置90は、集電箔12の伸びが大きくなる程、隣り合うタブ12bの間のピッチが小さくなるようにレーザ軌跡Lを補正する。これによって、集電箔12が変形した後のタブ12bのピッチが安定する。なお、レーザ軌跡Lの補正は、例えば、レーザ発振器62およびスキャナ63のうちいずれか一方を制御することによって実現されうる。レーザ軌跡Lの補正は、制御装置90に記録されているタブ加工条件に組み込まれる。電極活物質層14の圧縮による集電箔12の変形が加工条件に組み込まれることによって、タブ12bのピッチが安定する。なお、タブ12bのピッチ以外にも、形状、寸法等が補正されてもよい。
【0047】
電極製造装置1では、圧縮装置40でのプレス圧力以外にも種々の条件に基づいてタブ12bの形成が制御されうる。
【0048】
上述したように、電極製造装置1は、電極シート10の形状データを取得する形状取得装置80を備えている。制御装置90は、形状取得装置80で取得された形状データに基づいて、タブ形成装置60のレーザ軌跡Lを制御するように構成されている。上述したように、形状取得装置80の処理部84によって処理され記録された、電極シート10の形状データは、制御装置90に送信される。制御装置90は、受信した形状データに基づいてタブ形成装置60のレーザ軌跡を制御する。制御装置90は、タブ12bの形成時に実行された加工条件と、電極シート10の形状データとを照合する。加工条件と形状データのずれが大きい場合には、加工条件を補正し、レーザ軌跡Lを制御する。例えば、加工条件に基づく目的のタブの寸法と、実際に形成されたタブ12bの寸法との差が予め定められた閾値よりも大きい場合には、形成されるタブ12bの寸法が目的のタブのピッチ、寸法等と近づくようにレーザ軌跡Lが制御される。このように、形状取得装置80で取得された形状データは、タブ形成装置60でのタブ12bの加工にフィードバックされる。これによって、タブ12bの寸法のばらつきが、タブ形成の時点で未然に低減される。その結果、タブ12bの寸法、形状等が安定しうる。
【0049】
上述したように、電極製造装置1は、タブ形成装置60でタブ12bが形成された後で電極シート10を巻取る巻取ロール22を備えている。制御装置90は、電極シート10の搬送量に基づいて、巻取ロール22に巻取られた電極シート10が巻取られた長さを取得しうる。制御装置90は、電極シート10の搬送量を積算することによって、電極シート10が巻取られた長さを取得してもよい。制御装置90は、巻取ロール22に巻取られた電極シート10の半径に基づいて、タブ形成装置60のレーザ軌跡Lを補正するように構成されている。なお、巻取ロール22に巻取られた電極シート10の半径は、変位計によって直接測定され、制御装置90に送られてもよい。
【0050】
図6は、電極シートの半径と、集電箔の伸びとの関係を示すグラフである。なお、電極シートの半径とは、巻取ロールの中心軸から電極シートが巻取られている位置までの距離である。電極シートが巻取ロールに巻取られると、電極シートには、巻取ロールの軸からの距離に応じた応力がかかりうる。その結果、
図6に示されているように、巻取ロールの軸から離れる程、巻取り後の集電箔の伸びが大きくなる。ただし、巻取ロールの軸から離れる程、集電箔の伸びの増加率は小さくなる。このような巻取ロールの軸からの距離と集電箔の伸びの関係は、電極シートの材料、寸法等の条件に応じて異なりうる。このため、製造される電極シートに応じて、試験、シミュレーション等によってプレス圧力と集電箔の伸びの関係が取得されていてもよい。制御装置90は、電極シートが巻取られた長さと、集電箔の伸びとの関係に基づいて、レーザ軌跡Lを補正する。例えば、巻取ロール22からの距離が離れる程、集電箔12が伸びるため、タブ12bのピッチが小さくなるようにレーザ軌跡Lを補正する。レーザ軌跡Lの補正は、制御装置90に記録されているタブ加工条件に組み込まれる。これによって、タブ12bのピッチが安定しうる。
【0051】
以上、ここで開示される技術について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される技術は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。また、本明細書は、以下の各項に記載の開示を含んでいる。
【0052】
項1:
電極シートを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置で搬送される前記電極シートを圧縮する圧縮装置と、
前記電極シートが前記圧縮装置で圧縮された後で、前記搬送装置によって搬送される前記電極シートにタブを形成するタブ形成装置と、
制御装置と
を備え、
前記電極シートは、少なくとも一方の幅方向の端部において長さ方向に沿って未塗工部が設定された帯状の集電箔と、前記帯状の集電箔のうち前記未塗工部を除く部分に形成された電極活物質層とを備え、
前記圧縮装置は、前記電極シートを挟み、前記電極活物質層を圧縮する一対の圧延ロールを有し、
前記タブ形成装置は、前記電極シートにレーザを照射し、予め定められたピッチで予め定められた形状のタブを形成する装置であり、
前記制御装置は、前記圧縮装置のプレス圧力に基づいて、前記タブ形成装置のレーザ軌跡を制御するように構成された、
電極製造装置。
【0053】
項2:
前記電極シートの形状データを取得する形状取得装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記形状取得装置で取得された前記形状データに基づいて、前記タブ形成装置のレーザ軌跡を制御するように構成された、項1に記載された電極製造装置。
【0054】
項3:
前記制御装置は、前記圧縮装置で圧縮された後の前記電極シートのインライン膜厚に基づいて、前記電極シートの搬送量を制御するように構成された、項1または2に記載された電極製造装置。
【0055】
項4:
前記タブ形成装置でタブが形成された後で前記電極シートを巻取る巻取ロールをさらに備え、
前記制御装置は、前記巻取ロールに巻取られた前記電極シートの半径に基づいて、前記タブ形成装置のレーザ軌跡を補正するように構成された、項1~3のいずれか一項に記載された電極製造装置。
【符号の説明】
【0056】
1 電極製造装置
10 電極シート
12 集電箔
12a 未塗工部
12a1 側面
12b タブ
14 電極活物質層
20 搬送装置
21 巻出ロール
22 巻取ロール
40 圧縮装置
42,44 圧延ロール
43 プレスシリンダ
50 膜厚計
60 タブ形成装置
61 チャンバ
61c ガイドローラ
61d ベルト
61e ガイドローラ
62 レーザ発振器
63 スキャナ
65 タブ加工室
70 回転エンコーダ
71,72 ロール
75 半裁装置
80 形状取得装置
81,82 カメラ
84 処理部
90 制御装置
L レーザ軌跡
R 基準位置