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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164689
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】多機能家具
(51)【国際特許分類】
   A47C 13/00 20060101AFI20241120BHJP
   A47B 83/00 20060101ALI20241120BHJP
   A47C 4/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A47C13/00 B
A47B83/00
A47C4/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080356
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】城ノ下 朋興
(72)【発明者】
【氏名】深谷 壮麻
【テーマコード(参考)】
3B095
3B260
【Fターム(参考)】
3B095AA02
3B095AC02
3B095AC04
3B095CA06
3B095EA02
3B260AB01
3B260AB04
3B260AC01
(57)【要約】
【課題】オフィスでのワーキングスタイルの変化や大学でのラーニングスタイルの変化に的確に対応して知的生産性の向上に貢献できる多機能家具を提供する。
【解決手段】家具は、側板1と天板2は底板3と背板4とを有する箱型の外観を呈しており、底板3には接地突起9を設けて、天板2には係合穴10を設けている。係合穴10にはフランジ11aを備えたキャップ11が装着されている。家具は、単体としても重ねた状態でも、椅子や台、収納装置として使用できる。積み重ねた状態でずれ不能に保持されるため、椅子や台として安定的に使用できる。パネル13を載せてテーブル仕様とすることもできる。家具は持ち運び自在であり、オフィス等において任意の場所に一人用やグループ用の作業空間を簡単に形成できるため、創造性が引き出されて知的生産性の向上に貢献できる環境を簡単に構築できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単体では人が椅子として使用可能であると共に、積み重ねて台として使用可能なスツールタイプの多機能家具であって、
下面には、設置面に当接する接地突起が設けられ、
上面には、他の多機能家具を上下に積み重ねたときに上段の多機能家具の接地突起が係合する係合穴が形成されている、
多機能家具。
【請求項2】
前記下面には、前記接地突起が複数設けられている、
請求項1に記載の多機能家具。
【請求項3】
前記上面には、前記係合穴が複数形成されている、
請求項1又は2に記載の多機能家具。
【請求項4】
前記各係合穴には、上端にフランジを備えた樹脂製又は金属製のキャップを装着している、
請求項3に記載した多機能家具。
【請求項5】
平面視正多角形に形成されており、前記接地突起と係合穴とは、中心から各頂点を通る線上でかつ中心から等しい位置に形成されている、
請求項1に記載した多機能家具。
【請求項6】
前記上面を構成する天板と、前記下面を構成する底板との間は、外周方向に開口した物品収納空間になっている、
請求項1に記載した多機能家具。
【請求項7】
平面視正方形であり、4つの側面のうち1つの面が開口している、
請求項1に記載した多機能家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばオフィスや大学などにおいて椅子や物品載置台等として使用可能な多機能家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスでは一人一人が個人専用のデスクを使用して作業をこなすワーキングスタイルが主流であったが、近年、創造性や知的生産性の視点からワーキングスタイルが大きく変化している。例えば、複数人が議論してアイデアを出し合うスタイルや、逆に、他人を排除して一人で思索や研究に集中するスタイルなどである。また、新型コロナに起因した在宅勤務の広がりから、オフィスがコミュニケーションの場としての意味合いも強くなっている。
【0003】
このような職務内容等の変化により、従来の固定席で作業を行うワーキングスタイルから、ワーカーが必要に応じて作業場所を選択するフリーアドレスシステムも広がっている。また、オフィスにリフレッシュ空間を形成することも行われている。
【0004】
新たなワーキングスタイルにとって重要なことは、個々のワーカーが互いに触発しあいながら知的能力をフルに発揮させるということであり、そのためには、ワーカーの自発性を引き出す環境が必要である。また、引っ込み思案の人からもアイデアを引き出せるような環境も重要である。
【0005】
オフィスの職務は多種多様であるので、求められる環境も多種多様であるが、個々のワーカーが自主と強調とを調和させ得る環境が必要であるといえる。つまり、一人で集中できる環境や、グループを随時に形成できる環境、目的に応じてグループを離合集散させ得る環境、グループに簡単に参加したり脱退したりできる環境が重要であると云える。
【0006】
してみると、オフィスで使用する家具もワーキングスタイルの変化に対応することが必要であり、特に、人がどこでも集まって議論できる場を形成できる家具が求められているといえる。この点については、移動自在なテーブルを核にしてその周囲に椅子を配置することが考えられるが、テーブルの大きさは一定であるため、集合できる人の数もおのずと決まることになり、フレキシビリティに欠けると云える。また、堅苦しさも払拭し難い。
【0007】
他方、大学のような高等教育機関でも、従来の受け身的な学習から自発的な学習が推進されており、グループワークやアクティブラーニングが広まっているが、この場合も、「どこでも」「誰とでも」「何人でも」というコンセプトで議論できるような環境が必要である。
【0008】
さて、オフィスでしても教育機関にしても必須のアイテムである椅子は用途に応じて様々な構造が存在し、或いは提案されている。その例として特許文献1には、箱型のスツールタイプの椅子に関し、本体を上向きに開口させて、開口部に張力が掛けられたシート(布ばね)を配置し、シートでクッションを支持する構造が開示されている。
【0009】
オフィスにおいてグループを形成したり、既存のグループに参加したりする場合、或いは教育機関でグループワークを行う場合、移動の自由性が重要である。この点、特許文献1のスツールタイプの椅子は、手で持ち上げて移動できると共に、着座に際して方向性がなくて、腰掛けてから任意の方向に姿勢を変更できるといった利点があり、近年のワーキングスタイルやラーニングスタイルに適合していると解される。いわゆる丸椅子に比べて高級感がある点も、オフィスや大学で受け入れられやすいと云える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平08-228880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さて、オフィスワークにおいてノートパソコンや携帯端末は必須のアイテムであり、一人で作業するにしてもグループワークを行うにしても、これらノートパソコン類を載せる所が必要である。また、資料類や私物を保管できる場所も欲しい。
【0012】
しかるに、特許文献1は単なる椅子に過ぎないため、ノートパソコンなどのワーキングアイテムを使用するには移動式のテーブルを使用せざるを得ず、すると、椅子をスツールタイプにしたことの意味が半減してしまう。資料はテーブルに載せることになるが、ノートパソコンなどを載せると場所がなくなってしまうことも懸念される。私物はカバンなどにいれて床に置かざるを得ないため、衛生面での問題も生じる。
【0013】
本願発明はこのようなオフィス等における現状を背景に成されたものであり、ワーキングスタイルやラーニングスタイルの変化に的確に対応して知的生産性の向上や学習効果の向上に貢献できる多機能家具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明の多機能家具は、請求項1のとおり、
「単体では人が椅子として使用可能であると共に、積み重ねて台として使用可能なスツールタイプの多機能家具であって、
下面には、設置面に当接する接地突起が設けられ、
上面には、他の多機能家具を上下に積み重ねたときに上段の多機能家具の接地突起が係合する係合穴が形成されている」
という構成である。
【0015】
本願発明は、様々に展開することができる。その例を請求項2以下で例示している。このうち請求項2の発明は、請求項1において、
「前記下面には、前記接地突起が複数設けられている」
という構成になっている。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、
「前記上面には、前記係合穴が複数形成されている」
という構成になっている。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3において、
「前記各係合穴には、上端にフランジを備えた樹脂製又は金属製のキャップを装着している」
という構成になっている。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1において、
「平面視正多角形に形成されており、前記接地突起と係合穴とは、中心から各頂点を通る線上でかつ中心から等しい位置に形成されている」
という構成になっている。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1において、
「前記上面を構成する天板と、前記下面を構成する底板との間は、外周方向に開口した物品収納空間になっている」
という構成になっている。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1において、
「平面視正方形であり、4つの側面のうち1つの面が開口している」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0021】
本願発明の多機能家具は、単一のものを椅子として使用したり物品載置台として使用したりできる。また、複数の家具を積み重ねることによっても物品の載置台として使用できるし、2つの家具を積み重ねてこれを椅子として使用することも可能である。
【0022】
従って、例えば、1つの家具を椅子として使用し、2つの家具を重ねて台として使用してノートパソコンを載せる、といったことが可能である。2つの家具を重ねて椅子(ハイチェア)として使用することも可能である。台として使用する場合、家具の上にノートパソコンなどを直接載せることもできるし、家具でパネルを支持して、このパネルを天板として使用すること(テーブル仕様として仕様すること)も可能である。また、家具の側面を開口させて物品収納機能を持たせることもできる。
【0023】
このように、家具を椅子や台等として使用することにより、テーブルを使用することなく一人で作業をしたり、複数人でグループワークしたりできるが、本願発明の多機能家具の特徴は、持ち運び自在なコンパクト性・機動性を有する点と、スツールタイプであってリラックスした状態で使用できる点と、1種類で椅子と台等の機能を併用している点であり、このような特徴により、テーブルを使用することなく、オフィスや大学の任意の場所に単独用又はグループ用の作業空間・学習空間を簡単に形成できる。従って、ワーカーや学生の自由な発想を引き出して知的生産性を向上できる環境を簡単に構築できる。
【0024】
そして、家具を複数台積み重ねた状態で上下の家具はずれ不能に位置決めされているため、積み重ねて台や椅子として使用するにおいて高い安定性を確保できる。2台の家具を重ねてハイチェアとして使用する場合、いわゆるチョイ掛けの状態になるが、この場合でも上下の家具は安定した状態に保持されるため、椅子として安全に使用できる。保管するにおいても、多数個を積み重ねてもずれ動かないため、スペースを有効利用しつつ安定的に保持できる利点もある。
【0025】
テーブル代わりの台として使用する場合、1つのユニットを一人の専用品として使用できるため、単独で仕事を行うにしても、グループで作業を行うにしても、いわば一人のテリトリーを明確化して気兼ねなく仕事や学習を行える。
【0026】
また、本願発明の特徴は、例えば2段や3段に重ねて台として使用するにおいて、複数のユニットを左右や前後に重ねて平面積を任意に設定できる点と、1つ又は複数のユニットでパネルを支持して上面を天板化できる点であり、このため、グループの人数等に応じて台装置の面積を任意に設定できる。このような融通性により、創造性を引き出して知的生産性を向上できるワーキング環境・学習環境の生成に大きく貢献できる。
【0027】
更に述べると、家具は任意の個数を水平方向に重ねることが可能であるため、テーブル代わりとなる台を任意の広さで構築できる。従って、グループの人数に応じた広さの台を、即座に形成できる。このような従来のテーブルでは実現できなかった融通性・フレキシビリティにより、知的生産性を向上できる環境の形成に貢献できる。
【0028】
パネルを使用するとプロジェクタの水平投射面に使用できるが、本願発明では任意の大きさのパネルを使用できるため、融通性が高い。この点でも、知的生産性を向上できるワーキング環境等の生成に大きく貢献できる。
【0029】
また、床に載置した場合、床に当たるのは接地突起の下端面のみであるため、家具の下面のうち接地突起を除いた部分が床で汚れることはない。従って、家具を積み重ねたときに、下段の家具の上面が上段の家具の下面で汚れることはなくて、家具の上面を物品の載置台や椅子の座面として綺麗に使用できる。既述のとおり、本願発明の家具の特徴は持ち運び容易な機動性であるが、周壁や天板に引手穴を設けると、片手で吊り下げできるため機動性を更に向上できる。
【0030】
接地突起及び係合穴は、家具の外周部を囲うように環状に形成することも可能であるが、請求項2,3のように、接地突起と係合穴とを複数に分離して設けると、それら接地突起と係合穴との面積を小さくしつつ安定的に載置できる利点がある。家具が四角形である場合は、接地突起と係合穴とを四隅に設けると、それら接地突起と係合穴との平面積をできるだけ小さくしつつ家具を安定良く載置できる。
【0031】
請求項4のように係合穴に樹脂製又は金属製のキャップを装着すると、係合穴の耐久性を向上できる。また、上下に重なった家具の間にフランジの厚さの隙間が空くため、家具の上下面に反りなどがあっても安定よく積み重ねできる。同様に、パネルなどの広い物品を載せるに際しても、パネルに反りがあっても安定よく載せることができる。従って、現実性的な価値は高い。パネルを使用するに際して、キャップのフランジを物品の滑り止めとして機能させることも可能である。
【0032】
家具は、平面視円形や楕円形などの様々な形状を選択できるが、請求項5のように正多角形に形成して各頂点部に接地突起と係合穴とを設けると、家具は任意の平面視姿勢で積み重ねることができる。従って、一々姿勢を確認する必要はなくて、積み重ねをごく簡単に行える。また、側面を開口させて内部を収納空間と成した場合、上下の家具は開口方向を異ならせて積み重ねできるため、例えば、2段に積み重ねたユニットを2人で対向して使用するにおいて、上段の家具と下段の家具との開口方向を逆向きとすることにより、1つずつの家具をそれぞれの人の使用に供することができる。従って、平等性も担保できる。
【0033】
既述のとおり、本願発明の家具は側面を開口させて収納家具としても使用できるが、請求項6はこの点を明確化したものであり、側面が開口しているため物品の出し入れを容易に行える。
【0034】
請求項7のように、家具を平面視正方形に形成すると、側面を密着させた状態で前後方向や左右方向に並設できるため、平面積が異なる台装置を簡単に作ることができる。従って、使用する人数に応じた面積の台装置を随意に形成することを確実化できる。また、各家具は物品の収納箱として使用できるが、1つの面が開口しているため、収納した物品が置く側に脱落することを防止できる。複数の家具を直列状や複数列に配置して、簡易ベッドとして使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は前から見た斜視図、(B)は下から見た斜視図、(C)は2段に重ねた状態の斜視図、(D)は1つのキャップを分離した斜視図である。
図2】第1実施形態を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)は上下に重ねた状態の部分正面図である。
図3】第1実施形態の使用態様例を示す図で、(A)は2つのユニットを使用してパネルを支持している状態を示す図、(B)は4つのユニットを水平方向に重ねてパネルを支持している状態を示す平面図である。
図4】1つの家具が左右に分離した2つの家具に跨がって支持されている使用状態を示す図である。
図5】(A)は第2実施形態の斜視図、(B)は第3実施形態の斜視図、(C)は第4実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は木製の多機能家具(以下、単に「家具」と称する。)に適用している。
【0037】
(1).第1実施形態の構造
まず、図1~4に示す第1実施形態を説明する。第1実施形態の家具は、縦横の寸法と高さとが同じになった立方体状の形態であり、外周のうち1つの側面が開口している。従って、開口面を正面方向として定義すると、家具は、左右の側板1と天板2、底板3、背板4を備えている。家具の各稜線部には丸みを持たせている。
【0038】
左右の側板1と背板4とは底板3の外周面に重なっているが、天板2は側板1と背板4と底板3の上面に重なっている。各板は等しい厚さになっている。背板4の上端部には、人が手先を差し込んで吊り下げるための引手穴5が開口している。
【0039】
天板2の前端部の下面には、補強のために上カマチ6が固定されている。他方、底板3は側板1及び背板4の下端よりも少し高く配置されて上げ底になっており、底板3の前端には巾木7が固定されている。互いに重なったメンバーは、ダボなどの連結具によって固定されている。
【0040】
上記のとおり底板3は上げ底になっているが、底板3の四隅部に、平面視正方形のブロック体8を固定して、各ブロック体8の中心部に下向きの接地突起9を固定している。接地突起9は金属製又は樹脂製であり、円形になっている。ブロック体8の下面は、側板1及び背板4の下面と同一平面を成している。ブロック体8もダボ等の連結具によって底板3に固定されている。
【0041】
天板2の四隅部には、平面視で接地突起9と同心の状態で係合穴(丸穴)10が空いており、係合穴10に樹脂製のキャップ11を上から装着(圧入)している。キャップ11の上端には、天板2の上面に重なるフランジ11aを形成している。図1(C)のように、複数の家具を上下に積み重ねできるが、重ねた状態で、上段の家具の接地突起9が下段の家具のキャップ11にきっちりと嵌入するようになっている。係合穴10は天板2を貫通しているが、下方に貫通せずに上方に開口した底付きの態様であってもよい。また、キャップ11は底付きであってもよい。
【0042】
キャップ11を設ける場合、係合穴10を底付きに形成して、キャップ11はフランジ11aを備えていない形態とすることも可能である。またと、キャップ11は鋼板製やアルミ板製のような金属板製であってもよい。更に、キャップ11を使用せずに、接地突起9を係合穴10に直接挿入することも可能である(この場合は、例えば接地突起9に座金を嵌着するなどして、家具を上部に重ねたときに両者の間に隙間で空くように設定するのが好ましい。)。
【0043】
各接地突起9と係合穴10は、平面視において、天板2の対角線上に位置すると共に、天板2の中心から等しい距離に配置されている。従って、上下の家具は、開口部と引手穴5とがどの方向に向いていても、各接地突起9と係合穴10とを嵌め合わせてずれ不能に保持される。
【0044】
ブロック体8は側板1及び背板4の下端と同一面を成しているので、家具を上下に重ねた状態では、ブロック体8がキャップ11のフランジ11aに載っている。従って、図2(B)に示すように、上下の家具の間には、キャップ11におけるフランジ11aの厚さ分だけの隙間が空いている。
【0045】
(2).第1実施形態のまとめ
以上の構成において、家具は、単体で椅子として使用したり、ノートパソコン12(図1(C)参照)などの物品の載置台として使用できる。内部は開口しているので、内部に資料や私物などの様々な物品を収納できる。家具は四隅部が接地突起9で支持されているので、家具の下面や床に不陸があっても、安定的に支持できる。
【0046】
また、図1(C)に示すように、家具を複数段に積み重ねできるが、上下の家具は接地突起9と係合穴10とが嵌合しているため、ずれ動かない状態に保持される。更に、上下の家具の間にはキャップ11のフランジ11aの厚さの隙間が空いているため、家具の上面と下面とに反りがあってもガタ付きのない状態に保持できる。
【0047】
また、接地突起9の下面は床に当たるため汚れることが有り得るが、積み重ねた状態で上段の家具の接地突起9は下段の家具の係合穴10の内部に入り込んでいるため、下段の家具の上面が汚れることはない(ゴミが転移することはない。)。従って、積み重ねを解除して下段の家具を椅子や台として使用するにおいて、人の衣服や物品が汚れることはない。キャップ11を底付きに構成したり係合穴10を底付きに形成したりすると、接地突起9の下面にゴミが付着していても、ゴミが下段の家具の内部に落ちることはないため好適である。
【0048】
上記のとおり、家具は単体で椅子や台として使用できるし、図1(C)のように積み重ねてテーブル代わりの台としても使用できる。2段重ねの場合は、ハイチェアとしても使用できる。上下の家具はずれ不能に保持されているため、人がハイチェアとして使用してチョイ掛けしても、上下の家具はずれることなく安定した状態に保持される。
【0049】
図3(A)では、2段重ねを1つのユニットとして、2つのユニットでパネル13を支持することにより、テーブルとして使用している。2つのユニットは同じ方向に開口させているが、逆方向に開口させることにより、各家具を各メンバーの物品収納に供することも可能である。パネル13のような広い物品を載せる場合、キャップ11のフランジ11aを滑り止めとして機能させることができる。この場合、キャップ11を摩擦係数が大きい樹脂で製造すると、滑り止め効果を向上できる。ワッシャ状ゴムリングのような摩擦部材を貼り付けなどしてもよい。
【0050】
図3(B)に示すように、1段又は2段の家具を水平方向に重ねることも可能である。この場合は、家具群を単なる台として使用してもよいし、パネル13を載せてテーブル仕様に構成することも可能である。家具群を椅子として使用して、4人の人が対角方向を向いて腰掛けるといったことも可能であるし、多数個を一列又は複数列に並べて簡易ベッドとして使用することも可能である。パネル13をプロジェクタの水平投射面となすことも可能である。
【0051】
図4に示すように、左右に離して配置した2つの家具で1つの家具を支持することも可能である。この場合、2人のワーカーや学生が向かい合って使用することを想定しているが、下段の家具を逆方向に開口させておくことにより、それぞれのワーカーや学生が荷物を収納できる。なお、背板4を設けずに前後開口方式とすることも可能である。
【0052】
実施形態の家具の使用態様を何例か示したが、本実施形態の家具は、単体でも水平方向に重ねた状態でも上下に重ねた状態でも、椅子や台、収納家具などとして使用できる。そして、持ち運び自在で組み合わせも任意であるため、オフィス等において、目的に応じて使用態様を構築できる。このような柔軟性、融通性により、ワーカーや学生等の創造性を誘発して知的生産性を向上できる環境を形成できる。
【0053】
(3).他の実施形態
図5では他の実施形態を示している。このうち図5(A)に示す第2実施形態では、家具は平面視円形に形成されて、周壁14の一部を開口させている。天板2のうち開口に位置した部位に引手穴5を設けている。この実施形態でも、第1実施形態と同様に4つの係合穴10と接地突起9(図示せず)を設けている(接地突起9は底板3の下面に直接装着している。)。
【0054】
図5(B)に示す第3実施形態は、基本的には立方体の外観であるが、天板2と底板3とがコーナー部のみにおいて支柱15で連結されている。従って、4つの側面が開口してフルオープン方式になっている。係合穴10と接地突起9とは第1実施形態と同様であるが、接地突起9は第2実施形態と同様に底板3に直接装着している。
【0055】
第3実施形態のようにフルオープン方式に構成すると、内部にはどの方向からも物品を出し入れできるため、積み重ねるに際して開口方向を確認する必要がない。従って、様々なレイアウトを迅速に構築できる。
【0056】
図5(C)に示す第4実施形態では、連結構造の別例を示している。この実施形態では、接地突起9は底板3に埋設した鬼目ナット16にねじ込んでおり、若干の寸法だけ底板3の下面から露出させると共に、小径の前置部9aを下向きに突設している。そして、天板2に設けたキャップ11はフランジ11aを備えているが、フランジ11aは天板2に設けたザグリ穴に嵌め込んで、フランジ11aの上面と天板2の上面とを同一面になしている。
【0057】
この実施形態では、キャップ11のフランジ11aは上向きに突出していないため、家具の上面はフラットになっている。従って、コップなど置くに際して、傾けてしまうことはない。他方、接地突起9のうちキャップ11に嵌まる部分は底板3の下面から突出しているため、家具を上下に重ねた状態で、上下の家具の間には隙間が空く。従って、天板2や底板3に反りがあっても、ガタ付きのない状態に積み重ねできる。キャップ11を使用しない場合、図5(C)の接地突起9を使用することにより、上下に重ねた家具の間に隙間を形成できる。
【0058】
本願発明は、他にも様々に具体化できる。例えば、接地突起と係合穴とは円形でなくてもよいのであり、角形や細長い形状あってもよい。接地突起及び係合穴を環状に形成することも可能である。家具の材質は木製には限らず、樹脂製やスチール製、或いは異種素材の複合品も採用できる。接地突起を側板や背板の下面に設けることも可能である。
【0059】
五角柱方式や六角柱方式、八角柱方式なども採用可能である。上下に長い縦長も採用できる。外周と上面との全体又は外周のみ若しくは上面のみを張地で覆うことも可能である。更に、側板や背板に連結用貫通穴を空けるなどして、水平方向に連結できる構造も採用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本願発明は、多機能家具に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 側板
2 天板
3 底板
4 背板
5 引手穴
8 ブロック体
9 接地突起
10 係合穴
11 キャップ
11a フランジ
12 物品の一例としてのノートパソコン
13 パネル
図1
図2
図3
図4
図5