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特開2024-164696シート処理装置および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164696
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】シート処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/30 20060101AFI20241120BHJP
   B65H 31/10 20060101ALI20241120BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B65H31/30
B65H31/10
B65H37/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080366
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩司
【テーマコード(参考)】
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA01
3F054BB07
3F054BJ01
3F054CA21
3F054DA01
3F054DA14
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA12
(57)【要約】
【課題】シート処理装置の生産性を向上する。
【解決手段】シート処理装置は一枚ずつシートを受け入れて最大でN枚のシートからなるシート束を形成し、シート束を積載手段へ搬送して積載し、シート束を接着する。L個の冊子の作成が完了すると、L個の冊子が排出される。ここで、シート束には、k番目の冊子に含まれることになるM枚目のシートと、k+1番目の冊子に含まれることになる1枚目のシートとが含まれることがある。先行するシートと後続のシートとが接着される。k番目の冊子に含まれることになるM枚目のシートと、k+1番目の冊子に含まれることになる1枚目のシートとは接着されない。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚ずつシートを受け入れて最大でN枚のシートからなるシート束を形成する束形成手段と、
前記シート束の形成が完了すると、当該シート束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シート束を積載する積載手段と、
前記積載手段に前記シート束が積載される度に接着処理を実行することで、M枚のシートからなる冊子を作成する接着手段と、
前記積載手段においてL個の冊子の作成が完了すると、前記積載手段から前記L個の冊子を排出する排出手段と、を有し、
前記束形成手段は、k番目の冊子に含まれることになるM枚目のシートと、k+1番目の冊子に含まれることになる1枚目のシートとを含む、N枚のシートからなるシート束を作成するように構成され(kは1からL-1までの整数であり、MはNの整数倍ではない)、
前記接着手段は、前記k番目の冊子に含まれることになる前記M枚目のシートと、前記k+1番目の冊子に含まれることになる前記1枚目のシートとを除き、前記積載手段に積載されている先行するシートと後続のシートとを接着する、シート処理装置。
【請求項2】
前記束形成手段、前記搬送手段、前記積載手段、前記接着手段、および前記排出手段を制御する制御手段をさらに有し、
前記制御手段は、
前記束形成手段において重ねられているシートの枚数iをカウントし、
前記iが前記Nになると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させ、
前記iが前記Nより少なくても、前記束形成手段に到着したi枚目のシートがL番目の冊子におけるM枚目のシートであると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させる、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記L番目の冊子は、一つのジョブにおける最後の冊子であり、前記L番目の冊子における前記M枚目のシートは、前記一つのジョブにおける最後のページに相当するシートである、請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記L番目の冊子は、Y個の冊子を作成する一つのジョブにおいて作成される(YはLよりも大きい整数)、請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
1番目の冊子から前記L番目の冊子までに含まれるシートの合計枚数が、前記積載手段に積載可能な最大枚数を超えず、かつ、前記1番目の冊子からL+1番目の冊子までに含まれるシートの合計枚数が、前記最大枚数を超える場合、前記L番目の冊子に含まれる最後のシートが前記束形成手段に到着すると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させ、かつ、前記排出手段により前記1番目の冊子から前記L番目の冊子を排出させる、請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記束形成手段が前記L番目の冊子における前記M枚目のシートを含むシート束の排出が完了するまで、前記束形成手段へのL+1番目の冊子における1枚目のシートの受け入れを遅延させる、請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記排出手段による1番目の冊子から前記L番目の冊子の排出が完了するまで、前記束形成手段から前記積載手段への前記L+1番目の冊子を形成することになるシート束の搬送を遅延させる、請求項6に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記枚数iが前記N枚になると、前記搬送手段により前記シート束を前記束形成手段から前記積載手段へ搬送させ、
(1)前記枚数iが前記N枚より少なく、かつ、前記束形成手段において到着したi枚目のシートが前記冊子におけるM枚目のシートであり、かつ、前記積載手段において作成されている冊子がL番目の冊子である場合、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段にシート束を搬送させ、
(2)前記枚数iが前記N枚より少なく、かつ、前記束形成手段において到着したi枚目のシートが前記冊子におけるM枚目のシートであり、かつ、前記積載手段において作成されている冊子が前記L番目の冊子でない場合、前記束形成手段へi+1枚目のシートを受け入れさせ、
(3)前記枚数iが前記N枚より少なく、かつ、前記束形成手段において到着したi枚目のシートが前記冊子におけるM枚目のシートでない場合、前記束形成手段へ前記i+1枚目のシートを受け入れさせる、請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記シートに画像を形成するとともに、前記冊子において表紙とならない残りのシートに熱溶融型の接着剤による接着パターンを形成する画像形成手段をさらに有し、
前記接着手段は、前記積載手段に積載されたシート束に対して熱を加えることで、後続のシートに形成された接着パターンを溶融させて前記後続のシートに対して先行するシートを接着させる、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記接着パターンは、トナーにより形成される、請求項9に記載のシート処理装置。
【請求項11】
複数のシートを重ねてシート束を形成し、当該シート束を一時的に保持する重ね手段と、
前記重ね手段に保持されている前記シート束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されて来た一つ以上のシート束を積載する積載手段と、
前記積載手段に積載されている一つ以上のシート束を接着処理して冊子を作成する接着手段と、
前記積載手段から前記冊子を排出する排出手段と、
前記重ね手段により形成される各シート束に含まれるシートの枚数と、前記排出手段による前記冊子の排出とを制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記重ね手段により重ねられたシートの枚数が所定枚数より少なければ、前記重ね手段によるシートの重ね処理を継続し、
前記重ね手段により重ねられたシートの枚数が前記所定枚数になるか、または、前記重ね手段により重ねられたシートの枚数が前記所定枚数より少ないものの前記重ね手段において最も上に位置するシートがジョブの最終ページに相当するシートであると、前記搬送手段により前記重ね手段から前記積載手段にシート束を搬送させ、
前記搬送手段により前記重ね手段から前記積載手段に搬送されて来た前記シート束において最も上に位置するシートが前記ジョブにおける前記最終ページに相当するシートであれば、前記積載手段に積載されているすべての冊子を前記排出手段により排出させる、シート処理装置。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記搬送手段により前記重ね手段から前記積載手段に搬送されて来た前記シート束において最も上に位置するシートが冊子の最終ページに相当するシートであれば、前記積載手段に積載されているすべての冊子を前記排出手段により排出させる、請求項11に記載のシート処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、
前記積載手段に積載されている先行する冊子を形成するシートの枚数と、後続の冊子を形成するシートの枚数との和が、所定枚数を超えると、前記先行する冊子の最終ページに相当するシートと前記後続の冊子の先頭ページに相当するシートとを、前記重ね手段において混載させない、請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記積載手段にシート束が積載されるごとに、前記接着手段に前記接着処理を実行させる、請求項11に記載のシート処理装置。
【請求項15】
前記シートに画像を形成するとともに、前記冊子において表紙とならない残りのシートに熱溶融型の接着剤による接着パターンを形成する画像形成手段をさらに有し、
前記接着手段は、前記積載手段に積載されたシート束に対して熱を加えることで、後続のシートに形成された接着パターンを溶融させて前記後続のシートに対して先行するシートを接着させる、請求項11に記載のシート処理装置。
【請求項16】
前記重ね手段は、先行する冊子における最終ページに相当するシートの上に、後続の冊子における先頭ページに相当するシートを重ねることで、前記シート束において、前記先行する冊子を構成する一つまたは複数のシートと前記後続の冊子を構成する一つまたは複数のシートとが混載される、請求項11に記載のシート処理装置。
【請求項17】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続されたシート処理装置と、を有し、
前記シート処理装置は、
前記画像形成装置から一枚ずつシートを受け入れて最大でN枚のシートからなるシート束を形成する束形成手段と、
前記シート束の形成が完了すると、当該シート束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シート束を積載する積載手段と、
前記積載手段に前記シート束が積載される度に接着処理を実行することで、M枚のシートからなる冊子を作成する接着手段と、
前記積載手段においてL個の冊子の作成が完了すると、前記積載手段から前記L個の冊子を排出する排出手段と、
前記束形成手段、前記束形成手段、前記束形成手段、前記接着手段、および前記排出手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記束形成手段において重ねられているシートの枚数iをカウントし、
前記iが前記Nになると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させ、
前記iが前記Nより少なくても、前記束形成手段に到着したi枚目のシートがL番目の冊子におけるM枚目のシートであると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させる、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、処理トレイに搬送されたシート束をステイプラにより綴じて、排出トレイへ排出する後処理装置が記載されている。このような後処理装置は、先行するシート束の綴じ処理が完了するまで、後続のシート束をバッファ部で待機させる。これにより、生産性を落とさずに画像形成が継続可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-095291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステイプル針が複数のシートを貫通することで、一つの冊子が形成される。そのため、処理トレイは、一つの冊子を形成する複数のシートのみを積載しなければならない。仮に、先行する冊子の綴じ処理が完了する前に、後続の冊子の一部となるシートが処理トレイに搬送されてしまうと、後続の冊子用のシートが先行する冊子の一部として綴じられてしまう。このように、先行する冊子が処理トレイから排出されるまで、後続のシートは待機していなければならず、シート処理装置の生産性が低下していた。そこで、本発明は、シート処理装置の生産性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
一枚ずつシートを受け入れて最大でN枚のシートからなるシート束を形成する束形成手段と、
前記シート束の形成が完了すると、当該シート束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シート束を積載する積載手段と、
前記積載手段に前記シート束が積載される度に接着処理を実行することで、M枚のシートからなる冊子を作成する接着手段と、
前記積載手段においてL個の冊子の作成が完了すると、前記積載手段から前記L個の冊子を排出する排出手段と、を有し、
前記束形成手段は、k番目の冊子に含まれることになるM枚目のシートと、k+1番目の冊子に含まれることになる1枚目のシートとを含む、N枚のシートからなるシート束を作成するように構成され(kは1からL-1までの整数であり、MはNの整数倍ではない)、
前記接着手段は、前記k番目の冊子に含まれることになる前記M枚目のシートと、前記k+1番目の冊子に含まれることになる前記1枚目のシートとを除き、前記積載手段に積載されている先行するシートと後続のシートとを接着する、シート処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明によれば、熱圧着による綴じ処理を施す後処理装置において、冊子作成の生産性を落とさずに複数の冊子を連続して作成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成システムを説明する図
図2】接着剤の印刷領域を説明する図
図3】バッファ動作を説明する図
図4】整合動作および接着動作を説明する図
図5】接着動作を説明する図
図6】コントローラを説明する図
図7】CPUの機能を説明する図
図8】実施例1のタイミングチャート
図9】接着動作を説明する図
図10】実施例1を示すフローチャート
図11】実施例2のタイミングチャート
図12】実施例2のタイミングチャート
図13】バッファ部からの排出を判定する方法を示すフローチャート
図14】中間積載部からの排出を判定する方法を示すフローチャート
図15】CPUおよび搬送制御部の機能を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
<実施例1>
(1)画像形成システム
図1が示すように、画像形成システム1は、画像形成装置100と後処理装置300を有している。後処理装置300は画像形成装置100に接続されるシート処理装置である。画像形成装置100は、記録材であるシートSに画像を形成する。中間搬送ユニット200は、画像が形成されたシートSを後処理装置300へ搬送する。後処理装置300は、必要に応じてシートSに後処理を施して出力する。
【0010】
画像形成装置100は、シートカセット8、画像形成ユニット10、定着器6、およびこれらを収容する筐体19を備えている。画像形成ユニット10は、シートカセット8から給送されるシートSにトナー像を形成する。定着器6はシートSにトナー像を定着させる定着処理を実行する。
【0011】
シートカセット8は、画像形成装置100の下部に設けられている。シートカセット8は、筐体9に対して引き出し可能に挿入され、かつ、多数枚のシートSを収納できる。給送ローラ81はシートカセット8からシートSを給送し、搬送ローラ対82にシートSを受け渡す。マルチトレイ20もシートSを1枚ずつ給送することができる。
【0012】
画像形成ユニット10は、4つのプロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cと、スキャナユニット2と、転写ユニット3とを備えたタンデム型の電子写真ユニットである。なお、参照符号に付与されているnは接着剤を意味する。ymcはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンを意味する。プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cは、画像形成プロセスを担う複数の部品を一体的に交換可能としている。つまり、複数の部品が一体化されて、プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cが形成されている。
【0013】
プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cは、対応するトナー収容部Kn,Ky,Km,Kc、感光ドラムDn,Dy,Dm,Dc、および帯電ローラCn,Cy,Cm,Ccを有している。プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの構造は、トナーの種類を除いて、実質的に共通である。
【0014】
トナー収容部Ky,Km,Kcは、シートSに可視像を形成するためのイエロー、マゼンタ、シアンのトナーを収容している。トナー収容部Knは、接着用トナーTnを収容している。接着用トナーTnは、後処理装置300において、複数のシートSを熱圧着するために使用される、粉体接着剤である。なお、接着用トナーTnによって現像されることで感光ドラムDn上に接着用トナー像が形成される。接着用トナー像は、視覚情報の伝達を目的としない。そのため、接着用トナー像は、図形やテキスト等の画像をシートSに記録するための印刷用トナーにより形成されるトナー像(通常のトナー像)とは異なっている。しかし、以下の説明では、所定の塗布パターンで接着用トナーTnがシートSに塗布される。そのため、電子写真プロセスによって現像された層状の接着用トナーTnの像も「トナー像」の1つとして扱われる。
【0015】
テキスト等の黒色の画像が印刷される場合、イエロー、マゼンタ、シアンのトナーが重畳され、黒色の画像が実現される(プロセスブラック)。ただし、画像形成ユニット10が、ブラックのトナーを用いる5つ目のプロセスカートリッジを有していてもよい。なお、画像形成装置100の用途に応じて、印刷用トナーの種類と、その個数は変更可能である。
【0016】
帯電ローラCn,Cy,Cm,Ccは帯電器であり、それぞれ対応する帯電ローラCn,Cy,Cm,Ccの表面を一様に帯電させる。スキャナユニット2は、プロセスカートリッジ7n,7y,7m,7cの下方で、かつシートカセット8の上方に配置されている。スキャナユニット2は、感光ドラムDn,Dy,Dm,Dcに対してそれぞれ対応するレーザ光Jn,Jy,Jm,Jcを照射して静電潜像を形成する。スキャナユニット2は、露光器、または光学走査装置と呼ばれてもよい。
【0017】
トナー収容部Kn,Ky,Km,Kcは、感光ドラムDn,Dy,Dm,Dc上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。トナー収容部Kn,Ky,Km,Kcは現像器と呼ばれてもよい。
【0018】
転写ユニット3は、中間転写体(二次的な像担持体)としての転写ベルト30を備えている。転写ベルト30は、内ローラ31と張架ローラ32とに巻き回された無端状のベルトである。転写ベルト30の外周面(画像形成面)は、感光ドラムDn,Dy,Dm,Dcに対向している。転写ベルト30の内周側には、感光ドラムDn,Dy,Dm,Dcに対向するように一次転写ローラFn,Fy,Fm,Fcが配置されている。
【0019】
一次転写ローラFn,Fy,Fm,Fcは、対応する感光ドラムDn,Dy,Dm,Dcから転写ベルト30へトナー像を転写する。一次転写ローラFn,Fy,Fm,Fcは一次転写器と呼ばれてもよい。転写ベルト30が反時計回りに回転することで、トナー像が二次転写部へ搬送される。
【0020】
二次転写ローラ5は、内ローラ31に対向するように配置されており、二次転写ローラ5と転写ベルト30との間に転写ニップ52を形成する。転写ニップ52は、転写ベルト30からシートSにトナー像を転写する。転写ニップ52は二次転写部と呼ばれてもよい。
【0021】
二次転写ローラ5の上方(シートSの搬送方向で下流側)には、定着器6が配置されている。定着器6は定着ニップ61を通過するシートSに対して熱と圧力を加える。これにより、トナー像がシートS上に定着する。つまり、印刷用トナーTy,Tm,Tc及び接着用トナーTnが溶融し、シートS上に固着する。
【0022】
図2(A)は、接着用トナーTnの印刷領域211を示す。印刷領域211は、シートSの長辺に対して平行に延在する。印刷領域211は、長辺に近い端部に設けられる。これにより、後処理装置300が、複数のシートSを重ね、複数のシートSの印刷領域211を加熱および加圧することで、複数のシートSが接着され、冊子が形成される。この場合の冊子は、長辺留めの冊子となる。ここで接着用トナー画像(印刷領域211)の幅(短辺方向の長さ)は、たとえば、4.0mmである。
【0023】
図2(B)が示すように、シートSの角付近に、接着用トナーTnのための小さな印刷領域212が形成されてもよい。これにより、角留めの冊子が作製される。接着用トナーTnによる画像は、冊子の表紙となるシートSには形成されない。
【0024】
図1が示すように、切り替えガイド33は、シートSの搬送方向において定着器6の下流に設けられた、フラップ状のガイド部材である。シートSの片面に画像を形成する片面印刷モードが選択されると、切り替えガイド33は、シートSを排出ローラ34へ誘導する。シートSの両面に画像を形成する両面印刷モードが選択されると、切り替えガイド33は、第一面に画像が形成されたシートSをスイッチバックローラ対35に誘導する。スイッチバックローラ対35はシートSを第一方向に搬送する。シートSの後端が両面搬送路36へ進入可能な状態になると、スイッチバックローラ対35は反転を開始する。これにより、シートSが両面搬送路36へ搬送される。両面搬送路36は、シートSを再び二次転写部へ搬送する。これにより、シートSの第二面に画像が形成される。
【0025】
排出ローラ34はシートSを中間搬送ユニット200へ搬送する。中間搬送ユニット200は、搬送ローラ対201、202を有する。搬送ローラ対201、202は、シートSを後処理装置300へ搬送する。
【0026】
(2)後処理装置
後処理装置300はフロアスタンディング型のシート処理装置である。後処理装置300は、複数のシートをバッファする機能、複数のシートを整合する機能、および、シート束を接着する機能を有している。
【0027】
以下では、搬送方向における前方側のシートSの端部は先端と呼ばれる。搬送方向における後方側のシートSの端部は後端と呼ばれる。シートSの二つの端部のうち、先に後処理装置300へ進入する端部は第一端と呼ばれる。シートSの二つの端部のうち、後から後処理装置300へ進入する端部は第二端とよばれる。なお、後処理装置300が実行するスイッチバック搬送によって、先端が第一端から第二端に変更され、後端が第二端から第一端に変更されることがある。
【0028】
中間搬送ユニット200から搬送されたシートSは、後処理装置300の入口ローラ21に受け渡される。入口ローラ21の下流には、入口ローラ21と呼ばれるシートセンサが配置されている。シートセンサ27がシートSの後端を検知すると、搬送ローラ対22がシートSを加速する。排出先を上トレイ25に設定されたシートSの後端が、搬送ローラ対22と搬送ローラ対24との間に到着すると、搬送ローラ対22が減速する。これにより、シートSの搬送速度が所定の排出速度になる。搬送ローラ対22はシートSを上トレイ25に排出する。
【0029】
排出先が下トレイ37に設定されたシート後端が逆流防止弁23を抜けると、搬送ローラ対22がシートSの搬送を停止する。その後、搬送ローラ対22が逆回転を開始する。これにより、シートSがスイッチバックし、搬送ローラ対26に搬送される。搬送ローラ対26の下流に設けられたシートセンサ60がシートSの先端を検知すると、搬送ローラ対24を構成している二つのローラが離間する。これにより、搬送ローラ対24は、後続のシートSを受け入れ可能となる。さらに、搬送ローラ対26が先行するシートSを挟持した状態で搬送ローラ対26が停止する。後続のシートSの到着に合わせて搬送ローラ対26が逆転を開始する。これにより、先行するシートSの上に後続のシートSが重ねられる。搬送ローラ対26がシートSのスイッチバックを繰り返すことで、複数のシートSが重ねられ、シート束が形成される。このようなシート束の形成動作はバッファ動作と呼ばれてもよい。バッファ動作を実現するユニットはバッファ部80と呼ばれる。
【0030】
バッファ部80においてシート束が完成すると、搬送ローラ対26は、シート束を中間積載部42に向けて搬送する。シート束は、搬送ローラ対28、およびシートセンサ50を通過する。さらに、シート束は、蹴り出しローラ29により中間積載部42に搬送される。中間積載部42の最下流部には移動可能な縦整合板39が待機位置に配置されている。シート束が縦整合板39に突き当てることで、シート束が整列される。
【0031】
中間積載部42には複数のシート束が順番に積載される。これにより、冊子を形成する所定枚数のシートSが中間積載部42に積載される。所定枚数のシートSの整列が終了すると、熱圧着ユニット51が綴じ動作(接着処理)を実行することで冊子が形成される。縦整合板39が待機位置から排出位置へ移動することで、冊子が排出ローラ38に向けて押し出される。冊子の先端が排出ローラ38に挟持されると、縦整合板39が停止し、再び待機位置へ帰還する。排出ローラ38は縦整合板39から受け取った冊子を排出口46から下トレイ37に排出する。
【0032】
以上の説明では、後処理装置300が、バッファ部80を用いることで、複数のシートSからなるシート束を形成し、シート束を中間積載部42へ搬送している。しかし、一枚のシートSが中間積載部42へ搬送されてもよい。
【0033】
(3)バッファ動作(重ね合わせ動作)
バッファ動作は、中間積載部42で先行するシート束に対する後処理が完了するまでの間、後続のシートまたはシート束をバッファ部80で待機させる動作である。バッファ動作により、画像形成システム1は、画像形成装置100の生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)を低下させることなく、後処理を含む画像形成ジョブを継続することが可能となる。
【0034】
図3(A)ないし図3(G)はバッファ動作を説明している。ここでは、1枚目に搬送されるシートSはS1と表記される。2枚目に搬送されるシートSはS2と表記される。シートS1とシートS2とを重ね合わせることで形成されるシート束はWと表記される。搬送ローラ対22、24、26の搬送速度はV1、V2と表記される(V1<V2)。搬送速度V1は加速前の搬送速度であり、搬送速度V2は加速後の搬送速度である。ここで、加速(増速)とは、バッファ部80においてシートSを重ね合わせる際、および、シート束を下流に送り込む際に、必要となるシート間隔(以降、紙間と呼ばれる。)を確保するための加速処理である。シート間隔は、一般に、先行するシートSiの後端から後続のシートSi+1の先端までの距離または搬送時間をいう(iは任意の整数)。
【0035】
図3(A)は、シートS1の後端(第二端)がシートセンサ27を通過したタイミングで搬送ローラ対22および搬送ローラ対24の搬送速度をV2まで加速することを示す。図3(B)は、シートS1の後端がシートセンサ27から所定距離ほど移動して逆流防止弁23を抜けたタイミングで、シートS1が一時停止することを示す。搬送ローラ対22の搬送速度は、シートS2を受け入れるためにV1に戻る。図3(C)は、搬送ローラ対24の回転方向が正転から逆転に切り替わり、F1方向に搬送速度V2でシートS1が搬送されることを示す。シートS2は搬送速度V1で搬送ローラ対22へ搬送される。
【0036】
図3(D)は、シートS1の先端(第二端)が搬送ローラ対26から所定量ほど搬送された位置で停止することを示す。また、シートS1が搬送ローラ対26に挟持されたタイミングで、離間レバー44が、E1方向に上ローラ24aを離間させる。上ローラ24aが下ローラ24bから離間した後で、シートS2の先端(第一端)が搬送ローラ対24を通過する。離間レバー44は、ソレノイド接続軸においてプランジャソレノイド45と回転自在に接続されている。プランジャソレノイド45に電流が流れると離間レバー44はE1方向に回転し、搬送ローラ対24は離間状態となる。プランジャソレノイド45への電流の供給が停止した場合、加圧バネにより上ローラ24aがE2方向に移動する。
【0037】
図3(E)は、シートS2の後端(第二端)がシートセンサ27を通過した後で、搬送ローラ対22および搬送ローラ対24の搬送速度がV2まで加速されることを示す。シートS2の後端(第二端)がシートセンサ27を通過したタイミングで、搬送ローラ対26が逆転を開始する。これにより、搬送ローラ対26に挟持されたシートS1がF2方向に搬送される。シートS1とシートS2の搬送速度が等しくなったタイミングで上ローラ24aはE2方向に移動し、下ローラ24bと協働してシートS1およびシートS2を挟持する。搬送ローラ対24の搬送速度(周速度)は、搬送ローラ対24がシートS1およびシートS2を挟持する前までに、シートS1およびシートS2の搬送速度であるV2へと調整される。
【0038】
図3(F)は、シートS2の後端(第二端)が逆流防止弁23を通過した後で、シートS1とシートS2とがシート束Wを形成したことを示す。図3(B)および図3(C)と同様に、図3(F)でも、シート束Wの後端が逆流防止弁23を抜けたタイミングで、シート束Wが一時停止し、搬送ローラ対24の回転方向が正転から逆転に切り替わる。
【0039】
図3(G)は、搬送速度V2でシート束WがF1方向へ搬送され、後処理部71へ向かうことを示す。シート束Wが搬送ローラ対26に挟持されたタイミングで、離間レバー44が下ローラ24bから上ローラ24aを離間させる。つまり、上ローラ24aはE1方向へ移動する。
【0040】
図3(H)は、シート束Wを後処理部71へ送った後に、シートS3を新たにバッファすることを示す。この場合、シート束Wの後端が搬送ローラ対24を抜けた後に、上ローラ24aが一旦停止する。搬送ローラ対24が離間した状態でシートS3が搬送ローラ対24へ侵入する。なお、シートS3の後端がシートセンサ27を抜けると、搬送ローラ対22の搬送速度はV1からV2へと増速される。その後、上ローラ24aはE2方向に移動し、搬送ローラ対24が当接状態になる。上ローラ24aの回転方向が逆転から正転に切り替わり、搬送速度V2でF2方向にシートS3を搬送する。なお、シートS3の後端が搬送ローラ対22を抜ける前に、搬送ローラ対24がシートS3の搬送を開始する。
【0041】
ここでは、2枚のシートS1、S2がバッファされているが、これは一例にすぎない。3枚目のシートS3もバッファされる場合、図3(G)の後に、シート束Wの先端が、搬送ローラ対26から所定量ほど搬送された位置(一時停止位置)で停止する。その後、シート束WおよびシートS3について、重ね合わせ動作が適用される。重ね合わせ動作は、図3(D)から図3(G)に関連して説明されたシートS1とシートS2の重ね合わせ動作と同じである。
【0042】
枚数制御部412は、複数のページを連続的に印刷するプリントジョブにおいて、バッファ部80にバッファ可能なシートSの最大枚数Mと、シートSの搬送情報と、に基づき、バッファ部80でバッファされるシートSの枚数Nを管理する。枚数制御部412は、バッファ部80で形成されたシート束Wを下流に排出するか、または、シート束Wに対して後続のシートSを重ね合わせるかを判定する。本実施例において、最大枚数Mは5枚であると仮定されている。
【0043】
(4)整合動作
図4(A)ないし図4(D)は、中間積載部42で実行されるシートSの整合動作を示す。初期状態は、中間積載部42が空の状態である。一例として、5枚のシートSからなるシート束Wがバッファ部80から中間積載部42へと搬送されてくる。
【0044】
Y方向は、中間積載部42におけるシートSの積載面(積載板)と平行でかつ蹴り出しローラ29から中間積載部42に搬送されてくるシートSの搬送方向と平行な方向である。Y方向は縦方向と呼ばれてもよい。X方向は、中間積載部42におけるシートSの積載面と平行でかつY方向と直交する方向である。X方向は横方向と呼ばれてもよい。Z方向はX方向及びY方向と直交する方向(積載面の法線方向、積載されるシートSの厚み方向)でる。Z方向は高さ方向と呼ばれてもよい。X方向、Y方向、およびZ方向は反対の方向はそれぞれ、-X方向、-Y方向、および-Z方向と呼ばれることがある。
【0045】
縦整合板39と縦整合ローラ40は、第1方向(Y方向)において複数のシートSを整合する第1整合ユニットとして機能する。縦整合板39は、Y方向における中間積載部42の最下流部に配置される。縦整合板39は、Y方向のシート位置の基準となる基準部材(第1基準部材)である。縦整合ローラ40は、縦整合板39にシートSを突き当てて整合するためにシートSをY方向に搬送させる搬送部材である。縦整合板39は、X方向に間隔を空けて配置された複数の当接部39a~39cを含む。複数の当接部39a~39cがシートSの端部と接触する。なお、縦整合板39及び縦整合ローラ40は、Y方向に移動可能な可動ユニット59として一体に構成されている。可動ユニット59はモータなどの駆動源によりY方向に移動可能である。つまり、Y方向における縦整合板39及び縦整合ローラ40の位置は調整可能である。横整合ジョガー41a~41cは、第1方向と直交する第2方向(X方向)についてシートを整合する第2整合ユニットとして機能する。
【0046】
横整合ジョガー41a~41cはモータ等の駆動源によりX方向に移動し、中間積載部42に積載されたシートSの側端を押圧する。横整合板72a,72bはX方向におけるシートSの位置の基準となる基準部材である。横整合板72a,72bは、X方向において横整合ジョガー41a、41bと対向するように配置される。
【0047】
(4-1)準備段階
図4(A)が示すように、シートS1~S5が蹴り出しローラ29に向けて搬送されてくる。シートS1~S5は、下位に位置するシートSiが上位に位置するシートSi+1よりもY方向に突出した状態で中間積載部42に搬送されてもよい。中間積載部42にシートSが積載される前に、縦整合板39が整合対象となるシートSのサイズに合わせて、予め所定の待機位置に移動する。待機位置は、シートSのサイズに依存せずに、シートSの-Y方向の端部位置が一定となるように設定される。言い換えると、待機位置は、蹴り出しローラ29のニップ位置から縦整合板39までのY方向の距離が、シートのY方向の長さよりもわずかに長くなる位置である。横整合ジョガー41a~41cは、シートSの搬送を妨げないように、X方向において搬送中のシートSから外側に離れた位置で待機する。
【0048】
(4-2)縦整合段階
図4(B)は、1枚目のシートS1の後端が蹴り出しローラ29のニップを抜け、シートS1の先端が縦整合ローラ40に到達したことを示す。シートS1は縦整合板39に突き当てられ、縦整合板39の位置を基準にして整合される。縦整合ローラ40が続けて回転することで、シートS1に続いて縦整合ローラ40に到達するシートS2~S5が順に縦整合板39に突き当てられる。これにより、5枚のシートS1~S5は、縦整合板39の位置を基準にして、Y方向(縦方向)に関して整合される。
【0049】
(4-3)横整合段階
図4(C)はシートS1~S5のY方向(縦方向)の整合が完了した後、X方向(横方向)の整合が開始されたことを示す。横整合ジョガー41a~41cが整合方向であるX方向に駆動され、シートS1~S5の側端に当接し、シートS1~S5を横整合板72a,72bに向けて押圧する。そして、シートS1~S5の他方の側端が横整合板72a,72bの当接面500に当接することで、シートS1~S5は、横整合板72a,72bの位置を基準として、X方向(横方向)に関して整合される。
【0050】
(4-4)接着段階(熱圧着段階)
図4(D)は5枚のシートS1~S5のX方向及びY方向の整合が完了した状態を示す。整合動作における目標位置(整合位置)は、熱圧着ユニット51による接着処理(熱圧着)が行われるときのシート束Wの位置である。上述されたように、画像形成装置100は、接着用トナー像が形成された側が熱圧着ユニット51の側となるように、シートS1~S5に対して接着用トナーTnを塗布する。シートS1が冊子の表紙である場合、接着用トナーTnは塗布されない。
【0051】
熱圧着ユニット51は、整合が完了したシートS1~S5に対して熱圧着動作を適用する。その間に、横整合ジョガー41a~41cは-X方向に退避する。これにより、中間積載部42は次の複数枚のシートSを受け入れ可能な状態となる。その後、バッファ部80で生成されたシートS6~S10からなるシート束WがシートS1~S5の上に積載される。
【0052】
その後、シートS1~S10について、上述された四つの段階が繰り返される。これにより、精度高く整合された状態でシートS1~S10が接着される。
【0053】
一例として、シート束Wが5枚のシートSから構成されている。しかし、シート束Wを構成するシートSの枚数は2枚または3枚などであってもよい。つまり、シート束Wに含まれるシートSの枚数は、バッファ部80で重ね合わせることが可能なシートSの最大枚数以下であればよい。
【0054】
(5)熱圧着ユニット
図5(A)が示すように、熱圧着ユニット51は加熱源として発熱体を内蔵したヒータ501と、その上に配置されたアルミニウム製の加熱板502とを有している。ヒータ501は、たとえば、セラミックヒーターである。ヒータ501の温度は、温度センサにより測定されて、測定温度が目標温度となるように、制御回路により制御されてもよい。たとえば、加熱板502の加圧部509の表面温度が200℃になるように目標温度が設定される。加熱板502に加圧部509を設けることで、シート束Wの綴じ位置に、熱圧着ユニット51の熱と圧力とが集中する。その結果、加熱と加圧の効率が向上する。
【0055】
ヒータ501は樹脂製のヒータ支持体503により支持されている。加圧レバー504は、熱圧着ユニット51を-Z方向(下方向)に押し下げて、シート束Wを加圧するため、図6に示されるモータM8から動力を得ている。加圧レバー504の加圧力は、剛体としての金属ステイ505を介して、加圧部509に伝達される。加圧レバー504の加圧力は、加圧レバー504を-Z方向(下方向)に移動させる量に応じて、制御可能である。たとえば、加圧力は、30kgfである。
【0056】
加圧板506は、弾性素材(例:シリコンゴム)により形成される。これは、加圧板506が加圧力を安定して受け止めるための部材だからである。熱圧着ユニット51は、シートS1~S5からなるシート束W1を加圧し、その後、シート束W1から離間する。図5(A)におけるシートS1~S5は成果物としての冊子の1枚目から5枚目のシートを示している。シートS1は冊子の表紙である。そのため、シートS1には接着用トナーTnの画像は形成されていない。冊子の2枚目以降のシートS2からS5の下面には接着用トナーTnの画像が形成されている。
【0057】
図5(B)が示すように、熱圧着が完了したシートS1~S5の上にシート束W2が積載される。シートW2は、シートS6~S10から構成されている。熱圧着ユニット51はシート束W1に積載されたシート束W2に熱圧着動作を適用する。これにより、多くのシートSから構成される冊子が作製され。
【0058】
後から積層されるシートS6~S10は、シートS1~S5と同じ冊子に含まれる。そのため、シートS6~S10の各下面には接着用トナーTnの画像が形成されている。
【0059】
一例として、後処理装置300は、最大で100枚のシートSからなる一部の冊子を作成できる。冊子の作成が開始されると、バッファ部80は最大で5枚ずつのシートSをバッファしてシート束Wを作成し、シート束Wを中間積載部42に供給する。熱圧着ユニット51は、シート束Wが到着するたびに、降下動作、加圧動作、および上昇動作からなる熱圧着動作を行う。バッファ動作と熱圧着動作とが繰り返されることで、画像形成装置100の生産性が低下することなく、効率的な冊子が作成される。
【0060】
中間積載部42において冊子の最終ページを含むシート束Wに対する熱圧着動作が完了すると、縦整合板39が待機位置から排出位置へ移動する。つまり、縦整合板39が排出口46に向けて平行移動することで、完成した冊子が押し出される。排出口46には、排出ローラ38が設けられている。冊子の先端が排出ローラ38を少し超えると、縦整合板39が停止し、再び待機位置へ帰還する。排出ローラ38は冊子を下トレイ37に排出する。
【0061】
(6)コントローラ
図6は画像形成システム1のコントローラを説明する図である。プリンタ制御部600は画像形成装置100を制御するコントローラである。フィニッシャ制御部650は、後処理装置300を制御するコントローラである。プリンタ制御部600とフィニッシャ制御部650は、通信インタフェースを介して互いに接続され、協働して画像形成システム1の動作を制御する。
【0062】
プリンタ制御部600は、中央処理装置(CPU)601と、メモリ602とを有する。CPU601は、メモリ602に格納されたプログラムを読み出して実行し、プログラムにしたがって画像形成装置100を制御する。CPU601は、画像形成装置100における画像形成処理とシート搬送処理などを実行する。メモリ602は、読出専用メモリ(ROM)のような不揮発性の記憶媒体と、ランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性の記憶媒体とを含む。メモリ602は、プログラム及びデータを記憶し、CPU601がプログラムを実行する際の作業エリアを提供する。メモリ602は、画像形成装置100を制御するためのプログラムを格納した非一過性の記憶媒体の例である。
【0063】
プリンタ制御部600は、外部インタフェース(I/F)104を介してパーソナルコンピュータおよび携帯型情報機器等の外部機器105に接続される。プリンタ制御部600は、外部機器105から入力される画像形成システム1に対する画像形成ジョブの実行指令等を受け付ける。プリンタ制御部600は、画像形成システム1のユーザインタフェースである操作表示部103に接続されている。操作表示部103は、表示装置(例:ユーザに情報を提示する液晶パネル等)と、入力装置(例:ユーザによる入力操作を受け付ける物理ボタン及びタッチセンサ)とを備える。プリンタ制御部600は、操作表示部103と通信を行うことにより、表示装置の表示内容を制御し、入力装置を介して入力された情報を受け取る。
【0064】
フィニッシャ制御部650は、CPU651と、メモリ652と、I/Oポート653とを有する。CPU651は、メモリ652に格納されたプログラムを読み出して実行し、プログラムにしたがって後処理装置300を制御する。メモリ652は、不揮発性の記憶媒体(例:ROM、SSD、HDD)及び揮発性の記憶媒体(例:RAM)を含む。SSDはソリッドステートドライブの略称である。HDDハードディスクドライブの略称である。メモリ652は、プログラム及びデータを記憶すると共に、CPU651がプログラムを実行する際の作業スペースを提供する。メモリ652は、後処理装置300を制御するためのプログラムを格納した非一過性の記憶媒体の例である。CPU651、メモリ652、およびI/Oポート653はバス654を介して相互に接続されている。I/Oポート653は、後処理装置300の各種の構成要素へ制御信号を出力したり、それらから信号を入力したりする。
【0065】
なお、プリンタ制御部600及びフィニッシャ制御部650が備える各機能は、ASIC等の独立したハードウェアとして実装されてもよいし、プログラムモジュールとしてソフトウェア的に実装されてもよい。ASICは特定用途集積回路の略称である。プリンタ制御部600がフィニッシャ制御部650の機能の一部又は全部を担当してもよい。
【0066】
I/Oポート653には、シートセンサ27、50、60、および、ヒータ501が接続されている。I/Oポート653には、シートSを搬送するための駆動源及び熱圧着ユニット51の駆動源となるモータM1~M10が接続される。
【0067】
モータM1は入口ローラ21を回転駆動する。モータM2は搬送ローラ対22を回転駆動する。モータM3は搬送ローラ対24を回転駆動する。モータM4は搬送ローラ対26を回転駆動する。モータM5は、蹴り出しローラ29を回転駆動する。モータM6は、縦整合ローラ40を1回転ずつ間欠動作させる駆動力を供給する。モータM7は、横整合ジョガー41を+X方向または-X方向に移動させる。モータM8は、熱圧着ユニット51にシート束Wを圧着させる動作を行わせる。モータM9は、排出ローラ38を回転駆動する。モータM10は、縦整合板39を+Y方向または-Y方向に駆動する。
【0068】
(7)機能構成
図7はCPU651により実現される機能を示している。CPU651は、プログラムにしたがって、センサ制御部708、モータ制御部709、ヒータ制御部710、および搬送制御部711を実現する。これらの機能のうちの一部またはすべてがASIC、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などにより実現されてもよい。CPU651は、シリアル通信な度を実行する通信回路706を有していてもよい。
【0069】
通信回路706は、プリンタ制御部600と接続され、ジョブの情報を受信したり、画像形成装置100から搬送されるシートSの情報を受信したりする。通信回路706は、プリンタ制御部600に対して画像形成ジョブの一時停止を指示したりする。
【0070】
センサ制御部708は、シートセンサ27、50、60を起動したり、シートセンサ27、50、60から入力される信号を搬送制御部711に受け渡したりする。搬送制御部711は、主にセンサ制御部708からの入力に基づき、モータ制御部709にモータM1~M5の駆動を指示する。これにより、シートS、シート束W、及び、冊子の搬送制御が実現される。後処理制御部714は、センサ制御部708からの入力に基づき、モータ制御部709にモータM6~M10の駆動を指示したり、ヒータ制御部710にヒータ501の加熱開始を指示したりする。これにより、縦整合処理、横整合処理、および熱圧着動作などの後処理が実現される。
【0071】
搬送制御部711は、バッファ決定部712、および排出判定部713を有している。バッファ決定部712は、バッファ部80において先行するシート束と、後続のシート束との区切りを決定する。排出判定部713は、先行する冊子と後続の冊子との区切りを判定してもよい。バッファ決定部712は、たとえば、バッファ部80で作成されるシート束Wに含まれるシートSの枚数を決定することで、先行するシート束と、後続のシート束との区切りを決定してもよい。排出判定部713は、中間積載部42に保持されている冊子の排出を判定することで、先行する冊子と後続の冊子との区切りを判定してもよい。カウンタ715は、バッファ部80に積載されているシートSの枚数iをカウントする。カウンタ716は、実施例2で使用され、中間積載部42に積載されているシートの枚数Hをカウントする。
【0072】
(8)複数冊子の連続作成
画像形成システム1は、複数の冊子を連続して作成することができる。搬送制御部711は、通信回路706を介して外部機器105からジョブの情報を受け取ると、当該ジョブに含まれるページの総数Uを取得する。ここでは、総数Uは、中間積載部42へ積載可能なシートSの上限枚数Q(例:Q=100枚)を超えていないことが前提とされている。また、一つの冊子に含まれるシートSの枚数はMと定義される。バッファ部80で作成されるシート束Wに含まれるシートSの上限枚数はNと定義される。
【0073】
図8は、M=12枚である二つの冊子L1、L2を作成するジョブについてのシートSの搬送ダイアグラムである。Nは5枚である。横軸は時間を示す。縦軸は入口ローラ21を原点とした後処理装置300内における搬送路に沿った距離を示す。図8においてはシートSの先端の位置がプロットされている。
【0074】
画像形成装置100からは一定の周期でシートSが送り込まれる。バッファ部80は、5枚のシートSからなるシート束Wを形成し、シート束Wを中間積載部42へと送り込む。中間積載部42は、シート束Wが到着するたびに後処理(整合と圧着)を実行する。
【0075】
上記の動作が繰り返えされ、中間積載部42において冊子L1、L2が完成する。その後、排出ローラ38は、冊子L1、L2をまとめて下トレイ37へ排出する。
【0076】
なお、搬送ローラ対24の下流側ではスイッチバックによってシートSの搬送方向が変わる。つまり、シートSの先端は第一端から第二端に変わる。そのため、搬送ローラ対24でシートSが一旦停止した後において、図8におけるシートSの先端の位置は第二端の位置である。
【0077】
図8においてシートSa1~Sa5は、バッファ部80でバッファされて、シート束W1となる。シート束W1は、中間積載部42まで搬送され、シートSa1~Sa5の先端が縦整合板39により縦整合される。さらに、シートSa1~Sa5は横整合処理および熱圧着動作を適用される。
【0078】
図8において、バッファ部80でのバッファ動作は、シートセンサ60の位置で待機している先行するシートSに後続のシートSが重なるように表現されている。2番目のシート束W2から5番目のシート束W5もシート束W1と同様に搬送され、整合され、圧着される。シートSの搬送間隔(紙間)はY1である。シート束Wの搬送間隔はY2である。
【0079】
シート束W1は、中間積載部42において熱圧着をされた後も、中間積載部42に保持される。シート束W1の上に順次後続のシート束W2~W5が積層される。シート束W2~W5に対する熱圧着動作が行われる際に、シート束W1は、熱圧着動作を受ける。シート束W2~W4も同様に、複数回の熱圧着動作を受ける。そのため、図8において、シート束W1~W4の先端位置は、縦整合板39の位置に留まっている。
【0080】
シート束Wに含まれるシートSの最大枚数が5枚である。よって、冊子L1の最後のシートSa12と冊子L2の最初のシートSb1とがシート束W3に含まれる。図8が示すように、シート束W3は、冊子L1のシートSa11、Sa12と、冊子L2のシートSb1、Sb2、Sb3を含む。
【0081】
ジョブにおけるシートSの総数Uが24であり、これはNの整数倍ではない。よって、最後のシートW5は、N枚より少ない4枚のシートSb9~Sb12により構成されている。
【0082】
図9は、シート束W3が熱圧着ユニット51に受け入れた時点での、熱圧着ユニット51の断面図である。シート束W1及びW2に含まれる隣り合ったシートSはすでに接着されている。冊子L2の表紙となるシートSb1には接着用トナーTnによる画像は形成されていない。そのため、この状態で熱圧着動作が実行されても、冊子L1のシートSa12と冊子L2のシートSb1とは接着されない。
【0083】
一方で、シート束W3として搬送されてきたシートSa11、Sa12は、その下に積層されているシート束W1及びW2と接着される。このようにして、冊子L1が完成し、かつ、冊子L1と冊子L2とが相互に分離される。
【0084】
図8が示すように、シート束W4の熱圧着動作、及び、シート束W5の熱圧着動作を終了すると、積層された冊子L1、L2が縦整合板39によって排出ローラ38へ向けて押し出される。最終的に冊子L1、L2がまとめて下トレイ37に排出される。
【0085】
(9)フローチャート
図10(A)は、CPU651(バッファ決定部712)により実行される処理を示している。シートセンサ27がシートSの後端を検知すると、以下の工程が実行される。
【0086】
S1001でCPU651は、バッファ部80に保持されているシートSの枚数をカウントするカウンタ715のカウント値iに1を加算する。カウント値iは、画像形成ジョブが開始されるとき、および、バッファ部80からシート束Wが中間積載部42へ排出されるとき、0に初期化される。
【0087】
S1002でCPU651は、カウント値iが上限枚数Nに等しいかを判定する。すなわち、バッファ部80にバッファされているシートSの枚数(カウント値i)が上限枚数Nに到達したかどうかが判定される。さらに換言すれば、シート束Wが完成したかどうかが判定される。カウント値iがNに等しい場合、CPU651は、処理をS1002からS1003に進める。
【0088】
S1003でCPU651は、シート束Wをバッファ部80から中間積載部42へ排出する。つまり、CPU651は、搬送ローラ対26、28と、けり出しローラ29を駆動して、シート束Wを中間積載部42へ搬送する。S1004でCPU651はカウンタ715のカウント値iを0にクリアする。
【0089】
一方、S1002でカウント値iがN未満であった場合、CPU651は処理をS1002からS1005に進める。S1005でCPU651は、通信回路706によって得られたシートSの情報に基づき、バッファ部80に搬入されたシートSが冊子の最終ページに相当するシートであるか否どうかを判定する。当該シートが冊子の最終ページに相当するシートであった場合、CPU651は、処理をS1005からS1006に進める。S1006でCPU651はジョブ情報に基づき後続の冊子があるかを判定する。なお、後続の冊子のジョブ情報は、通信回路706によってあらかじめフィニッシャ制御部650に通知されている。後続の冊子が無い場合、シート束Wは完成したため、CPU651は、処理をS1006からS1003に進める。つまり、シート束Wは、バッファ部80から排出され、中間積載部42へ搬送される。
【0090】
一方で、後続の冊子がある場合、CPU651は処理をS1006からS1007に進める。S1007でCPU651はバッファ部80への後続のシートの受け入れを継続する。つまり、バッファ動作が継続する。
【0091】
図10(B)は、CPU651(排出判定部713)により実行される判定処理を示す。シートセンサ50がシート束Wの後端を検知すると、以下の工程が実行される。
【0092】
S1011でCPU651は、シート束Wにおいて最も上に位置する(最後にバッファされた)シートSがジョブの最終ページであるかを判定する。当該シートがジョブの最終ページである場合、CPU651は処理をS1011からS1012に進める。
【0093】
S1012でCPU651は当該シート束Wへの後処理が終わった段階で冊子の作成が完了するため、中間積載部42から冊子を下トレイ37へ排出する。CPU651は、モータM10を駆動して縦整合板39により冊子を押し出す。さらに、CPU651は、モータM9を駆動して排出ローラ38を回転させて冊子を下トレイ37へ排出する。
【0094】
一方で、ステップS1011で、シート束Wの最終シートSがジョブの最終ページでない場合、CPU651は、処理をS1011からS1013に進める。S1013でCPU651は、中間積載部42におけるシート束Wの保持を継続し、後続のシート束Wの積載を継続する。
【0095】
実施例1によれば、連続して複数の冊子を作成するジョブにおいて、先行する冊子L1を中間積載部42から排出することなく、後続の冊子L2に熱圧着動作を施すことが可能となる。これにより、画像形成システム1の生産性を低下させるとなく、冊子を連続して作成することが可能となる。
【0096】
<実施例2>
実施例1では、中間積載部42に積載される複数の冊子に含まれるシートSの総数U(例:24枚)は、中間積載部42に積載可能なシートSの上限枚数Q(例:100枚)を超えないことが前提とされている。そこで、実施例2では、総数U(例:104枚)が上限枚数Q(例:100枚)を超えてしまうケースのハンドリングについて説明される。とりわけ、搬送制御部711がジョブにおけるシートSの総数Uに関する情報を入手できない場合に、上限枚数Qに関する制約を守りつつ、冊子を連続で作成する方法が説明される。
【0097】
図11は、それぞれ12枚のシートSから構成される6部以上の冊子が作成されるケースにおける搬送ダイアグラムを示す。図11の説明は図8(A)の説明と基本的に同様である。ただし、図11の見やすさの観点から、シートSに対する符号と搬送間隔Y1の表記が省略されている。図11では、冊子L1~L6まで記載されているが、搬送制御部711は、当該ジョブの総数Uに関する情報は得ていない。
【0098】
この場合においても、搬送制御部711はバッファ部80で5枚のシートSからなるシート束Wを形成し、中間積載部42にシート束Wを送り込んで熱圧着動作を行う工程を繰り返す。ここで、12個目のシート束W12の最終ページに相当するシートSe12は、4番目の冊子L4の最終ページである。シートSe12は、図10(B)に示されたフローチャートにおけるS1011の条件を満たす。中間積載部42で冊子L5が完成すると、5部の冊子L1~L5がまとめて下トレイ37へと排出される。
【0099】
図11においては引き続き冊子L6の作成が継続しており、シート束W13は、空となった中間積載部42へと搬送される。シート束W13にもシート束W1~W12と同じ動作が適用される。このよう、中間積載部42へ積載可能なシートSの上限枚数Qに達する前にシート束Wの最終シートSと冊子Lの最終シートSとが一致した場合、中間積載部42に積載されている全ての冊子が下トレイ37へ排出される。このように、中間積載部42に積載されているシートSの枚数R(例:60枚)が、中間積載部42の上限枚数Qを超える前に、総数M(例:12枚)の整数倍で、かつ、バッファ部80の上限枚数N(例:5枚)の整数倍になれば、問題は発生しない。
【0100】
図12はM=52枚である冊子L1、L2が連続で作成されるケースを示している。ここで、11番目のシート束W11の最終ページに相当するシートSa52は、冊子L1の最終ページとなる。ここで、後続の冊子L2のシートSb1とシートSa52を含むシート束W11を形成して中間積載部42に送り込んでしまうと仮定する。この場合、冊子L2が完了するまでは中間積載部42から冊子L1が排出不可能となる。冊子L2が52枚のシートSからなる冊子であれば、中間積載部42に積載されるシートSの枚数Rが104枚となり、上限枚数Qを超えてしまう。
【0101】
よって、シートSb1とシートSa52は、同一のシート束W11に含まれてはならない。つまり、シートSa51とシートSa52からなるシート束W11が中間積載部42へ搬送される。冊子L1が完成すると、冊子L1が下トレイ37へ排出される。なお、冊子L1の最終のシート束W11と、冊子L2の1番目のシート束W12との間の間隔はY2となる必要がある。そこで、搬送制御部711は、通信回路706を介して画像形成装置100に、シートSa52と、シートSb1との間の紙間を4×Y1とすべきことを通知する。
【0102】
図13はCPU651がプログラムにしたがって実行するシート束Wの区切りを決定する方法を示している。図10(A)と比較して、図13ではステップS1301とS1302とがS1006とS1007との間に追加されている。そのため、S1301とS1302とが中心に説明される。カウンタ716は、中間積載部42に積載されているシートSの総数Hをカウントしている。
【0103】
S1301は、S1006でYesの場合に実行される。S1301でCPU651は、中間積載部42に積載されているシートSの総数Hと、後続の冊子に含まれるシートSの総数Mとの和Rを求める。
【0104】
R=H+M ・・・(1)
S1302でCPU651は、和Rと上限枚数Qとに基づき、中間積載部42に後続の冊子を積載可能などうかを判定する。和Rが上限枚数Q以下であれば、CPU651は、後続の冊子を積載可能と判定し、処理をS1302からS1007に進めす。一方で、和Rが上限枚数Qを超えていれば、CPU651は、後続の冊子を積載不可能と判定し、処理をS1302からS1003に進める。
【0105】
図14は、中間積載部42からの冊子の排出を判定する処理を示している。図10(B)と比較して、図14では、S1400とS1401とが追加されている。S1011~S1013は、すでに説明されているため、ここでは繰り返し説明されない。
【0106】
S1011で中間積載部42に到着したシート束Wの最終シートがジョブの最終ページでなかった場合、CPU651は、処理をS1011からS1401に進める。
【0107】
S1401でCPU651は、中間積載部42に搬送されてきたシート束Wの最終シートが冊子の最終ページであるかを判定する。当該シート束Wの最終シートが冊子の最終ページであった場合、CPU651は処理をS1401からS1012に進める。つまり、中間積載部42に積載されているすべての冊子が排出される。このケースは、図11で例示されたケース(HがNの整数倍のケース)と、図12で例示されたケース(HがNの整数倍ではないケース)との両方を含む。一方で、当該シート束の最終シートが冊子の最終ページでない場合、まだ冊子が完成していない。そこで、CPU651は、処理をS1401からS1013に進める。これにより、中間積載部42への後続のシート束の積載が継続される。
【0108】
実施例2によれば、ジョブにおけるシートSの総数が不明であっても、連続して冊子が形成可能となる。つまり、中間積載部42にて積載可能な範囲でシートSが積載される。先行する冊子を構成するシートSと後続の冊子を形成するシートSとを同一のシート束Wに混載して搬送することが可能となる。その結果、画像形成システム1の生産性を低下させることなく、複数の冊子を連続して作成することが可能となる。
【0109】
<実施例3>
図15は、実施例1,2における搬送制御部711に含まれる機能またはモジュールをより詳細に示している。バッファ決定部712は、カウンタ715のカウント値iに基づきバッファ部80への後続のシートSの積載を許可するかどうかを判定する。たとえば、バッファ決定部712は、iがN未満であれば、バッファ部80への後続のシートSの積載を許可する。バッファ決定部712は、iがNに等しくなると、バッファ部80から中間積載部42へのシート束Wの排出を開始すべきと判定する。排出指示部1510は、モータ制御部709にバッファ部80から中間積載部42へのシート束Wの排出を指示する。
【0110】
最終シート判定部1502は、ジョブの情報を分析し、バッファ部80に最後に積載されたi番目のシートSが冊子の最後のページ(シート)であるかどうかを判定する。後続判定部1503は、i番目のシートSが冊子の最後のページ(シート)である場合に、ジョブの情報を分析し、後続の冊子が存在するかどうかを判定する。i番目のシートPが冊子の最後のページ(シート)であり、かつ、後続の冊子が存在しない場合、後続判定部1503は、バッファ部80から中間積載部42へのシート束Wの排出を開始すべきと判定する。その結果、排出指示部1510は、モータ制御部709にバッファ部80から中間積載部42へのシート束Wの排出を指示する。
【0111】
なお、i番目のシートSが冊子の最後のページ(シート)でない場合、バッファ部80へ後続のシートSが受け入れられる。i番目のシートSが冊子の最後のページ(シート)あり、かつ、後続の冊子がある場合、バッファ部80へ後続のシートSが受け入れられる。
【0112】
実施例2では、i番目のシートSが冊子の最後のページ(シート)でない場合、または、i番目のシートSが冊子の最後のページ(シート)あり、かつ、後続の冊子がある場合、別の判定が追加される。つまり、中間積載部42にシート束Wを排出可能かどうかが判定される。
【0113】
和演算部1521と、満載判定部1522は、実施例2に関与する機能である。和演算部1521は、カウンタ716のカウント値Hと、後続の冊子に含まれるシートの総数Mとを加算して、和Rを求める。満載判定部1522は、和Rが、中間積載部42に積載可能なシートSの上限枚数Q以下であるかどうかを判定する。i番目のシートSが冊子の最後のページ(シート)であり、かつ、和Rが上限枚数Q以下である場合、満載判定部1522は、バッファ部80から中間積載部42へのシート束Wの排出を開始すべきと判定する。その結果、排出指示部1510は、モータ制御部709にバッファ部80から中間積載部42へのシート束Wの排出を指示する。
【0114】
実施例1の排出判定部713は、ジョブ判定部1551と排出指示部1570を有している。ジョブ判定部1551は、ジョブの情報に基づき、中間積載部42に最後に到着したシート束Wにおける最終のシートSがジョブの最終ページに相当するシートSかどうかを判定する。最終のシートSがジョブの最終ページに相当するシートSであれば、ジョブ判定部1551は、中間積載部42に積載されているすべての冊子を排出すべきと判定する。その結果、排出指示部1570が、後処理制御部714またはモータ制御部709に、冊子の排出を指示する。
【0115】
実施例2の排出判定部713は、さらに、冊子判定部1561を有する。冊子判定部1561は、中間積載部42に搬送されてきたシート束Wの最終シートが冊子の最終ページであるかを判定する。シート束Wの最終シートが冊子の最終ページとなるケースは、図11図12で説明された通りである。中間積載部42において最も上に位置する冊子が完成すると、冊子判定部1561は、中間積載部42に積載されているすべての冊子を排出すべきと判定する。その結果、排出指示部1570が、後処理制御部714またはモータ制御部709に、冊子の排出を指示する。
【0116】
<実施例から導き出される技術思想>
(項目1)
一枚ずつシートを受け入れて最大でN枚のシートからなるシート束を形成する束形成手段と、
前記シート束の形成が完了すると、当該シート束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シート束を積載する積載手段と、
前記積載手段に前記シート束が積載される度に接着処理を実行することで、M枚のシートからなる冊子を作成する接着手段と、
前記積載手段においてL個の冊子の作成が完了すると、前記積載手段から前記L個の冊子を排出する排出手段と、を有し、
前記束形成手段は、k番目の冊子に含まれることになるM枚目のシートと、k+1番目の冊子に含まれることになる1枚目のシートとを含む、N枚のシートからなるシート束を作成するように構成され(kは1からL-1までの整数であり、MはNの整数倍ではない)、
前記接着手段は、前記k番目の冊子に含まれることになる前記M枚目のシートと、前記k+1番目の冊子に含まれることになる前記1枚目のシートとを除き、前記積載手段に積載されている先行するシートと後続のシートとを接着する、シート処理装置。
【0117】
バッファ部80は束形成手段の一例である。搬送ローラ対26、28は搬送手段の一例である。中間積載部42は積載手段の一例である。熱圧着ユニット51は接着手段の一例である。排出ローラ38および縦整合板39は排出手段の一例である。実施例1、2によれば、先行する冊子に含まれることになる最終のシートと、後続の冊子に含まれることになる1枚目のシートとが一つのシート束に含まれて、搬送される。また、一つの冊子を構成する複数のシートは相互に接着されるが、先行する冊子に含まれることになる最終のシートと、後続の冊子に含まれることになる1枚目のシートとは接着されない。これにより、シート処理装置の生産性が向上する。
(項目2)
前記束形成手段、前記搬送手段、前記積載手段、前記接着手段、および前記排出手段を制御する制御手段をさらに有し、
前記制御手段は、
前記束形成手段において重ねられているシートの枚数iをカウントし、
前記iが前記Nになると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させ、
前記iが前記Nより少なくても、前記束形成手段に到着したi枚目のシートがL番目の冊子におけるM枚目のシートであると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させる、項目1に記載のシート処理装置。
【0118】
フィニッシャ制御部650およびCPU651は制御手段の一例である。シート束W完成すると、シート束が積載手段へ搬送される。シート束に含まれるシートの枚数がNであれば、シート束が完成する。実施例1で説明されたように、ジョブに最後のシートがシート束に積載される場合も、シート束が完成する。実施例2で説明されたように、積載手段に後続の冊子を積載不可能なケースがある。この場合、束形成手段に搬入されたシートが冊子の最終ページに相当するシートであれば、シート束が完成する。つまり、束形成手段に到着したi枚目のシートがL番目の冊子におけるM枚目のシートである場合には、シート束が完成する。
(項目3)
前記L番目の冊子は、一つのジョブにおける最後の冊子であり、前記L番目の冊子における前記M枚目のシートは、前記一つのジョブにおける最後のページに相当するシートである、項目2に記載のシート処理装置。
【0119】
実施例1で説明されたように、このようなケースでは、シート束に含まれるシートの枚数はN未満であっても、シート束は完成したものとして取り扱われる。
(項目4)
前記L番目の冊子は、Y個の冊子を作成する一つのジョブにおいて作成される(YはLよりも大きい整数)、項目2に記載のシート処理装置。
【0120】
実施例2で説明されたように、一つのジョブにより作成される複数の冊子を積載手段に積載することが不可能なケースが存在する。この場合、L個の冊子が完成すると、L個の冊子が積載手段から排出される。
(項目5)
前記制御手段は、
1番目の冊子から前記L番目の冊子までに含まれるシートの合計枚数R0が、前記積載手段に積載可能な最大枚数を超えず、かつ、前記1番目の冊子からL+1番目の冊子までに含まれるシートの合計枚数R1が、前記最大枚数Qを超える場合、前記L番目の冊子に含まれる最後のシートが前記束形成手段に到着すると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させ、かつ、前記排出手段により前記1番目の冊子から前記L番目の冊子を排出させる、項目4に記載のシート処理装置。
【0121】
実施例2で説明されたように、一つのジョブにより作成される複数の冊子を積載手段に積載することが不可能なケースが存在する。つまり、1番目の冊子からL番目の冊子までは積載手段に積載可能であるが、L+1番目の冊子は積載手段に積載不可能なケースである。この場合、1番目の冊子からL番目の冊子が排出された後で、L+1番目の冊子が積載手段に積載される。
(項目6)
前記制御手段は、前記束形成手段が前記L番目の冊子における前記M枚目のシートを含むシート束の排出が完了するまで、前記束形成手段へのL+1番目の冊子における1枚目のシートの受け入れを遅延させる、項目4に記載のシート処理装置。
【0122】
このようにCPU651は、先行するシート束の排出が完了するまで、後続のシート束を形成することになるシートの搬入を遅延させる。これにより、束形成手段において先行するシート束と後続のシートとが衝突しないようになろう。つまり、後続のシートが先行するシート束の排出を妨害しないようになろう。
(項目7)
前記制御手段は、前記排出手段による1番目の冊子から前記L番目の冊子の排出が完了するまで、前記束形成手段から前記積載手段への前記L+1番目の冊子を形成することになるシート束の搬送を遅延させる、項目6に記載のシート処理装置。
【0123】
これは、図12に例示されている。これにより、後続の冊子に含まれることになるシート束が、先行する冊子の排出を妨害しないようになる。つまり、先行する冊子の排出がスムーズに実行されるであろう。
(項目8)
前記制御手段は、
前記枚数iが前記N枚になると、前記搬送手段により前記シート束を前記束形成手段から前記積載手段へ搬送させ、
(1)前記枚数iが前記N枚より少なく、かつ、前記束形成手段において到着したi枚目のシートが前記冊子におけるM枚目のシートであり、かつ、前記積載手段において作成されている冊子がL番目の冊子である場合、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段にシート束を搬送させ、
(2)前記枚数iが前記N枚より少なく、かつ、前記束形成手段において到着したi枚目のシートが前記冊子におけるM枚目のシートであり、かつ、前記積載手段において作成されている冊子が前記L番目の冊子でない場合、前記束形成手段へi+1枚目のシートを受け入れさせ、
(3)前記枚数iが前記N枚より少なく、かつ、前記束形成手段において到着したi枚目のシートが前記冊子におけるM枚目のシートでない場合、前記束形成手段へ前記i+1枚目のシートを受け入れさせる、項目2に記載のシート処理装置。
【0124】
これらは図12において例示された通りである。(1)はS1002でNo、S1005でYes、かつ、S1006でNoのケースに相当する。(2)はS1002でNo、S1005でYes、かつ、S1006でYesのケースに相当する。ここで、L番目の冊子でない場合とは、たとえば、積載手段に積載されている冊子が、1番目からL-1番目であるケースである。(3)のケースは、S1002でNo、かつ、S1005でNoのケースに相当する。
(項目9)
前記シートに画像を形成するとともに、前記冊子において表紙とならない残りのシートに熱溶融型の接着剤による接着パターンを形成する画像形成手段をさらに有し、
前記接着手段は、前記積載手段に積載されたシート束に対して熱を加えることで、後続のシートに形成された接着パターンを溶融させて前記後続のシートに対して先行するシートを接着させる、項目1に記載のシート処理装置。
【0125】
画像形成装置100は画像形成手段の一例である。このような接着手段を採用することで、一つのシート束に、先行する冊子のシートと後続の冊子のシートとを混載することが可能となる。その結果、ステイプル針を使用する後処理装置と比較して、シート処理装置の生産性が向上する。
(項目10)
前記接着パターンは、トナーにより形成される、項目9に記載のシート処理装置。
【0126】
これにより、電子写真方式の画像形成装置をシート処理装置に接続することが可能となる。一般に電子写真方式の画像形成装置は、YMCKという四つのトナーを使用して画像を形成する。KはYMCから形成可能であるため、Kトナーの代わりに、接着用トナーが採用されてもよい。この場合、四つのプロセスカートリッジを搭載するように設計された画像形成装置が、実施例1,2の画像形成装置100として利用可能となろう。
(項目11)
複数のシートを重ねてシート束を形成し、当該シート束を一時的に保持する重ね手段と、
前記重ね手段に保持されている前記シート束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されて来た一つ以上のシート束を積載する積載手段と、
前記積載手段に積載されている一つ以上のシート束を接着処理して冊子を作成する接着手段と、
前記積載手段から前記冊子を排出する排出手段と、
前記重ね手段により形成される各シート束に含まれるシートの枚数と、前記排出手段による前記冊子の排出とを制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記重ね手段により重ねられたシートの枚数が所定枚数より少なければ、前記重ね手段によるシートの重ね処理を継続し、
前記重ね手段により重ねられたシートの枚数が前記所定枚数になるか、または、前記重ね手段により重ねられたシートの枚数が前記所定枚数より少ないものの前記重ね手段において最も上に位置するシートがジョブの最終ページに相当するシートであると、前記搬送手段により前記重ね手段から前記積載手段にシート束を搬送させ、
前記搬送手段により前記重ね手段から前記積載手段に搬送されて来た前記シート束において最も上に位置するシートがジョブにおける最終ページに相当するシートであれば、前記積載手段に積載されているすべての冊子を前記排出手段により排出させる、シート処理装置。
【0127】
バッファ部80は重ね手段の一例である。また、複数のシート束のそれぞれは、基本的に所定枚数(N枚)のシートから構成される。つまり、先行する冊子のシートと後続の冊子のシートとが一つのシート束に含まれることがある。これにより、先行する冊子のシートと後続の冊子のシートとを一つのシート束に含めることができないシート処理装置と比較して、実施例1、2のシート処理装置の生産性は高い。
(項目12)
前記制御手段は、
前記搬送手段により前記重ね手段から前記積載手段に搬送されて来た前記シート束において最も上に位置するシートが冊子の最終ページに相当するシートであれば、前記積載手段に積載されているすべての冊子を前記排出手段により排出させる、項目11に記載のシート処理装置。
【0128】
図8が示すように、積載手段に到着したシート束において最も上に位置するシート(最終シート)が冊子の最終ページに相当することがある。この場合、積載手段に積載されているすべての冊子が排出される。これは、たとえば、積載手段に到着したシート束において最も上に位置するシート(最終シート)がジョブの最終ページに相当するケースである。図11および図12も、積載手段に到着したシート束において最も上に位置するシート(最終シート)が冊子の最終ページに相当する例を示している。
(項目13)
前記制御手段は、
前記積載手段に積載されている先行する冊子を形成するシートの枚数と、後続の冊子を形成するシートの枚数との和が、所定枚数を超えると、前記先行する冊子の最終ページに相当するシートと前記後続の冊子の先頭ページに相当するシートとを、前記重ね手段において混載させない、項目2に記載のシート処理装置。
【0129】
これは、図12において例示されている。これにより、積載手段がオーバーフローしてしまう事態が抑制されよう。
(項目14)
前記制御手段は、前記積載手段にシート束が積載されるごとに、前記接着手段に前記接着処理を実行させる、項目11に記載のシート処理装置。
【0130】
図5(A)および図5(B)が例示するように、シート束ごとに熱圧着が実行されてもよい。これにより、少ない熱量で確実に複数のシートを接着することが可能となろう。
(項目15)
前記シートに画像を形成するとともに、前記冊子において表紙とならない残りのシートに熱溶融型の接着剤による接着パターンを形成する画像形成手段をさらに有し、
前記接着手段は、前記積載手段に積載されたシート束に対して熱を加えることで、後続のシートに形成された接着パターンを溶融させて前記後続のシートに対して先行するシートを接着させる、項目11に記載のシート処理装置。
【0131】
このように常温では接着能力が小さく、かつ、高温で接着能力が高まる接着剤が採用されてもよい。これは、熱定着方式を採用する電子写真方式の画像形成装置100に適しているであろう。
(項目16)
前記重ね手段は、先行する冊子における最終ページに相当するシートの上に、後続の冊子における先頭ページに相当するシートを重ねることで、前記シート束において、前記先行する冊子を構成する一つまたは複数のシートと前記後続の冊子を構成する一つまたは複数のシートとが混載される、項目11に記載のシート処理装置。
【0132】
これにより、先行する冊子のシートと後続の冊子のシートとを同一のシート束により搬送することが可能となる。
(項目17)
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続されたシート処理装置と、を有し、
前記シート処理装置は、
前記画像形成装置から一枚ずつシートを受け入れて最大でN枚のシートからなるシート束を形成する束形成手段と、
前記シート束の形成が完了すると、当該シート束を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シート束を積載する積載手段と、
前記積載手段に前記シート束が積載される度に接着処理を実行することで、M枚のシートからなる冊子を作成する接着手段と、
前記積載手段においてL個の冊子の作成が完了すると、前記積載手段から前記L個の冊子を排出する排出手段と、
前記束形成手段、前記束形成手段、前記束形成手段、前記接着手段、および前記排出手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記束形成手段において重ねられているシートの枚数iをカウントし、
前記iが前記Nになると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させ、
前記iが前記Nより少なくても、前記束形成手段に到着したi枚目のシートがL番目の冊子におけるM枚目のシートであると、前記搬送手段により前記束形成手段から前記積載手段へ前記シート束を搬送させる、画像形成システム。
【0133】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0134】
80:バッファ部、26:搬送ローラ対、42:中間積載部、51:熱圧着ユニット、38:排出ローラ
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図15