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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164705
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】車両用サンバイザー
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
B60J3/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080379
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英徳
(72)【発明者】
【氏名】盛田 征嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 茂
(72)【発明者】
【氏名】松本 望
(72)【発明者】
【氏名】堀部 誠
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅之
(57)【要約】
【課題】ウィンドシールドの上部に取付けられた機器5に干渉しない車両用サンバイザー1を提供する。
【解決手段】車両用サンバイザー1は、車両の乗員が車両用サンバイザー1を使用している時、サンバイザー本体3がウィンドシールド上部に取り付けた機器5に干渉しないように、サンバイザー本体3の一部31又は全体を機器5に対して移動させるスライド機構を備える。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員が車両用サンバイザーを使用している時、サンバイザー本体がウィンドシールド上部付近に取り付けた機器に干渉しないように、前記サンバイザー本体の一部又は全体を前記機器に対して移動させるスライド機構を備える車両用サンバイザー。
【請求項2】
前記スライド機構は、
機器側の前記サンバイザー本体の一部であって、前記サンバイザー本体の他の一部の中に収納可能に構成された移動部を有する
請求項1記載の車両用サンバイザー。
【請求項3】
前記移動部は、水平方向に移動することにより収納される請求項2記載の車両用サンバイザー。
【請求項4】
前記移動部は、水平方向に垂直な方向に移動することにより収納される請求項2記載の車両用サンバイザー。
【請求項5】
前記スライド機構は、
前記サンバイザー本体と、
前記サンバイザー本体を水平方向に移動可能に支持する支持部と、
前記支持部を車内天井へ取り付ける取付部と、を有し、
前記支持部は、前記支持部に対する基準位置から移動した前記サンバイザー本体に対して前記基準位置へ向かう力を付与する
請求項1記載の車両用サンバイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インナミラーとフロントウインドガラスの上縁との間隔に納め可能な補助バイザーをサンバイザーに着脱可能に設けた自動車用サンバイザーが記載されている。補助バイザーをサンバイザーに取り付けることにより、補助バイザーがインナミラーとフロントウインドガラスの上縁との間隔から侵入する光を遮光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-80734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明は、フロントウインドガラスから侵入する光を遮光することを目的の1つとしている。しかし、特許文献1は、自動車用サンバイザーが、フロントウインドガラスの上部に取付けられたルームミラー等の機器に干渉してしまう、という技術的な課題について触れていない。
【0005】
本特許願の発明者らは、車両用サンバイザーの技術分野における当業者であっても通常着想し得ない新規な技術的な課題を発見し、当該課題を解決する本発明に想到した。
【0006】
本発明は、ウィンドシールドの上部に取付けられた機器に干渉しない車両用サンバイザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用サンバイザーは、車両の乗員が車両用サンバイザーを使用している時、サンバイザー本体がウィンドシールド上部に取り付けた機器に干渉しないように、サンバイザー本体の一部又は全体を機器に対して移動させるスライド機構を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウィンドシールドの上部に取付けられた機器に干渉しない車両用サンバイザーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、車両の乗員が車内に取付けられたサンバイザー本体3を使用していない未使用状態3A、及び車両の乗員が車両用サンバイザーを使用している使用状態3B~3Dを例示する側面図である。
図2A図2Aは、使用状態3Cの車両用サンバイザー1を車内からx軸方向に見た正面図であって、移動部31をサンバイザー本体3の他の一部32の中に移動する前の状態を示す。
図2B図2Bは、使用状態3Cの車両用サンバイザー1を車内からx軸方向に見た正面図であって、移動部31をサンバイザー本体3の他の一部32の中に移動させた後の状態を示す。
図3A図3Aは、z軸方向から見た時のウィンドシールド8上部に取り付けたルームミラー5と使用状態3Cのサンバイザー本体3の位置関係を示す平面図である。
図3B図3Bは、使用状態3Cの車両用サンバイザー1とルームミラー5を車内からx軸方向に見た正面図である(その1)。
図3C図3Cは、使用状態3Cの車両用サンバイザー1とルームミラー5を車内からx軸方向に見た正面図である(その2)。
図4A図4Aは、変形例に係る車両用サンバイザー1を車内からx軸方向に見た正面図である。
図4B図4Bは、図4Aの車両用サンバイザー1とルームミラー5を示す正面図である。
図5A図5Aは、第2実施形態に係る車両用サンバイザー1を車内からx軸方向に見た正面図である。
図5B図5Bは、図5Aの車両用サンバイザー1とルームミラー5を示す正面図である。
図6A図6Aは、参考例に係る車両用サンバイザー1を車内からx軸方向に見た正面図である。
図6B図6Bは、図6Aの車両用サンバイザー1とルームミラー5を示す正面図である。
図7A図7Aは、第3実施形態に係る車両用サンバイザー1を車内からx軸方向に見た正面図である。
図7B図7Bは、図7Aの車両用サンバイザー1とルームミラー5を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る車両用サンバイザーについて、添付図面を参照して説明する。実施形態に係る車両用サンバイザーは、助手席側の車両用サンバイザーであってもよく、運転席側の車両用サンバイザーであっても構わない。実施形態では、助手席側、つまり車両の進行方向に向かって左側の車両用サンバイザーを例にとり説明する。図1は、実施形態に係る車両用サンバイザー1の未使用状態3A及び使用状態3B~3Dを例示する側面図である。図2Aは、使用状態3Cの車両用サンバイザー1を車内からx軸方向に見た正面図であって、移動部31をサンバイザー本体3の他の一部32の中に移動させる前の状態を示す。図2Bは、使用状態3Cの車両用サンバイザーを車室内からx軸方向に見た正面図であって、移動部31をサンバイザー本体3の他の一部32の中に移動させた後の状態を示す。
【0011】
添付図面において、車両用サンバイザー1が搭載される車両の直進方向をx軸方向とし、車両の直進方向に向かって車幅方向の左方向をy軸方向とし、x軸方向及びy軸方向に垂直な上方向をz軸方向とする。
【0012】
(第1実施形態)
図1図2A及び図2Bに示すように、第1実施形態に係る車両用サンバイザー1は、車両の乗員6が車両用サンバイザー1を使用している時(3B~3D)、サンバイザー本体3がウィンドシールド8上部に取り付けた機器に干渉しないように、サンバイザー本体3の一部31を機器に対して移動させるスライド機構を備える。
【0013】
図2Aに示すように、第1実施形態に係る車両用サンバイザー1は、車外からの光の侵入を遮る板状のサンバイザー本体3と、サンバイザー本体3を車内に取付ける取付部2とを有する。サンバイザー本体3は、取付部2によって、x軸を回転軸として回転可能に取付けられている。車両用サンバイザー1は、乗員6に対向するサンバイザー本体3の表面に取付けられたバニティミラー4を更に有していてもよい。
【0014】
乗員6が車両用サンバイザー1を使用していない時、サンバイザー本体3は、図1に示す未使用状態3Aのように、サンバイザー本体3はルーフ7に平行な位置で保持されている。乗員6は、車両用サンバイザー1を使用する時、図1に示す使用状態3B~3Dのように、未使用状態3Aのサンバイザー本体3をウィンドシールド8側へ回転させる。乗員6は、光の差し込む角度、使用目的に応じて、サンバイザー本体3の角度を調整する。例えば、使用状態3Cのサンバイザー本体3は、その表面がy軸及びz軸が成す平面と略平行になる。使用状態3Bのサンバイザー本体3は、使用状態3Cよりも乗員6側に傾いている。使用状態3Dのサンバイザー本体3は、使用状態3Cよりもウィンドシールド8側に傾いている。また、乗員6がバニティミラー4を使用する時、例えば、サンバイザー本体3は図1に示す使用状態3C、3Dを取り得る。さらに、サンバイザー本体3の表面に、バニティミラー4の代わりに、或いはバニティミラー4と並んで、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイが取り付けられていてもよい。乗員6がディスプレイを使用する時も、例えば、サンバイザー本体3は図1に示す使用状態3C、3Dを取り得る。このように、乗員6が車両用サンバイザー1を使用する時には、サンバイザー本体3を日よけとして使用する時のみならず、サンバイザー本体3に取付けられたバニティミラー4又はディスプレイ等を使用している時が含まれる。
【0015】
「機器」には、乗員6に対して視覚情報を提示する機能を有する全ての機器、及び車内を撮影する機能を有する全ての機器が含まれる。例えば、機器には、ルームミラー、映像を車室内に向けて表示するモニターを有するドライブレコーダー、車内を撮像するカメラを有するドライブレコーダー、運転者の覚醒状態及び視線方向等を検出するために運転者の顔画像を撮像するドライバーモニター等が含まれる。ルームミラーには、車両の出荷時から取り付けられている純正のルームミラーの他に、車両の出荷後に取付けられる後付けのルームミラーも含まれる。後付けのルームミラーは、純正のルームミラーの上に貼り付けられるため、純正のルームミラーよりもサイズが大きくなる。このため、サンバイザーにより鏡面の一部が後付けのルームミラーによって隠されやすい。ルームミラーには、鏡からなる通常のルームミラーの他に、車外を撮像したカメラ映像を表示する、電子ミラー、デジタルルームミラー、スマートミラー、デジタルインナーミラー等(以後、これらを纏めて、ルームミラーと呼ぶ)が含まれる。第1実施形態では、「ウィンドシールド8上部に取り付けた機器」が、ウィンドシールド8上部の中央部に取付けられたルームミラーである場合を例にとり説明する。
【0016】
図2Aに示すように、スライド機構は、例えば、機器側のサンバイザー本体3の一部31であって、サンバイザー本体3の他の一部32の中に収納可能に構成された移動部31を有する。車両用サンバイザー1は助手席側の車両用サンバイザーであるため、図2Aにおいて、ルームミラー(図示せず)は、サンバイザー本体3の右側に位置する。よって、移動部31は、サンバイザー本体3の右側端の一部分である。サンバイザー本体3の他の一部32は、移動部31をy軸方向に移動可能に支持している。サンバイザー本体3の他の一部32のうち、移動部31の左側に隣接する部分には、移動部31の一部又は全体を収納可能な空間である収納部321が形成されている。移動部31を、図2Aに示す状態から水平方向(y軸方向)に移動させることにより、図2Bに示すように、移動部31は収納部321の中に収納される。図2Bは、移動部31の全体が収納部321の中に収納されている状態を示す。移動部31が収納されることにより、収納される前の移動部31が位置していたサンバイザー本体3の部分に凹部33が形成される。収納部321への移動部31の出し入れ操作は乗員により行われる。移動部31の移動可能な支持構造は、既知の技術を用いてもよい。
【0017】
図3Aを参照して、使用状態3Cのサンバイザー本体3とルームミラー5との位置関係を説明する。図3Aは、z軸方向からルームミラー5と使用状態3Cのサンバイザー本体3を見た上面図である。使用状態3Cのサンバイザー本体3の右側一部がルームミラー5の左側一部5aと重なっている。サンバイザー本体3の右側一部が、ルームミラー5の左側一部5aよりも、x軸方向の逆方向側、つまり車両直進方向の後方側に位置している。このため、車内からx軸方向を見ると、図2Aに示した状態のサンバイザー本体3はルームミラー5の一部5aに隠してしまう。
【0018】
そこで、図3Bに示すように、移動部31を収納部321の中に収納して凹部33を形成することにより、車内からx軸方向を見て、ルームミラー5の一部5aが、凹部33を通じて見えるようになる。つまり、図2Bに示した状態のサンバイザー本体3は、ルームミラー5の一部5aを隠さない。よって、助手席側のサンバイザー本体3が使用状態3Cであっても、運転者はルームミラー5の全体(5a、5b)を視認することができるようになる。なお、図3Aには、サンバイザー本体3の右側一部が、ルームミラー5の左側一部5aよりも、車両直進方向の後方側に位置しており、サンバイザー本体3がルームミラー5に接触していない場合を示した。しかし、図1に示したように、使用状態3B~3Dによっては、サンバイザー本体3の一部が、ルームミラー5の一部に接触して干渉する場合がある。この場合であっても、本実施形態に係る車両用サンバイザー1によれば、凹部33を形成することにより、サンバイザー本体3がルームミラー5の一部に接触による干渉を回避することができる。
【0019】
「サンバイザー本体3がルームミラー5に干渉すること」とは、図3Aに示したようにサンバイザー本体3がルームミラー5の一部5aを隠すことの他に、サンバイザー本体3がルームミラー5の一部に接触して干渉することを、含む意味である。
【0020】
なお、ルームミラー5と使用状態3Cのサンバイザー本体3とが重なる幅、即ちy軸方向の長さ5W1は、ルームミラー5の大きさ、及びルームミラー5を取り付ける車内の位置に応じて変化する。図3Bは、移動部31の全体が収納部321の中に収納されている状態を示す。すなわち、ルームミラー5と使用状態3Cのサンバイザー本体3とが重なる幅5W1が、ほぼ移動部31のy軸方向の長さに等しい例を示す。一方、図3Cは、移動部31の一部31bが収納部321の中に収納され、移動部31の残りの一部31aが収納されていない状態を示す。すなわち、ルームミラー5と使用状態3Cのサンバイザー本体3とが重なる幅5W2が、移動部31のy軸方向の長さよりも短い場合、移動部31の一部31bだけを収納部321に収納すればよい。これにより、使用状態3Cのサンバイザー本体3とルームミラー5の凹部33との隙間を無くすことができる。このように、車両用サンバイザー1は、移動部31の移動量、収納部321に収納する移動部31の面積、又は凹部33の形状を調整することができる。この調整を、ルームミラー5と使用状態3Cのサンバイザー本体3とが重なるy軸方向の長さ(5W1、5W2)に応じて行うことにより、使用状態3Cのサンバイザー本体3とルームミラー5の凹部33とのy軸方向の隙間を無くし、或いは小さくすることができるので、当該隙間から侵入する光を防止又は低減できる。よって、車内に侵入する光を遮る車両用サンバイザー1本来の遮光機能を損なうことが無い。車両用サンバイザー1の本来の機能(遮光)を維持しつつ、ルームミラー5の全体(5a、5b)を視認することができる。
【0021】
図1に示したサンバイザー本体3の使用状態3B~3Dのうち、使用状態3Cを例にとり説明したが、使用状態3B、3Dを含むサンバイザー本体3のその他の使用状態においても、z軸方向から見た時のウィンドシールド8上部に取り付けたルームミラー5とサンバイザー本体3が図3Aに示す位置関係にある場合、及びサンバイザー本体3の一部がルームミラー5の一部に干渉する場合に、本実施形態を適用することができる。
【0022】
(変形例)
第1実施形態では、図2A及び図2Bを参照して、移動部31が水平方向に移動することによりサンバイザー本体3の他の一部32の中に収納される例を示した。移動部31が一体を成している場合に限らず、例えば、移動方向に垂直な方向に分割されていてもよい。
【0023】
図4Aに示すように、変形例に係る車両用サンバイザー1は、水平方向に垂直な方向(z軸方向)に分割された複数の移動部、例えば、第1移動部31c~第3移動部31eを有する。第1移動部31c~第3移動部31eは、独立して水平方向(y軸方向)に移動可能にサンバイザー本体3の他の一部32に支持されている。サンバイザー本体3の他の一部32のうち、第1移動部31c~第3移動部31eの左側に隣接する部分には、第1移動部31c~第3移動部31eの一部又は全体を収納可能な空間である第1収納部321a~第3収納部321cがそれぞれ形成されている。第1収納部321a~第3収納部321cへの第1移動部31c~第3移動部31eの出し入れは乗員により行われる。
【0024】
例えば、図4Bに示すように、ルームミラー5Aのz軸方向の長さ5Hは、図3B及び図3Cのルームミラー5のz軸方向の長さに比べて短い。ルームミラー5Aに対して、一部の第1移動部31c及び第2移動部31dだけを第1収納部321a及び第2収納部321bにそれぞれ収納し、第3移動部31eは第3収納部321cに収納しない。これにより、サンバイザー本体3に幅の狭い凹部33が形成される。車内からx軸方向を見て、ルームミラー5Aの一部5aが、凹部33を通じて見えるようになる。つまり、使用状態3Cのサンバイザー本体3は、ルームミラー5Aの一部5aを隠さない。よって、乗員6はサンバイザー本体3が使用状態3Cであっても、ルームミラー5Aの全体(5a、5b)を視認することができるようになる。
【0025】
また、ルームミラー5Aのz軸方向の長さ5Hに応じて、収納する第1移動部31c~第3移動部31eの数を調整する。これにより、サンバイザー本体3の凹部33とルームミラー5Aとのz軸方向の隙間を無くし、或いは小さくすることができるので、当該隙間から侵入する光を防止又は低減できる。このように、移動部をその移動方向(y軸方向)に対して垂直な方向(z軸方向)に複数の部材に分割し、互いに独立して移動可能に支持することにより、サンバイザー本体3に形成される凹部33の幅5Hを調整することができる。
【0026】
(第2実施形態)
第2実施形態では、図5A及び図5Bを参照して、移動部(31f、31g)を水平方向に垂直な方向(z軸方向)に移動させることによりサンバイザー本体3の他の一部32の中に収納する例を示す。図5Aに示すように、サンバイザー本体3の他の一部32のうち、移動部(31f、31g)の下側に隣接する部分には、移動部(31f、31g)の一部又は全体を収納可能な空間である収納部322が形成されている。移動部(31f、31g)は、水平方向に垂直な方向(z軸方向)に移動可能にサンバイザー本体3の他の一部32に支持されている。移動部(31f、31g)を、図5Aに示す状態からz軸方向と逆方向に移動させることにより、図5Bに示すように、移動部(31f、31g)は収納部322の中に収納される。図5Bは、移動部(31f、31g)の全体が収納部322の中に収納される場合を示す。なお、移動部(31f、31g)は、第1移動部31fと第2移動部31gに分割されていてもよい。第1移動部31fと第2移動部31gは互いに独立して移動可能であり、x軸方向に見て重ね合わされた状態で、収納部322の中に収納される。第1移動部31fと第2移動部31gのいずれか一方のみを収納部322の中に収納することも可能である。重ね合わされた状態で第1移動部31fと第2移動部31gを収納することにより、サンバイザー本体3のz軸方向の長さが短い場合であっても、幅の広い凹部33を形成することができる。勿論、移動部(31f、31g)は一体を成していても構わない。
【0027】
図5Bに示すように、移動部(31f、31g)を収納部321の中に収納して凹部33を形成することにより、車内からx軸方向を見て、ルームミラー5Aの一部5aが、凹部33を通じて見えるようになる。よって、乗員6はサンバイザー本体3が使用状態3Cであっても、ルームミラー5Aの全体(5a、5b)を視認することができるようになる。
【0028】
移動部(31f、31g)の移動量、収納部322に収納する移動部(31f、31g)の面積、又は凹部33の形状を調整することができる。この調整を、ルームミラー5Aのz軸方向の長さ5Hに応じて行うことにより、サンバイザー本体3の凹部33とルームミラー5Aとのz軸方向の隙間を無くし、或いは小さくすることができるので、当該隙間から侵入する光を防止又は低減できる。よって、車内に侵入する光を遮る車両用サンバイザー本来の遮光機能を損なわずに、ルームミラー5Aの全体(5a、5b)を視認することができる。
【0029】
(第3実施形態)
第1及び第2実施形態では、サンバイザー本体3の一部である移動部31をルームミラー5、5Aに対して移動させるスライド機構について説明した。第3実施形態では、図7A及び図7Bを参照して、サンバイザー本体3の全体をルームミラー5に対して移動させるスライド機構について説明する。
【0030】
図7Aに示すように、第3実施形態に係るスライド機構は、サンバイザー本体3と、サンバイザー本体3を水平方向に移動可能に支持する支持部34と、支持部34を車内天井へ取り付ける取付部2とを有する。支持部34は、支持部34に対する基準位置から移動したサンバイザー本体3に対して基準位置へ向かう水平方向の力を付与する。支持部34は、支持部34に対する基準位置から移動したサンバイザー本体3に対して基準位置へ向かう水平方向の力を付与するコイルばね等の付勢手段(図示せず)を備える。例えば、コイルばねは、支持部34とサンバイザー本体3との間に、水平方向(y軸方向)に配置され、コイルばねの一端が支持部34に固定され、コイルばねの他端がサンバイザー本体3に固定されている。
【0031】
図7Aは、支持部34に対するサンバイザー本体3の相対位置が前記した基準位置である状態を示す。支持部34は、図7Aの状態で、サンバイザー本体3に水平方向(y軸方向)に力を付与しないため、支持部34に対するサンバイザー本体3の相対位置は変化せず、安定している。
【0032】
図7Bは、支持部34に対するサンバイザー本体3の相対位置が図7Aの基準位置よりも、ルームミラー5とは逆側へ移動した状態を示す。図7Bには、サンバイザー本体3の基準位置3Aを破線で示す。支持部34は、基準位置3Aよりも左側へ移動したサンバイザー本体3に対して基準位置へ向かう右方向の力を付与する。
【0033】
使用状態3Cのサンバイザー本体3の右側一部がルームミラー5の左側一部5aと重なる場合、図7Bに示したように、サンバイザー本体3を基準位置よりも左側へ移動させることにより、乗員6はサンバイザー本体3が使用状態3Cであっても、ルームミラー5の全体(5a、5b)を視認することができるようになる。
【0034】
また、図7Bに示したように、サンバイザー本体3を基準位置からルームミラー5とは逆側に移動させることにより、コイルばねに力が加わりサンバイザー本体3に基準位置へ戻ろうとする復元力が発生する。サンバイザー本体3のルームミラー5側の側面と、ルームミラー5のサンバイザー本体3側の側面とを当接させることにより、サンバイザー本体3の基準位置へ向かう右方向の力に対する応力がルームミラー5の側面に生じる。これにより、ルームミラー5は、サンバイザー本体3を係止し、サンバイザー本体3の側面とルームミラー5の側面が当接した状態を維持することができる。サンバイザー本体3の側面とルームミラー5の側面の間の隙間を無くし、或いは小さくすることができるので、当該隙間から侵入する光を防止又は低減できる。よって、車内に侵入する光を遮る車両用サンバイザー1本来の遮光機能を損なわずに、ルームミラー5の全体(5a、5b)を視認することができる。
【0035】
(参考例)
スライド機構を用いずに、ウィンドシールド8の上部に取付けられた機器干渉しない車両用サンバイザー1の参考例を説明する。
【0036】
図6Aに示すように、参考例に係る車両用サンバイザー1のサンバイザー本体3は、着脱可能な着脱部31h、31i、31kを有する。着脱部31h、31i、31kは3つに分割され、それぞれ独立して着脱可能である。着脱部31h、31i、31kは水平方向に垂直な方向(z軸方向)に分割されている。全ての着脱部31h、31i、31kがサンバイザー本体3の他の一部32に取り付けられたサンバイザー本体3の表面は、略方形状の形状を有している。着脱部31h、31i、31kの少なくとも1つがサンバイザー本体3の他の一部32から取り外されたサンバイザー本体3の表面には、凹部33が形成される。凹部33は、サンバイザー本体3のルームミラー5側の端部に形成される。
【0037】
図6Bに示すように、着脱部31h、31i、31kの少なくとも1つを取り外して凹部33を形成することにより、車内からx軸方向を見て、ルームミラー5の一部5aが、凹部33を通じて見えるようになる。よって、乗員6はサンバイザー本体3が使用状態3Cであっても、ルームミラー5の全体(5a、5b)を視認することができるようになる。
【0038】
取り外す着脱部31h、31i、31kを選択することにより、凹部33の形状又は位置を調整することができる。この調整を、ルームミラー5のz軸方向の長さ5H又は位置に応じて行うことにより、サンバイザー本体3の凹部33とルームミラー5とのz軸方向の隙間を無くし、或いは小さくすることができるので、当該隙間から侵入する光を防止又は低減できる。よって、車内に侵入する光を遮る車両用サンバイザー1本来の遮光機能を損なわずに、ルームミラー5の全体(5a、5b)を視認することができる。
【0039】
本発明は以上説明した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0040】
図2A及び図2Bに示したサンバイザー本体3と、図5A及び図5Bに示したサンバイザー本体3とを組み合わせて1つのサンバイザー本体3としてもよい。これにより、第1実施形態で示した水平方向のスライド機構と、第2実施形態の水平方向に垂直な方向のスライド機構とを組み合わせて実施することができる。これにより、凹部33の深さ(y軸方向の長さ)と凹部33の幅(z軸方向の長さ)を同時に調整することができるようになる。よって、凹部33とルームミラー5の隙間から漏れる光を更に削減することができる。
【0041】
ウィンドシールド8上部がヘッドアップディスプレイ(HUD)として使用される場合、ウィンドシールド8上部に、制限速度などの様々な道路情報が表示される。上記した実施形態及び変形例によれば、車両用サンバイザー1を使用していても、ウィンドシールド8上部に表示された道路情報等を視認することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 車両用サンバイザー
3 サンバイザー本体
3A 未使用状態
3B~3D 使用状態
4 バニティミラー
5、5A ルームミラー
6 乗員
7 ルーフ
8 ウィンドシールド
31 移動部
32 他の一部
31c、31f 第1移動部
31d、31g 第2移動部
31e 第3移動部
33 凹部
34 支持部
321、322 収納部
321a 第1収納部
321b 第2収納部
321c 第3収納部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B