(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164707
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】原稿搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241120BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20241120BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H04N1/00 567K
B65H1/14 322A
B65H1/14 310A
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080381
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 識太郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴文
【テーマコード(参考)】
2H012
3F343
5C062
【Fターム(参考)】
2H012CC01
2H012CC03
2H012CC04
2H012CC12
2H012CC21
3F343FA03
3F343FB00
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3F343GB01
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3F343KB03
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3F343LC01
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3F343MC23
5C062AA02
5C062AA05
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5C062AB20
5C062AB30
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5C062AB35
5C062AB40
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5C062AE15
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】原稿整頓に係る利便性の低下を防止しつつ、ユーザーによる原稿読み取りの開始指示から、原稿の読み取りが開始されるまでの時間の短縮を図る。
【解決手段】原稿検知センサーにより原稿載置トレイ61上の原稿が検知されると、下限位置から上限位置まで原稿載置トレイ61を昇降させる昇降機構の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を上限位置まで一旦上昇させ、その後、原稿載置トレイ61を予め定められた距離下方の待機位置まで移動させて停止させる制御部を備える。待機位置については、上限位置と下限位置との間であって、下限位置よりも上限位置に近い位置に設定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取指示を受け付ける操作部と、
原稿が載置されて昇降動作する原稿載置トレイと、
前記原稿載置トレイ上の原稿の有無を検知する原稿検知センサーと、
原稿排出トレイと、
前記原稿載置トレイの上方に設けられて前記原稿載置トレイに載置された原稿を1枚ずつ繰り出す繰出ローラーと、前記繰出ローラーにより繰り出された原稿を原稿読取部とを有し、前記繰出ローラーにより繰り出された原稿を前記原稿読取部における読取位置に搬送し、前記原稿排出トレイに原稿を排出する原稿搬送機構と、
前記原稿載置トレイの前記昇降動作における下限位置から、前記原稿載置トレイに載置された原稿の最上位シートの上面が前記繰出ローラーに押し当たる上限位置まで前記原稿載置トレイを昇降させる昇降機構と、
前記原稿検知センサーにより前記原稿載置トレイ上の原稿が検知されたときに前記昇降機構の駆動を制御し、前記原稿載置トレイを前記上限位置まで一旦上昇させ、その後、前記原稿載置トレイを前記上限位置から予め定められた距離だけ下方となる待機位置まで移動させて停止させ、前記操作部に原稿読取指示が受け付けられて前記原稿搬送機構により前記繰出ローラーによって繰り出された原稿を前記読取位置に搬送させるときに、前記昇降機構により前記原稿載置トレイを前記上限位置まで再度上昇させる制御部と、を備え、
前記待機位置は、前記上限位置と前記下限位置との間となる予め定められた位置に設定されている原稿搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記待機位置を、前記上限位置と前記下限位置との間であって、前記下限位置よりも前記上限位置に近い位置として、前記昇降機構により前記原稿載置トレイを昇降させる、請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記原稿検知センサーにより前記原稿載置トレイ上の原稿が検知された時点から予め定められた時間の経過後に、前記原稿載置トレイを前記上限位置まで上昇させる請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記原稿載置トレイは、
原稿が載置される原稿載置テーブルと、
前記原稿載置テーブル上面において、原稿搬送方向と直交する原稿幅方向に摺動可能に構成されたカーソルと、
前記カーソルに立設され、前記原稿載置テーブルに載置された原稿に前記原稿幅方向から当接して原稿の幅を規制する原稿幅ガイドと、を備え、
前記制御部は、前記カーソルが移動している場合には、前記原稿載置トレイの前記上昇を開始しない請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記原稿検知センサーにより前記原稿載置トレイ上の原稿が検知されなくなると、前記昇降機構の駆動を制御し、前記待機位置で待機させていた前記原稿載置トレイを前記下限位置まで下降させる請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の原稿搬送装置と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取部に原稿を搬送する原稿搬送装置及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿載置トレイに載置された原稿を繰出ローラーで1枚ずつ繰り出し、繰り出した原稿を原稿読取部における読取位置に搬送する原稿搬送装置には、ユーザーから原稿読み取りの開始指示があると、原稿載置トレイに載置された原稿の最上位シートの上面が繰出ローラーに押し当たる位置(上限位置)まで、原稿載置トレイを上昇させるものがあった。
【0003】
ところが、原稿載置トレイは通常時、下限位置まで下げられているので、原稿の読み取りを開始するには、原稿載置トレイを下限位置から上限位置まで長い距離を上昇移動させなければならない。そのため、ユーザーによる上記開始指示から、原稿の読み取りが実際に開始されるまでには長い時間が必要であった。
【0004】
下記の特許文献1には、給紙トレイ(原稿載置トレイ)に原稿が載置されると、給紙トレイの支持プレートを上限位置まで上昇させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されているように、原稿載置トレイを上限位置まで上昇させると、原稿載置トレイに載置された原稿は繰出ローラーに押し当てられるので、原稿の挿抜や原稿を幅方向に整合するためのカーソルの使用が困難となり、利便性が低下する。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、原稿整頓に係る利便性の低下を防止しつつ、ユーザーによる原稿読み取りの開始指示から、原稿の読み取りが開始されるまでの時間の短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る原稿搬送装置は、原稿読取指示を受け付ける操作部と、原稿が載置されて昇降動作する原稿載置トレイと、前記原稿載置トレイ上の原稿の有無を検知する原稿検知センサーと、原稿排出トレイと、前記原稿載置トレイの上方に設けられて前記原稿載置トレイに載置された原稿を1枚ずつ繰り出す繰出ローラーと、前記繰出ローラーにより繰り出された原稿を原稿読取部とを有し、前記繰出ローラーにより繰り出された原稿を前記原稿読取部における読取位置に搬送し、前記原稿排出トレイに原稿を排出する原稿搬送機構と、前記原稿載置トレイの前記昇降動作における下限位置から、前記原稿載置トレイに載置された原稿の最上位シートの上面が前記繰出ローラーに押し当たる上限位置まで前記原稿載置トレイを昇降させる昇降機構と、前記原稿検知センサーにより前記原稿載置トレイ上の原稿が検知されたときに前記昇降機構の駆動を制御し、前記原稿載置トレイを前記上限位置まで一旦上昇させ、その後、前記原稿載置トレイを前記上限位置から予め定められた距離だけ下方となる待機位置まで移動させて停止させ、前記操作部に原稿読取指示が受け付けられて前記原稿搬送機構により前記繰出ローラーによって繰り出された原稿を前記読取位置に搬送させるときに、前記昇降機構により前記原稿載置トレイを前記上限位置まで再度上昇させる制御部と、を備え、前記待機位置は、前記上限位置と前記下限位置との間となる予め定められた位置に設定されている。
【0009】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記本発明の一局面に係る原稿搬送装置と、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原稿載置トレイ上の原稿が検知されると、原稿の読み取りの開始指示を待たずに、原稿載置トレイを上昇させ、下限位置よりも上限位置に近い待機位置で原稿載置トレイを待機させるので、ユーザーによる上記開始指示から原稿の読み取り開始までに要する時間を短縮することができる。
【0011】
また、原稿載置トレイについては、原稿が繰出ローラーに接触している上限位置ではなく、上限位置から予め定められた距離下方の待機位置で待機させるので、原稿載置トレイに載置された原稿と繰出ローラーとの間に隙間が形成される。従って、原稿の挿抜やカーソルの使用を容易に行える。これにより、原稿整頓に係る利便性の低下を防止しつつ、ユーザーによる原稿読み取りの開始指示から、原稿の読み取りが開始されるまでの時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置を備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】原稿搬送装置の別の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す原稿搬送装置の断面を示す図である。
【
図4】原稿搬送装置の断面を概略的に示す図である。
【
図5】(A)は、原稿載置トレイが上限位置まで上昇した状態を示した図であり、(B)は、原稿載置トレイが下限位置まで下降した状態を示した図である。
【
図6】画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図7】原稿載置トレイが待機位置で待機している状態を示した図である。
【
図8】原稿搬送装置における原稿載置トレイの昇降制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置を備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0014】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、原稿搬送装置6、原稿読取部5、画像形成部12、給紙部14、及び操作部470を含んで構成されている。
【0015】
原稿搬送装置6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿搬送装置6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿搬送装置6は、ADF(Auto Document Feeder)やDP(Document Processor)と呼ばれるものであり、原稿が載置される原稿載置トレイ61と、原稿載置トレイ61の下方に設けられた原稿排出トレイ62と、を備える。原稿搬送装置6は、原稿載置トレイ61に載置された原稿を原稿読取部5へ1枚ずつ供給し、原稿排出トレイ62に原稿を排出する。
【0016】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿搬送装置6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0017】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、ネットワーク接続された外部装置(例えば、パソコン)としてのコンピューターから受信した画像データに基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0018】
画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙は、図略の定着部で定着処理が施され、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出される。給紙部14は、複数の給紙カセット141を備える。
【0019】
操作部470は、ユーザーから各種の指示を受け付けるためのハードキーを備える。操作部470は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部470は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部470は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)やハードキーに対するユーザーによる操作に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0020】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0021】
図2は、原稿搬送装置6の別の一例を示す斜視図である。
図3は、
図2に示す原稿搬送装置6の断面を示す図である。
図4は、原稿搬送装置6の断面を概略的に示す図である。
【0022】
原稿搬送装置6は、原稿が載置される原稿載置トレイ61と、原稿載置トレイ61の下方に設けられた原稿排出トレイ62と、原稿載置トレイ61に載置された原稿を原稿排出トレイ62まで搬送する原稿搬送機構63(
図4)と、原稿載置トレイ61を昇降させる昇降機構64(
図4)と、を備える。
【0023】
原稿載置トレイ61は、原稿が載置される原稿載置テーブル21(
図2)と、原稿載置テーブル21上面において、原稿搬送方向と直交する原稿幅方向に摺動可能に構成されたカーソル22(
図2)と、カーソル22に立設され、原稿載置テーブル21に載置された原稿に原稿幅方向から当接して原稿の幅を規制する原稿幅ガイド23(
図2)と、を備える。
【0024】
原稿搬送機構63は、原稿搬送路31と、原稿載置トレイ61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出すための繰出機構32と、原稿搬送路31に沿って配置された複数の搬送ローラー対33と、原稿を原稿排出トレイ62に排出する排出ローラー対34と、を備える。
【0025】
原稿搬送路31の最下端部分は開口している。すなわち、原稿搬送装置6は、その下面に原稿読取部5(
図1)における読取位置であるプラテンガラス51に対向する部分に開口部65が形成されている。繰出機構32により繰り出され、原稿搬送路31に沿って搬送された原稿は、原稿搬送装置6の下面(開口部65)まで搬送され、そこで原稿読取部5によって原稿の画像が読み取られる。また、開口部65の真上(プラテンガラス51の真上となる位置)には、シェーディング補正のための白色板66が設けられている。
【0026】
開口部65を通過した原稿は、開口部65の搬送方向下流側に設けられた搬送ローラー対33によって排出ローラー対34に向けて搬送され、排出ローラー対34によって原稿排出トレイ62に排出される。
【0027】
繰出機構32は、原稿載置トレイ61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出す繰出ローラー41と、駆動ローラー42と、従動ローラー43と、駆動ローラー42と従動ローラー43とに巻き付けられたベルト44と、ベルト44の下側に設けられた補助ローラー45と、を備える。
【0028】
繰出ローラー41、駆動ローラー42、従動ローラー43、及びベルト44は、下部が開口している箱型のホルダー46の内部に設けられている。ホルダー46は、駆動ローラー42の駆動軸421を中心として揺動可能で、駆動軸421の駆動力は、図略のギヤ等の伝達機構により繰出ローラー41に伝達される。
【0029】
ホルダー46の上部には、原稿載置トレイ61に載置された原稿の最上位シートの上面と繰出ローラー41との間に適正な荷重が作用したことを検知する押圧検知センサー67が設けられている。すなわち、押圧検知センサー67は、原稿載置トレイ61に載置された原稿の最上位シートの上面が繰出ローラー41に押し当たる上限位置まで原稿載置トレイ61が上昇したことを検知する上限センサーとしての役割を果たす。また、原稿搬送装置6には、原稿載置トレイ61の下限位置を検出する機械式又は光学式のセンサーからなる下限センサー68を備える。
【0030】
昇降機構64は、その先端部が原稿載置トレイ61に当接し、原稿載置トレイ61を昇降させる昇降レバー47と、図略のモーターに連結され、昇降レバー47を回動させる回転軸48と、を備える。
図5(A)は、原稿載置トレイ61が上限位置まで上昇した状態を示し、
図5(B)は、原稿載置トレイ61が下限位置まで下降した状態を示している。
【0031】
図6は、画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿搬送装置6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部470、及び記憶部8を含んで構成されている。
【0032】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151(
図1)に排出される。
【0033】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0034】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100を備えている。
【0035】
制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100として機能するものである。但し、制御部100は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0036】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。また、制御部100は、原稿搬送装置6の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿搬送装置6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部470、及び記憶部8と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成装置1による画像形成に必要な各種の処理などを実行する。制御部100は、特許請求の範囲における制御部の一例である。
【0037】
原稿搬送装置6は、原稿検知センサー73と、カーソル変動検知センサー74と、昇降機構64と、を備える。原稿検知センサー73は、原稿載置トレイ61上の原稿の有無を検知するセンサーである。カーソル変動検知センサー74は、カーソル22又は原稿幅ガイド23の変動を検知するセンサーである。原稿搬送装置6は、制御部100を、特許請求の範囲における制御部の一例として含むものととしてもよい。なお、制御部100が原稿搬送装置6の制御部として機能する。
【0038】
制御部100は、原稿検知センサー73により原稿載置トレイ61上の原稿が検知されると、昇降機構64の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を上限位置まで一旦上昇させ、その後、原稿載置トレイ61を上限位置から予め定められた距離PD下方の待機位置まで移動させて停止させる。上記予め定められた距離PDは、微小である(例えば、5mm)。上記待機位置は、上限位置と下限位置との間に設定され、下限位置よりも上限位置に近い位置が最も好ましい。
図7は、原稿載置トレイ61が待機位置で待機している状態を示している。
【0039】
なお、原稿搬送装置6がその制御部として制御部100を備え、更に操作部470を備えたものが、特許請求の範囲における原稿搬送装置の一例となる。
【0040】
次に、原稿搬送装置6における原稿載置トレイ61の昇降制御の一例を
図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、原稿検知センサー73が原稿載置トレイ61上に載置された原稿を検知したときに行われる処理である。
【0041】
制御部100は、原稿検知センサー73により原稿載置トレイ61上の原稿が検知されると、当該検知時点から、原稿搬送装置6が備えるタイマーを用いてタイマーカウントを開始し(S1)、カウントTCが予め定められた待機時間WTに到達したか否かを判断する(S2)。
【0042】
制御部100は、カウントTCが予め定められた待機時間WTに到達したと判断した場合(S2でYES)、昇降機構64の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を上限位置まで上昇させる(S3)。具体的には、制御部100は、押圧検知センサー67(
図4)により繰出ローラー41に一定以上の荷重が作用したことが検知されると、原稿載置トレイ61が上限位置に至ったとして、原稿載置トレイ61の上昇を停止させる。
【0043】
その後、制御部100は、昇降機構64の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を予め定められた距離PD下方の待機位置まで移動させて停止させる(S4)。
【0044】
続いて、制御部100は、操作部470に原稿読取指示が受け付けられたかを判断する(S5)。操作部470は、原稿載置トレイ61に載置されている原稿に対するスキャン開始やコピー開始のユーザー指示を原稿読取指示として受け付ける。
【0045】
制御部100は、上記原稿読取指示が受け付けられたと判断した場合(S5でYES)、昇降機構64の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を上限位置まで上昇させ(S6)、原稿搬送機構63の駆動を制御し、原稿載置トレイ61に載置されている原稿の搬送を開始し、原稿の画像を原稿読取部5に読み取らせる(S7)。
【0046】
制御部100は、原稿検知センサー73による検知内容に基づいて、原稿載置トレイ61に載置されていた全ての原稿の搬送が完了したか否かを判断し(S8)、原稿の搬送が完了したと判断した場合(S8でYES)、昇降機構64の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を下限位置まで下降させる(S9)。この後、処理は終了する。具体的には、制御部100は、下限センサー68(
図4)により原稿載置トレイ61が検出されるまで、昇降機構64により原稿載置トレイ61の下降を続けさせる。
【0047】
一方、S5において、制御部100は、上記原稿読取指示が受け付けられていないと判断した場合(S5でNO)、原稿検知センサー73による検知内容に基づいて、原稿載置トレイ61に原稿が載置されているか否かを判断する(S10)。
【0048】
制御部100が、原稿載置トレイ61に原稿が載置されていると判断した場合(S10でYES)、処理はS5に戻る。一方、制御部100は、原稿載置トレイ61に原稿が載置されていない(すなわち、原稿載置トレイ61から原稿が取り除かれた)と判断した場合(S10でNO)、昇降機構64の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を下限位置まで下降させる(S9)。この後、処理は終了する。
【0049】
また、S2において、制御部100は、カウントTCが予め定められた待機時間WTに到達していないと判断した場合(S2でNO)、原稿検知センサー73による検知内容に基づいて、原稿載置トレイ61に原稿が載置されているか否かを判断する(S11)。
【0050】
制御部100は、原稿載置トレイ61に原稿が載置されていない(すなわち、原稿載置トレイ61から原稿が取り除かれた)と判断した場合(S11でNO)、昇降機構64の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を下限位置まで下降させる(S9)。この後、処理は終了する。
【0051】
一方、制御部100は、原稿載置トレイ61に原稿が載置されていると判断した場合(S11でYES)、カーソル変動検知センサー74による検知内容に基づいて、カーソル22が変動しているか否かを判断する(S12)。
【0052】
制御部100は、カーソル22が変動している(ユーザーが原稿を整えている)と判断した場合(S12でYES)、カーソル22の変動が収まるまで、タイマーカウントを一旦停止し(S13)、その後、処理はS2に戻る。なお、タイマーカウントを停止するだけでなく、カウントTCを0にリセットしてもよい。一方、制御部100が、カーソル22が変動していないと判断した場合(S12でNO)、処理はS2に戻る。
【0053】
上記実施形態によれば、原稿載置トレイ61上の原稿が検知されると、ユーザーによる原稿の読み取りの開始指示を待たずに、原稿載置トレイ61を上昇させ、上限位置に近い待機位置で原稿載置トレイ61を待機させるので、ユーザーによる上記開始指示から原稿の読み取り開始までに要する時間を短縮することができる。
【0054】
また、原稿載置トレイ61については、上限位置ではなく、上限位置から予め定められた距離PD下方の待機位置で待機させるので、原稿載置トレイ61に載置された原稿と繰出ローラー41との間に隙間が形成される。従って、原稿の挿抜やカーソル22の使用を容易に行える。これにより、原稿整頓に係る利便性の低下を防止しつつ、ユーザーによる原稿読み取りの開始指示から、原稿の読み取りが開始されるまでの時間の短縮を図ることができる。
【0055】
また、原稿載置トレイ61上の原稿が検知されてからすぐに、原稿載置トレイ61を上昇させるのではなく、待機時間WTを設けることで、ユーザーが原稿を整えるための時間を確保することができる。さらに、原稿幅ガイド23が操作され、カーソル22が変動している場合にも原稿載置トレイ61の上昇は開始しないので、原稿を整えるために必要となる時間をより確実に確保することができる。
【0056】
また、原稿読取指示がなく原稿載置トレイ61から原稿が取り除かれた場合には、原稿載置トレイ61が下限位置まで下げられるので、原稿載置トレイ61が必要もなく待機位置に留まるといった事態を速やかに解消することができる。
【0057】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、特許請求の範囲における制御部の一例を画像形成装置1の制御ユニット10の制御部100としているが、原稿搬送装置6に、原稿搬送装置6の全体的な動作制御を司るCPU等からなる搬送制御部を設け、上記
図8を参照して説明した制御部100による各処理を当該搬送制御部により行わせ、当該搬送制御部を、特許請求の範囲における制御部の一例としてもよい。また、上記実施形態では、
図1乃至
図8を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
12 画像形成部
100 制御部
470 操作部
5 原稿読取部
6 原稿搬送装置
21 原稿載置テーブル
22 カーソル
23 原稿幅ガイド
41 繰出ローラー
61 原稿載置トレイ
62 原稿排出トレイ
63 原稿搬送機構
64 昇降機構
73 原稿検知センサー
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取指示を受け付ける操作部と、
原稿が載置されて昇降動作する原稿載置トレイと、
前記原稿載置トレイ上の原稿の有無を検知する原稿検知センサーと、
原稿排出トレイと、
前記原稿載置トレイの上方に設けられて前記原稿載置トレイに載置された原稿を1枚ずつ繰り出す繰出ローラーと、前記繰出ローラーにより繰り出された原稿を読み取る原稿読取部とを有し、前記繰出ローラーにより繰り出された原稿を前記原稿読取部における読取位置に搬送し、前記原稿排出トレイに原稿を排出する原稿搬送機構と、
前記原稿載置トレイの前記昇降動作における下限位置から、前記原稿載置トレイに載置された原稿の最上位シートの上面が前記繰出ローラーに押し当たる上限位置まで前記原稿載置トレイを上昇させる昇降機構と、
前記原稿検知センサーにより前記原稿載置トレイ上の原稿が検知されたときに前記昇降機構の駆動を制御し、前記原稿載置トレイを前記上限位置まで一旦上昇させ、その後、前記原稿載置トレイを前記上限位置から予め定められた距離だけ下方となる待機位置まで移動させて停止させ、前記操作部に原稿読取指示が受け付けられて前記原稿搬送機構により前記繰出ローラーによって繰り出された原稿を前記読取位置に搬送させるときに、前記昇降機構により前記原稿載置トレイを前記上限位置まで再度上昇させる制御部と、を備え、
前記待機位置は、前記上限位置と前記下限位置との間となる予め定められた位置に設定されている原稿搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記待機位置を、前記上限位置と前記下限位置との間であって、前記下限位置よりも前記上限位置に近い位置として、前記昇降機構により前記原稿載置トレイを昇降させる、請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記原稿検知センサーにより前記原稿載置トレイ上の原稿が検知された時点から予め定められた時間の経過後に、前記原稿載置トレイを前記上限位置まで上昇させる請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記原稿載置トレイは、
原稿が載置される原稿載置テーブルと、
前記原稿載置テーブル上面において、原稿搬送方向と直交する原稿幅方向に摺動可能に構成されたカーソルと、
前記カーソルに立設され、前記原稿載置テーブルに載置された原稿に前記原稿幅方向から当接して原稿の幅を規制する原稿幅ガイドと、を備え、
前記制御部は、前記カーソルが移動している場合には、前記原稿載置トレイの前記上昇を開始しない請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記原稿検知センサーにより前記原稿載置トレイ上の原稿が検知されなくなると、前記昇降機構の駆動を制御し、前記待機位置で待機させていた前記原稿載置トレイを前記下限位置まで下降させる請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の原稿搬送装置と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。