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特開2024-164709情報処理システム、情報処理方法、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164709
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241120BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080385
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】茂垣 俊介
(72)【発明者】
【氏名】今井 哲
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】精度の高い学習データを収集することが可能な情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】学習データを収集する情報処理システムにおける情報処理方法は、対象装置のエラー履歴情報を取得するエラー履歴情報取得手段S552と、前記対象装置の部品交換情報を取得する部品交換情報取得手段S553と、前記エラー履歴情報と前記部品交換情報とを紐づけた第1の紐づけデータを生成する紐づけ手段S554と、所定の交換部品の情報を、前記所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報に置換して、前記エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成する複製手段S557と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習データを収集する情報処理システムであって、
対象装置のエラー履歴情報を取得するエラー履歴情報取得手段と、
前記対象装置の部品交換情報を取得する部品交換情報取得手段と、
前記エラー履歴情報と前記部品交換情報とを紐づけた第1の紐づけデータを生成する紐づけ手段と、
所定の交換部品の情報を、前記所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報に置換して、前記エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成する複製手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第1の紐づけデータと前記第2の紐づけデータを夫々用いて学習を行う学習手段を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記複製手段は、前記第1の紐づけデータにおける前記所定の交換部品の情報を、前記他の交換部品の情報に置換することにより複製して、前記エラー履歴情報と紐づけた前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複製手段は、前記所定の交換部品の情報を、前記他の交換部品の情報に置換した後、前記他の交換部品の情報と前記エラー履歴情報とを紐づけた前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記所定の部品の交換を行った前記対象装置が、前記他の交換部品を使用可能な機種か否か特定する機種特定手段を有し、
前記複製手段は、前記機種特定手段により特定された前記対象装置が前記他の交換部品を使用可能な機種である場合に、前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記所定の部品の交換を行った前記対象装置の設置地域を特定する地域特定手段を有し、
前記複製手段は、前記地域特定手段により特定された前記設置地域が、前記他の交換部品を取り扱い可能な地域の場合に、前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
学習データを収集する情報処理方法であって、
対象装置のエラー履歴情報を取得するエラー履歴情報取得ステップと、
前記対象装置の部品交換情報を取得する部品交換情報取得ステップと、
前記エラー履歴情報と前記部品交換情報とを紐づけた第1の紐づけデータを生成する紐づけステップと、
所定の交換部品の情報を、前記所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報に置換して、前記エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成する複製ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理システムの各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習データを収集する情報処理システム、情報処理方法、コンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複合機などの画像形成装置等では、エラーや故障などの異常が発生した場合、前記異常の通報によりサービスマンなどの保守担当者が派遣される。保守担当者は、マニュアルを確認し部品交換、などのメンテナンスを行う。
【0003】
また近年、クラウドコンピューティングの普及が進んでいる。クラウドコンピューティングは、多くのコンピューティングリソースを用いてデータ変換やデータ処理を分散実行し、多くのクライアントからの要求を分散並列処理により並行して処理することが主な特徴である。システム開発者はクラウドコンピューティングを利用することで、必要なコンピューティングリソースを容易に調達でき、システム機能開発に注力することができる。
【0004】
クラウドコンピューティングとの親和性が高い要素の1つが、AI(Artifical Intelligence)である。AIを実現するコア技術の1つに機械学習がある。機械学習では大量データ(ビッグデータ)を学習アルゴリズムで解析することでデータの特徴(特性やパターン、傾向など)を抽出した学習モデルを作成することができる。
【0005】
こうした大量データを安全に保管・解析するためには多くのコンピューティングリソースが必要であるため、クラウドコンピューティング環境で導入される事例が多い。先述した画像形成装置等のメンテナンスにおいても、複数の画像形成装置等から収集したデータを学習し、得られた学習済みモデルを用いて、部品交換などのメンテナンス作業を支援する方法が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1では、複数の装置から集めた装置情報と、サービスマンなどの作業者が保有する作業者情報に基づき作成された推定情報を得ている。作業者情報は、作業者の情報端末から取得した部品情報と作業状況情報を含む。これにより、サービスマンなどの作業者が効率的に交換作業を行えるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-211940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、故障などのエラーに対し、サービスマンなどの保守担当者に適切な対応を可能にするための情報提供に関して、適切な対応を推定する機械学習モデルが求められている。機械学習モデルを作成するためには、故障などのエラーと、前記エラーに対する適切な対応実績(例えば交換部品など)の紐付いた大量の学習データが必要になる。
【0009】
しかし実際に運用するにあたり、交換部品の単位が異なる場合がある。例えばある地域では特定のパーツAを交換するケースでも、異なる地域ではパーツAを含む、より大きなスケールである、ユニットXを交換することで対応する、といった場合がある。
【0010】
その結果、学習のために大量のデータを集めようとした際に、実際には同じ正解ラベル(交換部品)であるにも関わらず、スケールが異なるために異なる正解ラベルと認識されてしまい、学習精度が下がる場合がある。
【0011】
一方、スケールが同一のデータのみを用いて学習すると、学習に用いることができるデータ量が減少し、やはり学習精度が下がる場合がある。特に「多くの地域ではパーツ単位での交換を行うが、一部地域ではユニット単位での交換を行う」等のケースでは、マイナーなデータ(ユニットを対象とするデータ)の数が少なくなる傾向がある。
【0012】
そこで、本発明では、精度の高い学習データを収集することが可能な情報処理システムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
学習データを収集する情報処理システムであって、
対象装置のエラー履歴情報を取得するエラー履歴情報取得手段と、
前記対象装置の部品交換情報を取得する部品交換情報取得手段と、
前記エラー履歴情報と前記部品交換情報とを紐づけた第1の紐づけデータを生成する紐づけ手段と、
所定の交換部品の情報を、前記所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報に置換して、前記エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成する複製手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、精度の高い学習データを収集することが可能な情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を実施例1に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】(A)は、本発明の実施例1に係る画像形成装置106のハードウェア構成例を示す図である。(B)は、本発明の実施例1に係る装置情報収集サーバ102、交換部品情報収集サーバ104、及び修理箇所通知サーバ105のハードウェア構成例を示す図である。
図3】(A)、(B)は、本発明の実施例1に係る情報入力端末103に表示される画面例を示す図である。
図4】本発明の実施例1に係る修理箇所通知サーバ105の構成例を示す機能ブロック図である。
図5】(A)、(B)は、本発明の実施例1に係る情報処理方法の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施例1に係る機械学習処理の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施例2に係るデバイス対象ユニットに絞った学習データ収集処理のフローチャートである。
図8】本発明の実施例3に係る地域対象ユニットに絞った学習データ収集処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各図において、同一の部材または要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【実施例0017】
図1は、本発明を実施例1に係る情報処理システムの構成例を示す図であり、図1において、複数の画像形成装置106は、例えば、デジタル複合機、ファクシミリ装置、レーザービームプリンタ、スキャナ装置などである。尚、以下の実施例において、機械学習モデルを生成するために生成するデータを学習データ、生成済みの機械学習モデルに入力し推定を行うデータを入力データと呼ぶ。
【0018】
本実施例のエラーに対する適切な対応を含む学習データ収集は、図1に示すように、装置情報収集サーバ102と、交換部品情報収集サーバ104と、修理箇所通知サーバ105等を用いて行う。又、学習データを用いて機械学習モデルを作成し、該モデルを用いて画像形成装置のエラー通知を受けたサービス側で推定を行う。又、その推定結果を保守(メンテナンス)担当者がアクセス可能なポータルサイトのWEB UIに表示する。
【0019】
102は、画像形成装置からの情報収集システムを提供しているオンラインサービスシステムを構成する装置情報収集サーバである。ネットワーク101を経由して複数の画像形成装置106からのエラー履歴情報を収集、蓄積する。
【0020】
103は、保守担当者が保持する情報入力端末であり、保守担当者が保守作業を行った際に、その保守作業の内容を情報入力端末103に入力する。情報入力端末103は、その入力された保守作業の内容を保持する。
【0021】
又、情報入力端末103は、入力された保守作業の内容を、ネットワーク101を介して、交換部品情報収集サーバ104や修理箇所通知サーバ105等に送信する。又、情報入力端末103は、ネットワーク101を経由して、修理箇所通知サーバ105から送信された修理箇所推定情報を受信し、情報入力端末103の画面に表示することができる。
【0022】
104は、情報入力端末103からの情報を収集しオンラインサービスを提供する交換部品情報収集サーバである。ネットワーク101を経由して情報入力端末103が送信した交換部品情報を受信し、取得した情報を収集、蓄積する。
【0023】
105は、装置情報収集サーバ102や交換部品情報収集サーバ104からの情報を収集しオンラインサービスを提供する修理箇所通知サーバであり、ネットワーク101を経由し、各種情報を受信する。
【0024】
各種情報は、情報入力端末103が送信したフィードバック情報、装置情報収集サーバ102が保有するエラー履歴情報、及び交換部品情報収集サーバ104が保有する交換部品情報を含む。修理箇所通知サーバ105は、受信した各種情報に基づいて、学習データを作成し、蓄積する。このように、修理箇所通知サーバ105を含む本実施例の情報処理システムは、学習データを収集し、蓄積することができる。
【0025】
図2(A)は、本発明の実施例1に係る画像形成装置106のハードウェア構成例を示す図である。ハードウェアの各構成要素はシステムバス202に接続されている。201は装置全体の制御を行うコンピュータとしてのCPUであり、ROM203や外部メモリ206に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによりシステムバス202に接続される各種デバイスを統括的に制御する。
【0026】
203は記憶手段であるROMであり、内部には基本I/Oプログラム等のプログラム、文書処理の際に使用するフォントデータ、テンプレート用データ等の各種データを記憶する。
【0027】
204はCPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。205は、ネットワークインターフェースカード(NIC)であり、該インターフェース205を介して外部装置とのデータのやり取りを行う。
【0028】
207は操作パネルであり、画面の表示や、画面を介したユーザの操作指示を受け付ける。操作パネル207は、画像形成装置の動作モード等の設定や画像形成装置の動作状況の表示、コピー指定等の操作を行うためのボタン及び液晶パネル等の表示部を有する。208は大容量メモリとして機能する外部記憶手段である。
【0029】
209は機器インターフェースであり、USB等で接続可能な外部機器との接続インターフェースである。プリンタ210は既知の印刷技術を利用するものであり、好適な実施系として例えば電子写真方式(レーザービーム方式)やインクジェット方式、昇華方(熱転写)方式等が挙げられる。
【0030】
プリンタ210は印刷データ(PDL言語・PDF言語など)から変換された画像データに排紙する。スキャナ211は既知の画像読取技術を利用するものであり、透明な天板に置かれた紙原稿を光学的に走査し画像に変換する。また自動原稿送り装置(ADF)に置かれた複数枚の紙原稿を連続して読み込み、画像に変換する。
【0031】
図2(B)は、本発明の実施例1に係る装置情報収集サーバ102、交換部品情報収集サーバ104、及び修理箇所通知サーバ105のハードウェア構成例を示す図である。ハードウェアの各構成要素は、システムバス220に接続されている。尚、情報入力端末103のハードウェア構成も図2(B)に示す構成と同様の構成で良い。
【0032】
221は装置全体の制御を行うコンピュータとしてのCPUであり、ROM223や外部メモリ226に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによりシステムバス220に接続される各種デバイスを統括的に制御する。
【0033】
222はGPUであり、画像処理や機械学習などのベクトル演算に特化した演算装置である。223は記憶手段であるROMであり、内部には基本I/Oプログラム等の各種データを記憶する。
【0034】
224はCPU221やGPU222の主メモリ、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。225は、ネットワークインターフェースカード(NIC)であり、ネットワークインターフェースカード225を介して外部装置とのデータのやり取りを行う。
【0035】
227は入出力インターフェースであり、ディスプレイやキーボード、マウス、スマートフォン、タブレット等機器を介して、画面の表示や、ユーザの操作指示を受け付けることができる。228は大容量メモリとして機能する外部記憶手段である。229は機器インターフェースであり、USB等で接続可能な外部機器との接続インターフェースである。
【0036】
図3(A)、(B)は、本発明の実施例1に係る情報入力端末103に表示される画面例を示す図である。図3(A)の301は、交換部品情報収集サーバ104に送信する情報の入力画面例である。保守担当者が、実際に交換を行った交換部品情報311を入力する。
【0037】
交換部品情報311は、製品名、機体番号、部品交換日、交換部品情報等を含む。「製品名」は画像形成装置の製品種別を表す名称である。「機体番号」は画像形成装置毎に振られたユニークなIDである。「部品交換日」は、保守担当者が部品を交換した日付である。
【0038】
「交換部品情報」は、保守担当者が実際に交換した部品の略称である。図では例として部品を表示しているが、国や地域、デバイス等によっては、ここで部品よりも大きい単位のユニットを表示する。尚、ここで、ユニットとは、例えば複数の部品から構成され、ユニット単位で交換可能なものを意味する。
【0039】
図3(B)の302は、修理箇所通知サーバ105に送信する情報を入力するポータル画面の例であり、情報入力端末103に表示される。上記ポータル画面には、修理対象の画像形成装置情報を含むエラー詳細情報表示部321、推奨修理処理内容表示部322、及び地域選択部323を含む。エラー詳細情報表示部321は、修理対象の画像形成装置の製品名、機体番号、エラー発生日、発生エラーコードを表示する。
【0040】
「製品名」は修理対象の画像形成装置の製品種別を表す名称である。「機体番号」は修理対象の画像形成装置毎に付けられたユニークなIDである。「エラー発生日」は、当該エラーが発生した日付である。「発生エラーコード」は、当該エラーの種別を認識するためのユニークな文字列コードである。
【0041】
推奨修理処理内容表示部322は、修理箇所通知サーバ105において推定された、当該事象(エラー)を解決できる可能性が高い推奨メンテナンス処理を表示する。推奨メンテナンス処理は、特定の部品の交換や清掃、修理、再起動等の処理を含む。また推奨メンテナンス処理表示は、推定結果に基づき、当該処理により事象(エラー)が解決される確からしさを、図3(B)のように表示する。
【0042】
即ち、図3(B)に示す推奨修理処理内容表示部322の例では、部品Aを交換することで当該エラーが解決する確からしさは80%、部品Bの交換では15%、部品Cの交換では5%となっている。尚、図3(B)では、例として部品A~Cを表示しているが、国や地域、デバイス等によっては、部品よりも大きい交換単位であるユニットを表示することもできる。
【0043】
地域選択部323は、情報入力端末103のユーザの利用地域を入力する画面である。又、入力した利用地域の情報により、推奨修理処理内容表示部322に表示される、対応する推奨交換部品のスケールが切り替わる。
【0044】
具体的には、推奨修理処理内容表示部322に表示される推奨メンテナンス処理が、部品交換なのかユニット交換なのかが切り替わる。尚、地域情報の入力は地域選択部323によらず、ログインした情報入力端末103のユーザ(保守担当者)の担当地域情報や、登録された画像形成装置の地域情報等を用いても良い。
【0045】
図4は、本発明の実施例1に係る修理箇所通知サーバ105の構成例を示す機能ブロック図である。尚、図4に示される機能ブロックの一部は、修理箇所通知サーバ105に含まれるコンピュータとしてのCPU等に、記憶媒体としてのメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行させることによって実現されている。
【0046】
しかし、それらの一部又は全部をハードウェアで実現するようにしても構わない。ハードウェアとしては、専用回路(ASIC)やプロセッサ(リコンフィギュラブルプロセッサ、DSP)などを用いることができる。又、図4に示される夫々の機能ブロックは、同じ筐体に内蔵されていなくても良く、互いに信号路を介して接続された別々の装置により構成しても良い。
【0047】
修理箇所通知サーバ105のコンピュータプログラムは、RAM224、記憶装置228、機器I/F229を介して接続された2次記憶装置などから読み込まれ、CPU221やGPU222により実行される。装置情報収集サーバ102、情報入力端末103、交換部品情報収集サーバ104等の外部へのアクセスは、ネットワークインターフェースカード225を介して行われる。
【0048】
修理箇所通知サーバ105は、データ格納部として、装置情報格納部401、部品交換情報格納部402、推定結果格納部403、フィードバック格納部404、ユニット情報格納部405を持つ。
【0049】
又、学習・入力データ管理部406、学習実行部407、機械学習モデル管理部408、推定実行部409を持つ。装置情報格納部401は、装置情報収集サーバ102からネットワーク101を経由して受信した、画像形成装置のエラー情報や機器情報などを格納する。
【0050】
部品交換情報格納部402は、交換部品情報収集サーバ104からネットワーク101を経由して受信した、交換部品情報を格納する。フィードバック格納部404は、情報入力端末103で入力されたフィードバック情報を、ネットワーク101を経由して受信し格納する。
【0051】
ユニット情報格納部405は、部品を含有(包含)する各種ユニットに関する情報を保持する。具体的には、各種ユニットが何の部品を含有(包含)するか、各機種(画像形成装置)に対して何のユニットが交換可能か、各地域で何の部品/ユニットを扱うか、などの情報を保持する。
【0052】
学習・入力データ管理部406は、修理箇所通知サーバ105が格納する各要素情報に基づいて学習データ及び入力データを作成し、格納する。各要素情報は、例えば以下の情報を含む。
【0053】
・装置情報格納部401が保有する画像形成装置情報
・部品交換情報格納部402が保有する交換部品情報
・フィードバック格納部404が保有するフィードバック情報
・ユニット情報格納部405が保有するユニット情報
【0054】
学習・入力データ管理部406は、機械学習モデルの学習時においては学習データを作成、格納し、機械学習モデルを用いた推定時には入力データを作成、格納する。学習実行部407は、学習・入力データ管理部406から学習データを取得し、予め指定した機械学習アルゴリズムに基づいて学習を実行し、機械学習モデルを生成する。
【0055】
前記機械学習モデルは、機械学習モデル管理部408に格納される。尚、所定の時間間隔で、或いは学習・入力データ管理部406が格納する学習データの変化に伴い、繰り返し学習を実行し、機械学習モデルを再作成しても良い。
【0056】
機械学習モデル管理部408は、学習実行部407にて作成した機械学習モデルを格納する。尚、学習実行部407からの機械学習モデル受信や、機械学習モデル管理部408内での条件判断(例えば、新たな機械学習モデルの正答率が一定を上回ること)等をトリガとし、推定に用いる機械学習モデルを変更(置換)しても良い。
【0057】
推定実行部409は、学習・入力データ管理部406から入力データを取得し、機械学習モデル管理部408に格納された機械学習モデルに入力することで、推定を実行する。推定結果格納部403は、推定実行部409にて実行された推定の結果を格納する。
【0058】
推定結果格納部403は、ネットワーク101を経由して、情報入力端末103に推定結果を送信する。或いは、ネットワーク101を経由して情報入力端末103からの要求を受信した場合に、推定結果を送信しても良い。
【0059】
情報入力端末103は、図3(B)の322に示すように、上記の推定結果をポータル画面上に表示する。前述のように、322の例における推定結果は、部品Aの交換によりエラーが解決する確からしさが80%、同様に、部品Bの場合には、確からしさが15%、部品Cの場合には、確からしさが5%となっている。
【0060】
図5(A)、(B)は、本発明の実施例1に係る情報処理方法の例を示すフローチャートであり、図5(A)は、実施例1における修理箇所通知サーバ105の全体フローチャートである。尚、修理箇所通知サーバ105内のコンピュータとしてのCPU等がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって図5(A)のフローチャートの各ステップの動作が順次行われる。
【0061】
最初にステップS502において、修理箇所通知サーバ105は、学習・入力データ管理部406にて、学習データの収集を行う。そしてステップS503において、収集した前記学習データを用いて、学習実行部407にて、機械学習モデルを作成する。ここでステップS503は、学習データを用いて学習を行う学習ステップ(学習手段)として機能している。
【0062】
又、ステップS504において、作成した機械学習モデルを、機械学習モデル管理部408に格納する。又、画像形成装置にてエラーが発生した場合、修理箇所通知サーバ105が、その画像形成装置から通知を受信する。すると、修理箇所通知サーバ105は、図5(A)のフローにて生成した機械学習モデルを用いて、推定実行部409にて推定を行う。
【0063】
推定結果は、情報入力端末103に送信され、保守担当者が情報入力端末103を用いてアクセスできるポータルサイトに、図3(B)のように表示される。保守担当者は、情報入力端末103上に図3(A)のように表示される画面301を介して、実際の交換部品情報を入力できる。
【0064】
図3(A)の画面301は、交換部品情報の入力を受け付け、入力された交換部品情報は、交換部品情報収集サーバ104に送信される。また保守担当者は、情報入力端末103上に表示される図3(B)の画面302を介して、フィードバック情報(修理結果等)を入力できる。
【0065】
フィードバック情報の入力は、推奨修理処理内容表示部322内の不図示のボタンやチェックボックス等を介して行ってもよく、またポップアップ、自由入力等を介して行っても良い。図3(B)の画面302において、フィードバック情報の入力がなされると、入力されたフィードバック情報は、修理箇所通知サーバ105に送信される。
【0066】
図5(B)は、実施例1に係る修理箇所通知サーバ105の学習データ収集ステップ(ステップS502)の詳細な例を記したフローチャートである。尚、修理箇所通知サーバ105内のコンピュータとしてのCPU等がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって図5(B)のフローチャートの各ステップの動作が順次行われる。
【0067】
ステップS551において、学習データ収集を開始する。又、ステップS552において、装置情報収集サーバ102からエラーコード履歴情報(エラー履歴情報)を取得し、装置情報格納部401に格納する。ここでステップS552は、対象装置としての画像形成装置のエラー履歴情報を取得するエラー履歴情報取得ステップ(エラー履歴情報取得手段)として機能している。
【0068】
装置情報収集サーバで収集したエラーコード履歴情報の例を表1に示す。表1において、「製品」は画像形成装置の製品種別を表す名称である。「機体番号」は画像形成装置毎に付与されたユニークなIDである。「地域」は、画像形成装置が設置された地域である。「エラー発生日」は、当該エラーが発生した日付である。「発生エラーコード」は、当該エラーの種別を認識するためのユニークな文字列コードである。
【0069】
例えば表1の1行目は、「地域Aに設置された製品aaaの、機体番号DEV00000では、2023/06/01にExxx-yyyyというエラーコードのエラーが発生した」という意味を持つ。
【表1】
【0070】
次に、ステップS553において、交換部品情報収集サーバ104から部品交換情報を取得し、部品交換情報格納部402に格納する。交換部品情報収集サーバで収集した交換部品情報の例を表2に示す。ここで、ステップS553は、対象装置の部品交換情報を取得する部品交換情報取得ステップ(部品交換情報取得手段)として機能している。
【0071】
表2において、「製品」は画像形成装置の製品種別を表す名称、「機体番号」は画像形成装置毎に付与されたユニークなIDである。「部品交換日」は、保守担当者が部品を交換した日付である。「交換部品」は、保守担当者が実際に交換した部品の名称である。
【0072】
例えば表2の1行目は、「製品aaaの、機体番号DEV00000は、2022/02/05にパーツAを交換した」という意味を持つ。また表2の5行目は、「製品bbbの機体番号DEV00002は、2022/02/25にユニットXを交換した」という意味を持つ。
【表2】
【0073】
次に、ステップS554において、フィードバック格納部404に保持するフィードバック情報に基づき、エラーコード情報と交換部品情報の紐づけを行う。ここでステップS554は、エラー履歴情報と部品交換情報とを紐づけた第1の紐づけデータを生成する紐づけステップ(紐づけ手段)として機能している。
【0074】
前記フィードバック情報の例を表3に示す。表3において、「製品」は画像形成装置の製品種別を表す名称、「機体番号」は画像形成装置毎に振られたユニークなIDである。「部品交換日」は、保守担当者が部品を交換した日付である。「発生エラーコード」は、当該エラーの種別を認識するためのユニークな文字列コードである。「交換部品」は、保守担当者が実際に交換した部品の名称である。
【0075】
例えば表3の1行目は、「製品aaaの、機体番号DEV00000は、2023/06/05に発生エラーコードExxx-yyyyを発生し、それに対してパーツAを交換した」という意味を持つ。
【表3】
【0076】
又、ステップS554において、フィードバック情報に基づきエラーコード情報と交換部品情報とを紐づけた結果を表4のように生成し、保存する。尚、表4に示す、エラーコード情報と交換部品情報とを紐づけたデータをここでは、第1の紐づけデータと呼ぶ。
【表4】
【0077】
次にステップS555において、ステップS554の出力である、表4の各行のエラーコード情報と交換部品情報の紐づけ一件ずつに対し、ループ処理を開始する。そしてステップS556において、ユニット情報格納部405にて、表4の各行に示した各交換部品がパーツ単体か、もしくはユニットかを判定する。
【0078】
即ち、ユニット情報格納部405は、ユニット情報格納部405にて保持するユニット・パーツ対応情報に基づき、表4に示す各「交換部品」の列の値が、パーツかユニットかを判断する。表5は、ユニット情報格納部405にて保持するユニット・パーツ対応情報の例を示す。
【0079】
「ユニット名」はユニットを表す名称である。「含有パーツ」はユニットが含有するパーツのリストである。例えば表5の1行目は、「ユニットXは、パーツA,パーツDを含有する」という意味を持つ。尚、本実施例における「含有」は、「包含」或いは「含む」と同様の意味を持つ。
【0080】
表4の「交換部品」の列の値が、表5に示す「ユニット名」の列に含まれる場合、当該の交換部品はユニットと判断する。表4の「交換部品」の列の値が、表5の「ユニット名」の列に含まれない場合、当該の交換部品はパーツと判断する。
【表5】
【0081】
ステップS556にてユニットと判定された場合、処理を実行せずステップS555に戻り表4の次の行のデータに進む。ステップS556にてパーツと判断された場合には、ステップS557において、交換したパーツを含むユニットも交換したものとして、交換部品情報を複製する。
【0082】
ここでステップS557は、所定の交換部品の情報を、所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報に置換して、エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成する複製ステップ(複製手段)として機能している。
【0083】
即ち、表4の所定の行について、「交換部品」がステップS556でパーツと判断された場合には、表5の「含有パーツ」列において、そのパーツを含むユニットを抽出する。そして、表4における、エラーコードと交換部品の紐づけデータの、「交換部品」列を、抽出されたユニットに置換した行を複製して追加する。
【0084】
ステップS558で、表4の全ての行についてループ処理が終了していなければ、再びステップS555を介してステップS556に戻って上記の動作を繰り返す。表4の全ての行について上記の処理が終了したらステップS558でループ処理を終了してステップS559に進み学習データ終了処理を終了する。
【0085】
ステップS559で、表4の全ての行について処理が終了した時点の、エラーと交換部品の紐づけ(複製済)結果の例を表6に示す。複製されて追加されたデータは、交換部品の項目に「*」を付与している。
【0086】
尚、表6のように、所定の交換部品(例えばパーツA)の情報を、所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報(例えばユニットX)に置換して、エラー履歴情報と紐づけたデータを、本実施例では第2の紐づけデータと呼ぶ。
【表6】
【0087】
尚、本実施例では、ステップS554~ステップS558において、紐づけを行ったうえで交換部品がユニットかパーツかを判断し、データの複製を行った。即ち、第1の紐づけデータにおける所定の交換部品の情報を、他の交換部品の情報に置換することにより複製して、エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成した。
【0088】
しかし、この処理は順序を入れ替え、先にユニットかパーツかを判断してデータを複製し、その後紐づけを行っても良い。即ち、所定の交換部品の情報を、他の交換部品の情報に置換した後、他の交換部品の情報とエラー履歴情報とを紐づけた第2の紐づけデータを生成しても良い。
【0089】
次に、図6は、本発明の実施例1に係る機械学習処理の例を示すフローチャートであり、修理箇所通知サーバ105の機械学習モデル作成ステップ(ステップS503)の1例を示している。尚、修理箇所通知サーバ105内のコンピュータとしてのCPU等がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって図6のフローチャートの各ステップの動作が順次行われる。
【0090】
ステップS601において機械学習モデルの作成が開始され、ステップS602において修理箇所通知サーバ105は、表6のデータと、装置情報格納部401が保有する、画像形成装置機器の情報を結合し、収集データとする。尚、この際、表6のデータはパーツの行とユニットの行で分けて、夫々収集データとする。即ち、第1の紐づけデータと第2の紐づけデータを夫々収集データとして夫々用いて学習を行う。
【0091】
ステップS603以降、ユニットに関する収集データを用いた学習処理を行う。収集データの例を表7に示す。表7において、「製品」は画像形成装置の製品種別を表す名称である。「稼働情報1」、「稼働情報2」は、例えばデータ取得日に印刷した紙の枚数など、画像形成装置の使用状況を示す情報である。
【0092】
「Exxx-yyyy」、「Exxx-zzzz」の列は、夫々エラーコードを示し、夫々のエラーが発生していれば1、発生していなければ0を示している。「ユニットX」、「ユニットY」の列は、交換されうる部品を含むユニットの場合に1、含まない場合を0としている。
【0093】
例えば表9の1行目は、「地域Aに設置された製品aaaの、機体番号DEV00000は、2023/06/01の発生エラーコードExxx-yyyyに対してユニットXを交換され、稼働情報1の値は1、稼働情報2の値は7である。」ことを示す。
【0094】
【表7】
【0095】
ステップS603において、修理箇所通知サーバ105は、ステップS602で準備した表7のような収集データを、入力データと正解データに分割する。本実施例では、入力データは稼働情報1、稼働情報2及びエラーコードの列の値とし、正解データはユニットX、ユニットYの列の値とする。
【0096】
尚、入力データとしては、時間情報(コピー実行された時間など)、ユーザ属性(部署、役職、年齢など)、画像形成装置属性(機種、設置場所、コピー速度など)等の値を利用しても良い。
【0097】
次にステップS604において、修理箇所通知サーバ105は、ステップS603で生成した正解データの設定項目(ユニットX、ユニットY)を1設定項目ずつ全設定項目について処理したか判定する。Yesの場合には図6の学習モデル作成のフローを終了する。Noの場合には、ステップS605に進む。
【0098】
尚、本実施例では、正解データを1設定項目ずつ処理するが、複数の設定項目をまとめて学習しても良い。但し、正解データの複数の設定項目をまとめて学習した場合、精度の高い推定を行うためには、大量のデータが必要になる。例えば機体番号毎の学習データは大量に収集することが難しく、少量の学習データとなるため、推定精度が悪くなる可能性がある。
【0099】
ステップS605において修理箇所通知サーバ105は、ステップS603で生成した入力データと正解データの1つの設定項目についてSVM(Support Vector Machine)を利用して学習する。
【0100】
SVMは公知の機械学習アルゴリズムであり、本実施例ではRBF(Radial Basis function Kernel)による非線形ソフトマージンSVMを利用する。又、学習をする際に、学習データをランダムに解析データと検証データに分割する交差検証によって学習結果を評価する。
【0101】
尚、RBFを用いたSVMのハイパーパラメータには、コストパラメータ(C)とガンマ(γ)があり、推定性能に影響を及ぼすので、夫々複数の値を網羅的に試すグリッドサーチを行い推定性能が高いものを学習結果とする。
【0102】
ここで機械学習アルゴリズムとしてはどのようなアルゴリズムを用いても良い。例えばパーセプトロンやロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、k近傍法、ナイーブベイズ、畳み込みニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、線形回帰、多項式回帰、Lasso回帰、Ridge回帰等を用いれば良い。
【0103】
又、SVMとしては、ハードマージンSVMや多項式カーネルSVMなどの種類があり、いずれを用いても良い。又、機械学習アルゴリズムのハイパーパラメータも機械学習アルゴリズムによって異ならせても良い。また学習結果の評価手法としては、交差検証法以外に代替推定法やテストサンプル法などを用いても良い。
【0104】
更に機械学習アルゴリズムのハイパーパラメータの最適化手法としては、グリッドサーチ、ランダムサーチ、ラテン超方格サンプリング法、ベイズ最適化などのいずれを用いても良い。本実施例において機械学習アルゴリズムや学習結果の評価手法、機械学習アルゴリズムのハイパーパラメータの最適化手法などは適宜変更しても良いし組み合わせても良い。
【0105】
ステップS606において、修理箇所通知サーバ105は、ステップS605で学習した学習済みモデルをファイルに保存し、機械学習モデル管理部408に登録する。ここで学習済みモデルを保存したファイルには、学習アルゴリズムの種類(RBFによる非線形ソフトマージンSVM等)や学習アルゴリズムのハイパーパラメータの値(コストパラメータ(C)とガンマ(γ))等が含まれる。
【0106】
ステップS606で学習済モデルを保存した後で、ステップS604に戻り、全項目について正解データを処理したか判定し、NoであればステップS605、ステップS606を繰り返し、YesであればステップS607に進み図6のフローを終了する。
【実施例0107】
実施例1によれば、パーツ単体とユニット単位のように、スケールの異なる部品交換データに対し、対応関係からデータを複製することで学習用のデータを充実させることができる。しかし、デバイスの製品機種によって扱うユニットに差がある場合がある。本来その製品機種では扱わないユニットも含めてデータを複製し学習すると、現実にはあり得ないパターンのデータも学習してしまい、学習精度が落ちる場合がある。
【0108】
そこで、実施例2では、交換したパーツを含むユニットで、かつ当該製品機種で扱うユニットのみを対象とし、データ複製を行う。これにより、実際にはあり得ないパターンを排除しつつデータを複製することができ、学習精度を向上することができる。
【0109】
実施例2の、システム構成図、ハードウェア構成図、入力端末画面例図、ソフトウェア構成図に関しては、夫々実施例1の図1図4と同様のため説明を省略する。又、修理箇所通知サーバ105の全体フローチャートは実施例1の図5(A)と同様なので、説明を省略する。
【0110】
図7は、本発明の実施例2に係るデバイス対象ユニットに絞った学習データ収集処理のフローチャートであり、実施例2における修理箇所通知サーバ105の学習データ収集ステップ(ステップS502)の詳細を示している。尚、修理箇所通知サーバ105内のコンピュータとしてのCPU等がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって図7のフローチャートの各ステップの動作が順次行われる。
【0111】
ステップS551~ステップS556、ステップS558、ステップS559の処理内容は、図5(B)に示した処理内容と同じなので説明を省略する。ステップS556にてユニットと判断された場合には、ステップS701~ステップS703の処理を実行せず次の行のデータに進むようにループ処理を行う。
【0112】
ステップS556にてパーツと判定された場合、ステップS701において、表4に示すエラーと交換部品の紐づけのテーブルの「製品」列から、当該部品の交換処理を行ったデバイス(製品機種)を特定する。
【0113】
次に、ステップS702において、表8に示すようなユニット・パーツ対応情報(取扱い機種情報も含む)を参照し、交換したパーツを含むユニットで、かつ当該製品機種の取り扱い対象であるユニットを特定する。ここで、ステップS702は、所定の部品の交換を行った対象装置が、他の交換部品を使用可能な機種か否か特定する機種特定ステップ(機種特定手段)として機能している。
【0114】
表8において、「ユニット名」はユニットの名称であり、「含有パーツ」はユニットが含有するパーツのリストである。「取扱機種」はユニットを取り扱う製品機種のリストである。例えば表8の1行目は、「ユニットXはパーツA,パーツDを含有し、製品機種bbb、及びcccで取り扱い対象である」という意味を持つ。
【0115】
【表8】
【0116】
ステップS703において、交換したパーツを含むユニットで、かつ当該製品機種の取り扱い対象であるユニットの場合には、そのユニットも交換したものとして、交換部品情報を複製する。
【0117】
又、ステップS702で特定したユニットについて、当該のエラーと交換部品の紐づけデータを複製し、交換部品列を夫々、特定されたユニットに置換する。即ち、ステップS703において、機種特定ステップとしてのステップS702により特定された対象装置が他の交換部品を使用可能な機種である場合に、第2の紐づけデータを生成する。
【0118】
更に、上記のステップS556、ステップS701~ステップS703の処理を、ステップS555、ステップS558によるループ処理により、全ての行について実行してからステップS559に進み、学習データ収集のフローを終了する。
【0119】
ステップS559に進み、学習データ収集を終了した時点の、エラーと交換部品の紐づけ(複製済・取扱機種込み)の例を表9に示す。複製したデータは、「交換部品」の項目に「*」を付与している。
【0120】
実施例1の表6と比較すると、一行目のDEV00000にて発生したパーツAの交換情報が、ユニット交換情報として複製されていないことがわかる。これは、表8において製品機種aaaがユニットXの対象機種に含まれないためである。
【0121】
【表9】
【0122】
尚、ステップS554~ステップS703に関して、本実施例では紐づけを行ったうえで交換部品がユニットかパーツかを判断し、データの複製を行った。しかし、これらの処理は順序を入れ替え、先にユニットかパーツかを判断してデータを複製し、その後紐づけを行っても良い。尚、実施例2における機械学習モデル作成のシーケンスに関しては、実施例1の図6に示されるシーケンスと同様で良いので説明を省略する。
【0123】
本実施例により、エラーと交換部品の紐づけデータ複製時に、当該パーツを含み、かつ当該製品機種が扱うユニットのみ複製を行うことで、現実に発生し得るユニット交換に限定したうえで学習用データを増幅することが可能となる。これにより、エラーに対する交換部品の予測において、スケールが異なる夫々の部品の学習精度を向上することができる。
【実施例0124】
実施例1において、パーツ単体とユニットとの、スケールの異なる部品交換データに対し、対応関係からデータを複製することで学習用のデータを充実させることを想定した。しかし、地域によって扱うユニットに差がある場合がある。その場合でも、一部のパーツは複数のユニットで利用されることがある。
【0125】
そのため、あるパーツを含む全てのユニットを対象にデータを複製すると、本来その地域では扱わないユニットも含めて学習することになる可能性がある。その結果、現実にはあり得ないパターンのデータも学習してしまい、学習精度が落ちる可能性がある。
【0126】
そこで実施例3では、交換したパーツを含むユニットで、かつ当該地域で扱うユニットのみを対象とし、データ複製を行う。これにより、実際にはあり得ないパターンを排除しつつデータを複製することができ、学習精度を向上することができる。
【0127】
実施例3の、システム構成図、ハードウェア構成図、入力端末画面例図、ソフトウェア構成図に関しては、夫々実施例1の図1図4と同様のため説明を省略する。又、修理箇所通知サーバ105の全体フローチャートは実施例1の図5(A)と同様なので、説明を省略する。
【0128】
図8は、本発明の実施例3に係る地域対象ユニットに絞った学習データ収集処理のフローチャートであり、実施例3における修理箇所通知サーバ105の学習データ収集ステップ(ステップS502)の詳細を示している。尚、修理箇所通知サーバ105内のコンピュータとしてのCPU等がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって図8のフローチャートの各ステップの動作が順次行われる。
【0129】
ステップS551~ステップS556、ステップS558、ステップS559の処理内容は、図5(B)に示した処理内容と同じなので説明を省略する。ステップS556にてユニットと判断された場合には、ステップS801~ステップS803の処理を実行せず次の行のデータに進むようにループ処理を行う。
【0130】
ステップS556にてパーツと判定された場合、ステップS801において、表4に示すエラーと交換部品の紐づけのテーブルの「地域」列から、当該部品の交換処理を行った地域を特定する。
【0131】
次に、ステップS802において、表10に示すようなユニット・パーツ対応情報(取扱い地域情報も含む)を参照し、交換したパーツを含むユニットで、かつ当該デバイス設置地域の取り扱い対象であるユニットを特定する。ここでステップS802は、所定の部品の交換を行った対象装置の設置地域を特定する地域特定ステップ(地域特定手段)として機能している。
【0132】
表10において、「ユニット名」はユニットを表す名称であり、「含有パーツ」はユニットが含有するパーツのリストである。「取扱地域」はユニットを取り扱う地域のリストである。例えば表10の1行目は、「ユニットXはパーツA,パーツDを含有し、地域A、地域B及び地域Cで取り扱い対象である」という意味を持つ。
【0133】
【表10】
【0134】
ステップS803において、交換したパーツを含むユニットで、かつ当該地域の取り扱い対象であるユニットの場合には、そのユニットも交換したものとして、交換部品情報を複製する。
【0135】
ステップS802で特定したユニットについて、当該のエラーと交換部品の紐づけデータを複製し、交換部品列を夫々、特定されたユニットに置換する。即ち、ステップS803では、地域特定ステップとしてのステップS802により特定された設置地域が、他の交換部品を取り扱い可能な地域の場合に、第2の紐づけデータを生成する。
【0136】
更に、上記のステップS556、ステップS801~ステップS803の処理を、ステップS555、ステップS558によるループ処理により、全ての行について実行してからステップS559に進み、学習データ収集のフローを終了する。
【0137】
ステップS559に進み、学習データ収集を終了した時点の、エラーと交換部品の紐づけ(複製済・取扱地域込み)の例を表11に示す。複製したデータは、交換部品の項目に「*」を付与している。
【0138】
実施例1の表6と比較すると、表11の3行目及び4行目で、DEV00001にて発生したパーツB、及びパーツCの交換情報が、ユニット交換情報として複製されていないことがわかる。これは、表10において地域BがユニットYの対象機種に含まれないためである。
【0139】
【表11】
【0140】
尚、ステップS554~ステップS803に関して、本実施例では紐づけを行ったうえで交換部品がユニットかパーツかを判断し、データの複製を行った。しかし、これらの処理は順序を入れ替え、先にユニットかパーツかを判断してデータを複製し、その後紐づけを行っても良い。尚、実施例3における機械学習モデル作成のシーケンスに関しては、実施例1の図6に示されるシーケンスと同様で良いので説明を省略する。
【0141】
本実施例により、エラーと交換部品の紐づけデータ複製時に、当該パーツを含み、かつ当該地域で扱われるユニットのみ複製を行うことで、現実に発生し得るユニット交換に限定したうえで学習用データを増幅することが可能となる。これにより、エラーに対する交換部品の予測において、スケールが異なる夫々の部品の学習精度を向上することができる。
【0142】
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて詳述してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0143】
例えば上記の実施例の表6、表9、表11では、第1の紐づけデータと第2の紐づけデータを別の行としているが、例えば同じ行にパーツの列とユニットの列を設けることにより第1の紐づけデータと第2の紐づけデータを1つの行に含めるようにしても良い。
【0144】
又、修理対象の装置(対象装置)として画像形成装置の例を説明したが、対象装置は、部品の交換が必要な装置であればどのような装置であっても良く、例えば自動車や船舶や航空機、プラント等であっても良い。尚、本発明は、以下の組み合わせを含む。
【0145】
(構成1)学習データを収集する情報処理システムであって、対象装置のエラー履歴情報を取得するエラー履歴情報取得手段と、前記対象装置の部品交換情報を取得する部品交換情報取得手段と、前記エラー履歴情報と前記部品交換情報とを紐づけた第1の紐づけデータを生成する紐づけ手段と、所定の交換部品の情報を、前記所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報に置換して、前記エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成する複製手段と、を有することを特徴とする情報処理システム。
【0146】
(構成2)前記第1の紐づけデータと前記第2の紐づけデータを夫々用いて学習を行う学習手段を有することを特徴とする構成1に記載の情報処理システム。
【0147】
(構成3)前記複製手段は、前記第1の紐づけデータにおける前記所定の交換部品の情報を、前記他の交換部品の情報に置換することにより複製して、前記エラー履歴情報と紐づけた前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする構成1又は2に記載の情報処理システム。
【0148】
(構成4)前記複製手段は、前記所定の交換部品の情報を、前記他の交換部品の情報に置換した後、前記他の交換部品の情報と前記エラー履歴情報とを紐づけた前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0149】
(構成5)前記所定の部品の交換を行った前記対象装置が、前記他の交換部品を使用可能な機種か否か特定する機種特定手段を有し、前記複製手段は、前記機種特定手段により特定された前記対象装置が前記他の交換部品を使用可能な機種である場合に、前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする構成1~4のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0150】
(構成6)記所定の部品の交換を行った前記対象装置の設置地域を特定する地域特定手段を有し、前記複製手段は、前記地域特定手段により特定された前記設置地域が、前記他の交換部品を取り扱い可能な地域の場合に、前記第2の紐づけデータを生成することを特徴とする構成1~5のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0151】
(方法)学習データを収集する情報処理方法であって、対象装置のエラー履歴情報を取得するエラー履歴情報取得ステップと、前記対象装置の部品交換情報を取得する部品交換情報取得ステップと、前記エラー履歴情報と前記部品交換情報とを紐づけた第1の紐づけデータを生成する紐づけステップと、所定の交換部品の情報を、前記所定の交換部品を含有する他の交換部品の情報に置換して、前記エラー履歴情報と紐づけた第2の紐づけデータを生成する複製ステップと、を有することを特徴とする情報処理方法。
【0152】
(プログラム)構成1~6のいずれか1つに記載の情報処理システムの各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【0153】
尚、上記実施例における制御の一部又は全部を実現するために、上述した実施例の機能を実現するコンピュータプログラムをネットワーク又は各種記憶媒体を介して情報処理システム等に供給するようにしてもよい。そしてその情報処理システム等におけるコンピュータ(又はCPUやMPU等)がそのプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。その場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
【符号の説明】
【0154】
102:装置情報収集サーバ
103:情報入力端子
104:交換部品情報収集サーバ
105:修理箇所通知サーバ
106:画像形成装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8