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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164720
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】駆動装置および電動車両
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080403
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 利幸
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA04
5H605CC01
5H605CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータを収容するハウジングにおける共振の抑制と、ハウジングの重量増加の抑制との両立を図る。
【解決手段】駆動装置は、軸方向に延びるモータ軸線を中心として回転するロータ、および、前記ロータと径方向に対向する環状のステータを有するモータと、軸方向に延び、外部にトルクを出力する出力部と、軸方向に延びるシャフトに取り付けられる歯車を有し、前記モータのトルクを前記出力部に伝達するギヤ部と、前記モータ、前記出力部、および、前記ギヤ部を収容するハウジングと、を有する。前記ハウジングは、前記モータと軸方向に対向する内面に前記モータ側に向けて突出する第1リブを有する。前記ステータは、周方向に配列される複数のティースを有する。前記第1リブは、軸方向からの平面視において、隣り合う前記ティースの間に配置される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びるモータ軸線を中心として回転するロータ、および、前記ロータと径方向に対向する環状のステータを有するモータと、
軸方向に延び、外部にトルクを出力する出力部と、
軸方向に延びるシャフトに取り付けられる歯車を有し、前記モータのトルクを前記出力部に伝達するギヤ部と
前記モータ、前記出力部、および、前記ギヤ部を収容するハウジングと、
を有し、
前記ハウジングは、前記モータと軸方向に対向する内面に前記モータ側に向けて突出する第1リブを有し、
前記ステータは、周方向に配列される複数のティースを有し、
前記第1リブは、軸方向からの平面視において、隣り合う前記ティースの間に配置される、駆動装置。
【請求項2】
前記第1リブは、前記モータ軸線を中心として放射状に複数配置される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記ハウジングの外縁より内方に配置され、軸方向に延びる複数の筒部と、
軸方向からの平面視において隣り合う前記筒部の間に配置される第2リブと、
をさらに有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第2リブは、前記ハウジングの内面と外面との少なくともいずれか一方に配置される、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第2リブは、前記ハウジングに複数配置され、
複数の前記第2リブのうちの少なくとも一つは、隣り合う前記筒部同士を接続する、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記複数の筒部には、
前記モータの径方向外方に配置され、前記モータを囲む第1筒部と、
前記出力部を回転可能に支持する出力部軸受を保持する第2筒部と、
前記シャフトを回転可能に支持するシャフト軸受を保持する第3筒部と、
が含まれる、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、
前記モータの径方向外方に配置され、前記モータを囲む第1筒部と、
前記第1筒部の外周から軸方向と交差する方向に広がる平面部と、
前記第1筒部の外周面と前記平面部とに接続される第3リブと、
をさらに有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、
前記ハウジングの内面から軸方向に突出し、締結部材の固定を可能とするボス部と、
前記ボス部の外周面と前記ハウジングの内面とに接続される第4リブと、
をさらに有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、互いに接合されて当該ハウジングを構成する第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを有し、
前記締結部材は、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とを接合し、
前記ボス部は、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とのいずれか一方に配置される、請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、互いに接合されて当該ハウジングを構成する第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを有し、
前記第1リブは、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とのうち、前記ステータが配置される側に配置される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の駆動装置と、
前記モータに電力を供給する電源部と、
前記駆動装置の出力を車輪に伝達する動力伝達機構と、
を有する、電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動装置および電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを組み込んだ電動用ハブ装置を備える電動車両が知られる(例えば、特開2009-12542)。なお、電動車両は、例えば電動自転車である。電動用ハブ装置は、ペダルに一定以上の負荷が作用すると、モータを駆動させて車輪に補助動力を供給する。電動用ハブ装置が有するモータは、ハウジングに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-12542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、モータを収容するハウジングは、電動車両を軽量とするために、肉厚を薄くされる傾向がある。しかしながら、ハウジングの肉厚が薄くされると、アシスト時のモータ駆動に伴う共振によって騒音が大きくなる虞がある。
【0005】
本開示は、モータを収容するハウジングにおける共振の抑制と、ハウジングの重量増加の抑制との両立を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な駆動装置は、軸方向に延びるモータ軸線を中心として回転するロータ、および、前記ロータと径方向に対向する環状のステータを有するモータと、軸方向に延び、外部にトルクを出力する出力部と、軸方向に延びるシャフトに取り付けられる歯車を有し、前記モータのトルクを前記出力部に伝達するギヤ部と、前記モータ、前記出力部、および、前記ギヤ部を収容するハウジングと、を有する。前記ハウジングは、前記モータと軸方向に対向する内面に前記モータ側に向けて突出する第1リブを有する。前記ステータは、周方向に配列される複数のティースを有する。前記第1リブは、軸方向からの平面視において、隣り合う前記ティースの間に配置される。
【0007】
本開示の例示的な電動車両は、上記構成の駆動装置と、前記モータに電力を供給する電源部と、前記駆動装置の出力を車輪に伝達する動力伝達機構と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本開示によれば、モータを収容するハウジングにおける共振の抑制と、ハウジングの重量増加の抑制との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態にかかる電動車両の概略の構成を示す側面図である。
図2図2は、駆動装置の概略の構成を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す駆動装置の内部の構成を示す概略斜視図である。
図4図4は、駆動装置における動力伝達部分を抽出して示す概略斜視図である。
図5図5は、駆動装置における動力伝達部分を抽出して示す概略斜視図である。
図6図6は、ステータが有するステータコアの構成を示す平面図である。
図7図7は、クランクシャフト及び出力部の周辺の概略の構成を示す断面図である。
図8図8は、第1ハウジング部材の内面の概略の構成を示す斜視図である。
図9図9は、第1ハウジング部材の外面の概略の構成を示す斜視図である。
図10図10は、第2ハウジング部材の外面の概略の構成を示す斜視図である。
図11図11は、第2ハウジング部材の内面の概略の構成を示す斜視図である。
図12図12は、本開示の実施形態に係るステータの回り止め構造について説明するための図である。
図13図13は、図12における螺子の周辺を、ハウジングカバーを取り除いて示す拡大斜視図である。
図14図14は、変形例に係るステータの回り止め構造について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
本明細書では、駆動装置10の説明に際して、駆動装置10が有するモータ20のモータ軸線J1と平行な方向を「軸方向」と称する。また、モータ軸線J1に直交する方向を単に「径方向」、モータ軸線J1を中心とする円弧に沿う方向を単に「周方向」とそれぞれ称する。また、駆動装置10が電動車両100に取り付けられた場合を基準として、前後、上下、および、左右の表現を用いる。詳細には、電動車両100の進行方向を「前方F」、その反対方向を「後方B」とする。また、前方に向いた状態を基準として、「上方U」、「下方D」、「左方L」、「右方R」を定義する。なお、本明細書において、左右方向は、軸方向と平行である。つまり、左右方向は、本開示の「軸方向」に対応する。また、以上の方向の定義は、説明を容易にするための便宜的な定義であり、実際に使用される駆動装置10の方向を限定する趣旨ではない。
【0012】
<1.電動車両>
図1は、本開示の実施形態にかかる電動車両100の概略の構成を示す側面図である。本実施形態では、電動車両100は、使用者のペダル106を踏む力を補助する電動アシスト自転車である。図1に示すように、電動車両100は、駆動装置10と、動力伝達機構103と、電源部104と、を有する。電動車両100は、車体101と、2個の車輪102と、をさらに有する。
【0013】
車体101は、ハンドル107と、サドル108とを有する。2個の車輪102、駆動装置10、動力伝達機構103、および、電源部104は、車体101に取り付けられる。2個の車輪102のうちの一方は、車体101の前部に前輪102fとして、他方は、後部に後輪102rとして取り付けられる。後輪102rには、動力伝達機構103が接続される。
【0014】
動力伝達機構103は、クランクシャフト105aに取り付けられるクランク105と、ペダル106とを有する。また、動力伝達機構103は、駆動装置10の後述する出力部30(図2参照)に取り付けられた駆動ギヤと、後輪102rに取り付けられた従動ギヤと、駆動ギヤと従動ギヤとを連結するチェーン(いずれも不図示)と、をさらに有する。クランク105は、車体101に回転可能に取り付けられたクランクシャフト105aに固定される。さらに、クランク105の先端には、ペダル106が回転可能に取り付けられる。
【0015】
駆動装置10は、動力伝達機構103に取り付けられる。駆動装置10は、詳細は後述する出力部30(図2等参照)から動力伝達機構103にトルクを伝達する。駆動装置10から伝達されたトルクは、動力伝達機構103を介して後輪102rに伝達される。すなわち、動力伝達機構103は、駆動装置10の出力を車輪102に伝達する。本実施形態とは異なる構成として、駆動装置10から伝達されたトルクが、動力伝達機構を介して前輪102fに伝達される構成としてもよい。
【0016】
なお、駆動装置10の出力部30は、クランクシャフト105aとは別部材として構成されるが、このような構成に限定されない。例えば、出力部30が、クランクシャフト105aを兼ねる構成であってもよい。すなわち、駆動装置10としては、使用者の力による車輪102の回転を補助できる構成を広く採用できる。
【0017】
電源部104は、車体101に取り付けられる。電源部104は、例えばバッテリである。電源部104は、駆動装置10の後述のモータ20(図3等参照)に不図示の配線を介して電力を供給する。すなわち、電源部104は、モータ20に電力を供給する。
【0018】
電動車両100では、サドル108に着座した使用者がペダル106を踏むことでクランクシャフト105aにトルクが付与される。クランクシャフト105aに付与されたトルクは、出力部30と、動力伝達機構103と、を介して後輪102rに伝達される。伝達されたトルクによって後輪102rが回転し、電動車両100は走行する。そして、駆動装置10は、クランクシャフト105aにかかるトルクを検知し、必要に応じ、出力部30から動力伝達機構103にトルクを付与する。出力部30から伝達されるトルクは、電動車両100の走行のためのトルクに付加される。つまり、駆動装置10は、必要に応じて、電動車両100の走行に必要なトルクを補助する。
【0019】
電動車両100は、詳細は後述する駆動装置10の工夫により、車両全体の重量が重くなることを抑制しながら、モータ20の駆動時における騒音の発生を抑制することができる構成となっている。また、電動車両100は、詳細には後述する駆動装置10の工夫により、駆動装置10が有するステータ22(図3参照)が不意に回転する可能性を低くして、安全性を向上することができる構成となっている。
【0020】
<2.駆動装置>
図2は、駆動装置10の概略の構成を示す斜視図である。図3は、図2に示す駆動装置10の内部の構成を示す概略斜視図である。図4および図5は、駆動装置10における動力伝達部分を抽出して示す概略斜視図である。図4図5とでは、見る方向が異なる。
【0021】
図2から図5に示すように、駆動装置10は、モータ20と、出力部30と、ギヤ部40と、ハウジング50と、を有する。その他、駆動装置10は、モータ20の駆動を制御するコントローラ60を有する。また、駆動装置10は、ハウジング50の一部を覆うハウジングカバー70を有する。ハウジングカバー70は、例えば、駆動装置10が有する配線およびコネクタを覆う。また、ハウジングカバー70が配置されることにより、駆動装置10の美観を向上することができる。ハウジングカバー70は、詳細には、ステータ20と軸方向に対向し、ハウジング50の左側に配置される左領域部70aと、当該左領域部70aの後方において軸方向右方に延びる後方領域部70bとを有するL字状部材を含む。なお、図3は、図2に示すハウジング50およびハウジングカバー70の一部(上記L字状部材)を取り除いた状態を示す図である。
【0022】
[2-1.モータ]
モータ20は、直流のブラシレスモータである。モータ20は、電源部104からの電力によって駆動される。モータ20は、ロータ21および環状のステータ22を有する。ロータ21は、軸方向に延びるモータ軸線J1を中心として回転する。ステータ22は、モータ軸線J1を中心とする円環状である。ステータ22は、ロータ21と径方向に対向する。詳細には、ステータ22は、ロータ21の径方向外方に配置される。つまり、モータ20は、ステータ22の内方にロータ21が回転可能に配置されるインナーロータ型モータである。なお、モータ20は、インナーロータ型モータに限定されず、アウターロータ型モータであってもよい。
【0023】
図6は、ステータ22が有するステータコア221の構成を示す平面図である。なお、図6は、ステータコア221を軸方向から見た図である。ステータコア221は、例えば電磁鋼板を積層して構成される。なお、ステータコア221は、複数のコアピースを接合して構成されてもよい。本実施形態では、ステータコア221は分割コアを用いて構成される。ステータコア221が分割コアを用いて構成されることにより、1枚の積層鋼板から、よりたくさんのステータを作ることができる。図6に示すように、ステータコア221は、環状のコアバック2211と、複数のティース2212とを有する。すなわち、ステータ22は、環状のコアバック2211と、複数のティース2212とを有する。環状のコアバック2211は、モータ軸線J1を中心とする。複数のティース2212は、コアバック2211から径方向内方に延びる。複数のティース2212は、周方向に配列される。詳細には、複数のティース2212は、周方向に等間隔に配列される。
【0024】
各ティース2212には、インシュレータを介して導線が巻かれる。すなわち、ステータ22は、ティース2212に配置される巻線222(図4等参照)を有する。ステータ22は、巻線222に流される駆動電流に応じて磁束を発生させる電機子である。モータ20においては、ステータ22に駆動電流が供給されることにより、ロータ21が有するマグネットとステータ22との間で回転トルクが発生する。当該回転トルクにより、ロータ21はステータ22に対して回転する。
【0025】
また、モータ20は、モータ軸線J1に沿って延びる柱状のモータシャフト23を有する。モータシャフト23は、ロータ21に固定される。モータシャフト23は、モータ軸線J1を中心としてロータ21とともに回転可能である。なお、図4等に示すように、モータシャフト23は、モータ20の本体部から左方に突出する。
【0026】
モータシャフト23の軸方向一方側の端部である左端部には、駆動歯車24が配置される。駆動歯車24は、モータシャフト23の径方向外方に配置され、モータシャフト23に固定される。駆動歯車24は、モータ軸線J1を中心としてモータシャフト23とともに回転可能である。なお、駆動歯車24のモータシャフト23への固定は、圧入、溶接、又は、接着等、強固に固定できる固定方法を広く採用することができる。
【0027】
[2-2.出力部]
図7は、クランクシャフト105a及び出力部30の周辺の概略の構成を示す断面図である。なお、図7は、駆動装置10の上下を反転させて上下方向と直交する面に沿って切断した図である。出力部30の説明に先立って、クランクシャフト105aの構成について簡単に説明する。
【0028】
図2および図7に示すように、クランクシャフト105aは、モータ軸線J1と平行な出力軸線J4に沿って延びる。クランクシャフト105aの左端は、ハウジング50の左方に突出する。クランクシャフト105aの右端は、ハウジング50の右方に突出する。クランクシャフト105aは、クランクシャフト軸受1051を介してハウジング50に回転可能に支持される。詳細には、クランクシャフト軸受1051は、クランクシャフト105aの左寄りに配置される。なお、クランクシャフト105aの両端には、それぞれ、上述した左右のクランク105(図1参照)が固定される。
【0029】
図3および図7に示すように、クランクシャフト105aの出力軸線J4を基準とする径方向外方には、トルク検知部80が配置される。トルク検知部80は、クランクシャフト105aに作用するトルクを検知する。すなわち、駆動装置10は、クランクシャフト105aに作用するトルクを検知するトルク検知部80をさらに有する。本実施形態の駆動装置10において、トルク検知部80は、クランクシャフト105aに固定されるスリーブ81と、スリーブ81の出力軸線J4を基準とする径方向外方に配置される外筒部82と、を有する。
【0030】
図3に示すように、外筒部82は、出力軸線J4を基準とする径方向外方に向けて突出する突起83を有する。突起83は、ハウジング50内に配置される板状の支持部材53の固定部531に固定される。すなわち、トルク検知部80の一部が、支持部材53に固定される。このように構成することで、トルク検知部80を取り付けるための専用部材を省略することができ、駆動装置10を小型化することができる。なお、トルク検知部80は、この構成に限定されず、回転するクランクシャフト105aのトルクを正確に検知できる構成であれば、他の構成であってもよい。
【0031】
出力部30は、出力軸線J4に沿って延びる。つまり、出力部30は、軸方向に延びる。出力部30は、モータシャフト23と平行に延びる。出力部30は、クランクシャフト105aの右側寄りに配置される。出力部30は、クランクシャフト105aの出力軸線J4を基準とする径方向外方に配置され、クランクシャフト105aの周囲を覆う。出力部30には、動力伝達機構103が接続される(図1参照)。そして、出力部30は、動力伝達機構103にトルクを出力する。すなわち、出力部30は、外部にトルクを出力する。
【0032】
図7に示すように、出力部30は、第1出力部軸受32及びワンウェイクラッチ33を介してクランクシャフト105aに接続される。このように取り付けられることで、クランクシャフト105aから出力部30に一定方向のトルクが伝達される場合にのみ、クランクシャフト105aから動力伝達機構103にトルクが伝達される。
【0033】
なお、第1出力部軸受32は、ボールベアリングを用いて構成されるが、当該構成に限定されない。第1出力部軸受32は、出力部30をクランクシャフト105a周りに回転可能に支持することができる他の軸受構造で構成されてもよい。また、本実施形態では、第1出力部軸受32は、1つの軸受部材で構成されるが、これに限定されず、複数の軸受部材を用いて構成されてもよい。本明細書に記載される各種の「軸受」に対して、上述した軸受構造、および、軸受部材の数の変形例が当てはまる。当該変形例について、他の箇所での記載は省略する。
【0034】
出力部30は、第2出力部軸受34を介してハウジング50に回転可能に支持される。上述のとおり、クランクシャフト105aは、第1出力部軸受32及びワンウェイクラッチ33を介して出力部30と接続する。このため、クランクシャフト105aの右側部分は、第1出力部軸受32、出力部30、及び、第2出力部軸受34を介して、ハウジング50に回転可能に支持される。
【0035】
[2-3.ギヤ部]
ギヤ部40は、軸方向に延びるシャフトに取り付けられる歯車を有し、モータ20のトルクを出力部30に伝達する。詳細には、ギヤ部40は、モータシャフト23のトルクを出力部30に伝達する。ギヤ部40は、モータシャフト23から出力部30にトルクを伝達するときに、減速する減速機構である。図3から図5に示すように、ギヤ部40は、第1ギヤシャフト41と、第2ギヤシャフト42と、第1歯車43と、第2歯車44と、第3歯車45と、第4歯車46と、を有する。
【0036】
第1ギヤシャフト41は、モータ軸線J1と平行な第1中間軸線J2に沿って延びる。第1ギヤシャフト41は、円柱状であり、第1中間軸線J2周りに回転可能である。第1ギヤシャフト41は、第1中間軸線J2に沿う方向に離れて配置された2つの第1ギヤシャフト軸受411を介してハウジング50に回転可能に支持される。
【0037】
第2ギヤシャフト42は、モータ軸線J1と平行な第2中間軸線J3に沿って延びる。第2ギヤシャフト42は、円柱状であり、第2中間軸線J3周りに回転可能である。第2ギヤシャフト42は、第2中間軸線J3に沿う方向に離れて配置された2つの第2ギヤシャフト軸受421を介してハウジング50に回転可能に支持される。
【0038】
第1歯車43及び第2歯車44は、第1ギヤシャフト41に固定される。第1歯車43は、第1中間軸線J2を中心にして回転可能であり、駆動歯車24と噛み合う。第2歯車44は、第1歯車43よりも右方に配置され、第1中間軸線J2を中心にして第1歯車43とともに回転可能である。第2歯車44は、第2ギヤシャフト42に配置される第3歯車45と噛み合う。
【0039】
第1歯車43の外径は、駆動歯車24の外径よりも大きい。換言すると、第1歯車43の歯数は、駆動歯車24の歯数よりも多い。このために、モータ20の回転は、減速されて第1ギヤシャフト41に伝達される。また、第1歯車43の外径は、第2歯車44の外径よりも大きい。換言すると、第1歯車43の歯数は、第2歯車44の歯数よりも多い。このために、第1ギヤシャフト41の回転は、第1歯車43と第2歯車44との歯数比によって減速されて第2ギヤシャフト42に伝達される。また、第2歯車44の歯数は第3歯車45の歯数よりも少ない。このため、第1ギヤシャフト41の回転は、第2歯車44と第3歯車45の歯数比によっても減速されて第2ギヤシャフト42に伝達される。なお、回転が歯数比によって減速されて伝達された場合、トルクが増幅されて伝達されることになる。
【0040】
第3歯車45と、第4歯車46とは別体で形成される。第4歯車46は、第2ギヤシャフト42と単一部材で構成される。第3歯車45は、第2ギヤシャフト42に対して、不図示のワンウェイクラッチ及び軸受を介して回転可能に支持される。このように取り付けられることで、第2歯車44から第3歯車45に一定の方向のトルクが伝達される場合にのみ、トルクは第2ギヤシャフト42に伝達される。
【0041】
第4歯車46は、出力歯車31と噛み合う。第3歯車45の外径は、第4歯車46の外径よりも大きい。換言すると、第3歯車45の歯数は、第4歯車46の歯数よりも多い。このため、第4歯車46から出力歯車31を介して第2ギヤシャフト42に伝達された回転は、第3歯車45と第4歯車46の歯数比によって減速される。また、出力歯車31の歯数は第4歯車46の歯数よりも多い。このため、第2ギヤシャフト42の回転は、第4歯車46と出力歯車31の歯数比によっても減速されて出力部30に伝達される。以上からわかるように、モータ20のトルクは、増幅されて出力部30に伝達される。
【0042】
[2-4.ハウジング]
(2-4-1.ハウジング概要)
ハウジング50は、モータ20、出力部30、および、ギヤ部40を収容する。詳細には、ハウジング50は、出力部30の一部を収容する。すなわち、出力部30の他の一部は、ハウジング50外に配置され、外部に露出する。図2に示すように、ハウジング50は、互いに接合されて当該ハウジング50を構成する第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とを有する。
【0043】
本実施形態において、第1ハウジング部材51はハウジング50の右側部分を構成し、第2ハウジング部材52はハウジング50の左側部分を構成する。すなわち、第1ハウジング部材51は左ハウジングを構成し、第2ハウジング部材52は右ハウジングを構成する。第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52との接合は、複数のボルトを用いて行われる。ただし、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とは、ボルト以外を用いて接合されてもよく、例えばスナップフィットを用いて接合されてもよい。第1ハウジング部材51および第2ハウジング部材52は、例えばアルミニウム、又は、その合金等の金属で構成される。ただし、第1ハウジング部材51および第2ハウジング部材52は、金属に限定されず、樹脂等により構成されてもよい。第1ハウジング部材51および第2ハウジング部材52は、それぞれ、例えばダイカスト又は鋳造により構成される単一部材である。
【0044】
図8は、第1ハウジング部材51の内面の概略の構成を示す斜視図である。図8は、第1ハウジング部材51を左斜め側方から見た図である。図9は、第1ハウジング部材51の外面の概略の構成を示す斜視図である。図9は、第1ハウジング部材51を右斜め側方から見た図である。図10は、第2ハウジング部材52の外面の概略の構成を示す斜視図である。図10は、第2ハウジング部材52を左斜め側方から見た図である。図11は、第2ハウジング部材52の内面の概略の構成を示す斜視図である。図11は、第2ハウジング部材52を右斜め側方から見た図である。
【0045】
図8および図9に示すように、第1ハウジング部材51は、箱形状であり、詳細には左方に開口する有底筒状である。第1ハウジング部材51は、右側壁部511と、第1周壁部512とを有する。右側壁部511は、前後方向および上下方向に平行な方向に広がる。第1周壁部512は、左右方向に延びる筒状であり、右端部が右側壁部511の外縁に接続される。第1ハウジング部材51の外周の一部には、第1周壁部512から外方に突出する第1取付片部513が配置される。第1取付片部513は、駆動装置10を電動車両100に取り付ける際に利用される。本実施形態では、第1取付片部513の数は3つであるが、この数は変更されてよい。その他、第1ハウジング部材51には、第2ハウジング部材52との接合に利用されるボルトを取り付けるための貫通孔或いは螺子孔等が設けられる。
【0046】
右側壁部511は、詳細には、第1右側壁部511aと第2右側壁部511bとを有する。第1右側壁部511aおよび第2右側壁部511bは、いずれも板状である。第1右側壁部511aは、第2右側壁部511bよりも右方に位置する。すなわち、右側壁部511は、左右方向の位置にずれを有する段差を含む。なお、第1右側壁部511aと第2右側壁部511bとは、左右方向に延びる接続壁で接続される。右側壁部511は、主として第1右側壁部511aで構成され、上部側の一部が第2右側壁部511bで構成される。
【0047】
図10および図11に示すように、第2ハウジング部材52は、箱形状であり、詳細には右方に開口する有底筒状である。第2ハウジング部材52は、左側壁部521と、第2周壁部522とを有する。左側壁部521は、前後方向および上下方向に平行な方向に広がる。第2周壁部522は、左右方向に延びる筒状であり、左端部が左側壁部521の外縁に接続される。第2ハウジング部材52の外周の一部には、第2周壁部522から外方に突出する第2取付片部523が配置される。第2取付片部523は、駆動装置10を電動車両100に取り付ける際に利用される。本実施形態では、第2取付片部523の数は3つであるが、この数は変更されてよい。その他、第2ハウジング部材52には、第1ハウジング部材51との接合に利用されるボルトを取り付けるための貫通孔或いは螺子孔等が設けられる。
【0048】
本実施形態において、ハウジング50は、ハウジング50の外縁よりも内方に配置され、軸方向に延びる複数の筒部54を有する。複数の筒部54には、軸方向(左右方向)の両端が開口する筒部と、軸方向の両端のうちの一方のみが開口する筒部が含まれてよい。本実施形態では、複数の筒部54には、上述した両者の構成を有する筒部が含まれる。また、複数の筒部54は、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とのうちの一方にのみ配置される構成でもよい。ただし、本実施形態では、図8から図11に示すように、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52との両方に筒部54が配置される。より詳細には、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とのそれぞれに、複数の筒部54が配置される。
【0049】
複数の筒部54には、第1筒部541、第2筒部542、および、第3筒部543が含まれる。つまり、ハウジング50は、第1筒部541を有する。ハウジング50は、第2筒部542および第3筒部543をさらに有する。それぞれ役割が異なる複数種類の筒部54がハウジング50に配置されることにより、駆動装置10に適したハウジング50を構成することができる。
【0050】
第1筒部541は、モータ20の径方向外方に配置され、モータ20を囲む。詳細には、第1筒部541は、第1ハウジング部材51の後部に配置される。左右方向に延びる円筒状の第1筒部541は、左方に開口する有底筒状である。第1筒部541の中心は、モータ軸線J1に一致する。第1筒部541は、右側壁部511に対して左右に突出する。詳細には、第1筒部541は、第1右側壁部511aおよび第2右側壁部511bに対して右方に突出する。必要な部分のみを外方に突出させる構造とすることで、ハウジング50の小型化および軽量化を図ることができる。第1筒部541は、第1右側壁部511aおよび第2右側壁部511bに対して左方に突出する。なお、第1筒部541の左端部は、第1周壁部512の左端部よりも右方に位置する。
【0051】
第1筒部541には、モータ20のステータ22が収容される。すなわち、第1筒部541の内周面とステータ22の外周面とは径方向に対向する。第1筒部541の左右方向の長さは、ステータ22の左右方向の長さよりも若干長い。モータシャフト23は、第1筒部541に対して左方に突出する。
【0052】
第2筒部542は、出力部30を回転可能に支持する出力部軸受を保持する。詳細には、第2筒部542は、第1ハウジング部材51の前部に配置される。左右方向に延びる円筒状の第2筒部542は、右側壁部511に対して左右方向に突出する。より詳細には、第2筒部542は、第1右側壁部511aに対して左右方向に突出する。第2筒部542の中心は、出力軸線J4に一致する。
【0053】
上述のように、駆動装置10が有する出力部軸受には、第1出力部軸受32と第2出力部軸受34とが含まれる。第2筒部542が保持する出力部軸受は、第2出力部軸受34である。なお、第1出力部軸受32は、クランクシャフト105aと出力部30との間に配置され、ハウジング50には取り付けられない。
【0054】
第3筒部543は、シャフトを回転可能に支持するシャフト軸受を保持する。なお、本実施形態において、シャフトには、モータシャフト23、第1ギヤシャフト41、第2ギヤシャフト42、および、クランクシャフト105aが含まれる。シャフト軸受には、図4および図5に示すように、モータシャフト軸受25、第1ギヤシャフト軸受411、第2ギヤシャフト軸受421、および、クランクシャフト軸受1051が含まれる。すなわち、本実施形態では、複数種類の第3筒部543が存在する。
【0055】
詳細には、第3筒部543は、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とのそれぞれに配置される。
【0056】
第1ハウジング部材51には、モータシャフト23の右端部に固定されるモータシャフト軸受25を保持する右モータシャフト軸受用第3筒部543aが配置される。右モータシャフト軸受用第3筒部543aは、モータ軸線J1を中心として軸方向(左右方向)に延びる有底円筒状である。右モータシャフト軸受用第3筒部543aは、第1筒部541内に配置され、第1筒部541よりも小径である。右モータシャフト軸受用第3筒部543aは、第1筒部541と同じ底面を有し、左方に開口する。右モータシャフト軸受用第3筒部543aの左右方向の長さは、第1筒部541よりも短い。
【0057】
また、第1ハウジング部材51には、第2ギヤシャフト42の右端部に固定される第2ギヤシャフト軸受421を保持する第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bが配置される。第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bは、第2中間軸線J3を中心として軸方向(左右方向)に延びる有底円筒状である。第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bは、左方に開口する。第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bは、その一部が第1筒部541と第2筒部542との左右方向間に配置される。第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bは、第1右側壁部511aに対して左右方向に突出する。なお、第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bの左端部は、第1周壁部512の左端部よりも右方に位置する。
【0058】
なお、第2ギヤシャフト42は、詳細には、左右方向に離れて配置される2つの第2ギヤシャフト軸受421を有する。2つの第2ギヤシャフト軸受421のうち、第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bに保持されない方は、支持部材53(図2参照)に保持される。
【0059】
第2ハウジング部材52には、モータシャフト23の左端部に固定されるモータシャフト軸受25を保持する左モータシャフト軸受用第3筒部543cが配置される。左モータシャフト軸受用第3筒部543cは、モータ軸線J1を中心として軸方向(左右方向)に延びる有底円筒状である。左モータシャフト軸受用第3筒部543cは、右方に開口する。左モータシャフト軸受用第3筒部543cは、第2ハウジング部材52の後部に配置される。左モータシャフト軸受用第3筒部543cは、左側壁部521に対して左方に突出する。
【0060】
また、第2ハウジング部材52には、第1ギヤシャフト41の左端部に固定される第1ギヤシャフト軸受411を保持する第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dが配置される。第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dは、第1中間軸線J2を中心として軸方向(左右方向)に延びる有底円筒状である。第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dは、右方に開口する。第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dは、第2ハウジング部材52の左右方向の中央部に配置される。第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dは、左側壁部521に対して左方に突出する。
【0061】
なお、第1ギヤシャフト41は、詳細には、左右方向に離れて配置される2つの第1ギヤシャフト軸受411を有する。2つの第1ギヤシャフト軸受411のうち、第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dに保持されない方は、支持部材53(図2参照)に保持される。
【0062】
また、第2ハウジング部材52には、クランクシャフト105aの左端部に固定されるクランクシャフト軸受1051を保持するクランクシャフト軸受用第3筒部543eが配置される。クランクシャフト軸受用第3筒部543eは、出力軸線J4を中心として軸方向(左右方向)に延びる円筒状である。クランクシャフト軸受用第3筒部543eは、左側壁部521に対して左右方向に突出する。クランクシャフト軸受用第3筒部543eは、第2ハウジング部材52の前部に配置される。
【0063】
(2-4-2.リブ)
以上のように構成されるハウジング50は、軽量化を目的として、できる限り薄く構成されることが好ましい。ただし、ハウジング50を単純に薄くすると、共振による騒音の増幅が発生することが確認された。詳細には、共振によってハウジング50が変形するモードが複数あることが確認された。本実施形態においては、ハウジング50における共振の発生の抑制と、ハウジング50の重量増加の抑制との両立を図るべく、ハウジング50が局所的にリブを有する構成となっている。以下、これについて詳細に説明する。
【0064】
本実施形態では、図8に示すように、ハウジング50は、モータ20と軸方向(左右方向)に対向する内面にモータ20側に向けて突出する第1リブ55を有する。詳細には、第1リブ55は、ステータ22が配置される第1ハウジング部材51に配置される。第1リブ55は、モータ20が収容される有底筒状の第1筒部541の底面に配置される。なお、第1筒部541の底面は、第1ハウジング部材51の内面を構成する。第1リブ55は、軸方向(左右方向)からの平面視において、隣り合うティース2212の間に配置される。詳細には、第1リブ55は、軸方向からの平面視において、周方向に隣り合う2つのティース2212(図6参照)の周方向間に配置される。
【0065】
本構成によれば、シミュレーション等から共振による変形が起こり易いと推定された箇所に第1リブ55を配置して、ハウジング50の剛性を増すことができる。この結果、ハウジング50における共振の発生を抑制することができる。共振による変形を起し易い箇所に絞って第1リブ55が配置される構成とすることで、ハウジング50全体の厚みを厚くすることなく、共振の発生を抑制することができる。また、本構成によれば、モータ20を構成するステータ22との干渉を避けて、モータ20の近くに第1リブ55を配置することができる。このために、重量増加を伴うハウジング50のサイズアップを行わずに、第1リブ55をハウジング50に配置することができる。以上からわかるように、本構成によれば、ハウジング50における共振の発生の抑制と、ハウジング50の重量増加の抑制との両立を図ることができる。
【0066】
以上の説明からわかるように、第1リブ55は、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とのうち、ステータ22が配置される側に配置される。このような構成とすると、モータ20の駆動時に共振による変形を起し易い箇所に第1リブ55を配置することができるので、共振の抑制効果を高めることができる。
【0067】
第1リブ55は、好ましい形態として、第1ハウジング部材51の内面に複数配置される。詳細には、第1リブ55は、モータ軸線J1を中心として放射状に複数配置される。このように第1リブ55を配置することにより、節が円形状となる太鼓状モードの共振の発生を抑制することができる。
【0068】
より詳細には、複数の第1リブ55のぞれぞれは、径方向に細長く延びる矩形板状である。複数の第1リブ55は、周方向に等間隔に配置される。複数の第1リブ55のそれぞれが、周方向に隣り合う2つのティース2212の周方向間に配置される。複数の第1リブ55のそれぞれにおいて、径方向の一端部は右モータシャフト軸受用第3筒部543aの外周面に接続され、径方向の他端部は第1筒部541の内周面に接続される。このように第1リブ55の両端部が各筒部543a、541に接続される構成とすることにより、ハウジング50の剛性を増すことができる。ただし、第1リブ55は、両端部が筒部543a、541に接続されていない構成でもよいし、両端部のうちのいずれか一方だけが筒部543a、541に接続される構成であってもよい。
【0069】
図8から図11に示すように、ハウジング50は、軸方向(左右方向)から平面視において隣り合う筒部54の間に配置される第2リブ56をさらに有する。詳細には、第2リブ56は、軸方向からの平面視において隣り合う筒部54の外周面の間に配置される。このような構成によれば、第1リブ55を配置した位置とは異なる共振モードによる変形を起し易いと推定される箇所に第2リブ56を配置して剛性を増すことができる。この結果、ハウジング50における共振の発生を抑制することができる。本構成でも、共振による変形を起し易い箇所に絞って第2リブ56を配置して、ハウジング50全体の厚みを厚くすることなく、共振の発生を抑制することができる。すなわち、本構成によれば、ハウジング50における共振の発生の抑制と、ハウジング50の重量増加の抑制との両立を図ることができる。
【0070】
なお、第2リブ56は、ハウジング50の内面と外面との少なくともいずれか一方に配置されればよい。このような構成によれば、ハウジング50の外面において隣り合う筒部54同士を接続する第2リブ56を配置することができる。また、このような構成によれば、ハウジング50の内面における肉盗み部分に第2リブ56を配置することができる。本実施形態では、第2リブ56は、ハウジング50の内面と外面との両方に配置される。
【0071】
また、第2リブ56は、第1ハウジング部材51および第2ハウジング部材52のうち、いずれか一方に配置される構成であってよい。ただし、本実施形態では、第2リブ56は、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52との両方に配置される。第2リブ56を両方のハウジング部材51、52に配置することにより、片方のハウジング部材に第2リブ56を配置する場合に比べて、より共振の発生を抑制することができる。
【0072】
また、第2リブ56は、ハウジング50に複数配置され、複数の第2リブ56のうちの少なくとも一つは、隣り合う筒部54同士を接続することが好ましい。このような構成によれば、隣り合う筒部54同士を接続する部分の剛性をより高めることができ、ハウジング50における共振の発生抑制効果を高めることができる。なお、本実施形態では、第2リブ56は、ハウジング50に複数配置される。また、複数の第2リブ56には、隣り合う筒部54同士を接続する第2リブ56が含まれる。
【0073】
詳細には、図8に示すように、第1ハウジング部材51は、互いに隣り合う第1筒部541と第2筒部542との間に配置され、第1ハウジング部材51の内面から左方に突出する右ハウジング内側第2リブ56aを有する。なお、右ハウジング内側第2リブ56aは、第2リブ56に含まれる。
【0074】
右ハウジング内側第2リブ56aは、第1ハウジング部材51の内面側において、第1筒部541と第2筒部542との間に設けられる肉盗み部5111に配置される。なお、肉盗み部5111は、第1右側壁部511aの左面(内面)を右方に凹ませた凹形状の部分である。右ハウジング内側第2リブ56aは、板状であり、第1筒部541と第2筒部542との間で両者に向けて細長く延びる。右ハウジング内側第2リブ56aの数は複数であり、複数の右ハウジング内側第2リブ56aのうちの一部は、第1筒部541の外周面と、第2筒部542の外周面とを接続する。
【0075】
また、図9に示すように、第1ハウジング部材51は、互いに隣り合う第1筒部541と第2筒部542との間に配置され、第1ハウジング部材51の外面から右方に突出する右ハウジング外側第2リブ56bを有する。なお、右ハウジング外側第2リブ56bは、第2リブ56に含まれる。
【0076】
右ハウジング外側第2リブ56bは、第1ハウジング部材51の外面側において、第1右側壁部511aから右方に突出し、板状である。右ハウジング外側第2リブ56bは、一端部が第1筒部541の外周面に接続され、第2筒部542側に向かうにつれてリブの高さが低くなるテーパ形状である。右ハウジング外側第2リブ56bの他端部は、第2筒部542の外周面に接続されることが好ましいが、接続されなくてもよい。本実施形態では、右ハウジング外側第2リブ56bの数は複数であり、複数の右ハウジング外側第2リブ56bのうちの一部は、第1筒部541の外周面と、第2筒部542の外周面とを接続する。
【0077】
また、図10に示すように、第2ハウジング部材52は、外面側において、互いに隣り合う左モータシャフト軸受用第3筒部543cと第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dとの間に配置される左ハウジング後側第2リブ56cを有する。左ハウジング後側第2リブ56cは、第2ハウジング部材52の外面から左方に突出する。なお、左ハウジング後側第2リブ56cは、第2リブ56に含まれる。
【0078】
左ハウジング後側第2リブ56cは、第2ハウジング部材52の外面側において、左側壁部521から左方に突出し、板状である。左ハウジング後側第2リブ56cは、左モータシャフト軸受用第3筒部543cと第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dとの間で両者に向けて細長く延びる。左ハウジング後側第2リブ56cの数は複数である。好ましい形態として、複数の左ハウジング後側第2リブ56cの全ては、左モータシャフト軸受用第3筒部543cの外周面と、第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dの外周面とを接続する。
【0079】
また、図10に示すように、第2ハウジング部材52は、外面側において、互いに隣り合う第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dとクランクシャフト軸受用第3筒部543eとの間に配置される左ハウジング前側第2リブ56dを有する。左ハウジング前側第2リブ56dは、第2ハウジング部材52の外面から左方に突出する。なお、左ハウジング前側第2リブ56dは、第2リブ56に含まれる。
【0080】
左ハウジング前側第2リブ56dは、第2ハウジング部材52の外面側において、左側壁部521から左方に突出し、板状である。左ハウジング前側第2リブ56dは、第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dとクランクシャフト軸受用第3筒部543eとの間で両者に向けて細長く延びる。左ハウジング前側第2リブ56dの数は複数であり、複数の左ハウジング前側第2リブ56dのうちの一部は、第1ギヤシャフト軸受用第3筒部543dの外周面と、クランクシャフト軸受用第3筒部543eの外周面とを接続する。
【0081】
なお、図9に示すように、本実施形態では、第1ハウジング部材51は、第1筒部541と第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bとを接続する第1接続部51bを有する。第1接続部51bは、第2リブ56と解されてよい。また、本実施形態では、第1ハウジング部材51は、第2筒部542と第2ギヤシャフト軸受用第3筒部543bとを接続する第2接続部51cを有する。第2接続部51cは、第2リブ56と解されてよい。
【0082】
図9に示すように、ハウジング50は、第1筒部541の外周から軸方向(左右方向)と交差する方向に広がる平面部511b1をさらに有する。平面部511b1は、詳細には、第2右側壁部511bの右面(外面)を構成する。ハウジング50は、第1筒部541の外周面と平面部511b1とに接続される第3リブ57をさらに有する。なお、第3リブ57は、第1ハウジング部材51に配置される。
【0083】
このような構成によれば、第1リブ55を配置した位置とは異なる共振モードによる変形を起し易い箇所に第3リブ57を配置して剛性を増すことができ、ハウジング50における共振の発生を抑制することができる。共振による変形を起し易い箇所に絞って第3リブ57を配置して、ハウジング50全体の厚みを厚くすることなく、共振の発生を抑制することができる。すなわち、本構成によれば、ハウジング50における共振の発生の抑制と、ハウジング50の重量増加の抑制との両立を図ることができる。
【0084】
本実施形態においては、第3リブ57は、平面部511b1に複数配置される。複数の第3リブ57は、一定の間隔をあけて配置される。第3リブ57は、平面部511b1から右方に突出し、板状である。第3リブ57は、一端部が第1筒部541の外周面に接続され、径方向外方に向かうにつれてリブの高さが低くなるテーパ形状である。このように第3リブ57の形状をテーパ形状とすることにより、ハウジング50の重量を少しでも減らすことができる。
【0085】
図11に示すように、ハウジング50は、ハウジング50の内面から軸方向(左右方向)に突出し、締結部材FMの固定を可能とするボス部58をさらに有する。本実施形態において、締結部材FMは、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とを接合する。締結部材FMは、詳細にはボルトである。ボス部58は、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とのいずれか一方に配置されてよい。このような構成では、ハウジング50の外周部だけでなく、ハウジング50の内部に配置されるボス部58も利用して第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とをボルト等で接合することができる。このために、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とを強固に接合することができる。
【0086】
本実施形態では、ボス部58は、第2ハウジング部材52の左側壁部521の右面(内面)に配置される。ボス部58は、左右方向に延びる筒状である。ハウジング50は、ボス部58の外周面とハウジング50の内面とに接続される第4リブ59をさらに有する。詳細には、ハウジング50は、ボス部58の外周面と左側壁部521の右面(内面)とに接続される。
【0087】
このような構成によれば、第1リブ55を配置した位置とは異なる共振モードによる変形を起し易い箇所に第4リブ59を配置して剛性を増すことができ、ハウジング50における共振の発生を抑制することができる。共振による変形を起し易い箇所に絞って第4リブ59を配置して、ハウジング50全体の厚みを厚くすることなく、共振の発生を抑制することができる。すなわち、本構成によれば、ハウジング50における共振の発生の抑制と、ハウジング50の重量増加の抑制との両立を図ることができる。
【0088】
本実施形態においては、第4リブ59は、左側壁部521の内面に複数配置される。複数の第4リブ59は、円筒状のボス部58の外周を囲むように、ボス部58の軸線を基準とした周方向に等間隔で配置される。第4リブ59は、左側壁部521の内面から右方に突出し、板状である。第4リブ59は、一端部がボス部58の外周面に接続され、ボス部58の軸線を基準とした径方向外方に向かうにつれてリブの高さが低くなるテーパ形状である。
【0089】
なお、ハウジング50には、以上で説明した第1リブ55、第2リブ56、第3リブ57、および、第4リブ59の他にも、共振の発生を抑制する目的でリブRBが配置されてよい。本実施形態では、このようなリブRBとして、第1周壁部512および第2周壁部522の外周面から外方に向けて突出するリブが挙げられる。また、このようなリブRBとして、第1ハウジング部材51または第2ハウジング部材52が有する肉盗み部(例えば図8の符号5111および5112)に設けられるリブが挙げられる。また、このようなリブRBとして、第1ハウジング部材51または第2ハウジング部材52が有する段差部分に設けられるリブが挙げられる。リブRBが設けられる段差部分としては、例えば、上述した、図9に示す第1右側壁部511aと第2右側壁部511bとの間に構成される段差部分が挙げられる。
【0090】
[2-5.ステータの回り止め]
次に、第1ハウジング部材51の第1筒部541に収容されるステータ22の回り止め構造について説明する。なお、以下に説明するステータ22の回り止め構造は、上述のリブ55、56、57、59、RBが配置されないハウジングを有する駆動装置に対しても適用可能である。図12は、本開示の実施形態に係るステータ22の回り止め構造について説明するための図である。図12は、図3に示す構成を左から見た平面図である。図12において、白抜きの矢印で示す図は、破線で囲まれた部分の拡大図である。
【0091】
なお、図12に示すように、駆動装置10は、ステータ22をハウジング50に固定する接着剤91を有する。接着剤91が配置されることにより、ステータ22がハウジング50に対して動くことを防止できる。本実施形態では、一例として、コアバック2211の外周面と、第1筒部541の内周面とに接着剤91が塗布される。この結果、コアバック2211の外周面と、第1筒部541の内周面との径方向間の少なくとも一部に接着剤91が配置される。ただし、接着剤91は、ステータ22がハウジング50に対して動かない構成とできる位置に配置されればよく、本実施形態とは異なる位置に配置されてよい。
【0092】
図12に示すように、駆動装置10は、ハウジング50の内面からモータ20に向かって延びる延伸部92aを有する部材92を有する。コアバック2211は、延伸部92aの一部が配置される凹部2211a(図6参照)を有する。このような構成によれば、ステータ22が周方向に回転しようとした場合に、コアバック2211が延伸部92aに引っ掛かるために、ステータ22の周方向への回転を抑制することができる。想定していない不具合または外乱によってステータ22の接着剤91による固定が外れた場合でも、延伸部92aと凹部2211aとの関係を利用してステータ22の周方向への回転を抑制することができる。
【0093】
なお、本実施形態では、延伸部92aを有する部材92の数は単数であるが、複数であってもよい。また、延伸部92aは、ステータ22の回転を抑制する強度が必要であり、強度を強くすることができる金属で構成されることが好ましい。また、本実施形態では、図6に示すように、コアバック2211に設けられる凹部2211aの数は複数である。ただし、コアバック2211に設けられる凹部2211aの数は、部材92の数と同数であってよい。また、部材92はハウジングに対して別体の部品であるが、ハウジング50から内面に突出する単一部材であってもよい。このように構成すると、部品点数を抑制することができる。
【0094】
詳細には、凹部2211aは、コアバック2211の外周面に径方向内方に凹んで配置される。凹部2211aは、ティース2212の周方向の中央部の径方向外方に位置する。このような構成によれば、ハウジング50の内面から径方向内方に向かって延びる延伸部92aを有する部材92によって、ステータ22の周方向への回転を抑制することができる。
【0095】
本実施形態では、延伸部92aは、第1筒部541の内周面から径方向内方に延び、凹部2211aに配置される。また、凹部2211aは、複数のティース2212のそれぞれに対応して1つずつ設けられる。ただし、本実施形態においては部材92の数が1つであるので、凹部2211aは、1つのティース2212に対してのみ設けられる構成でもよい。また、本実施形態では、凹部2211aは、コアバック2211の軸方向一端(左端)から軸方向他端(右端)まで軸方向に延びる。ただし、凹部2211aは、コアバック2211の軸方向の一端から他端まで延びる必要がなく、軸方向の一部(例えば中央部)に設けられる構成であってもよい。
【0096】
なお、凹部2211aは、径方向の全長の半分以上の長さを延伸部92aに占有されることが好ましい。このような構成によれば、延伸部92aが凹部2211a内から抜ける可能性を低減することができる。
【0097】
また、延伸部92aは、凹部2211aの内面と接触することが好ましい。このような構成によれば、接着剤91による固定が外れた場合でも、ステータ22が周方向へ殆ど動かない構成とすることができる。
【0098】
本実施形態では、延伸部92aを有する部材92は、ハウジング50を貫通する螺子である。詳細には、螺子92は、第1ハウジング部材51を径方向内方に向けて貫通する。より詳細には、螺子92は、第1周壁部512および第1筒部541を径方向内方に向けて貫通する。ステータ22の周方向への回転を止める回り止め部材92を螺子で構成することにより、ステータ22の回り止め構造を簡易な構成とすることができる。
【0099】
図13は、図12における螺子92の周辺を、ハウジングカバー70を取り除いて示す拡大斜視図である。螺子92は、ハウジングカバー70が取り付けられる前に、第1周壁部512に設けられる螺子用孔512aに挿し込まれて、第1ハウジング部材51に固定される。螺子92の取り付け後に、ハウジングカバー70がハウジング50に取り付けられ、螺子92はハウジングカバー70に覆われる。
【0100】
すなわち、螺子92は、ハウジング50の一部を外部から覆うハウジングカバー70に覆われる。ハウジングカバーにより螺子92および螺子92の取付位置が覆われるために、駆動装置10の見栄えを良くすることができる。また、ハウジングカバー70で螺子92を覆うことにより、螺子92の取付位置から異物が内部に進入することを抑制することができる。なお、異物には水が含まれてもよい。ただし、本実施形態では、水の浸入を防止するために、螺子用孔512aは、螺子92が通された後にシール部材でシールされる。
【0101】
図14は、変形例に係るステータ22の回り止め構造について説明するための図である。図14は、図3に示す構成を左から見た平面図である。図14において、白抜きの矢印で示す図は、破線で囲まれた部分の拡大図である。図14は、上述の図12と同様の図である。
【0102】
変形例では、延伸部92aを有する部材92Aは、ハウジング50に配置されるキー溝51aに一部を配置されるキー部材である。このような構成によれば、ステータ22の周方向への回転を止める回り止め部材92Aを簡単に取り付けることができる。また、本構成によれば、駆動装置10の組み立て時において、回り止め部材として取り付けられるキー部材92Aを先にハウジング50に取り付けておき、キー部材92Aをステータ22の位置決めに利用することができる。
【0103】
詳細には、キー溝51aは、第1ハウジング部材51の内部に配置される。キー溝51aは、第1筒部541の軸方向一端面(左端面)に配置される。キー溝51aは、第1筒部541の軸方向一端面から軸方向他端(右端)に向けて凹んで構成される。キー部材92Aは、例えば径方向に延びる柱状である。キー部材92Aは、例えば四角柱状または円柱状等であってよい。ただし、キー部材92Aは凹部2211aに向かって延びる延伸部92aを有する形状であればよく、単純な柱状以外の形状であってもよい。なお、本変形例では、キー溝51aに配置されたキー部材92Aは、径方向に延びる柱状である。
【0104】
<3.その他>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0105】
本開示は、以下の(1)~(20)の構成をとることが可能である。
【0106】
(1)
軸方向に延びるモータ軸線を中心として回転するロータ、および、前記ロータと径方向に対向する環状のステータを有するモータと、
軸方向に延び、外部にトルクを出力する出力部と、
軸方向に延びるシャフトに取り付けられる歯車を有し、前記モータのトルクを前記出力部に伝達するギヤ部と
前記モータ、前記出力部、および、前記ギヤ部を収容するハウジングと、
を有し、
前記ハウジングは、前記モータと軸方向に対向する内面に前記モータ側に向けて突出する第1リブを有し、
前記ステータは、周方向に配列される複数のティースを有し、
前記第1リブは、軸方向からの平面視において、隣り合う前記ティースの間に配置される、駆動装置。
【0107】
(2)
前記第1リブは、前記モータ軸線を中心として放射状に複数配置される、(1)に記載の駆動装置。
【0108】
(3)
前記ハウジングは、
前記ハウジングの外縁より内方に配置され、軸方向に延びる複数の筒部と、
軸方向からの平面視において隣り合う前記筒部の間に配置される第2リブと、
をさらに有する、(1)又は(2)に記載の駆動装置。
【0109】
(4)
前記第2リブは、前記ハウジングの内面と外面との少なくともいずれか一方に配置される、(3)に記載の駆動装置。
【0110】
(5)
前記第2リブは、前記ハウジングに複数配置され、
複数の前記第2リブのうちの少なくとも一つは、隣り合う前記筒部同士を接続する、(3)又は(4)に記載の駆動装置。
【0111】
(6)
前記複数の筒部には、
前記モータの径方向外方に配置され、前記モータを囲む第1筒部と、
前記出力部を回転可能に支持する出力部軸受を保持する第2筒部と、
前記シャフトを回転可能に支持するシャフト軸受を保持する第3筒部と、
が含まれる、(3)から(5)のいずれかに記載の駆動装置。
【0112】
(7)
前記ハウジングは、
前記モータの径方向外方に配置され、前記モータを囲む第1筒部と、
前記第1筒部の外周から軸方向と交差する方向に広がる平面部と、
前記第1筒部の外周面と前記平面部とに接続される第3リブと、
をさらに有する、(1)から(6)のいずれかに記載の駆動装置。
【0113】
(8)
前記ハウジングは、
前記ハウジングの内面から軸方向に突出し、締結部材の固定を可能とするボス部と、
前記ボス部の外周面と前記ハウジングの内面とに接続される第4リブと、
をさらに有する、(1)から(7)のいずれかに記載の駆動装置。
【0114】
(9)
前記ハウジングは、互いに接合されて当該ハウジングを構成する第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを有し、
前記締結部材は、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とを接合し、
前記ボス部は、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とのいずれか一方に配置される、(8)に記載の駆動装置。
【0115】
(10)
前記ハウジングは、互いに接合されて当該ハウジングを構成する第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを有し、
前記第1リブは、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とのうち、前記ステータが配置される側に配置される、(1)から(9)のいずれかに記載の駆動装置。
【0116】
(11)
(1)から(10)のいずれかに記載の駆動装置と、
前記モータに電力を供給する電源部と、
前記駆動装置の出力を車輪に伝達する動力伝達機構と、
を有する、電動車両。
【0117】
(12)
軸方向に延びるモータ軸線を中心として回転するロータ、および、前記ロータの径方向外方に配置される環状のステータを有するモータと、
前記モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングの内面から前記モータに向かって延びる延伸部を有する部材と、
を有し、
前記ステータは、
前記モータ軸線を中心とする環状のコアバックと、
前記コアバックから径方向内方に延びる複数のティースと、
前記ティースに配置される巻線と、
を有し、
前記コアバックは、前記延伸部の一部が配置される凹部を有する、駆動装置。
【0118】
(13)
前記ステータを前記ハウジングに固定する接着剤をさらに有する、(12)に記載の駆動装置。
【0119】
(14)
前記凹部は、前記コアバックの外周面に径方向内方に凹んで配置され、且つ、前記ティースの周方向の中央部の径方向外方に位置する、(12)又は(13)に記載の駆動装置。
【0120】
(15)
前記凹部は、径方向の全長の半分以上の長さ部分を前記延伸部に占有される、(14)に記載の駆動装置。
【0121】
(16)
前記延伸部は、前記凹部の内面と接触する、(12)から(15)のいずれかに記載の駆動装置。
【0122】
(17)
前記部材は、前記ハウジングを貫通する螺子である、(12)から(16)のいずれかに記載の駆動装置。
【0123】
(18)
前記螺子は、前記ハウジングの一部を外部から覆うハウジングカバーに覆われる、(17)に記載の駆動装置。
【0124】
(19)
前記部材は、前記ハウジングに配置されるキー溝に一部を配置されるキー部材である、(12)から(16)のいずれか1項に記載の駆動装置。
【0125】
(20)
(12)から(19)のいずれかに記載の駆動装置と、
前記モータに電力を供給する電源部と、
前記駆動装置の出力を車輪に伝達する動力伝達機構と、
を有する、電動車両。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本開示は、たとえば電動アシスト自転車、電動スクータ、電動車いす等の電力によって駆動力を得る電動車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0127】
10・・・駆動装置、20・・・モータ、21・・・ロータ、22・・・ステータ、23・・・モータシャフト、24・・・駆動歯車、25・・・モータシャフト軸受、30・・・出力部、31・・・出力歯車、32・・・第1出力部軸受、33・・・ワンウェイクラッチ、34・・・第2出力部軸受、40・・・ギヤ部、41・・・第1ギヤシャフト、42・・・第2ギヤシャフト、43・・・第1歯車、44・・・第2歯車、45・・・第3歯車、46・・・第4歯車、50・・・ハウジング、51・・・第1ハウジング部材、51a・・・キー溝、52・・・第2ハウジング部材、53・・・支持部材、54・・・筒部、55・・・第1リブ、56・・・第2リブ、56a・・・右ハウジング内側第2リブ、56b・・・右ハウジング外側第2リブ、56c・・・左ハウジング後側第2リブ、56d・・・左ハウジング前側第2リブ、57・・・第3リブ、58・・・ボス部、59・・・第4リブ、60・・・コントローラ、70・・・ハウジングカバー、80・・・トルク検知部、81・・・スリーブ、82・・・外筒部、83・・・突起、91・・・接着剤、92・・・部材、螺子、92A・・・部材、キー部材、92a・・・延伸部、100・・・電動車両、101・・・車体、102・・・車輪、102f・・・前輪、102r・・・後輪、103・・・動力伝達機構、104・・・電源部、105・・・クランク、105a・・・クランクシャフト、106・・・ペダル、107・・・ハンドル、108・・・サドル、221・・・ステータコア、222・・・巻線、411・・・第1ギヤシャフト軸受、421・・・第2ギヤシャフト軸受、511・・・右側壁部、511a ・・・第1右側壁部、511b・・・第2右側壁部、511b1・・・平面部、512・・・第1周壁部、512a・・・螺子用孔、513・・・第1取付片部、521・・・左側壁部、522・・・第2周壁部、523・・・第2取付片部、531・・・固定部、541・・・第1筒部、542・・・第2筒部、543・・・第3筒部、543a・・・右モータシャフト軸受用第3筒部、543b・・・第2ギヤシャフト軸受用第3筒部、543c・・・左モータシャフト軸受用第3筒部、543d・・・第1ギヤシャフト軸受用第3筒部、543e・・・クランクシャフト軸受用第3筒部、1051・・・クランクシャフト軸受、2211・・・コアバック、2211a・・・凹部、2212・・・ティース、5111・・・肉盗み部、FM・・・締結部材、J1・・・モータ軸線、J2・・・第1中間軸線、J3・・・第2中間軸線、J4・・・出力軸線、RB・・・リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14