(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164721
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】多段ラジアルタービン
(51)【国際特許分類】
F01D 1/06 20060101AFI20241120BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20241120BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
F01D1/06
F01D9/02 101
F01D25/24 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080404
(22)【出願日】2023-05-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「グリーンイノベーション基金事業/大規模水素サプライチェーンの構築/革新的な液化、水素化、脱水素技術の開発/水素液化機向け大型高効率機器の開発」の委託研究成果について、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 聡允
(72)【発明者】
【氏名】佐用 亮人
(72)【発明者】
【氏名】中村 典生
(72)【発明者】
【氏名】上山 健太
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA01
3G202GA05
3G202GB05
(57)【要約】
【課題】部分負荷運転時のタービン効率を向上する。
【解決手段】多段ラジアルタービンは、一本の回転軸と、各羽根車が作動流体が径方向内向きに流入する入口及び作動流体が軸方向へ向けて流出する出口を有し、回転軸に取り付けられた初段羽根車及び第二段羽根車と、初段羽根車の入口の外周に配置された初段ノズル列と、初段ノズル列の外周で周方向に並ぶ複数の送入口を有し、作動流体を複数の送入口のうち一つから又は複数の送入口のうち2つ以上からに分けて初段ノズル列へ送入する作動流体供給系統と、第二段羽根車の入口の外周に配置された第二段ノズル列と、初段羽根車の出口と第二段羽根車の入口とを接続する接続流路と、を備える。接続流路の初段羽根車の出口から第二段ノズル列までの領域は複数の並列流路に周方向に分割されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の回転軸と、
各羽根車が作動流体が径方向内向きに流入する入口及び前記作動流体が軸方向へ向けて流出する出口を有し、前記回転軸に前記軸方向に間隔をあけて取り付けられた初段羽根車及び第二段羽根車と、
前記初段羽根車の前記入口の外周に配置された初段ノズル列と、
前記初段ノズル列の外周で周方向に並ぶ複数の送入口を有し、前記複数の送入口の各々で前記初段ノズル列への前記作動流体の送入の許容と阻止とを切り替えが可能であり、前記作動流体を前記複数の送入口のうち一つから又は前記複数の送入口のうち2つ以上からに分けて前記初段ノズル列へ送入する作動流体供給系統と、
前記第二段羽根車の前記入口の外周に配置された第二段ノズル列と、
前記初段羽根車の前記出口と前記第二段羽根車の前記入口とを接続する接続流路と、を備え、
前記接続流路の前記初段羽根車の前記出口から前記第二段ノズル列までの領域は複数の並列流路に周方向に分割されている、
多段ラジアルタービン。
【請求項2】
前記複数の並列流路の各々は、前記初段羽根車の前記出口から流出した前記作動流体の流れの向きを前記軸方向から径方向外向きに転向するベンド部と、前記ベンド部と接続され前記作動流体を径方向外向きに流すラジアル部と、前記ラジアル部と接続され前記作動流体の流れの向きを径方向外向きから径方向内向きに転向するUターン部と、前記Uターン部と前記第二段羽根車の前記入口とを接続し前記作動流体を径方向内向きに流すリターン部とを有する、
請求項1に記載の多段ラジアルタービン。
【請求項3】
前記接続流路は周方向に並ぶ複数の仕切板によって前記複数の並列流路に分割されている、
請求項1又は2に記載の多段ラジアルタービン。
【請求項4】
前記第二段ノズル列は周方向に並ぶ複数のノズル羽根により構成されており、前記複数の仕切板の少なくとも1つは前記複数のノズル羽根のいずれかと接続されている、
請求項3に記載の多段ラジアルタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多段ラジアルタービンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
流体のエネルギーを動力に変換して取り出す装置としてラジアルタービンが知られている。ラジアルタービンは、回転軸に対して直角に作動流体が流入する半径流タービンのうち、羽根車の外周から高速旋回流が流入して羽根車を回転させるものである。ラジアルタービンは、気体を膨張して液化する膨張機に利用され得る。LNGや水素を液化するタービンでは、流体から回収する動力が大きいことから、多段の羽根車を備えた多段ラジアルタービンを利用することが多い。特許文献1では、一軸に複数段の羽根車を備えた一軸多段タービンの一例が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された多段ラジアルタービンは、一本の回転軸と、回転軸に軸方向に間隔をあけて取り付けられた複数の羽根車と、各羽根車の上流に配置されて流体の流れを回転方向に加速するノズルとを備える。羽根車の出口と、その後流のノズルの入口とは接続流路で接続されている。この多段ラジアルタービンでは、羽根車から軸方向へ排出された作動流体は接続流路を通って次の羽根車の入口へ回転軸に対して直角へ流入し、作動流体は各羽根車に順に作用して回転軸を回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラジアルタービンでは、設計流量の作動流体が流入する定格運転時に、作動流体の入口と出口の圧力比は設計点圧力比となり、タービン効率が高い。ラジアルタービンは、作動流体の流量が設計流量よりも少ない低流量域での部分負荷運転が行われることがある。部分負荷運転においても、設計点圧力比に近い高い圧力比での運用を求められることが多い。しかし、多段ラジアルタービンでは、低流量条件では十分な圧力比を保ちながら、部分負荷運転を行い高効率を得ることが難しい。
【0006】
本開示は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部分負荷運転時にも設計点に近い高い圧力比条件で運用でき、タービン効率を向上し得る一軸多段ラジアルタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る多段ラジアルタービンは、
一本の回転軸と、
各羽根車が作動流体が径方向内向きに流入する入口及び前記作動流体が軸方向へ向けて流出する出口を有し、前記回転軸に前記軸方向に間隔をあけて取り付けられた初段羽根車及び第二段羽根車と、
前記初段羽根車の前記入口の外周に配置された初段ノズル列と、
前記初段ノズル列の外周で周方向に並ぶ複数の送入口を有し、前記複数の送入口の各々で前記初段ノズル列への前記作動流体の送入の許容と阻止とを切り替えが可能であり、前記作動流体を前記複数の送入口のうち一つから又は前記複数の送入口のうち2つ以上からに分けて前記初段ノズル列へ送入する作動流体供給系統と、
前記第二段羽根車の前記入口の外周に配置された第二段ノズル列と、
前記初段羽根車の前記出口と前記第二段羽根車の前記入口とを接続する接続流路と、を備え、
前記接続流路の前記初段羽根車の前記出口から前記第二段ノズル列までの領域は複数の並列流路に周方向に分割されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、部分負荷運転時にも設計点に近い高い圧力比条件で運用でき、タービン効率を向上し得る一軸多段ラジアルタービンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る多段ラジアルタービンの部分概略断面図である。
【
図2】
図2は、多段ラジアルタービンの作動流体供給系統を説明する図である。
【
図3】
図3は、多段ラジアルタービンの変形例に係る作動流体供給系統を説明する図である。
【
図4】
図4は、多段ラジアルタービンの接続流路を第二段羽根車が配置された側から軸方向に見た概略図である。
【
図5】
図5は、多段ラジアルタービンの変形例に係る接続流路を第二段羽根車が配置された側から軸方向に見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。本開示の一態様に係る多段ラジアルタービンは、一軸多段ラジアルタービンである。多段ラジアルタービンは、例えば、ターボ膨張機として使用される。多段ラジアルタービンの作動流体は、液体、気体、又は、気液混相流である。
【0011】
《多段ラジアルタービン1の構成》
図1は本開示の一実施形態に係る多段ラジアルタービン1の部分概略断面図である。
図1に示す多段ラジアルタービン1は、ケーシング7と、ケーシング7に軸受を介して支持された回転軸3と、回転軸3に外嵌された複数の羽根車5とを備える。
図1中Cは回転軸3の中心線である。複数の羽根車5は、回転軸3の軸方向Xに並んでいる。本実施形態に係る多段ラジアルタービン1は、初段羽根車5Aと第二段羽根車5Bの二段の羽根車5を備えるが、羽根車5の数はこれに限定されず2段以上の複数であればよい。
【0012】
羽根車5は、回転軸3に外嵌されたハブ11と、ハブ11の外周面において周方向に並んだ複数の翼13とを有する。各翼13は、回転軸3を中心として略放射状に延びる。羽根車5の外周には、作動流体が流入する入口21が形成されている。入口21は周方向に連続しており、径方向に開口している。羽根車5の軸方向Xの一方の端部には、作動流体が流出する出口23が形成されている。出口23は、周方向に連続しており、軸方向Xに開口している。羽根車5の隣り合う翼13の間には、入口21から出口23へ向かって作動流体が流れる翼間流路26が形成されている。作動流体は翼間流路26を通過する間に、流れの向きを径方向から軸方向Xに転向する。
【0013】
図2は、多段ラジアルタービン1の作動流体供給系統30を説明する図である。
図1及び
図2に示すように、初段羽根車5Aの入口21の外周には、周方向に並ぶ複数のノズルからなる初段ノズル列18が配置されている。初段ノズル列18は、周方向に並ぶ複数のノズル羽根によって形成されており、周方向に隣接するノズル羽根の間がノズルとなっている。作動流体供給系統30によって初段ノズル列18へ作動流体が送入される。
【0014】
作動流体供給系統30は、複数組の入口流路25、作動流体供給流路28、及び作動流体供給弁29で構成される。複数の入口流路25は、初段ノズル列18の外周に配置されている。例えば、初段ノズル列18の外周に、放射方向に延びる複数の仕切壁32が配置され、複数の仕切壁32で初段ノズル列18の外周を仕切ることによって複数の入口流路25を形成できる。仕切壁32は初段ノズル列18と近接して配置されていてもよいし、
図3に示すように、仕切壁32は初段ノズル列18を構成しているノズル羽根のうち一つと接続されていてもよい。本実施形態に係る作動流体供給系統30は、第1乃至6の6つの入口流路25を有するが、入口流路25の数は2つ以上であればよい。入口流路25の出口は初段ノズル列18への作動流体の送入口27となっている。周方向に並ぶ複数の送入口27は初段ノズル列18の外周に面している。本実施形態に係る作動流体供給系統30では、初段ノズル列18の周囲は第1乃至6の入口流路25に対応した第1乃至6の送入口27で六分割されている。
【0015】
各入口流路25は作動流体供給流路28を介して作動流体源と接続されている。各作動流体供給流路28には、作動流体供給弁29が設けられている。作動流体供給弁29は、流量調整弁又は開閉弁である。作動流体供給系統30は、第1乃至6の入口流路25に対応して第1乃至6の作動流体供給弁29を有し、第1乃至6の送入口27の各々は、作動流体の送入の許容と阻止を、他の送入口27から独立して切り替えることができる。例えば、第1乃至6の作動流体供給弁29のうち一つが開放され残りが閉止されているとき、第1乃至6の送入口27のうち一つで送入を許容され残りで送入が阻止される。このとき、初段ノズル列18のうち六分の一の領域に作動流体が送入され、他の領域には作動流体が送入されない。このように、多段ラジアルタービン1では、初段ノズル列18へ作動流体の全周送入と部分送入とが可能であり、部分送入では送入領域の位置と大きさを切り替えることができる。
【0016】
図1に示すように、初段羽根車5Aの出口23と第二段羽根車5Bの入口21は、ケーシング7及び流路部材9により形成された接続流路90によって接続されている。接続流路90は、初段羽根車5Aから軸方向Xへ流出した流体の流れを径方向外向きに転向するベンド部91と、流体が径方向外向きに流れるラジアル部92と、流体の流れを径方向外向きから径方向内向きの流れに転向するUターン部93と、流体が径方向内向きに流れるリターン部94とを有する。リターン部94と第二段羽根車5Bの入口21とが接続されている。
【0017】
図4は、多段ラジアルタービン1の接続流路90を第二段羽根車5Bが配置された側から軸方向Xに見た概略図である。
図1及び
図4に示すように、接続流路90の終端部、即ち、リターン部94であって第二段羽根車5Bの入口21の外周には、周方向に並ぶ複数のノズルからなる第二段ノズル列19が配置されている。第二段ノズル列19は、周方向に並ぶ複数のノズル羽根で構成されており、周方向に隣接するノズル羽根の間がノズルとなっている。接続流路90のうち上流端部と下流端部を除く領域には、周方向に間をあけて並ぶ複数の仕切板96が配置されている。各仕切板96は、ベンド部91の途中に始端を有し、リターン部94の途中に終端を有し、ベンド部91の途中からラジアル部92及びUターン部93を通ってリターン部94の途中まで連続している。仕切板96の始端は、仕切板96と初段羽根車5Aとの干渉を回避するために、初段羽根車5Aの出口23からわずかに退避している。仕切板96の終端は第二段ノズル列19の外周と近接している。但し、
図5に示すように、仕切板96の終端は、第二段ノズル列19を構成しているノズル羽根のうちいずれかと接続されていてもよい。
【0018】
接続流路90内に配置された複数の仕切板96によって、隣り合う仕切板96の間に並列流路99が形成されている。換言すれば、接続流路90の初段羽根車5Aの出口23から第二段ノズル列19の入口21までの領域は複数の並列流路99へ周方向に分割されている。接続流路90は、複数の並列流路99に均等又は非均等に分割されている。複数の並列流路99の各々は、ベンド部91と、ベンド部91と接続されたラジアル部92と、ラジアル部92と接続されたUターン部93と、Uターン部93と第二段羽根車5Bの入口21とを接続するリターン部94とを有する。なお、
図4に示す例では6枚の仕切板96によって接続流路90は6つの並列流路99に仕切られているが、仕切板96の数は6枚に限定されない。また、本実施形態では、入口流路25の数と並列流路99の数が同一であるが、入口流路25の数と並列流路99の数は異なっていてもよい。
【0019】
本実施形態に係る多段ラジアルタービン1では1本の回転軸3に結合された羽根車5は2段であるが、一本の回転軸3に結合された羽根車5は3段以上であってもよい。この場合、軸方向Xに隣り合う羽根車5の間はそれぞれ接続流路90で接続されており、二段目以降の接続流路90では仕切板96が省略されていてもよい。
【0020】
《多段ラジアルタービン1の動作方法》
ここで、上記構成の多段ラジアルタービン1の動作方法を説明する。まず、作動流体の流量に応じて複数の作動流体供給弁29のうち一部又は全部が開放され残部が閉止される。開放された作動流体供給弁29を有する作動流体供給流路28と結合された送入口27は、作動流体の送入が許容される。作動流体は、送入が許容された送入口27を通じて初段ノズル列18へ送入される。作動流体の流れは初段ノズル列18によって回転方向に加速され、作動流体は旋回流となって初段羽根車5Aの入口21から翼間流路26へ流入する。作動流体は、初段羽根車5Aの翼間流路26を通過する過程で、初段羽根車5Aを回転させる。
【0021】
初段羽根車5Aの出口23から軸方向Xに流出した作動流体は接続流路90へ流入する。接続流路90へ流入した作動流体の流れは、先ず、ベンド部91によって径方向外向きに転向され、並列流路99のラジアル部92を径方向外向きに進み、Uターン部93で径方向外向きから径方向内向きへ転向され、リターン部94を径方向内向きに進み、第二段ノズル列19へ送入される。作動流体の流れは第二段ノズル列19によって回転方向に加速され、作動流体は旋回流となって第二段羽根車5Bの入口21から翼間流路26へ流入する。作動流体は、第二段羽根車5Bの翼間流路26を通過する過程で、第二段羽根車5Bを回転させる。第二段羽根車5Bの出口23から流出した作動流体は、排出流路24を通って多段ラジアルタービン1の外へ排出される。
【0022】
上記の多段ラジアルタービン1において、定格運転時には複数の作動流体供給弁29の全てが開放され、これにより、作動流体は初段ノズル列18の全周へ送入される。一方、部分負荷運転時には、複数の作動流体供給弁29のうち一部(例えば、半分)が開放され残部は閉止される。これにより、複数の送入口27のうち一部において作動流体の送入が許容され残部において作動流体の送入が阻止される。これにより、初段ノズル列18への作動流体の送入面積は全周送入時と比較して絞られる。そして、作動流体が複数の送入口27のうち一つから又は複数の送入口27のうち2つ以上からに分けて初段ノズル列18へ送入されることによって、設計流量よりも低流量の作動流体は周方向に速度や圧力、温度の分布を持った状態で初段羽根車5Aの入口21へ送入される。初段羽根車5Aから流出した作動流体は接続流路90を通って第二段羽根車5Bへ送られる。ここで、接続流路90では複数の仕切板96によって作動流体の周方向の移動範囲が規制されており、作動流体の流れは進入した並列流路99を通って第二段ノズル列19へ到達する。このように、接続流路90を通過する作動流体の流れは、周方向への拡散が抑制され、初段羽根車5Aの出口23での分布を保持した状態で第二段ノズル列19へ送入される。これにより、第二段ノズル列19を通過した作動流体は速度や圧力、温度について適切な周方向の分布を持った状態で第二段羽根車5Bに作用する。
【0023】
〔総括〕
本開示の第1の項目に係る多段ラジアルタービン1は、
一本の回転軸3と、
各羽根車5が作動流体が径方向内向きに流入する入口21及び作動流体が軸方向Xへ向けて流出する出口23を有し、回転軸3に軸方向Xに間隔をあけて取り付けられた初段羽根車5A及び第二段羽根車5Bと、
初段羽根車5Aの入口21の外周に配置された初段ノズル列18と、
初段ノズル列18の外周で周方向に並ぶ複数の送入口27を有し、複数の送入口27の各々で初段ノズル列18への作動流体の送入の許容と阻止とを切り替えが可能であり、作動流体を複数の送入口27のうち一つから又は複数の送入口27のうち2つ以上からに分けて初段ノズル列18へ送入する作動流体供給系統30と、
第二段羽根車5Bの入口21の外周に配置された第二段ノズル列19と、
初段羽根車5Aの出口23と第二段羽根車5Bの入口21とを接続する接続流路90と、を備え、
接続流路90の初段羽根車5Aの出口23から第二段ノズル列19までの領域は複数の並列流路99へ周方向に分割されているものである。
【0024】
本開示の第2の項目に係る多段ラジアルタービン1は、第1の項目に係る多段ラジアルタービン1において、複数の並列流路99の各々は、初段羽根車5Aの出口23から流出した作動流体の流れの向きを軸方向Xから径方向外向きに転向するベンド部91と、ベンド部91と接続され作動流体を径方向外向きに流すラジアル部92と、ラジアル部92と接続され作動流体の流れの向きを径方向外向きから径方向内向きに転向するUターン部93と、Uターン部93と第二段羽根車5Bの入口21とを接続し作動流体を径方向内向きに流すリターン部94とを有するものである。
【0025】
上記第1及び第2の項目に係る多段ラジアルタービン1では、定格運転時には複数の送入口27の全てから作動流体が初段ノズル列18へ送入され、部分負荷運転時には複数の送入口27のうちの一部から初段ノズル列18へ送入される。これにより、部分負荷運転時には、圧力や流速や温度が周方向に分布を持っている状態で作動流体を初段羽根車5Aに導くことができる。初段羽根車5Aの出口23から接続流路90の並列流路99へ流入した作動流体は、周方向への拡散が抑えられた状態で第二段ノズル列19へ送られる。これにより、初段羽根車5Aの出口23から出た作動流体は、初段羽根車5Aの出口23の周方向の物理量の分布を維持した状態で第二段ノズル列19へ送入される。その結果、多段ラジアルタービン1では、部分負荷運転時にも設計点に近い高い圧力比と効率を保った状態での運用が可能である。よって、多段ラジアルタービン1では、接続流路90で作動流体の周方向の拡散が抑制されない場合と比較して、部分負荷運転時のタービン効率を向上し得る。
【0026】
本開示の第3の項目に係る多段ラジアルタービン1は、第1又は2の項目に係る多段ラジアルタービン1において、接続流路90は周方向に並ぶ複数の仕切板96によって複数の並列流路99に分割されているものである。
【0027】
仕切板96は固定部材であり、接続流路90を流れる作動流体の周方向への拡散の抑制を、単純な構造で実現できる。また、接続流路90を流れる作動流体の周方向への拡散の抑制のために可変ノズルのような可動部材を要しないので、液体水素などの極低温の流体を作動流体とする多段ラジアルタービン1にも適用可能である。
【0028】
本開示の第4の項目に係る多段ラジアルタービン1は、第3の項目に係る多段ラジアルタービン1において、第二段ノズル列19は周方向に並ぶ複数のノズル羽根により構成されており、複数の仕切板96の少なくとも1つは複数のノズル羽根のいずれかと接続されているものである。
【0029】
上記構成の多段ラジアルタービン1によれば、仕切板96とノズル羽根の間の隙間における周方向の流れの拡散現象を防げるため、より高い性能を実現できる。
【0030】
以上の本開示の議論は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明では、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で1つの実施形態に纏められているが、複数の特徴のうち幾つかが組み合わされてもよい。また、本開示に含まれる複数の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様に組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 :多段ラジアルタービン
3 :回転軸
5 :羽根車
5A :初段羽根車
5B :第二段羽根車
18 :初段ノズル列
19 :第二段ノズル列
21 :入口
23 :出口
27 :送入口
30 :作動流体供給系統
90 :接続流路
91 :ベンド部
92 :ラジアル部
93 :Uターン部
94 :リターン部
96 :仕切板
99 :並列流路
X :軸方向