(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164722
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241120BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080405
(22)【出願日】2023-05-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)試験の実施により公開 試験日 令和4年5月16日~令和4年5月20日 試験場所 湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市岡本1370番1号) (2)展示により公開 展示会名 第24回日本医療マネジメント学会学術総会 開催日 令和4年7月8日~令和4年7月9日 (3)集会での発表により公開 集会名 病院向け自律搬送ロボットHOSPI VODセミナー 開催日 令和4年8月25日、令和5年2月1日~令和5年2月28日 (4)展示により公開 展示会名 第5回病院EXPO東京展 開催日 令和4年10月12日~令和4年10月14日
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 龍雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 将広
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥樹
(72)【発明者】
【氏名】里見 信哉
(72)【発明者】
【氏名】小保内 弘毅
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】障害物の検出能力の低下を抑制しつつ、検知部が走行中に周囲環境にある物体と干渉することを防止し、安全性を向上させるロボットを提供する。
【解決手段】ロボットは、土台部と天板部とを有する本体部と、前記本体部に連結可能なカート部と、を備え、前記本体部は、前記土台部と前記天板部との間に設けられる空間に、周囲に存在する物体を検知する検知部を備え、前記土台部と前記天板部とを連結する本体側支柱部は前記検知部の検知範囲に含まれる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台部と天板部とを有する本体部と、
前記本体部に連結可能なカート部と、を備え、
前記本体部は、前記土台部と前記天板部との間に設けられる空間に、周囲に存在する物体を検知する検知部を備え、
前記土台部と前記天板部とを連結する本体側支柱部は前記検知部の検知範囲に含まれる、ロボット。
【請求項2】
前記本体部と前記カート部との連結状態において、前記検知部が前記カート部の下方に位置する請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記本体部と前記カート部との連結時、前記検知部の走査面において、前記本体側支柱部と、前記検知部と、前記カート部のカート側構造とが直列に並んでいる請求項1に記載のロボット。
【請求項4】
前記カート側構造は、物を収納する収納部を支持する支柱部である請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記カート部は、前記検知部の走査面において、前記カート部の側面の後端部より後ろに構造物がなく、前記本体部と前記カート部との連結時、前記検知部の走査面において、前記本体側支柱部と、前記検知部と、前記カート部の側面の後端部とが直列に並んでいる請求項1に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行可能な本体部と車輪を有するカート部とを備えたロボットが知られている。カート部は、本体部に連結可能である。本体部とカート部とが連結された状態(以下、連結状態と称する。)において、本体部は、カート部を牽引可能である。
【0003】
例えば、特許文献1には、走行装置に設けられる距離測定装置により障害物の検出をする台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、距離測定装置が走行装置の上面に配置されているため、走行中に周囲環境にある物体と干渉する可能性があり、安全性が低下するという問題があった。
【0006】
特許文献1の従来技術では、距離測定装置を走行装置の底面から上面の間の領域に配置することが開示されているが、単にそのような領域に配置しただけでは、障害物の検出能力が低下してしまう。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するものであり、障害物の検出能力の低下を抑制しつつ、検知部が走行中に周囲環境にある物体と干渉することを防止し、安全性を向上させるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係るロボットの一態様は、土台部と天板部とを有する本体部と、前記本体部に連結可能なカート部と、を備え、前記本体部は、前記土台部と前記天板部との間に設けられる空間に、周囲に存在する物体を検知する検知部を備え、前記土台部と前記天板部とを連結する本体側支柱部は前記検知部の検知範囲に含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、障害物の検出能力の低下を抑制しつつ、検知部が走行中に周囲環境にある物体と干渉することを防止し、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施の形態におけるロボットを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態におけるロボットの本体部とカート部を分離した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態におけるロボットの本体部を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態におけるロボットの本体部を支柱を通る垂直面で切断した場合の断面図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態におけるロボットの本体部とカート部を連結した状態を示す側面図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態における本体部とカート部とが連結された状態のロボットを検知部を通る水平面で切断した場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される各構成要素、各構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
図1は、本実施の形態におけるロボット100を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態におけるロボット100の本体部1とカート部2を分離した状態を示す斜視図である。
【0014】
ロボット100は、本体部1と、カート部2と、を備える。ロボット100は、例えば病院内を自走し、薬剤部から薬剤を一度に一カ所もしくは複数の箇所の目的地まで搬送する。ロボット100は、例えば、遠隔操作により走行可能に構成されてもよい。
【0015】
本体部1は、カート部2に搭載された薬剤を一度に搬送して薬剤部から目的地まで自走する。本体部1は、目的地に着くと停止する。
【0016】
そして、任意に設定された目的地に到着することで、本体部1とカート部2との連結状態が自動的に解除される。またここで、看護師がカート部2を本体部1から引っ張って、本体部1とカート部2との連結を解除してもよい。
【0017】
その後、看護師は、薬剤を配膳し、カート部2を薬剤部に返しに行く。もしくは、カート部2は、カート部2を牽引してきたロボット100や他のロボット100によって、薬剤部まで搬送されてもよい。
【0018】
一方、カート部との連結を解除された本体部1は、単独で薬剤部に自走して戻る。そして、薬剤師は、別のカート部2に薬剤を搭載させ、そのカート部2を本体部1に連結する。本体部1とカート部2とは、ロック機構(不図示)により、連結状態が維持される。以下、ロボット100の具体的な構成について説明する。
【0019】
以降、想定される実施形態の一様態として病院内を自走するロボット100の説明を行うが、本開示はこれに限られず、施設内外を問わず搬送を行うロボットに広く適用できるものである。
【0020】
先ず、ロボット100の概要について説明する。
図3は、本実施の形態におけるロボット100の本体部1を示す斜視図である。
図4は、本実施の形態におけるロボット100の本体部1を支柱8a,8cを通る垂直面で切断した場合の断面図である。尚、
図4に示す断面図では、ロボット100の本体3の断面は省略されている。
【0021】
本体部1は、走行可能に構成された移動体である。本体部1は、本体3と、土台部4と、天板部5と、検知部6と、車輪7と、支柱部8a~8dとを有している。
【0022】
本体3は、制御部31を有する。制御部31は、MPU(Micro Processing Unit)、記憶部、及びIF(Interface)ポート等から構成されている。制御部31は、本体部1の動作を統括制御する。
【0023】
土台部4は、本体3の背面3aの下部に固定されている。土台部4は略直方体状の形状を有し、土台部4の後方下部には車体部1の幅方向において対向する2つの車輪7を備える。なお、
図3及び
図4では一方の車輪7のみ示されている。天板部5は長方形の板状の形状を有し、土台部4の上方に配置されている。
【0024】
図3及び
図4に示すように、天板部5は支柱部8a~8dにより土台部4に固定されている。支柱部8a,8bは、天板部5の後端で天板部5の2つの角部の裏面側に垂直に形成され、土台部4の後端で土台部4の2つの角部の上面に固定されている。
【0025】
また、支柱部8c,8dは、本体3の背面3aと天板部5の後端との間の位置において、車体部1の幅方向における天板部5の2つの端部の裏面側に垂直に形成され、土台部4の2つの端部の上面に固定されている。
【0026】
本体部1は、土台部4の両側面4aと天板部5との間に空間9aを有し、土台部4の背面4bと天板部5との間に空間9bを有している。すなわち、土台部4と天板部5とを連結する支柱部8a、8bは、本体部1の後端の2つの角部に設けられ、支柱部8a、8bの両側には空間9a、9bが形成されている。
【0027】
検知部6から出射されたレーザ光は、空間9a、9bを通過する。このような空間9a、9bを設けることにより、障害物の検出能力の低下を抑制することができる。
【0028】
検知部6は、例えば、LiDAR(ライダー:Light Detection and Ranging)装置であり、走行面に水平な面を少なくとも走査し、障害物検出を行う。なお、検知部6はLiDAR装置に限定されず、他のセンサ等であってもよい。
【0029】
検知部6は、土台部4が有する平面板41(
図6参照)の上面側に配置されている。検知部6が、土台部4と天板部5との間に設けられる空間10に配置されることにより、検知部6が走行中に周囲環境にある物体と干渉することを防止でき、安全性を向上させることができる。
【0030】
図5は、本実施の形態におけるロボット100の本体部1とカート部2を連結した状態を示す側面図である。
図6は、本実施の形態における本体部1とカート部2とが連結された状態のロボット100を検知部6を通る水平面で切断した場合の断面図である。
【0031】
図5に示すように、本体部1とカート部2との連結状態において、検知部6はカート部2の下方に位置する。このように検知部6を配置することにより、ロボット100の小型化を図ることができる。
【0032】
図5及び
図6に示すように、カート部2は、収納部20と、車輪21と、支柱部22a、22bを有する。
【0033】
収納部20は、略直方体状の形状を有し、薬剤などの物を収納する。収納部20は、収納部20の後方の下部に、収納部20の幅方向において対抗する2つの車輪21を備える。収納部20は、支柱部22a、22bを介して、車輪21と連結されている。
【0034】
なお、
図5は、収納部20の扉が開いた状態を示しており、また、
図5では、一方の車輪21のみが示されている。
【0035】
そして、
図6に示すように、本体部1とカート部2との連結時、検知部6の走査面Aにおいて、本体部1側の支柱部8aと、検知部6と、カート部2側の支柱部22aとは直列に並んでいる。同様に、本体部1側の支柱部8bと、検知部6と、カート部2側の支柱部22bとは直列に並んでいる。土台部4と天板部5とを連結する支柱部8a,8bは、検知部6の検知範囲に含まれる。
【0036】
これらを直列に並べることにより、検知部6が障害物を検出できない範囲を最小限にすることができ、障害物の検出能力を向上させることができる。
【0037】
ここで、
図6に示した検知部6の走査面Aは水平面であるが、当該走査面Aは水平面でなくてもよい。
【0038】
なお、本実施の形態は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0039】
例えば、上記実施の形態では、本体部1側の支柱部8bと、検知部6と、カート部2側の支柱部22bとが直列に並ぶこととしたが、本体部1側の支柱部8b及び検知部6と直列に並ぶものはカート部2側の支柱部22bに限定されず、カート部2側の他の構造であってもよい。
【0040】
このような場合であっても、上記実施の形態と同様に、検知部6が障害物を検出できない範囲を最小限にすることができ、障害物の検出能力を向上させることができる。
【0041】
また、上記実施の形態では、本体部1側の支柱部8bと、検知部6と、カート部2側の支柱部22bとが直列に並んでいることとした。
【0042】
他の構成として、ロボット100の本体部1と連結されるカート部には、検知部6の走査面Aにおいて、当該カート部の側面の後端部より後ろに構造物がないものもある。
【0043】
このようなカート部の場合、本体部1とカート部との連結時、検知部6の走査面Aにおいて、本体1側の支柱部と、検知部6と、カート部の側面の後端部とが直列に並んでいてもよい。検知部6の走査面Aは水平面であってもよいし、水平面でなくてもよい。
【0044】
これらを直列に並べることにより、上記実施の形態と同様に、検知部6が障害物を検出できない範囲を最小限にすることができ、障害物の検出能力を向上させることができる。
【0045】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示に係る技術を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示に係る技術の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示に係る技術は、主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示の技術は、ロボットに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 本体部
2 カート部
3 本体
4 土台部
5 天板部
6 検知部
7 車輪
8a~8d 支柱部
9a、9b 空間
20 収納部
21 車輪
22a、22b 支柱部
41 平板部
100 ロボット
A 走査面