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  • 特開-インキ含浸体カートリッジ用ケース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164724
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】インキ含浸体カートリッジ用ケース
(51)【国際特許分類】
   B41K 1/52 20060101AFI20241120BHJP
   B41K 1/50 20060101ALI20241120BHJP
   B41K 1/36 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B41K1/52 B
B41K1/50 Z
B41K1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080407
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】根岸 博明
(57)【要約】
【課題】
本発明は、インキ含浸体カートリッジを保管する為の収容具として機能するとともに、マーキング装置のインキ含浸体カートリッジの交換時に手指がインキで汚れることなく脱着が行える交換用治具としても機能するケースを提供することを目的とする。
【解決するための手段】
マーキング装置のインキ含浸体装着部に着脱自在としたインキ含浸体カートリッジを収容する為のインキ含浸体カートリッジ用ケースであって、本体と、該本体に設けた前記インキ含浸体カートリッジを一定姿勢で把持する把持部と、前記本体を被覆するキャップとを備えており、前記把持部は、前記インキ含浸体カートリッジを装着する際に前記インキ含浸体装着部に干渉しないように形成されていることを特徴とするインキ含浸体カートリッジ用ケースである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキング装置のインキ含浸体装着部に着脱自在としたインキ含浸体カートリッジを収容する為のインキ含浸体カートリッジ用ケースであって、
本体と、該本体に設けた前記インキ含浸体カートリッジを一定姿勢で把持する把持部と、前記本体を被覆するキャップとを備えており、前記把持部は、前記インキ含浸体カートリッジを装着する際に前記インキ含浸体装着部に干渉しないように形成されていることを特徴とするインキ含浸体カートリッジ用ケース。
【請求項2】
マーキング装置のインキ含浸体装着部に着脱自在としたインキ含浸体カートリッジを収容する為のインキ含浸体カートリッジ用ケースであって、
本体と、該本体に設けた前記インキ含浸体カートリッジを一定姿勢で把持する把持部と、前記本体を被覆するキャップとを備えており、前記把持部は、前記インキ含浸体カートリッジがインキ含浸体装着部に装着された状態でインキ含浸体カートリッジ表面のうち外部に露出している被把持部を把持することを特徴とするインキ含浸体カートリッジ用ケース。
【請求項3】
前記キャップには、インキ含浸体カートリッジを着脱自在に装着するインキ含浸体取付部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のインキ含浸体カートリッジ用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキ含浸体カートリッジを保管する為の収容具としての機能の他に、マーキング装置のインキ含浸体カートリッジの交換時に手指がインキで汚れることなく脱着が行える交換用治具としても機能するインキ含浸体カートリッジ用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インキ含浸体カートリッジを一定姿勢で保管する為のインキ含浸体カートリッジ用ケースが知られている。一方、マーキング装置のインキ含浸体カートリッジを交換する際、使用済みのインキ含浸体カートリッジをインキ含浸体装着部から取外した後、未使用のインキ含浸体カートリッジをケースから取り出して、インキ含浸体装着部に装着する。この一連の動作を通常はインキ含浸体カートリッジを手で把持しながら行っている。一方、インキ含浸体カートリッジは小型の部材であることが多い為、持ち手部分の面積が少ないこともあり、交換時に手指がインキ含浸体に接触して汚れてしまう問題があった。また、使用済みのインキ含浸体カートリッジが持ち手部分にもインキが付着している場合、手指汚損は避けられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであって、インキ含浸体カートリッジを保管する為の収容具として機能するとともに、マーキング装置のインキ含浸体カートリッジの交換時に手指がインキで汚れることなく脱着が行える交換用治具としても機能するインキ含浸体カートリッジケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために完成された本発明は、マーキング装置のインキ含浸体装着部に着脱自在としたインキ含浸体カートリッジを収容する為のインキ含浸体カートリッジ用ケースであって、本体と、該本体に設けた前記インキ含浸体カートリッジを一定姿勢で把持する把持部と、前記本体を被覆するキャップとを備えており、前記把持部は、前記インキ含浸体カートリッジを装着する際に前記インキ含浸体装着部に干渉しないように形成されていることを特徴とするインキ含浸体カートリッジ用ケースである。
【0005】
また、前記把持部は、前記インキ含浸体カートリッジがインキ含浸体装着部に装着された状態でインキ含浸体カートリッジ表面のうち外部に露出している被把持部を把持することが好ましい。
【0006】
前記キャップには、インキ含浸体カートリッジを着脱自在に装着するインキ含浸体取付部を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、マーキング装置のインキ含浸体装着部に着脱自在としたインキ含浸体カートリッジを収容する為のインキ含浸体カートリッジ用ケースであって、本体と、該本体に設けた前記インキ含浸体カートリッジを一定姿勢で把持する把持部と、前記本体を被覆するキャップとを備えており、前記把持部は、前記インキ含浸体カートリッジを装着する際に前記インキ含浸体装着部に干渉しないように形成されていることを特徴とするインキ含浸体カートリッジ用ケースである為、インキ含浸体カートリッジを保管する為の収容具として機能するとともに、マーキング装置のインキ含浸体カートリッジの交換時に手指がインキで汚れることなく脱着が行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の印字体カートリッジを装着する捺印具を示す断面図である。
図2】捺印具の印字体装着部(印字体カートリッジ装着状態)を示す斜視図である。
図3】実施形態の印字体カートリッジ用ケースを示す斜視図である。
図4】実施形態の印字体カートリッジ用ケースを示す断面図である。
図5】実施形態の印字体カートリッジ用ケースの本体を示す斜視図である。
図6】実施形態の印字体カートリッジ用ケースのキャップに印字体カートリッジを取り付けた状態の平面図である。
図7】実施形態の印字体カートリッジ用ケースを利用して捺印具の印字体装着部に装着する動作を説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
実施形態に係るインキ含浸体カートリッジ用ケースは、本体と、該本体に設けた前記インキ含浸体カートリッジを一定姿勢で把持する把持部と、前記本体を被覆するキャップとを備えている。また、本実施形態において、「インキ含浸体」を「印字体」、「マーキング装置」を「捺印具」として説明する。
尚、本発明において「下」とは、重力方向を指し、「上」とは、その反対側を指すものとする。
【0010】
まず、捺印具10及びその付属品について説明する。
捺印具10は、図1に示すように、全体が略円筒形状の筐体11と、筐体11に支軸12を介して連結され、支軸12を揺動中心として筐体11の内外方向に揺動可能な印字体装着部13とを備えている。尚、図示しないが、捺印具10はボルト、ナット及びワッシャーなどの締結部材と、これら締結部材によって1次締めされた鋼材などの被締結部材のうち締結部材側に位置する被締結部材とをマーキング対象物とし、マーキング対象物の表面に連続した直線状のマークを付すために用いられる。
【0011】
印字体装着部13は、図2に示すように、印字体カートリッジ14を装着する部材であり、断面「コ」の字状の板状片である。板状片の両側面には軸線方向にスリット13aが形成され、当該スリット上に凹部13bを備えている。
【0012】
印字体カートリッジ14は、図7(a)に示すように、印字体14aと、印字体14aを挟持可能な断面「コ」の字状の板状片を備えた印字体受け部14bから構成され、この印字体受け部14bが印字体装着部13に取り付けられる。印字体受け部14bの両側面には軸線方向に伸びるガイド凸部14cが突出形成されている。当該ガイド凸部14cは、印字体装着部13に印字体カートリッジ14を挿入する際にスリット13aと当接する事でガイドとして機能するものである。ガイド凸部14c上には、印字体装着部13の凹部13bと篏合する突起14dが形成されている。
【0013】
印字体14aは、マーキング用インキを含浸させることが可能なフェルト製の印字体であって、マーキング対象物の表面形状に沿うように形成された印字面を備え、マーキング対象物に接触することにより略直線状のマークを付着させることができるものである。印字体に含浸させるインキは、隠蔽性を確保する為に酸化チタンを配合している。
【0014】
以下に実施形態に係るインキ含浸体カートリッジ用ケース1について説明する。
本体2は、図3図5に示すように、両端が開口した円筒体として形成され、内壁の中央位置に空間を仕切る仕切板2aが形成されている。円筒体開口の外周部には螺子溝2bが形成されており、後述するキャップ3が螺合されることにより仕切板2aを挟んで両側に2つの収容空間が形成される。この収容空間に印字体カートリッジ14が、後述する把持部2cにより一定姿勢で保持された状態で収容される。
【0015】
図4図5に示すように、仕切板2aの両面の中央位置より少し上方位置には、印字体カートリッジ14を一定姿勢で保持する為の把持部2cが突出して形成されている。把持部2cは、印字体カートリッジ14を直接手で触れることなく捺印具10の印字体装着部13に脱着する為の部材である。把持部2cは、印字体カートリッジ14を印字体装着部13に脱着する際に印字体装着部13に干渉しないように形成される。具体的には、図2に示すように、把持部2cは、印字体カートリッジ14が印字体装着部13に装着された状態で印字体受け部14bのうち外部に露出している被把持部14f(図中の斜線領域)を把持する。
【0016】
把持部2cは、図5に示すように、1対の板状部材として形成されており、該板状部材の内側に溝2dが形成されている。一方、図2に示すように印字体カートリッジ14の被把持部14fには前記溝2dに対応する凸部14eが形成されており、把持部2cは、溝2dに凸部14eが篏合することで1対の板状部材の間に挿入した被把持部14fを把持することができる。尚、篏合方法はこれに限定されず、圧入篏合等の従来公知のものを適宜採用できる。また、把持部2cと印字体受け部14bの篏合力は、印字体装着部13と印字体受け部14bの篏合力よりも大きく設計している。
【0017】
また、本体2の円筒体外周の中央位置には印字体カートリッジケース1を一定位置で安定させるためのスタンド2eが形成されている。スタンド2eは、図4に示すように、把持部2cにより一定姿勢で把持された印字体カートリッジ14の印字面が下向きで安定するように形成されている。これにより、印字体14aに酸化チタン等の比重の大きい顔料を配合したインキを含侵している場合でも、経時的に顔料沈降による色濃度低下が生じることがない。
尚、スタンド2eの代わりに本体2の円筒体外周の中央位置の1ヶ所に重り(図示無し)を内蔵することにより、印字体カートリッジ14を円筒体のどの面で載置するかによらず常に印字体が下向きに安定化させるように構成しても良い。
【0018】
キャップ3は、図3図4に示すように、有底円筒体として形成されており、本体2の円筒体の両側開口部の螺子溝2bに螺合により篏合することで2つの収容空間を形成するものである。この2つの収容空間に印字体カートリッジ14が1個ずつ収容保管される。印字体に含侵させるインキが速乾性である場合には、キャップ3の螺合部に図示しないОリングを設けることが好ましく、これにより収容空間を気密状態に維持することが可能となる。
【0019】
また、キャップ3の底面外側には、図3に示すように、印字体カートリッジ14を装着する為の印字体取付部3aが両側に突出して設けられている。印字体取付部3aは、捺印具10の印字体装着部13と同様に断面「コ」の字状の板状片であり、キャップ3と一体的に成形されている。また、板状片の両側面には軸線方向にスリット3bが形成されており、印字体カートリッジ14を挿入する際に印字体受け部14bのガイド凸部14cをガイドする。また、スリット3b上には凹部3cを備えており、ガイド凸部14c上の突起14dと篏合し、印字体カートリッジ14を保持する。これにより、図6に示すように、キャップ3に印字体カートリッジ14を取り付けて簡易的に捺印具を形成することができる。
【0020】
次に、印字体カートリッジケース1を用いて捺印具10の印字体装着部13に印字体カートリッジ14を着脱する際の動作について図7(a)~(d)を用いて説明する。
【0021】
図7(a)は印字体カートリッジケース1の片方のキャップ3を外した状態を示しており、印字体カートリッジ14が把持部2cにより一定姿勢で把持されて露出している。この状態から、本体2に螺合しているもう一方のキャップ3を手で把持して捺印具10の印字体装着部13に印字体カートリッジ14を挿入する(図7(b))。このとき、印字体受け部14bのガイド凸部14cが印字体装着部13のスリット13aに案内されながら移動し、ガイド凸部14cの突起14dがスリット13a上の凹部13bと篏合することで印字体カートリッジ14が固定される。尚、このとき把持部2cは被把持部14fを把持している為、把持部2cと印字体装着13が干渉することは無い。
【0022】
次に、把持部2cによる印字体受け部の篏合解除の動作を図7(c)を用いて説明する。本実施形態において、把持部2cと印字体受け部14bの篏合力は、印字体装着部13と印字体受け部14bの篏合力よりも大きく設計している為、キャップ3を把持したまま軸線方向に引っ張ると、印字体カートリッジ14が把持部2cに把持された状態のまま印字体装着部13から引き抜かれてしまう。従って本実施例では、図7(c)に示すように、把持部2cと印字体受け部14bとの篏合部を軸中心として印字体装着部13と印字体カートリッジケース1を相対回動させることで篏合解除を行う。この状態から印字体カートリッジケース1と印字体装着部13を引き離せば印字体装着部13に印字体カートリッジ14が装着された状態で印字体カートリッジケース1を分離することができ、装着作業が完了する(図7(d))。
【0023】
尚、図示しないが、使用済みの印字体カートリッジ14を印字体装着部13から引き抜く際は、キャップ3を把持した状態で把持部2cにより印字体受け部14bを篏合把持し、そのまま軸線方向に引っ張る。尚、このとき把持部2cは被把持部14fを把持する為、把持部2cと印字体装着13が干渉することは無い。本実施形態において、把持部2cと印字体受け部14bの篏合力は、印字体装着部13と印字体受け部14bの篏合力よりも大きく設計している為、把持部2cに印字体カートリッジ14が装着された状態で、印字体装着部13から分離され、引き抜き作業が完了する。その後、新規の印字体カートリッジ14の装着作業を前述した手順で行う。
【0024】
尚、印字体カートリッジケース1を用いてキャップの印字体取付部3aに印字体カートリッジ14を着脱する際の動作については前述した印字体装着部13への脱着動作と同様である為、説明は省略する。
【0025】
本実施形態において、把持部2cと印字体受け部14bの篏合力は、印字体装着部13と印字体受け部14bの篏合力よりも大きく設計しているが、前記篏合力の関係は逆でもよい。その場合、使用済みの印字体カートリッジ14を印字体装着部13から引き抜く際にキャップ3を把持した状態で把持部2cにより印字体受け部14bを篏合把持し、そのまま軸線方向に引っ張っても印字体カートリッジ14は印字体装着部に保持されたまま引き抜くことができない。その為、印字体装着部は、把持部と同様に、印字体カーリッジ14との篏合部分を回動により解除可能な機構とすればよい。
【0026】
以上より、本実施形態の印字体カートリッジケース1は印字体カートリッジ14を保管する為の収容具として機能するとともに、捺印具10の印字体カートリッジ14の交換時に手指がインキで汚れることなく脱着が行える。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施形態を締結部材マーキング用捺印具の印字体カートリッジ用ケースとして説明してきたが、上記捺印具以外にも紙、プラスチック、ガラス、金属等の平面に捺印する為の通常の捺印具の印字体カートリッジにも採用できる他、転写用のスタンプ台を備えた反転式捺印具のスタンプ台カートリッジや、マーカーペン等のペン芯カートリッジ用のケースとしても適宜採用できるものである。
【0028】
また、本発明の技術的思想は、ここで説明された実施形態に限定して解釈されるべきではない。当業者は、本発明の要旨又は技術思想から逸脱しない範囲で、この実施形態を適宜、変更又は改良を加えることができる。そのような変更又は改良を伴うインキ含浸体カートリッジ及び関連する周辺技術は、本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0029】
1 印字体カートリッジケース
2 本体
2a 仕切板
2b 螺子溝
2c 把持部
2d 溝
2e スタンド
3 キャップ
3a 印字体取付部
3b スリット
3c 凹部
10 捺印具
11 筐体
12 支軸
13 印字体装着部
13a スリット
13b 凹部
14 印字体カートリッジ
14a 印字体
14b 印字体受け部
14c ガイド凸部
14d 突起
14e 凸部
14f 被把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7