(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164742
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】空調装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/81 20180101AFI20241120BHJP
F24F 11/41 20180101ALI20241120BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20241120BHJP
【FI】
F24F11/81
F24F11/41 210
F24F11/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080441
(22)【出願日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】谷口 徹平
(72)【発明者】
【氏名】増田 克洋
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB01
3L260BA35
3L260BA36
3L260CB06
3L260CB15
3L260CB23
(57)【要約】
【課題】冷媒コイルの結露水の凍結を抑制する。
【解決手段】空調装置は、筐体内に外部の空気を取り込むための空気取込部と、冷媒配管、前記冷媒配管に接続する冷媒コイル、及び前記冷媒配管に冷媒を流動させる冷凍機を備える冷凍システムと、前記冷媒コイルに付着する結露水の凍結状態を検出する検出部と、前記検出された凍結状態に基づいて、前記冷凍機の稼働状態を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に外部の空気を取り込むための空気取込部と、
冷媒配管、前記冷媒配管に接続する冷媒コイル、及び前記冷媒配管に冷媒を流動させる冷凍機を備える冷凍システムと、
前記冷媒コイルに付着する結露水の凍結状態を検出する検出部と、
前記検出された凍結状態に基づいて、前記冷凍機の稼働状態を制御する制御部と、
を備える空調装置。
【請求項2】
前記空気取込部からの前記空気の取り込み量を調節する調節部を更に備え、
前記制御部は、前記冷凍機の稼働状態を制御しても前記結露水の凍結を抑制できない場合には前記結露水の凍結が抑制されるように、前記調節部を制御する、
請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記冷凍機の稼働状態を制御した後、前記結露水が凍結している状態が一定時間継続した場合、又は、前記冷凍機の稼働率が最低値の場合、前記冷凍機の稼働状態を制御しても前記結露水の凍結を抑制できない場合として、前記結露水の凍結が抑制されるように、前記調節部を制御する、請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記空気取込部は、第1の空気取込口と第2の空気取込口とを備え、
前記第1の空気取込口は、前記外部の空気が前記冷媒コイルを介して前記空気排出口に流れる位置に位置し、
前記第2の空気取込口は、前記外部の空気が前記冷媒コイルを介さないで前記空気排出口に流れる位置に位置し、
前記調節部は、前記第1の空気取込口及び前記第2の空気取込口の少なくとも一方からの前記空気の取り込み量を調節する、
請求項2又は請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記筐体内の空気を空気排出口から前記外部に送風する送風機と、
前記空気の外部への目標送風量を入力する入力部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記外部に送風される空気の送風量が前記目標送風量となるように前記送風機を制御する、請求項1又は請求項2に記載の空調装置。
【請求項6】
前記筐体内の空気を加熱する加熱部と、
前記外部に送風する空気の目標温度を入力する入力部と、
前記外部に送風する空気の温度を検出する温度検出部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記検出された前記外部に送風する空気の温度に基づいて、前記外部に送風する空気の温度が前記目標温度となるように、前記加熱部を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の空調装置。
【請求項7】
前記加熱部は、前記冷媒コイルの空気の下流側に配置される、請求項6に記載の空調装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記冷媒コイルに流れる冷媒の圧力を検出する、請求項1又は請求項2に記載の空調装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1の制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、空調装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内機に吸い込まれる空調対象空気のうち、一部は冷媒コイルを通過させて冷媒コイル内部を流れる冷媒と熱交換させ、残りの空気は冷媒コイルをバイパスさせ、その後、両方の空気を混合し、送風機により吹出口から送風する空調用室内機が開示される。
【0003】
このような空調用室内機において吹出口からの空気の風量を向上させるため、バイパス側からの空気の取り込み量を増加させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、バイパス側からの空気の取り込み量を増加させると、冷媒コイルを通過する空気の風量は減少する。このように冷媒コイルを通過する空気の風量が減少すると、冷媒コイルを通過する空気と冷媒コイルとの間の熱交換量が下がり、冷媒コイルの結露水の凍結が発生する恐れがある。
【0006】
本開示の技術は、上記事実に鑑み成されたもので、冷媒コイルの結露水の凍結を抑制することができる空調装置空調装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本開示の技術の第1の態様の空調装置は、筐体内に外部の空気を取り込むための空気取込部と、冷媒配管、前記冷媒配管に接続する冷媒コイル、及び前記冷媒配管に冷媒を流動させる冷凍機を備える冷凍システムと、前記冷媒コイルに付着する結露水の凍結状態を検出する検出部と、前記検出された凍結状態に基づいて、前記冷凍機の稼働状態を制御する制御部と、を備える。
【0008】
第2の態様のプログラムは、コンピュータを、第1の態様の制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術は、冷媒コイルの結露水の凍結を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】空調処理プログラムの一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の技術の実施の形態を説明する。
【0012】
(構成)
図1は、本開示の技術の実施の形態に係る空調装置100の断面図である。
【0013】
空調装置100は筐体3を備える。空調装置100は、筐体3内に外部の空気を取り込むための空気取込部(1,7)と、筐体3の上面に形成され、筐体3内の空気を外部に排出する空気排出口2と、冷凍システムと、を備える。冷凍システムは、図示しない冷媒配管、筐体3内に配置され且つ冷媒配管に接続する冷媒コイル4、及び冷媒配管に冷媒を流動させる冷凍機9を備える。空調装置100は、検出部11及び加熱部5を備える。
空調装置100は、本開示の技術の「空調装置」の一例である。筐体3は、本開示の技術の「筐体」の一例である。当該冷凍システムは、本開示の技術の「冷凍システム」の一例である。冷媒コイル4は、本開示の技術の「冷媒コイル」の一例である。検出部11は、本開示の技術の「検出部」の一例である。
【0014】
図2は、検出部11を示す図である。
図2に示すように、冷媒コイル4の一部には、冷媒コイル4の中を流動する冷媒の一部が流入し、流入した冷媒の圧力を検出する検出部11が設けられる。
【0015】
図1に示すように、加熱部5は、冷却コイル4の下流側に配置される。加熱部5は、例えば、電気ヒータでる。
加熱部5は、本開示の技術の「加熱部」の一例である。
【0016】
空気取込部(1,7)は、第1の空気取込口1と第2の空気取込口7とを備える。
第1の空気取込口1は、エアーフローF1のように、外部の空気が冷媒コイル4を介して空気排出口2に流れる位置に位置する。
第1の空気取込口1は、本開示の技術の「第1の空気取込口」の一例である。
【0017】
第2の空気取込口7は、エアーフローF2のように、外部の空気が冷媒コイル4を介さないで空気排出口2に流れる位置に位置する。
第2の空気取込口7は、本開示の技術の「第2の空気取込口」の一例である。
【0018】
空調装置100は、第1の空気取込口1と第2の空気取込口7との少なくとも一方、本実施の形態では、第2の空気取込口7の開度を調節することにより、空気の取り込み量を調節する調節部8を備える。
調節部8は、本開示の技術の「調節部」の一例である。
【0019】
空調装置100は、空気排出口2から筐体3内の空気を排出する送風機6を備える。送風機6は、筐体3内の空気(冷媒コイル4を経由する空気と冷媒コイル4を経由しない空気と)を外部に排出する。送風機6により排出される空気が流れる領域には、当該空気の温度を検出する図示しない温度検出部が備えられる。
送風機6は、本開示の技術の「送風機」の一例である。
【0020】
図3は、空調装置の一例のブロック図である。
図3に示すように、空調装置100は、制御装置50を備える。制御装置50は、コンピュータで構成され、プロセッサ54、NVM(Non-volatile memory)56、及びRAM(Random Access Memory)58を備える。プロセッサ54、NVM56、及びRAM58は、バス60に接続される。
制御装置50は、は、本開示の技術の「制御部」の一例である。
【0021】
プロセッサ54は、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、及びGPU(Graphics Processing Unit)を含む処理装置であり、DSP及びGPUは、CPUの制御下で動作し、空調処理の実行を担う。ここでは、プロセッサ54の一例として、DSP、CPU、及びGPUを含む処理装置を挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎず、プロセッサ44は、GPU機能を統合した1つ以上のCPU及びDSPであってもよいし、GPU機能を統合していない1つ以上のCPU及びDSPであってもよいし、TPU(Tensor Processing Unit)が搭載されていてもよい。
【0022】
NVM56は、各種プログラム及び各種パラメータ等を記憶する不揮発性の記憶装置である。NVM56としては、例えば、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory))が挙げられる。
【0023】
RAM58は、一時的に情報が記憶されるメモリであり、プロセッサ54によってワークメモリとして用いられる。RAM58としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)等が挙げられる。
【0024】
バス60には、検出部11、加熱部5、冷凍機9、調節部8、送風機6、入力部70、及び表示部72が接続される。図示しない温度検出部もバス60に接続される。
【0025】
入力部70は、キーボード及びマウスであり、ユーザからの指示を受け付け、受け付けた指示を示す信号をプロセッサ54に出力する。
【0026】
表示部72は、プロセッサ54の制御下で、各種情報をユーザに提示する。
【0027】
NVM56には、空調処理プログラム56Pが記憶される。プロセッサ54は、NVM56から空調処理プログラム56Pを読み出し、読み出した空調処理プログラム56PをRAM48上で実行することにより空調処理を行う。プロセッサ54が、RAM58上で実行する空調処理プログラム56Pに従って、機器制御部54A、判断部54B、検出処理部54C、及び表示処理部54Dとして動作することによって、空調処理が実現される。
【0028】
空調処理プログラム56Pは、本開示の技術の「プログラム」の一例である。
【0029】
(作用)
次に、空調装置100の動作を説明する。
図4は、空調処理プログラム56Pのフローチャートである。
【0030】
プロセッサ54が空調処理プログラム56Pを実行することにより、空調処理が実行される。空調処理は、冷媒コイルに付着する結露水の凍結状態に基づいて、結露水の凍結が抑制されるように冷凍機9の稼働状態を制御する処理である。空量処理は、このように冷凍機9の稼働状態を制御しても結露水の凍結を抑制できない場合に、結露水の凍結が抑制されるように、調節部8を制御する処理である。
【0031】
空調処理プログラム56Pは、入力部70により、送風機6により空気排出口2から筐体3内の空気を排出する目標送風量及び当該空気の目標温度と、冷凍機9の稼働率と、調節部8により定まる第2の空気取込口7の開度と、空調処理の開始とが入力されると、スタートする。
【0032】
ステップ102で、機器制御部54Aは、各機器を稼働させる。具体的には、機器制御部54Aは、空気排出口2から筐体3内の空気が外部に排出される送風量が目標送風量となるように送風機6を稼働させる。機器制御部54Aは、温度検出部から検出された空気の温度を取り込み、取り込んだ温度に基づいて、空気排出口2から外部に排出される空気の温度が目標温度となるように、加熱部5を稼働させる。機器制御部54Aは、入力された稼働率で稼働するように冷凍機9を稼働させる。機器制御部54Aは、第2の空気取込口7の開度が、入力された開度となるように調節部8を制御する。
【0033】
ステップ104で、判断部54Bは、外部への送風量の増加か否かを判断する。外部への送風量の増加であると判断されなかった場合、空調処理は、ステップ106に進む。ステップ106で、判断部54Bは、空調処理の停止か否か、具体的には、オペレータにより入力部70を介して空調処理の停止が入力されたか否かを判断する。空調処理の停止の場合、空調処理はステップ126に進む。空調処理の停止でない場合、空調処理は、ステップ104に戻る。
【0034】
例えば、空気排出口2から筐体3内の空気が外部に排出される送風量を向上させるため、オペレータにより入力部70を介して、外部への送風量を増加させることが入力されることがある。この場合、ステップ104の判断が肯定判定となって、空調処理は、ステップ108に進む。
【0035】
ステップ108で、機器制御部54Aは、第2の空気取込口7の開度がUP(即ち、増加)されるように、調節部8を制御する。
【0036】
第2の空気取込口7の開度がUPされると、冷却コイル4を介さないで外部に送風される量が多くなり、冷却コイル4を通過する空気の量は少なくなる。冷却コイル4では通過する空気と冷却コイル4との間で熱交換がされるので冷却コイル4を通過する空気の抵抗が大きいのに対し、第2の空気取込口7から冷却コイル4を介さない経路に沿って流れる空気の抵抗は小さいからである。
【0037】
ステップ112で、検出処理部54Cは、検出部11により冷却コイル4の状態を検出する。
【0038】
上記のように検出部11は、冷媒コイル4の中を流動する冷媒の圧力を検出する。冷媒コイル4の中を流動する冷媒の圧力の状態に応じて、冷却コイル4の状態、つまり、冷却コイル4に付着する結露水の凍結状態が定まる。そこで、ステップ112では、検出処理部54Cは、検出部11により冷却コイル4の中を流動する冷媒の圧力を検出することにより、冷却コイル4に付着する結露水の凍結状態を検出する。
【0039】
ステップ114で、判断部54Bは、冷却コイル4の状態が正常範囲内か否かを判断する。
【0040】
ここで、冷却コイル4の状態が正常範囲内とは、冷却コイル4に付着する結露水の全てが凍結していない状態から当該結露水が凍結しかかっている状態までの範囲である。結露水が凍結しかかっている状態とは、冷却コイル4に付着する結露水の半分以上が凍結していない状態、即ち、当該結露水の半分未満が凍結している状態である。冷却コイル4に付着する結露水の少なくとも一部が凍結すると、冷却コイル4の凍結した部分を通過する空気と冷却コイル4との間の熱交換が正常に行われないからである。
【0041】
なお、冷却コイル4の状態が正常範囲内は、冷却コイル4に付着する結露水の全てが凍結していない状態の範囲としてもよい。
【0042】
冷却コイル4の状態が正常運転範囲内と判断された場合、空調処理は、ステップ106に進む。
【0043】
冷却コイル4の状態が正常範囲内と判断されなかった場合、即ち、冷却コイル4に付着する結露水の半分以上が凍結している状態の場合、空調処理は、ステップ116に進む。
【0044】
ステップ116で、機器制御部54Aは、冷凍機9の稼働率をDOWNする。
【0045】
ステップ114が肯定判定される、即ち、冷却コイル4に付着する結露水の半分以上が凍結するのは、冷却コイル4を通過する空気と、凍結しないように、熱交換する冷凍機9の稼働率よりも現在の冷凍機9の稼働率のほうが大きいからである。
【0046】
そこで、116で、機器制御部54Aは、冷凍機9の稼働率を所定量、DOWNする(即ち、小さくする)。
【0047】
ステップ118で、判断部54Bは、正常範囲外の状態で一定時間経過しているか否かを判断する。正常範囲外の状態で一定時間経過していると判断されなかった場合、空調処理は、ステップ112に戻る。
【0048】
上記のように冷凍機9の稼働率が所定量DOWNされると(ステップ116)、凍結していた結露水が融解し、冷却コイル4の状態が正常運転範囲内と判断されるようになる。この場合、ステップ114の判断結果が肯定判定となる。
【0049】
しかし、冷凍機9の稼働率が所定量DOWNされても、冷却コイル4の状態が正常運転範囲内ではない状態が一定時間経過する場合もある。この場合、空調処理は、ステップ120に進む。
【0050】
ステップ120で、機器制御部54Aは、第2の空気取込口7の開度がDOWN(即ち、小さくする)されるように、調節部8を制御する。空調処理がステップ120に進む場合は、冷凍機9の稼働率が所定量DOWNされ続けても、一定時間以上、冷却コイル4に付着する結露水の半分以上が凍結したままの場合である。つまり、冷凍機9の稼働率のDOWNでは凍結している結露水を融解することができない、ということである。そこで、ステップ120で、機器制御部54Aは、第2の空気取込口7の開度をDOWNさせ、第1の空気取込口1からの冷却コイル4を通過する空気の量を多くさせ、当該多くさせた空気により積極的に、凍結している結露水を融解させる。
【0051】
ステップ122で、判断部54Bは、第2の空気取込口7の開度が0%か否かを判断する。第2の空気取込口7の開度が0%でないと判断された場合、空調処理は、ステップ112に戻る。
【0052】
第2の空気取込口7の開度が0%であると判断された場合、空調処理は、ステップ124に進む。第2の空気取込口7の開度が0%になるということは、冷凍機9の稼働率のDOWN及び第2の空気取込口7の開度のDOWNでも、冷凍機9の稼働率のDOWNでは凍結していた結露水を融解することができない、つまり、空調装置100は異常状態であるということである。
そこで、ステップ124で、表示処理部54Dは、空調装置100は異常状態であることを表示部72に表示し、ステップ126で、機器制御部54Aは、各機器(5、6、9)を停止する。
【0053】
(効果)
本実施の形態では、冷媒コイル4の中を流動する冷媒の圧力を検出することにより、冷却コイルに付着する結露水の凍結状態を検出し、冷媒コイルに付着する結露水の凍結状態に基づいて、結露水の凍結が抑制されるように、冷凍機9の稼働状態を制御する。よって、本実施の形態は、結露水の凍結を抑制することができる。
また、本実施の形態では、冷凍機9の稼働状態を制御しても結露水の凍結を抑制できない場合、結露水の凍結が抑制されるように、調節部により第2の空気取込部の開度を制御する。よって、本実施の形態は、結露水の凍結を抑制することができる。
【0054】
(変形例)
<第1の変形例>
前述した実施の形態では、冷却コイルに付着する結露水の凍結状態を検出するために、冷媒コイル4の中を流動する冷媒の圧力を検出する。本開示の技術はこれに限定されない。例えば、冷媒コイルに設けた温度センセ、又は、冷媒コイルを撮像する撮像部で、冷媒コイルの結露水の凍結状態を検出する。
【0055】
<第2の変形例>
前述した実施の形態では、調節部8は、第2の空気取込口7の開度を調節することにより、空気の取り込み量を調節する。本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1に、調節部8に代えて、第1の空気取込口1の開度を調節する調整部を備え、第1の空気取込口1の開度を調節してもよい。また、第2に、調節部8と共に第1の空気取込口1の開度を調節する調整部を備え、第1の空気取込口1の開度を調節し且つ第2の空気取込口7の開度を調節してもよい。
【0056】
<第3の変形例>
前述した実施の形態の
図4のステップ118では、判断部54Bは、正常範囲外の状態で一定時間経過しているか否かを判断する。本開示の技術はこれに限定されない。例えば、判断部54Bは、冷凍機稼働率は最低値か否かを判断する。なお、最低値は、例えば、0%であるが、0%に限定されず、例えば、1%でも2%でもよい。
【0057】
<その他の変形例>
上記実施形態では、NVM56に空調処理プログラム56Pが記憶される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、空調処理プログラム56PがSSD、USBメモリ、又は磁気テープなどの可搬型のコンピュータ読取可能な非一時的記憶媒体に記憶されていてもよい。非一時的記憶媒体に記憶される空調処理プログラム56Pは、制御装置50のコンピュータにインストールされる。プロセッサ54は、空調処理プログラム56Pに従って、空調処理を実行する。
【0058】
また、ネットワークを介して空調装置100に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置に空調処理プログラム56Pを記憶させておき、空調装置100の要求に応じて空調処理プログラム56Pがダウンロードされ、空調装置100にインストールされるようにしてもよい。
【0059】
なお、空調装置100に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置、又はNVM56に空調処理プログラム56Pの全てを記憶させておく必要はなく、空調処理プログラム56Pの一部を記憶させておいてもよい。
【0060】
上記実施形態では、本開示の技術がソフトウェア構成によって実現される形態例を挙げて説明しているが、本開示の技術はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はPLD(Programmable Logic Device)を含むデバイスを適用してもよい。また、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0061】
上記実施形態で説明した空調処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、空調処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電子回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで空調処理を実行する。
【0062】
空調処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、空調処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0063】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、空調処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoC(System-on-a-chip)などに代表されるように、空調処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、空調処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0064】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電子回路を用いることができる。また、上記の空調処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0065】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0066】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 第1の空気取込口
3 筐体
4 冷媒コイル
5 加熱部
6 送風機
7 第2の空気取込口
8 調節部
9 冷凍機
11 検出部
50 制御装置
70 入力部
72 表示部