(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164791
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】正極活物質組成物及びその応用
(51)【国際特許分類】
H01M 4/58 20100101AFI20241120BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241120BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241120BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241120BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241120BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 E
H01M4/36 C
H01M4/13
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204105
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】202310544246.4
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522492196
【氏名又は名称】遠景動力技術(江蘇)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology(Jiangsu)Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.66 Shentai Road,Shengang Street,Jiangyin City,Wuxi City,Jiangsu Province,214443 China
(71)【出願人】
【識別番号】523454843
【氏名又は名称】遠景動力技術(湖北)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology (Hubei) Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】523454854
【氏名又は名称】遠景動力技術(鄂爾多斯市)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology (Ordos) Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】522492200
【氏名又は名称】遠景睿泰動力技術(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Intelligent Innovation Dynamics Technology (Shanghai) Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 101,Building No.2,No.2555 Xiupu Road,Kangqiao Town,Pudong New District,Shanghai,201315 China
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】呉 冠宏
(72)【発明者】
【氏名】王 文旭
(72)【発明者】
【氏名】莫 方杰
(72)【発明者】
【氏名】王 雲輝
(72)【発明者】
【氏名】劉 胡▲ユン▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 文龍
(72)【発明者】
【氏名】孫 化雨
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050DA02
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】導電性及びレート性能を向上させつつ、正極シートの圧延密度を向上させ、体積エネルギー密度を増加させるリチウムイオン二次電池の正極活物質組成物を提供する。
【解決手段】正極活物質組成物は、第1の活物質としての成分Aと、第2の活物質としての成分Bと、を少なくとも含む。第1の活物質及び第2の活物質の粒径分布は、D
minの比D
Amin/D
Bminが0.25~1.5、D
10の比D
A10/D
B10が0.1~0.6、D
50の比D
A50/D
B50が0.1~0.35、D
90の比D
A90/D
B90が0.12~0.67であり、0.2≦[(D
A90-D
A10)/D
A50]/[(D
B90-D
B10)/D
B50]≦13を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の活物質としての成分Aと、
第2の活物質としての成分Bと、を含み、
前記第1の活物質及び前記第2の活物質の粒径分布は、Dminの比DAmin/DBminが0.25~1.5、D10の比DA10/DB10が0.1~0.6、D50の比DA50/DB50が0.1~0.35、D90の比DA90/DB90が0.12~0.67であり、且つ0.2≦[(DA90-DA10)/DA50]/[(DB90-DB10)/DB50]≦13を満たす、正極活物質組成物。
【請求項2】
前記第1の活物質と前記第2の活物質の質量比は50:50~90:10である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項3】
前記第1の活物質の一般化学式は式Iであり、式IはLiaMnxFe1-x-yGyPO4であり、式中、0.9≦a≦1.10、0≦x≦1.0、0≦y≦0.02、0.5≦x/(1-x-y)≦0.9であり、元素GはTi、Mg、Ni、Co、Al、V、Cr、Zr、Nbのいずれか1つ以上である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項4】
前記元素Gのドープ量は、2000ppm~5000ppmである、請求項3に記載の正極活物質組成物。
【請求項5】
前記第2の活物質の一般化学式は式IIであり、式IIはLi1+(b/(2+b))Mn2b/(2+b)M(6/(2+b))-2O2であり、式中、0.5≦b≦1であり、元素MはNi、Co、Mn、Mg、Al、Ti、Zr、Nb、La、Sr、Wのいずれか1つ以上である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項6】
前記元素Mのドープ量は、2000ppm~5000ppmである、請求項5に記載の正極活物質組成物。
【請求項7】
前記第1の活物質の表面は炭素層で被覆され、炭素被覆量は前記第1の活物質の質量の1%~3%である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の正極活物質組成物を含む、正極シート。
【請求項9】
前記正極シートの圧延密度は、2.47g/cm3~2.79g/cm3である、請求項8に記載の正極シート。
【請求項10】
請求項8に記載の正極シートを含む、リチウムイオン二次電池。
【請求項11】
請求項10に記載のリチウムイオン二次電池を含む、電気化学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池の技術分野に関し、特に、正極活物質組成物及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
オリビン型(Olivine-type)正極材料は幅広い供給源から得られ、低コストと高い理論容量を特徴とする。しかし、リン酸鉄リチウムやリン酸マンガン鉄リチウムなどのオリビン型材料のエネルギー密度は、三元系正極材料やリチウム過剰のマンガン系材料など、他の種類の正極材料のエネルギー密度よりもはるかに低い。同時に、オリビン系材料は高温サイクル性能に劣る。
【0003】
リチウム過剰のリチウムマンガン系材料は、高い放電比容量、低い製造コスト、そして環境への優しさから多くの注目を集めている。しかし、リチウム過剰のリチウムマンガン系材料は低温性能と導電率が低く、リチウム過剰のリチウムマンガン系材料の応用は制限される。
【0004】
さらに、リン酸マンガン鉄リチウムやリチウム過剰のリチウムマンガン系材料などのオリビン系材料の圧延密度は、いずれも従来の三元系材料より低い。これにより、リン酸マンガン鉄リチウム及びリチウム過剰のリチウムマンガン系材料を使用して製造された電極シートの圧延密度の低下につながり、電池の体積エネルギー密度が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、リチウムイオン二次電池の導電性及びレート性能を向上させつつ、正極シートの圧延密度を効果的に向上させ、それによってリチウムイオン二次電池の体積エネルギー密度を増加させることができる正極活物質組成物及びその応用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術課題を解決するために、本発明は以下の技術案が提出される。
【0007】
本発明は、以下の成分を含む正極活物質組成物を提供する。
第1の活物質としての成分Aと、
第2の活物質としての成分B。
ここで、第1の活物質及び第2の活物質の粒径分布は、Dminの比DAmin/DBminが0.25~1.5、D10の比DA10/DB10が0.1~0.6、D50の比DA50/DB50が0.1~0.35、D90の比DA90/DB90が0.12~0.67であり、0.2≦[(DA90-DA10)/DA50]/[(DB90-DB10)/DB50]≦13を満たす。
【0008】
本発明の一実施形態において、第1の活物質と第2の活物質の質量比は50:50~90:10である。
【0009】
本発明の一実施形態において、第1の活物質の一般化学式は式Iであり、式IはLiaMnxFe1-x-yGyPO4であり、式中、0.9≦a≦1.10、0≦x≦1.0、0≦y≦0.02、0.5≦x/(1-x-y)≦0.9であり、元素GはTi、Mg、Ni、Co、Al、V、Cr、Zr、Nbのいずれか1以上である。
【0010】
本発明の一実施形態において、元素Gのドープ量は2000ppm~5000ppmである。
【0011】
本発明の一実施形態において、第2の活物質の一般化学式は式IIであり、式IIはLi1+(b/(2+b))Mn2b/(2+b)M(6/(2+b))-2O2であり、式中、0.5≦b≦1であり、元素MはNi、Co、Mn、Mg、Al、Ti、Zr、Nb、La、Sr、Wのいずれか1以上である。
【0012】
本発明の一実施形態において、元素Mのドープ量は2000ppm~5000ppmである。
【0013】
本発明の一実施形態において、第1の活物質の表面は炭素層で被覆され、炭素層の質量は第1の活物質の質量の1%~3%である。
【0014】
本発明は、上述した正極活物質組成物を含む正極シートも提供する。
【0015】
本発明の一実施形態において、正極シートの圧延密度は2.47g/cm3~2.79g/cm3である。
【0016】
本発明は、さらに、上述した正極シートを含むリチウムイオン二次電池を提供する。
【0017】
本発明は、さらに、上述したリチウムイオン二次電池を含む電気化学装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
したがって、本発明は、正極シートの圧延密度を効果的に向上させ、リチウムイオン二次電池の体積エネルギー密度を増加させ、リチウムイオン二次電池の導電性やイオン伝導性を向上させることにより、リチウムイオン二次電池のレート性能やサイクル性能を向上させることができる正極活物質組成物及びその応用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態又は関連技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下の説明では、実施形態又は関連技術の説明に使用する必要がある添付図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は本発明の一部の実施形態にすぎず、当業者は創造的な努力をすることなくこれらの図面に従って他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明の一実施形態におけるリチウムイオン二次電池の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施例1及び比較例1におけるリチウム電池のサイクル性能図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体例を通じて本発明の実施について説明するが、当業者であれば、本明細書に開示される内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施形態を通じて実装又は適用されてもよく、本明細書の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく、異なる観点及び応用に基づいて修正又は変更されてもよい。
【0021】
本発明は異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本発明が徹底的かつ完全なものとなり、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるように提供されるものである。なお、以下の実施例中の「%」及び「部」は、特に説明がない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0022】
本発明の技術案は、いくつかの実施形態及び添付の図面と併せて以下でさらに詳細に説明される。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態の一部にすぎず、すべてではない。本発明の実施形態に基づいて、創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0023】
リチウム遷移金属酸化物は、低価格と高い比容量を特徴とするリチウム電池の正極活物質として期待されている。リチウム遷移金属酸化物からなるリチウムイオン二次電池は、携帯電話、タブレットPC、ノートパソコン、デジタルカメラ及びその他の携帯電子製品や電動自転車、電気自動車などの車両に広く使用されている。本発明は、電池の体積エネルギー密度及び定格性能を向上させることができ、各種電子製品及び電気自動車の分野に適用できる正極活物質組成物及びその応用を提供する。
【0024】
本発明は、成分Aと、成分Bと、を含む正極活物質組成物を提供する。成分Aは第1の活物質であり、成分Bは第2の活物質であり、第1の活物質と第2の活物質のメディアン径D50の比DA50/DB50は、例えば、0.1~0.35である。さらに、第1の活物質と第2の活物質のメディアン径D50の比DA50/DB50は、例えば、0.2~0.3である。メディアン径D50の比がこの範囲にあると、第1の活物質と第2の活物質との間の粒子のグラデーション効果が最も抑制され、作製される正極シートの圧延密度が高くなる。第1の活物質の粒径分布は、DAminが0.1μm~0.3μm、DA10が0.3μm~0.6μm、DA50が0.7μm~2.5μm、DA90が3.0μm~10μmを満たす。第2の活物質の粒径分布は、DBminが0.2μm~0.4μm、DB10が1μm~3μm、DB50が7μm~11μm、DB90が15μm~25μmを満たす。第1の活物質と第2の活物質の粒子径の比は、Dminの比DAmin/DBminが0.25~1.5、D10の比DA10/DB10が0.1~0.6、D50の比DA50/DB50が0.1~0.35、D90の比DA90/DB90が0.12~0.67、及び0.2≦[(DA90-DA10)/DA50]/[(DB90-DB10)/DB50]≦13を満たす。上記の範囲内では、二種類の活物質の粒径設計がより合理的となり、それによってより優れた圧延密度とレート性能が達成される。
【0025】
本発明の一実施形態において、第1の活物質は、例えば、リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)材料から選択され、第1の活物質の一般化学式は式Iであり、式Iは、例えば、LiaMnxFe1-x-yGyPO4であり、式中、0.9≦a≦1.10、0≦x≦1.0、0≦y≦0.02、0.5≦x/(1-x-y)≦0.9であり、元素Gは、例えば、Ti、Mg、Ni、Co、Al、V、Cr、Zr又はNbなどのいずれか1つ以上である。元素Gは、第1の活物質の導電率及びイオン伝導性を向上させ、それによりリチウムイオン二次電池のレート特性を向上させる。さらに、元素Gのドープ量は2000ppm~5000ppmであり、元素Gのドープ量は、元素Mn、Fe、Gの合計質量に対する元素Gの質量の比として定義される。元素Gの含有量が少なすぎると、リチウムイオン二次電池のレート特性を向上させる効果が顕著ではなく、元素Gの含有量が多すぎると、活性サイトが減少し、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度が低下する。
【0026】
本発明の一実施形態において、例えば、第1の活物質の表面には炭素(C)層が被覆されており、炭素の被覆量は、例えば、第1の活物質の質量の1%~3%である。さらに、炭素の被覆量は、例えば、第1の活物質の質量の1.2%~2%である。炭素被覆の質量が上記範囲内であると、第1の活物質の導電性が向上し、それにより電池のレート特性が向上する。同時に、第1の活物質へのMnの溶出が減少し、それにより電池のサイクル性能が向上する。炭素被覆量が少なすぎ、第1の活物質の質量の1%未満であると、被覆効果が乏しく、Mnの溶出を効果的に阻止できない可能性がある。炭素被覆量が多すぎ、第1の活物質の質量の3%を超えると、活性サイトが減少する。本発明の一実施形態では、1以上の均一な炭素(C)層が第1の活物質の表面に被覆されており、炭素層によって覆われた第1の活物質の面積は、第1の活物質の表面積の100%である。他の実施形態において、炭素層によって覆われた第1の活物質の面積は、第1の活物質の表面積の100%未満であってもよい。本実施形態では、第1の活物質は、例えば、LiMn0.6Fe0.4PO4/Cから選択され、炭素被覆量はLiMn0.6Fe0.4PO4の質量の2%である。
【0027】
本発明の一実施形態において、第2の活物質は、例えば、リチウム過剰のリチウムマンガン系材料(LMRO)を含む。第2の活物質の一般化学式は式IIであり、式IIは、例えば、LLi1+(b/(2+b))Mn2b/(2+b)M(6/(2+b))-2O2であり、式中、0.5≦b≦1であり、元素MはNi、Co、Mn、Mg、Al、Ti、Zr、Nb、La、Sr、Wのいずれか1以上である。元素Mは、第2の活物質の導電率及びイオン伝導性を向上させ、それによりリチウムイオン二次電池のレート特性を向上させる。さらに、元素Mのドープ量は2000ppm~5000ppmであり、元素Mのドープ量は、元素Mnと元素Mの合計質量に対する元素Mの質量の比として定義される。元素Mの含有量が少なすぎると、リチウムイオン二次電池のレート特性の向上効果が顕著でない。元素Mの含有量が多すぎると、活性サイトが減少し、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度が低下する。本実施形態において、第2の活物質は、例えば、Li1.1Mn0.6Ni0.4O2から選択される。
【0028】
本発明の一実施形態において、第1の活物質と第2の活物質の質量比は、例えば、50:50~90:10である。第1の活物質と第2の活物質とが混合されて二次粒子が形成されることにより、正極シートの保液性が向上し、それによりリチウムイオン二次電池のレート性能が向上する。同時に、第1の活物質は第2の活物質の導電性を著しく増加させ、第2の活物質は第1の活物質の圧延密度を増加させることができる。第1の活物質と第2の活物質を上記の質量比で混合すると、作製された正極シートの圧延密度が最も高くなり、同時にレート性能が最適になる。
【0029】
図1を参照すると、本発明は、上述の正極活物質組成物を含む正極シートも提供する。本発明の一実施形態において、正極シート100は、正極集電体と、導電剤と、バインダーと、上述の正極活物質と、を含む。正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ニッケル集電体、又は複合集電体から選択することができる。導電剤は、例えば、導電性カーボンブラック(SuperP、SP)、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、及びグラフェンから選択されるいずれか1つ以上である。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド(PA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリヘキサフルオロプロピレン、又は重合スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択されるいずれか1つ以上である。
【0030】
図1を参照すると、本実施形態において、正極集電体はアルミニウム箔から選択され、導電剤はSPから選択され、バインダーはPVDFから選択され、正極活物質はLiMn
0.6Fe
0.4PO
4/C及びLi
1.1Mn
0.6Ni
0.4O
2から選択される。この例では、0.8μmのメディアン径D
A50を有する85%のLiMn
0.6Fe
0.4PO
4/Cを、8μmのメディアン径D
B50を有する15%のLi
1.1Mn
0.6Ni
0.4O
2と混合して、二次球状粒子を形成した。球状粒子、SPとPVDFを、例えば97:1.5:1.5の重量比で混合した後、NMPを添加し、系が均一になるまで真空ミキサーを用いて撹拌し、正極スラリーを得た。正極スラリーをアルミニウム箔上に均一に塗布し、アルミニウム箔を送風乾燥炉に入れ、120℃で10分間乾燥させ、乾燥させた電極シートを圧延し、切断して、正極シート100を作製した。
【0031】
図1を参照すると、本発明は、多様な電子機器に適用できるリチウムイオン二次電池も提供する。リチウムイオン二次電池は、正極シート100と、セパレータ200と、負極シート300と、電解液400と、を含む。正極シート100及び負極シート300はセパレータ200の両側に位置し、正極シート100、セパレータ200及び負極シート300は電解液400に浸漬されている。
【0032】
図1を参照すると、本発明の一実施形態において、負極シート300は、負極集電体と、導電剤と、バインダーと、負極活物質と、を含む。負極集電体は、例えば、銅箔などから選択されて良い。導電剤は、例えば、導電性カーボンブラック(SuperP、SP)、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、及びグラフェンから選択されるいずれか1つ以上である。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド(PA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリヘキサフルオロプロピレン、又は重合スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択されるいずれか1つ以上である。負極活物質は、天然黒鉛、人造黒鉛、結晶質炭素、非晶質炭素、又は炭素複合材料のいずれか1つ以上である。
【0033】
図1を参照すると、本実施形態において、負極活物質は、例えば、人造黒鉛から選択される。導電剤は、例えば、SPから選択される。バインダーは、例えば、スチレンブタジエンゴムから選択される。増粘剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される。本実施形態では、人造黒鉛、導電性カーボンブラック、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スチレンブタジエンゴムを96:1:1:2の質量比で混合し、例えば、脱イオン水を加え、真空ミキサースラリーの作用により、負極スラリーを得た。負極スラリーを負極集電体の銅箔上に均一に塗布し、銅箔を送風乾燥炉に入れ、120℃で10分間乾燥させた。そして、乾燥させた電極シートを圧延し、切断して負極シート300を作製した。
【0034】
図1を参照すると、本発明の一実施形態において、セパレータ200は、例えば、ポリエチレン(PE)フィルムやポリプロピレン(PP)フィルムから選択される。セパレータ200の厚みは、例えば、9μm~18μmであり、透気度は、例えば、180秒/100mL~380秒/100mLであり、空孔率は、例えば30%~50%である。
【0035】
図1を参照すると、本発明の一実施形態において、電解液400は、例えば、リチウム塩及び有機溶媒を含む。リチウム塩は、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO
2F
2)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSi)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF
4)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(1-)(LiDFOB)又はビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム(LiBOB)から選択されるいずれか1つ以上である。本実施形態では、リチウム塩は、例えば、LiPF
6が選択される。本発明の一実施形態において、リチウム塩の含有量は、電解液400の質量に対して、例えば、4重量%~24重量%であり、有機溶媒の含有量は、電解液400の質量に対して、例えば、96重量%~76重量%である。有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、又はポリカーボネート(PC)から選択されるいずれか1つ以上である。
【0036】
図1を参照すると、本発明の一実施形態において、正極と負極との間にセパレータ200が位置するように、正極シート100、セパレータ200、負極シート300を順次積層して絶縁した。次に、積層シートをアルミニウムプラスチックフィルムで包み、真空オーブンに移して100℃~130℃で乾燥させた。電解液400を注入して封止した。電解液の注入量は、例えば、3.0g/Ahであった。電解液注入後、4.5V形成及びエージング工程を経て、最終的に容量1Ahのパウチ電池、すなわちリチウムイオン二次電池を作製した。
【0037】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であり、それらも全て本発明の技術的範囲に属するものである。
【0038】
実施例1
【0039】
正極活物質組成物の作製:0.8μmのメディアン径DA50を有する85%のLiMn0.6Fe0.4PO4/Cと、8μmの径DB50を有する15%のLi1.1Mn0.6Ni0.4O2を混合し、二次球状粒子を形成した。
【0040】
正極の作製:上述の正極活物質組成物、SP、PVDFを97:1.5:1.5の重量比で混合した後、NMPを加え、系が均一になるまで真空ミキサーを用いて撹拌し、正極スラリーを得た。正極スラリーをアルミニウム箔上に均一に塗布し、アルミニウム箔を送風乾燥炉に入れ、120℃で10分間乾燥し、乾燥した電極シートを圧延し、切断して、正極シートを作製した。
【0041】
リチウムイオン二次電池の作製:上述した正極シート、セパレータ、負極シートを順次積層して、積層シートをアルミニウムプラスチックフィルムで被覆し、電解液を注入して封止した。4.5V形成及びエージング工程を経て、最終的に容量1Ahのパウチ電池、すなわちリチウムイオン二次電池を作製した。
【0042】
実施例2
【0043】
LiMn0.6Fe0.4PO4/Cのメディアン径DA50を1μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0044】
実施例3
【0045】
LiMn0.6Fe0.4PO4/Cのメディアン径DA50を1.2μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0046】
実施例4
【0047】
LiMn0.6Fe0.4PO4/Cのメディアン径DA50を0.4μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0048】
実施例5
【0049】
LiMn0.6Fe0.4PO4/Cのメディアン径DA50を2μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0050】
実施例6
【0051】
LiMn0.6Fe0.4PO4/Cのメディアン径DA50を2.5μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0052】
実施例7
【0053】
LiMn0.6Fe0.4PO4/Cのメディアン径DA50を0.3μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0054】
実施例8
【0055】
LiMn0.6Fe0.4PO4/Cのメディアン径DA50を2.9μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0056】
実施例9
【0057】
Li1.1Mn0.6Ni0.4O2のメディアン径DB50を7μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0058】
実施例10
【0059】
Li1.1Mn0.6Ni0.4O2のメディアン径DB50を11μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0060】
実施例11
【0061】
Li1.1Mn0.6Ni0.4O2のメディアン径DB50を4μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0062】
実施例12
【0063】
Li1.1Mn0.6Ni0.4O2のメディアン径DB50を15μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0064】
実施例13
【0065】
Li1.1Mn0.6Ni0.4O2のメディアン径DB50を22μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0066】
実施例14
【0067】
Li1.1Mn0.6Ni0.4O2のメディアン径DB50を18μmに変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0068】
実施例15
【0069】
LiMn0.6Fe0.4PO4/CとLi1.1Mn0.6Ni0.4O2の質量比を70%:30%に変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0070】
実施例16
【0071】
LiMn0.6Fe0.4PO4/CとLi1.1Mn0.6Ni0.4O2の質量比を60%:40%に変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0072】
実施例17
【0073】
LiMn0.6Fe0.4PO4/CとLi1.1Mn0.6Ni0.4O2の質量比を50%:50%に変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0074】
実施例18
【0075】
LiMn0.6Fe0.4PO4/CとLi1.1Mn0.6Ni0.4O2の質量比を90%:10%に変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0076】
比較例1
【0077】
LiMn0.6Fe0.4PO4/CとLi1.1Mn0.6Ni0.4O2の質量比を49%:51%に変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0078】
比較例2
【0079】
LiMn0.6Fe0.4PO4/CとLi1.1Mn0.6Ni0.4O2の質量比を91%:9%に変更し、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0080】
比較例3
【0081】
正極活物質は、メディアン径D50が0.8μmのLiMn0.6Fe0.4PO4/Cとし、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0082】
比較例4
【0083】
正極活物質は、メディアン径D50が8μmのLi1.1Mn0.6Ni0.4O2とし、その他の操作手順は実施例1と同様とした。
【0084】
電極シートの圧延密度試験:正極シートを12MPaで圧延して、正極シートの圧延密度を試験した。
【0085】
サイクル試験:1C、45℃、2.5V~4.2Vの範囲で充放電を500サイクル行い、1サイクル目に対する500サイクル目の容量比を容量維持率として記録した。
【0086】
レート性能試験:電圧範囲2.5V~4.2V、電流密度3C、1/3Cの条件下でのレート放電性能(容量維持率)をそれぞれ試験した。
【0087】
低温容量維持率:25℃において1Cの定電流定電圧で4.2V(カットオフ電流0.05C)まで充電した後、1Cの定電流で2.0Vまで放電した。次に、25℃において1Cの定電流定電圧で4.2V(カットオフ電流0.05C)まで再度充電し、電池セルを-20℃に置き、1Cで2.0Vまで放電し、25℃における1Cの放電容量に対する放電容量の比が低温容量維持率である。
【0088】
各種実施例及び各種比較例における正極シートの圧延密度を試験し、正極シートをリチウムイオン二次電池として作製し、リチウムイオン二次電池の性能を試験した。試験結果を表1に示す。
各種実施例及び各種比較例におけるリチウムイオン二次電池の性能は以下のとおり。
【0089】
【0090】
実施例1及び比較例3~4と組み合わせた表1を参照されたい。比較例3では、正極活物質はLiMn0.6Fe0.4PO4/Cであり、電池のレート性能は93.5%であったが、電極シートの圧延密度は2.30g/cm3に過ぎず、比較例4の正極活物質はLi1.2Mn0.6Ni0.2O2であり、電極シートの圧延密度は3.08g/cm3に過ぎなかったが、電池のレート性能86.7%に過ぎなかった。つまり、LiMn0.6Fe0.4PO4/Cを単独で使用すると、電極シートの圧延密度が低くなり、電池の体積エネルギー密度が低くなるなどの問題がある。Li1.2Mn0.6Ni0.2O2を単独で使用すると、導電性が低下するという問題が発生し、電池レート性能が低下する。実施例1では、上記の二種類の材料が組み合わされており、電極シートの圧延密度は2.55g/cm3であり、電池のレート性能は93.7%であり、電極シートはより高い圧延密度を有し、それにより電池の体積エネルギー密度が向上し、電池のレート性能も向上する。
【0091】
図2及び表1を参照し、実施例1、実施例15~20及び比較例1~2と組み合わせて、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比を比較する。
図1によれば、実施例1において、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比は85%:15%であり、作製されたリチウム電池の500サイクル後の容量維持率は93.7%であったが、比較例1では、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/Cの含有量は大幅に減少し、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比は49%:51%となった。作製されたリチウム電池の容量維持率は、500サイクル後に90.1%に過ぎず、比較例2では、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/Cの含有量が大幅に増加し、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比が91%:9%となった。リチウム電池のレート性能は93.6%に維持されたが、電極シートの圧延密度は2.44g/cm
3に過ぎなかった。実施例15~18において、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比は50%:50%~90%:10%の範囲であり、電極シートの圧延密度はより高く、圧延密度は最高で2.78g/cm
3に達し、レート性能は最適で最大93.6%であった。さらに、実施例1~14と組み合わせると、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/Cのメディアン径D
50は0.7μm~2.5μmであり、Li
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2のメディアン径D
50は7μm~11μmであり、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2のD
50の比は0.1~0.35であり、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の間の粒子のグラデーション効果が最も抑制され、それによりシートの圧延密度が高くなり、電池のレート性能が向上する。
【0092】
表1を参照すると、本発明によって提供される正極活物質組成物は、粒子間の良好なグラデーション効果を有する。正極活物質組成物を正極シートに調製することにより、正極シートの圧延密度は2.47g/cm3~2.79g/cm3に達し、それによりリチウム電池の性能が向上し、作製されたリチウム電池のレート性能は91.0%~93.7%に達することができる。
【0093】
まとめると、本発明は、正極活物質組成物及びその応用を提供する。二種類の活物質を配合することにより、リチウムイオン二次電池の低温性能と導電率が向上する。二種類の活物質のメディアン径比を0.1~0.35の範囲内に制御することにより、二種類の粒子のグラデーション効果が向上し、それにより電極シートの圧延密度が効果的に向上し、その結果、リチウムイオン二次電池の体積エネルギー密度が増加する。さらに、二種類の活物質に金属イオンをドープすることにより、正極材料の導電率及びイオン伝導性が向上し、それによりリチウムイオン二次電池のレート特性及びサイクル特性が向上する。
【0094】
上記の説明は、本出願の好ましい実施形態にすぎず、採用された技術原理の説明にすぎない。当業者は、本発明に含まれる開示の範囲が、上記の技術的特徴の特定の組み合わせによって形成される技術的解決策に限定されないことを理解すべきである。同時に、開示の範囲には、例えば、上述の特徴を、同様の機能を有する本発明で開示される技術的特徴(ただし、これに限定されない)に置換することによって形成される技術的解決策など、本発明の概念から逸脱することなく、上記の技術的特徴又はその均等物の任意の組み合わせによって形成される他の技術的解決策も含まれるべきである。
【0095】
本明細書に記載された技術的特徴を除いて、残りの技術的特徴は当業者に知られている。本発明の革新的な特徴を強調するために、残りの技術的特徴についてはここでは繰り返さない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明により提供される正極活物質組成物は、リチウムイオン二次電池に適用され得る。
【符号の説明】
【0097】
100: 正極シート
200: セパレータ
300: 負極シート
400: 電解液
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の活物質としての成分Aと、
第2の活物質としての成分Bと、を含み、
前記第1の活物質及び前記第2の活物質の粒径分布は、Dminの比DAmin/DBminが0.25~1.5、D10の比DA10/DB10が0.1~0.6、D50の比DA50/DB50が0.1~0.35、D90の比DA90/DB90が0.12~0.67であり、且つ0.2≦[(DA90-DA10)/DA50]/[(DB90-DB10)/DB50]≦13を満たす、正極活物質組成物。
【請求項2】
前記第1の活物質と前記第2の活物質の質量比は50:50~90:10である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項3】
前記第1の活物質の一般化学式は式Iであり、式IはLiaMnxFe1-x-yGyPO4であり、式中、0.9≦a≦1.10、0≦x≦1.0、0≦y≦0.02、0.5≦x/(1-x-y)≦0.9であり、元素GはTi、Mg、Ni、Co、Al、V、Cr、Zr、Nbのいずれか1つ以上である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項4】
前記元素Gのドープ量は、2000ppm~5000ppmである、請求項3に記載の正極活物質組成物。
【請求項5】
前記第2の活物質の一般化学式は式IIであり、式IIはLi1+(b/(2+b))Mn2b/(2+b)M(6/(2+b))-2O2であり、式中、0.5≦b≦1であり、元素MはNi、Co、Mn、Mg、Al、Ti、Zr、Nb、La、Sr、Wのいずれか1つ以上である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項6】
前記元素Mのドープ量は、2000ppm~5000ppmである、請求項5に記載の正極活物質組成物。
【請求項7】
前記第1の活物質の表面は炭素層で被覆され、前記炭素層の質量は前記第1の活物質の質量の1%~3%である、請求項1に記載の正極活物質組成物。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の正極活物質組成物を含む、正極シート。
【請求項9】
前記正極シートの圧延密度は、2.47g/cm3~2.79g/cm3である、請求項8に記載の正極シート。
【請求項10】
請求項8に記載の正極シートを含む、リチウムイオン二次電池。
【請求項11】
請求項10に記載のリチウムイオン二次電池を含む、電気化学装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図1を参照すると、本実施形態において、負極活物質は、例えば、人造黒鉛から選択される。導電剤は、例えば、SPから選択される。バインダーは、例えば、スチレンブタジエンゴムから選択される。増粘剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される。本実施形態では、人造黒鉛、導電性カーボンブラック、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スチレンブタジエンゴムを96:1:1:2の質量比で混合し、例えば、脱イオン水を加え、真空ミキサ
ーの作用により、負極スラリーを得た。負極スラリーを負極集電体の銅箔上に均一に塗布し、銅箔を送風乾燥炉に入れ、120℃で10分間乾燥させた。そして、乾燥させた電極シートを圧延し、切断して負極シート300を作製した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
図2及び表1を参照し、実施例1、実施例15~20及び比較例1~2と組み合わせて、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比を比較する。図
2によれば、実施例1において、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比は85%:15%であり、作製されたリチウム電池の500サイクル後の容量維持率は93.7%であったが、比較例1では、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/Cの含有量は大幅に減少し、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比は49%:51%となった。作製されたリチウム電池の容量維持率は、500サイクル後に90.1%に過ぎず、比較例2では、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/Cの含有量が大幅に増加し、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比が91%:9%となった。リチウム電池のレート性能は93.6%に維持されたが、電極シートの圧延密度は2.44g/cm
3に過ぎなかった。実施例15~18において、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の質量比は50%:50%~90%:10%の範囲であり、電極シートの圧延密度はより高く、圧延密度は最高で2.78g/cm
3に達し、レート性能は最適で最大93.6%であった。さらに、実施例1~14と組み合わせると、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/Cのメディアン径D
50は0.7μm~2.5μmであり、Li
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2のメディアン径D
50は7μm~11μmであり、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2のD
50の比は0.1~0.35であり、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4/CとLi
1.2Mn
0.6Ni
0.2O
2の間の粒子のグラデーション効果が最も抑制され、それによりシートの圧延密度が高くなり、電池のレート性能が向上する。
【外国語明細書】