(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164799
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】素子内蔵基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024026768
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】63/466,385
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521560126
【氏名又は名称】アブソリックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Absolics Inc.
【住所又は居所原語表記】3000 SKC Drive,Covington,GA 30014,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、テキョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジンチョル
(72)【発明者】
【氏名】オ、ジュンロク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンジン
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC12
5E316CC18
5E316CC32
5E316JJ13
5E316JJ25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】絶縁層(絶縁材)の形成後、全領域において厚さを一定に維持する素子内蔵基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】素子内臓基板は、一面から厚さ方向に窪んで形成された内部空間でり、内面にはキャビティ伝導層22cを含むキャビティ23を含むコア基板21と、キャビティ23に配置された素子パッケージ18と、を含む。素子パッケージ18は、1つ以上の素子11が配列されたものであり、素子パッケージ18の少なくとも一部を取り囲む基板絶縁材12を含み、素子内蔵基板の一面側から観察したとき、素子内蔵基板は、キャビティが配置された領域であるキャビティ領域及びキャビティ領域以外の領域である基板領域を含み、基板領域での素子内蔵基板の厚さと、キャビティ領域での素子内蔵基板の厚さとの差の絶対値が50μm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面を含み、前記一面から厚さ方向に窪んで形成された内部空間であるキャビティを含むコア基板と、
前記キャビティに配置された素子パッケージとを含む素子内蔵基板であって、
前記素子パッケージは、1つ以上の素子が配列されたものであり、
前記素子内蔵基板は、前記素子パッケージの少なくとも一部を取り囲む基板絶縁材を含み、
前記素子内蔵基板の一面側から観察したとき、前記素子内蔵基板は、前記キャビティが配置された領域であるキャビティ領域、及び前記キャビティ領域以外の領域である基板領域を含み、前記基板領域での前記素子内蔵基板の厚さと、前記キャビティ領域での前記素子内蔵基板の厚さとの差の絶対値が50μm以下である、素子内蔵基板。
【請求項2】
前記素子パッケージは、1つ以上の素子、及び前記素子の少なくとも一部を取り囲む素子絶縁材を含み、
前記素子絶縁材は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含む、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項3】
前記コア基板はガラス系物質を含み、
前記ガラス系物質は、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、鉛ガラス、アルミノシリケートガラス、石英ガラス及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含む、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項4】
前記コア基板の厚さは100μm~2000μmである、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項5】
前記コア基板は、前記基板領域において厚さ方向に貫通したコアビアをさらに含む、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項6】
前記コア基板は、前記キャビティを取り囲む内側面であるコア内側面を含み、
前記コア基板の一面及び前記コア内側面上に配置された伝導層を含む、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項7】
前記素子パッケージに含まれた素子は2つ以上であり、
隣り合う前記素子間の間隔は30μm~300μmである、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項8】
前記コア基板は、前記キャビティを取り囲む内側面であるコア内側面を含み、
前記素子の側面上に位置する第1点、及び前記コア内側面に位置する第2点を含み、
前記第1点と前記第2点との間の距離の最小値は20μm~150μmである、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項9】
前記素子パッケージの厚さは335μm~665μmである、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項10】
前記素子内蔵基板の面内方向への断面から観察したとき、前記キャビティの面積に対する、前記キャビティの面積から前記素子の面積を引いた値の比率が2.5%~15%である、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項11】
前記素子内蔵基板の厚さ方向への断面から観察したとき、前記キャビティの面積に対する、前記キャビティの面積から前記素子の面積を引いた値の比率が2.5%~15%である、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項12】
前記キャビティの体積に対する、前記キャビティの体積から前記素子の体積を引いた値の比率が2%~18%である、請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項13】
一面を含み、前記一面から厚さ方向に窪んで形成された内部空間であるキャビティを含むコア基板と、1つ以上の素子が配列された素子パッケージとを設けるステップと、
前記キャビティ内に前記素子パッケージを配置し、前記素子パッケージの少なくとも一部を取り囲む基板絶縁材を形成するステップとを含む、素子内蔵基板の製造方法。
【請求項14】
前記基板絶縁材を形成するステップは、前記素子パッケージの少なくとも一部を取り囲むように基板絶縁材原料を充填する過程と、前記基板絶縁材原料を硬化させて前記基板絶縁材を形成する過程とを含む、請求項13に記載の素子内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、素子内蔵基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業が発展するにつれ、電子製品も高密度、多機能及び小型化が求められている。素子内蔵基板、パッケージは、受動素子又は能動素子をパッケージ基板の内部に内蔵する。このような方式は、回路の長さを短縮させ、電気的特性を改善することができ、パッケージ基板の信頼性を高め、製造コストを削減することもできる。
【0003】
しかし、ガラス基板などの基板に多数の素子を内蔵しようとする場合、特に、多数の素子を隣接して配列して内蔵する場合には、素子間の離隔が必要であり、基板の全領域において絶縁層の形成後、厚さを一定に維持することが難しいこともある。形成後に基板の厚さが均一でないと、レーザーなどを通じてビアの加工時に深さのばらつきが発生するおそれがあり、回路の形成が制限され得る。
【0004】
円滑な回路の形成及び性能の最適化のために、素子内蔵基板の全領域において絶縁層の形成後、厚さを一定に維持することができる様々な構成案について考慮する必要がある。
【0005】
前述した背景技術は、発明者が具現例の導出のために保有していた、または導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【0006】
関連する先行技術として、韓国公開特許第10-2021-0068579号に開示された"パッケージング基板及びこれを含む半導体装置"などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
具現例の目的は、絶縁層(絶縁材)の形成後、全領域において厚さを一定に維持することができる素子内蔵基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、具現例に係る素子内蔵基板は、
一面を含み、前記一面から厚さ方向に窪んで形成された内部空間であるキャビティを含むコア基板と;前記キャビティに配置された素子パッケージと;を含む。
【0009】
前記素子パッケージは、1つ以上の素子が配列されたものである。
【0010】
前記素子内蔵基板は、前記素子パッケージの少なくとも一部を取り囲む基板絶縁材を含む。
【0011】
前記素子内蔵基板の一面側から観察したとき、前記素子内蔵基板は、前記キャビティが配置された領域であるキャビティ領域、及び前記キャビティ領域以外の領域である基板領域を含む。
【0012】
前記基板領域での前記素子内蔵基板の厚さと、前記キャビティ領域での前記素子内蔵基板の厚さとの差の絶対値が50μm以下であってもよい。
【0013】
前記素子パッケージは、1つ以上の素子、及び前記素子の少なくとも一部を取り囲む素子絶縁材を含むことができる。
【0014】
前記素子絶縁材は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含むことができる。
【0015】
前記コア基板はガラス系物質を含むことができる。
【0016】
前記ガラス系物質は、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、鉛ガラス、アルミノシリケートガラス、石英ガラス及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含むことができる。
【0017】
前記コア基板の厚さは100μm~2000μmであってもよい。
【0018】
前記コア基板は、前記基板領域において厚さ方向に貫通したコアビアをさらに含むことができる。
【0019】
前記コア基板は、前記キャビティを取り囲む内側面であるコア内側面を含むことができる。
【0020】
前記素子内蔵基板は、前記コア基板の一面及び前記コア内側面上に配置された伝導層を含むことができる。
【0021】
前記素子パッケージに含まれた素子は2つ以上であってもよい。
【0022】
隣り合う前記素子間の間隔は30μm~300μmであってもよい。
【0023】
前記素子内蔵基板は、前記素子の表面上に位置する第1点、及び前記コア内側面に位置する第2点を含むことができる。
【0024】
前記第1点と前記第2点との間の距離の最小値は20μm~150μmであってもよい。
【0025】
前記素子パッケージの厚さは335μm~665μmであってもよい。
【0026】
前記素子内蔵基板の面内方向への断面から観察したとき、前記キャビティの面積に対する、前記キャビティの面積から前記素子の面積を引いた値の比率が2.5%~15%であってもよい。
【0027】
前記素子内蔵基板の厚さ方向への断面から観察したとき、前記キャビティの面積に対する、前記キャビティの面積から前記素子の面積を引いた値の比率が2.5%~15%であってもよい。
【0028】
前記キャビティの体積に対する、前記キャビティの体積から前記素子の体積を引いた値の比率が2%~18%であってもよい。
【0029】
上記の目的を達成するために、具現例に係る素子内蔵基板の製造方法は、一面を含み、前記一面から厚さ方向に窪んで形成された内部空間であるキャビティを含むコア基板と;1つ以上の素子が配列された素子パッケージと;を設けるステップと、前記キャビティ内に前記素子パッケージを配置し、前記素子パッケージの少なくとも一部を取り囲む基板絶縁材を形成するステップとを含む。
【0030】
前記基板絶縁材を形成するステップは、前記素子パッケージの少なくとも一部を取り囲むように基板絶縁材原料を充填する過程と、前記基板絶縁材原料を硬化させて前記基板絶縁材を形成する過程とを含むことができる。
【発明の効果】
【0031】
具現例に係る素子内蔵基板は、別途の素子パッケージをコア基板のキャビティ内に配置し、基板絶縁材で素子パッケージを封止することで、キャビティが含まれたキャビティ領域とそれ以外の基板領域との厚さの差が少なく、円滑に微細回路を形成させることができる。また、素子内蔵基板の製造過程において、添加剤や熱処理などによる素子の変形、損傷、移動などを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】(a)は、具現例に係る素子パッケージの一例を示したものであり、(b)は、具現例に係るコア基板の一例を示したものである。
【
図2】具現例に係る素子内蔵基板の一例を示した概略図である。
【
図3】問題点が存在する素子内蔵基板の一例を示した概略図である。
【
図4】具現例に係る素子内蔵基板を製造する過程を示した概略図である。
【
図5】(a)は、具現例に係る素子パッケージの他の一例を示したものであり、(b)は、具現例に係るコア基板の他の一例を示したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、一つ以上の具現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0034】
本明細書において、ある構成が他の構成を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、それ以外の他の構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0035】
本明細書において、ある構成が他の構成と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「それらの間に他の構成を介在して連結」されている場合も含む。
【0036】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、またはそれらの間に他の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0037】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0038】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0039】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0040】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0041】
素子内蔵基板100
前記の目的を達成するために、具現例に係る素子内蔵基板100は、
一面を含み、前記一面から厚さ方向に窪んで形成された内部空間であるキャビティ23を含むコア基板21と、
前記キャビティに配置された素子パッケージ18とを含む素子内蔵基板である。
【0042】
前記コア基板21は、一面、及び前記一面と向かい合う他面を含むことができる。前記一面は、コア基板21の上面であってもよい。前記他面は、コア基板21の下面であってもよい。
【0043】
前記素子パッケージ18は、1つ以上の素子11が配列されたものであり、
前記素子内蔵基板100は、前記素子パッケージの少なくとも一部を取り囲む基板絶縁材27を含む。基板絶縁材27は、素子パッケージ18を封止するように形成され得る。
【0044】
前記素子内蔵基板100の一面側から観察したとき、前記素子内蔵基板100は、前記キャビティが配置された領域であるキャビティ領域201、及び前記キャビティ領域201以外の領域である基板領域202を含み、前記基板領域202での素子内蔵基板100の平均厚さと、前記キャビティ領域201での素子内蔵基板100の平均厚さとの差の絶対値TDが50μm以下であってもよい。前記TDは、前記基板領域202での素子内蔵基板100の平均厚さから、前記キャビティ領域201での素子内蔵基板100の平均厚さを引いた値であってもよい。例示的に、前記絶対値TDは、
図2に示したように、硬化処理された基板絶縁材27及び伝導層が備えられた素子内蔵基板100において、キャビティ領域201での平均厚さと基板領域202での平均厚さとの差の絶対値であってもよい。
【0045】
前記TDは40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、または20μm以下であってもよい。前記TDは0μmであってもよく、0μm超であってもよく、または1μm以上であってもよい。このようなTDの範囲を有することによって、素子内蔵基板100の全域において均一な厚さの基板絶縁材27層を有するようにすることができ、厚さの平坦化のための別途のグラインディング工程を最小化又は省略することもできる。
【0046】
図3では、素子パッケージ18を設けずに、基板Bのキャビティに素子Aを配置し、絶縁材を充填及びモールディングして得られる任意の素子内蔵基板1が示されている。このような場合、素子が配置された領域とそれ以外の領域との厚さの差がさらに大きくなる問題が発生することがあり、基板の信頼性及び回路の形成に否定的な影響を及ぼすことがある。また、配列される素子の厚さが異なる場合、最も厚さが薄い素子の上部に空き空間が増加するようになり、絶縁材の充填時に厚さの差の問題がさらに深刻になるおそれがある。
【0047】
具現例は、
図3で発生する問題を解決するために、
図2に示されたように、素子パッケージ18を導入し、前記素子パッケージ18をコア基板のキャビティに配置した後、基板絶縁材27で封止処理することで、素子11が配置された領域とそれ以外の領域との厚さの差を最小化した。
【0048】
図1、
図2などを参照すると、前記素子パッケージ18は、1つ以上の素子11と、前記素子の少なくとも一部を取り囲む素子絶縁材12とを含むことができる。前記素子11は、前記素子絶縁材12内で一列に配列されたものであってもよく、または所定の間隔で規則的に横、縦にそれぞれ2つ以上で複数配列されたものであってもよい。前記素子パッケージ18は、前記配列された素子11が固定及び絶縁されるように、素子絶縁材12でモールディング処理されたものであってもよい。
【0049】
前記素子パッケージ18に含まれた素子11は、
図5(a)に示されたように1つであってもよく、
図5(b)に示されたようなコア基板21に収容され得る。素子11が1つである場合にも、素子内蔵基板100の形成時に前記TD値の範囲を満たすことができ、絶縁材層の厚さの不均一の問題を最小化することができる。
【0050】
前記素子パッケージ18に含まれた素子11が2つ以上であるとき、隣り合う素子11間の間隔が30μm~300μmであってもよく、50μm~250μmであってもよく、または80μm~200μmであってもよい。
【0051】
前記素子パッケージ18に含まれた素子11が2つ以上であるとき、隣り合う素子11間の平均間隔が30μm~300μmであってもよく、50μm~250μmであってもよく、または80μm~200μmであってもよい。
【0052】
このような間隔を有するようにして、コア基板のキャビティ内で干渉の発生を最小化し、空間活用度を高めることができる。
【0053】
前記素子パッケージ18の厚さは335μm~665μmであってもよく、370μm~620μmであってもよく、または400μm~600μmであってもよい。前記素子パッケージの厚さは、実質的に伝導層22を除いた前記コア基板21の厚さと同一であり得る。前記コア基板21の厚さから前記素子パッケージ18の厚さを引いた値が1μm~30μmであってもよい。
【0054】
前記素子絶縁材12は、前記素子を適切に固定させることができると共に、電気的短絡を防止することができる物質を含むことができる。素子絶縁材12は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含むことができる。例示的に、前記素子絶縁材12は、エポキシモールディングコンパウンド(EMC)、ガラス繊維強化エポキシ(FR-4)などを含むことができる。前記素子絶縁材12は、その他の添加剤、フェノール樹脂、カーボンブラック、難燃剤、フィラーなどを含むことができる。前記素子絶縁材に含まれ得るフィラーは、粒子状のフィラーであってもよく、前記フィラーの粒子サイズは1μm~20μmであってもよく、または2μm~15μmであってもよい。
【0055】
前記素子絶縁材12は、100℃以下の温度で熱膨張係数(ppm/℃)が10~20であってもよい。前記素子絶縁材は、180℃以上の温度で熱膨張係数(ppm/℃)が40~60であってもよい。
【0056】
前記素子絶縁材12は、25℃曲げ強度が5kg/mm2~25kg/mm2であってもよく、または10kg/mm2~20kg/mm2であってもよい。
【0057】
前記素子絶縁材12は、25℃曲げ弾性率が1200kg/mm2~2500kg/mm2であってもよく、または1300kg/mm2~2000kg/mm2であってもよい。
【0058】
前記素子絶縁材12は、熱伝導度が0.3W/mK~1.5W/mKであってもよい。
【0059】
前記素子絶縁材12は、このような物性を有することによって、素子を安定的に固定及び絶縁処理することができる。
【0060】
前記素子絶縁材12は、任意の素子支持部上に配列された素子上に原料を塗布し、硬化させる方式で形成され得る。
【0061】
一般に、積層セラミックキャパシタ(MLCC)などのような素子は、製造される際に、熱処理により歪むことがあり、これにより、基板に素子を実装し、絶縁材を配置し、熱処理するなどの仕上げ過程で素子の位置が変化するなどの問題が発生する可能性がある。1つ以上の素子を固定させた前記素子パッケージ18を導入した素子内蔵基板100の場合、絶縁材の硬化過程などの製造過程で素子が不必要に移動する問題を最小化することができる。
【0062】
前記コア基板21は、ガラス系物質、非晶質シリカを含むことができる。前記ガラス系物質は、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、鉛ガラス、アルミノシリケートガラス、石英ガラス及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含むことができる。前記コア基板は、このようなガラス系物質を含むことで、回路の長さをさらに短縮できるようにし、小型化に有利なようにすることができる。
【0063】
前記コア基板21の厚さは100μm~2000μmであってもよく、200μm~1500μmであってもよく、または250μm~750μmであってもよい。このようなコア基板の厚さは、別途の伝導層が形成される前のコア基板のみの厚さであって、キャビティ23がない基板部分の厚さに該当する。
【0064】
前記コア基板21のキャビティ23は、前記コア基板21を厚さ方向に貫通する形態の内部空間であり得る。前記キャビティ23は、厚さ方向にコア基板21の一部が窪んだ内部空間であってもよい。
【0065】
前記キャビティ領域201は、
図2に示されたように、素子内蔵基板100を正面から見た観点で、キャビティの縁部を基準としてキャビティが配置された領域であり得る。
【0066】
前記コア基板21は、前記キャビティ23を取り囲む内側面であるコア内側面(図示せず)を含むことができる。素子内蔵基板100は、前記素子11の表面上に位置する第1点と、前記コア内側面に位置する第2点とを含むことができる。
【0067】
前記第2点は、コア基板21の厚さ方向と平行なコア内側面上に位置するものであり得る。
【0068】
前記第1点と前記第2点との間の距離の最小値は20μm~150μmであってもよく、または30μm~80μmであってもよい。
【0069】
前記素子11は、コア内側面と向かい合う側面を含むことができる。前記素子11の側面とコア内側面との間の間隔は20μm~150μmであってもよく、または30μm~80μmであってもよい。
【0070】
素子の側面とコア内側面との間の間隔は、前記素子の側面内に位置する一点と、前記コア内側面内に位置する他点との間の距離の最小値で測定する。
【0071】
素子11とコア内側面がこのような間隔を有することによって、素子パッケージ内の素子が安定的にキャビティに配置され得る。
【0072】
前記素子内蔵基板100の厚さは150μm~2200μmであってもよく、250μm~1800μmであってもよく、または350μm~900μmであってもよい。前記素子内蔵基板の厚さは、伝導層22、基板絶縁材27などを全て含む状態での厚さに該当することができる。
【0073】
前記コア基板21は、前記基板領域202において、前記コア基板の厚さ方向(一面から他面方向)に貫通したコアビア(図示せず)をさらに含むことができる。前記コアビアは、その表面上に伝導層をさらに含むこともでき、前記コアビアの伝導層は、コア基板の一面及び他面に形成された伝導層と接続されることもできる。前記コアビアは、伝導層と共に絶縁材で充填されてもよい。前記コアビアの伝導層は、厚さが2μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、または15μm以上であってもよい。前記コアビアの伝導層は、厚さが100μm以下であってもよく、前記コアビアの断面の半径以下であってもよい。前記伝導層は、銅及びその合金などを含むことができる。
【0074】
前記コアビアは、前記コア基板の厚さ方向と垂直な方向を基準として、断面が円形である円形コアビアであってもよく、または断面が所定のアスペクト比を有する非円形である非円形コアビアであってもよい。前記非円形コアビアの断面のアスペクト比は1.2~30であってもよく、または1.5~20であってもよい。前記円形コアビアは、円筒形、または円錐台の形状であってもよい。前記コアビアは、内径が最も狭い区域である最小内径部を含むことができる。
【0075】
前記コアビアは、前記コア基板21の予め設定された領域を加工する方式で形成され得、物理的及び/又は化学的方法で板状のガラス系物質をエッチングして形成されたものであり得る。例示的に、ガラス系物質を含む基板の表面にレーザーなどの方式で欠陥を形成した後、化学的にエッチングする方法、レーザーエッチングなどが適用されてもよい。
【0076】
前記コア基板21の一面及び他面は、実質的に平行であり得、全体的に一定の厚さを有することができる。
【0077】
図1などを参照すると、前記コア基板21の一面及び他面は伝導層22を含むことができる。前記コア基板の一面は一面伝導層22a、他面は他面伝導層22bを含むことができる。前記コア基板21のキャビティ23の内面はキャビティ伝導層22cを含むことができる。前記キャビティ伝導層は、前記一面伝導層22a及び/又は他面伝導層22bと接続されることもできる。
【0078】
前記コア基板21の一面伝導層22a及び他面伝導層22bは回路パターンの形態を有することができる。前記回路パターンは、予め設定された回路の形態で存在する伝導層であり得る。前記回路パターンの幅及び間隔は4μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、0.5μm以上であってもよい。
【0079】
前記コア基板21に形成され得る伝導層22は、前記コア基板との良好な付着力を有することができる。前記付着力は、ASTM D3359に準拠した値が4B以上であってもよく、または5B以上であってもよい。
【0080】
前記基板絶縁材27は、未硬化又は半硬化の状態の絶縁材フィルムを、素子パッケージ18が配置されたコア基板21の上部、下部に積層し、硬化させる方法で形成されることもできる。このとき、減圧積層方法などを適用することができ、コアビアなどの内部空間にまで絶縁材が埋め込まれ得る。これによって、キャビティ領域201と基板領域202との厚さの差TDが、所定の範囲以下に形成され得る。
【0081】
前記基板絶縁材27は、エポキシ系化合物と共に、フェノール系化合物、フェノールエステル、シアン酸塩エステル、ガラス繊維プリプレグなどを含むことができ、ポリイミド系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、樹脂コーティングされた銅(resin coated copper)などを含むことができ、無機系粒子、粉末、フィラーなどをさらに含むことができる。例示的に、味の素ビルドアップフィルム(ABF;Ajinomoto Build-up Film)を含むことができ、味の素社のエポキシ系樹脂であるGL103、GY50を含むことができる。
【0082】
前記基板絶縁材27は、25℃~150℃の温度で熱膨張係数(ppm/℃)が10~70であってもよく、10~30であってもよく、または15~25であってもよい。
【0083】
前記基板絶縁材27は、150℃超240℃以下の温度で熱膨張係数(ppm/℃)が30~190であってもよい。
【0084】
前記基板絶縁材27は、熱伝導度が0.1Wm/K~0.85Wm/Kであってもよい。
【0085】
前記基板絶縁材27は、23℃弾性係数が1GPa~16GPaであってもよい。
【0086】
前記基板絶縁材27は、23℃引張強度が65MPa~220MPaであってもよい。
【0087】
前記基板絶縁材27は、23℃延伸率が0.3%~7%であってもよい。
【0088】
前記基板絶縁材27は、1MHzでの誘電定数が2~4.5であってもよく、または2.8~4であってもよい。
【0089】
前記基板絶縁材27は、1GHzでの誘電定数が1.8~4.3であってもよく、または2.5~3.8であってもよい。
【0090】
前記基板絶縁材27は、このような特性を有することによって、コア基板21内の素子パッケージ18を効果的に封止、絶縁処理することができる。
【0091】
前記基板絶縁材27は、粒子状のフィラーをさらに含むことができ、無機粒子をフィラーとして適用することができる。前記フィラーの平均直径は150nm以下であってもよく、1nm~100nmであってもよい。このような大きさのフィラーを適用して、絶縁材の必要物性を一定レベルに維持しながら、微細回路パターンの形成に役立ち得るようにする。
【0092】
図2などに示されたように、前記素子内蔵基板100は、別途の素子絶縁材12で複数の素子11が固定された素子パッケージ18を、コア基板21のキャビティ23に導入する。
【0093】
前記素子内蔵基板100の面内方向への断面から観察したとき、前記キャビティ23の面積に対する、前記キャビティ23の面積から前記素子11の面積を引いた値の比率が2.5%~15%であってもよく、または2.7%~12%であってもよい。
【0094】
前記素子内蔵基板100の厚さ方向への断面から観察したとき、前記キャビティ23の面積に対する、前記キャビティ23の面積から前記素子11の面積を引いた値の比率が2.5%~15%であってもよく、または2.7%~12%であってもよい。
【0095】
前記キャビティ23の面積は、キャビティ23内に他の構成が配置される前の内部空間であるキャビティ23が占める面積を意味する。
【0096】
コア基板21の厚さ方向に形成されたコア内径面がコア基板21の厚さ方向と平行に形成されない場合(例えば、テーパ形状、傾斜面など)、前記素子内蔵基板100の面内方向への断面から観察したキャビティ23の面積は、前記コア基板21の一面を含む断面を基準として測定する。
【0097】
これを通じて、前記キャビティ23内において素子11以外の残りの部分が占める面積の比率を相対的に低くすることができ、空間をさらに効率的に活用することができる。
【0098】
前記キャビティ23の体積に対する、前記キャビティ23の体積から前記素子11の体積を引いた値の比率が2%~18%であってもよく、または3%~15%であってもよい。これを通じて、キャビティ23において前記素子11以外の残りの部分が占める体積の比率を相対的に低くすることができ、空間をさらに効率的に活用することができる。
【0099】
キャビティ23の体積は、キャビティ23内に他の構成が配置される前の内部空間であるキャビティ23が占める体積を意味する。
【0100】
素子内蔵基板100において、前記キャビティ領域201内の素子11以外の残りの部分は、実質的に、素子間の間隔、素子と基板領域200との間隔、間隔に充填された絶縁材などに該当し得る。
【0101】
また、前記素子内蔵基板100は、このような素子11以外の残りの部分が占める面積、体積の比率を満たすようにして、基板絶縁材27の仕上げ時に、キャビティ領域201と基板領域202との厚さの差TDを最小化し、回路の形成が制限される問題の発生を最小化することができ、また、製造過程で添加剤や熱処理などによる素子の変形、損傷、移動などを最小化することができる。
【0102】
前記素子内蔵基板100は、半導体素子とメインボードを接続する中間役割、仲介役割をすることもできる。
【0103】
前記素子内蔵基板100は、一面あるいは他面に接続部(図示せず)をさらに含むことができ、これを通じて、メインボードなどと接続され得る。前記接続部は、ソルダーボールの形態であってもよい。
【0104】
素子内蔵基板100の製造方法
前記の目的を達成するために、具現例に係る素子内蔵基板100の製造方法は、
一面を含み、前記一面から厚さ方向に窪んで形成された内部空間であるキャビティ23を含むコア基板21と、1つ以上の素子11が配列された素子パッケージ18とを設けるステップと、キャビティ23内に素子パッケージ18を配置し、素子パッケージ18の少なくとも一部を取り囲む基板絶縁材27を形成するステップと、を含む。
【0105】
前記基板絶縁材27を形成するステップは、前記素子パッケージ18を取り囲むように基板絶縁材原料を充填する過程と、前記基板絶縁材原料を硬化させて前記基板絶縁材27を形成する過程とを含むことができる。
【0106】
前記素子内蔵基板100の製造方法は、基板絶縁材27の形成後、絶縁材の厚さを平坦化する別途の加工過程を含まないことができ、前記のステップからなることができる。
【0107】
コア基板21及び素子パッケージ18を設けるステップは、素子パッケージ18を製造する過程を含むことができる。
【0108】
図4を参照すると、前記素子パッケージ18を製造する過程は、素子支持部15上に1つ以上の素子11を配列する工程(a)と、配列された素子の上部、側部、素子間の間隔に素子絶縁材原料を塗布し、硬化させる工程(b)と、硬化後、前記素子支持部を除去して素子パッケージを製造する工程(c)とを含むことができる。
【0109】
前記素子11を配列する工程において、前記素子を所定の間隔で一列に配列するようにすることができ、その間隔は、上述したものと実質的に同一であり得る。
【0110】
前記硬化させる工程において、前記絶縁材原料は、前記素子と一定の間隔を置いて取り囲むように配置された鋳型内で注入され得る。
【0111】
前記素子パッケージ18を製造する過程において、素子パッケージ18の縁部を加工して、配置されるコア基板21のキャビティ23の大きさと同一にするか、または差を最小化することができる。前記コア基板21は、上述したようなガラス系物質を含むことができ、基板領域202に別途のコアビア(図示せず)がさらに形成されていてもよい。前記コア基板21の一面及び他面の定められた位置に溝を形成し、この部分に物理的又は化学的エッチングを通じてコアビアが形成され得る。その後、コア基板21の上、下及びキャビティ23内に伝導層を形成する過程を含むことができ、前記伝導層は、銅及びその合金などを含むことができる。前記伝導層は、予め設定されたパターンでエッチングして回路パターンとして形成されることもできる。
【0112】
前記コア基板21を設ける際に、前記キャビティ23がコア基板21を貫通する形態である場合、コア基板21の下部、他面にコア基板支持部を付着して、キャビティ内に載置面が形成されるようにすることができる。前記キャビティ23がコア基板を貫通せずに、厚さ方向にコア基板の一部が窪んだ形態である場合、前記コア基板支持部を付着する過程及びこれを除去する過程を省略することができる。
【0113】
前記素子パッケージを配置する際に、
図4の(d)に示されたように、キャビティ23内に素子パッケージ18が挿入されるようにすることができる。前記コア基板21の下部、他面にコア基板支持部が形成された場合、キャビティ23内の載置面に素子パッケージが挿入されるようにすることができる。このとき、前記素子パッケージ18の大きさが前記キャビティ23の大きさよりも大きい場合、前記素子パッケージ18の縁部を研磨する研磨過程を含むこともできる。
【0114】
前記基板絶縁材原料を充填し、硬化させる際に、前記素子パッケージ18が挿入されたコア基板の上部及び下部に基板絶縁材原料を充填し、減圧し、硬化処理する過程を含むことができる。
図4の(e)~(g)に示されたように、コア基板21を貫通するキャビティ23が形成された場合、コア基板21の上部にまず基板絶縁材原料を充填した後、コア基板21の下部のコア基板支持部を除去し、コア基板21の下部に絶縁材原料を充填することができる。前記キャビティ23が、コア基板を貫通せずに、厚さ方向にコア基板の一部が窪んで形成された内部空間の形態である場合、キャビティ23が形成された面に基板絶縁材原料を充填することもできる。その後、減圧積層方法などを適用することができ、コアビアなどの内部空間にまで絶縁材が埋め込まれ得る。このとき、キャビティ領域201と基板領域202との厚さの差TDが、所定の範囲以下に形成され得る。
【0115】
前記基板絶縁材原料を充填し、硬化させるステップにおいて、硬化は、170℃~220℃の温度で30分~250分間行うことができる。
【0116】
前記素子パッケージ18を製造するステップは、前記コア基板を設けるステップの後に行われてもよい。
【0117】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0118】
11 素子
12 素子絶縁材
15 素子支持部
18 素子パッケージ
21 コア基板
22 伝導層
22a 一面伝導層
22b 他面伝導層
22c キャビティ伝導層
23 キャビティ
27 基板絶縁材
100 素子内蔵基板
201 キャビティ領域
202 基板領域
【外国語明細書】