(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164801
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】配電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20241120BHJP
H02J 3/24 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J1/00 306G
H02J1/00 306L
H02J3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024029836
(22)【出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2023079839
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 玄太郎
(72)【発明者】
【氏名】菅井 賢
【テーマコード(参考)】
5G066
5G165
【Fターム(参考)】
5G066AD06
5G066AD14
5G066BA03
5G066CA07
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JA13
5G066JB03
5G165DA01
5G165DA06
5G165DA07
5G165EA02
5G165EA03
5G165EA04
5G165EA06
5G165FA01
5G165GA04
5G165GA09
5G165HA16
5G165JA09
(57)【要約】
【課題】交流電力と直流電力を効果的に組み合わせて、電力需要変動に迅速かつ効率的に対応できるようにする
【解決手段】配電システムは、AC回線4に接続されるAC-DC変換器6a,6bに接続されるDC-DC変換器8a,8bの入力側を接続するDC接続線12を備える。配電網16内で急激な電力需要の変化が発生すると、その時点では必要な電力全てを分散型電源20からDC接続線12を介して配電網16に供給する。その後、AC配線4から配電網16に供給する交流電力を、交流電力系統2において脱調が発生又は電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように必要な電力に達するまで増加させる。配電網16内で電力が必要でなくなると、AC配線4から配電網16に供給される交流電力は、交流電力系統2において脱調が発生等しないように0になるまで減少するが、0になるまでの電力を配電網16に供給せずに調整力システム18に吸収させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力系統に接続されるAC配線と、
前記AC配線が入力側に接続される少なくとも2つのAC-DC変換器と、
入力側に1つの前記AC-DC変換器を、出力側に配電網を接続する第1のDC-DC変換器と、
入力側に他の1つの前記AC-DC変換器を、出力側に分散型電源を接続する第2のDC-DC変換器と、
前記第1のDC-DC変換器又は前記第2のDC-DC変換器の出力側に接続される調整力システムと、
前記DC-DC変換器それぞれの入力側を接続するDC接続線と、
を有する送配電系統を備え、
前記配電網内で賄えないほどの急激な電力需要の変化が発生した場合、
発生時点においては、前記配電網が必要とする電力の全てを前記分散型電源から前記DC接続線を介して前記配電網に供給し、
発生後においては、前記AC配線から前記配電網に供給する交流電力を、前記交流電力系統において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように前記配電網が必要とする電力に達するまで増加させる、
ことを特徴とする配電システム。
【請求項2】
前記配電網が急激な電力需要に対応するための外部からの電力が不要となった場合、前記AC配線から前記配電網に供給される交流電力を、前記交流電力系統において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように0になるまで減少させ、
前記AC配線から前記配電網に供給される電力を、前記配電網に供給することなく前記DC接続線を介して前記調整力システムに吸収させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の配電システム。
【請求項3】
前記第2のDC-DC変換器の入力側に接続されている前記AC-DC変換器が前記AC配線に向けて出力する電力の位相角に応じて前記交流電力系統から前記配電網に供給する電力量を制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の配電システム。
【請求項4】
交流電力系統に接続されるAC配線と、
複数の配電サブシステムと、
前記複数の配電サブシステムそれぞれにおける電力供給制御を行う制御手段と、
を有する送配電系統を備え、
前記複数の配電サブシステムはそれぞれ、
前記AC配線が入力側に接続されるAC-DC変換器と、
入力側に前記AC-DC変換器を、出力側に配電網、分散型電源及び蓄電システムを接続するDC-DC変換器と、
前記配電サブシステムが備える前記DC-DC変換器それぞれの入力側を接続するDC接続線と、
当該配電サブシステムにおける電力状況を監視する監視手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記監視手段から当該配電サブシステムにおける電力の負荷及び供給可能電力量を取得して、前記配電サブシステム間での電力融通を制御する、
ことを特徴とする配電システム。
【請求項5】
前記制御手段は、当該配電サブシステムが有する当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量を用いて算出された当該配電サブシステムにおける電力の負荷及び供給可能電力量を取得することを特徴とする請求項4に記載の配電システム。
【請求項6】
前記制御手段は、当該配電サブシステムが有する当該配電網における負荷から当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量を減算することで算出した当該配電サブシステムにおける見かけの負荷と、当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量から当該配電網における負荷を減算することで算出した当該配電サブシステムにおける供給可能電力量を取得することを特徴とする請求項4に記載の配電システム。
【請求項7】
前記AC-DC変換器は、前記交流電力系統から3相6.6kV又は3相2.2kVの交流電圧を入力することを特徴とする請求項1又は4に記載の配電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電システム、特に配電網内で賄えないほど急激な電力需要が発生した場合の電力供給制御に関する。
【背景技術】
【0002】
国内において、発電所で発電される電力は交流である。交流電力は、3相3線式の送電線により送電される際の送電ロスを減らすため、基幹的な長距離送電の区間はできるだけ高電圧で送電され、消費地に近い場所で何段かに分けて電圧が降圧される。現在、交流電力は、変圧が容易という点でも利用されている。
【0003】
ところで、近年、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在する再生可能エネルギーの利用が推奨されている。太陽光発電等の発電システムで生成した電力は、電力会社に売電されて利用される場合がある。太陽光発電等の発電システムは、一般に直流電力を生成する。
【0004】
近年では、東日本大震災に伴う電力需給のひっ迫を契機に、将来の電力供給形態を、電力会社による大規模な発電設備のみに依存するのではなく、再生可能エネルギー等を利用した小規模分散型、いわゆる分散型電源へ移行しようとする動きもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6747619号明細書
【特許文献2】特開2009-178025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
交流電力は、直流電力と比較して、高電圧での送電が容易である点で優位である一方、急激な需要の増加への対応を不得手としている。交流電力系統の単交流電源からの供給電力で対応しようとすると、交流電力系統の電源となる発電機、すなわち回転機械における位相角を増加させて対応することが必要になるが、この場合、発電機が脱調、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱することにより電力を安定して供給できなくなるおそれがあるからである。一方、直流電力は、急激な需要の増加に対して電源の電圧を上昇させるだけであり、相差角および周波数への影響はない。
【0007】
本発明は、交流電力と直流電力を効果的に組み合わせて、電力需要変動に迅速かつ効率的に対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る配電システムは、交流電力系統に接続されるAC配線と、前記AC配線が入力側に接続される少なくとも2つのAC-DC変換器と、入力側に1つの前記AC-DC変換器を、出力側に配電網を接続する第1のDC-DC変換器と、入力側に他の1つの前記AC-DC変換器を、出力側に分散型電源を接続する第2のDC-DC変換器と、前記第1のDC-DC変換器又は前記第2のDC-DC変換器の出力側に接続される調整力システムと、前記DC-DC変換器それぞれの入力側を接続するDC接続線と、を有する送配電系統を備え、前記配電網内で賄えないほどの急激な電力需要の変化が発生した場合、発生時点においては、前記配電網が必要とする電力の全てを前記分散型電源から前記DC接続線を介して前記配電網に供給し、発生後においては、前記AC配線から前記配電網に供給する交流電力を、前記交流電力系統において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように前記配電網が必要とする電力に達するまで増加させることを特徴とする。
【0009】
また、前記配電網が急激な電力需要に対応するための外部からの電力が不要となった場合、前記AC配線から前記配電網に供給される交流電力を、前記交流電力系統において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように0になるまで減少させ、前記AC配線から前記配電網に供給される電力を、前記配電網に供給することなく前記DC接続線を介して前記調整力システムに吸収させることを特徴とする。
【0010】
また、前記第2のDC-DC変換器の入力側に接続されている前記AC-DC変換器が前記AC配線に向けて出力する電力の位相角に応じて前記交流電力系統から前記配電網に供給する電力量を制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る配電システムは、交流電力系統に接続されるAC配線と、複数の配電サブシステムと、前記複数の配電サブシステムそれぞれにおける電力供給制御を行う制御手段と、を有する送配電系統を備え、前記複数の配電サブシステムはそれぞれ、前記AC配線が入力側に接続されるAC-DC変換器と、入力側に前記AC-DC変換器を、出力側に配電網、分散型電源及び蓄電システムを接続するDC-DC変換器と、前記配電サブシステムが備える前記DC-DC変換器それぞれの入力側を接続するDC接続線と、当該配電サブシステムにおける電力状況を監視する監視手段と、を有し、前記制御手段は、前記監視手段から当該配電サブシステムにおける電力の負荷及び供給可能電力量を取得して、前記配電サブシステム間での電力融通を制御する、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記制御手段は、当該配電サブシステムが有する当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量を用いて算出された当該配電サブシステムにおける電力の負荷及び供給可能電力量を取得することを特徴とする。
【0013】
また、前記制御手段は、当該配電サブシステムが有する当該配電網における負荷から当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量を減算することで算出した当該配電サブシステムにおける見かけの負荷と、当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量から当該配電網における負荷を減算することで算出した当該配電サブシステムにおける供給可能電力量を取得することを特徴とする。
【0014】
また、前記AC-DC変換器は、前記交流電力系統から3相6.6kV又は3相2.2kVの交流電圧を入力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1-6に記載の発明によれば、交流電力と直流電力を効果的に組み合わせることによって電力需要変動に迅速かつ効率的に対応することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明によれば、既存の交流電力系統にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る配電システムの一実施の形態を示す概略的な全体構成図である。
【
図2】本実施の形態において、時間と、配電網において急激な電力需要の変化が発生した場合に配電網に対する直流電力及び交流電力の各電力供給量との関係を示すグラフ図である。
【
図3A】
図1に示す配電システムに、電力需要の変化の発生時点t
0のときの電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
【
図3B】
図1に示す配電システムに、時点t
0から時点t
0+Δt
aまでの間の電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
【
図3C】
図1に示す配電システムに、時点t
0+Δt
aから時点t
1までの間の電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
【
図3D】
図1に示す配電システムに、時点t
1から時点t
1+Δt
bまでの間の電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
【
図4】
図1に示す配電システムに、交流電力系統において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように制御する構成を追加した図である。
【
図5】本発明に係る配電システムの他の実施の形態を示す概略的な全体構成図である。
【
図6】実施の形態2において用いる記号を説明するための図である。
【
図7】実施の形態2の監視システムにおけるデータ処理の一部を模式的に示す図である。
【
図8A】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷以上の場合における、負荷に対する交流電力系統の電力供給量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【
図8B】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷以上の場合における、負荷に対する直流電力による電力供給量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【
図8C】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷以上の場合における、負荷に対する交流電力による電力供給量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【
図8D】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷以上の場合における、蓄電池への電力の蓄電量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【
図9A】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷に満たない場合における、負荷に対する交流電力系統の電力供給量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【
図9B】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷に満たない場合における、負荷に対する直流電力による電力供給量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【
図9C】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷に満たない場合における、負荷に対する交流電力による電力供給量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【
図9D】実施の形態2において、電力供給元となる配電サブシステムからの供給可能容量が電力供給先となる配電サブシステムにおける見かけの負荷に満たない場合における、蓄電池への電力の蓄電量の時間の遷移を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る配電システムの一実施の形態を示す概略的な全体構成図である。
図1には、交流電力系統2、AC配線4、AC-DC変換器6a,6b、DC-DC変換器8a,8b、DC配線10a,10b、DC接続線12、DC配線14a,14b、配電網16、調整力システム18及び分散型電源20が示されている。なお、AC-DC変換器6a,6bなど、添字が付く構成要素において、相互に区別する必要はない場合は「AC-DC変換器6」と、添字を省略して記載することで総称する。
【0020】
交流電力系統2は、交流電力を供給する電力系統であり、配電網16への主要な電力供給源となる。AC-DC変換器6は、入力側に交流電力系統2を接続し、AC配線4を介して入力される交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換して出力する。AC-DC変換器6への入力は、本来3相あるいは単相の交流電力であるが、図ではAC配線4を便宜的に1本の線で表している。AC-DC変換器6からの出力は、プラスとマイナスそれぞれに1本ずつの配線を有するが、図ではDC配線10を便宜的に1本の線で表している。DC接続線12及びDC配線14についても同様である。
【0021】
DC-DC変換器8は、入力側にAC-DC変換器6を接続し、DC配線10を介して入力される直流電圧を、異なる値の直流電圧に変換してDC配線14に出力する。第1のDC-DC変換器8aは、入力側に1つのAC-DC変換器6aを接続し、出力側に配電網16を接続する。また、第2のDC-DC変換器8bは、入力側にAC-DC変換器6aとは異なる他の1つのAC-DC変換器6bを接続し、出力側に調整力システム18及び分散型電源20を並列的に接続する。DC-DC変換器8は、論理的には昇圧することも可能であるが、実用上、降圧するのが一般的である。
【0022】
DC接続線12は、DC-DC変換器8の入力側を接続する電力線である。DC接続線12は、DC-DC変換器8の入力側を接続するので、DC-DC変換器8は、少なくとも2台必要となる。
【0023】
配電網16は、DC-DC変換器8aから出力される直流電圧を消費する電力需要家や車両への充電器等を含む電力網である。また、配電網16には、太陽光発電システム等の再生可能エネルギーを生成するシステム(以下、「再エネ電源」という)がDC電源として含まれている場合がある。再エネ電源は、電力需要家等の電力供給源の一部となる。
【0024】
調整力とは、一般送配電事業者が供給区域におけるアンシラリーサービスを行うために必要な電源等の能力である。すなわち、一般送配電事業者が系統安定化業務に必要となる発電機、蓄電池等を利用して電力需給を制御するシステムの能力などと定義される。調整力システム18は、このような調整力を備えるシステムである。本実施の形態では、分散型電源20と同じDC-DC変換器8bに接続するが、DC-DC変換器8aに接続してもよい。
【0025】
分散型電源20は、配電網16に隣接して分散配置される小規模な発電設備である。本実施の形態では、電力供給設備として分散型電源20を設けているが、調整力システム18に分散型電源20を兼用させてもよい。
【0026】
図1に示す構成において、AC-DC変換器6は、交流電力系統2から送電されてくる交流電力を直流電力に変換して出力する。DC-DC変換器8は、DC配線10を介して入力される直流電圧を、異なる値の直流電圧に変換して出力する。配電網16では、DC配線14aを介してDC-DC変換器8aから供給される直流電力が消費される。配電網16では、通常時、交流電力系統2からの電力のみで電力需要分を賄えている。
【0027】
ここで、例えば、配電網16において、配電網16内で賄えないほどの急激な需要の増加が発生したことにより電力不足が発生したとする。配電網16内で確保可能な電源による発電総量を100kW程度と想定すると、ここでいう「急激な需要の増加」というのは、それ以上の習慣的な電力要求を想定している。想定している状況としては、例えば多数の電気自動車への急速充電が電力不足を導くほど集中して行われるような状況である。
【0028】
配電網16で急激な需要が発生した結果、要求電力に応じて電流がΔi増加する場合、配線抵抗をRとすると、DC-DC変換器8aに入力される電圧がΔi・R分急激に低下するはずである。これに応じて、電力不足が発生している配電網16に配電網16の外部から電力を供給することで対処することが望まれる。
【0029】
ところで、送電損失(主に銅損)を考慮すると、送電電力に応じた高電圧化が必要である。そのため、最上位階層(超高電圧階層)は、トランスで容易に昇降圧が容易なAC配線を用いているのが現状である。
【0030】
超高電圧の交流電力で送電制御を行うには、周波数、電圧に加えて位相制御が必要となるが、直流電力では、電圧制御のみで送電量を制御できる。但し、DC制御においても、電力送電量に応じて電力変換素子の並列数や電力容量の関係から制御速度が変化するので、直流電圧を段階的に持つことで、配電網の制御性、安定性にも寄与することができる。更に、直流電力を活用すると、DC-DC変換器自身が入出力電圧を監視することで、Droop制御等を行うことが可能となる。この点においても、直流電力系統は、電力配電網の安定性、経済性に寄与することができる。
【0031】
なお、
図1は、AC-DC変換器6の下位層にDC-DC変換器8を1段(つまり、単階層)で形成している場合のシステム構成図であるが、AC-DC変換器6の出力側と配電網16の入力側との間にDC-DC変換器8を階層的に、すなわち多段階で設けることで、上記のように大電力の配電網にも低電力の配電網にも容易にかつ効率的に対応することが可能となる。つまり、降圧を段階的に行うことができるように構成することで、現状の6.6kV系とAC-DC変換器6の後段のDC配電網との共存を可能にしている。
【0032】
また、
図1では、AC-DC変換器6、DC-DC変換器8及び配電網16を縦列的に接続した1組の直流電力系統のみ備える配電システムを示しているが、複数の組を備えるよう構成してもよい。また、AC-DC変換器6の出力側に複数のDC-DC変換器8を接続してもよい。
【0033】
電源より交流を介して供給電力を増加させる場合、送電線の抵抗成分を無視できるものと考えると、発電機と電力輸送の関係は、発電機の慣性モーメントJ、送電の定格角周波数ω
0、送電角周波数ω、電源の位相角(相差角)δ、発電機の機械エネルギーP
m、送電線の電圧V、送電線のインダクタンスXを用いて、以下の動揺方程式(1),(2)で表すことができる。
【数1】
【0034】
式(1)の右辺の第2項は、電気エネルギーの大きさを表しており、送電エネルギーを増加させる場合は電源の位相角δを変化させる必要がある。式(2)に示すように、位相角の微分が周波数であり、交流で送電する場合には周波数変更が生じる。特に、再エネ電源は、DC電源として利用可能であるが、再エネ電源では、式(1)の左辺に含まれる発電機の慣性モーメントJが小さいというより、むしろないといえるので、周波数変動の影響が顕著である。但し、直流を介して供給電力を増加させる場合は、電源の電圧を上昇させるだけであり、相差角および周波数への影響はない。
【0035】
上記説明した交流電力と直流電力の特性を踏まえて、配電網16の内部だけで賄えないほどの急激な電力需要の変化が発生した場合の本実施の形態における作用について、
図2及び
図3A~
図3Dを用いて説明する。
【0036】
図2は、本実施の形態において、時間と、配電網16において急激な電力需要の変化が発生した場合に配電網16に対する直流電力及び交流電力の各電力供給量との関係を示すグラフ図である。
図2では、直流電力の電力供給量を実線で、交流電力の電力供給量を破線で、それぞれ示している。また、P
reqは、配電網16にて不足した電力量であり、前述した急激な電力需要の変化を示す電力量である。つまり、
図2では、時点t
0から時点t
1までの間に配電網16において急激な電力需要の変化(0からP
reqまで)が発生した場合における直流電力及び交流電力の各電力供給量の時系列変化が示されている。
【0037】
ここでいう「直流電力」というのは、配電網16に直流電力系統のみを介して供給される電力のことをいう。具体的には、分散型電源20からDC-DC変換器8b、DC接続線12及びDC-DC変換器8aを介して配電網16に供給される電力のことをいう。一方、「交流電力」というのは、配電網16に交流電力系統を介して供給される電力のことをいう。具体的には、AC配線4、AC-DC変換器6a、DC-DC変換器8aを介して配電網16に供給される電力のことをいう。
【0038】
図2において、時点t
0までは、配電網16において電力が不足していない状態である。換言すると配電網16において急激な電力需要の変化が発生していない状態であることから、直流電力及び交流電力は共に、配電網16に対して供給されていない。もちろん、この場合でも、急激な電力需要の変化に対応していないものの、交流電力系統2は、通常通りにAC配線4、AC-DC変換器6a、DC-DC変換器8aを介して配電網16に電力を供給している。なお、急激な電力需要の変化が発生するまでは、上記式(1)によると、交流電力系統2での送電電力P
mが電源の位相角(相差角)δとつり合っているとき、すなわち電力変化がないときには左辺が0となり、相差角あるいはその一階微分である周波数に変動は起きない。
【0039】
ここで、時点t0に配電網16において急激な電力需要の変化(0からPreqまで)が発生したとする。この電力需要の変化に交流電力系統2だけで対応しようとすると、前述したように、交流電源の位相角を増加させて対応することが必要になるため、発電機が脱調、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱することにより電力を安定して供給できなくなるおそれがある。上記式(1)によると、交流電力系統2での送電電力Pmに変動が生じるときに相差角および周波数に変動が起きる。送電電力Pmの変化が急激になると、発電機が脱調、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱する可能性が生じてくる。
【0040】
そこで、本実施の形態においては、
図2に示すように、急激な電力需要の変化の発生時点t
0では、配電網16が必要とする電力の全て、すなわち電力量P
reqを分散型電源20からDC-DC変換器8b、DC接続線12及びDC-DC変換器8aを介して配電網16に供給する。
【0041】
図3Aは、
図1に示す配電システムに、時間tが電力需要の変化の発生時点t
0のときの電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
図3Aに示すように、配電網16が必要とする全ての電力P
reqは、分散型電源20からAC配線4を介することなくDC接続線12を介して配電網16に供給される。
【0042】
続いて、急激な電力需要の変化の発生後においては、AC配線4から配電網16に供給する電力を、交流電力系統2において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように配電網16が必要とする電力Preqに達するまで徐々に増加させる。配電網16への電力供給量Preqは、変わらないので、分散型電源20からDC接続線12を介して配電網16に供給される直流電力は、AC配線4から配電網16に供給するための交流電力の増加に伴い減少する。つまり、直流電力と交流電力の和は、電力Preqとなる。
【0043】
図3Bは、
図1に示す配電システムに、時間tが電力需要の変化の発生時点t
0からAC配線4から配電網16に供給する電力が電力P
reqに達する時点t
0+Δt
aまでの間の電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
図3Bでは、直流電力を実線で、交流電力を破線で示している。
図3Bに示すように、配電網16への電力供給量P
reqは、分散型電源20からの直流電力とAC-DC変換器6aにおいて直流電力に変換される交流電力との和により配電網16に供給される。
【0044】
本実施の形態では、AC配線4を介して配電網16に供給する交流電力の電源を、分散型電源20としている。つまり、分散型電源20は、t0 <t≦t0+Δtaの間も電力Preqを出力することを想定しているが、交流電力の電源は、必ずしも分散型電源20のみとする必要はない。例えば、可能であれば、図示しない他の配電網に供給する分の交流電力を配電網16に回したり、この交流電力と分散型電源20からの直流電力を組み合わせたりしてもよい。
【0045】
図3Cは、
図1に示す配電システムに、配電網16に供給する電力P
reqをAC配線4からの交流電力のみで賄えるようになった時点t
0+Δt
aから配電網16が電力P
reqを不要とする時点t
1までの間の電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
図3Cに示すように、配電網16が必要とする全ての電力供給量P
reqは、AC配線4から配電網16に供給される。なお、
図3Cでは、AC配線4を介して配電網16に供給する交流電力の電源を、分散型電源20としているが、上記の通り必ずしも分散型電源20のみとする必要はない。
【0046】
配電網16に供給する電力PreqをAC配線4からの交流電力のみで賄えるようにするのは、前述したとおり、AC配線は、DC配線と比較して大電力での送電が可能であるため、送電電流を抑制でき、よって送電損失を抑制し高効率な送電が可能だからである。また、交流電力は、直流電力と比較して昇降圧が容易であるからである。
【0047】
配電網16に供給する電力を交流電力だけで賄えるようになった後、配電網16が電力Preqの供給が不要となる時点t1に達すると、AC配線4から配電網16に供給する電力は、即座に0としたいところだが、供給する電力を急激に変化させると、上記の通り相差角の変動が大きく交流電力系統2において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱してしまう。そこで、本実施の形態においては、配電網16が急激な電力需要Preqに対応するための外部からの電力が不要となった場合、AC配線4から配電網16に供給される交流電力を、交流電力系統2において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないようにPreqから0になるまで徐々に減少させる。ただ、AC配線4からの交流電力は、0になるまでAC-DC変換器6aに入力される。そして、AC-DC変換器6aは、交流電力を直流電力に変換して出力される。そこで、本実施の形態においては、AC-DC変換器6aから出力される直流電力を、配電網16に供給することなくDC接続線12を介して調整力システム18に吸収させるよう制御する。
【0048】
配電網16が電力P
reqの供給を不要とする時点t
1から、AC配線4から供給される交流電力が0になる時点t
1+Δt
bの間、
図2においては、直流電力がマイナスとなっているが、これは、調整力システム18により交流電力から変換された直流電力が吸収されていることを示している。すなわち、AC配線4からAC-DC変換器6aに入力される交流電力は、調整力システム18による電力の吸収により相殺され、この結果、配電網16には、電力P
reqの供給が不要となった時点t
1から外部から供給される電力を0にすることができる。
【0049】
図3Dは、
図1に示す配電システムに、時間tが、配電網16が電力P
reqの供給を不要とする時点t
1からAC配線4から供給される交流電力が0になる時点t
1+Δt
bまでの間の電力の流れを模式的に示す矢印を付加した図である。
図3Dでは、直流電力を実線で、交流電力を破線で示している。AC配線4から供給される電力は、配電網16では不要となるものの即座に0にできないので、
図3Dに示すように調整力システム18により吸収される。また、AC配線4から配電網16に供給される交流電力は、徐々に減少するものの、0になるまで減少させるための電力が必要になる。そのため、本実施の形態では、
図3Dに示すように、自ら出力した交流電力をAC-DC変換器6a、DC接続線12、AC-DC変換器6bと循環させ利用する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態においては、交流電力系統2において脱調を発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱させることなく配電網16における急激電力需要の変化にも対応することができる。
【0051】
ところで、本実施の形態では、交流電力系統2において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように配電網16への電力の供給をするが、
図4では、そのための構成を示している。
図4は、
図1に示す配電システムに、コントローラ22及び位相角検出する検出器24を追加した構成が示されている。検出器24は、AC-DC変換器6bの入力側における電力、すなわちAC-DC変換器6bがAC配線4に向けて出力する電力の位相角を検出する。コントローラ22は、検出器24が検出する位相角に応じて交流電力系統2から配電網16に供給する電力量を制御する。
【0052】
具体的には,AC-DC変換器6bによる送電角周波数を急激に変動させない範囲で位相角変化量を設定することが必要になるが、位相角の1階微分が周波数変動となるので、コントローラ22は、検出器24が検出する位相角に基づく所定の時間間隔にてデジタル的に相差角を検出し、その検出した相差角と、直前に検出した相差角との差分がある閾値内に収まるようにAC-DC変換器6bから送電電力量を制御する。ある閾値というのは、交流電力系統2において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように動作させるための差分値であり、例えば上記動揺方程式を参照して設定してもよい。
【0053】
実施の形態2.
図5は、本発明に係る配電システムの他の実施の形態を示す概略的な全体構成図である。本実施の形態における配電システムの構成は、基本的には
図1と同様である。ただ、実施の形態1では、一方のDC-DC変換器8aのみに配電網16を接続し、他方のDC-DC変換器8bのみに分散型電源20を接続していることから、電力融通する際の電力の供給方向も特定していた。
【0054】
本実施の形態における配電システムは、複数の配電サブシステムを備え、それぞれに同等の構成を持たせることによって電力融通する際の電力の供給方向も柔軟に決められるように構成している。なお、
図1では、2つの配電サブシステム100,200を示している。
【0055】
以下、本実施の形態における配電システムの構成について説明するが、配電サブシステム100と配電サブシステム200は、同等の構成を有しているので、ここでは、配電サブシステム100を代表させて説明する。本実施の形態における配電サブシステム100に含まれる構成要素には、100番台の符号を付け、配電サブシステム200に含まれる構成要素には、200番台の符号を付ける。従って、100番台を200番台に読み替えることで、配電サブシステム100に対する説明は、配電サブシステム200に対する説明となる。
【0056】
交流電力系統2など実施の形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付け、説明を適宜省略する。また、配電サブシステム100に含まれ、AC-DC変換器6など実施の形態1における配電システムと対応する構成要素には、100を加算した符号を付ける。すなわち、配電サブシステム100に含まれるAC-DC変換器106、DC-DC変換器108、DC配線110,114はそれぞれ、実施の形態1におけるAC-DC変換器6、DC-DC変換器8、DC配線10,14に対応する構成要素である。
【0057】
DC-DC変換器108は、入力側にAC-DC変換器106を接続し、DC配線110を介して入力される直流電圧を、異なる値の直流電圧に変換してDC配線104に出力する。DC-DC変換器108の出力側には、DC配線104を介して、負荷に相当する配電網116、調整力システム118及び分散型電源120が並列に接続される。また、DC-DC変換器108は、調整力システム118及び分散型電源120と、それぞれDC配線104上のDC-DC変換器122,124を介して接続される。
【0058】
監視システム126は、配電サブシステム100における電力状況を監視する監視手段である。
図5から省略しているが、監視システム126は、配電サブシステム100に含まれる各構成要素106~124と有線又は無線により接続されており、それぞれから出力電圧値や電流値等、電力融通の制御に必要な各種データを取得する。監視システム126が授受する具体的な情報は、後述する処理において使用するデータである。
【0059】
コントローラ50は、複数の配電サブシステムそれぞれにおける電力供給制御を行う制御手段である。そのために、コントローラ50は、各配電サブシステムk(kは、識別番号)に含まれる監視システムkから当該配電サブシステムkにおける電力の負荷及び供給可能電力量を取得して、配電サブシステムk間での電力融通を制御する。具体的には、コントローラ50は、各配電サブシステムkにおける電力の負荷及び供給可能電力量から電力融通が必要か否かを判断する。必要と判断する場合、コントローラ50は、電力供給元及び電力供給先となる配電サブシステムkの特定、電力融通を行う配電サブシステムkに含まれるAC-DC変換器、DC-DC変換器等の構成に対する指示を行う。例えば、配電サブシステム100の場合にはAC-DC変換器106に対して相差角や出力電圧値の指示を、DC-DC変換器108に対して出力電圧値の指示を直接又は監視システム126を介して行う。
【0060】
配電網116は、DC-DC変換器108から出力される直流電圧を消費する電力需要家や車両への充電器等を含む電力網である。調整力システム118は、調整力を備えるシステムである。本実施の形態における調整力システム118は、蓄電池を蓄電手段として備えるシステムとして形成される。分散型電源120は、配電網116に隣接して分散配置される小規模な発電設備である。本実施の形態における分散型電源120は、太陽光発電(PV:PhotoVoltaics)システム等の再生可能エネルギーを生成するシステム(以下、「再エネ電源」という)をDC電源として備えている。
【0061】
コントローラ50及び監視システム126,226は、基本的にサーバコンピュータ等の従前から存在する汎用的な情報処理装置のハードウェア構成で実現できる。すなわち、情報処理装置は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段、情報処理装置間あるいは配電サブシステム100内の構成要素とのデータ通信を行うためのネットワークインタフェース等の通信手段、また必要によりマウスやキーボード等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を含むユーザインタフェースを有する。
【0062】
また、後述する電力融通を行うための処理は、情報処理装置と、情報処理装置に搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶手段は、内部に搭載せずに外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムは、コンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0063】
本実施の形態においては、電力融通を行う二者間として、コントローラ50が配電サブシステム100と配電サブシステム200を選択した場合を例にして説明する。以降の説明では、配電サブシステム100と配電サブシステム200を区別する識別子として、前述した配電サブシステムの識別番号kを用いる。すなわち、“配電サブシステム1”である配電サブシステム100の識別番号は“1”であり、“配電サブシステム2”である配電サブシステム200の識別番号は“2”なので、以下の説明では、配電サブシステムの識別番号である“1”及び“2”を用いて配電サブシステム100及び配電サブシステム200を区別する場合がある。すなわち、「配電サブシステム100」及び「配電サブシステム200」をそれぞれ「配電サブシステム1」及び「配電サブシステム2」とも表記する。
【0064】
まず、本実施の形態において用いる記号の基本的な表記について
図6を用いて説明する。
図6に示すように、記号「X」は、電力“P”や電圧“V”などの物理量を示す。記号が2つの添字を持つ場合、前の添字は、配電サブシステムの識別番号を示す。後の添字は、情報の種類を区別する。例えば、“P
1,D”は、配電サブシステム1から配電サブシステム2に向けてDC接続線12を介して送られる電力、換言すると配電サブシステム1から配電サブシステム2にDC接続線12を介して電力融通される供給電力を意味する。
【0065】
ところで、電力融通を行うに際し、蓄電池は、電池の充電率(SOC:State Of Charge)により電圧が変化するため、入出力制御を行えるよう構成するのが合理的である。そのため、本実施の形態においては、
図5に示すように蓄電池を備える調整力システム118,218をDC-DC変換器122,222とセットで構成する。
【0066】
図7は、本実施の形態における監視システム326におけるデータ処理の一部を模式的に示す図である。
図7に示す監視システム326は、
図5における監視システム126,226に相当する構成であるが、
図7では、便宜的に300番台の符号を付けている。他の構成要素についても同様である。
図7に示すように、蓄電池318における電池電圧V
n,bは、SOCと対応しており、SOCに応じて電池電圧V
n,bは変化する。そして、蓄電池318には、SOCあるいは電池電圧(
図7では、SOC)に対して適切な入出力電力限界P
n,bを任意に設定することができる。例えば、蓄電池318がSOCに対して線形の値を設定してもよい。
【0067】
また、分散型電源320が備える太陽光発電システムは、一般には日射光強度に対してMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御で発電量を最大化するよう制御されるため、
図5に示す分散型電源120,220のようにDC-DC変換器124,224とセットで構成するのが合理的である。よって、
図7に示すように、分散型電源320においては、出力電圧V
n,pと出力電流I
n,pを監視しておけばよい。
【0068】
また、配電網(負荷)316で需要が発生した場合、配電網316に対しては、初期状態で交流電力系統2の1箇所から電力を供給することにしておけば、新たに発生する負荷の値は、DC-DC変換器308(図示せず)の出力値から把握することができる。
【0069】
続いて、本実施の形態において電力融通を行う際の制御処理について説明する。なお、例えば監視システム126,226や分散型電源120,220など各配電サブシステム100,200に含まれる構成要素を区別なく総称するときは、
図7と同様に監視システム326や分散型電源320と300番台の符号にて表記する。配電サブシステム100と配電サブシステム200に関しては、配電サブシステムkと識別番号にて表記する。
【0070】
まず、本実施の形態における監視システム326は、対応する配電サブシステムkにおける負荷と、いわゆる電力の余剰分に相当する供給可能電力量と、を算出する。
【0071】
配電サブシステムkについて、負荷をLk、分散型電源320の発電量をPk,p、蓄電池318の出力容量をPk,b、とすると,外部に対する見かけの負荷Lk,aは、
Lk,a=relu(Lk-Pk,p-Pk,b)
と算出できる。本実施の形態においては、負荷Lkをそのまま用いずに見かけの負荷Lk,aを用いることで、より正確な電力量に基づき電力融通を行うことができる。
【0072】
ここで、relu関数は、relu(x)=max(x,0)と表現でき、0以上の場合はそのままxを出力し、0未満の場合は0を出力する関数である。
【0073】
一方、配電サブシステムkにおける供給可能容量Pk,capは,
Pk,cap=relu(Pk,p+Pk,b-Lk)
と算出できる。
【0074】
なお、本実施の形態では、分散型電源320の発電量Pk,p及び蓄電池318の出力容量をPk,bの双方を出力可能な電力量とみなして見かけの負荷Lk,a及び供給可能容量Pk,capを算出するようにしたが、少なくとも一方を用いて算出してもよい。
【0075】
コントローラ50は、各監視システム326から見かけの負荷Lk,a及び供給可能容量Pk,capを取得して電力融通を制御する。各データLk,a、Pk,capの取得するタイミングは、可能な限り短い時間間隔で定周期的に取得すればよい。
【0076】
なお、本実施の形態では、監視システム326が見かけの負荷Lk,a及び供給可能容量Pk,capを算出するようにしたが、コントローラ50は、算出に用いる各種データを監視システム326から取得して自ら算出してもよい。
【0077】
ここで、見かけの負荷Lk,aが0を超える場合、その配電サブシステムkは、電力が不足していると判断できる。一方、供給可能容量Pk,capが0を超える場合、その配電サブシステムkは、電力を他の配電サブシステムに供給できるほどの余裕がある、換言すると電力が余剰していると判断できる。この結果、コントローラ50は、電力が余剰している配電サブシステムkから電力が不足している配電サブシステムkに対して電力融通を行うように制御する。
【0078】
なお、電力が余剰している配電サブシステムk又は電力が不足している配電サブシステムkの少なくとも一方が複数存在する場合も想定できるが、この場合、コントローラ50は、各配電サブシステムkの見かけの負荷Lk,a及び供給可能容量Pk,capの値を参照して、電力が余剰している1又は複数の配電サブシステムkの中から電力を供給する1又は複数の配電サブシステムkを選択し、選択した1又は複数の配電サブシステムkにより、電力が不足している1又は複数の配電サブシステムkに対して電力を供給するように電力融通を制御すればよい。また、電力が余剰している1の配電サブシステムkは、供給可能な電力を複数の配電サブシステムkに均等若しくは不均等に分割して供給してもよく、一方、電力が不足している1の配電サブシステムkは、複数の配電サブシステムkから均等若しくは不均等に電力が供給されてもよい。要するに、電力の供給元となる配電サブシステムkと電力の供給先となる配電サブシステムkとは、1対1でなく、1対多、多対1あるいは多対多でもよい。
【0079】
上記のように、電力融通を行う配電サブシステムkの組は、コントローラ50が決めることになるが、以下の説明では、説明の簡略化のために、電力が余剰している配電サブシステムkと電力が不足している配電サブシステムkとが1対1の関係にある場合を想定して電力融通の制御処理について説明する。また、電力が余剰している配電サブシステムkを配電サブシステム2と、電力が不足している配電サブシステムkを配電サブシステム1と、コントローラ50が特定したことにより、配電サブシステム2が配電サブシステム1に電力を供給する場合を例にして、コントローラ50における電力融通の制御について、
図8,9を用いて説明する。
【0080】
図8,9は、本実施の形態において配電網(負荷)116において需要が発生した場合、換言すると配電網(負荷)116において電力が不足していることにより配電サブシステム2が配電サブシステム1に電力融通する場合において、時間と、配電網(負荷)116に対する交流電力系統2(
図8,9A)、直流電力(DC接続線12を介する電力融通)(
図8,9B)、交流電力(AC配線4を介する電力融通)(
図8,9C)及び蓄電池118(
図8,9D)の各電力供給量の、時間の遷移を示すグラフ図である。このうち、
図8は、配電サブシステム2における供給可能容量P
2,capが配電サブシステム1における見かけの負荷L
k,a以上の場合のグラフ図である。一方、
図9は、配電サブシステム2における供給可能容量P
2,capが配電サブシステム1における見かけの負荷L
1,aに満たない場合のグラフ図である。最初に、配電サブシステム2における供給可能容量P
2,capが配電サブシステム1における見かけの負荷L
k,a以上の場合について
図8を用いて説明する。
【0081】
まず、時点t
0までは、配電網116において電力が不足していない状態である。もちろん、交流電力系統2は、
図8Aにおいて電力供給量は0となっているものの、この状態のときでも、通常通りにAC配線4、AC-DC変換器106、DC-DC変換器108を介して配電網116に電力を供給している。
【0082】
ここで、時点t
0に配電網116において電力需要の変化が発生し、負荷L
1分の電力が不足したとする。なお、本実施の形態における負荷L
1,aは、実施の形態1において不足した電力量P
reqに等しい。本実施の形態では、初期状態で交流電力系統2から電力を供給することにしているので、電力需要の変化の発生時点t
0では、
図8Aに示すように配電網16が必要とする電力の全て、すなわち負荷L
1,a分の電力量は、交流電力系統2からAC-DC変換器106、DC-DC変換器108を介して配電網16に供給される。
【0083】
配電網116に対して負荷L1,a分の電力が交流電力系統2から供給された後、配電サブシステム2は、配電サブシステム1に電力融通を開始することになるが、この際、電圧制御のみで送電量を制御でき、また位相制御が不要である直流電力を優先的に利用する。
【0084】
すなわち、時点t
0<t≦t
1においては、交流電力系統2からの供給電力L
s(t)を時間の関数とする場合、L
s(t
0)=L
1,aとし、かつL
s(t
1)=relu(L
1,a-P
2,cap)=0となるまで減少させる(
図8A)。これと同時並行して、配電サブシステム2からDC接続線12を介して配電サブシステム1に供給される電力量は、P
k,D=L
1,a-L
s(t
1)となるように(但し、P
k,D≦P
2,cap)、DC接続線12に流れる電圧V
2,mを調節して供給される(
図8B)。すなわち、コントローラ50は、L
s(t)+P
k,D=L
1,aとなるように配電サブシステム1,2間の電力融通を制御し、時点t
1では、配電サブシステム2から供給される直流電力だけで負荷L
1,a分を賄えるようにする。この直流電力だけで負荷L
1,a分を賄えるようになる時点tがt
1であり、この電力融通の状態は、実施の形態1における
図3Aに対応する。
【0085】
配電サブシステム2が直流電力にて負荷L1,a分の電力を賄えるようになると、DC配線と比較して大電力での送電が可能であるため送電電流を抑制でき、送電損失を抑制し高効率な送電が可能であるAC配線を利用した送電に切り替えていく。また、交流電力は、直流電力と比較して昇降圧が容易である。
【0086】
すなわち、時点t
1<t≦t
2においては、AC配線4を介する供給電力をrelu(L
1,a-P
2,cap)とし、DC接続線12を介する電力供給量をP
2,D(t
1)=L
1,a-relu(L
1,a-P
2,cap)からP
2,D(t
2)=0へと減少させる(
図8B)。これと同時並行して、配電サブシステム2からAC-DC変換器206、AC配線4を介して配電サブシステム1に供給される電力量は、P
2,A(t
1)=0からP
2,A(t
2)=L
1,a-relu(L
1,a-P
2,cap)と増加させながら(相差角を調整)し、かつ制約としてP
2,D(t)+P
2,A(t)=L
1,a-relu(L
1,a-P
2,cap)が成り立つように供給される。この制約は、配電サブシステム2から配電サブシステム1に供給される電力量、すなわちDC接続線12を介する電力量とAC配線4を介する電力量の和が一定となることを示している。すなわち、コントローラ50は、時点t
2では、配電サブシステム2から供給される交流電力だけで負荷L
1,a分を賄えるようにする。この交流電力だけで負荷L
1,a分を賄えるようになる時点tがt
2であり、この電力供給経路を切り替えていく状態は、実施の形態1における
図3B及び
図3Cに対応する。
【0087】
配電サブシステム1が負荷L
1,a分の電力供給を必要としている間、すなわち
図8Cに示すように時点t
2<t≦t
3の間は、配電サブシステム2からAC配線4を介して配電サブシステム1に供給される電力量がP
2,A(t)=L
1,a-relu(L
1,a-P
2,cap)及びP
2,D(t)=0が維持されるように電力融通が制御される。なお、配電サブシステム1が負荷L
1,a分の電力供給を必要としなくなる時点tがt
3となる。
【0088】
そして、配電サブシステム1が負荷L
1,a分の電力供給を必要としなくなると(つまり、時点t=t
3でL
1,a=0)、配電サブシステム2からAC配線4を介して配電サブシステム1に供給される電力量P
2,A(t)を0にするが、AC配線4を介して供給される電力が不安定化する可能性があるので、コントローラ50は、不安定化、具体的には脱調の発生や電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように、P
2,A(t
3)=L
1,a-relu(L
1,a-P
2,cap)を適切な時点t=t
4においてP
2,A(t
4)=0となるよう電力制御する(
図8C)。そして、配電サブシステム1では、時点t
3<t≦t
4の間に送られてくる電力を蓄電池118で吸収する(
図8D)。
図8では、蓄電池118に蓄電される電力量をハッチングで示している。この蓄電池118に蓄電させることで電力を調整する状態は、実施の形態1における
図3Dに対応する。
【0089】
本実施の形態によれば、以上のようにして配電サブシステム2から配電サブシステム1に供給される電力量を制御するようにしたので安定かつ高効率な電力融通を行うことができる。
【0090】
なお、t=t3からt4の間に送られてくる電力を蓄電池118の代わりに、DC接続線12を介して配電サブシステム2に送り、蓄電池218に吸収させるようにしてもよい。あるいは、蓄電池118と蓄電池218に分配するようにしてもよい。
【0091】
続いて、配電サブシステム2における供給可能容量P
2,capが配電サブシステム1における見かけの負荷L
1,aに満たない場合について
図9を用いて説明する。
【0092】
まず、時点t
0までの処理及び時点t
0における処理は、
図8を用いて説明した内容を同じなので説明を省略する。
【0093】
次に、時点t
1<t≦t
2における処理の内容も同じでよい。但し、この場合は、供給可能容量P
2,cap<見かけの負荷L
1,aなので、コントローラ50は、供給可能容量P
2,capの不足分、すなわちL
s(t)=relu(L
1,a-P
2,cap)分の電力量を、交流電力系統2から補うように電力制御する(
図9A)。
【0094】
また、これに続く時点t
1<t≦t
2時点t
2<t≦t
3、時点t
3<t≦t
4の間における処理の内容においても、
図9Aに示すように交流電力系統2がL
s(t)=relu(L
1,a-P
2,cap)を供給すること以外は
図8を用いて説明した内容と基本的には同じなので、説明を省略する。
【0095】
但し、供給可能容量P2,capの不足分、すなわちLs(t)で示す電力供給は不要となるので時点t4で0に戻す。なお、Ls(t)=0とするのは、時点t4まで待つことなく時点t3<t≦t4の間における蓄電池118に吸収させる電力量と相殺するようにしてもよい。
【0096】
以上の説明では、配電サブシステム2から配電サブシステム1に電力を供給する場合を例にして説明したが、上記説明における記号の識別番号kに設定する“1”と“2”を逆にすれば、逆方向への電力供給を示すことができる。
【0097】
前述したように、電力融通をする配電サブシステムkが2つの場合について説明したが、以下では、3つ以上の場合について説明する。
【0098】
配電サブシステムがk個存在するとき、K={1,2,・・・,k}という集合を定義する。そして、配電サブシステムj(j∈K)において負荷Lj,a>0、配電サブシステムi(i∈K、i≠j(i∈K-{j}とも記す))において供給可能容量Pi,capであるときに配電サブシステムjに対し,その他の1又は複数の配電サブシステムから電力を供給する際の分配比を考える。
【0099】
ここで、配電サブシステムjと配電サブシステムiとの間の抵抗をR
ijとすると、配電サブシステムjには、配電サブシステムi,j間の抵抗(距離)が小さい配電サブシステムiより電力を供給するのが合理的である。従って、配電サブシステムiからの電力供給量とP
i,jすると、
【数2】
と決定する。
【0100】
上記実施の形態1では、電力融通する際の電力の供給経路と供給量の遷移について説明したが、本実施の形態においては、供給する電力量を計算式にてより具体的に示すことにした。
【0101】
[本願発明の構成]
構成1:
交流電力系統に接続されるAC配線と、
前記AC配線が入力側に接続される少なくとも2つのAC-DC変換器と、
入力側に1つの前記AC-DC変換器を、出力側に配電網を接続する第1のDC-DC変換器と、
入力側に他の1つの前記AC-DC変換器を、出力側に分散型電源を接続する第2のDC-DC変換器と、
前記第1のDC-DC変換器又は前記第2のDC-DC変換器の出力側に接続される調整力システムと、
前記DC-DC変換器それぞれの入力側を接続するDC接続線と、
を有する送配電系統を備え、
前記配電網内で賄えないほどの急激な電力需要の変化が発生した場合、
発生時点においては、前記配電網が必要とする電力の全てを前記分散型電源から前記DC接続線を介して前記配電網に供給し、
発生後においては、前記AC配線から前記配電網に供給する交流電力を、前記交流電力系統において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように前記配電網が必要とする電力に達するまで増加させる、
ことを特徴とする配電システム。
構成2:
前記配電網が急激な電力需要に対応するための外部からの電力が不要となった場合、前記AC配線から前記配電網に供給される交流電力を、前記交流電力系統において脱調が発生、あるいは電力会社が設定した電力周波数範囲を逸脱しないように0になるまで減少させ、
前記AC配線から前記配電網に供給される電力を、前記配電網に供給することなく前記DC接続線を介して前記調整力システムに吸収させる、
ことを特徴とする構成1に記載の配電システム。
構成3:
前記第2のDC-DC変換器の入力側に接続されている前記AC-DC変換器が前記AC配線に向けて出力する電力の位相角に応じて前記交流電力系統から前記配電網に供給する電力量を制御する制御手段を有することを特徴とする構成1又は構成2に記載の配電システム。
構成4:
交流電力系統に接続されるAC配線と、
複数の配電サブシステムと、
前記複数の配電サブシステムそれぞれにおける電力供給制御を行う制御手段と、
を有する送配電系統を備え、
前記複数の配電サブシステムはそれぞれ、
前記AC配線が入力側に接続されるAC-DC変換器と、
入力側に前記AC-DC変換器を、出力側に配電網、分散型電源及び蓄電システムを接続するDC-DC変換器と、
前記配電サブシステムが備える前記DC-DC変換器それぞれの入力側を接続するDC接続線と、
当該配電サブシステムにおける電力状況を監視する監視手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記監視手段から当該配電サブシステムにおける電力の負荷及び供給可能電力量を取得して、前記配電サブシステム間での電力融通を制御する、
ことを特徴とする配電システム。
構成5:
前記制御手段は、当該配電サブシステムが有する当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量を用いて算出された当該配電サブシステムにおける電力の負荷及び供給可能電力量を取得することを特徴とする構成4に記載の配電システム。
構成6:
前記制御手段は、当該配電サブシステムが有する当該配電網における負荷から当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量を減算することで算出した当該配電サブシステムにおける見かけの負荷と、当該分散型電源又は当該蓄電システムの少なくとも一方が出力可能な電力量から当該配電網における負荷を減算することで算出した当該配電サブシステムにおける供給可能電力量を取得することを特徴とする構成4又は5に記載の配電システム。
構成7:
前記AC-DC変換器は、前記交流電力系統から3相6.6kV又は3相2.2kVの交流電圧を入力することを特徴とする構成1から構成6のいずれか1つに記載の配電システム。
【符号の説明】
【0102】
2 交流電力系統、4 AC配線、6a,6b,106 AC-DC変換器、8a,8b,108,122,124,222,224,308 DC-DC変換器、10a,10b,14a,14b,104,110,114 DC配線、12 DC接続線、16,116,216,316 配電網、18,118,218 調整力システム、20,120,220,320 分散型電源、22,50 コントローラ、24 検出器、100,200 配電サブシステム、126,226,326 監視システム、318 蓄電池。