(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164804
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】陳列スタンド
(51)【国際特許分類】
A47F 5/06 20060101AFI20241120BHJP
A47F 7/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A47F5/06
A47F7/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037451
(22)【出願日】2024-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2023079925
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591055919
【氏名又は名称】株式会社玉俊工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】友齊 信幸
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118BA03
3B118BA11
3B118CA05
3B118CA13
3B118CA17
3B118DA13
3B118DA22
(57)【要約】
【課題】対象物を陳列する際の陳列スタンドの高さ調整を容易にする。
【解決手段】
陳列スタンド1は、筒状部材6と、筒状部材6に挿通される棒状部材7と、を有する支柱部3と、支柱部3が立設される平板部2と、支柱部3に設けられる陳列部4と、揺動軸51を支持する支持部材52と、揺動軸51を中心として一端が棒状部材7の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材53と、揺動部材53を当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材54とを有し、棒状部材7を筒状部材6に向けて押圧して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックするロック部5とを備え、揺動部材53は、横部材55と、縦部材56と、を有し、当接位置まで揺動したとき、横部材51の揺動方向先端側の角55cが棒状部材7に当接し、付勢部材54は、縦部材56を筒状部材6から離間させる方向へ付勢力を発揮して揺動部材53を当接位置に保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通され前記筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して前記筒状部材との間で相対移動する棒状部材と、を有する支柱部と、
前記支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、
前記支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、
前記筒状部材の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸を支持する支持部材と、前記揺動軸を中心として一端が前記棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、前記揺動部材を前記当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、前記棒状部材の外周面を前記筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して前記筒状部材と前記棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、
前記揺動部材は、前記揺動軸を基点として前記棒状部材へ向けて延びる横部材と、前記揺動軸を基点として前記筒状部材の軸方向に沿って下方に延びる縦部材と、を有し、前記横部材および前記縦部材は、前記揺動軸に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、前記当接位置まで揺動したとき、前記横部材の揺動方向先端側の角が前記棒状部材に当接し、
前記付勢部材は、前記縦部材と前記筒状部材との間に配置され、前記縦部材を前記筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して前記揺動部材を前記当接位置に保持する、
ことを特徴とする陳列スタンド。
【請求項2】
前記付勢部材は板バネである、
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列スタンド。
【請求項3】
筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通され前記筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して前記筒状部材との間で相対移動する棒状部材と、を有する支柱部と、
前記支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、
前記支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、
前記筒状部材の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸を支持する支持部材と、前記揺動軸を中心として一端が前記棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、前記揺動部材を前記当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、前記棒状部材の外周面を前記筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して前記筒状部材と前記棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、
前記揺動部材は、前記揺動軸で曲折して、前記棒状部材へ向けて延びる横部と、前記筒状部材の軸方向に沿って下方に延びる縦部と、前記縦部の下端側から前記筒状部材へ向けて上方に延びる延設部と、が一体的に形成され、前記揺動軸に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、
前記付勢部材は、前記縦部と前記筒状部材との間に配置され、上部が湾曲して前記揺動軸の下側に当接するとともに、前記縦部の側が前記縦部に沿って前記延設部との境界まで延びるU字形板バネであり、前記揺動部材を前記筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して前記揺動部材を前記当接位置に保持する、
ことを特徴とする陳列スタンド。
【請求項4】
筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通され前記筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して前記筒状部材との間で相対移動する棒状部材と、を有する支柱部と、
前記支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、
前記支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、
一端が前記棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、前記揺動部材を前記当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、前記棒状部材の外周面を前記筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して前記筒状部材と前記棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、
前記揺動部材は、前記棒状部材へ向けて延びる横部と、前記横部の前記棒状部材とは反対側から曲折して前記筒状部材の軸方向に沿って下方に延びる縦部と、前記縦部の下端側から前記筒状部材へ向けて上方に延びる延設部と、が一体的に形成され、揺動方向への相対移動のみが許容され、
前記付勢部材は、前記縦部と前記筒状部材との間に配置され、前記筒状部材の側面に固定され上部が湾曲して前記縦部の側が前記縦部に沿って前記延設部との境界まで延びるU字形板バネであり、前記揺動部材を前記筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して前記揺動部材を前記当接位置に保持する、
ことを特徴とする陳列スタンド。
【請求項5】
前記揺動部材は、前記棒状部材の側面に当接する部分に前記棒状部材の外周面に沿った切り欠きを有する、
ことを特徴とする請求項1、3または4に記載の陳列スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列スタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
店舗などにおいて商品を陳列する際に用いられ、商品を所望の床上高さに保持する陳列スタンドが知られている。例えば、特許文献1には、商品の販売促進やイベントの告知などに使用されるポスターなどのポップを所望の床上高さに保持することができるフロアスタンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフロアスタンドは、フロアに載置される平板状の基盤部に垂設される円筒状の第1支柱部と、第1支柱部の内面に摺接しながら第1支柱部の軸方向に移動可能な第2支柱部と、から構成される。第1支柱部と第2支柱部との軸方向の相対的な位置を変化させることで、第2支柱部の上端に設けられる吊り下げ部の高さを調整してポップなどの対象物の高さが調整される。
【0005】
しかし、上記技術では、第1支柱部と第2支柱部との相対移動をロックするロック機構が、ロック部のハンドルを上げたり下げたりすることでロックを締結したり解除したりする構造であるため、対象物の高さを微調整する際に作業が煩雑になる可能性がある。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、対象物を陳列する際の陳列スタンドの高さ調整を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の陳列スタンドは、筒状部材と、筒状部材の内部に挿通され筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して筒状部材との間で相対移動する棒状部材と、を有する支柱部と、支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、筒状部材の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸を支持する支持部材と、揺動軸を中心として一端が棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、揺動部材を当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、棒状部材の外周面を筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材と棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、揺動部材は、揺動軸を基点として棒状部材へ向けて延びる横部材と、揺動軸を基点として筒状部材の軸方向に沿って下方に延びる縦部材と、を有し、横部材および縦部材は、揺動軸に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、当接位置まで揺動したとき、横部材の揺動方向先端側の角が棒状部材に当接し、付勢部材は、縦部材と筒状部材との間に配置され、縦部材を筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して揺動部材を当接位置に保持する。
【0008】
また、付勢部材は板バネである。
【0009】
本発明の一側面の陳列スタンドは、筒状部材と、筒状部材の内部に挿通され筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して筒状部材との間で相対移動する棒状部材と、を有する支柱部と、支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、筒状部材の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸を支持する支持部材と、揺動軸を中心として一端が棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、揺動部材を当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、棒状部材の外周面を筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材と棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、揺動部材は、揺動軸で曲折して、棒状部材へ向けて延びる横部と、筒状部材の軸方向に沿って下方に延びる縦部と、縦部の下端側から筒状部材へ向けて上方に延びる延設部と、が一体的に形成され、揺動軸に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、付勢部材は、縦部と筒状部材との間に配置され、上部が湾曲して揺動軸の下側に当接するとともに、縦部の側が縦部に沿って延設部との境界まで延びるU字形板バネであり、揺動部材を筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して揺動部材を当接位置に保持する。
【0010】
本発明の一側面の陳列スタンドは、筒状部材と、筒状部材の内部に挿通され筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して筒状部材との間で相対移動する棒状部材と、を有する支柱部と、支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、一端が棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、揺動部材を当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、棒状部材の外周面を筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材と棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、揺動部材は、棒状部材へ向けて延びる横部と、横部の棒状部材とは反対側から曲折して筒状部材の軸方向に沿って下方に延びる縦部と、縦部の下端側から筒状部材へ向けて上方に延びる延設部と、が一体的に形成され、揺動方向への相対移動のみが許容され、付勢部材は、縦部と筒状部材との間に配置され、筒状部材の側面に固定され上部が湾曲して縦部の側が縦部に沿って延設部との境界まで延びるU字形板バネであり、揺動部材を筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して揺動部材を当接位置に保持する。
【0011】
また、揺動部材は、棒状部材の側面に当接する部分に棒状部材の外周面に沿った切り欠きを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対象物を陳列する際の陳列スタンドの高さ調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る陳列スタンドの概観図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る陳列スタンドのロック部を拡大した拡大図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る陳列スタンドのロック部を拡大した拡大図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る陳列スタンドのロック部を上方から見た状態を示す一部断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る陳列スタンドのロック部を上方から見た状態を示す一部断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る陳列スタンドのロック部を拡大した拡大図であり、支持部材及び
図2における揺動部材の横部材の先端の切り欠きを省略して示す。
【
図7】
図7は、
図6の一部を拡大して示す拡大図であり、Aは
図6の領域Aを拡大して示し、Bは揺動軸と横部材の先端との間の距離について説明する説明図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る陳列スタンドのロック部を拡大した拡大図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る陳列スタンドのロック部を拡大した拡大図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る陳列スタンドのロック部を拡大した拡大図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る陳列スタンドのロック部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下に、本発明の一実施の形態に係る陳列スタンド1について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0015】
(構造)
初めに、本実施形態における陳列スタンド1の概観について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る陳列スタンド1の概観図である。
【0017】
陳列スタンド1は、例えば店舗などにおいて帽子などの服飾品を陳列するために用いられるスタンドである。なお、陳列物は必ずしも売り物である必要はなく、美術館などで美術品を展示する目的で使用されてもよい。
【0018】
陳列スタンド1は、フロアや陳列棚などの比較的水平な場所に平置きされる平板部2と、平板部2の中央にビス止めや溶接などによって立設され平板部2から上方へと延びる支柱部3と、支柱部3の上端に固定され陳列物を載置したり吊るしたりする陳列部4と、支柱部3の長さを固定して陳列部4の高さを調整するロック部5と、を備える。
【0019】
なお、平板部2は
図1に示すように円形でなくてもよく四角形や六角形など陳列スタンド1が安定する形状および大きさであればよい。また、支柱部3は平板部2から鉛直上方に延びる必要はなく斜め上方へと延びる構造であってもよい。
【0020】
支柱部3は、下方に設けられ平板部2から上方へと延びるように立設される筒状部材6と、筒状部材6の内部に挿通され筒状部材6の上端から上方へと延びる棒状部材7と、を有する。すなわち、支柱部3は、筒状部材6と棒状部材7とが軸方向に相対移動することで全体の長さを変化させることができるテレスコピック機構を構成している。なお、筒状部材6の内径は棒状部材7の外径より少しだけ大きく設定されており、筒状部材6と棒状部材7との円滑な相対移動が可能となっている。
【0021】
実際には、筒状部材6は平板部2に固定されているため、筒状部材6と棒状部材7とが相対移動すると、棒状部材7が上方へと伸長する。なお、棒状部材7は筒状部材6の内部に挿通可能であってかつ必要な強度を保てる範囲において中実であっても中空であってもよい。
【0022】
また、本実施形態では筒状部材6が下方に配置され棒状部材7が上方に配置されているが、上下が逆であってもよい。この場合、下方の棒状部材7に対して上方の筒状部材6が内部に棒状部材7を収容するように上下に伸縮し、ロック部5は筒状部材6に設けられる。
【0023】
ロック部5は、筒状部材6の上端であって筒状部材6と棒状部材7との境界部における筒状部材6側に設けられ、筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックする。作業者が片手でロックレバー8を押し込むと筒状部材6と棒状部材7との相対移動が許容され、棒状部材7が筒状部材6に収容されて陳列部4が低下する。
【0024】
次に、本実施形態における陳列スタンド1のロック部5について説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る陳列スタンド1のロック部5を拡大した拡大図である。
【0026】
ロック部5は、筒状部材6の上端の外周面を覆うように固定され揺動軸51を有する支持部材52と、揺動軸51を中心として揺動する揺動部材53と、揺動部材53を一定の方向に付勢する付勢部材54と、を備える。
【0027】
支持部材52は、水平断面がU字形状の板であり(
図4、
図5)、U字の湾曲部分521が筒状部材6の外周に沿うように配置される。支持部材52は、U字の開口側であって筒状部材6の外周面より径方向外側に離れた位置に揺動軸51を有する。揺動軸51はU字の開口側を互いに接続するように筒状部材6の軸方向に垂直な方向に延設される。揺動軸51は軸方向にも径方向にも移動しないように支持部材52に固定される。
【0028】
揺動部材53は、揺動軸51において曲折するL字型の板であり、揺動軸51を中心として揺動する。揺動部材53は、揺動軸51を基点として棒状部材7へ向けてほぼ水平に延びる横部材55と、揺動軸51を基点として筒状部材6の軸方向に沿って下方に延びる縦部材56と、を有する。横部材55と縦部材56とはほぼ90度の角度をもって一体的に形成される。なお、横部材55と縦部材56とは筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックできる限りにおいてその他の角度であってもよい。
【0029】
横部材55は、揺動軸51とは反対側の棒状部材7側の端部に切り欠き57を有する(
図4、
図5)。切り欠き57は、揺動部材53が揺動して横部材55が棒状部材7に当接する部分が、棒状部材7の外周面に沿った形状に形成される。
【0030】
縦部材56は、下端部から曲折して筒状部材6側に延設する延設部58を有する。延設部58は、その長さ分だけ縦部材56が筒状部材6に当接するまでの揺動部材53の揺動量を低下させる。
【0031】
付勢部材54は、揺動部材53の縦部材56と筒状部材6との間であって両サイドが支持部材52によって覆われている閉塞空間に収納される板バネ54である。板バネ54は、湾曲部541を上方とする逆J字型であり、湾曲部541に対して短辺側が筒状部材6に圧接し、長辺側が縦部材56に圧接する。板バネ54は、
図2に示す状態では、既に弾性変形した状態で保持されており、復元力が揺動部材53を図中時計回りに揺動する方向に作用している。
【0032】
なお、板バネ54は、U字の湾曲部541に対して短辺側が筒状部材6に圧接し、長辺側が縦部材56に圧接している。縦部材56は、横部材55とほぼ90度の角度をもって筒状部材6の軸方向に沿って下方に延びているので、揺動部材53が当接位置にあるとき、板バネ54は筒状部材6及び縦部材56に圧接状態で保持され、下方に移動しない。また、揺動部材53が、
図3に示すように、反時計回りに回動した状態では、揺動部材53と筒状部材6の距離が近くなるので、板バネ54が下方に移動しない。よって、板バネ54は、筒状部材6、縦部材56及び横部材55に溶接などによって固定しなくても脱落することはない。
【0033】
(動作)
次に、本実施形態における陳列スタンド1のロック部5の動作について
図2から
図5を参照しながら説明する。
【0034】
作業者は、陳列スタンド1を所望の位置に設置した後、作業者がロック部5を操作していない
図2に示す状態では、板バネ54の復元力により揺動部材53が
図2の時計回りに付勢される。この状態では、揺動部材53の横部材55の先端が棒状部材7を径方向に押圧している。
【0035】
これにより、
図4に示すように、横部材55の切り欠き57が図中右方へ変位して、棒状部材7の外周面が筒状部材6の内周面に図中右方向に押圧される。よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦が増大して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止される。
【0036】
すなわち、陳列スタンド1は、作業者がロック部5を操作していないとき、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止されるので棒状部材7が上昇および下降することはなく、所望の高さに対象物を陳列することができる。
【0037】
対象物を陳列する高さを調整する場合、作業者はロック部5の揺動部材53を
図2の矢印に示す方向に親指などで押し込む。このとき、棒状部材7が重力によって落下する速度が速すぎる場合は親指を有する一方の手ではない他方の手で棒状部材7の一部を把持しておくとよく、落下速度が適切である場合には他方の手を必要とすることはない。
【0038】
作業者がロック部5の揺動部材53を押し込むと、揺動部材53は揺動軸51を中心として
図3の矢印に示すように反時計回りに揺動する。これにより、
図5に示すように、横部材55の切り欠き57が図中左方へ変位して、棒状部材7の外周面と筒状部材6の内周面との間に間隙が生じる。
【0039】
よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦は低減して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が許容され、棒状部材7が自重によって筒状部材6の中に収容されることで支柱部3の高さが低下していく。
【0040】
このとき、揺動部材53の縦部材56は板バネ54の復元力によって時計回りに付勢されているので、揺動部材53を押す親指の力を弱めると揺動部材53を
図3の時計回りに揺動させることができる。
【0041】
これにより、
図4に示すように、横部材55の切り欠き57が図中右方へ変位して、棒状部材7の外周面が筒状部材6の内周面に図中右方向に押圧される。よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦が増大して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止される。
【0042】
ここで、揺動部材53の横部材55が棒状部材7から離間して
図4に示す状態から
図5に示す状態へと変位していく過程で、切り欠き57が棒状部材7の外周面から離間すると、陳列部4を含む棒状部材7は自重によって低下していく。
【0043】
このように、陳列スタンド1は、作業者がロック部5を操作することで、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が許容されるので、棒状部材7が低下して陳列部4を所望の高さに調整することができる。
【0044】
また、棒状部材7や陳列部4を一方の手で把持して上方へ力をかけながら、他方の手の親指などでロック部5を操作することで、ロック部5を操作している間は棒状部材7が筒状部材6に対して上方に移動するので、陳列部4を所望の高さに上昇させることができる。
【0045】
またここで、作業者は、陳列部4を下げる目的でロック部5の揺動部材53を押圧しているので、実際には
図5に示す状態となるまで横部材55を離間させる必要はない。具体的には、棒状部材7が低下し始める程度に横部材55が筒状部材6から離間すればよい。
【0046】
よって、揺動部材53の縦部材56に設けられる延設部58の長さは、棒状部材7が適切に落下することができる程度に設定される。これにより、作業者が縦部材56を押圧するストローク量を必要最小限にすることができ、親指の移動量、すなわち作業者の作業負荷を低減することができる。
【0047】
(先端の角)
ここで、
図2に示すように、作業者がロック部5を操作していない状態、すなわち、板バネ54の復元力により揺動部材53が
図2の時計回りに付勢され、揺動部材53の横部材55の先端が棒状部材7を径方向に押圧している状態について説明する。
【0048】
なお、
図2では、揺動部材53の横部材55の先端が棒状部材7を径方向に押圧しているとき、横部材55の先端に切り欠き57を有しているため、横部材55の先端が棒状部材7の左端から切り欠き57の深さ分だけ右方向へ延びている。以下の説明では、説明の平易化のため、当該切り欠き57が設けられてないとして説明する。
【0049】
図6は、第1実施形態に係る陳列スタンド1のロック部5を拡大した拡大図であり、支持部材52及び
図2における揺動部材53の横部材55の先端55aの切り欠き57を省略して示す。この場合、
図6に示すように、揺動部材53の横部材55の先端55aが棒状部材7を径方向に押圧している状態では、揺動部材53の横部材55の先端55aは、棒状部材7の紙面上左端に位置する。
【0050】
この図では、横部材55の先端55aの面55bが、棒状部材7の長手方向に対して平行に当接しているように見えるが、実際には平行に当接することはない。この点について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、
図6の一部を拡大して示す拡大図であり、Aは
図6の領域Aを拡大して示し、Bは揺動軸51と横部材55の先端55aとの間の距離について説明する説明図である。
【0051】
図7のAに示すように、横部材55の先端55aが棒状部材7を径方向に押圧しているとき、実際には、横部材55の先端55aの面55bが、棒状部材7の長手方向に対して平行には当接していない。すなわち、仮に、棒状部材7における横部材55が当接する箇所が平面であっても、横部材55の先端55aの面55bは棒状部材7に面接触できない。
【0052】
横部材55は、揺動軸51を中心として揺動している。
図7のBに示すように、揺動軸51の中心を点Cとし、横部材55の先端55aの面55bにおける紙面上下端を点Dとし、横部材55の先端55aの面55bにおける紙面上中央を点Eとする。すると、線分CDの距離は線分CEの距離より長くなる。なお、ここでは、横部材55の揺動に影響を与えない紙面奥行き方向については考慮しない。
【0053】
横部材55が上方から矢印に示すように揺動すると、線分CD>線分CEの関係から、点Dが棒状部材7に当接した位置で横部材55の時計回りの揺動は制止される。
【0054】
仮に、横部材55の先端55aの面55bが、棒状部材7の長手方向に対して平行に当接するとした場合、点Eが棒状部材7に当接しなければならないが、その前に点Dが棒状部材7に当接して横部材55のそれ以上の揺動が規制されるため、点Eが棒状部材7に当接することはできない。
【0055】
よって、板バネ54の復元力により揺動部材53が時計回りに付勢され、横部材55が上方から揺動して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックするときには、点Dで示される横部材55の先端55aの揺動方向先端側の角55cが、棒状部材7に当接する。
【0056】
これにより、横部材55が棒状部材7に当接して筒状部材6と棒状部材7との相対移動がロックされているとき、陳列部4の重量が棒状部材7の下方に作用した場合、重量が重いほど線分CDの距離を縮める方向により大きな力が作用し、その反作用による力によって点Dはより強く棒状部材7に圧接する。よって、筒状部材6と棒状部材7との相対移動はより強固にロックされる。
【0057】
[第2実施形態]
(構造)
次に、第2実施形態について、
図8を参照しながら説明する。第2実施形態では、陳列スタンド1の主な構成は第1実施形態と同一であり、ロック部5の構造のみが異なる。
図8は、第2実施形態に係る陳列スタンド1のロック部25を拡大した拡大図である。
【0058】
なお、以下の説明では、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、適宜その説明を省略する。
【0059】
ロック部25は、筒状部材6の上端の外周面を覆うように固定され揺動軸251を有する支持部材252と、揺動軸251を中心として揺動する揺動部材253と、揺動部材253を一定の方向に付勢する付勢部材254と、を備える。
【0060】
支持部材252は、U字の開口側であって、筒状部材6の外周面より径方向外側に離れた位置に揺動軸251を有する。揺動軸251はU字の開口側を互いに接続するように筒状部材6の軸方向に垂直な方向に延設される。揺動軸251は、軸周りに回動自在であり、軸方向及び径方向には移動しないように支持部材252に固定される。
【0061】
揺動部材253は、揺動軸251において曲折する略L字型の板であり、揺動軸251を中心として揺動する。揺動部材253は、棒状部材7へ向けてやや上方へ向けて延びる横部253aと、筒状部材6の軸方向に沿って下方に延びる縦部253bと、縦部の下端側から筒状部材6へ向けて上方に延びる延設部253cと、が一体的に形成される。
【0062】
揺動部材253は、揺動軸251に対して揺動方向への相対移動のみが許容される。揺動部材253は、揺動軸251とは完全に別部材であり、揺動軸251の外周面に常に当接しているが、固定はされていない。しかし、揺動するときは揺動軸251との当接面と当接したままスリップすることなく揺動する。なお、揺動時に揺動部材253と揺動軸251との間にスリップが生じてもよい。
【0063】
付勢部材254は、揺動部材253の縦部253bと筒状部材6との間であって、
図8の奥行き方向である両サイドが支持部材252によって覆われている閉塞空間に収納されるU字形板バネ254である。付勢部材254としてのU字形板バネ254は、湾曲部254aを上方として下方に開口する逆U字形に配置される。U字形板バネ254の湾曲部254aに対して、一方側254bは筒状部材6に沿って下方に延設され、他方側354cは揺動部材253の縦部253bに沿って延設部253cとの境界253dまで延設される。U字形板バネ254の湾曲部254aは、揺動軸251に圧接された状態で配置される。
【0064】
揺動部材253は、縦部253bと延設部253cとが一体的に形成され、延設部253cは縦部253bの下端から筒状部材6へ向けて上方に延びているため、縦部253bと延設部253cとがなす角度は90°より小さい。これにより、U字形板バネ254のうち縦部253bに沿って延設される部分の下端は、縦部253bと延設部253cとの間に三角形状に画成される引っ掛かり部259に位置する。
【0065】
これにより、U字形板バネ254は上方への移動が揺動軸251によって制限され、下方への移動が揺動部材253の引っ掛かり部259によって制限される。よって、U字形板バネ254は、他の部材に溶接などによって固定しなくても脱落することはない。また、U字形板バネ254は、
図8に示す状態では、既に圧縮側に弾性変形した状態で収容されており、復元力が揺動部材53を
図8の時計回りに揺動させる方向に常に作用している。よって、揺動部材253は、どの部材にも固定されていないが、揺動角度に関わらず脱落することはない。
【0066】
(動作)
次に、本実施形態における陳列スタンド1のロック部25の動作について説明する。
【0067】
作業者は、陳列スタンド1を所望の位置に設置した後、作業者がロック部25を操作していない
図8に示す状態では、U字形板バネ254の復元力により揺動部材253が
図8の時計回りに付勢される。この状態では、揺動部材253の横部253aの先端253eが棒状部材7を径方向に押圧している。
【0068】
これにより、棒状部材7の外周面が筒状部材6の内周面に図中右方向に押圧される。よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦が増大して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止される。
【0069】
すなわち、陳列スタンド1は、作業者がロック部25を操作していないとき、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止されるので棒状部材7が上昇および下降することはなく、所望の高さに対象物を陳列することができる。
【0070】
対象物を陳列する高さを調整する場合、作業者はロック部25の揺動部材253を
図8の矢印に示す方向に親指などで押し込む。このとき、棒状部材7が重力によって落下する速度が速すぎる場合は親指を有する一方の手ではない他方の手で棒状部材7の一部を把持しておくとよく、落下速度が適切である場合には他方の手を必要とすることはない。
【0071】
作業者がロック部25の揺動部材253を押し込むと、揺動部材253は揺動軸251を中心として
図9の矢印に示すように反時計回りに揺動する。これにより、横部253aが図中左上方へ変位して、棒状部材7の外周面と筒状部材6の内周面との間に間隙が生じる。
【0072】
このとき、揺動部材253は揺動軸251に圧接されているので、揺動軸251は、揺動部材253の回動に伴って揺動部材253との圧接部253fが揺動部材253に追従するように連れ回る。一方、揺動軸251の揺動時に、揺動軸251はU字形板バネ254の湾曲部254aとの圧接部においてスリップしながら揺動するが、揺動軸251と湾曲部254aとの摩擦力は小さく、また、作業者が縦部253bを押し込む部分と揺動軸251との距離が長いので、スリップに伴って生じる摩擦力は、作業者の作業性にはほとんど影響を与えない。
【0073】
よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦は低減して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が許容され、棒状部材7が自重によって筒状部材6の中に収容されることで支柱部3の高さが低下していく。
【0074】
このとき、揺動部材253の縦部253bはU字形板バネ254の復元力によって時計回りに付勢されているので、揺動部材253を押す親指の力を弱めると揺動部材253を
図9の時計回りに揺動させることができる。
【0075】
これにより、揺動部材253の横部253aが図中右方へ変位して、棒状部材7の外周面が筒状部材6の内周面に図中右方向に押圧される。よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦が増大して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止される。
【0076】
このように、陳列スタンド1は、作業者がロック部25を操作することで、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が許容されるので、棒状部材7が低下して陳列部4(
図1)を所望の高さに調整することができる。
【0077】
また、棒状部材7や陳列部4を一方の手で把持して上方へ力をかけながら、他方の手の親指などでロック部25を操作することで、ロック部25を操作している間は棒状部材7が筒状部材6に対して上方に移動するので、陳列部4を所望の高さに上昇させることができる。
【0078】
またここで、作業者は、陳列部4を下げる目的でロック部25の揺動部材253の縦部253bを押圧しているので、実際には
図9に示す状態となるまで横部253aを離間させる必要はない。具体的には、棒状部材7が低下し始める程度に横部253aが筒状部材6から離間すればよい。
【0079】
よって、揺動部材253の縦部253bの下端に設けられる延設部253cの長さは、棒状部材7が適切に落下することができる程度に設定される。これにより、作業者が縦部253bを押圧するストローク量を必要最小限にすることができ、親指の移動量、すなわち作業者の作業負荷を低減することができる。
【0080】
(先端の角)
ここで、
図8に示すように、作業者がロック部25を操作していない状態、すなわち、U字型板バネ254の復元力により揺動部材253が
図8の時計回りに付勢され、揺動部材253の横部253aの先端253eが棒状部材7を径方向に押圧している状態について説明する。
【0081】
図8は、第2実施形態に係る陳列スタンド1のロック部25を拡大した拡大図である。
図8に示すように、揺動部材253の横部253aの先端が棒状部材7を径方向に押圧している状態では、揺動部材253の横部253aの先端は、棒状部材7の紙面上左端に位置する。また、横部253aの先端253eの揺動方向先端側の角253gが、棒状部材7に当接している。
【0082】
図8に示す例では、横部253aが斜め上方に向けて延びているため、横部253aの先端253eが棒状部材7を径方向に押圧している状態では、常に横部253aの先端253eの揺動方向先端側の角253gが、棒状部材7に当接する。しかし、仮に、横部253aが縦部253bから曲折して水平方向に延びていたとしても、横部253aの先端253eの面253hが、棒状部材7の長手方向に対して平行には当接しない。すなわち、仮に、棒状部材7における横部253aが当接する箇所が平面であっても、横部253aの先端の面は棒状部材7に面接触できない。
【0083】
当該事項の原理は、第1実施形態で説明した内容と同一であるので割愛するが、横部253aが上方から揺動して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックするときには、横部253aの先端253eの揺動方向先端側の角253gが、棒状部材7に当接する。
【0084】
これにより、横部253aが棒状部材7に当接して筒状部材6と棒状部材7との相対移動がロックされているとき、陳列部4(
図1)の重量が棒状部材7に下方に作用した場合、重量が重いほど横部253aに作用する圧縮方向の力が大きくなり、その反作用による力によって、横部253aの先端253eの揺動方向先端側の角253gは、より強く棒状部材7に圧接する。よって、筒状部材6と棒状部材7との相対移動をより強固にロックすることができる。
【0085】
[第3実施形態]
(構造)
次に、第3実施形態について、
図10を参照しながら説明する。第3実施形態では、陳列スタンド1の主な構成は第1実施形態と同一であり、ロック部5の構造のみが異なる。
図10は、第3実施形態に係る陳列スタンド1のロック部35を拡大した拡大図である。
【0086】
なお、以下の説明では、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、適宜その説明を省略する。
【0087】
ロック部35は、筒状部材6の上端の外周面を覆うように固定される支持部材352と、揺動する揺動部材353と、揺動部材353を一定の方向に付勢する付勢部材354と、を備える。
【0088】
支持部材352は、水平断面がU字状に形成され、筒状部材6の外周面に覆設される。
【0089】
揺動部材353は、揺動軸を有しておらず、後述するように、付勢部材354の一部に引っ掛けられることで付勢部材354の変形に追従することで揺動する。揺動部材353は、上方において曲折する略L字型の板である。揺動部材353は、棒状部材7へ向けてやや上方へ向けて延びる横部353aと、筒状部材6の軸方向に沿って下方に延びる縦部353bと、縦部353bの下端側から筒状部材6へ向けて上方に延びる延設部353cと、が一体的に形成される。揺動部材353は、付勢部材354の変形に追従して揺動方向への相対移動のみが許容される。
【0090】
付勢部材354は、揺動部材353の縦部353bと筒状部材6との間であって、
図10の奥行き方向である両サイドが支持部材352によって覆われている閉塞空間に収納されるU字形板バネ354である。U字形板バネ354は、湾曲部354aを上方として下方に開口する逆U字形に配置される。U字形板バネ354の湾曲部354aに対して、一方側354bは筒状部材6に沿って下方に延設され、少なくとも一部において筒状部材6に溶接固定される。他方側354cは揺動部材353の縦部353bに沿って延設部353cとの境界353dまで延設される。U字形板バネ354の湾曲部354aは、いかなる部材とも干渉せず上記閉塞空間内に留置されるが、湾曲部354aの一方側354bが筒状部材6に溶接固定されているので、常に湾曲部354aが上方に配置される。なお、揺動部材353は、付勢部材354とは完全に別部材である。
【0091】
揺動部材353は、縦部353bと延設部353cとが一体的に形成され、延設部353cは縦部353bの下端側から筒状部材6へ向けて上方に延びているため、縦部353bと延設部353cとがなす角度は90°より小さい。これにより、U字形板バネ354の縦部353bに沿って延設される部分の下端は、縦部353bと延設部353cとの間に三角形状に画成される引っ掛かり部359に位置する。また、U字形板バネ354は、
図10に示す状態では、既に圧縮側に弾性変形した状態で収容されており、復元力が揺動部材353を
図10の時計回りに揺動させる方向に常に作用している。
【0092】
これにより、揺動部材353は、上方への移動がU字形板バネ354の他方側354cと揺動部材353の最奥部との当接によって制限され、下方への移動が揺動部材353の縦部353bとU字形板バネ354の他方側354cとの間に生じる摩擦力によって制限される。また、揺動部材353は、縦部353bの下端が筒状部材6から離れる方向に常に付勢力を受けており、当該付勢力によって横部353aが棒状部材7に圧接されている。
【0093】
さらに、縦部353bの下端は引っ掛かり部359に位置する。これにより、揺動部材353が棒状部材7から径方向に離間する方向に移動しようとしても、揺動部材353の上方は横部353aと棒状部材7との圧接状態によって当接が保持され、揺動部材353の下方は引っ掛かり部359によって延設部353cの方向へ離間できないため、揺動部材353が離脱することはない。よって、揺動部材353は、どの部材にも固定されていないが、揺動角度に関わらず脱落することはない。
【0094】
(動作)
次に、本実施形態における陳列スタンド1のロック部35の動作について説明する。
【0095】
作業者は、陳列スタンド1を所望の位置に設置した後、作業者がロック部35を操作していない
図10に示す状態では、U字形板バネ354の復元力により揺動部材353が
図10の時計回りに付勢される。この状態では、揺動部材353の横部353aの先端353eが棒状部材7を径方向に押圧している。
【0096】
これにより、棒状部材7の外周面が筒状部材6の内周面に図中右方向に押圧される。よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦が増大して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止される。
【0097】
すなわち、陳列スタンド1は、作業者がロック部35を操作していないとき、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止されるので棒状部材7が上昇および下降することはなく、所望の高さに対象物を陳列することができる。
【0098】
対象物を陳列する高さを調整する場合、作業者はロック部35の揺動部材353を
図10の矢印に示す方向に親指などで押し込む。このとき、棒状部材7が重力によって落下する速度が速すぎる場合は親指を有する一方の手ではない他方の手で棒状部材7の一部を把持しておくとよく、落下速度が適切である場合には他方の手を必要とすることはない。
【0099】
作業者がロック部35の揺動部材353を押し込むと、揺動部材353は揺動軸51を中心として
図11の矢印に示すように反時計回りに揺動する。これにより、横部353aが図中左上方へ変位して、棒状部材7の外周面と筒状部材6の内周面との間に間隙が生じる。
【0100】
よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦は低減して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が許容され、棒状部材7が自重によって筒状部材6の中に収容されることで支柱部3の高さが低下していく。
【0101】
このとき、揺動部材353の縦部353bはU字型板バネ354の復元力によって時計回りに付勢されているので、揺動部材353を押す親指の力を弱めると揺動部材353を
図11の時計回りに揺動させることができる。
【0102】
これにより、揺動部材353の横部353aが図中右方へ変位して、棒状部材7の外周面が筒状部材6の内周面に図中右方向に押圧される。よって、筒状部材6と棒状部材7との間の摩擦が増大して、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が制止される。
【0103】
このように、陳列スタンド1は、作業者がロック部35を操作することで、筒状部材6と棒状部材7との間の相対的な移動が許容されるので、棒状部材7が低下して陳列部4を所望の高さに調整することができる。
【0104】
また、棒状部材7や陳列部4を一方の手で把持して上方へ力をかけながら、他方の手の親指などでロック部35を操作することで、ロック部35を操作している間は棒状部材7が筒状部材6に対して上方に移動するので、陳列部4を所望の高さに上昇させることができる。
【0105】
またここで、作業者は、陳列部4を下げる目的でロック部35の揺動部材353を押圧しているので、実際には
図11に示す状態となるまで横部353aを離間させる必要はない。具体的には、棒状部材7が低下し始める程度に横部353aが筒状部材6から離間すればよい。
【0106】
よって、揺動部材353の縦部353bの下端に設けられる延設部353cの長さは、棒状部材7が適切に落下することができる程度に設定される。これにより、作業者が縦部353bを押圧するストローク量を必要最小限にすることができ、親指の移動量、すなわち作業者の作業負荷を低減することができる。
【0107】
(先端の角)
ここで、
図10に示すように、作業者がロック部35を操作していない状態、すなわち、U字型板バネ354の復元力により揺動部材353が
図10の時計回りに付勢され、揺動部材353の横部353aの先端353eが棒状部材7を径方向に押圧している状態について説明する。
【0108】
図10は、第3実施形態に係る陳列スタンド1のロック部35を拡大した拡大図である。
図10に示すように、揺動部材353の横部353aの先端353eが棒状部材7を径方向に押圧している状態では、揺動部材353の横部353aの先端353eは、棒状部材7の紙面上左端に位置する。また、横部353aの先端353eの揺動方向先端側の角353fが、棒状部材7に当接している。
【0109】
図10に示す例では、横部353aが斜め上方に向けて延びているため、横部353aの先端353eが棒状部材7を径方向に押圧している状態では、常に横部353aの先端353eの揺動方向先端側の角353fが、棒状部材7に当接する。しかし、仮に、横部353aが縦部353bから曲折して水平方向に延びていたとしても、横部353aの先端353eの面が、棒状部材7の長手方向に対して平行には当接しない。すなわち、仮に、棒状部材7における横部353aが当接する箇所が平面であっても、横部353aの先端353eの面は棒状部材7に面接触できない。
【0110】
当該事項の原理は、第1実施形態で説明した内容と同一であるので割愛するが、横部353aが上方から揺動して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックするときには、横部353aの先端353eの揺動方向先端側の角353fが、棒状部材7に当接する。
【0111】
これにより、横部353aが棒状部材7に当接して筒状部材6と棒状部材7との相対移動がロックされているとき、陳列部4の重量が棒状部材7に下方に作用した場合、重量が重いほど横部353aに作用する圧縮方向の力が大きくなり、その反作用による力によって、横部353aの先端353eの揺動方向先端側の角353fは、より強く棒状部材7に圧接する。よって、筒状部材6と棒状部材7との相対移動をより強固にロックすることができる。
【0112】
[効果]
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0113】
上述した陳列スタンド1は、
筒状部材6と、筒状部材6の内部に挿通され筒状部材6の一端から外方へ向けて伸長して筒状部材6との間で相対移動する棒状部材7と、を有する支柱部3と、
支柱部3の一端が立設され平置きされる平板部2と、
支柱部3の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部4と、
筒状部材6の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸51を支持する支持部材52と、揺動軸51を中心として一端が棒状部材7の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材53と、揺動部材53を当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材54と、を有し、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックするロック部5と、を備え、
揺動部材53は、揺動軸51を基点として棒状部材7へ向けて延びる横部材55と、揺動軸51を基点として筒状部材6の軸方向に沿って下方に延びる縦部材56と、を有し、横部材55および縦部材56は、揺動軸51に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、当接位置まで揺動したとき、横部材51の揺動方向先端側の角55cが棒状部材7に当接し、
付勢部材54は、縦部材56と筒状部材6との間に配置され、縦部材56を筒状部材6から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して揺動部材53を当接位置に保持する。
【0114】
このような構成を有することにより、陳列スタンド1では、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックしているため、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧する力を調整するだけで筒状部材6と棒状部材7との相対移動を許容したり制止したりすることができる。よって、陳列スタンド1の高さ調整を容易に行うことができる。
【0115】
また、ロック部5は、揺動部材53を一端が棒状部材7の側面に当接する位置まで揺動させる方向に付勢力を付与するので、作業者は付勢力を解除する方向に揺動部材53を操作するだけでよい。よって、陳列スタンド1の高さ調整をより容易に行うことができる。
【0116】
さらに、揺動軸51で曲折するL字型部材を板バネ54によって常に付勢することで、揺動部材53を一端が棒状部材7の側面に当接する位置に保持している。よって、作業者が揺動部材53を操作していない場合には常に筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックして陳列スタンド1の高さを保持することができる。これにより、陳列スタンド1の高さを保持するためのロック機構およびロック動作を不要として、陳列スタンド1の高さ調整をより容易に、また場合によっては片手で行うことができる。
【0117】
また、横部材55は、棒状部材7の側面に当接する部分に棒状部材7の外周面に沿った切り欠きを有する。
【0118】
このような構成を有することにより、横部材55は棒状部材7の側面に当接する部分に棒状部材7の外周面に沿った切り欠き57を有するので、ロック部5が板バネ54の付勢力によって棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に押圧する際に、ガタがなくより確実に棒状部材7を押圧することができる。よって、陳列物が配置された陳列部4および棒状部材7の自重による低下をより確実に防止することができる。
【0119】
また、横部材55が棒状部材7に当接して筒状部材6と棒状部材7との相対移動がロックされているとき、陳列部4の重量が棒状部材7に下方に作用した場合、重量が重いほど横部材55の揺動方向先端の角55cと揺動中心との距離を縮める方向により大きな力が作用し、その反作用による力によって当該角55cはより強く棒状部材7に圧接する。よって、筒状部材6と棒状部材7との相対移動をより強固にロックすることができる。
【0120】
また、付勢部材54は板バネ54である。
【0121】
このような構成を有することにより、揺動部材53の揺動を制止する付勢部材54として板バネ54を用いているので、構造を簡素にできる上にコストを低下させることができる。
【0122】
また、上述した陳列スタンド1は、
筒状部材6と、筒状部材6の内部に挿通され筒状部材6の一端から外方へ向けて伸長して筒状部材6との間で相対移動する棒状部材7と、を有する支柱部3と、
支柱部3の一端が立設され平置きされる平板部2と、
支柱部3の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部4と、
筒状部材6の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸251を支持する支持部材252と、揺動軸251を中心として一端が棒状部材7の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材253と、揺動部材253を当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材254と、を有し、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックするロック部25と、を備え、
揺動部材253は、揺動軸251で曲折して、棒状部材7へ向けて延びる横部253aと、筒状部材6の軸方向に沿って下方に延びる縦部253bと、縦部253bの下端側から筒状部材6へ向けて上方に延びる延設部253cと、が一体的に形成され、揺動軸251に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、
付勢部材254は、縦部253bと筒状部材6との間に配置され、上部が湾曲して揺動軸251の下側に当接するとともに、縦部の側が縦部253bに沿って延設部253cとの境界まで延びるU字形板バネ254であり、揺動部材253を筒状部材6から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して揺動部材253を当接位置に保持する。
【0123】
このような構成を有することにより、陳列スタンド1では、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックしているため、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧する力を調整するだけで筒状部材6と棒状部材7との相対移動を許容したり制止したりすることができる。よって、陳列スタンド1の高さ調整を容易に行うことができる。
【0124】
また、ロック部5は、揺動部材253を一端が棒状部材7の側面に当接する位置まで揺動させる方向に付勢力を付与するので、作業者は付勢力を解除する方向に揺動部材253を操作するだけでよい。よって、陳列スタンド1の高さ調整をより容易に行うことができる。
【0125】
さらに、揺動軸251で曲折するL字型部材をU字型板バネ254によって常に付勢することで、揺動部材253を一端が棒状部材7の側面に当接する位置に保持している。よって、作業者が揺動部材253を操作していない場合には常に筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックして陳列スタンド1の高さを保持することができる。これにより、陳列スタンド1の高さを保持するためのロック機構およびロック動作を不要として、陳列スタンド1の高さ調整をより容易に、また場合によっては片手で行うことができる。
【0126】
さらに、U字形板バネの上部の湾曲部が揺動軸251に当接するとともに、揺動部材253の縦部側のU字形板バネ254が縦部253bに沿って延設部253cとの境界まで延設されているので、U字形板バネ254は上方への移動が揺動軸251によって制限され、下方への移動が揺動部材253の縦部253bと延設部253cとの境界によって制限される。
【0127】
これにより、U字形板バネ254を揺動部材253と筒状部材6との空間に配置する際におけるU字形板バネ254の位置合わせの手間を低減することができる。また、一度、組み立てたロック部25からU字形板バネ254が脱落することをより確実に防止することができる。
【0128】
だから溶接しなくてもよい。
【0129】
さらに、U字形板バネ254は、揺動部材253の縦部253bを筒状部材6から離間する方向へ付勢しているので、揺動部材253は揺動軸251を中心として棒状部材7と、U字形板バネ254が沿う縦部253bと、の間で突っ張った状態で保持されている。この状態は揺動部材253が回動してもU字形板バネ254の付勢力が揺動部材253に作用している間は継続するので、揺動部材253は、揺動角度に関わらず脱落することを防止することができる。
【0130】
また、上述した陳列スタンド1は、
筒状部材6と、筒状部材6の内部に挿通され筒状部材6の一端から外方へ向けて伸長して筒状部材6との間で相対移動する棒状部材7と、を有する支柱部3と、
支柱部3の一端が立設され平置きされる平板部2と、
支柱部3の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部4と、
一端が棒状部材7の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材353と、揺動部材353を当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材354と、を有し、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックするロック部35と、を備え、
揺動部材353は、棒状部材7へ向けて延びる横部353aと、横部353aの棒状部材7とは反対側から曲折して筒状部材6の軸方向に沿って下方に延びる縦部353bと、縦部353bの下端側から筒状部材6へ向けて上方に延びる延設部353cと、が一体的に形成され、揺動方向への相対移動のみが許容され、
付勢部材354は、縦部353bと筒状部材6との間に配置され、筒状部材6の側面に固定され上部が湾曲して縦部の側が縦部353bに沿って延設部353cとの境界まで延びるU字形板バネ354であり、揺動部材353を筒状部材6から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して揺動部材353を当接位置に保持する。
【0131】
このような構成を有することにより、陳列スタンド1では、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧して筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックしているため、棒状部材7の外周面を筒状部材6の内周面に向けて径方向に押圧する力を調整するだけで筒状部材6と棒状部材7との相対移動を許容したり制止したりすることができる。よって、陳列スタンド1の高さ調整を容易に行うことができる。
【0132】
また、ロック部5は、揺動部材353を一端が棒状部材7の側面に当接する位置まで揺動させる方向に付勢力を付与するので、作業者は付勢力を解除する方向に揺動部材353を操作するだけでよい。よって、陳列スタンド1の高さ調整をより容易に行うことができる。
【0133】
さらに、縦部353bと横部353aが曲折して連続するL字型部材をU字形板バネ354によって常に付勢することで、揺動部材353を一端が棒状部材7の側面に当接する位置に保持している。よって、作業者が揺動部材353を操作していない場合には常に筒状部材6と棒状部材7との相対移動をロックして陳列スタンド1の高さを保持することができる。これにより、陳列スタンド1の高さを保持するためのロック機構およびロック動作を不要として、陳列スタンド1の高さ調整をより容易に、また場合によっては片手で行うことができる。
【0134】
さらに、U字形板バネ354は筒状部材6の側面に固定されるとともに、揺動部材353の縦部353bに沿って延設部353cとの境界まで延設されている。これにより、揺動部材353は、上方への移動が当該境界のU字形板バネ354によって制限される。
【0135】
また、U字形板バネ354は、揺動部材353の縦部353bを筒状部材6から離間する方向へ付勢しているので、揺動部材353は棒状部材7と、U字形板バネ354が沿う縦部353bと、の間で突っ張った状態で保持されている。この状態は揺動部材353が回動してもU字形板バネ354の付勢力が揺動部材353に作用している間は継続するので、揺動部材353は、揺動角度に関わらず脱落することを防止することができる。
【0136】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0137】
例えば、上記実施形態では筒状部材6および棒状部材7の断面が円形である場合を例示したが、断面形状はこれに限定されることなく、四角形などであってもよい。その場合、揺動部材53の横部材55の先端に設けられる切り欠き57の形状は、採用する形状に合わせて変更することが好ましい。また、必要に応じて切り欠き57を省略することも可能である。同様に、揺動部材253、353の横部253a、353aに切り欠きを設ける場合にも、上記したように棒状部材7の断面形状に合わせて変更することが好ましい。
【0138】
また、上記実施形態の陳列スタンド1の材質については例示していないが、金属製、木製、樹脂製など、重量、強度、コストなどに応じて自由に選択可能である。板バネ54及びU字形板バネについても同様に、必要な復元力を得られる範囲で材質は自由に選択可能である。
【0139】
さらに、板バネ54はコイルスプリングや樹脂およびゴムなどの弾性体であってもよい。
【0140】
さらに、揺動部材53はL字型形状としたが、曲折部のないR形状などであってもよい。例えば、揺動軸51を軸中心として揺動した場合に、一端が棒状部材7の軸方向に垂直な方向から棒状部材7の外周面に接近し、他端が筒状部材6との間に板バネ54を収容可能な範囲で筒状部材6の軸方向に沿う方向に延びる形状であればよい。
【0141】
さらに、第1実施形態では、揺動部材53の棒状部材7に当接する部分に切り欠き57を有するとして説明したが、同様に、第2実施形態の揺動部材253の横部253aの先端及び第3実施形態の揺動部材353の横部353aの先端に切り欠きを設けてもよい。
【0142】
さらに、上記第3実施形態では、U字形板バネ354の一方側354bが筒状部材6に溶接固定されているが、U字形板バネ354の機能を発揮できるものであれば、どのような方法で固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0143】
1 陳列スタンド
2 平板部
3 支柱部
4 陳列部
5 ロック部
6 筒状部材
7 棒状部材
25 ロック部
35 ロック部
51 揺動軸
52 支持部材
53 揺動部材
54 板バネ(付勢部材)
55 横部材
55c 横部材の揺動方向先端側の角
56 縦部材
57 切り欠き
251 揺動軸
252 支持部材
253 揺動部材
253a 横部
253b 縦部
253c 延設部
253d 境界
254 U字形板バネ
352 支持部材
353 揺動部材
353a 横部
353b 縦部
353c 延設部
353d 境界
354 U字形板バネ
【手続補正書】
【提出日】2024-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通され前記筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して前記筒状部材との間で相対移動する棒状部材(前記棒状部材の外周に溝が形成されるものは除く)と、を有する支柱部と、
前記支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、
前記支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、
前記筒状部材の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸を支持する支持部材と、前記揺動軸を中心として一端が前記棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、前記揺動部材を前記当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、前記棒状部材の外周面を前記筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して前記筒状部材と前記棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、
前記揺動部材は、前記揺動軸から前記棒状部材へ向けて直線状に延びる横部材と、前記揺動軸から前記筒状部材の軸方向に沿って下方に直線状に延びる縦部材と、を有し、前記横部材および前記縦部材は、前記揺動軸に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、前記当接位置まで揺動したとき、前記横部材の揺動方向先端側の角が前記棒状部材に当接し、
前記揺動軸は、前記横部材が前記棒状部材に当接する位置から前記棒状部材の径方向に直線状に離間した位置に支持され、
前記付勢部材は、前記縦部材と前記筒状部材との間に配置され、前記縦部材を前記筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して前記揺動部材を前記当接位置に保持する、
ことを特徴とする陳列スタンド。
【請求項2】
前記付勢部材は板バネである、
ことを特徴とする請求項1に記載の陳列スタンド。
【請求項3】
筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通され前記筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して前記筒状部材との間で相対移動する棒状部材(前記棒状部材の外周に溝が形成されるものは除く)と、を有する支柱部と、
前記支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、
前記支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、
前記筒状部材の外周面から径方向外側に離れた位置に揺動軸を支持する支持部材と、前記揺動軸を中心として一端が前記棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、前記揺動部材を前記当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、を有し、前記棒状部材の外周面を前記筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して前記筒状部材と前記棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、
前記揺動部材は、前記揺動軸で曲折して、前記棒状部材へ向けて直線状に延びる横部と、前記筒状部材の軸方向に沿って下方に直線状に延びる縦部と、前記縦部の下端側から前記筒状部材へ向けて上方に延びる延設部と、が一体的に形成され、前記横部と前記縦部とが曲折している曲折部の内側に、前記揺動軸が当接した状態で前記揺動軸に対して揺動方向への相対移動のみが許容され、
前記曲折部は、前記横部が前記棒状部材に当接する位置から前記棒状部材の径方向に直線状に離間した位置に配置され、
前記付勢部材は、前記縦部と前記筒状部材との間に配置され、上部が湾曲して前記揺動軸の下側に当接するとともに、前記縦部の側が前記縦部に沿って前記延設部との境界まで延びるU字形板バネであり、前記揺動部材を前記筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して前記揺動部材を前記当接位置に保持する、
ことを特徴とする陳列スタンド。
【請求項4】
筒状部材と、前記筒状部材の内部に挿通され前記筒状部材の一端から外方へ向けて伸長して前記筒状部材との間で相対移動する棒状部材(前記棒状部材の外周に溝が形成されるものは除く)と、を有する支柱部と、
前記支柱部の一端が立設され平置きされる平板部と、
前記支柱部の他端に設けられ陳列物が配置される陳列部と、
一端が前記棒状部材の側面に当接する当接位置まで揺動する揺動部材と、前記揺動部材を前記当接位置へと揺動する方向に付勢力を付与する付勢部材と、前記揺動部材の外周面の少なくとも一部と前記筒状部材の上端の外周面を覆うように、前記筒状部材の上端の外周面に固定されている支持部材を有し、前記棒状部材の外周面を前記筒状部材の内周面に向けて径方向に押圧して前記筒状部材と前記棒状部材との相対移動をロックするロック部と、を備え、
前記揺動部材は、前記棒状部材へ向けて延びる横部と、前記横部の前記棒状部材とは反対側から曲折して前記筒状部材の軸方向に沿って下方に延びる縦部と、前記縦部の下端側から前記筒状部材へ向けて上方に延びる延設部と、が一体的に形成され、揺動方向への相対移動のみが許容され、
前記付勢部材は、前記縦部と前記筒状部材との間に配置され、前記筒状部材の側面に固定され上部が湾曲して前記縦部の側が前記縦部に沿って前記延設部との境界まで延びるU字形板バネであり、前記揺動部材を前記筒状部材から離間させる方向へ常に付勢力を発揮して前記揺動部材を前記当接位置に保持する、
ことを特徴とする陳列スタンド。
【請求項5】
前記揺動部材は、前記棒状部材の側面に当接する部分に前記棒状部材の外周面に沿った切り欠きを有する、
ことを特徴とする請求項1、3または4に記載の陳列スタンド。