(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164811
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ファイバ内でのビーム整形及びスイッチング用屈折率分布型素子及び位相素子
(51)【国際特許分類】
G02B 6/32 20060101AFI20241120BHJP
G02F 1/11 20060101ALI20241120BHJP
G02F 1/03 20060101ALI20241120BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20241120BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20241120BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20241120BHJP
G02B 6/028 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G02B6/32
G02F1/11
G02F1/03
G02F1/01 D
G02B3/00 B
G02B3/00 Z
G02B6/02 421
G02B6/028
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068833
(22)【出願日】2024-04-22
(31)【優先権主張番号】18/317,644
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パトリック グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エイチ メンデル
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー ファウルハーバー
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AA03
2H137AA04
2H137AA05
2H137AA13
2H137AB04
2H137AC01
2H137BA03
2H137BB01
2H137BC04
2H137CA55
2H250AC17
2H250AC62
2H250AC63
2H250AC93
2H250AC94
2H250AD01
2H250AD17
2H250AD18
2K102AA21
2K102AA30
2K102BA05
2K102BA08
2K102BA10
2K102BA21
2K102BA29
2K102BB05
2K102BC04
2K102BC07
2K102BD10
2K102CA28
2K102DC07
2K102DD02
2K102DD10
2K102EB10
2K102EB14
2K102EB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビーム整形のための光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学デバイス100は、ビームを供するファイバ102を備えることができる。当該光学デバイスは、前記ビームを拡張又は拡大する屈折率分布型素子104を備えることができる。前記屈折率分布型素子の入力ファセットが前記ファイバの出力ファセットに接合される。当該光学デバイスは、前記ビームが前記屈折率分布型素子によって拡張又は拡大された後に前記ビームを変換する光学変換素子106を備えることができる。前記光学変換素子の入力ファセットが前記屈折率分布型素子の出力ファセットに接合される。前記光学変換素子は、少なくとも1つの能動的光学素子を有するか、あるいは前記ビームの直交偏光が明確な位相変換を受けないように非複屈折性であり得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームを供するファイバと、
入力ファセットが前記ファイバの出力ファセットに接合されて、前記ビームを拡張又は拡大する屈折率分布型素子と、
入力ファセットが前記屈折率分布型素子の出力ファセットに接合されて、少なくとも1つの能動的光学素子を有して、前記ビームが前記屈折率分布型素子によって拡張又は拡大された後に前記ビームを変換する光学変換素子、
を備える光学デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、音響光学変調器を含む、光学デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、電気光学変調器を含む、光学デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、空間光変調器を含む、光学デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、焦点調節可能レンズを含む、光学デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、液晶素子を含む、光学デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、光学スイッチを含む、光学デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、分散補償器を含む、光学デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、位相板補正器を含む、光学デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の光学デバイスであって、前記光学変換素子は、少なくとも1つの受動的光学素子をさらに有する、光学デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の光学デバイスであって、前記少なくとも1つの受動的光学素子は、プリズム、パウエルレンズ、マイクロレンズ、自由形式フィールドマッパ、又はGRIN素子を含む、光学デバイス。
【請求項12】
入力ファイバによって供されるビームの拡張又は拡大に係る複数の屈折率分布型ファイバの組を含み、前記複数の屈折率分布型ファイバの組のうちの第1屈折率分布型ファイバの入力ファセットは前記入力ファイバの出力ファセットに接合される、光ファイバデバイスと、
前記第1屈折率分布型ファイバによる拡張又は拡大後での前記ビームの変換に係り、入力ファセットが前記複数の屈折率分布型ファイバの組のうちの特定の屈折率分布型ファイバの出力ファセットに接合され、前記ビームの直交偏光が明確な位相変換を受けないように非複屈折性である光学変換素子、
を備える光学系。
【請求項13】
請求項12に記載の光学系であって、前記光学変換素子は、少なくとも1つの能動的光学素子を有する、光学系。
【請求項14】
請求項13に記載の光学系であって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、音響光学変調器、電気光学変調器、空間光変調器、焦点調節可能レンズ、液晶素子、光学スイッチ、分散補償器、又は位相板補正器のうちの少なくとも1つを含む、光学系。
【請求項15】
請求項12に記載の光学系であって、前記光学変換素子は、少なくとも1つの受動的光学素子を有する、光学系。
【請求項16】
請求項15に記載の光学系であって、前記少なくとも1つの受動的光学素子は、プリズム、パウエルレンズ、マイクロレンズ、自由形式フィールドマッパ、又はGRIN素子を含む、光学系。
【請求項17】
光学デバイス内に含まれるファイバによって変換されるビームを供する段階と、
前記光学デバイス内に含まれて入力ファセットが前記ファイバの出力ファセットに接合される屈折率分布型素子によって前記ビームを拡張又は拡大する段階と、
前記ビームの拡張又は拡大後に前記光学デバイス内に含まれて入力ファセットが前記屈折率分布型素子の出力ファセットに接合され、少なくとも1つの能動的光学素子を有するか、又は、前記ビームの直交偏光が明確な位相変換を受けないように非複屈折性である光学変換素子によって前記ビームを変換する段階、
を有する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記少なくとも1つの能動的光学素子は、音響光学変調器、電気光学変調器、空間光変調器、焦点調節可能レンズ、液晶素子、光学スイッチ、分散補償器、又は位相板補正器のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前記光学変換素子は、少なくとも1つの受動的光学素子を有する、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記少なくとも1つの受動的光学素子は、プリズム、パウエルレンズ、マイクロレンズ、自由形式フィールドマッパ、又はGRIN素子を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本特許出願は、2020年4月20日に出願された米国特許出願第16/853,469号(現在は米国特許第11,650,367号)の一部継続出願であり、2020年1月21日に出願された米国特許仮出願第62/963,837号の優先権を主張する。先行出願の開示は、その一部とみなされ、参照により本特許出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光ファイバーに関し、より詳細には、ファイバ内ビーム整形及びスイッチング用屈折率分布型光ファイバー及び位相素子に関する。
【背景技術】
【0003】
(例えば切断、溶接等用の)ビーム整形は、高出力(例えば、100ワット(W)を超える)レーザ材料加工分野のますます重要な態様であるので、ビーム整形能力を有するレーザシステムが望ましい場合がある。従来のビーム整形方法は、様々なレーザをオンおよびオフにすること、レーザビームを(例えば、自由空間またはファイバ内で)移動させること、または特注の自由空間光学素子(例えばアキシコン)を使用することのいずれかによって、光ファイバーの様々な導光領域を選択的に励起する段階を含む。
【0004】
他のビーム整形手法は、(例えば、ビームが光学変換素子を通って進むときに)ビームに位相を与える光学変換素子を使用することである。そのような光学変換素子は、特定の位相プロファイルを与えることによって、光学場の近接場を調整するものと見なすことができる。そのような光学変換素子を使用して、例えば、切断ヘッド内の供給ファイバの後、または第1光ファイバの後でかつ第2光ファイバの前のいずれかで、ビーム整形を実行することが有益であり得る。これは例えば、光学変換素子を、ビームが第1光ファイバから第2光ファイバに進むときにのみ位相を与えるように配置するか、または、位相を与えるように光学変換素子を配置すると共にビームが第1光ファイバから第2光ファイバに進むときに光フーリエ変換(強度および位相の両方を変化させる)を実行するようにレンズを配置することによって実現することができる。特に、いずれの場合も、例えば屈折率分布型ファイバレンズを用いて、第2光ファイバーの下流端にさらなるビーム変換を実施することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
可能な実施形態によると、光学デバイスは、ビームを供するファイバと、入力ファセットが前記ファイバの出力ファセットに接合されて、前記ビームを拡張又は拡大する屈折率分布型素子と、入力ファセットが前記屈折率分布型素子の出力ファセットに接合されて、前記ビームが前記屈折率分布型素子によって拡張又は拡大された後に前記ビームを変換する光学変換素子を備えることができる。一部の実施形態では、前記屈折率分布型素子は第1屈折率分布型素子で、当該光学デバイスは、入力ファセットが前記光学変換素子の出力ファセットに接合されて、前記ビームが(たとえば供給ファイバへ入射する前記ビームのサイズを変更するために)前記光学変換素子によって変換された後に前記ビームを操作する第2屈折率分布型素子をさらに備える。
【0006】
可能な実施形態によると、光学系は、入力ファイバによって供されるビームの拡張又は拡大に係る複数の屈折率分布型ファイバの組を含み、前記複数の屈折率分布型ファイバの組のうちの第1屈折率分布型ファイバの入力ファセットは前記入力ファイバの出力ファセットに接合される、光ファイバデバイスと、前記第1屈折率分布型ファイバによる拡張又は拡大後での前記ビームの変換に係り、入力ファセットが前記複数の屈折率分布型ファイバの組のうちの特定の屈折率分布型ファイバの出力ファセットに接合される光学変換素子を備えることができる。一部の実施形態では、前記複数の屈折率分布型ファイバの組は、(たとえば供給ファイバへ入射する前記ビームのサイズを変更するための)第2屈折率分布型ファイバを含み、前記第2屈折率分布型ファイバの入力ファセットは、前記光学変換素子の出力ファセットに接合される。
【0007】
可能な実施形態によると、方法は、光学デバイス内に含まれるファイバによって変換されるビームを供する段階と、前記光学デバイス内に含まれて入力ファセットが前記ファイバの出力ファセットに接合される屈折率分布型素子によって前記ビームを拡張又は拡大する段階と、前記ビームの拡張又は拡大後に前記光学デバイス内に含まれて入力ファセットが前記屈折率分布型素子の出力ファセットに接合される光学変換素子によって前記ビームを変換する段階を有することができる。一部の実施形態では前記屈折率分布型素子は第1屈折率分布型素子で、当該方法はさらに、(たとえば供給ファイバへ入射する前記ビームのサイズを変更するための)前記光学変換素子による前記ビームの変換後に、入力ファセットが前記光学変換素子の出力ファセットに接合される第2屈折率分布型素子によって前記ビームを操作する段階を有することができる。
【0008】
可能な実施形態によると、光学デバイスは、ビームを供するファイバと、入力ファセットが前記ファイバの出力ファセットに接合されて、前記ビームを拡張又は拡大する屈折率分布型素子と、入力ファセットが前記屈折率分布型素子の出力ファセットに接合されて、少なくとも1つの能動的光学素子を有して前記ビームが前記屈折率分布型素子によって拡張又は拡大された後に前記ビームを変換する光学変換素子を備える。
【0009】
可能な実施形態によると、光学系は、入力ファイバによって供されるビームの拡張又は拡大に係る複数の屈折率分布型ファイバの組を含み、前記複数の屈折率分布型ファイバの組のうちの第1屈折率分布型ファイバの入力ファセットは前記入力ファイバの出力ファセットに接合される光ファイバデバイスと、前記第1屈折率分布型ファイバによる拡張又は拡大後での前記ビームの変換に係り、入力ファセットが前記複数の屈折率分布型ファイバの組のうちの特定の屈折率分布型ファイバの出力ファセットに接合され、前記ビームの直交偏光が明確な位相変換を受けないように非複屈折性である光学変換素子を備える。
【0010】
可能な実施形態によると、方法は、光学デバイス内に含まれるファイバによって変換されるビームを供する段階と、前記光学デバイス内に含まれて入力ファセットが前記ファイバの出力ファセットに接合される屈折率分布型素子によって前記ビームを拡張又は拡大する段階と、前記ビームの拡張又は拡大後に前記光学デバイス内に含まれて入力ファセットが前記屈折率分布型素子の出力ファセットに接合され、少なくとも1つの能動的光学素子を有するか、又は、前記ビームの直交偏光が明確な位相変換を受けないように非複屈折性である光学変換素子によって前記ビームを変換する段階を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本明細書で説明するように、1つ以上のGRIN素子と1つ以上の光学変換素子とを含む光学デバイスの実施例を示す図である。
【
図1B】本明細書で説明するように、1つ以上のGRIN素子と1つ以上の光学変換素子とを含む光学デバイスの実施例を示す図である。
【
図2A】本明細書で説明するように、1つ以上のGRIN素子と1つ以上の光学変換素子とを含む光学デバイスの実施例を示す図である。
【
図2B】本明細書で説明するように、1つ以上のGRIN素子と1つ以上の光学変換素子とを含む光学デバイスの実施例を示す図である。
【
図3A】ガラス材料アーキテクチャ上での平坦化素子としての光学変換素子の作製に関連する実施例を示す図である。
【
図3B】ガラス材料アーキテクチャ上での平坦化素子としての光学変換素子の作製に関連する実施例を示す図である。
【
図3C】ガラス材料アーキテクチャ上での平坦化素子としての光学変換素子の作製に関連する実施例を示す図である。
【
図4A】偏光光源の偏光に基づくビーム経路指定を可能にする光学変換素子を含む例示的な光学デバイスに関連する図である。
【
図4B】偏光光源の偏光に基づくビーム経路指定を可能にする光学変換素子を含む例示的な光学デバイスに関連する図である。
【
図5A】非偏光光源の偏光に基づくビーム経路指定を可能にする光学変換素子を含む例示的な光学デバイスに係る図である。
【
図5B】非偏光光源の偏光に基づくビーム経路指定を可能にする光学変換素子を含む例示的な光学デバイスに係る図である。
【
図6】本明細書に記載されるように、ビームが光学デバイスの屈折率分布型素子によって拡張又は拡大された後に、光学デバイスの光学変換素子を使用してビームを変換する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実装形態の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同一の参照符号は、同一又は類似の素子を識別し得る。
【0013】
光学変換素子は、上述の技術による自由空間光学系を使用して実装することができるが、(例えば、コスト、性能、および信頼性の理由で)光が自由空間に出ないモノリシックな集積構造を作成することが好ましい。しかし、そのような光学変換素子は、光ファイバーに直接統合することが困難である(すなわち、特に変換素子の後のファイバ内ビーム伝送が必要とされる場合、効率的な光学変換素子をファイバ先端に書き込むこと、または光学変換素子を光ファイバに直接スプライシングすることは困難である)。
【0014】
光学変換素子と光ファイバとの統合が困難である1つの理由は、多くの光学変換素子が、溶融シリカへの接着性が低く、重合体などの光パワーの取り扱いが制限されている材料系に基づいていることである。さらに、これらの光学変換素子は、第1光ファイバと第2光ファイバとの間に挟持することが困難または不可能であるトポロジー特徴(例えば位相プロファイルが、光学変換素子の表面上にナノスケールまたはマイクロスケールの特徴を書き込むことによって制御される場合)を有する。これは、そのようなトポロジー特徴が非平面である(ので光ファイバのうちの1つと同一平面で接触しない)ため、および、そのようなトポロジー特徴が、光学変換素子を第1光ファイバーまたは第2光ファイバーに取り付けるのに使用されるスプライスプロセスの熱によって損傷または破壊され得るためである。
【0015】
光学変換素子と光ファイバとの統合が困難である別の理由は、いくつかの光ファイバ(例えば、工業用途で使用される光ファイバー導光領域が相対的に小さい(例えば、約100~200ミクロン(μm)以下のオーダー)ことである。しかし、ほとんどの光学変換素子の達成可能な特徴スケールは、およそ1ミクロン~数十ミクロンであり、これは、光学変換素子上に書き込むことができるパターンの複雑さが制限されることを意味する。その結果、実現可能なパターンは、(たとえば、ビームサイズに対する低い空間分解能のために)非効率的となる恐れがあり、それは回折効率が低いために、望ましくないビーム形状および/または損失をもたらし得る。このことは、高出力レーザシステムでは受け入れられない恐れがある、例えば、95%の効率を有するブレーズド位相格子を製造するためには、期間当たり少なくとも8つの位相レベルが必要であり、このことは、そのようなブレーズド位相格子が標準的なファイバ先端上に作られる場合、利用可能な偏向角を大幅に制限する。
【0016】
本明細書で説明する一部の実施形態は、屈折率分布型(GRIN)光ファイバと、1つ以上の光学変換素子(たとえば、1つ以上の平坦化されたガラス系光学メタマテリアルおよび/または1つ以上の回折光学素子)とを含む光学デバイスを提供する。ここで前記1つ以上の光学変換素子は、GRINファイバ上にスプライシングされるか、またはそうでなければ結合される。一部の実施形態では、1つ以上の光学変換素子と併せてGRIN光ファイバーを使用することにより、光学デバイスは、光ファイバーのニアフィールドおよび/またはファーフィールドの調整を行うことができる。このような光学変換素子を光ファイバーにスプライシング可能に製造する技術についても以下に説明する。さらに、全ファイバシステムにおける可変ビーム整形またはスイッチングを可能にするためのそのような光学デバイスの使用を示す例示的な実装形態について説明する。
【0017】
図1A及び
図1Bはそれぞれ、光学デバイス100及び光学デバイス120の実施例を示す図である。後述するように、光学デバイス100および120は、光ファイバーの近視野および/または遠視野を調整する、GRINファイバに接着された光学変換素子を含む。図に示すように。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、一部の実施形態では、光学デバイス100および120は、ファイバ102と、GRIN素子104と、光学変換素子106とを含み得る。
【0018】
ファイバ102は、光ファイバーを含み、ビーム150を提供する。一部の実施形態では、ファイバ102は、(たとえば、ファイバ102の入力ファセットを介して)光をファイバ102に発射する光源(たとえば、レーザー)に結合され得る。一部の実施形態では、ファイバ102は、ステップインデックス型光ファイバーであり得る。一部の実施形態では、図に示すように、
図1Aおよび
図1Bにおいて、ファイバ102の出力ファセット(例えば、
図1Aおよび
図1Bにおけるファイバ102の右端)は、(例えば、ファイバ102によってビーム150をGRIN素子104に提供することができるように)GRIN素子104の入力ファセットに接着(例えば、スプライス、結合など)され得る。
【0019】
GRIN素子104は、ビーム150を拡張又は拡大するGRIN素子を含む。一部の実施形態では、GRIN素子104は、1つ以上のGRINファイバを含み得る。一部の実施形態では、GRIN素子104の入力ファセットは、ファイバ102の出力ファセットに接着され得、GRIN素子104の出力ファセットは、光学変換素子106の入力ファセットに接着され得る。たとえば、
図1Aの光学デバイス100に示されるように、GRIN素子104は、一部の実施形態では、単一の1/4ピッチGRINファイバを含み得る。ここで、単一の4分の1ピッチGRINファイバの入力ファセット(たとえば、GRIN素子104の左端)は、ファイバ102の出力ファセットに接着され得、単一の4分の1ピッチGRINファイバの出力ファセット(たとえば、GRIN素子104の右端)は、光学変換素子106の入力ファセットに接着され得る。別の例として、
図1Bの光学デバイス120に示されるように、GRIN素子104は、一部の実施形態では、第1の4分の1ピッチGRINファイバ(たとえば、GRIN素子104a)と第2の4分の1ピッチGRINファイバ(たとえば、GRIN素子104b)とを備えるGRIN望遠鏡を含み得る。ここで、GRIN望遠鏡の入力ファセットは、ファイバ102の出力ファセットに接着され得、GRIN望遠鏡の出力ファセットは、光学変換素子106の入力ファセットに接着され得る。GRIN素子104に関するさらなる詳細は、以下に記載される。
【0020】
光学変換素子106は、ビーム150がGRIN素子104によって拡張又は拡大された後にビーム150を変換する素子を含む。一部の実施形態では、光学変換素子106は、ガラス系光学メタマテリアル、重合体系材料、1つ以上の回折光学素子、1つ以上の屈折光学素子などを含み得る。一部の実施形態では、光学変換素子106は、ビーム150の直交偏光学が、ビーム150が光学変換素子106を通過するときに別個の変換を受けるように、複屈折性であり得る。あるいは、光学変換素子106は、一部の実施形態では、非複屈折性であり得る(例えば、ビーム150が光学変換素子106を通過するときに、ビーム150の直交偏光が明確な変換を受けないように)。
【0021】
一部の実施形態では、光学変換素子106は、1つ以上の受動的光学素子を備え得る。1つ以上の受動光学素子は、他の実施例の中でも、実施例えば、プリズム(例えば、異なる波長の光を分割または結合するための)、パウエルレンズ、マイクロレンズ、自由形式フィールドマッパ、またはGRIN素子(例えば、1つ以上のGRIN素子104とは異なる焦点強度を有し得るGRINレンズまたはGRINファイバ)を含み得る。加えて又は代わりに、光学変換素子106は、一部の実施形態では、1つ以上の能動光学素子を備え得る。1つ以上の能動光学素子は、例えば、音響光学変調器(AOM)、電気光学変調器(EOM)、空間光変調器、焦点調節可能レンズ、液晶素子(例えば、可変波長板)、光学スイッチ、分散補償器、または位相板補正器を含み得る。一部の実施形態では、光学変換素子106の入力ファセットは、GRIN素子104の出力ファセットに接着され得る。光学変換素子106に関するさらなる詳細については、以下で説明する。
【0022】
一部の実施形態では、光学変換素子106のGRIN素子104への許容可能な接着(たとえば、スプライシングまたは接合)を達成するために、
図3A~3Cに関して以下でさらに詳細に説明するように、光学変換素子106を平坦化することができる。一部の実施形態では、光学変換素子106は、変換ビーム150に関連する非平面表面と、非平面表面上の平坦化層と、平坦化層に接着されたバルク光学材料とを含み得る。一部の実施形態では、光学変換素子106を平坦化することは、構造品質および低損失結合を達成することを可能にし得る。一部の実施形態では、光学変換素子106の平坦化層の厚さは、接着処理(たとえば、スプライス処理)の熱が光学変換素子106の特徴に損傷を与えることを防止するように設計され得る。
【0023】
一部の実施形態では、GRIN素子104を光学変換素子に接着するときに、GRIN素子104と光学変換素子106との間の横方向の位置合わせが必要であってもなくてもよい。例えば、GRIN素子104と光学変換素子106とを接着するときに(例えば、螺旋位相板の許容可能な性能を保証するために)、螺旋位相板またはレンズとして設計されたGRIN素子104と光学変換素子106との間の横方向の位置合わせが必要とされる。逆に、ビームスプリッターとして設計されたGRIN素子104と光学変換素子106との間の横方向の位置合わせは、GRIN素子104と光学変換素子106とを接着するときに厳密に制御される必要がない場合がある。しかし、光学変換素子106が第1のGRIN素子104と第2のGRIN素子104との間に挟まれる光学素子(その実施例については後述する)においては、第1GRIN素子および第2GRIN素子104間の横方向の位置合わせ(すなわち、ファイバ間での位置合わせ)がなされなければならない。
【0024】
一般に、GRINファイバは、光ファイバーの近視野および/または遠視野強度を操作することができる光学デバイスまたは光学系(例えば、光学デバイス100、光学デバイス120、本明細書に記載の他の光学デバイスなど)の設計を可能にするレンズ特性を有する。これらのレンズ特性は、(1)レンズを使用して光フーリエ変換を行うことと等価である1/4ピッチGRINファイバの使用(ここで、レンズの焦点距離は、GRINファイバの屈折率プロファイルによって決定される)、および(2)ハーフピッチGRINレンズ(またはGRINレンズ系)の使用は、結像動作を行うためにレンズ(またはレンズ系)を使用することと等価である。これらのレンズ特性の使用はまた、光ファイバと光学変換素子とを統合することに関連する上述の課題を解決する。例えば、4分の1ピッチのGRINファイバ(例えば、
図1Aの光学デバイス100のような)またはGRIN望遠鏡(例えば、
図1Bの光学デバイス120のような)を、ファイバ102と光学変換素子106との間で1より大きい倍率で使用することは、光学変換素子106の特徴部に対してビーム150のサイズを増加させ、それによって回折効率を増加させることができる。
【0025】
図1Bの光学デバイス120では、目標は、光学変換素子106上のスポットサイズが増加するように、ファイバ102によって提供されるビーム150のサイズを増加させることである。光学デバイス120では、ビーム150のスポットサイズは、M倍に増加される(例えば、M = f2/f1、ここで、f2はGRIN素子104bの焦点距離であり、f1はGRIN素子104aの焦点距離である)。ここで、倍率(例えば、M>1)を達成するために、焦点距離f2は、焦点距離f1よりも大きくなければならない。所与のGRINファイバ(たとえば、GRIN素子104aまたはGRIN素子104b)の焦点距離fは、所与のGRINファイバのコアサイズ(たとえば、半径r)と、所与のGRINファイバの開口数NA(たとえば、f = r / NA)とに基づく。さらに、所与のGRINファイバの1/4ピッチ長さQPLは、所与のGRINファイバの焦点距離fおよびピーク屈折率nに基づく(たとえば、QPL = π × n× f /2)。したがって、所与のGRINファイバの長さは、焦点距離fに比例し、f2>f1のとき(たとえば、光学デバイス120の場合のように)、GRIN素子104bの長さは、GRIN素子104aの長さよりも大きい。一部の実施形態では、GRIN素子104aおよびGRIN素子104bが同じNAを有するとき、GRIN素子104aの長さに対するGRIN素子104bの長さの比も、GRIN素子104によって与えられる倍率である。一部の実施形態では、GRIN素子104bの長さとGRIN素子104aの長さとの比は、(たとえば、用途に応じて)約2:1~約5:1の範囲内であり得る。
【0026】
図1Aおよび
図1Bに示す素子の数と配置が例として提供される。実際には、光学デバイス100または光学デバイス120は、
図1A及び1Bに示されるものと比較して、付加された素子、より少ない素子、異なる素子、または異なるように配置された素子を含み得る。加えて又は代わりに、光学デバイス100または光学デバイス120の素子の組(たとえば1つ以上の素子)は、光学デバイス100または光学デバイス120の素子の別の組によって実行されるものとして説明される1つ以上の機能を実行し得る。
【0027】
一部の実施形態では、上述のGRINレンズのフーリエ変換および画像特性は、GRIN素子104および1つ以上の光学変換素子106が、ビーム150のビーム形状を(たとえば、近視野および/または遠視野において)調整するために使用されることを可能にする。
図2Aおよび2Bは、それぞれ、GRIN素子104と、ビーム150のビーム形状を調整するために使用され得る1つ以上の光学変換素子106とを含む、光学デバイス200および220の実施例を示す図である。
【0028】
図2Aに示されるように、光学デバイス200は、第1GRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)および第2GRIN素子104(例えば、GRIN素子104-2)を含み得る。一部の実施形態では、
図2Aに示すように、第2GRIN素子104の入力ファセットは、光学変換素子106の出力ファセットに接着される。一部の実施形態では、第2GRIN素子104は、ビーム150が光学変換素子106によって変換された後にビーム150を操作するように構成され得る。例えば、光学デバイス200の動作において、ファイバ102の近視野は、GRIN素子104-1(例えば、1/4ピッチGRINファイバ)によって拡張され、光学変換素子106から設計された位相を受け、次いで、GRIN素子104-2によってフーリエ変換される。結果として、ビーム150の強度分布は、(初期ビーム150および設計された光学変換素子106の位相に応じて)GRIN素子104-2の端部で変更され得る。
【0029】
図2Bに示されるように、光学デバイス220は、第1GRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)および第2GRIN素子(例えば、GRIN素子104-2)、第1光学変換素子106(例えば、光学変換素子106-1)および第2光学変換素子106(例えば、光学変換素子106-2)を含み得る。一部の実施形態では、
図2Bに示すように、第2GRIN素子104の入力ファセットは、第1光学変換素子106の出力ファセットに接着され、第2光学変換素子106の入力ファセットは、第2GRIN素子104の出力ファセットに接着される。ここで、第2光学変換素子106は、ビーム150が第2GRIN素子104によって操作された後にビーム150を変換することができる。例えば、光学デバイス220の動作において、ビーム150は、第1GRIN素子104(例えば、4分の1ピッチのGRINファイバ)によって拡張され、第1光学変換素子106から設計された位相を受け、第2GRIN素子104(例えば、第1GRIN素子104とは異なる焦点距離を有し得る4分の1ピッチのGRINファイバ)によってフーリエ変換され、次いで、第2光学変換素子106の作用を受ける。この素子の組み合わせは、第2光学変換素子106を離れる近視野分布および遠視野分布の両方の制御を可能にする。特に、フーリエ変換を有する2つの光学変換素子106は、任意の強度及び位相再整形を可能にする。
【0030】
一部の実施形態では、光学デバイス200および光学デバイス220の両方について、結果として生じる光学分野は、切断ヘッドに中継され得、第2伝送ファイバに結合され得、または同様のものであり得る。一部の実施形態では、光学デバイス220において、標的ファイバは、第2GRIN素子104の出力ファセットに接着(たとえば、スプライス)され得る。一部の実施形態では、光学デバイス220において、標的ファイバが、第2光学変換素子106の出力ファセットに接着(たとえば、スプライシングまたは接合)され得るか、または場合によっては、第2光学変換素子106の後に、別のGRIN素子104(たとえば、ビームをサイズ変更するために)が続き得る。
【0031】
特に、光学デバイス200および220内の第1および第2のGRIN素子104は、同じ焦点距離を有しないが、一部の実施形態では、第1および第2のGRIN素子104の焦点距離は同じであり得る(たとえば、最適なサイズ比は、用途に依存し得る)。
【0032】
図2Aおよび
図2Bに示す素子の数と配置が、例として提供される。実際には、光学デバイス200または光学デバイス220は、
図2Aおよび
図2Bに示されるものと比較して追加の素子、より少ない素子、異なる素子、または異なるように配置された素子を含み得る。特に、2つの素子のみでは実現できないか、あるいは極端に複雑な光学変換素子を必要とする複雑な位相変換を実現するためには、多くの光学変換素子106であって、光学変換素子106間に1/4ピッチのGRINファイバ素子を有するものを含むことが有益であると考えられる。加えて又は代わりに、光学デバイス200または光学デバイス220の素子の組(たとえば、1つ以上の素子)は、光学デバイス200または光学デバイス220の素子の別の組によって実行されるものとして説明される1つ以上の機能を実行し得る。
【0033】
一部の実施形態では、光学変換素子106をファイバ(たとえば、GRIN素子104)に直接接着するという課題を解決するために、光学変換素子106は、ガラス(たとえば、溶融シリカ、ドーピングされた溶融シリカ、溶融石英、軟質ガラスなど)材料アーキテクチャ上の平坦化素子であり得る。そのようなアプローチは、多くの種類の光学変換素子106に適用可能で、その結果Pancharatnam-Berry位相素子を可能にする。このような光学変換素子106には、(平坦化が可能である限り)標準的な成長-エッチングプロセスにおいて作成されたリソグラフィ画定された構造である構造、バルク材料内のレーザーアブレーションに基づく材料変形である構造、等方性でかつ(円対称特徴部を作成することによって)偏光にかかわらず同じ位相効果を有する構造、または異方性でかつ入力偏光に応じて異なる効果を有する構造などが含まれる。このような光学変換素子106は、多くの名称で知られており、光学メタマテリアル、光学キノフォーム、二元光学系、マルチレベル回折光学系などを含むが、これらに限定されない多くの変形例がある。
【0034】
図3A~
図3Cは、ガラス材料アーキテクチャ上に平坦化素子として光学変換素子106の製造に関連する実施例を示す図である。簡単にするために、
図3A~
図3Cに関連して説明した例は、リソグラフィでエッチング成長された特徴部の特定の種類のメタマテリアルに限定される。
【0035】
図3Aでは、異方性メタマテリアルは、正しい設計で、光学変換素子106の非平坦表面304(例えば、一連の溝によって画定される)に対して平行(Pol 1)および垂直(Pol 2)の偏光に共役位相を課すことができる。ここで、光学変換素子106の基板302は、共に平坦であり、GRIN素子104に接着(例えば、スプライス)するのに十分な厚さにすることができるが、光学変換素子106の非平坦表面304は、平坦ではなく(すなわち、非平面であり)、相対的に薄くてもよい(例えば、数十ナノメートル程度)。
【0036】
一部の実施形態では、
図3Bに示すように、光学変換素子106の上面は、非平坦表面304上に平坦化層306を形成することによって平坦化され得る。一部の実施形態では、光学変換素子106の上面は、たとえば、シリカのミクロンスケール層および後続の平坦化プロセスで平坦化され得る。しかしながら、場合によっては、平坦化処理は、スプライシング処理中に導入される加熱によって損傷を受ける可能性がある繊細な特徴部を有する平坦化層306を相対的に薄く残すことがある。
【0037】
したがって、
図3Cに示すように、バルク光学材料308(例えば、溶融シリカ、ドープ溶融シリカ、別のタイプのガラスなど)を平坦化層306に接着(例えば、ウェハ接合)することができる。ここで、バルク光学材料308の密着性は、光学変換素子106の構造に損傷を与えることなくスプライシングを行うことができるように、光学変換素子106の上面に十分な厚さを提供することができる。一部の実施形態では、バルク光学材料308を平坦化層306に接着することは、正確な位置合わせを必要としないウェハスケールで実行され得る。一部の実施形態では、バルク光学材料308を平坦化層306に接着することは、拡散接合、化学的に活性化された接合などを使用して実行され得る。一部の実施形態では、バルク光学材料308を平坦化層306に接着した後、組み合わされたウェハは、サイズ(たとえば、約1ミリメートル)に個片化され得、ウェハあたり多くの使用可能な部品を生じ得る。
【0038】
一部の実施形態では、GRIN素子104は、光学変換素子106に接着され得る。例えば、第1GRIN素子104は、基板302の底面にファイバスプライシングされ、第2GRIN素子104は、バルク光学材料308の上面にファイバスプライシングされ得る。一部の実施形態では、ファイバスプライスされるのではなく、1つ以上のGRIN素子104が、基板302またはバルク光学材料308の上面に拡散接合または化学活性化接合され得る。
【0039】
上述のように、
図3A~3Cが、例として提供される。他の実施例は、
図3A~3Cに関して説明したものと異なってもよい。
【0040】
一部の実施形態では、上述のように、光学変換素子106は、ビーム150の直交偏光が別個の変換を受けるように複屈折性であり得る。例えば、光学変換素子106は、Pancharatnam-Berry位相素子として異方性メタマテリアルを含むことができる。そのような材料は、1つの円偏光(例えば、右円偏光(RCP))が光学変換素子106の法線ベクトルに対して角度Aに向けられ、反対の円偏光(例えば、左円偏光(LCP))が-Aの角度に向けられる(例えば、直線偏光ビームは半分に分割され、角度Aで50%偏向し、角度-Aで50%偏向する)円偏光ビームスプリッタを作成することができる。したがって、一部の実施形態では、光学変換素子106は、光学デバイスがビーム150の偏光に基づくビームルーティングを可能にするために使用され得る。
【0041】
図4Aおよび4Bは、偏光光源の偏光に基づくビームルーティングを可能にする光学変換素子106を含む例示的な光学デバイス400に関連する図である。
図4Aに示すように、光学デバイス400は、光学変換素子106によってビーム150が変換された後にビーム150を操作するために、ファイバ102、第1GRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)、光学変換素子106、および第2GRIN素子104(例えば、GRIN素子104-2)を含むことができる。ここで、光学変換素子106は、ビーム150の直交偏光が明確な変換を受けるように複屈折性である。さらに示されるように、光学デバイス400は、ファイバ102内のビーム150の偏光を操作するための偏光スイッチ108(例えば、曲げまたは撚りに基づく偏光コントローラ)と、出力ビーム150の成分に関連するマルチコアファイバ110(マルチコアファイバ、マルチ同心コアファイバ、複数のガイド介在物を有するファイバなどであり得る)とをさらに含み得る。示されるように、一部の実施形態では、マルチコアファイバ110の入力ファセットは、第2GRIN素子104の出力ファセットに接着され得る。
【0042】
光学デバイス400の動作において、ファイバ102を出るビーム150は、光学変換素子106(例えば、メタマテリアルRCP/LCPビームスプリッター)を通過する前に、第1のGRIN素子104(例えば、第1の1/4ピッチGRINファイバ)を使用してフーリエ変換され、かつ拡張される。ここで、光学変換素子106は、ビーム150をRCP構成素子とLCP構成素子とに分割する。ビーム150のRCP成分およびLCP成分は、次いで、第2GRIN素子104(たとえば、第2の4分の1ピッチのGRINファイバ)を通過する。第2GRIN素子104の焦点距離は、上述のように、第1GRIN素子104の焦点距離とは異なり得る。ここで、傾斜のフーリエ変換は変位であるので、第2GRIN素子104を通過した後、ビーム150のRCP成分は、距離dだけ空間的にオフセットされる(これは、第2のGRIN素子104の焦点距離および光学変換素子106の設計に依存する)。LCP 成分は距離-d だけ変位する。この実施例では、
図4(b)に示すように、マルチコアファイバ110は、各コアの中心がファイバ中心軸から互いに反対方向に同じ距離だけずれた2コアファイバである。例えば、マルチコアファイバ110の第1コア(例えば、コアA)は、中心軸から距離dの中心にあり、マルチコアファイバ110の第2コア(例えば、コアB)は、中心軸から距離-dの中心にある。したがって、ビーム150のRCP成分は、コアAに結合することができ、一方、ビーム150のLCP成分は、コアBに結合することができる。ここで、光源が偏光され、偏光スイッチ108によって偏光を操作することができるとき、ビーム150の光パワーは、マルチコアファイバ110のコアAまたはコアBに制御可能に向けることができる。
【0043】
図4Aおよび
図4Bに示す素子の数と配置が、例として提供される。実際には、光学デバイス400は、
図4Aおよび
図4Bに示されるものと比較して、付加された素子、より少ない素子、異なる素子、またはとは異なるように配置された素子を含み得る。加えて又は代わりに、光学デバイス400の素子の組(たとえば、1つ以上の素子)は、光学デバイス400の素子の別の組によって実行されるものとして説明される1つ以上の機能を実行し得る。
【0044】
一部の実施形態では、光源が非偏光であるときでも、光学デバイス400によって提供されるものと同様の偏光スイッチを提供することができる。
図5Aおよび5Bは、非偏光光源の偏に基づくビームルーティングを可能にする光学変換素子106を含む例示的な光学デバイス500に関連する図である。
図5Aに示すように、光学デバイス400は、ファイバ102、第1GRIN素子104(例えば、GRIN素子104-1)、第1光学変換素子106(例えば、光学変換素子106-1)、およびビーム150が第1光学変換素子106によって変換された後にビーム150を操作するための第2GRIN素子(例えば、GRIN素子104-2)を含むことができる。さらに示されるように、光学デバイス500は、第1マルチコアファイバ110(たとえば、マルチコアファイバ110-1)と、第1マルチコアファイバ110内のビーム150の偏光を操作する偏光スイッチ108とを含み得る。一部の実施形態では、第1マルチコアファイバ110の入力ファセットは、第2GRIN素子104の出力ファセットに接着され得る。
【0045】
さらに図示されるように、光学デバイス500は、ビーム150が第2光学変換素子106によって変換された後にビーム150を操作するために、第3GRIN素子104(たとえば、GRIN素子104-3)、第2光学変換素子106(たとえば、光学変換素子106-2)、および第4GRIN素子(たとえば、GRIN素子104-4)を含み得る。一部の実施形態では、第3GRIN素子104の入力ファセットは、第1マルチコアファイバ110の出力ファセットに接着され得る。一部の実施形態では、第2光学変換素子106の入力ファセットは、第3GRIN素子104の出力ファセットに接着され得る。一部の実施形態では、第2光学変換素子106は、ビーム150の直交偏光が第2光学変換素子106において明確な変換を受けるように複屈折性であり得る。一部の実施形態では、第4GRIN素子104の入力ファセットは、第2光学変換素子106の出力ファセットに接着され得る。
【0046】
さらに図示されるように、光学デバイス500は、第2マルチコアまたは他のマルチガイド領域ファイバ110を含み得る。一部の実施形態では、第2マルチコアファイバ110の入力ファセットは、第4GRIN素子104の出力ファセットに接着され得る。
【0047】
動作中、ファイバ102によって提供されるビーム150は、第1GRIN素子104でフーリエ変換され、光学変換素子106でLCP/RCPメタマテリアルビームスプリッタの作用を受け、
図4Aおよび4Bに関連して説明されたのと同様の方法で、第2GRIN素子104によってマルチコアファイバ110(例えば、2コアファイバ)に結合される。光学デバイス500では、第1マルチコアファイバ110は、偏光スイッチ108を貫通する。ここで、偏光スイッチ108は、圧力に基づく偏光コントローラであり得る。前記偏光コントローラでは、圧縮軸が、マルチコアファイバ110の2つのコアを接合する線に垂直であり、圧力が、(1)RCPをLCPに反転させるのに適切な程度に印加され、逆に(2つのコアにおいて同時に)印加されるか、または(2)圧力が印加されず、2つのコアにおける偏光が不変のままである。マルチコアファイバ110の出力は、第2GRINスプリッタGRIN装置(例えば、第3GRIN素子104、第2光学変換素子106、および第4GRIN素子104を備える)に送られる。第4GRIN素子104の出力は、第2マルチコアファイバ110に結合され得る。第2マルチコアファイバ110は、一部の実施形態では、複数の導光領域を有するファイバまたは多回転ファイバであり得る。第2マルチコアファイバ110の可能な断面の実施例を
図5Bに示す。一部の実施態様では、偏光が光学デバイス500において切り替えられない場合、それぞれの偏光は、第1オフセットと同じ方向のオフセットを受け取り、第4GRIN素子104の端部において、ビーム150のRCP成分は、2dの距離だけシフトされ、LCP成分は、-2dの距離だけシフトされ、それによって、両方の偏光は、第2マルチコアファイバ110(例えば、
図5Bにおいてn4とラベル付けされたコア)の中心軸から距離2dを中心とするファイバコアに結合する。逆に、偏光が光学デバイス500内で切り換えられる場合、第2GRIN-スプリッタ-GRIN装置によって導入されるシフトは、第1GRIN-スプリッタ-GRIN装置(例えば、第1のGRIN素子104、第1光学変換素子106、および第2GRIN素子104を含む)によって誘導されるシフトをオフセットする。ここで、LCP成分およびRCP成分の両方は、軸上に戻され、それによって、両成分は、第2マルチコアファイバ110の中心コア(例えば、
図5Bにおいてn3とラベル付けされたコア)に結合する。このようにして、1つ以上の光学変換素子106を含む光学デバイスは、(たとえば、光学デバイス400を使用する偏光光源のための、または光学デバイス500を使用する非偏光光源のための)最小限の可動部品を用いた全ファイバビームステアリングを可能にすることができる。
【0048】
図5Aおよび5Bに示す素子の数と配置が、例として提供される。実際には、光学デバイス500は、
図5Aと
図5Bに示されるものと比較して、付加された素子、より少ない素子、異なる素子、またはは異なるように配置された素子を含み得る。加えて又は代わりに、光学デバイス500の素子の組(たとえば、1つ以上の素子)は、光学デバイス500の素子の別の組によって実行されるものとして説明される1つ以上の機能を実行し得る。
【0049】
図6は、本明細書に記載されるように、ビームが光学デバイスのGRIN素子によって拡張または拡大された後に、光学デバイスの光学変換素子を使用してビームを変換するための例示的なプロセス600のフローチャートである。
【0050】
図6に示されるように、処理600は、変換されるビームを提供することを含むことができ、ビームは、光学デバイスに含まれるファイバによって提供される(ブロック610)。例えば、ビーム(例えば、ビーム150)は、上述のように、光学デバイス(例えば、光学デバイス100、光学デバイス120、光学デバイス200、光学デバイス220、光学デバイス400、光学デバイス500など)のファイバ(例えば、ファイバ102)によって提供され得る。
【0051】
図6にさらに示されるように、処理600は、光学デバイスに含まれる屈折率分布型素子によってビームを拡張または拡大する段階を含むことができる(ブロック620)。例えば、ビームは、上述のように、光学デバイスに含まれる屈折率分布型素子(例えば、GRIN素子104)によって拡張または拡大されてもよい。一部の実施形態では、屈折率分布型素子の入力ファセットは、ファイバの出力ファセットに接着される。
【0052】
図6にさらに示されるように、処理600は、ビームの拡張または拡大後に光学デバイスに含まれる光学変換素子によってビームを変換する段階を含み得る(ブロック630)。例えば、ビームは、上述のように、ビームの拡張又は拡大後に、光学デバイスに含まれる光学変換素子(例えば、光学変換素子106)によって変換されてもよい。一部の実施形態では、光学変換素子の入力ファセットは、屈折率分布型素子の出力ファセットに接着される。
【0053】
図6にさらに示されるように、処理600は、任意選択で、光学変換素子によるビームの変換後に光学デバイスに含まれる別の屈折率分布型素子によってビームを操作することを含み得る(ブロック640)。例えば、ビームは、上述のように、光学変換素子によるビームの変換後に、光学デバイスに含まれる別の屈折率分布型素子(例えば、第2のGRIN素子104)または光ファイバによって操作されてもよい。一部の実施形態では、他の屈折率分布型素子または光ファイバーの入力ファセットは、光学変換素子の出力ファセットに接着され得る。一部の実施形態では、ビームの操作は、ビームを(たとえば、伝送ファイバに)サイズ変更することを含み得る。
【0054】
処理600は、以下で説明される実装の任意の単一の実装または任意の組合せなどの追加の実施形態を含むことができ、および/または本明細書の他の場所で説明される1つ以上の他の処理に関連して含むことができる。
【0055】
一部の実施例では、屈折率分布型素子は、4ピッチの屈折率分布型ファイバを含み、ここで、屈折率分布型素子の出力ファセットは、4ピッチの屈折率分布型ファイバの出力ファセットである。
【0056】
一部の実施形態では、屈折率分布型素子は、第1の4分の1ピッチ屈折率分布型ファイバと第2の4分の1ピッチ屈折率分布型ファイバとを備える屈折率分布型望遠鏡を含み、屈折率分布型素子の出力ファセットは、屈折率分布型望遠鏡の出力ファセットである。
【0057】
図6は、処理600の例示的なブロックを示すが、一部の実施形態では、処理600は、
図6に示されるものと比較して、追加されたブロック、より少ないブロック、異なるブロック、または異なるように配置されたブロックを含み得る。加えて又は代わりに、処理600のブロックのうちの2つ以上は、並列に実行され得る。
【0058】
本明細書で説明する一部の実施形態は、1つ以上のGRIN素子104および1つ以上の光学変換素子106を含む光学デバイス(たとえば、光学デバイス100、光学デバイス120、光学デバイス200、光学デバイス220、光学デバイス400、光学デバイス500など)を提供し、1つ以上の光学変換素子106は、GRIN素子104上にスプライスされるか、またはそうでなければ接合される。一部の実施形態では、1つ以上の光学変換素子106とともにGRIN素子104を使用することによって、光学デバイスは、ファイバ102の近視野および/または遠視野を調整することが可能になる。本明細書で説明される実施形態は、全ファイバシステムにおいて、広範囲の可能なビーム形状/ビーム整形光学系を可能にする。さらに、本明細書で説明される実装形態は、ビーム150が自由空間に入ることを可能にすることなく、光学変換素子106が光ファイバシステムに導入されることを可能にする。加えて、本明細書で説明される実装形態は、たとえば、マルチモードシステムにおけるファイバ内偏波スイッチング/ルーティングを可能にする。
【0059】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または開示される厳密な形態に実施例を限定することを意図するものではない。修正および変形は、上記の開示に照らしてなされてもよく、または実施形態の実施から捕捉されてもよい。
【0060】
特徴の特定の組合せが特許請求の範囲に記載され、かつ/または本明細書に開示されているが、これらの組合せは、様々な実装形態の開示を限定することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されていない、および/または本明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。以下に列挙される各従属請求項は、1つの請求項のみに直接依存し得るが、様々な実装形態の開示は、請求項中の他のすべての請求項と組み合わせて各従属請求項を含む。
【0061】
本明細書で使用される素子、行為、または命令は、そのように明示的に記載されない限り、重要または必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用されるとき、不定冠詞(「a」および「an」)は、1つ以上の項目を含むことが意図され、本明細書で使用されるとき、定冠詞(「the」)は、その定冠詞に関連して参照される1つ以上の項目を含むことが意図され、定冠詞は「1つ以上」と互換的に使用され得る。さらに、本明細書で使用されるとき、用語「組」は、1つ以上の項目(例えば、関連項目、非関連項目、関連項目および非関連項目の組合せなど)を含むことが意図され、「1つ以上」と互換的に使用され得る。また、本明細書で使用するとき、用語「有する(has,have,having)」などは、オープンエンドの用語であることが意図される。さらに、「~に基づく」という語句は、特に明記しない限り、「~に少なくとも部分的に基づく」ことを意味するものとする。また、本明細書で使用される場合、用語「または」は、連続して使用される場合に包括的であることが意図され、明示的に別段の定めがない限り(例えば、「いずれか」または「一方のみ」と組み合わせて使用される場合)、「および/または」と互換的に使用され得る。
【外国語明細書】