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特開2024-164827ポリエチレン微多孔膜、その製造方法、および前記微多孔膜を含むセパレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164827
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ポリエチレン微多孔膜、その製造方法、および前記微多孔膜を含むセパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/489 20210101AFI20241120BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20241120BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20241120BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20241120BHJP
【FI】
H01M50/489
H01M50/417
H01M50/491
H01M50/403 B
H01M50/403 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078105
(22)【出願日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0062318
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ジュン イン ファ
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB01
5H021BB05
5H021BB13
5H021EE04
5H021HH00
5H021HH02
5H021HH03
5H021HH06
5H021HH07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】気体透過度と空隙率が著しく高いとともに、高温での耐熱性が著しく向上したポリエチレン微多孔膜、その製造方法、および前記微多孔膜を含むセパレータを提供する。
【解決手段】一態様によると、微多孔膜の厚さが3μm~30μmであり、穿孔強度が0.15N/μm以上であり、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であり、下記式1で表されるPS指数が110以上である、ポリエチレン微多孔膜とする。
[式1]PS指数=[気体透過度(×10-5Darcy)×空隙率(%)]÷[121℃横方向収縮率(%)]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微多孔膜の厚さが3μm~30μmであり、穿孔強度が0.15N/μm以上であり、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であり、下記式1で表されるPS指数が110以上である、ポリエチレン微多孔膜。
[式1]
PS指数=[気体透過度(×10-5Darcy)×空隙率(%)]÷[121℃横方向収縮率(%)]
【請求項2】
気体透過度が10.0×10-5Darcy以上である、請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項3】
空隙率が55%~70%である、請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項4】
空隙率が60%~70%である、請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項5】
前記PS指数が220以上である、請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項6】
前記PS指数が400以上である、請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項7】
重量平均分子量が1×10g/mol~10×10g/molであるポリエチレンを含む、請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項8】
逐次二軸延伸工程を含む湿式法により製造される、請求項1に記載のポリエチレン微多孔膜。
【請求項9】
(a)ポリエチレン樹脂とディルエントを含有する混合物を押出機により溶融混練して溶融物を製造するステップと、
(b)前記溶融物を押出してシート状に成形するステップと、
(c)シートを縦方向に4倍以上延伸するステップと、
(d)縦方向に延伸されたシートからディルエントを抽出し、乾燥させるステップと、
(e)前記乾燥されたシートを横方向に4倍以上延伸してフィルムに成形するステップと、
(f)前記横方向に延伸されたフィルムを熱処理するステップと、を含む、ポリエチレン微多孔膜の製造方法。
【請求項10】
前記(f)ステップは、縦方向の長さを固定し、横方向の幅を収縮する熱緩和工程を含み、前記熱緩和工程は、熱緩和工程前の横方向の幅の80%~95%に緩和することである、請求項9に記載のポリエチレン微多孔膜の製造方法。
【請求項11】
請求書1から8の何れか一項に記載のポリエチレン微多孔膜を含むセパレータ。
【請求項12】
請求項11に記載のセパレータを含む電気化学素子。
【請求項13】
正極と負極との間に前記セパレータを含む二次電池である、請求項12に記載の電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエチレン微多孔膜、その製造方法、および前記微多孔膜を含むセパレータに関する。一態様によると、気体透過度と空隙率が著しく高いとともに、耐熱性が向上したポリエチレン微多孔膜、その製造方法、および前記微多孔膜を含むセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン微多孔膜は、分離用フィルター、二次電池用セパレータ、燃料電池用セパレータ、スーパーキャパシタ用セパレータなどの多様な分野に利用されている。中でも、優れた電気絶縁性、イオン透過性などを有することから、二次電池用セパレータとして広く用いられている。
【0003】
近年、二次電池は、電気自動車、ESS(Energy storage system)などに適用するために高容量化および大型化しており、電池の安全性の確保がさらに重要な要素となっている。例えば、高温の環境に電池が曝されたり作動されたりする際にセパレータが収縮して内部短絡を引き起こすことがあり、前記内部短絡により、火事が発生する恐れがある。したがって、電池の温度上昇に対備できる、耐熱性に優れたポリエチレン微多孔膜の開発が必要とされている。耐熱性とともに、電池の製造過程と使用中における安全性の向上のために高い機械的強度が求められており、容量および出力の向上のために、高い透過度および高い空隙率が求められている。
【0004】
特に、電池が高容量化および大型化している最近の傾向からみると、より高いレベルの耐熱性と透過度をともに有するセパレータの開発の必要性が高い。しかし、高透過度は、優れた耐熱性および/または強度と相反する関系にあるため、高い透過度が実現された従来のセパレータは、容量および出力特性には優れるとしても、熱安全性が低下するという欠点があった。
【0005】
上述の問題を解決するための手法として、韓国特許公開第10-2012-0032539号公報には、大孔径であって電気特性に優れ、且つ強度と低熱収縮性に優れたポリオレフィン微多孔膜が開示されている。しかしながら、かかる微多孔膜は、130℃での幅方向の熱収縮率が20%以下を満たし、且つ空隙率が40-50%、気体透過度が100-200sec/100mlに過ぎないため、より高容量および高出力の電池に適用されるための物性は充足しない。
【0006】
したがって、透過度と空隙率が著しく高く、且つ高温での耐熱性が著しく向上したポリエチレン微多孔膜の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題を解決するために、本開示は、気体透過度と空隙率が著しく高いとともに、高温での耐熱性が著しく向上したポリエチレン微多孔膜、その製造方法、および前記微多孔膜を含むセパレータを提供することを課題とする。
【0008】
本開示のセパレータは、電気自動車、電池充電スタンド、その他に電池を用いる太陽光発電、風力発電などのグリーンテクノロジー分野に広く適用可能である。また、本開示のセパレータは、大気汚染および温室効果ガスの放出を抑え、気候変動を防止するための環境にやさしい(eco-friendly)電気自動車(Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(hybrid vehicle)などに用いられることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を達成するための一手段として、本開示は、微多孔膜の厚さが3μm~30μmであり、穿孔強度が0.15N/μm以上であり、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であり、下記式1で表されるPS指数が110以上である、ポリエチレン微多孔膜を提供する。
【0010】
[式1]
PS指数=[気体透過度×空隙率]÷[121℃横方向収縮率]
【0011】
前記式1中、気体透過度の単位は「×10-5Darcy」であり、空隙率の単位は「%」であり、121℃横方向収縮率の単位は「%」である。
【0012】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、気体透過度が10.0×10-5Darcy以上であってよい。
【0013】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、空隙率が55%~70%であってよく、具体的には60%~70%であってよい。
【0014】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、前記PS指数が220以上であってよく、具体的には400以上であってよい。
【0015】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、重量平均分子量が1×10g/mol~10×10g/molであるポリエチレンを含んでよい。
【0016】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、逐次二軸延伸工程を含む湿式法により製造されてよい。
【0017】
また、上述の課題を達成するための他の一手段として、本開示は、(a)ポリエチレン樹脂とディルエントを含有する混合物を押出機により溶融混練して溶融物を製造するステップと、(b)前記溶融物を押出してシート状に成形するステップと、(c)前記シートを縦方向に4倍以上延伸するステップと、(d)縦方向に延伸されたシートからディルエントを抽出し、乾燥させるステップと、(e)前記乾燥されたシートを横方向に4倍以上延伸してフィルムに成形するステップと、(f)前記横方向に延伸されたフィルムを熱処理するステップと、を含む、ポリエチレン微多孔膜の製造方法を提供する。
【0018】
一態様において、前記(f)ステップは、縦方向の長さを固定し、横方向の幅を収縮する熱緩和工程を含み、前記熱緩和工程は、熱緩和工程前の横方向の幅の80%~95%に緩和することであってよい。
【0019】
本開示の他の態様において、前記ポリエチレン微多孔膜を含むセパレータを提供する。
【0020】
本開示の他の態様において、前記セパレータを含む電気化学素子を提供する。
【0021】
一態様において、前記電気化学素子は、正極と負極との間に前記セパレータを含む二次電池であってよい。
【0022】
また、上述の課題を達成するための他の一手段として、本開示は、上述のポリエチレン微多孔膜を含むセパレータを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本開示に係るポリエチレン微多孔膜は、高い気体透過度と空隙率を有するとともに、著しく向上した高温での耐熱性を確保することができる。
【0024】
また、本開示に係るポリエチレン微多孔膜は、穿孔強度が0.15N/μm以上であり、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であるとともに、著しく高い気体透過度と空隙率を有することができる。
【0025】
したがって、本開示は、上述のポリエチレン微多孔膜を含むことで、出力特性と高温での熱安全性が向上した電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に記載の実施形態は、様々な他の形態に変形可能であり、一態様に係る技術が、以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、一態様の実施形態は、当該技術分野において平均的な知識を有する者に本開示をより完全に説明するために提供されるものである。
【0027】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈で別に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図する。
【0028】
また、本明細書で用いられる数値範囲は、下限値と上限値、およびその範囲内での全ての値、定義される範囲の形態と幅で論理的に誘導される増分、二重限定された全ての値、並びに、互いに異なる形態で限定された数値範囲の上限および下限の全ての可能な組み合わせを含む。本明細書で別に定義しない限り、実験誤差または値の切り上げにより発生する可能性のある数値範囲外の値も、定義された数値範囲に含まれる。
【0029】
さらに、明細書の全体において、ある構成要素を「含む」とは、別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含みえることを意味する。
【0030】
本開示は、微多孔膜の厚さが3μm~30μmであり、穿孔強度が0.15N/μm以上であり、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であり、下記式1で表されるPS指数が110以上である、ポリエチレン微多孔膜を提供する。
【0031】
[式1]
PS指数=[気体透過度(×10-5Darcy)×空隙率(%)]÷[121℃横方向収縮率(%)]
【0032】
近年、二次電池は、高容量化および大型化に伴い、より優れた出力特性と熱安全性を満たすことが求められており、そのために、二次電池用セパレータは、より高いレベルの耐熱性と透過度をともに有することが求められている。しかし、従来に開発されているセパレータは、高透過度と耐熱性の両立が不可能な関系により、耐熱性と透過度の両方を一定のレベル以上に実現するには限界があった。
【0033】
本発明者らが研究を重ねた結果、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であり、且つ前記式1によるPS指数が110以上を満たして、気体透過度と空隙率が著しく高いとともに、高温での耐熱性が著しく向上することができるポリエチレン微多孔膜を製造できることを確認した。
【0034】
一態様に係る二次電池は、上述の物性をともに満たすポリエチレン微多孔膜を含むことで、優れた出力特性と熱安全性を両方とも確保することができる。特に、本開示は、125℃の高温のホットボックス(hot-box)評価で電池の発煙や発火が発生しない、優れた高温での熱安全性を有する電池を提供することができる。前記評価のための電池の製造および評価方法は次のとおりである。NCM622(Ni:Co:Mn=6:2:2)を活物質として用いた正極と、黒鉛炭素(Graphite carbon)を活物質として用いた負極とを、本開示の微多孔膜とともに巻き取り、アルミニウムパウチに投入して電池を製造する。次いで、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートが3:5:2の体積比で含まれている溶液に、1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)が溶解された電解液を前記電池の内部に注入して密封し、2Ah容量の電池を作製する。次いで、前記電池に対してエージング(Aging)と脱気(Degassing)作業を行った後、4.2Vまで満充電し、オーブンに入れて5℃/minに昇温し、125℃に達した後に30分間放置し、電池で発煙または発火が発生したか否かを確認する。すなわち、本開示のポリエチレン微多孔膜は、上述の物性をともに満たすことで、高出力/高容量の電池に好適に適用可能である。
【0035】
本開示のポリエチレン微多孔膜が有する上述の物性は、ポリエチレン微多孔膜の製造における横方向の延伸ステップの前に、ディルエントを抽出するステップを行うか、横方向の熱処理ステップを特定の条件下で行うことで実現されることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0036】
式1によるPS指数は、気体透過性と空隙率が増加するほど、横方向熱収縮率が減少するほど大きくなり、110以上であってよい。具体的には220以上、より具体的には400以上、さらに具体的には500以上であってよい。PS指数は大きいほど好ましく、その上限は特に制限されないが、例えば、2000または1500であってよい。具体的な一態様において、前記PS指数は、110~2000、220~2000、400~1500、または500~1500であってよいが、これに限定するものではない。上述の範囲のPS指数を満たす場合、気体透過度と空隙率が高く、且つ耐熱性に優れるため、高出力/高容量の電池に好適に適用可能である。
【0037】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、上述の範囲のPS指数を有するとともに、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下、3%以下、または2.5%以下であってよく、その下限は特に制限されないが、例えば、0.1%、0.5%、または1%であってよい。具体的な一態様において、前記収縮率は、0.1%~5%、0.5%~5%、1%~3%、または1%~2.5%であってよいが、これに限定するものではない。
【0038】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜の厚さは3μm~30μmであり、具体的には5μm~20μm、より具体的には5μm~15μmであってよい。本開示の微多孔膜は、上述の範囲の厚さを有しても、優れたレベルの穿孔強度、気体透過度、および熱収縮率をともに実現することができる。これにより、電池の製造時に発生する外部応力と、電池の充放電時に発生する温度上昇とデンドライト(dendrite)などに対する抵抗力に優れ、電池の内部抵抗が低いため、電池の充放電性能が向上することができる。
【0039】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、上述の範囲の厚さを有しても、0.15N/μm以上の穿孔強度を有することができ、具体的に、前記穿孔強度は0.17N/μm以上、0.26N/μm以上であってよく、その上限は特に制限されないが、例えば、1.0N/μm以下であってよい。具体的な一態様において、前記穿孔強度は、0.15N/μm~1.0N/μmまたは0.17N/μm~1.0N/μm、または0.26N/μm~1.0N/μmであってよいが、これに限定するものではない。上述の範囲の穿孔強度を満たすことで、電池の製造時に発生する外部応力と、電池の充放電時に発生するデンドライトなどに対する抵抗力に優れ、電池安全性を確保することができる。また、二次電池用セパレータの薄膜化が可能であって、高容量/高出力の電池に好適に適用可能である。
【0040】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、10.0×10-5Darcy以上の気体透過度を有することができ、具体的に、前記気体透過度は、15.0×10-5Darcy以上、より具体的には20.0×10-5Darcy以上、さらに具体的には25.0×10-5Darcy以上であってよい。前記気体透過度の上限は特に制限されないが、例えば、50.0×10-5Darcy以下、40.0×10-5Darcy以下、または35.0×10-5Darcy以下であってよい。具体的な一態様において、前記気体透過度は、10.0×10-5Darcy~50.0×10-5Darcy、15.0×10-5Darcy~50.0×10-5Darcy、20.0×10-5Darcy~40.0×10-5Darcy、または25.0×10-5Darcy~35.0×10-5Darcyであってよいが、これに限定するものではない。上述の範囲の気体透過度を満たすことで、優れたイオン伝導度を有することができ、低い電池の内部抵抗によって電池の出力特性が著しく向上することができる。
【0041】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、空隙率が55%~70%であってよく、具体的には60%~70%であってよい。上述の範囲の空隙率を満たす場合、低い電池の内部抵抗によって電池の出力特性が著しく向上することができる。
【0042】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、重量平均分子量が1×10g/mol~10×10g/molであるポリエチレンを含み、具体的には、3×10g/mol~8×10g/molであるポリエチレンを含んでよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0043】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、逐次二軸延伸工程を含む湿式法により製造されてよく、特定の工程順序を採択するか、特定の熱処理工程の条件を変更することで、上述の物性をともに満たすポリエチレン微多孔膜を提供することができる。
【0044】
一態様において、前記ポリエチレン微多孔膜は、何れか一方向に延伸した後、ディルエントを抽出して他方向に延伸する方式、逐次二軸延伸されたフィルムを特定の条件下で熱処理する方式、またはこれらの組み合わせにより製造されることができる。
【0045】
具体的に、前記ポリエチレン微多孔膜は、ポリエチレン微多孔膜の製造において、縦方向の延伸後、且つ横方向の延伸工程の前に、ディルエントを抽出する工程を行うことで製造されてよいが、上述の物性を有する微多孔膜が製造できれば、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0046】
以下、本開示のポリエチレン微多孔膜の製造方法について説明する。
【0047】
一態様に係るポリエチレン微多孔膜の製造方法は、(a)ポリエチレン樹脂とディルエントを含有する混合物を押出機により溶融混練して溶融物を製造するステップと、(b)前記溶融物を押出してシート状に成形するステップと、(c)前記シートを縦方向に4倍以上延伸するステップと、(d)縦方向に延伸されたシートからディルエントを抽出し、乾燥させるステップと、(e)前記乾燥されたシートを横方向に4倍以上延伸してフィルムに成形するステップと、(f)前記フィルムを熱処理するステップと、を含んでよい。
【0048】
本開示は、縦方向と横方向の延伸工程の後にディルエントの抽出工程を行う従来と異なって、縦方向の延伸が完了されたシートからディルエントを抽出した後に横方向への延伸を行うことで、気孔が延伸によりさらに大幅に拡張されることができるため、著しく高い空隙率と気体透過度を有するポリエチレン微多孔膜を製造することができ、また、高い耐熱性を有することができる。
【0049】
以下、各製造ステップについて説明する。
【0050】
先ず、(a)ステップは、ポリエチレン樹脂とディルエントを含有する混合物を押出機により溶融混練して溶融物を製造するステップであり、前記混合物は、気孔の形成のために、ポリエチレン樹脂とディルエントを10~60:90~40の重量比で含有し、具体的には、20~40:80~60の重量比で含有してよいが、本開示の目的を達成する限り、特に制限されない。上述の範囲の重量比を満たす場合、前記溶融物が十分な流動性を有し、後続のステップで均一なシートを容易に成形でき、また、延伸過程で十分な配向がなされ、機械的強度が容易に確保されるため、延伸過程で破断などの問題が生じないようにすることができる。
【0051】
前記ポリエチレン樹脂は、強度、押出混練性、延伸性、最終微多孔膜の耐熱性などの観点から、高密度ポリエチレンであるか、高密度ポリエチレンを含むものであってよい。
【0052】
一態様において、前記ポリエチレン樹脂は、重量平均分子量が1×10g/mol~10×10g/molであってよく、具体的には3×10g/mol~8×10g/molであってよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0053】
一態様において、前記ポリエチレン樹脂は、溶融温度が130℃以上であってよく、具体的には130℃~140℃であってよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。前記ポリエチレン樹脂の溶融温度は、DSCにより測定されることができる。
【0054】
一態様において、前記ディルエントは、押出温度で前記ポリエチレン樹脂と単相を成す有機化合物であれば、何れも制限されずに使用できる。例えば、前記ディルエントは、ノナン(nonane)、デカン(decane)、デカリン(decalin)、パラフィンオイル(paraffin oil)、パラフィンワックス(paraffin wax)などの脂肪族(aliphatic)または環状炭化水素(cyclic hydrocarbon)、ジブチルフタレート(dibutyl phthalate)、ジオクチルフタレート(dioctyl phthalate)などのフタル酸エステル(phthalic acid ester)、パルミチン酸(palmitic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、リノール酸(linoleic acid)、リノレン酸(linolenic acid)などのC10-C20脂肪酸、およびセチルアルコール(cetyl alcohol)、ステアリルアルコール(stearyl alcohol)、オレイルアルコール(oleyl alcohol)などのC10-C20脂肪アルコールからなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであってよい。前記ディルエントの一具体例としては、40℃での動粘度(kinetic viscosity)が20cSt~200cStであるパラフィンオイルが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0055】
また、前記混合物は、微多孔膜の特性が著しく低下しない範囲で、酸化安定剤、UV安定剤、帯電防止剤などの、特定機能を向上させるための通常の添加剤の何れか1つ以上をさらに含んでよい。
【0056】
(b)ステップは、前記溶融物を押出してシート状に成形するステップであり、当業者に公知の方式により制限されずに行われてよく、一例として、前記溶融物をT-dieにより押出し、10℃~80℃の温度に冷却しながら、キャスティング(casting)もしくはカレンダリング(calendaring)方法によりシート状に成形することであってよい。
【0057】
(c)ステップでの縦方向の延伸比は、具体的に4倍以上、4倍~15倍、より具体的に6倍~10倍であってよく、縦方向の延伸比が上述の範囲を満たすことで、本開示で目的とする物性を有するポリエチレン微多孔膜を製造することができる。
【0058】
(c)ステップでの延伸は、ロール方式またはテンタ(tenter)方式により行われ、ポリエチレンの溶融温度より60℃低い温度~ポリエチレンの溶融温度の範囲の温度で行われてよい。上述の範囲の温度で延伸が行われる場合、効果的な延伸がなされるためのポリエチレン樹脂の流動性を確保することができる。詳細に、シートの全体にわたって均一に延伸がなされ、延伸による破断が起こらないため、安定に延伸がなされることができる。これにより、膜全体にわたって均一な気体透過度、穿孔強度、空隙率などの物性が実現された高品質の微多孔膜を製造することができる。一例として、前記延伸は、80℃~140℃または90℃~125℃で行われてよいが、これに限定されるものではない。
【0059】
(d)ステップは、縦方向に延伸されたシートからディルエントを抽出し、乾燥させるステップであり、有機溶媒を用いてフィルム中のディルエントを抽出し、ディルエントが有機溶媒で置換されたフィルムで有機溶媒を乾燥することで行われる。前記有機溶媒は、ディルエントを抽出できれば特に限定されずに使用可能である。具体的に、前記有機溶媒として、抽出効率が高く、乾燥が速い点から、メチルエチルケトン、メチレンクロリド、ヘキサンなどが用いられてよい。
【0060】
(d)ステップは、ディルエントと有機溶媒の溶解度の増加のために、温度が高いことが好ましいが、有機溶媒の沸騰による安全性の観点から、40℃以下の温度で行われてよい。
【0061】
(e)ステップは、前記乾燥されたシートを横方向に4倍以上延伸してフィルムに成形するステップであり、横方向の延伸に関する延伸比、延伸方式、および延伸温度は、縦方向の延伸に関する事項が同様に適用可能であるため、具体的な説明は省略する。一例として、延伸は、80℃~140℃または90℃~125℃で行われてよいが、これに限定されない。
【0062】
(f)ステップは、前記横方向に延伸されたフィルムを熱処理するステップであり、ロール方式またはテンタ方式の装置を用いて行われてよく、一例として、120℃~140℃の温度で行われてよい。
【0063】
一態様において、(f)ステップは、前記横方向に延伸されたフィルムの縦方向の長さを固定し、横方向の幅を緩和(収縮)する熱緩和工程を含んでよい。上述の熱緩和工程を含むことで、本開示で目的とする物性を有するポリオレフィン微多孔膜を製造することができる。
【0064】
具体的に、一態様に係るポリエチレン微多孔膜は、上述の熱緩和工程を含んで製造されることで、空隙率(または気体透過度)が大きくなり、耐熱性が著しく向上した特性を有し、特に、上述の微多孔膜を適用した電池は、初期抵抗が低いとともに、ホットボックス評価で優れた熱安全性を達成することができる。
【0065】
前記熱緩和工程は、熱緩和工程前の横方向の幅の80%~100%に緩和することであってよい。
【0066】
前記熱緩和工程は、本開示が目的とする物性のより効果的な実現のために、80%~95%または90%~95%に緩和することであってよい。
【0067】
一態様において、(f)ステップは、前記横方向に延伸されたフィルムの縦方向の長さを固定し、横方向の幅を延伸する熱延伸工程、縦方向と横方向の長さ/幅を固定して熱を加える熱固定工程、および上述の熱緩和工程を含んでよい。非限定的に、前記熱延伸工程は、熱延伸工程前の横方向の幅の120%~160%または120%~140%に延伸することであってよい。
【0068】
縦方向延伸ステップ、抽出ステップ、および横方向延伸ステップの順に延伸されたフィルムを上述の条件で熱処理する場合、高透過度と耐熱性の両立が不可能な関系によって耐熱性と透過度の両方を一定のレベル以上に実現しにくいという従来の通念と異なって、気体透過度と空隙率が著しく高いとともに、高温での耐熱性が著しく向上したポリエチレン微多孔膜を製造することができる。このような物性を有する微多孔膜は、高出力/高容量の電池に好適に適用可能である。
【0069】
本開示は、上述のようなポリエチレン微多孔膜を含むセパレータを提供し、前記セパレータは、公知の全てのエネルギー貯蔵装置に用いられるセパレータであってよく、特に制限されないが、非限定的な一例として、リチウム二次電池に用いられるセパレータが挙げられる。
【0070】
以下、実施例および実験例を下記に具体的に例示して説明する。但し、後述の実施例および実験例は一部を例示するものにすぎず、本明細書に記載の技術がこれに限定されるものではない。
【0071】
[物性測定方法]
1.重量平均分子量(g/mol)
重量平均分子量(Mw)は、Agilent Technologies社の高温GPC(Gel Permeation Chromatography)model name PL220を用いて測定した。GPCカラムとしてPLgel GuardおよびPLgel Olexisを使用し、溶媒として1,2,4-trichlorobenzene(TCB)を使用し、標準試料としてポリスチレンを使用して、140℃で分析した。
【0072】
2.微多孔膜の厚さ(μm)
微多孔膜の厚さは、厚さに対する精密度が0.1μmである接触方式の厚さ測定機を用いて測定した。TESA社のTESA μ-Hite Electronic Height Gaugeを用いて、測定圧力を0.63Nとして測定した。
【0073】
3.穿孔強度(N/μm)
穿孔強度は、INSTRON社のUTM(Universal Test Machine)3345に、直径1.0mm、曲率半径0.5mmのピンチップ(pin tip)を取り付け、120mm/minの速度で微多孔膜を押して測定した。この際、微多孔膜が破断される時の荷重(N)を微多孔膜の厚さ(μm)で除して穿孔強度を計算した。
【0074】
4.気体透過度(Darcy)
気体透過度は、空隙測定機(Porometer;PMI社のCFP-1500-AEL)を用いて測定した。一般に、気体透過度はガーレー数(Gurley number)で表されるが、ガーレー数は、厚さの影響が補正されないため、空隙構造による相対的透過度が分かりにくい。これを解決するために、本開示の気体透過度は、下記数学式1により計算されるDarcy透過定数を用いて測定する。気体として窒素を用い、100~200psi領域で測定されたDarcy透過定数の平均値を計算した。
【0075】
[数学式1]
Darcy透過定数(C)=(8F・T・V)/(πD(P-1))
F=流速(cc/min)
T=サンプルの厚さ(mm)
V=気体の粘度(0.185 cP for N
D=サンプルの直径(mm)
P=圧力(psi)
【0076】
5.空隙率(%)
微多孔膜の空隙率は、下記数学式2により計算して算出した。具体的に、横Acm、縦Bcm、厚さTcmのサンプルを準備し、質量を測定して、同一の体積の樹脂質量と微多孔膜の質量の割合から空隙率を算出した。
【0077】
[数学式2]
空隙率(%)=100×{1-M/(A×B×T×ρ)}
前記数学式2中、Mは微多孔膜の質量(g)であり、ρは微多孔膜を成すポリエチレン樹脂の密度(g/cm)である。
【0078】
6.横方向収縮率(%)
10cmの長さで縦方向と横方向がそれぞれ表示された15cm×15cmの微多孔膜を、121℃で温度安定化がなされたオーブン(ヤマト科学社のDKN612)にて1時間放置した後、長さの変化を測定し、下記数学式3の方法により横方向収縮率を計算した。
【0079】
[数学式3]
横方向収縮率(%)={(加熱前の横方向長さ-加熱後の横方向長さ)/加熱前の横方向長さ}×100
【0080】
7.PS指数(Performance & Safety Index)
微多孔膜のPS指数は、出力性能と安全性をともに評価するための指数であり、下記式1により計算して算出した。
【0081】
[式1]
PS指数=[気体透過度(×10-5Darcy)×空隙率(%)]÷[121℃横方向収縮率(%)]
【0082】
8.初期抵抗テスト
初期抵抗テストは、ポリエチレン微多孔膜をセパレータに適用して組み立てられた電池を用いて行った。具体的に、NCM622(Ni:Co:Mn=6:2:2)を活物質として用いた正極と、黒鉛炭素(Graphite carbon)を活物質として用いた負極とを、製造された微多孔膜とともに巻き取り、アルミニウムパウチに投入した後、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートが3:5:2の体積比で含まれている溶液に、1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)が溶解された電解液を注入して密封し、2Ah容量の電池を組み立てた。組み立てられた電池に対してエージング(Aging)と脱気(Degassing)作業を行った後、4.2Vまで満充電して初期抵抗(mΩ)を測定した。
【0083】
初期抵抗が30mΩ以下である場合、3C-rateの放電テストで容量が50%以上維持されることを確認し、初期抵抗値は出力特性の評価指標になる。
【0084】
9.ホットボックス評価
ホットボックス評価は、ポリエチレン微多孔膜をセパレータに適用して組み立てられた電池を用いて行った。具体的に、NCM622(Ni:Co:Mn=6:2:2)を活物質として用いた正極と、黒鉛炭素(Graphite carbon)を活物質として用いた負極とを、製造された微多孔膜とともに巻き取り、アルミニウムパウチに投入した後、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートが3:5:2の体積比で含まれている溶液に、1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)が溶解された電解液を注入して密封し、2Ah容量の電池を組み立てた。組み立てられた電池に対してエージング(Aging)と脱気(Degassing)作業を行った後、4.2Vまで満充電し、オーブンに入れて5℃/minで昇温した。125℃に達した後、30分間放置して電池の変化を測定した。
【0085】
125℃、30分放置の後に電池で発煙または発火が発生するとFail、電池の電圧/電流の変化がなく、発煙と発火が生じないとPassと判定した。
【0086】
<実施例1>
重量平均分子量が5.0×10g/molで、溶融温度が135℃である高密度ポリエチレン樹脂(0.95g/cm)と、40℃での動粘度が80cStであるパラフィンオイルを30:70の重量比で含有する混合物を二軸押出機を用いて溶融混練し、溶融物を製造した。溶融温度は、TA Instrumentsから提供される示差走査熱量計(DSC)のDiscovery DSC250を用いて測定し、試料重量5mgおよびスキャン速度10℃/minの条件で測定を行った。
【0087】
前記溶融物をT-dieにより連続的に押出し、30℃に設定されたキャスティングロールを用いて、幅が300mm、平均厚さが1100μmであるシートを製造した。
【0088】
前記シートを、延伸温度95℃で7倍となるように、ロール方式により縦方向延伸を行い、メチレンクロリドを用いて、25℃で、縦方向への延伸が完了されたシートからパラフィンオイルを抽出した。パラフィンオイルが抽出されたシートを60℃で乾燥した。乾燥が完了されたシートを延伸温度122℃で8倍となるように、テンタ方式により横方向延伸を行った。
【0089】
横方向に延伸が完了されたフィルムを、テンタタイプの熱固定装置を用い、130℃で、縦方向の長さは固定したまま、横方向に熱処理を行うことで、厚さ11.5μmの微多孔膜を製造した。詳細に、横方向への熱処理は、横方向に135%まで熱延伸した後、10秒間熱固定させ、熱緩和工程前の幅の93%に熱緩和(収縮)して行った。
【0090】
最終的に製造された微多孔膜の物性、およびそれを適用した電池の性能を下記表1に記録した。
【0091】
<実施例2>
縦方向と横方向の両方を固定したまま熱処理を行った点を除き、実施例1と同様に行ってポリエチレン微多孔膜を製造し、その結果を表1に記録した。
【0092】
<比較例1>
重量平均分子量が3.0×10g/molである高密度ポリエチレン樹脂を使用した点、縦方向と横方向にそれぞれ8倍に逐次延伸した後に抽出ステップを行った点、および130.5℃で熱処理を行った点を除き、実施例1と同様に行ってポリエチレン微多孔膜を製造し、その結果を表1に記録した。
【0093】
<比較例2>
縦方向と横方向にそれぞれ8倍に逐次延伸した後に抽出ステップを行った点、132℃で熱処理を行って横方向に155%まで熱延伸した後、10秒間熱固定させ、熱緩和工程前の幅の97%に熱緩和(収縮)して行った点を除き、実施例1と同様に行ってポリエチレン微多孔膜を製造し、その結果を表1に記録した。
【0094】
【表1】
【0095】
前記表1を参照すると、実施例1および実施例2の微多孔膜は、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であり、且つPS指数が110以上を満たした結果、それを適用した電池は、初期抵抗が30mΩ以下でり、且つホットボックス評価を通過して、優れた出力特性と熱安全性がともに達成された。
【0096】
特に、実施例1は、縦方向の長さは固定したまま横方向に熱処理を行ったため、縦方向と横方向の両方を固定したまま熱処理を行った実施例2よりもさらに優れた気体透過度、空隙率、および熱収縮率を有し、実施例2より約5倍高いPS指数を有することが分かる。
【0097】
比較例1の微多孔膜は、従来のように縦方向と横方向の延伸ステップの後にディルエントの抽出ステップを行った結果、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%以下であるが、PS指数が110未満であったため、それを適用した電池は、熱安全性には優れるが、出力特性が著しく低下する欠点がある。
【0098】
比較例2の微多孔膜は、従来のように縦方向と横方向の延伸ステップの後にディルエントの抽出ステップを行った結果、121℃で1時間放置した後に測定した横方向収縮率が5%を超え、PS指数が110未満であったため、それを適用した電池は、熱安全性と出力特性が何れも劣る欠点がある。
【0099】
以上のように、本明細書では特定の事項と限定された実施形態により本開示が説明されたが、これは、本開示のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本開示は上記の実施形態に限定されない。本開示が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。