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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164831
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】栄養組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/00 20160101AFI20241120BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241120BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20241120BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20241120BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20241120BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20241120BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20241120BHJP
【FI】
A23L33/00
A23L33/10
A23L33/15
A23L33/16
A23L33/17
A23L33/115
A23L5/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078673
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2023079811
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三原 笑
(72)【発明者】
【氏名】永渕 詢大
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD01
4B018MD09
4B018MD14
4B018MD20
4B018MD23
4B018MD29
4B018MD47
4B018MD52
4B018MD53
4B018MD94
4B018ME02
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF04
4B018MF05
4B018MF14
4B035LC06
4B035LG01
4B035LG07
4B035LG12
4B035LG16
4B035LG19
4B035LG20
4B035LG32
4B035LG57
4B035LK02
4B035LK13
(57)【要約】
【課題】
経口摂取を前提とする栄養組成物の異風味の抑制を課題とする。
【解決手段】
以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たす栄養組成物に対し、栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含めることにより、異風味を抑制することができる。
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養組成物であって、
栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含み、
かつ以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たすことを特徴とする、栄養組成物。
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
【請求項2】
栄養組成物100g中に多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂を0.1g以上含む、請求項1記載の栄養組成物。
【請求項3】
栄養組成物100g中に食物繊維を0.5g以上含む、請求項1又は2記載の栄養組成物。
【請求項4】
栄養組成物であって、
栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含み、
かつ以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たすことを特徴とする、異風味が低減された栄養組成物。
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
【請求項5】
栄養組成物100g中に多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂を0.1g以上含む、請求項4記載の栄養組成物。
【請求項6】
栄養組成物100g中に食物繊維を0.5g以上含む、請求項4又は5記載の栄養組成物。
【請求項7】
以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たす栄養組成物に対し、
栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含めることによる、
栄養組成物の異風味を低減させる方法。
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
【請求項8】
栄養組成物100g中に多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂を0.1g以上含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
栄養組成物100g中に食物繊維を0.5g以上含む、請求項7又は8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、令和5年5月15日に日本国特許庁に出願された出願番号2023-079811号の優先権の利益を主張する。優先権基礎出願はその全体について、出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、栄養組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、病人や高齢者など通常の食事が困難な者に対する栄養補給を目的とした、必要な栄養素を含み、経口又は経管により接種可能な栄養組成物が上市されていた。一方でここ最近、通常の食事が可能な者を対象に、より手軽に効率よく栄養摂取できる栄養組成物が新たに求められるようになった。
【0004】
栄養組成物に係る分野の一例である流動食においては、例えば特許文献1及び特許文献2が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-084204号公報
【特許文献2】特開2017-171593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流動食に関する特許文献1及び特許文献2は、栄養素が濃縮されていることから異風味が生じることが経験的に知られているものの、経口摂取が困難な人に対する食品という性格上、栄養バランスや物性に重きがおかれ、美味しさについて必ずしも重視されているとは言えなかった。
一方で、需要者及び市場の拡大に伴い、該異風味の抑制が求められるが、この解決策について、特許文献1及び特許文献2には何ら開示も示唆もされていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで発明者らは、簡便な方法により、栄養組成物において課題となる異風味の抑制技術を開発することとした。
【0008】
本発明者らは当該課題について検討した結果、意外にも、特定の油脂を特定量配合することにより、たんぱく質、ビタミン類、或いはミネラル類の少なくとも一つ以上の栄養素を特定量含む栄養組成物であっても、異風味を抑制できることを明らかとし、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の発明を含有するものである。
(1) 栄養組成物であって、
栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含み、
かつ以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たすことを特徴とする、栄養組成物。
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
(2) 栄養組成物100g中に多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂を0.1g以上含む、(1)の栄養組成物。
(3) 栄養組成物100g中に食物繊維を0.5g以上含む、(1)又は(2)の栄養組成物。
(4) 栄養組成物であって、
栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含み、
かつ以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たすことを特徴とする、異風味が低減された栄養組成物。
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
(5) 栄養組成物100g中に多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂を0.1g以上含む、(4)の栄養組成物。
(6) 栄養組成物100g中に食物繊維を0.5g以上含む、(4)又は(5)の栄養組成物。
(7) 以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たす栄養組成物に対し、
栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含めることによる、
栄養組成物の異風味を低減させる方法。
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
(8) 栄養組成物100g中に多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂を0.1g以上含む、(7)の方法。
(9) 栄養組成物100g中に食物繊維を0.5g以上含む、(7)又は(8)記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、たんぱく質、ビタミン類、或いはミネラル類のうち少なくとも一つ以上の栄養素を特定量含む栄養組成物において、異風味を抑制できた、栄養組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0012】
本発明における栄養組成物とは、たんぱく質、糖質、油脂、ミネラル類、ビタミン類、食物繊維等より選択された各種栄養素を含有し、効率的な栄養補給を目的として、経口的に摂取される食品に使用されるものを言う。食品の具体例として、栄養補助食品、総合栄養食品、栄養機能食品、完全栄養食品、栄養ドリンク、栄養機能飲料、栄養補助飲料、機能性表示食品等を挙げることができる。
好ましくは、その食品が、健康の保持・増進を図る目的で設けられた特定の基準を満たすものである。特定の基準の例として、例えば、厚生労働省が設定する日本人の食事摂取基準、農林水産省が設定する栄養素等表示基準値、食品表示法に基づく栄養成分表示、及び食品表示基準第7条及び同第21条に基づく栄養強調表示などを挙げることができる。
【0013】
本明細書における異風味とは、飲食した際に好ましくない風味と感じられるものの総称であり、具体的には、過度の苦み、収斂味などが挙げられる。収斂味とは、渋味とも表現される、口中で感じる刺激であり、端的には、渋柿を口に含んだときに感じる、口腔の粘膜が「縮められた」ような感覚を伴う刺激であり、代表的な異風味である。
【0014】
本発明に係る栄養組成物は、栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含む。
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
前記(a)~(c)の範囲が全て適当であると、栄養組成物における異風味の抑制効果が十分にみられる点で好ましい。
該油脂の(a)ヨウ素価の下限は、好ましくは、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上である。またヨウ素価の上限は、好ましくは、145以下、140以下、135以下、130以下、125以下、120以下、120未満である。
同様に、該油脂の(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量の下限は、好ましくは、0.4重量%以上、0.6重量%以上、0.8重量%以上、1重量%以上である。また上限は、好ましくは、29重量%以下、28重量%以下、27重量%以下、26重量%以下、25重量%以下、24重量%以下、23重量%以下、22重量%以下、21重量%以下、20重量%以下である。
同様に、該油脂の、(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合は、上限が好ましくは80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下であり、下限が好ましくは13重量%以上、14重量%以上、15重量%以上、16重量%以上、17重量%以上、18重量%以上、19重量%以上、20重量%以上である。
該油脂は、栄養組成物100g中好ましくは0.04g以上、0.06g以上、0.08g以上、0.1g以上、0.2g以上、0.3g以上、0.4g以上含むものである。
【0015】
本発明に係る栄養組成物に含まれる油脂は、前記(a)~(c)の範囲が全て適当であれば、特に限定されるものではなく、例えば、大豆油、ハイエルシン菜種油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、こめ油、パーム油、ベニバナ油、ハイオレイックベニバナ油、オリーブ油、ゴマ油、亜麻仁油、中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)、ヤシ油、パーム核油、シア脂、サル脂、カカオ脂等の植物性油脂、乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂、藻類油、微生物発酵由来の油脂、並びに、前記列挙した油脂からなる群より選択される1以上の油脂の硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂を挙げることができる。
好ましくは、本発明に係る栄養組成物に含まれる油脂は、パーム油、パーム油を用いた加工油脂、又は中鎖脂肪酸結合油脂を含むエステル交換油である。より好ましくは、パームスーパーオレイン、パームオレイン若しくはパームスーパーオレインのエステル交換油、又は中鎖脂肪酸結合油脂を含むエステル交換油である。
なお、本発明に係る栄養組成物は、前記(a)~(c)の範囲のうち一つ以上が適当でない油脂であっても、本発明の効果を妨げない範囲で、適宜配合することができる。
【0016】
本発明に係る栄養組成物は、栄養組成物100g中に前記(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含むほか、以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たすことを特徴とする。以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たすことで、特定の油脂を用いることによる異風味の抑制効果を十分に活かすことができる。
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
【0017】
本発明に係る栄養組成物は、ある態様において(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む。栄養組成物100g中のたんぱく質含量の下限は、好ましくは、1g以上、1.5g以上、2g以上であり、一方でその上限は、好ましくは、14g以下、13g以下、12g以下である。
栄養組成物中のたんぱく質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
栄養組成物中のたんぱく質に用いるたん白質は、特に限定されるものではないが、例えば大豆たん白質、トウモロコシたん白質、小麦たん白質、エンドウ豆たん白質等の植物由来のたん白質や、カゼイン、卵白アルブミン、乳清たん白質、ゼラチン、アクチン、ミオシン、絹たん白質等の動物由来のたん白質や、さらにポリペプチド、ペプチドおよびアミノ酸等を挙げることができる。また、分離精製工程を経ないたん白質に加えて、動物或いは植物等の粉砕物、抽出たん白、濃縮たん白、分離たん白等などを使用することもできる。
また該たん白質は、二つ以上のものを混合して使用することもできる。
【0018】
本発明に係る栄養組成物は、ある態様において(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む。栄養組成物100g中のビタミン類の含量の下限は、好ましくは、0.0005mg以上、0.001mg以上、0.005mg以上、0.01mg以上、0.05mg以上、0.1mg以上、0.5mg以上、1mg以上、5mg以上、10mg以上、20mg以上であり、一方でその上限は、好ましくは、900mg以下、800mg以下、700mg以下、600mg以下、500mg以下、400mg以下、300mg以下、200mg以下、100mg以下、80mg以下、60mg以下、40mg以下である。
該ビタミン類は、特に限定されるものではないが、例えばアスコルビン酸(ビタミンC)、リボフラビン、パントテン酸、葉酸、ビタミンB群、その他ビタミンA、D、E、K、P等を挙げることができる。
また該ビタミン類は、二つ以上のものを混合して使用することもできる。
【0019】
本発明に係る栄養組成物は、ある態様において(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む。栄養組成物100g中のミネラル類の含量の下限は、好ましくは、0.001mg以上、0.005mg以上、0.01mg以上、0.05mg以上、0.1mg以上、0.5mg以上、1mg以上、3mg以上、5mg以上、10mg以上、30mg以上、50mg以上、100mg以上、150mg以上、200mg以上、250mg以上、300mg以上であり、一方でその上限は、好ましくは、1150mg以下、1000mg以下、950mg以下、900mg以下である。
該ミネラル類は、特に限定されるものではないが、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、銅、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン等を挙げることができる。
また該ミネラル類は、二つ以上のものを混合して使用することもできる。
【0020】
本発明に係る栄養組成物は、栄養組成物100g中に多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂を0.1g以上含むことができる。栄養組成物100g中の該油脂の含量の下限は、より好ましくは、0.2g以上、0.4g以上、0.6g以上、0.8g以上であり、一方でその上限は、より好ましくは、5g以下、4g以下、3g以下、2g以下、1.7g以下である。この範囲が適当であると、栄養組成物において異風味の抑制効果が十分に発揮される点で好ましい。
多価不飽和脂肪酸とは、不飽和結合を2以上有する不飽和脂肪酸のことを言う。代表的には、ALA(アラキドン酸)、DHA(ドコサエキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、及びα-リノレン酸を挙げる事ができる。
多価不飽和脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂より供給することができ、具体的には、亜麻仁油、しそ油、エゴマ油、牛脂、ラード、魚油、鯨油、藻類油、微生物発酵由来の油脂を挙げることができる。多価不飽和脂肪酸を主成分とする油脂の組成は、好ましくはALA、DHA、EPA、及びα-リノレン酸の合計が30.0重量%以上である。
【0021】
本発明に係る栄養組成物は、栄養組成物100g中に食物繊維を0.5g以上含むことができる。栄養組成物100g中の該食物繊維の含量の下限は、より好ましくは、1.0g以上、2.0g以上、3.0g以上であり、一方でその上限は、より好ましくは、20g以下、15g以下、10g以下、5g以下である。この範囲が適当であると、栄養組成物において異風味の抑制効果が十分に発揮される点で好ましい。
該食物繊維は、特に限定されるものではないが、例えば、ペクチン、アガロース、グルコマンナン、セルロース、難消化性デキストリン等を挙げることができる。
【0022】
本発明に係る栄養組成物は、糖質を含むことができる。栄養組成物100g中の該糖質の含量は、特に限定されるものではないが、その下限を、例えば0g以上、0.5g以上、3g以上、5g以上とすることができ、一方でその上限を、例えば50g以下、40g以下、35g以下、30g以下とすることができる。
該糖質は、特に限定されるものではないが、例えば、単糖類(ブドウ糖、果糖)、二糖類(ショ糖、上白糖、グラニュー糖、乳糖、トレハロース)、オリゴ糖、デキストリン、澱粉、異性化糖、還元水飴、還元デキストリン等を挙げることができる。
【0023】
また本発明は、以下(A)~(C)の要件を1つ以上満たす栄養組成物に対し、栄養組成物100g中に以下(a)~(c)全ての要件を満たす油脂を0.02g以上含むことによる、栄養組成物の異風味を低減させる方法と捉えることもできる。
(A)栄養組成物100g中にたんぱく質を0.5~15g含む
(B)栄養組成物100g中にビタミン類を0.0002~1000mg含む
(C)栄養組成物100g中にミネラル類を0.0002~1200mg含む
(a)ヨウ素価が25~150である
(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量が0.2~30重量%である
(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合が12重量%以上である
ただし、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示す。
【0024】
本発明に係る栄養組成物に使用される原材料及び添加物は、特に限定されるものではなく、例えば、水、油脂分、乳化剤、pH調整剤、乳原料、糖類、酸化防止剤、増粘多糖類、塩類、果汁、香料成分、着色料、酸味料、保存料、嬌味剤、酸味剤、防腐剤、栄養強化剤等の一般的に使用される原材料及び添加物を、本発明の効果を妨げない範囲で適宜配合することができる。
【0025】
本発明に係る栄養組成物は、一例として水中油型乳化物として得ることができる。その製造方法は特に限定されるものではないが、以下の方法が例示できる。
水または温水に、水性成分、並びに乳化剤、必要によりpH調整剤等の添加物を加えて攪拌し、溶解あるいは分散させた水相を調製後、あらかじめ調合した油相を添加し予備乳化を行う。さらにこれを、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミルなどの均質化装置により圧力0~100MPaの範囲で均質化する。そして、必要によりインジェクション式、インフュージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式などの間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよい。
さらにこれを、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミルなどの均質化装置により圧力0~100MPaの範囲でさらに均質化してもよい。そして、必要により急速冷却、徐冷却などの冷却操作を施してもよい。
【0026】
本発明に係る栄養組成物は、一例として冷菓として得ることができる。その製造方法は特に限定されるものではないが、以下の方法が例示できる。
まず、前述の方法により水中油型乳化物を得る。前記水中油型乳化物を、フリージング工程及び硬化工程に供することで、冷菓を調製することができる。フリージング工程では、水中油型乳化物を含む冷菓用ミックス液をフリーザーにより急激に冷却させて水分を凍結させながら適当量の空気を混入させ、前記冷菓用ミックス液中に微細な空気の泡と氷の結晶粒、脂肪粒子を分散させ、半流動状のソフトクリーム状とする。硬化工程では、これを充填・成形・包装した後、―20℃~―40℃に急冷却し、一定の形を保持し凍結させる。
【0027】
本発明に係る栄養組成物は、一例として飲料として得ることができる。その製造方法は特に限定されるものではないが、以下の方法が例示できる。
水を60~70℃に加熱しながら添加物を加えて攪拌し、溶解あるいは分散させた水相を調整後、あらかじめ調合した油相を添加し、予備乳化を行い、予備乳化後、ホモゲナイザーにて均質化し、バッチ式殺菌法、または間接加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法にて滅菌し、再びホモゲナイザーにて均質化し冷却する方法を挙げることができる。
【実施例0028】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中%及び部、比はいずれも重量基準を意味する。
【0029】
(油脂)
使用した油脂(いずれも不二製油社製)をそのヨウ素価、構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量、及びP2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合と共に下記表1に示す。但し、ヨウ素価が25~150の範囲を外れる場合、又は、油脂の組成上精度の高い分析値が得られない場合、分析値を記載しないものとする。
なお、P2Oトリグリセリドとは、パルミチン酸(P)が2分子、オレイン酸(O)が1分子結合しているトリグリセリドを示し、表中では「P2O含量%」と示すものとする。
同様に、PPOトリグリセリドとは、トリグリセリド中の1位と2位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、3位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリド及び、トリグリセリド中の2位と3位に結合している脂肪酸がパルミチン酸(P)で、1位に結合している脂肪酸がオレイン酸(O)であるトリグリセリドを示し、P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合について、表中では「PPO/P2O割合%」と示すものとする。
尚、表中の油脂製造例A~Dの製造方法は後述する。
【0030】
(表1)使用した油脂とそのヨウ素価、構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量、及びP2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合

【0031】
(ヨウ素価の測定方法)
油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法2.3.4.1-2013により測定した。
(トリグリセリド組成の測定方法)
油脂のトリグリセリドの含量は、下記に示す高速液体クロマトグラフ分析(1)にて具体的なトリグリセリド組成%である、対称型、非対称型トリグリセリドの和(例えばPOP含量とPPO含量の和すなわちP2O含量)として測定し求めることができる。さらに対称型、非対称型トリグリセリド組成は高速液体クロマトグラフ分析(2)にて測定し(P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合%)として求めることができる。
高速液体クロマトグラフ分析(1)は、(カラム;ODS、溶離液;アセトン/アセトニトリル=80/20、液量;0.9ml/分、カラム温度;25℃、検出器;示差屈折計)にて実施した。
高速液体クロマトグラフ分析(2)は、J.HighResol.Chromatogr.,18,105-107(1995)ADLOF R O、”Analysis of Triacylglycerol Positional Isomers by Silver Ion High Performance Liquid Chromatography. ”に記載の方法に準じて実施した。
【0032】
(油脂製造例A)
ヨウ素価56のパームオレインを原料として、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行った。その後、酸性溶液及び温水洗浄により触媒の失活処理を行った後、常法通り脱色、脱臭を行い、精製油として油脂製造例Aを得た。
【0033】
(油脂製造例B)
ランダムエステル交換の原料油として、ヨウ素価67のパームスーパーオレインを用いる以外は、油脂製造例Aと同様にして、油脂製造例Bを得た。
【0034】
(油脂C-1)
構成脂肪酸中のオレイン酸含量が86.0重量%の高オレイン酸ヒマワリ油30.0重量部とステアリン酸70.0重量部を混合した後、1、3位選択性のあるリパーゼを用いてエステル交換を行い、反応油を得た。この反応油より脂肪酸を蒸留により留去し、アセトンを用いて溶剤分別を行い、分別中融点部である油脂C-1(ヨウ素価33)を得た。
【0035】
(油脂製造例C)
ランダムエステル交換の原料油として、82重量部のコーン油、13重量部の油脂C-1、及び5重量部の中鎖脂肪酸結合油脂の混合油を用いる以外は、油脂製造例Aと同様にして、油脂製造例Cを得た。
【0036】
(油脂製造例D)
ランダムエステル交換の原料油として、95重量部のコーン油、5重量部の中鎖脂肪酸結合油脂の混合油を用いる以外は、油脂製造例Aと同様にして、油脂製造例Dを得た。
【0037】
(検討1)マスキング効果を有する油脂のスクリーニング
マスキング効果を有する油脂をスクリーニングする目的で、検討1の栄養組成物の試作手順に従い、栄養組成物を作製した。得られた栄養組成物は風味評価の基準に従い評価した。栄養組成物の配合と風味評価結果を表2及び表3に示す。
なお、実施例1~7、及び比較例1~8の栄養組成物は、たんぱく質、ビタミン類、ミネラル類の全てを一定量含有する、栄養補助飲料である。
【0038】
(検討1の栄養組成物の試作手順)
1.表2及び表3の配合に従い、水相及び油相に分類された原材料をそれぞれ混合し、水相及び油相を調製した。
2.撹拌している水相へ油相及び果汁を投入し、混合した。
3.pH調整剤を用いて20℃にてpH6.8となるよう調整し、香料を添加した。
4.3の混合物を、高圧ホモゲナイザー(150kg/cm)で均質化した。
5.レトルト殺菌(121℃、30分)を行った。
6.5℃に冷却した。
【0039】
(風味評価の基準)
風味評価は、日々、栄養組成物に係る製品の研究開発に従事する熟練したパネラー6名が、下記評価基準に従い1点~5点の5段階で評価し、その平均点を求めた。3点以上を合格とした。
5点 異風味は感じられない。非常に良好。
4点 わずかに異風味を感じる。良好。
3点 やや弱いが異風味を感じる。許容範囲。
2点 異風味が感じられる。不適。
1点 強い異風味が感じられる。非常に不適。
【0040】
(表2)
・たん白質として、不二製油社製の粉末状分離大豆たん白質である、プロリーナRD-1(粗たん白質90.2%)を用いた。
・ビタミン類として、市販のビタミン製剤を用いた。
・ミネラル類として、カリウムを主成分とするミネラル混合物を用いた。
・食物繊維として、市販品を用いた。
・糖質として、三井製糖社製グラニュー糖を用いた。
・果汁として、果香社製バナナ濃縮透明果実、ロブソン社製バナナピューレを用いた。
・乳化剤として、三菱ケミカルフーズ社製のリョート-シュガーエステルS-1670を用いた。
【0041】
(表3)
・たん白質として、不二製油社製の粉末状分離大豆たん白質である、プロリーナRD-1(粗たん白質90.2%)を用いた。
・ビタミン類として、市販のビタミン製剤を用いた。
・ミネラル類として、カリウムを主成分とするミネラル混合物を用いた。
・食物繊維として、市販品を用いた。
・糖質として、三井製糖社製グラニュー糖を用いた。
・果汁として、果香社製バナナ濃縮透明果実、ロブソン社製バナナピューレを用いた。
・乳化剤として、三菱ケミカルフーズ社製のリョート-シュガーエステルS-1670を用いた。
【0042】
上記結果に見られる通り、(a)ヨウ素価、(b)構成トリグリセリド中のP2Oトリグリセリド含量、及び(c)P2Oトリグリセリド含量に対するPPOトリグリセリド含量の割合の全てが適当な範囲である油脂を0.02g以上使用して得られた栄養組成物実施例1~7は、該油脂を添加していない栄養組成物比較例1に対し、いずれも異風味抑制の効果が見られた。
一方で、前記(a)~(c)が一つ以上適当な範囲でない油脂を使用して得られた栄養組成物比較例2~8は、いずれも十分な異風味抑制効果を得ることができなかった。
【0043】
(検討2)たんぱく質及び油脂の含量を変化させた場合の異風味低減効果
検討1で見られた異風味低減効果について、たんぱく質含量及び油脂含量を変化させた場合の異風味低減効果を検討した。
検討1の栄養組成物の試作手順に従い栄養組成物を試作し、検討1と同様の風味評価の基準に従い風味評価を行った。
栄養組成物の配合と風味評価結果を表4及び表5に示す。
なお、実施例8~12、及び比較例9~13の栄養組成物は、たんぱく質、ビタミン類、ミネラル類の全てを一定量含有する、栄養補助飲料である。
【0044】
(表4)
・たん白質として、不二製油社製の粉末状分離大豆たん白質である、プロリーナRD-1(粗たん白質90.2%)を用いた。
・ビタミン類として、市販のビタミン製剤を用いた。
・ミネラル類として、カリウムを主成分とするミネラル混合物を用いた。
・食物繊維として、市販品を用いた。
・糖質として、三井製糖社製グラニュー糖を用いた。
・果汁として、果香社製バナナ濃縮透明果実、ロブソン社製バナナピューレを用いた。
・乳化剤として、三菱ケミカルフーズ社製のリョート-シュガーエステルS-1670を用いた。
【0045】
(表5)
・たん白質として、不二製油社製の粉末状分離大豆たん白質である、プロリーナRD-1(粗たん白質90.2%)を用いた。
・ビタミン類として、市販のビタミン製剤を用いた。
・ミネラル類として、カリウムを主成分とするミネラル混合物を用いた。
・食物繊維として、市販品を用いた。
・糖質として、三井製糖社製グラニュー糖を用いた。
・果汁として、果香社製バナナ濃縮透明果実、ロブソン社製バナナピューレを用いた。
・乳化剤として、三菱ケミカルフーズ社製のリョート-シュガーエステルS-1670を用いた。
【0046】
上記結果に見られる通り、検討1で見られた効果は、栄養組成物100g中のたんぱく質含量が6.2~8.8gの範囲において、前記(a)~(c)全てが適当な範囲である油脂を0.05~0.5g配合する範囲においても、確認することができた。
【0047】
(検討3)栄養補助飲料以外の栄養組成物における異風味低減効果
検討2で見られた異風味低減効果について、栄養補助飲料以外の栄養組成物においても検証した。
検討3の栄養組成物の試作手順に従い栄養組成物を試作し、検討1と同様の風味評価の基準に従い風味評価を行った。
栄養組成物の配合と風味評価結果を表6に示す。
なお、実施例13~14、及び比較例14の栄養組成物は、たんぱく質、ビタミン類、ミネラル類の全てを一定量含有する、栄養補助食品の一の態様にあたる、いわゆる冷菓である。より具体的には、アイスクリーム様食品である。
【0048】
(検討3の栄養組成物の試作手順)
1.表6の配合に従い、水相及び油相に分類された原材料をそれぞれ混合し、水相及び油相を調製した。
2.撹拌している水相へ油相を投入し、混合した。
3.2の混合物を、高圧ホモゲナイザーで均質化し、70℃・30分殺菌を行い、水中油型乳化物を得た。
4.3の水中油型乳化物を低温でエージングし、冷菓生地を得た。
5.4の冷菓生地を、アイスクリームメーカー(SIMAC社製)を用い、所定のオーバーランになるまで撹拌下で凍結した。
6.5の凍結した冷菓生地を、カップに充填し、-18℃で保存した。
【0049】
(表6)
・たん白質として、不二製油社製の粉末状大豆たん白質である、プロリーナHD101Rを用いた。なお、プロリーナHD101Rは、たんぱく質(100g中84g)に加え、ビタミン類(100g中20.5mg)及びミネラル類(100g中2507mg)も共に含むものである。
・糖質として、三井製糖社製グラニュー糖を用いた。
・安定剤として、三栄源エフ・エフ・アイ社製サンベストNN-575を用いた。
・乳化剤として、三菱ケミカルフーズ社製のリョート-シュガーエステルS-1670を用いた。
【0050】
上記結果に見られる通り、検討2の栄養補助飲料において見られた効果は、栄養組成物の一態様である、栄養補助食品としての冷菓においても確認することができた。
【0051】
(検討4)特定のたんぱく質含量のみを満たす栄養組成物における異風味抑制効果
検討3までにおいて観察された異風味低減効果について、特定のたんぱく質含量のみを満たす栄養組成物の異風味低減効果を検討した。
検討1の栄養組成物の試作手順に従い栄養組成物を試作し、検討1と同様の風味評価の基準に従い風味評価を行った。但し、栄養組成物の配合と風味評価結果は表7に示す。
なお、実施例15~16、及び比較例15の栄養組成物は、たんぱく質を一定量含有する栄養補助飲料である。
【0052】
(表7)
・たん白質として、不二製油社製の粉末状分離大豆たん白質である、プロリーナ21RT(粗たん白質87.1%)を用いた。
・糖質として、三井製糖社製グラニュー糖を用いた。
・乳化剤として、三菱ケミカルフーズ社製のリョート-シュガーエステルS-1670を用いた。
【0053】
上記結果に見られる通り、検討3までで見られた効果は、たんぱく質含量のみが特定量の範囲内である栄養組成物においても確認することができた。
【0054】
(検討5)特定のビタミン類含量及びミネラル類含量を満たす栄養組成物における異風味抑制効果1
検討3までにおいて観察された異風味低減効果について、特定のビタミン類含量及びミネラル類含量を満たす栄養組成物の異風味低減効果を検討した。
下記の、検討5の栄養組成物の試作手順に従い栄養組成物を試作し、検討1と同様の風味評価の基準に従い風味評価を行った。但し、栄養組成物の配合と風味評価結果は表8に示す。
なお、実施例17~18、及び比較例16の栄養組成物は、ビタミン類及びミネラル類を一定量含有する栄養補助飲料である。
【0055】
(検討5の栄養組成物の試作手順)
1.表8の配合に従い、水相及び油相に分類された原材料をそれぞれ混合し、水相及び油相を調製した。
2.撹拌している水相へ油相を投入し、混合した。
3.2の混合物を、高圧ホモゲナイザーで均質化した。
4.レトルト殺菌(115℃、30秒)を行った。
【0056】
(表8)
・野菜ジュースとして、カゴメ社製野菜生活100パープル(3倍濃縮)を用いた。
・ビタミン類として、市販のビタミン製剤を用いた。
【0057】
上記結果に見られる通り、検討3までで見られた効果は、ビタミン類含量及びミネラル類含量が特定量の範囲内である栄養組成物においても確認することができた。
【0058】
(検討6)特定のビタミン類含量及びミネラル類含量を満たす栄養組成物における異風味抑制効果1
検討5で確認した効果について、ビタミン類の含量が更に低い領域における場合を検討した。
検討5の栄養組成物の試作手順に従い栄養組成物を試作し、検討1と同様の風味評価の基準に従い風味評価を行った。但し、栄養組成物の配合と風味評価結果は表9に示す。
なお、実施例19~20、及び比較例17の栄養組成物は、ビタミン類及びミネラル類を一定量含有する栄養補助飲料である。
【0059】
(表9)
・野菜ジュースとして、カゴメ社製野菜生活100パープル(3倍濃縮)を用いた。
・ミネラル類として、鉄製剤である、三栄源エフ・エフ・アイ社製のFEベースシリーズを用いた。
【0060】
上記結果に見られる通り、検討5で見られた効果は今回の栄養組成物においても確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明により、たんぱく質、ビタミン類、或いはミネラル類のうち少なくとも一つ以上の栄養素を特定量含む栄養組成物において、異風味を抑制することができる。