(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164834
(43)【公開日】2024-11-27
(54)【発明の名称】頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法、システム及び頭部装着ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241120BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079229
(22)【出願日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】202310547741.0
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517291003
【氏名又は名称】深▲ゼン▼納徳光学有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】甘偉輝
(72)【発明者】
【氏名】陳江峰
(72)【発明者】
【氏名】劉冬華
(72)【発明者】
【氏名】楊再岳
(72)【発明者】
【氏名】彭華軍
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA70
2H199CA74
2H199CA94
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法、システム及び頭部装着ディスプレイに関する。
【解決手段】能動的なジオプター調整方法は、モータ駆動部品を用いて頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を調整するステップと、ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするステップと、マッピング関係に応じて、モータ駆動部品の制御信号に変換するステップと、モータ駆動部品は制御信号に応じて、表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整するステップと、を含む。頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整して、ジオプター調整過程における誤差の累積を減少することができ、駆動精度が高くて、頭部装着ディスプレイは使用時に装着者のジオプターにより良く適合して、装着者により良い体験効果を与えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動部品を用いて頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を調整するステップと、
ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするステップと、
前記マッピング関係に応じて、対応して前記モータ駆動部品の制御信号に変換するステップと、
前記モータ駆動部品は前記制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整するステップと、を含むことを特徴とする、頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【請求項2】
ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットする前記ステップは、具体的に、
一つのジオプターランクを切り替える毎に、前記頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離に生じた変化量を計算することと、
前記変化量に応じて、必要とされるモータパルス数を計算し記憶することと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【請求項3】
前記マッピング関係に応じて、対応して前記モータ駆動部品の制御信号に変換する前記ステップは、具体的に、
目標のジオプター値と現在のジオプター値のランク差を計算することと、
前記ランク差に応じて、必要とされるモータパルス数を計算することと、
マッピング関係に応じて、対応して前記モータパルス数を前記モータ駆動部品の制御信号に変換し出力することと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【請求項4】
前記モータ駆動部品は前記頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整し、現在のジオプター値を0°のジオプターにリセットするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【請求項5】
一つのジオプターランクを切り替える毎に変化するジオプター値を設定し記憶するステップと、
前記ジオプターランクの調整範囲を設定し記憶するステップと、をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【請求項6】
一つの前記ジオプターランクを調整するごとに変化するジオプター値をDとし、Dの取り得る値の範囲は以下の関係式(1)を満足することを特徴とする、請求項5に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【数1】
【請求項7】
前記ジオプターランクの調整範囲は-800°~+200°であることを特徴とする、請求項5に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【請求項8】
前記頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を、制御信号に生じた変化量に応じてxとし、xの取り得る値の範囲は以下の関係式(2)を満足することを特徴とする、請求項3に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【数2】
【請求項9】
前記モータ駆動部品の駆動精度範囲は±0.010mmであることを特徴とする、請求項1に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法。
【請求項10】
ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするためのジオプターデータモジュールと、
前記マッピング関係に応じて、入力信号を対応して前記モータ駆動部品の制御信号に変換するためのジオプター計算モジュールと、
前記制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整するためのモータ駆動部品と、
補正命令とジオプター調整命令を入力するための命令入力モジュールと、
前記制御信号を前記モータ駆動部品に出力するための命令出力モジュールと、を含む頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムであって、
モータ駆動部品は前記制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整することを特徴とする、頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システム。
【請求項11】
前記モータ駆動部品に補正命令を出力するためのジオプター補正モジュールをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システム。
【請求項12】
請求項10~11のいずれか1項に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムを含むことを特徴とする、頭部装着ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着ディスプレイの技術分野に関し、より具体的には、頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法、システム及び頭部装着ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
頭部装着ディスプレイは、光学技術を介して、小型画像ディスプレイ(例えば透過型又は反射型液晶ディスプレイ、有機電界発光素子、DMDデバイス)から発されるビデオ画像の光をユーザの瞳孔に導き、ユーザの目に近い範囲において仮想の拡大画像を実現し、ユーザに直観的で目に見える2D/3D画像、ビデオ及び文字情報を提供する。
【0003】
視力異常の人々にとって、頭部装着ディスプレイを使用する前に、ユーザの視力に適するために、頭部装着ディスプレイのジオプターを調整する必要がある。従来の頭部装着ディスプレイは、主として、手動駆動により頭部装着ディスプレイの両眼のジオプターを調整するものであり、例えば特許文献1(中国特許第109643022号明細書)には、駆動歯車と被動歯車の噛み合いにより、駆動歯車を動かすことで被動歯車を回転駆動させ、さらにスクリーンモジュールと接眼レンズモジュール間の相対距離を調整してジオプターを調整し、電子デバイスに合わせてスクリーンモジュールにおいてジオプターを表示することが実現される、ジオプター調整表示装置が開示されている。しかし、特許文献1のジオプター調整は受動的に行われ、かつその機械的構造が複雑であり、駆動精度が悪く、誤差を生じやすく、使用時に装着者のジオプターにより良く適合できず、頭部装着ディスプレイの体験効果が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第109643022号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の上記デメリットに対して、頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法、システム及び頭部装着ディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その課題を解決するために、以下の技術的手段を用いる。
【0007】
モータ駆動部品を用いて頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を調整するステップと、
ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするステップと、
前記マッピング関係に応じて、対応して前記モータ駆動部品の制御信号に変換するステップと、
前記モータ駆動部品は前記制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整するステップと、を含む頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法が構築される。
【0008】
さらには、ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットする前記ステップは、具体的に、
一つのジオプターランクを切り替える毎に、前記頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離に生じた変化量を計算することと、
前記変化量に応じて、必要とされるモータパルス数を計算し記憶することと、を含む。
【0009】
さらには、前記マッピング関係に応じて、対応して前記モータ駆動部品の制御信号に変換する前記ステップは、具体的に、
目標のジオプター値と現在のジオプター値のランク差を計算することと、
前記ランク差に応じて、必要とされるモータパルス数を計算することと、
マッピング関係に応じて、対応して前記モータパルス数を前記モータ駆動部品の制御信号に変換し出力することと、を含む。
【0010】
さらには、前記モータ駆動部品は前記頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整し、現在のジオプター値を0°のジオプターにリセットすることをさらに含む。
【0011】
さらには、一つのジオプターランクを切り替える毎に変化するジオプター値を設定し記憶するステップと、
前記ジオプターランクの調整範囲を設定し記憶するステップと、をさらに含む。
【0012】
さらには、一つの前記ジオプターランクを調整するごとに変化するジオプター値をDとし、Dの取り得る値の範囲は以下の関係式(1)を満足する:
【0013】
【0014】
さらには、前記ジオプターランクの調整範囲は-800°~+200°である。
【0015】
さらには、前記頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を、制御信号に生じた変化量に応じてxとし、xの取り得る値の範囲は以下の関係式(2)を満足する:
【0016】
【0017】
さらには、前記モータ駆動部品の駆動精度範囲は±0.010mmである。
【0018】
本発明は、ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするためのジオプターデータモジュールと、
前記マッピング関係に応じて、入力信号を対応して前記モータ駆動部品の制御信号に変換するためのジオプター計算モジュールと、
前記制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整するためのモータ駆動部品と、
補正命令とジオプター調整命令を入力するための命令入力モジュールと、
前記制御信号を前記モータ駆動部品に出力するための命令出力モジュールと、を含む頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムであって、
モータ駆動部品は前記制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整することを特徴とする、頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムを提供する。
【0019】
さらには、前記モータ駆動部品に補正命令を出力するためのジオプター補正モジュールをさらに含む。
【0020】
本発明は、上記のいずれか1項に記載の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムを含む頭部装着ディスプレイを提供する。
【0021】
本発明の効果は以下の通りである。本願は、目標のジオプター値を入力し対応する制御信号に変換し、モータ駆動部品が制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整して、従来の機械的構造が受動的にジオプター値をフィードバックする方法を置き換えることにより、ジオプター調整過程における誤差の累積を減少し、精確な制御を実現することができ、駆動精度が高くて、頭部装着ディスプレイは使用時に装着者のジオプターにより良く適合して、装着者により良い体験効果を与えることができる。
【0022】
本発明の実施例又は従来技術中の技術的手段をより明確に説明するために、以下に図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。以下の説明における図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的活動を行うことなく、さらにこれらの図面に応じて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法のフローブロック図である。
【
図2】本発明の別の実施例の頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムのフローブロック図である。
【
図3】本発明の実施例のジオプター調整装置の概略的組立図である。
【
図4】本発明の実施例の
図3におけるA箇所の概略的拡大図である。
【
図5】本発明の実施例のジオプター調整装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例の目的、技術的手段及びメリットがより明らかになるために、以下に本発明の実施例中の技術的手段を参照しながら明確で完全に説明を行う。明らかに、説明される実施例は本発明の全部の実施例ではなく、一部の実施例である。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的活動を行うことなく得られた全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0025】
本発明の実施例は、
図1に示すように、
S100:モータ駆動部品を用いて頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を調整するステップと、
S200:ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするステップと、
S300:マッピング関係に応じて、対応してモータ駆動部品の制御信号に変換するステップと、
S400:モータ駆動部品は制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整するステップと、を含む頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整方法を提供する。
【0026】
具体的には、ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットすることは、一つのデータベースを構築することに相当する。ユーザは目標のジオプター値信号を入力した後、該入力信号について対応する解析及び計算を行い、マッピング関係に応じて、該入力信号を対応して制御信号に変換し、モータ駆動部品に出力し、モータ駆動部品が該制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整する。例えば、ユーザは、頭部装着ディスプレイに近視200°の入力信号を送信し、マッピング関係に応じて近視200°の入力信号を対応する制御信号に変換し、モータ駆動部品は制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイと光学部品間の相対距離を能動的に近視200°時の相対距離に調整する。
【0027】
本願は、目標のジオプター値を入力し対応する制御信号に変換し、モータ駆動部品が制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整して、従来の機械的構造が受動的にジオプター値をフィードバックする方法を置き換えることにより、ジオプター調整過程における誤差の累積を減少し、精確な制御を実現することができ、駆動精度が高くて、頭部装着ディスプレイは使用時に装着者のジオプターにより良く適合して、装着者により良い体験効果を与えることができる。
【0028】
本実施例において、モータ駆動部品は、表示部品を駆動して光学部品に向かって又はそれと逆方向に移動させ、さらに表示部品と光学部品間の相対距離を調整して、頭部装着ディスプレイのジオプターを調整する。
【0029】
選択可能な一つの実施の態様において、モータ駆動部品は、光学部品を駆動して表示部品に向かって又はそれと逆方向に移動させ、さらに表示部品と光学部品間の相対距離を調整して、頭部装着ディスプレイのジオプターを調整する。
【0030】
選択可能な一つの実施の態様において、モータ駆動部品は、光学部品における光学レンズを駆動して移動させ、即ち、インナーズームであり、これにより頭部装着ディスプレイのジオプター調整を実現させる。
【0031】
さらなる実施例では、ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするステップは、具体的に、
一つのジオプターランクを切り替える毎に頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離に生じた変化量を計算することと、
変化量に応じて、必要とされるモータパルス数を計算し記憶することと、を含む。
【0032】
具体的には、0°のジオプターの位置から一つのジオプターランクを切り替え、表示部品と光学部品間の相対距離に変化を生じ、この場合、切り替えた後の表示部品と光学部品間の相対距離を測定し、切り替える前の表示部品と光学部品間の相対距離と比較して、求められた差分は変化量である。この変化量は一定であり、どの位置で一つのジオプターランクを切り替えても変わらない。該変化量に応じて、モータ駆動部品の機械的構造のパラメータ、例えばステッピング角、駆動ねじのピッチ等に合わせて、該変化量の実現に必要なステッピングモータパルス数を計算する。該ステッピングモータパルス数も固定値であり、その後ジオプターを調整する場合、何れも該ステッピングモータパルス数に基づき計算する。例えば、一つのジオプターランクを調整するごとに、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離に生じた変化量は0.185mmであり、0.185mmも表示部品と光学部品のうちの一つの移動デバイスの変位量であり、0.185mmの変化量は、ステッピングモータに320のパルス数に出力することが必要である。
【0033】
さらなる実施例では、前記マッピング関係に応じて、対応して前記モータ駆動部品の制御信号に変換する前記ステップは、具体的に、
目標のジオプター値と現在のジオプター値のランク差を計算することと、
前記ランク差に応じて、必要とされるモータパルス数を計算することと、
マッピング関係に応じて、対応して前記モータパルス数を前記モータ駆動部品の制御信号に変換し出力することと、を含む。
【0034】
上記実施例では、ユーザが目標のジオプター値の入力信号を入力した後、システムは、目標のジオプター値と現在のジオプター値間のランク差を計算し、このランク差により、マッピング関係に合わせて該目標のジオプター値を実現するためにモータ駆動部品に出力することに必要なステッピングモータパルス数を算出し、対応する制御信号に変換し、モータ駆動部品は、該制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整し、対応する変化量(即ち変位ストローク)を生じる。例えば、一つのジオプターランクを切り替える毎に変化するジオプター値を50°に設定し、変化量は0.185mmであり、320のモータパルス数が必要とされる。そうすれば、ユーザは0°のジオプターの場合近視200°の信号を入力すれば、変化するジオプター値は200°となり、200°を50°で割ると、4つのジオプターランクを切り替える必要があることが判明した。この4つのジオプターランクは合計でモータ駆動部品に1280(4*320=1280)のステッピングモータパルス数を出力する必要があり、誤差を無視する場合、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離は調整後0.740mmの変化量を生じる。
【0035】
さらなる実施例では、モータ駆動部品は頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整して、現在のジオプター値を0°のジオプターにリセットするステップをさらに含む。
【0036】
なかでも、頭部装着ディスプレイにセンサー部品と遮光部品とが設けられている。本実施例において、センサー部品は、モータ駆動部品に設けられる1つの赤外センサーであり、遮光部品は、表示部品に設けられる遮光羽根であり、0°のジオプターの位置は赤外センサーと遮光羽根間の高低レベル切り替え位置である。表示部品はモータ駆動部品によって駆動されて運動する過程で、遮光羽根が赤外センサーの検出範囲に入る場合、高低レベルを切り替えて、表示部品の相対的位置が分かる。モータ駆動部品を補正することにより、毎回使用する際に何れもモータ駆動部品を0°のジオプターの基準位置から調整させ、誤差の累積を減少することができ、調整精度がより高くて、頭部装着ディスプレイは使用時に装着者のジオプターにより良く適合して、装着者により良い体験効果を与えることができる。
【0037】
具体的には、システムには、1つのプリセットプログラムを有しており、毎回電源をオンオフにする場合、該プログラムは制御信号をモータ駆動部品に送信して、モータ駆動部品は表示部品を能動的に駆動して0°のジオプターの位置までリセットさせ、その後前回電源をオフにする前のジオプターの位置までリセットする。その後、ユーザは補正命令を能動的に入力することもでき、システムは補正命令を対応して制御信号に変換し、モータ駆動部品は表示部品を能動的に駆動して0°のジオプター信号までリセットさせてから、ユーザが目標のジオプター値の入力信号を入力する。
【0038】
さらなる実施例では、一つのジオプターランクを切り替える毎に変化するジオプター値を設定し記憶するステップと、
ジオプターランクの調整範囲を設定し記憶するステップと、をさらに含む。
【0039】
一つのジオプターランクを切り替える毎に変化するジオプター値は1つの固定値である。ユーザは目標のジオプター値に達するために、順番にランクを一つずつ切り替えてもよく、直接ジオプターランクの調整範囲に目標のジオプター値を入力してもよい。
【0040】
さらなる実施例では、一つのジオプターランクを調整するごとに変化するジオプター値をDとし、Dの取り得る値の範囲は以下の関係式(1)を満足する:
【0041】
【0042】
なかでも、Dの取り得る値は、25°、50°、100°等であってもよい。一つのジオプターランクを切り替える毎に、頭部装着ディスプレイの左右眼は、対応するジオプター値で変化する。例えば、一つのジオプターランクを切り替える毎に変化するジオプター値は50°であり、ユーザは、一つのランクに従い順番に近視100°から近視400°に切り替える場合、合計で6回調整する必要がある。ユーザは、直接所望の近視400°のジオプター値を入力してもよく、システムが近視400°と現在の近視100°のランク差を計算し、6つのジオプターランクが必要とされることを算出し、6つのジオプターランクに必要とされるステッピングモータパルス数をモータ駆動部品に出力する。
【0043】
さらなる実施例では、ジオプターランクの調整範囲は-800°~+200°である。
【0044】
ジオプターランクの調整は、-800°、-700°、-625°、-600°、-500°、-450°、-325°、-300°、-200°、-100°、0°、50°、100°、150°、200°等であってもよい。なかでも、+、-は近視又は遠視のみを表し、例えば、-800°は近視800°を表し、200°は遠視200°を表す。
【0045】
さらなる実施例では、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を、制御信号に生じた変化量に応じてxとし、xの取り得る値の範囲は以下の関係式(2)を満足する:
【0046】
【0047】
なかでも、変化量xの取り得る値は、-2.960mm、-2.226mm、-2.031mm、-1.853mm、-1.481mm、-1.117mm、-0.928mm、-0.740mm、-0.370mm、-0.191mm、0.190mm、0.371mm、0.558mm、0.740mmであってもよい。この変化量xは可変であり、マッピング関係中のプリセット変化量とは異なる。具体的には、-2.960mmは、ジオプターが近視800°である時に表示部品の変位距離であり、0.740mmはジオプターが遠視200°である時に表示部品の変位距離である。表示部品と光学部品の組み合わせに基づき、ジオプターが遠視である場合、ジオプターが大きくなるほど、表示部品は光学部品から離れ、ジオプターが近視である場合、ジオプターが大きくなるほど、表示部品は光学部品に近くなることが分かる。0°のジオプターの基準位置が遠視と近視との間にあるので、遠視方向の変化量は正の値であり、近視方向の変化量は負の値である。
【0048】
さらなる実施例では、モータ駆動部品の駆動精度範囲は±0.010mmである。
【0049】
具体的には、モータ駆動部品の機械的構造と、電子素子が命令を読み取る過程で誤差を生じやすいこととにより、モータ駆動部品は制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整して生成した変化量は、プリセット変化量と倍数関係ではなく、一定の誤差がある。しかし、本願のモータ駆動部品はステッピングモータを用い、ステッピング角度が小さく、分解能(1ステップ駆動するごとにナットが移動する距離)が非常に小さく、約0.005mmであり、駆動精度は±0.01mm以内に制御され得、精度が高く、誤差をさらに低減することができる。
【0050】
さらには、頭部装着ディスプレイにホストコンピュータとボタンとをさらに含む。なかでも、ホストコンピュータは、頭部装着ディスプレイのコントローラであってもよく、又は装着者が頭部装着ディスプレイと接続する制御設備、例えば携帯電話、タブレットPC等であってもよい。ホストコンピュータは、UARTインタフェースを介して制御システムと接続される。なかでも、UARTインタフェースは汎用非同期受信器/送信器、即ち、シリアル通信である。
【0051】
本実施例において、装着者は、ホストコンピュータにより直接目標のジオプターランク及び補正命令を入力することができる。例えば、装着者はジオプターを近視500°又は遠視200°のジオプターランクに調整する必要がある場合、ホストコンピュータにより頭部装着ディスプレイの制御システムに補正命令を入力し、ステッピングモータを補正した後、直接ホストコンピュータにより頭部装着ディスプレイの制御システムに近視500°又は遠視200°のジオプターランク調整命令を入力することが可能であり、より調整しやすい。
【0052】
ボタンと頭部装着ディスプレイの制御システムはIOインタフェースを介して接続される。ボタンは+端と-端に分け、一回ボタンを押すと、一つのジオプターランクDを調整する。例えば、一つのジオプターランクを調整するごとに変化するジオプターDは50°であり、装着者はジオプターを近視500°のジオプターランクに調整する必要がある場合、ボタンの-端を10回押す必要がある。装着者はジオプターを遠視100°のジオプターランクに調整する必要がある場合、ボタンの+端を2回押す必要がある。本実施例において、ボタンは補正命令を入力することに用いられ得ない。
【0053】
上記実施例では、
図3~
図5に示すように、頭部装着ディスプレイは、表示部品、光学部品、モータ駆動部品、制御システム、センサー部品及び遮光部品等を含む。モータ駆動部品4は、接眼レンズシステム3に取り付けられるモータ固定座41と、モータ固定座41に取り付けられるステッピングモータ42と、ステッピングモータ42に設けられる位置規制ブロック43と、ステッピングモータ42の駆動ねじに設けられる駆動ナット44と、を含む。駆動ナット44は、位置規制ブロック43によって規制されて、ステッピングモータ42の駆動ねじが回転する場合、直線に上下に移動し、回転しない。表示部品1には、駆動ナット44と組み合わせる駆動アーム11が設けられており、駆動アーム11が駆動ナット44によって駆動されて運動する。表示部品1と光学部品3の間は吊り軸を介してガイドスリーブと噛み合い、表示部品1と光学部品3の間は引張ばね7を介して接続される。主制御部品2はステッピングモータ42と接続されるフレキシブルプリント基板5であり、赤外センサー6がフレキシブルプリント基板5に設けられ、遮光羽根8が表示部品1に設けられる。ステッピングモータ42が始動すると、駆動ねじが回転し、駆動ナット44を動かして往復移動させ、表示部品1の光学部品3から離れる方向に、駆動ナット44によって動かされて、駆動アーム11が表示部品1を動かして光学部品3から離れる方向に直線に移動させる。表示部品1の光学部品3に近い方向に、駆動ナット44が往復移動し、この場合、表示部品1は引張ばね7によって動かされて光学部品3に近い方向に移動し、駆動アーム11が駆動ナット44と接触する。補正する場合、遮光羽根8は赤外センサー6の検出範囲に入り、この場合赤外センサー6は高低レベルを切り替える。高低レベル切り替え位置を見つけることにより、表示部品1を0°のジオプターの基準位置までリセットさせることができる。
【0054】
別の実施例では、本発明は、
図2に示すように、
ジオプター値とモータパルス数間のマッピング関係をプリセットするためのジオプターデータモジュール21と、
マッピング関係に応じて、入力信号を対応してモータ駆動部品の制御信号に変換するためのジオプター計算モジュール22と、
制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整するためのモータ駆動部品4と、
補正命令とジオプター調整命令を入力するための命令入力モジュール23と、
制御信号をモータ駆動部品に出力するための命令出力モジュール24と、を含む頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムであって、
モータ駆動部品4は制御信号に応じて頭部装着ディスプレイの表示部品1と光学部品3間の相対距離を能動的に調整する頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムを提供する。
【0055】
さらには、モータ駆動部品4に補正命令を出力するためのジオプター補正モジュール25をさらに含む。
【0056】
モータ駆動部品4は、ステッピングモータ42とモータ駆動モジュール45とを含み、モータ駆動モジュール45がステッピングモータ42を駆動して動作させる。
【0057】
なかでも、命令入力モジュール23は、入力される補正命令又はジオプターランク調整命令を取得するためのシリアル通信ユニット231と、入力されるジオプター調整命令を取得するためのIOインタフェースユニット232と、を含む。ホストコンピュータはシリアル通信ユニット231を介してジオプター計算モジュール22と電気的に接続され、ボタンはIOインタフェースユニット232を介してジオプター計算モジュール22と電気的に接続され、ホストコンピュータは、また、シリアル通信ユニット231を介してジオプター補正モジュール25と電気的に接続される。
【0058】
ジオプター補正モジュール25は補正命令を取得した後、命令出力モジュール24を介してモータ駆動モジュール45に出力し、モータ駆動モジュール45はステッピングモータ42を駆動して作動させる。ステッピングモータ42は、表示部品1を駆動して現在のジオプターの位置から0°のジオプターの基準位置、即ち、赤外センサー6と遮光羽根8の高低レベル切り替え位置まで実行させる。
【0059】
本願は、目標のジオプター値を入力し対応する制御信号に変換し、モータ駆動部品が制御信号に応じて、頭部装着ディスプレイの表示部品と光学部品間の相対距離を能動的に調整して、従来の機械的構造が受動的にジオプター値をフィードバックする方法を置き換えることにより、ジオプター調整過程における誤差の累積を減少し、精確な制御を実現することができ、駆動精度が高くて、頭部装着ディスプレイは使用時に装着者のジオプターにより良く適合して、装着者により良い体験効果を与えることができる。
【0060】
以下、より具体的な実施例により、上記頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムの原理、プラン及び調整結果をさらに説明する。
【実施例0061】
【0062】
実施例1は、
図2に示すように、モータ駆動部品4と、ディスプレイ付き表示部品1と、光学部品3と、ジオプターデータモジュール21と、ジオプター計算モジュール22と、命令入力モジュール23と、命令出力モジュール24と、ジオプター補正モジュール25とを含む、頭部装着ディスプレイの能動的なジオプター調整システムを提供する。ホストコンピュータは、シリアル通信ユニット231を介して、それぞれジオプター計算モジュール22とジオプター補正モジュール25に電気的に接続され、ボタンは、IOインタフェースユニット232を介してジオプター計算モジュール22に電気的に接続され、補正命令とジオプターランク調整命令を入力することに用いられる。ジオプターデータモジュール21はプリセットマッピング関係を記憶し、ジオプター計算モジュール22とジオプター補正モジュール25は全て命令出力モジュール24に電気的に接続される。
【0063】
ジオプター補正モジュール25は、補正命令を取得した後、命令出力モジュール24を介してモータ駆動モジュール45に出力し、モータ駆動モジュール45はステッピングモータ42を駆動して作動させる。ステッピングモータ42は、表示部品1を駆動して現在のジオプターの位置から0°のジオプターの基準位置、即ち、赤外センサー6と遮光羽根8の高低レベル切り替え位置まで実行させる。ジオプター計算モジュール22は、目標ジオプターの入力命令を取得した後、目標のジオプター値と現在のジオプター値のランク差を計算し、ジオプターデータモジュール21に記憶される関係に応じて、該ランク差に必要とされるステッピングモータパルス数を計算し、対応して制御信号に変換し、命令出力モジュール24を介してモータ駆動モジュール45に出力し、モータ駆動モジュール45がステッピングモータ42を制御して、制御信号に応じて頭部装着ディスプレイの表示部品1と光学部品3間の相対距離を能動的に調整させ、対応する変化量を生じる。
【0064】
表1は、頭部装着ディスプレイ調整過程で表示部品と光学部品間の相対距離に生じた実際の変化量及び誤差である。なかでも、0°のジオプターの基準位置は遠視と近視の間にあり、遠視方向の実際の変化量は正の値であり、近視方向の実際の変化量は負の値である。表1における左側のデータは、遠視200°から近視800°まで調整する過程で、一つのジオプターランクを調整するごとに表示部品と光学部品間の相対距離に生じた実際の変化量である。右側のデータは、近視800°から遠視200°まで調整する過程で、一つのジオプターランクを調整するごとに表示部品と光学部品間の相対距離に生じた実際の変化量である。一つのジオプターランクを調整するごとに変化するジオプターDを50°とし、一つのジオプターランクを調整するごとにプリセットした変化量を0.185mmとし、必要とされるステッピングモータパルス数を320とした。光学スクリューが移動し、オフロードで、ステッピングモータの入力電圧は0.6Vであった。機械的構造が噛み合う間に僅かな隙間があるので、初期段階の実際の変化量にロストモーションデータを含んでおり、ロストモーションデータを含む実際の変化量が誤差計算範囲に計上されない。
ジオプター補正モジュール25は、補正命令を取得した後、命令出力モジュール24を介してモータ駆動モジュール45に出力し、モータ駆動モジュール45はステッピングモータ42を駆動して作動させる。ステッピングモータ42は、表示部品1を駆動して現在のジオプターの位置から0°のジオプターの基準位置、即ち、赤外センサー6と遮光羽根8の高低レベル切り替え位置まで実行させる。ジオプター計算モジュール22は、目標ジオプターの入力命令を取得した後、目標のジオプター値と現在のジオプター値のランク差を計算し、ジオプターデータモジュール21に記憶される関係に応じて、該ランク差に必要とされるステッピングモータパルス数を計算し、対応して制御信号に変換し、命令出力モジュール24を介してモータ駆動モジュール45に出力し、モータ駆動モジュール45がステッピングモータ42を制御して、制御信号に応じて頭部装着ディスプレイの表示部品1と光学部品3間の相対距離を能動的に調整させ、対応する変化量を生じる。
表2は、頭部装着ディスプレイ調整過程で表示部品と光学部品間の相対距離に生じた実際の変化量及び誤差である。なかでも、0°のジオプターの基準位置は遠視と近視の間にあり、遠視方向の実際の変化量は正の値であり、近視方向の実際の変化量は負の値である。表2における左側のデータは、遠視200°から近視800°まで調整する過程で、一つのジオプターランクを調整するごとに表示部品と光学部品間の相対距離に生じた実際の変化量である。右側のデータは、近視800°から遠視200°まで調整する過程で、一つのジオプターランクを調整するごとに表示部品と光学部品間の相対距離に生じた実際の変化量である。一つのジオプターランクを調整するごとに変化するジオプターDを50°とし、一つのジオプターランクを調整するごとにプリセットした変化量を0.185mmとし、必要とされるステッピングモータパルス数を320とした。光スクリューが移動し、オンロードで、ステッピングモータの入力電圧は0.6Vであった。機械的構造が噛み合う間に僅かな隙間があるので、初期段階の実際の変化量にロストモーションデータを含んでおり、ロストモーションデータを含む実際の変化量が誤差計算範囲に計上されない。