(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164849
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】純金を作用電極に用いたORP測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/30 20060101AFI20241121BHJP
G01N 27/38 20060101ALI20241121BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01N27/30 B
G01N27/38
G01N27/416 341M
G01N27/30 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080495
(22)【出願日】2023-05-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】500428818
【氏名又は名称】大友 慶孝
(72)【発明者】
【氏名】大友 慶孝
(57)【要約】
【課題】被検体液に前記酸化グラフェンが含まれた粘着唾液は前記作用電極の白金電極表面に酸化グラフェンによる酸化被膜がこびりついたときに、精製水洗浄による前記酸化被膜の洗浄及び拭き取りが困難になることを防止する。
【解決手段】本発明に用いる作用電極は純金であり、この作用電極を洗浄し、ティッシュペーパー及びやわらかいコットン綿棒で表面を拭き取るたびに、この拭き取りにより、やわらかい純金の表面に付着してこびりついた酸化グラフェンの酸化膜を除去する。このとき、純金表面に付着した酸化被膜を純金自体の薄膜表面を削り取るようにしたことにより、前記酸化グラフェンを含んだ粘着性の強い唾液の洗浄が確実となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元電位を測定するORP測定装置において、
純金からなる作用電極を有し、
溶液含浸の綿棒を装着する試料槽の底部に前記作用電極が設置されており、
前記作用電極は純金の丸棒状の軸部と、平らな形状の頭部とを有し、
前記作用電極の頭部の表面は鏡面研磨されており、
前記作用電極表面に付着した溶液の酸化膜を、精製水を用いて洗浄した後、
拭き取って、前記作用電極の頭部表面に付着した酸化膜を除去することを特徴とする純金を作用電極に用いたORP測定装置
【請求項2】
前記作用電極に使用する金の純度は99.9%以上であり、
前記作用電極の軸部の太さの直径は、0.5mm~20mmであり、
前記作用電極の頭部の形状は、薄平リベット形状、丸リベット形状、皿リベット形状、半球形状、又は平な形状であることを特徴とする請求項1に記載の純金を作用電極に用いたORP測定装置。
【請求項3】
前記作用電極に用いる純金活用は、ヒト唾液ORP測定装置、哺乳動物唾液ORP測定装置、水質ORP測定装置、土壌ORP測定装置、又は空気ORP測定装置の作用電極に活用することを特徴とする請求項1又は2に記載の純金を作用電極に用いたORP測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純金を作用電極に用いたORP測定装置に関するものである。
【0002】
ORP酸化還元測定装置の作用電極に測定する検体液が、作用電極表面に付着して酸化膜を形成した場合において、ORP測定装置の作用電極に純金を用いることで、その酸化膜を簡便に除去できるようにする。
【背景技術】
【0003】
酸化還元電位測定装置は作用電極と参照電極を備え、作用電極と参照電極を試料溶液中に挿入し、溶液中の電解質の濃度や酸化体と還元体とのイオン濃度比など酸化還元電位を測定する(特許文献1~3)。従来、ヒト唾液ORP測定装置は、人間の体液(唾液)の電解質を対極する作用電極と参照電極2つの電極によりプラスマイナスの電子授受現象によって電位差測定をするとされている(特許文献1,2)。
【0004】
特許文献1において、唾液含浸の綿棒と接触する作用電極(白金)と参照電極(銀-塩化銀)がそれぞれ対極して設けられている。よって、被検液の唾液の酸化体のプラス電子と還元体のマイナス電子の電子授受交換が作用電極と塩化銀電極の2極間で行われることにより、プラスマイナスの電子の電位差により酸化還元電位測定ができることが開示されている。
【0005】
特許文献1において、唾液含浸の綿棒と接触する指示電極(白金)とKCl溶液に浸された参照電極(銀-塩化銀)がそれぞれ対極して設けられている。よって、被検液の唾液の酸化体のプラス電子と還元体のマイナス電子の電子授受交換が行われ酸化還元電位測定ができることを目的とする。本願発明者による研究の結果、本発明者は、酸化グラフェンが含まれた唾液は前記作用電極の白金電極表面に酸化グラフェンによる酸化被膜がこびりつき、これまでのように、不純物のない精製水洗浄では前記酸化被膜を洗浄、拭き取りが完璧に取り除けないことから、同一溶液の唾液ORPの再現値差が生じる可能性があることを見出した。なお、特許文献1および特許文献2で、指示電極(白金)又は作用電極(白金)は同一のことであり、本発明での表現は作用電極に統一した。
【0006】
特許文献2において、参照電極(銀-塩化銀)KCl溶液が接触する液絡部と試料槽部の底に内蔵された指示電極の三者間が常に一定の距離が設けられ、測定中に作用電極が溶液含浸綿棒に覆われることで空気に触れて酸化還元の緩衝を受けることなく測定対象試料とする溶液のみの酸化還元電位ORP値(mV)が安定して電子授受交換ができるようにしていることが開示されている。
【0007】
特許文献2において、唾液含浸の綿棒と接触する作用電極(白金)とKCl溶液に浸された参照電極(銀-塩化銀)がそれぞれ対極して設けられている。よって、被検液の唾液の酸化体のプラス電子と還元体のマイナス電子の電子授受交換が行われ酸化還元電位測定ができることを目的とする。前記酸化グラフェンが含まれた唾液は前記作用電極の白金電極表面に粘着性の強い酸化被膜がこびりつき、これまでのように、不純物のない精製水洗浄では前記酸化被膜を洗浄、拭き取りが完璧に取り除けないことから、同一溶液の唾液ORPの再現値差が生じる可能性がある。
【0008】
特許文献3において、排出処理水などの水質の酸化還元電位を測定しようとする溶液中に浸漬される作用電極及び参照電極と、該作用電極の電位を変位させるための電流印加機構とを有することが開示されている。
【0009】
特許文献3において、排出処理水などの水質の酸化還元電位を測定しようとする溶液中に浸漬される作用電極及び参照電極と、該作用電極の電位を変位させるための電流印加機構とを有する。前記水質の酸化還元電位を測定する装置の作用電極に従来の白金電極使用では、もしも、水資に酸化グラフェンが含まれている場合に、前記水質のORP測定において前記作用電極の白金電極表面に前記酸化グラフェンの強い酸化被膜がこびりつき、これまでのように、不純物のない精製水洗浄では前記酸化被膜を洗浄、拭き取りが完璧に取り除けないことから、前記水質のORPの測定においても再現値差が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許6454836号
【特許文献2】特許6253171号
【特許文献3】特開2000-88801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来は、水質のORP測定装置及びヒト唾液ORP測定装置の作用電極は、白金電極を使用している。しかし、ヒト唾液ORP測定装置の作用電極において、唾液は粘着性の強い溶液なのでワクチン接種者の唾液成分の中に混ざった酸化グラフェンによって指示電極である白金電極に、被検体液である前記酸化グラフインが混ざった唾液は前記作用電極の白金電極表面に酸化グラフェンによる酸化被膜がこびりつき、作用電極表面が乾燥すると、従来の不純物のない精製水洗浄では前記酸化被膜を洗浄、拭き取りが完璧に取り除けないことから、同一溶液の唾液ORPの再現値差が発生する可能性がある。ヒト唾液の成分に前記酸化グラフェンが混ざった唾液を想定していなかったのである。
【0012】
ヒト唾液ORP測定装置の作用電極に、こびりついた汚れと検体液が混ざりあった混合溶液の付着による酸化膜を取り除かなければ、同じ被験者の唾液を、ほぼ同じ時間に採取し、ヒト唾液のORP測定した場合に、測定結果の再現精度に大きな振れ幅の測定値が起きることになり、ヒト唾液ORP測定による体内が体調良好状態にあるのか体調不良状態にあるのかの信頼できる判定をすることが困難となる。
本発明の目的は、前記同一のヒト唾液溶液の再現値がプラスマイナス5mVで、最大幅10mV以内で測定できる精度を保持することにより、被験者のヒト唾液ORP測定による体内が体調良好状態にあるのか体調不良状態にあるのかを判定する酸化還元電位測定装置の信頼性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために、酸化グラフェンを含む唾液と酸化グラフェンを含まない唾液ORP測定を後述の
図6で示す通り検証したのである。検証方法は、被検液である酸化グラフェンを含む唾液と酸化グラフェンを含まない唾液ORP測定を、5分間隔で、その都度、唾液含浸専用綿棒を口にくわえ、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、それぞれ各10回の唾液測定を実施した。その結果として、酸化グラフェンを含む唾液と酸化グラフェンを含まない唾液のいずれであっても、本発明の作用電極に純金を用いた唾液ORPの再現性はプラスマイナス5mV以内で、最大10mVの振れ幅内で再現されたのである。一方、
図5で示された通り、従来の作用電極に白金を用いた前記酸化グラフェンを含む唾液ORPの再現性はプラスマイナス30mVを超えて、最大60mVを超える大きな振れ幅を示した。しかし、作用電極が白金電極であっても、酸化グラフェンを含まない唾液ORPの再現性はプラスマイナス5mV以内で、最大10mVの振れ幅内で再現されたのである。
【0014】
しかるに、前記酸化グラフェンが含まれたヒト唾液は想定していなかったとは言え、立ちはだかる問題解決は困難を極めたのである。作用電極を白金としていることで、粘着性のある唾液成分に混ざった前記酸化グラフェンによる酸化被膜が吸着して白金表面の電子状態が前記吸着のプロトン吸着、脱着波現象が起きているのではないかと推察した、なぜなら、白金においては、水系で塩化物イオンが高濃度で含まれる水系では塩化白金酸イオンとして溶出する可能性が専門書に公知されているのである。純金においても溶液に浸すことで、前記プロトン吸着、脱着波現象が起きているのかの有無を確認する手段として本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法に着眼した。その結果として、後述
図6で示されたように本発明の有意性が立証できたのである。
【0015】
今日において、食生活における加工品の原材料に前記酸化グラフェンが含まれる食品の摂取が増えるほど、前記酸化グラフェンが含まれた唾液測定に対して本発明のORP測定装置の作用電極に純金を用いて、被検液のORP測定の再現精度が重要になり、水質用ORP測定装置およびヒト唾液ORP測定装置において正確で再現精度の高いORP測定で、人間の健康面への影響を数値で可視化するORP測定の信頼度を高めることにつながる。
【0016】
本発明は、純金を作用電極とすることに着眼した理由について述べる。金の純度が99.9%以上であり、錆びない、ほとんどの化学物質に反応しない不活性金属であり、すなわち酸化しない金属であり、空気中、水の中でも酸化しないことは金属特性として周知されている。前記純金は硝酸と塩酸を混ぜた王水にしか溶けない性質があり、このような前記王水は、通常、人間の唾液の成分中には存在しない。
【0017】
しかし、純金すなわち金は、酸化しないメリットの反面、純度が高いため、やわらかくて傷つきやすく、人の爪でさえひっかき傷を作ってしまうやわらかさである。本発明では、この不活性である純金を唾液ORP測定装置の作用電極に使用した理由は、金属としてはやわらかいとされる純金の特徴を活用することで、純金そのものの表面を洗浄拭き取り行為で、前記純金表面の微細な剥離行為が可能であると着眼したのである。
【発明の効果】
【0018】
前記酸化グラフェンが含まれた唾液による、従来のヒト唾液ORP酸化還元電位測定装置に使用する作用電極である白金電極表面を前記酸化グラフェンにより酸化膜を形成し、不純物を含まない精製水での拭き取りでは、洗浄、拭き取りが困難であることが、ほぼ同一唾液の被検体液のヒト唾液ORP測定での大きな再現値差が、後述する
図5で示された通りである。このことから、被検体液であるヒト唾液ORP測定後の、本発明に用いる作用電極とする純金を精製水で洗浄拭き取り行為で、純金表面を洗浄し、ティッシュペーパー及びやわらかいコットン綿棒で表面を拭き取るたびに、やわらかい純金の表面に付着してこびりついた酸化グラフェンの酸化膜を前記拭き取り行為とともに、純金表面に付着した酸化被膜を純金そのものの表面の微細な剥離行為となる。
【0019】
なお、本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法を証明するために、本発明出願人が特許6454836号で登録した特許を元に開発した厚生省より医療機器として認可されたヒト唾液ORP測定装置、名称ORPreaderオルプリーダー測定装置に使用されている作用電極部の白金電極部を、本発明の純金に組み換え測定を実施したのである。前記作用電極に純金を用いたことによりに、前記酸化グラフェンが含まれた被験者のヒト唾液ORP測定であっても、
図6で示した通り、同一唾液の再現精度を実現できたのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】頭部を平らにしたリベット形状の作用電極を示す平面図(a)と縦断面図(b)
【
図3】作用電極とする純金電極をやわらかい毛羽立つ綿棒で拭き取り状態を示す図
【
図4】作用電極を純金とした人間の唾液ORP測定装置フローチャート
【
図5】作用電極が、従来の白金電極で唾液ORP測定データを示す図
【
図6】作用電極が、本発明の純金電極で唾液ORP測定データを示す図
【
図7】ヒト唾液ORP値による人間の体調度ORP境界限定値を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1について説明する。
図1は(a)が頭部を平らにしたリベット形状の作用電極を示す平面図、(b)は縦断面図である。作用電極1は、頭部1aを平らにしたリベット形状にし、丸棒状部1bの上部に形成されている。作用電極1が純金の丸棒状の頭部を薄平リベット形状にしたことにより、洗浄拭き取り行為のたびに、純金そのもののやわらかい表面をやわらかい毛羽立つ綿棒を使用することで表面の付着物を除去すると共に、前記純金の表面を均一に極薄で削り取るようにした。これにより、純金の新しい表面が露出し、新生表面による次順の測定が可能になる。本発明の作用電極に用いた純金の丸棒状の太さ、直径は前記頭部1aを平らにしたリベット形状加工において、純金棒の加工両端のいずれかをくわえて回転加工するために変形しないように強度を考慮して0.5mm~20mmとし、作用電極である純金棒に対極して参照電極である銀一塩化銀電極との連結により(mV)電位差を演算し測定値を導くためのリード線3である。
【0022】
図2について説明する。ヒト唾液ORP測定装置4の試料槽部底に内蔵する作用電極部を備え、この箇所に前記作用電極とする純金電極5を装填する。前記試料槽部底に内蔵する作用電極部には作用電極である純金電極5は接着ボンドで固定され、平らにしたリベット形状の上面表面が唾液含浸された綿棒が接触するようにした純金を作用電極に用いたORP測定方法である。
【0023】
図3について説明する。人間の唾液を含浸させる綿棒軸6aであり、唾液含浸させる、やわらかくて毛羽立つ綿棒7を用いて、精製水で洗浄し、ティッシュペーパーで拭き取り後、前記やわらかくて毛羽立つかわいた綿棒7であり、綿棒軸6bで示すように左右の両周りに各5回前後、丁寧に回転させることで、作用電極の純金棒の頭部の丸頭が薄平リベット形状1の純金そのものの表面に付着した、しつこい酸化膜を剥離させることができ、作用電極の純金のリベット形状の頭部は、不純物が取り除かれ、作用電極には被検液である唾液を触れさせることにより、測定の再現精度を格段に高めることができたのである。前記作用電極に用いた純金唾液含浸させた綿棒を差し込む土台部分8であり、作用電極の純金棒の頭部の薄平リベット形状1で鏡面研磨がほどこされ洗浄拭き取りをスムースにできるようにしている。前記綿棒7を差し込む試料槽部9を設けることで、作用電極の純金棒を試料槽部の底に純金の丸棒状の太さにあわせて開けた丸い穴に純金棒2を差し込み装填し、装填された純金棒の下先部10の作用電極と参照電極と連結させるリード線3を接着してつなげる。参照電極(銀-塩化銀)上先部12とリード線3を接着してつなげる。作用電極に対極する参照電極(銀-塩化銀)12の先端部はKCl溶液13に浸されているである。そして、前記KCl溶液を格納するタンクカバー14を設けて蒸発を防ぐようにしている。作用電極と参照電極による演算によるmV測定部15であり、作用電極である純金棒の頭部の丸円頭のリベット形状の1の部分に綿棒に含浸された唾液と対極する参照電極(銀-塩化銀)12との唾液ORPのプラスマイナスの電子授受交換をさせる接点17となり、唾液含浸され濡れた綿棒7によって、毛細管現象でKCl溶液13は塗れた綿部分7に微細な量が呼び込まれ、前記作用電極と参照電極の2極における前記KCl溶液13を介してプラスマイナスの電子授受交換が行われ、酸化還元電位(mV)電位差を演算し測定結果が得られるのである。
【0024】
図4について説明する。本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法の有用性を立証するために、すでに、作用電極を白金電極で構成しているヒト唾液ORP測定装置に、前記作用電極部を純金電極で差し替え、洗浄拭き取り部の純金電極頭部を薄平リベット形状とすることにより、不純物のない精製水で洗浄拭き取り行為ごとに純金そのもののやわらかい表面を微細に均一に剥離せることができると推察し、作用電極に触れる唾液成分の測定精度高めるようにした構成図である。測定結果を印刷する16であり、装置本体及び測定スタートボタン17であり、本発明に用いた作用電極とする純金電極18である。酸化還元電位測定である電位差測定は作用電極と参照電極の2つの電極によりプラスマイナス電子授受の電位測定19であり、各部の測定プログラム進行の制御部20は、次のように構成されている。印刷制御21、洗浄チェックの演算制御22、洗浄チェック後のORP測定の演算制御23、西暦及び時刻表示の制御24、液晶表示の制御25、作用電極と参照電極との導通制御26、測定中の進行動作の制御27、3つの測定BOX毎の電源ON、OFFの制御28、3つの測定BOX毎の校正標準溶液のORP測定の演算制御29であり、本発明の洗浄拭き取りによる作用電極の純金電極の洗浄を容易にした洗浄部30であり、これにより酸化還元電位(mV)検出部31の精度を高め、その測定結果を液晶部32で表示するのである。
【0025】
図5について説明する。作用電極が、従来の白金電極を用いたヒト唾液ORP測定を実施したのである。酸化グラフェンを含むヒト唾液ORP測定は、
図5で示された通り、唾液ORPの再現性はプラスマイナス30mVを超えて、最大60mVを超える大きな振れ幅を示したのである。一方、酸化グラフェンを含まない唾液CさんとDさんにおける再現値差はプラスマイナス5mV以内最大振れ幅は10mVが保持され、前記酸化グラフェンを含まない唾液ヒト唾液ORP測定においては再現精度が高いことが示された。
【0026】
図6について説明する。作用電極が、本発明の純金電極を用いたヒト唾液ORP測定を実施したのである。結果として、酸化グラフェンが含まれた唾液、酸化グラフェンを含まない唾液の何れであっても、
図6で示された通り、ヒト唾液ORPの再現性はプラスマイナス5mV以内で、最大10mVであり、本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法とする有意性が示されたのである。なお、
図6で示した作用電極に用いたリベット形状は、頭部を平らにしたリベット形状を使用した。
【0027】
図7について説明する。特許文献1の特許6454836号及び特許文献2の特許6253171号で、ヒト唾液ORPの酸化境界値の再現性はプラスマイナス5mV以内であり、最大幅10mVとすることが後述の
図7のヒト唾液ORP値による人間の体調度ORP境界限定値40~50mVで公開されている。なお、医学書院の臨床検査2009Vol.53 No.7で、唾液ORP数値を限定して体調度を確認、とする論文の中においてもヒト唾液ORP値による人間の体調度ORP境界限定値40~50mVで発表されている。
【0028】
(1)本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法おいては、前記酸化グラフェンが混在する唾液による、従来のORP酸化還元電位測定装置に使用する作用電極である白金電極表面を前記酸化グラフェンにより酸化膜を形成し、不純物を含まない精製水での拭き取りでは、洗浄、拭き取りが困難であることが、ほぼ同一唾液の被検体液の唾液ORP測定での大きな再現値差が、後述する
図5で示された。酸化グラフェンを含む唾液AさんとBさん、酸化グラフェンを含まない唾液CさんとDさん、それぞれの10回の唾液測定比較を実施したのである。その結果、酸化グラフェンを含まない唾液CさんとDさんの唾液測定においての再現値差は酸化膜の影響を受けずにプラスマイナス5mV以内で最大振れ幅は10mVを示したのである。そして、後述の
図6で示された通り、本発明に用いた作用電極とした純金を精製水で洗浄拭き取り行為で、純金表面を洗浄し、ティッシュペーパー及びやわらかいコットン綿棒で表面を拭き取るたびに、やわらかい純金の表面に付着してこびりついた酸化グラフェンの酸化膜を前記拭き取り行為とともに、純金表面に付着した酸化被膜を純金そのものの表面を均一に剥離させることができるのである。この考察は、純金は非常にやわらかい性質をもっている。例えば、純金1グラムで数m2大きさまで極薄に伸ばすことがきることは周知されている。一例として金箔がある。前記酸化グラフェンを含む粘着力の強い唾液であっても、前記酸化グラフェンの酸化膜が付着した作用電極の純金そのものの表面を極薄に均一に剥離させる現象が起きたとする推察の結果が酸化グラフェンを含む唾液AさんとBさん、酸化グラフェンを含まない唾液CさんとDさんのそれぞれの10回の唾液測定比較を実施し、酸化グラフェンが含まれた唾液有無にかかわらず、本発明の純金を作用電極に用いたORP測定装置の場合に、再現精度の有用性が示されたのである。
【0029】
(2)作用電極を白金電極で構成しているヒト唾液ORP測定装置に、前記作用電極部を純金電極に差し替え、洗浄拭き取り部の純金電極頭部を薄平リベット形状とすることにより、不純物のない精製水で洗浄拭き取り行為ごとに純金そのもののやわらかい表面を微細に均一に剥離せることができると推察し、作用電極に触れる唾液成分の測定精度高めるようにしたことで、その証明として
図6で、その有意性が示されたのである。前記純金電極頭部の薄平リベット形状には、丸リベット形状、皿リベット形状、半球形状、又は平な形状があり、頭部の形状加工と鏡面研磨する作用電極の純金の円柱棒の太さの直径は、各形状加工の精度及び鏡面研磨における加工強度面を保持するために0.5mm以上が必要とされる。前記ヒト唾液ORP測定装置の前記作用電極に用いる純金の円柱棒の太さの直径は0.5mm~20mmの幅で設定した理由である。ちなみに、本発明の薄平リベット形状加工の円柱棒の太さの直径は4mmである。
【0030】
ここで、本発明の効果の検証に用いた、唾液ORPの測定装置の原理と効果について述べる。酸化還元電位の原理とは、ORP(Oxidation Reduction Potential)の酸化させる力と還元させる力の差を電位差で表した数値のことである。酸化とは電子を失う化学反応のことで、具体的には物質に酸素が化合する反応、あるいは物質が水素を奪われる反応である。還元とは電子を受け取る化学反応のことで、具体的には物質から酸素が奪われる反応、あるいは物質が水素と化合する反応である。人間の生体内物質である唾液の酸化体と還元体との活量比率を測定し、少なくとも作用電極と参照電極を設け、作用電極に当接する試料溶液である唾液により、酸化還元反応を測定することで酸化する力が強いのか、あるいは還元する力が強いのかという酸化力と還元力のレベルの電位差を表すのである。酸化還元電位測定において、作用電極と参照電極との電子授受移動は、酸化還元電位が参照電極よりも低い場合、電子が参照電極へ移動する。一方、酸化還元電位が参照電極よりも高い場合、電子が参照電極から作用電極へ移動する。この電子の移動時に発生した電位差Eを測定するのであり、作用電極に用いる金属に不純物が付着した場合は、被験者の唾液100%でなくなることから、ORP測定への測定精度及び同一溶液でありながら、複数回測定したときの再現値差が大きくなることを防がなければならない。
【0031】
本発明出願人は既に人間の健康面への影響を確認する次の特許(例えば、特許第6142122号、特許第6251878号、特許第6253171号、特許第6454836号、特許第7168816)を出願している。
【実施例0032】
本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法の有用性を示す。すでに、作用電極を白金電極で構成している人間の唾液ORP測定装置に、前記作用電極部を純金電極で差し替え、洗浄拭き取り部の純金電極頭部をリベット形状とすることにより、不純物のない精製水で洗浄拭き取り行為のたびに純金そのもののやわらかい表面を微細に均一に剥離せることができると推察し、人間の唾液ORPを実施したのである。本発明の作用電極に用いた純金とは、一般的に、純度が99.9%以上が金であり、好ましくは、24金を使用する。前述の
図6で示した通り、唾液ORPの再現性はプラスマイナス5mV以内で、最大10mVであり、本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法とする所期の目的が果たせたのである。
【0033】
本発明で使用する作用電極部の純金電極製造加工は
図1で示した通り、洗浄拭き取り部の純金電極頭部をリベット形状とすることにより、不純物のない精製水で洗浄拭き取り行為のたびに純金そのもののやわらかい表面を微細に剥離させることができると推察し、
図6で示されたように、酸化グラフェンを含む唾液のAさんとBさん、それぞれの10回の測定と、酸化グラフェンを含まない唾液のCさんとDさん、それぞれの10回の唾液測定を実施し、再現性の確認測定を検証したのである。その結果、何れの唾液測定においても唾液ORPの再現性はプラスマイナス5mV以内で、最大10mVの振れ幅であり、本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法の有意性が示されたのである。
【0034】
本発明の純金を作用電極に用いたORP測定方法が、酸化グラフェンを含む唾液測定においても作用電極に用いる純金電極の活用は、測定の再現精度が保持できることから、次の各種溶液測定の作用電極に活用できると考える。それは、本発明のヒト唾液ORP測定装置をはじめとして、哺乳動物唾液ORP測定装置、水質が酸化有意なのか還元有意なのかを見極める水質ORP測定装置、微量の溶液を含んでいる土壌が酸化有意なのか還元有意なのかを見極める土壌ORP測定装置、又は空気中に浮遊する微量の水分を含む空気が酸化有意なのか還元有意なのかを見極める空気ORP測定装置の作用電極に活用できると考える。
本発明においては、酸化グラフェンによって作用電極である白金電極に、被検体液に前記酸化グラフェンが含まれた粘着性のある唾液は前記作用電極の白金電極表面に酸化グラフェンによる酸化被膜がこびりつき、これまでのように、不純物のない精製水洗浄だけでは前記酸化被膜を洗浄、拭き取りが完璧に取り除けないことから、継続測定において、前の被験者の唾液測定における拭き残りよる溶液が、次の被検者の唾液に溶解し混在することにより、同一溶液の唾液測定において、ヒト唾液ORP再現精度の大きな振れ幅の現象は、生体内に前記酸化グラフェンを含んだ粘着性の強い人間の唾液は想定していなかった大きな課題を解決できたことで、日常生活における衣食住及びメンタル面での人間が受ける健康面への影響を精度面で正確な測定精度を保持できたことで人間の健康寿命に大いに資すると考える。