(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164851
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】定着装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241121BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080497
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】岡島 靖人
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA21
2H033AA24
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BA30
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA07
2H033CA30
2H033CA45
2H270LC06
2H270LD08
2H270MA34
2H270MB25
2H270MH06
2H270SA09
2H270SA13
2H270SB12
2H270SB14
2H270SB16
2H270SB27
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】非通紙領域を冷却する構成の大型化を抑制可能な定着装置、及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】定着装置は、定着ベルト41を加熱する加熱部42と、シートの幅方向に長尺であって、定着ベルト41へ向けて開口する第1開口部63と、第1開口部63から定着ベルト41へ向かう気流AF1を発生させる送風ファン61と、第1開口部63と定着ベルト41との間で前記幅方向に延びる軸AX1を中心に回転可能に設けられ、軸AX1を囲む筒状に形成されており、回転に応じて気流AF1の通過を許容する許容部の前記幅方向における位置を切り替えるシャッター部材64と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられる定着部材と、
回転可能に設けられ、前記定着部材との間でシートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着ニップ部を形成する加圧部材と、
前記定着部材を加熱する加熱部と、
前記シートの幅方向に長尺であって、前記定着部材及び前記加圧部材のいずれか一方の回転部材へ向けて開口する第1開口部と、
前記第1開口部から前記回転部材へ向かう気流を発生させる気流発生部と、
前記第1開口部と前記回転部材との間で前記幅方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられ、前記軸を囲む筒状に形成されており、回転に応じて前記気流の通過を許容する許容部の前記幅方向における位置又は前記幅方向におけるサイズを切り替えるシャッター部材と、
を備える定着装置。
【請求項2】
前記回転部材は、前記定着部材である、
請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記加熱部は、前記定着部材における予め定められた複数のシートサイズに対応する複数の接触領域を選択的に加熱し、
前記シャッター部材は、回転に応じて前記許容部の前記幅方向における位置を切り替える、
請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記シャッター部材は、前記接触領域ごとに設けられ、前記軸に直交する径方向の両側で前記軸を挟んで対向しており、前記シャッター部材の回転により前記第1開口部の開口方向に沿って並ぶ場合に前記接触領域の端部から当該接触領域の内側へ延びる特定領域への前記気流の移動を許容する前記許容部として機能する一対の第2開口部を有する、
請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記一対の第2開口部のいずれか一方又は両方は、前記気流を前記幅方向におけるいずれか一方側へ案内するルーバーを有する、
請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記シャッター部材は、前記軸に直交する径方向の両側において前記軸に対して2回回転対称となる位置関係で設けられ、それぞれが前記シャッター部材の周面に沿って前記幅方向と斜めに交差する方向へ延出する一対の第3開口部を有する、
請求項3に記載の定着装置。
【請求項7】
前記一対の第3開口部のいずれか一方又は両方は、前記気流を前記幅方向におけるいずれか一方側へ案内するルーバーを有する、
請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記シャッター部材の内部から前記幅方向と直交し前記第1開口部の開口方向と交差する方向への空気の流出を規制する規制部を備える、
請求項1~7のいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の定着装置を用いてシートに画像を形成する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、及び定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着装置を備える。前記定着装置は、定着ベルトなどの定着部材と、加圧ローラーなどの加圧部材とを備える。前記定着装置では、前記定着部材と前記加圧部材との間に、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着ニップ部が形成される。
【0003】
前記画像形成装置では、当該装置で画像形成可能なシートの最大サイズよりも小さいサイズのシートに対して画像が形成される場合に、前記定着部材又は前記加圧部材における当該シートと接触しない非通紙領域が過度に昇温することがある。これに対し、複数のシートサイズに対応する複数の前記非通紙領域を選択的に冷却可能な定着装置が関連技術として知られている(特許文献1参照)。具体的に、この定着装置では、前記定着部材と当該定着部材を冷却する冷却風の送風口との間に、所定方向に移動可能なシャッターが設けられている。前記シャッターには、複数の前記非通紙領域に対応する複数の開口部が前記所定方向に沿って並んで設けられている。そして、この定着装置では、前記シャッターの前記所定方向への移動によって前記送風口に対向する前記開口部が切り替えられる。これにより、複数の前記非通紙領域に対する選択的な冷却が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の関連技術に係る定着装置では、前記シャッターが冷却風の移動方向に直交する平面に沿った平板状に形成される。そのため、当該平面に沿い且つシートの幅方向に直交する方向における前記シャッターの構成が大型化する。
【0006】
本発明の目的は、非通紙領域を冷却する構成の大型化を抑制可能な定着装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る定着装置は、定着部材と、加圧部材と、加熱部と、第1開口部と、気流発生部と、シャッター部材とを備える。前記定着部材は、回転可能に設けられる。前記加圧部材は、回転可能に設けられ、前記定着部材との間でシートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着ニップ部を形成する。前記加熱部は、前記定着部材を加熱する。前記第1開口部は、前記シートの幅方向に長尺であって、前記定着部材及び前記加圧部材のいずれか一方の回転部材へ向けて開口する。前記気流発生部は、前記第1開口部から前記回転部材へ向かう気流を発生させる。前記シャッター部材は、前記第1開口部と前記回転部材との間で前記幅方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられ、前記軸を囲む筒状に形成されており、回転に応じて前記気流の通過を許容する許容部の前記幅方向における位置又は前記幅方向におけるサイズを切り替える。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記定着装置を用いてシートに画像を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非通紙領域を冷却する構成の大型化を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る定着装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る定着装置の加熱部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る定着装置の加熱部の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る定着装置の冷却部の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る定着装置の各部の位置関係を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る定着装置のシャッター部材の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る定着装置のシャッター部材の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る定着装置のシャッター部材の変形例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る定着装置のシャッター部材の変形例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る定着装置の規制部の変形例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る定着装置のシャッター部材の変形例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る定着装置のシャッター部材の変形例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る定着装置のシャッター部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置100の構成]
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、
図1は画像形成装置100の構成を示す断面図である。
【0013】
なお、説明の便宜上、画像形成装置100が使用可能な設置状態(
図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、
図1に示される画像形成装置100の左側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置100の正面を基準として左右方向D3を定義する。
【0014】
画像形成装置100は、画像データに基づいて画像を形成するプリント機能を有するプリンターである。なお、本発明は、電子写真方式で画像を形成するファクス装置、コピー機、及び複合機などに適用することが可能である。
【0015】
図1及び
図2に示されるように、画像形成装置100は、画像形成部1、シート搬送部2、操作表示部3、記憶部4、及び制御部5を備える。画像形成部1、シート搬送部2、記憶部4、及び制御部5は、画像形成装置100の筐体101に収容されている。筐体101は、略直方体状に形成されている。筐体101の上部には、操作表示部3、及び画像形成装置100によって画像が形成されたシートが排出されるシート受け部102が形成されている。
【0016】
画像形成部1は、外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて、電子写真方式でシートに画像を形成することが可能である。
図1に示されるように、画像形成部1は、感光体ドラム21、帯電装置22、光走査装置23、現像装置24、転写ローラー25、クリーニング装置26、及び定着装置27を備える。
【0017】
感光体ドラム21は、筐体101によって回転可能に支持されている。感光体ドラム21は、不図示のモーターから伝達される回転駆動力を受けて、
図1に示される矢印方向に回転する。
【0018】
帯電装置22は、感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0019】
光走査装置23は、画像データに基づく光を、帯電された感光体ドラム21の表面に照射する。光走査装置23によって、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。
【0020】
現像装置24は、トナーを含む現像剤を用いて、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像する。現像装置24によって、感光体ドラム21の表面にトナー像が形成される。
【0021】
転写ローラー25は、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像を、シート搬送部2によって定着装置27へ向けて搬送されるシートに転写する。
【0022】
クリーニング装置26は、転写ローラー25によってトナー像が転写された後の感光体ドラム21の表面を清掃する。
【0023】
定着装置27は、トナー像が転写されたシートを加熱して、当該シートにトナー像を定着させる。
【0024】
シート搬送部2は、画像形成部1によって画像が形成されるシートを搬送する。
図1に示されるように、シート搬送部2は、給紙カセット31、シート搬送路32、給紙ユニット33、レジストローラー対34、及び排紙ローラー対35を備える。
【0025】
給紙カセット31は、画像形成部1によって画像が形成されるシートを収容する。給紙カセット31は、
図1に示されるように、筐体101の底部に設けられる。例えば、給紙カセット31には、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート部材が収容される。給紙カセット31は、内部に収容された複数枚のシートを持ち上げるリフト板を有する。
【0026】
シート搬送路32は、給紙カセット31から転写ローラー25、及び定着装置27を経由してシート受け部102へ至るシートの移動通路である。シート搬送路32には、レジストローラー対34、及び排紙ローラー対35を含む複数のローラー対が設けられている。シート搬送路32では、当該複数のローラー対によって給紙カセット31から搬出されたシートがシート受け部102へ向かう搬送方向D4(
図1参照)へ搬送される。シート搬送路32は、筐体101内に設けられた一対の搬送ガイド部材によって形成される。
【0027】
給紙ユニット33は、給紙カセット31に収容されたシートを一枚ずつシート搬送路32へ送り出す。給紙ユニット33は、ピックアップローラー、給紙ローラー、及びリタードローラーを備える。前記ピックアップローラーは、給紙カセット31の前記リフト板によって持ち上げられた複数枚のシートのうち、最上層のシートの上面に接触して回転することで、当該シートを前記給紙ローラーへ送り出す。前記給紙ローラーは、前記ピックアップローラーによって送り出されたシートの上面に接触して回転することで、当該シートをシート搬送路32へ送り出す。前記リタードローラーは、前記給紙ローラーの下側から前記給紙ローラーへ向けて付勢されて設けられる。前記リタードローラーは、前記ピックアップローラーによって複数枚のシートが重なり合って送り出された場合に、その重なり合う複数枚のシートから最上層以外のシートを分離する。
【0028】
レジストローラー対34は、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像が感光体ドラム21の回転によって転写ローラー25による転写位置に搬送されるタイミングに合わせて、シートを当該転写位置へ搬送する。
【0029】
排紙ローラー対35は、定着装置27によってトナー像が定着されたシートをシート受け部102に排出する。
【0030】
操作表示部3は、画像形成装置100のユーザーインターフェイスである。操作表示部3は、制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0031】
記憶部4は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部4は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。
【0032】
制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御する。
図2に示されるように、制御部5は、CPU11、ROM12、及びRAM13を備える。CPU11は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM12は、CPU11に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM13は、CPU11が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶装置である。制御部5では、CPU11によりROM12に予め格納された各種の制御プログラムが実行される。これにより、制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部5は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよい。また、制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0033】
[定着装置27の構成]
次に、
図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る定着装置27の構成について説明する。ここで、
図3は定着装置27の構成を示す断面図である。
【0034】
図3に示されるように、定着装置27は、定着ベルト41、加熱部42、支持部43、押圧部材44、及び加圧ローラー45を備える。
【0035】
定着ベルト41は、回転可能に設けられる。定着ベルト41は、加熱部42によって加熱される。定着ベルト41は、加熱された状態でシートに接触することにより、当該シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる。
図3に示されるように、定着ベルト41は、無端状である。また、定着ベルト41は、可撓性を有する。定着ベルト41は、基材層と、前記基材層の外周面に設けられた弾性層と、前記弾性層の外周面に設けられた離型層と、を有する。前記基材層は、ステンレス鋼、及びニッケル合金などの金属材料で形成される。前記弾性層は、シリコンゴムなどの材料で形成される。前記離型層は、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)などのフッ素系樹脂材料で形成される。定着ベルト41は、左右方向D3に沿って長尺である。定着ベルト41における左右方向D3のサイズは、画像形成装置100で画像を形成可能なシートの最大サイズに応じて定まる。
【0036】
加圧ローラー45は、回転可能に設けられる。加圧ローラー45は、定着ベルト41の外周面41A(
図3参照)と接触可能な位置に設けられる。具体的に、
図3に示されるように、加圧ローラー45は、定着ベルト41の下側に設けられる。加圧ローラー45は、左右方向D3に沿って長尺である。加圧ローラー45は、軸部45A、及び弾性層45Bを備える。軸部45Aは、金属材料によって円筒状に形成される。弾性層45Bは、弾性を有する材料によって軸部45Aの外周に形成される。軸部45Aは、筐体101の内部に設けられる一対の側板によって回転可能に支持される。加圧ローラー45は、不図示のモーターから供給される回転駆動力を受けて回転方向D5(
図3参照)に回転する。
【0037】
加熱部42は、定着ベルト41を加熱する。また、加熱部42は、定着ベルト41を介して加圧ローラー45を加熱する。
図3に示されるように、加熱部42は、定着ベルト41の内周面41B(
図3参照)の内側であって、定着ベルト41を挟んで加圧ローラー45と対向する位置に設けられる。加熱部42は、左右方向D3に長尺であって、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に亘って延在している。
【0038】
支持部43は、加熱部42を支持する。
図3に示されるように、支持部43は、定着ベルト41の内周面41Bの内側に設けられる。支持部43は、左右方向D3に長尺であって、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に亘って延在している。支持部43の底部には、加熱部42の形状に対応する凹部43Aが形成されている。加熱部42は、凹部43Aに嵌合される。
【0039】
押圧部材44は、支持部43を加圧ローラー45側へ押圧する。
図3に示されるように、押圧部材44は、定着ベルト41の内周面41Bの内側であって、支持部43を挟んで加圧ローラー45と対向する位置に設けられる。押圧部材44は、左右方向D3に長尺であって、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に亘って延在している。押圧部材44における左右方向D3の両端部は、不図示の付勢部材によって加圧ローラー45側へ付勢される。これにより、押圧部材44は、支持部43を加圧ローラー45側へ押圧する。支持部43が加圧ローラー45側へ押圧されることにより、支持部43に支持された加熱部42は、加圧ローラー45側へ押圧される。
【0040】
加熱部42は、押圧部材44によって加圧ローラー45側へ押圧されることにより、定着ベルト41の内周面41Bに圧接する。これにより、定着ベルト41と加圧ローラー45との間に、シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着ニップ部46が形成される。本明細書では、定着ベルト41と加圧ローラー45とが接触する領域を定着ニップ部46と定義する。なお、加熱部42と定着ベルト41の内周面41Bとの間には、フッ素グリスなどの潤滑剤が塗布されている。定着ベルト41は、本発明の定着部材の一例である。また、定着ベルト41は、本発明の回転部材の一例である。また、加圧ローラー45は、本発明の加圧部材の一例である。
【0041】
定着ベルト41は、加熱部42、及び加圧ローラー45によって挟持されている。定着ベルト41は、加圧ローラー45が回転方向D5に回転すると、加圧ローラー45の回転に従動してベルト回転方向D6(
図3参照)に沿って回転する。
【0042】
支持部43は、定着ベルト41の内周面41Bに接触して定着ベルト41の走行を案内する一対のガイド部43B、43Cを備える。一対のガイド部43B、43Cは、支持部43における前後方向D2の両端部に設けられる。定着ベルト41は、一対のガイド部43B、43Cにより、予め定められた走行経路に沿って走行するよう案内される。
【0043】
なお、加圧ローラー45は、加熱部42側へ付勢されていてもよい。この場合、押圧部材44は、前記付勢部材によって付勢されていなくてもよい。
【0044】
ところで、従来の画像形成装置では、当該装置で画像形成可能なシートの最大サイズよりも小さいサイズのシートに対して画像が形成される場合に、定着ベルト41又は加圧ローラー45における当該シートと接触しない非通紙領域が過度に昇温することがある。これに対し、複数のシートサイズに対応する複数の前記非通紙領域を選択的に冷却可能な定着装置が関連技術として知られている。具体的に、この定着装置では、定着ベルト41と当該定着ベルト41を冷却する冷却風の送風口との間に、所定方向に移動可能なシャッターが設けられている。前記シャッターには、複数の前記非通紙領域に対応する複数の開口部が前記所定方向に沿って並んで設けられている。そして、この定着装置では、前記シャッターの前記所定方向への移動によって前記送風口に対向する前記開口部が切り替えられる。これにより、複数の前記非通紙領域に対する選択的な冷却が実現される。
【0045】
しかしながら、上述の関連技術に係る定着装置では、前記シャッターが冷却風の移動方向に直交する平面に沿った平板状に形成される。そのため、当該平面に沿い且つシートの幅方向に直交する方向における前記シャッターの構成が大型化する。
【0046】
これに対し、本発明の実施形態に係る定着装置27では、以下に説明するように、前記非通紙領域を冷却する構成の大型化を抑制することが可能である。
【0047】
加熱部42は、定着ベルト41における予め定められた複数のシートサイズに対応する複数の接触領域R20(
図7参照)を選択的に加熱する。
【0048】
具体的に、加熱部42は、第1シートサイズに対応する接触領域R21(
図7参照)、第2シートサイズに対応する接触領域R22(
図7参照)、及び第3シートサイズに対応する接触領域R23(
図7参照)を選択的に加熱する。
【0049】
ここで、前記第1シートサイズは、画像形成装置100で画像を形成可能なシートのサイズのうち、シート幅方向のサイズが最大のサイズである。前記シート幅方向は、搬送方向D4に直交する方向であって、左右方向D3と平行な方向である。接触領域R21は、定着ベルト41における前記第1シートサイズのシートと接触する領域である。
【0050】
また、前記第2シートサイズは、前記第1シートサイズよりも前記シート幅方向のサイズが小さいサイズである。接触領域R22は、定着ベルト41における前記第2シートサイズのシートと接触する領域である。
【0051】
また、前記第3シートサイズは、前記第2シートサイズよりも前記シート幅方向のサイズが小さいサイズである。接触領域R23は、定着ベルト41における前記第3シートサイズのシートと接触する領域である。
【0052】
また、定着装置27は、
図6に示される冷却部47を備える。
【0053】
[加熱部42、及び冷却部47の構成]
以下、
図2~
図7を参照しつつ、加熱部42、及び冷却部47の構成について説明する。ここで、
図4は加熱部42の構成を示す断面図である。また、
図5は加熱部42の構成を示す図であって、加熱部42を下側から見た図である。また、
図6は冷却部47を含む定着装置27の構成を示す断面図である。また、
図7は加熱部42、定着ベルト41、第1開口部63、及びシャッター部材64の左右方向D3における位置関係を示す図である。
【0054】
図4、及び
図5に示されるように、加熱部42は、基板51、発熱部52、第1電極53、第2電極54、一対の第3電極55A、55B、一対の第4電極56A、56B、保護層57、及びセンサー58を備える。
【0055】
基板51は、左右方向D3に長尺な平板状の部材である。基板51は、耐熱性、電気絶縁性、及び低熱容量性に優れた材料で形成される。例えば、基板51は、アルミナなどのセラミックにより形成される。
【0056】
基板51は、左右方向D3におけるサイズが定着ベルト41よりも大きい。基板51は、左右方向D3における定着ベルト41の両外側に延在するように配置される。そのため、基板51における左右方向D3の両端部は、定着ベルト41から左右方向D3における外側へ突出している。
【0057】
図3、及び
図4に示されるように、基板51の下側の面は、定着ベルト41の内周面41Bに対向する。
図4、及び
図5に示されるように、基板51の下側の面には、発熱部52、第1電極53、第2電極54、一対の第3電極55A、55B、及び一対の第4電極56A、56Bが配置される。また、基板51の下側の面における定着ベルト41の内周面41Bと対向する対向領域は、保護層57(
図4参照)によって覆われる。保護層57は、ガラスなどの電気絶縁性を有する材料により形成される。
【0058】
図3、及び
図4に示されるように、基板51の上側の面は、支持部43の凹部43Aの底面に対向する。
図4に示されるように、基板51の上側の面には、センサー58が配置される。センサー58は、加熱部42の温度に応じた電気信号を出力する。センサー58から出力される電気信号は、制御部5に入力される。制御部5は、センサー58から入力される電気信号に基づいて、加熱部42の駆動を制御する。
【0059】
発熱部52は、左右方向D3に長尺であって、不図示の電源からの給電に応じて発熱する。
【0060】
具体的に、発熱部52は、左右方向D3に沿って並んで配置された複数の発熱体により構成される。
図5では、前記発熱体各々が黒色領域として示されている。前記発熱体各々は、前後方向D2に長尺であって、基板51の下側の面と直交する方向に所定の厚みを有する帯状に形成される。例えば、前記発熱体各々は、銀パラジウム(Ag/Pd)などの材料で形成された抵抗発熱体である。
【0061】
発熱部52は、左右方向D3におけるサイズが定着ベルト41よりも小さい。発熱部52は、基板51の下側の面における前記対向領域の内側に配置される。
【0062】
第1電極53は、発熱部52における前後方向D2の後端部に電気的に接続される。具体的に、
図5に示されるように、第1電極53は、発熱部52を構成する前記発熱体各々の後端部に電気的に接続される。第1電極53は、発熱部52よりも導電性が高い金属材料などの導電体により形成される。第1電極53は、不図示の前記電源に電気的に接続される。
【0063】
第2電極54は、発熱部52における前後方向D2の前端部の一部に電気的に接続される。具体的に、
図5に示されるように、第2電極54は、発熱部52における発熱領域R13に配置された前記発熱体各々の前端部に電気的に接続される。発熱領域R13は、発熱部52における左右方向D3の中央部を含む領域である。また、発熱領域R13は、発熱部52における定着ベルト41の接触領域R23(
図7参照)と対向する領域である。第2電極54は、発熱部52よりも導電性が高い金属材料などの導電体により形成される。第2電極54は、不図示の第3スイッチを介して前記電源に電気的に接続される。前記第3スイッチは、制御部5からの電気信号の入力に応じて、前記電源と第2電極54との間の通電経路を遮断するオフ状態から当該通電経路を導通するオン状態に切り替わる。
【0064】
一対の第3電極55A、55Bは、発熱部52における前後方向D2の前端部の一部に電気的に接続される。具体的に、
図5に示されるように、第3電極55Aは、発熱部52における発熱領域R12に配置された前記発熱体各々の前端部に電気的に接続される。また、第3電極55Bは、発熱部52における発熱領域R14に配置された前記発熱体各々の前端部に電気的に接続される。発熱領域R12は、発熱部52における発熱領域R13の右側の領域である。発熱領域R14は、発熱部52における発熱領域R13の左側の領域である。発熱領域R12、R14は、発熱部52における定着ベルト41の接触領域R22(
図7参照)の左右両端部と対向する領域である。一対の第3電極55A、55Bは、発熱部52よりも導電性が高い金属材料などの導電体により形成される。一対の第3電極55A、55Bは、不図示の第2スイッチを介して前記電源に電気的に接続される。前記第2スイッチは、制御部5からの電気信号の入力に応じて、前記電源と一対の第3電極55A、55Bとの間の通電経路を遮断するオフ状態から当該通電経路を導通するオン状態に切り替わる。
【0065】
一対の第4電極56A、56Bは、発熱部52における前後方向D2の前端部の一部に電気的に接続される。具体的に、
図5に示されるように、第4電極56Aは、発熱部52における発熱領域R11に配置された前記発熱体各々の前端部に電気的に接続される。また、第4電極56Bは、発熱部52における発熱領域R15に配置された前記発熱体各々の前端部に電気的に接続される。発熱領域R11は、発熱部52における発熱領域R12の右側の領域であって、発熱部52の右端部を含む領域である。発熱領域R15は、発熱部52における発熱領域R14の左側の領域であって、発熱部52の左端部を含む領域である。発熱領域R11、R15は、発熱部52における定着ベルト41の接触領域R21(
図7参照)の左右両端部と対向する領域である。一対の第4電極56A、56Bは、発熱部52よりも導電性が高い金属材料などの導電体により形成される。一対の第4電極56A、56Bは、不図示の第1スイッチを介して前記電源に電気的に接続される。前記第1スイッチは、制御部5からの電気信号の入力に応じて、前記電源と一対の第4電極56A、56Bとの間の通電経路を遮断するオフ状態から当該通電経路を導通するオン状態に切り替わる。
【0066】
冷却部47は、定着ベルト41を冷却する。
【0067】
図6に示されるように、冷却部47は、送風ファン61、ダクト62、及びシャッター部材64を備える。また、冷却部47は、
図2に示されるモーター65を備える。
【0068】
送風ファン61は、定着ベルト41の上側に設けられる。送風ファン61は、定着ベルト41へ向けて送風する。例えば、冷却部47は、左右方向D3に沿って並ぶ2つの送風ファン61を備える。
【0069】
ダクト62は、送風ファン61と定着ベルト41との間に設けられる。ダクト62は、上下方向D1に延在しており、送風ファン61から送られる空気を定着ベルト41へ案内する。例えば、冷却部47は、2つの送風ファン61に対応する2つのダクト62を備える。ダクト62各々における送風ファン61による送風方向の下流側の端部には、第1開口部63が設けられる。
【0070】
第1開口部63は、定着ベルト41へ向けて開口する。第1開口部63は、定着ベルト41の幅方向に長尺である。前記幅方向は、定着ベルト41のベルト回転方向D6に直交する方向であって、左右方向D3と平行な方向である。前記幅方向は、前記シート幅方向と同じ方向である。
【0071】
具体的に、第1開口部63は、定着ベルト41における、複数の接触領域R20のうち最大の接触領域R21(
図7参照)の端部から最小の接触領域R23(
図7参照)の内側へ延びる第1特定領域R31(
図7参照)と対向する。
【0072】
例えば、第1特定領域R31は、接触領域R21における端部から、定着ベルト41における第6シートサイズのシートとの接触領域の端部までの領域である。前記第6シートサイズは、画像形成装置100で画像を形成可能なシートのサイズのうち、前記シート幅方向のサイズが最小のサイズである。
【0073】
冷却部47は、2つの第1特定領域R31に対応する2つの第1開口部63を備える。なお、冷却部47は、2つの第1開口部63を有する一つのダクト62を備えていてもよい。この場合、冷却部47に設けられる送風ファン61の数は、一つであってもよい。
【0074】
送風ファン61は、第1開口部63から定着ベルト41へ向かう気流AF1(
図6参照)を発生させる。送風ファン61は、本発明の気流発生部の一例である。
【0075】
シャッター部材64は、第1開口部63と定着ベルト41との間で前記シート幅方向に延びる軸AX1(
図6参照)を中心に回転可能に設けられ、軸AX1を囲む筒状に形成されている。
【0076】
具体的に、シャッター部材64は、軸AX1と同心の円筒状に形成されている。シャッター部材64は、前記シート幅方向に長尺である。シャッター部材64における前記シート幅方向の端部各々には、円筒状に形成された軸部64A(
図7、及び
図8参照)が設けられている。シャッター部材64の一対の軸部64Aは、後述する支持部67A(
図8参照)によって回転可能に支持される。シャッター部材64は、モーター65から供給される回転駆動力を受けて回転方向D7(
図6参照)に回転する。なお、シャッター部材64は、角筒状に形成されていてもよい。
【0077】
シャッター部材64は、回転に応じて気流AF1の通過を許容する許容部の前記シート幅方向における位置を切り替える。
【0078】
具体的に、シャッター部材64は、接触領域R20(
図7参照)ごとに設けられ、軸AX1に直交する径方向の両側で軸AX1を挟んで対向しており、シャッター部材64の回転により第1開口部63の開口方向に沿って並ぶ場合に接触領域R20の端部から当該接触領域R20の内側へ延びる第2特定領域R40(
図7参照)への気流AF1の移動を許容する前記許容部として機能する一対の第2開口部66(71、72、73)(
図7参照)を有する。
【0079】
一対の第2開口部71(
図7参照)は、接触領域R21に対応して設けられる。一対の第2開口部71は、シャッター部材64の回転により第1開口部63の開口方向に沿って並ぶ場合に、接触領域R21の端部から当該接触領域R21の内側へ延びる第2特定領域R41(
図7参照)への気流AF1の移動を許容する前記許容部として機能する。
【0080】
図7に示されるように、第2特定領域R41は、接触領域R21の両端部に位置する。第2特定領域R41は、接触領域R21の端部から接触領域R21の内側であって接触領域R22よりも外側の位置までの領域である。例えば、第2特定領域R41は、接触領域R21の端部から定着ベルト41における第4シートサイズのシートとの接触領域の端部までの領域である。前記第4シートサイズは、前記第1シートサイズよりも前記シート幅方向のサイズが小さく、前記第2シートサイズよりも前記シート幅方向のサイズが大きいサイズである。
【0081】
図7に示されるように、一対の第2開口部71は、第2特定領域R41各々に対応して設けられる。一対の第2開口部71は、シャッター部材64の周部において、軸AX1を挟んで対向して設けられる。一対の第2開口部71は、シャッター部材64における軸AX1に直交する径方向の一方側に配置された第2開口部71Aと、他方側に配置された第2開口部71Bとを含む。第2開口部71A、及び第2開口部71Bは、それぞれ矩形状に形成される。具体的に、第2開口部71A、及び第2開口部71Bは、それぞれ第2特定領域R41と同じ幅(前記シート幅方向の長さ)を有する矩形状に形成される。第2開口部71A、及び第2開口部71Bは、シャッター部材64の回転により第1開口部63の開口方向に沿って並んで配置される場合に、第2特定領域R41と対向する。
【0082】
一対の第2開口部72(
図7参照)は、接触領域R22に対応して設けられる。一対の第2開口部72は、シャッター部材64の回転により第1開口部63の開口方向に沿って並ぶ場合に、接触領域R22の端部から当該接触領域R22の内側へ延びる第2特定領域R42(
図7参照)への気流AF1の移動を許容する前記許容部として機能する。
【0083】
図7に示されるように、第2特定領域R42は、接触領域R22の両端部に位置する。第2特定領域R42は、接触領域R22の端部から接触領域R22の内側であって接触領域R23よりも外側の位置までの領域である。例えば、第2特定領域R42は、接触領域R22の端部から定着ベルト41における第5シートサイズのシートとの接触領域の端部までの領域である。前記第5シートサイズは、前記第2シートサイズよりも前記シート幅方向のサイズが小さく、前記第3シートサイズよりも前記シート幅方向のサイズが大きいサイズである。
【0084】
図7に示されるように、一対の第2開口部72は、第2特定領域R42各々に対応して設けられる。一対の第2開口部72は、シャッター部材64の周部において、軸AX1を挟んで対向して設けられる。一対の第2開口部72は、一対の第2開口部71の対向方向とは非平行な方向に対向して設けられる。一対の第2開口部72は、シャッター部材64における軸AX1に直交する径方向の一方側に配置された第2開口部72Aと、他方側に配置された第2開口部72Bとを含む。第2開口部72A、及び第2開口部72Bは、それぞれ矩形状に形成される。具体的に、第2開口部72A、及び第2開口部72Bは、それぞれ第2特定領域R42と同じ幅(前記シート幅方向の長さ)を有する矩形状に形成される。第2開口部72A、及び第2開口部72Bは、シャッター部材64の回転により第1開口部63の開口方向に沿って並んで配置される場合に、第2特定領域R42と対向する。
【0085】
一対の第2開口部73(
図7参照)は、接触領域R23に対応して設けられる。一対の第2開口部73は、シャッター部材64の回転により第1開口部63の開口方向に沿って並ぶ場合に、接触領域R23の端部から当該接触領域R23の内側へ延びる第2特定領域R43(
図7参照)への気流AF1の移動を許容する前記許容部として機能する。
【0086】
図7に示されるように、第2特定領域R43は、接触領域R23の両端部に位置する。第2特定領域R43は、接触領域R23の端部から接触領域R23の内側へ延びる領域である。例えば、第2特定領域R43は、接触領域R23の端部から定着ベルト41における前記第6シートサイズのシートとの接触領域の端部までの領域である。この場合、第2特定領域R43は、接触領域R23の端部から第1特定領域R31の端部までの領域である(
図7参照)。
【0087】
図7に示されるように、一対の第2開口部73は、第2特定領域R43各々に対応して設けられる。一対の第2開口部73は、シャッター部材64の周部において、軸AX1を挟んで対向して設けられる。一対の第2開口部73は、一対の第2開口部71の対向方向、及び一対の第2開口部72の対向方向の両方と非平行な方向に対向して設けられる。一対の第2開口部73は、シャッター部材64における軸AX1に直交する径方向の一方側に配置された第2開口部73Aと、他方側に配置された第2開口部73Bとを含む。第2開口部73A、及び第2開口部73Bは、それぞれ矩形状に形成される。具体的に、第2開口部73A、及び第2開口部73Bは、それぞれ第2特定領域R43と同じ幅(前記シート幅方向の長さ)を有する矩形状に形成される。第2開口部73A、及び第2開口部73Bは、シャッター部材64の回転により第1開口部63の開口方向に沿って並んで配置される場合に、第2特定領域R43と対向する。
【0088】
シャッター部材64は、回転方向D7への回転に応じて、接触領域R20各々に対応する一対の第2開口部66のうち、第1開口部63の開口方向に沿って並んで配置される一対の第2開口部66、つまり前記許容部を切り替える。
【0089】
モーター65は、不図示の前記電源からの給電に応じて、シャッター部材64を回転方向D7へ回転させる。
【0090】
ここで、シャッター部材64は、
図6に示される規制ダクト67(本発明の規制部の一例)を備える。
【0091】
規制ダクト67は、シャッター部材64の内部から前記シート幅方向と直交し第1開口部63の開口方向と交差する方向への空気の流出を規制する。
【0092】
例えば、規制ダクト67は、シャッター部材64の内部において、第1開口部63の開口方向に沿って延びるダクトである。規制ダクト67は、前記シート幅方向に長尺である。規制ダクト67における前記シート幅方向の端部各々には、円柱状に形成された支持部67A(
図8参照)が設けられている。支持部67Aは、シャッター部材64の軸部64Aの内部を通って前記シート幅方向におけるシャッター部材64の外側へ突出する。支持部67Aの突出端部は、筐体101の内部に設けられる一対の側板に固定される。シャッター部材64の軸部64Aは、支持部67Aによって回転可能に支持される。
【0093】
規制ダクト67を設けることにより、第1開口部63の開口方向に沿って並んで配置される一対の第2開口部66とは異なる一対の第2開口部66からの空気の流出が規制される。そのため、第1開口部63の開口方向に沿って並んで配置される一対の第2開口部66から吹き出される空気の風圧の低下を抑制することが可能である。
【0094】
また、シャッター部材64は、
図8に示されるルーバー68を備える。
【0095】
ルーバー68は、一対の第2開口部66の両方に設けられる。また、ルーバー68は、シャッター部材64に設けられる6組の一対の第2開口部66の全部に設けられる。
【0096】
ルーバー68は、気流AF1を前記シート幅方向におけるいずれか一方側へ案内する。
【0097】
ここで、
図8、及び
図9を参照しつつ、ルーバー68について説明する。
図8は、一対の第2開口部71が第1開口部63の開口方向に沿って並んで配置された状態のシャッター部材64を示す断面図である。また、
図9は、
図8に示されるシャッター部材64が180度回転された状態を示す図である。なお、
図8、及び
図9では、ルーバー68が太線によって示されている。
【0098】
図8に示されるように、第2開口部71Aにおいて、ルーバー68は、軸AX1に直交する径方向(一対の第2開口部71の対向方向)に対して軸AX1の長手方向の一方側に傾斜した姿勢で配置される。また、第2開口部71Bにおいて、ルーバー68は、第2開口部71Aに設けられたルーバー68と同方向側に傾斜した姿勢で配置される。ルーバー68の傾斜角度は、手動で調整可能であってもよいし、調整不能であってもよい。
【0099】
ここで、
図8、及び
図9に示されるように、シャッター部材64では、接触領域R21(
図7参照)の両端部に対応する2つの第2開口部71Bに設けられる2つのルーバー68が、同じ方向に傾斜するように設けられている。また、
図8、及び
図9に示されるように、シャッター部材64では、接触領域R21(
図7参照)の両端部に対応する2つの第2開口部71Aに設けられる2つのルーバー68が、同じ方向に傾斜するように設けられている。これにより、シャッター部材64を180度回転させることで、定着ベルト41における気流AF1による冷却位置を左右にシフトさせることが可能である(
図8、及び
図9参照)。
【0100】
なお、
図10、及び
図11に示されるように、シャッター部材64において、接触領域R21(
図7参照)の両端部に対応する2つの第2開口部71Bに設けられる2つのルーバー68が、互いに異なる方向に傾斜するように設けられてもよい。また、
図10、及び
図11に示されるように、シャッター部材64において、接触領域R21(
図7参照)の両端部に対応する2つの第2開口部71Aに設けられる2つのルーバー68が、互いに異なる方向に傾斜するように設けられてもよい。これにより、シャッター部材64を180度回転させることで、定着ベルト41における気流AF1による冷却位置を、前記シート幅方向における内側に寄せたり(
図10参照)、外側に広げたり(
図11参照)することが可能である。
【0101】
なお、ルーバー68は、一対の第2開口部66のいずれか一方のみに設けられてもよい。また、ルーバー68は、気流AF1の移動方向を変えることなく直進させてもよい。
【0102】
[制御部5の動作]
次に、画像形成装置100において、シートに画像を形成する画像形成処理が実行される場合の制御部5の動作について説明する。
【0103】
制御部5は、前記第1シートサイズのシートに画像が形成される場合に、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチに電気信号を入力して、加熱部42を駆動させる。これにより、発熱部52の発熱領域R11、R12、R13、R14、R15が発熱し、定着ベルト41における前記第1シートサイズのシートと接触する接触領域R21が加熱される。なお、前記第1シートサイズのシートに画像が形成される場合は、送風ファン61は駆動されない。
【0104】
また、制御部5は、前記第2シートサイズのシートに画像が形成される場合に、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチに電気信号を入力して、加熱部42を駆動させる。これにより、発熱部52の発熱領域R12、R13、R14が発熱し、定着ベルト41における前記第2シートサイズのシートと接触する接触領域R22が加熱される。従って、定着ベルト41における前記第2シートサイズのシートと接触しない前記非通紙領域の昇温が抑制される。なお、前記第2シートサイズのシートに画像が形成される場合は、送風ファン61は駆動されない。
【0105】
また、制御部5は、前記第3シートサイズのシートに画像が形成される場合に、前記第3スイッチに電気信号を入力して、加熱部42を駆動させる。これにより、発熱部52の発熱領域R13が発熱し、定着ベルト41における前記第3シートサイズのシートと接触する接触領域R23が加熱される。従って、定着ベルト41における前記第3シートサイズのシートと接触しない前記非通紙領域の昇温が抑制される。なお、前記第3シートサイズのシートに画像が形成される場合は、送風ファン61は駆動されない。
【0106】
また、制御部5は、前記第4シートサイズのシートに画像が形成される場合に、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチに電気信号を入力して、加熱部42を駆動させる。また、制御部5は、モーター65を駆動させてシャッター部材64を回転させることにより、一対の第2開口部71を、第1開口部63の開口方向に沿って並ぶように配置する。また、制御部5は、2つの送風ファン61を駆動させる。これにより、発熱部52の発熱領域R11、R12、R13、R14、R15が発熱し、定着ベルト41における接触領域R21が加熱される。また、定着ベルト41における第2特定領域R41、つまり接触領域R21における前記第4シートサイズのシートが接触しない前記非通紙領域へ向けて送風が行われる。従って、当該非通紙領域の昇温が抑制される。
【0107】
また、制御部5は、前記第5シートサイズのシートに画像が形成される場合に、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチに電気信号を入力して、加熱部42を駆動させる。また、制御部5は、モーター65を駆動させてシャッター部材64を回転させることにより、一対の第2開口部72を、第1開口部63の開口方向に沿って並ぶように配置する。また、制御部5は、2つの送風ファン61を駆動させる。これにより、発熱部52の発熱領域R12、R13、R14が発熱し、定着ベルト41における接触領域R22が加熱される。また、定着ベルト41における第2特定領域R42、つまり接触領域R22における前記第5シートサイズのシートが接触しない前記非通紙領域へ向けて送風が行われる。従って、当該非通紙領域の昇温が抑制される。
【0108】
また、制御部5は、前記第6シートサイズのシートに画像が形成される場合に、前記第3スイッチに電気信号を入力して、加熱部42を駆動させる。また、制御部5は、モーター65を駆動させてシャッター部材64を回転させることにより、一対の第2開口部73を、第1開口部63の開口方向に沿って並ぶように配置する。また、制御部5は、2つの送風ファン61を駆動させる。これにより、発熱部52の発熱領域R13が発熱し、定着ベルト41における接触領域R23が加熱される。また、定着ベルト41における第2特定領域R43、つまり接触領域R23における前記第6シートサイズのシートが接触しない前記非通紙領域へ向けて送風が行われる。従って、当該非通紙領域の昇温が抑制される。
【0109】
このように、画像形成装置100では、シャッター部材64が軸AX1を囲む筒状に形成されている。そのため、シャッター部材64が第1開口部63の開口方向に直交する平面に沿った平板状に形成される構成と比較して、当該平面に沿い且つ前記シート幅方向に直交する方向におけるシャッター部材64の構成の大型化を抑制可能である。従って、画像形成装置100では、非通紙領域を冷却する構成の大型化を抑制することが可能である。
【0110】
[変形例]
なお、規制ダクト67は、
図12に示されるように、シャッター部材64の外周を覆うように、シャッター部材64の外周に沿って形成されたダクトであってもよい。また、規制ダクト67は、シャッター部材64の内周に沿って形成されたダクトであってもよい。
【0111】
また、ルーバー68は、規制ダクト67における第1開口部63の開口方向の下流側の開口部に設けられてもよい。
【0112】
また、シャッター部材64は、軸AX1に直交する径方向の両側において軸AX1に対して2回回転対称となる位置関係で設けられ、それぞれがシャッター部材64の周面に沿って前記シート幅方向と斜めに交差する方向へ延出する一対の第3開口部81を備えていてもよい(
図13参照)。換言すると、一対の第3開口部81は、シャッター部材64における軸AX1に直交する径方向の両側において軸AX1に対して2回回転対称となるように設けられてもよい。この場合、ルーバー68は、一対の第3開口部81のいずれか一方又は両方に設けられていればよい。
【0113】
また、加熱部42は、定着ベルト41における複数の接触領域R20(
図7参照)を選択的に加熱できなくてもよい。つまり、加熱部42は、常に接触領域R21を加熱するように構成されていてもよい。
【0114】
この場合、シャッター部材64は、回転に応じて気流AF1の通過を許容する前記許容部の前記シート幅方向におけるサイズを切り替えるものであればよい。
【0115】
例えば、接触領域R20各々に対応する一対の第2開口部66(71、72、73)(
図7参照)は、
図14に示されるように変形されればよい。つまり、一対の第2開口部72及び一対の第2開口部73は、第2特定領域R41(
図7参照)にも送風可能となるように、前記シート幅方向におけるサイズが拡張されればよい。
【0116】
また、
図13に示される一対の第3開口部81は、
図15に示されるように変形されればよい。
【0117】
また、第1開口部63は、複数の接触領域R20のうち最大の接触領域R21(
図7参照)と対向していてもよい。つまり、第1開口部63は一つであってもよい。
【0118】
また、加熱部42は、定着ベルト41を定着ベルト41の外側から加熱するものであってもよい。また定着ベルト41に替えて、ローラー状の定着部材が用いられてもよい。
【0119】
また、冷却部47は、定着ベルト41に替えて、加圧ローラー45を冷却してもよい。この場合、加圧ローラー45は、本発明の回転部材の他の一例である。
【0120】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0121】
<付記1>
回転可能に設けられる定着部材と、回転可能に設けられ、前記定着部材との間でシートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着ニップ部を形成する加圧部材と、前記定着部材を加熱する加熱部と、前記シートの幅方向に長尺であって、前記定着部材及び前記加圧部材のいずれか一方の回転部材へ向けて開口する第1開口部と、前記第1開口部から前記回転部材へ向かう気流を発生させる気流発生部と、前記第1開口部と前記回転部材との間で前記幅方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられ、前記軸を囲む筒状に形成されており、回転に応じて前記気流の通過を許容する許容部の前記幅方向における位置又は前記幅方向におけるサイズを切り替えるシャッター部材と、を備える定着装置。
【0122】
<付記2>
前記回転部材は、前記定着部材である、付記1に記載の定着装置。
【0123】
<付記3>
前記加熱部は、前記定着部材における予め定められた複数のシートサイズに対応する複数の接触領域を選択的に加熱し、前記シャッター部材は、回転に応じて前記許容部の前記幅方向における位置を切り替える、付記2に記載の定着装置。
【0124】
<付記4>
前記シャッター部材は、前記接触領域ごとに設けられ、前記軸に直交する径方向の両側で前記軸を挟んで対向しており、前記シャッター部材の回転により前記第1開口部の開口方向に沿って並ぶ場合に前記接触領域の端部から当該接触領域の内側へ延びる特定領域への前記気流の移動を許容する前記許容部として機能する一対の第2開口部を有する、付記3に記載の定着装置。
【0125】
<付記5>
前記一対の第2開口部のいずれか一方又は両方は、前記気流を前記幅方向におけるいずれか一方側へ案内するルーバーを有する、付記4に記載の定着装置。
【0126】
<付記6>
前記シャッター部材は、前記軸に直交する径方向の両側において前記軸に対して2回回転対称となる位置関係で設けられ、それぞれが前記シャッター部材の周面に沿って前記幅方向と斜めに交差する方向へ延出する一対の第3開口部を有する、付記3に記載の定着装置。
【0127】
<付記7>
前記一対の第3開口部のいずれか一方又は両方は、前記気流を前記幅方向におけるいずれか一方側へ案内するルーバーを有する、付記6に記載の定着装置。
【0128】
<付記8>
前記シャッター部材の内部から前記幅方向と直交し前記第1開口部の開口方向と交差する方向への空気の流出を規制する規制部を備える、付記1~7のいずれかに記載の定着装置。
【0129】
<付記9>
付記1~8のいずれかに記載の定着装置を用いてシートに画像を形成する、画像形成装置。
【符号の説明】
【0130】
1 画像形成部
2 シート搬送部
5 制御部
21 感光体ドラム
22 帯電装置
23 光走査装置
24 現像装置
25 転写ローラー
26 クリーニング装置
27 定着装置
41 定着ベルト
42 加熱部
43 支持部
44 押圧部材
45 加圧ローラー
46 定着ニップ部
47 冷却部
61 送風ファン
62 ダクト
63 第1開口部
64 シャッター部材
66 一対の第2開口部
67 規制ダクト
68 ルーバー
100 画像形成装置