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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164852
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】画像形成装置、予測方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241121BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241121BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/14
G03G15/20 510
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080498
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 史晃
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA02
2H033BB01
2H033BB28
2H033CA07
2H033CA28
2H033CA30
2H270LA25
2H270LA28
2H270LA70
2H270MA35
2H270MB37
2H270MB43
2H270MC13
2H270MC22
2H270MC28
2H270MC30
2H270MC39
2H270MC44
2H270MD02
2H270MD08
2H270MD13
2H270MF16
2H270MF17
2H270MH05
2H270MH06
2H270NC07
2H270NC08
2H270NC16
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】定着部材を加熱する加熱処理の実行時間の予測精度を向上可能な画像形成装置、及び予測方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置100は、商用電源200からの交流電圧の供給に応じてトナー像の定着に用いられる定着ローラーを加熱するヒーター37と、画像形成装置100が画像形成不能な第1状態から画像形成可能な第2状態に移行する場合に、ヒーター37を用いて前記定着ローラーを目標温度に加熱する加熱処理を実行する準備処理部51と、商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値を取得する取得処理部53と、取得処理部53によって取得される前記交流電圧の電圧値に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する予測処理部54と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からの交流電圧の供給に応じてトナー像の定着に用いられる定着部材を加熱するヒーターと、
自装置が画像形成不能な第1状態から画像形成可能な第2状態に移行する場合に、前記ヒーターを用いて前記定着部材を予め定められた目標温度に加熱する加熱処理を実行する準備処理部と、
前記商用電源から供給される前記交流電圧の電圧値を取得する取得処理部と、
前記取得処理部によって取得される前記交流電圧の電圧値に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する予測処理部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記準備処理部は、前記画像形成装置が前記第1状態から前記第2状態に移行する場合に、前記加熱処理を含む複数の準備処理を実行し、
前記予測処理部は、前記準備処理各々の実行時間を予測し、
前記画像形成装置は、
前記予測処理部による予測結果に基づいて、前記準備処理部によって実行される前記準備処理各々の開始タイミングを制御するタイミング制御部を備える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の前記準備処理は、前記画像形成装置にオプション機器が装着されている場合に実行される当該オプション機器を起動させる第1起動処理を含み、
前記画像形成装置は、前記第1起動処理の実行中に前記第1起動処理の消費電力に応じて前記ヒーターへの供給電力を制限する制限処理部を備え、
前記予測処理部は、前記画像形成装置に前記オプション機器が装着されている場合に、前記取得処理部によって取得される前記交流電圧の電圧値及び前記制限処理部によって制限された前記ヒーターへの供給電力に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記予測処理部は、前記タイミング制御部による制御結果に基づいて特定される前記加熱処理の実行期間における前記第1起動処理が並行して実行されない特定実行期間の長さに応じて前記加熱処理の実行時間を修正し、
前記タイミング制御部は、前記予測処理部による前記加熱処理の実行時間の修正結果に基づいて、前記加熱処理の開始タイミングを修正する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数の前記準備処理は、前記トナー像を形成する像形成部を起動させる第2起動処理と、前記第2起動処理後に実行される前記像形成部の動作条件を調整する調整処理とを含み、
前記タイミング制御部は、前記第1起動処理及び前記調整処理の両方が実行される場合に、前記第2起動処理を最初に実行させ、前記第2起動処理の開始タイミングに基づいて前記第1起動処理の開始タイミングを制御し、前記調整処理の終了タイミングに基づいて前記加熱処理の開始タイミングを制御し、
前記予測処理部は、前記タイミング制御部による制御結果に基づいて特定される前記加熱処理の実行期間における前記第1起動処理が並行して実行されない特定実行期間の長さに応じて前記加熱処理の実行時間を修正し、
前記タイミング制御部は、前記予測処理部による前記加熱処理の実行時間の修正結果に基づいて、前記加熱処理の開始タイミングを修正する、
請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
商用電源からの交流電圧の供給に応じてトナー像の定着に用いられる定着部材を加熱するヒーターを備える画像形成装置で実行される予測方法であって、
前記画像形成装置が画像形成不能な第1状態から画像形成可能な第2状態に移行する場合に、前記ヒーターを用いて前記定着部材を予め定められた目標温度に加熱する加熱処理を実行する準備ステップと、
前記商用電源から供給される前記交流電圧の電圧値を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得される前記交流電圧の電圧値に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する予測ステップと、
を含む予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置で実行される予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、当該装置が画像形成不能な状態から画像形成可能な状態に移行する場合に、複数の準備処理が並行して実行される。例えば、複数の前記準備処理には、定着ローラーなどの定着部材の温度が予め定められた目標温度に達するまで当該定着部材を加熱する加熱処理、及びポリゴンミラーの回転速度が予め定められた目標速度に達するまで当該ポリゴンミラーを加速させる加速処理などが含まれる。
【0003】
また、無駄な電力消費を抑制するために、前記準備処理各々の実行時間の予測値に基づいて、前記準備処理各々の終了タイミングが一致するように、前記準備処理各々の開始タイミングを制御する画像形成装置が関連技術として知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-9077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の関連技術に係る画像形成装置では、前記定着部材を加熱するヒーターに供給される電力の変動が考慮されておらず、前記加熱処理の実行時間を精度よく予測することができない。
【0006】
本発明の目的は、定着部材を加熱する加熱処理の実行時間の予測精度を向上可能な画像形成装置、及び予測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、ヒーターと、準備処理部と、取得処理部と、予測処理部とを備える。前記ヒーターは、商用電源からの交流電圧の供給に応じてトナー像の定着に用いられる定着部材を加熱する。前記準備処理部は、自装置が画像形成不能な第1状態から画像形成可能な第2状態に移行する場合に、前記ヒーターを用いて前記定着部材を予め定められた目標温度に加熱する加熱処理を実行する。前記取得処理部は、前記商用電源から供給される前記交流電圧の電圧値を取得する。前記予測処理部は、前記取得処理部によって取得される前記交流電圧の電圧値に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する。
【0008】
本発明の他の局面に係る予測方法は、商用電源からの交流電圧の供給に応じてトナー像の定着に用いられる定着部材を加熱するヒーターを備える画像形成装置で実行され、準備ステップと、取得ステップと、予測ステップとを含む。前記準備ステップでは、前記画像形成装置が画像形成不能な第1状態から画像形成可能な第2状態に移行する場合に、前記ヒーターを用いて前記定着部材を予め定められた目標温度に加熱する加熱処理が実行される。前記取得ステップでは、前記商用電源から供給される前記交流電圧の電圧値が取得される。前記予測ステップでは、前記取得ステップによって取得される前記交流電圧の電圧値に基づいて、前記加熱処理の実行時間が予測される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定着部材を加熱する加熱処理の実行時間の予測精度を向上可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される状態移行処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される複数の準備処理の実行スケジュールの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される複数の準備処理の実行スケジュールの一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される複数の準備処理の実行スケジュールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置100の構成]
まず、図1、及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置100の構成を示す断面図である。なお、図2では、画像形成装置100が破線によって示されている。
【0013】
画像形成装置100は、電子写真方式でシートに画像を形成するプリント機能を有する。具体的に、画像形成装置100は、前記プリント機能を含む複数の機能を有する複合機である。なお、画像形成装置100は、前記プリント機能を有するプリンター、ファクス装置、又はコピー機などであってもよい。
【0014】
図1、及び図2に示されるように、画像形成装置100は、ADF(Auto Document Feeder)1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、後処理装置5、操作表示部6、記憶部7、及び制御部8を備える。
【0015】
ADF1は、画像読取部2によって画像が読み取られる原稿を搬送する。ADF1は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備える。
【0016】
画像読取部2は、原稿から画像を読み取るスキャン機能を実現する。画像読取部2は、原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)を備える。画像読取部2は、ADF1によって搬送される原稿から画像を読み取り、読み取った画像を示す画像データを出力する。また、画像読取部2は、前記原稿台に載置された原稿から画像を読み取り、読み取った画像を示す画像データを出力する。
【0017】
画像形成部3は、前記プリント機能を実現する。
【0018】
給紙部4は、画像形成部3にシートを供給する。
【0019】
後処理装置5は、画像形成部3によって画像が形成されたシートに対して予め定められた後処理を実行する。例えば、前記後処理は、ステープル針を用いてシート束を綴じるステープル処理を含む。後処理装置5は、画像形成部3の排紙トレイ28に後付けで装着される(図1参照)。後処理装置5は、インナータイプと呼ばれる種類の後処理装置である。なお、後処理装置5は、画像形成装置100が設置される設置面において画像形成装置100に隣接して設けられる、フロアタイプ、又はサドルタイプと呼ばれる種類の後処理装置であってもよい。後処理装置5は、本発明のオプション機器の一例である。なお、本発明のオプション機器は、画像形成装置100に後付けで装着される給紙装置などであってもよい。
【0020】
操作表示部6は、画像形成装置100のユーザーインターフェイスである。操作表示部6は、表示部、及び操作部を備える。前記表示部は、制御部8からの制御指示に応じて各種の情報を表示する。例えば、前記表示部は、液晶ディスプレーのような表示装置である。前記操作部は、ユーザーの操作に応じて制御部8に各種の情報を入力する。例えば、前記操作部は、タッチパネルのような操作装置である。
【0021】
記憶部7は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部7は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。
【0022】
制御部8は、画像形成装置100を統括的に制御する。図2に示されるように、制御部8は、CPU11、ROM12、及びRAM13を備える。CPU11は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM12は、CPU11に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM13は、CPU11が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性、又は不揮発性の記憶装置である。制御部8では、CPU11によりROM12に予め格納された各種の制御プログラムが実行される。これにより、制御部8は、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部8は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものでもよい。また、制御部8は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部でもよい。
【0023】
[画像形成部3及び給紙部4の構成]
次に、図1、及び図2を参照しつつ、画像形成部3、及び給紙部4の構成について説明する。
【0024】
図1に示されるように、画像形成部3は、感光体ドラム21、帯電装置22、光走査装置23、現像装置24、転写ローラー25、クリーニング装置26、定着装置27、及び排紙トレイ28を備える。また、画像形成部3は、図2に示される温湿度センサー39を備える。
【0025】
感光体ドラム21は、画像形成装置100の筐体によって回転可能に支持されている。感光体ドラム21は、不図示のモーターから伝達される回転駆動力を受けて、図1に示される矢印方向に回転する。
【0026】
帯電装置22は、感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0027】
光走査装置23は、帯電装置22によって帯電された感光体ドラム21の表面へ向けて、画像データに基づく光を射出する。光走査装置23によって、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。
【0028】
光走査装置23は、不図示のポリゴンミラーを備える。また、光走査装置23は、図2に示されるポリゴンモーター31、及び速度センサー32を備える。前記ポリゴンミラーは、光走査装置23の内部において回転可能に設けられる。ポリゴンモーター31は、前記ポリゴンミラーを回転させる。速度センサー32は、前記ポリゴンミラーの回転速度を検知する。速度センサー32は、制御部8によるポリゴンモーター31の駆動制御に用いられる。
【0029】
現像装置24は、トナーを含む現像剤を用いて、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像する。現像装置24によって、感光体ドラム21の表面にトナー像が形成される。図1に示されるように、現像装置24には、トナーコンテナ33が接続されている。トナーコンテナ33は、現像装置24に供給されるトナーを収容する。
【0030】
現像装置24は、図2に示されるトナーセンサー34を備える。トナーセンサー34は、現像装置24の内部に収容されたトナーの量を検知する。トナーセンサー34は、制御部8によるトナーコンテナ33から現像装置24へのトナーの供給の制御に用いられる。
【0031】
転写ローラー25は、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像を、給紙部4によって搬送されるシートに転写する。
【0032】
クリーニング装置26は、転写ローラー25によってトナー像が転写された後の感光体ドラム21の表面を清掃する。
【0033】
感光体ドラム21、帯電装置22、光走査装置23、現像装置24、転写ローラー25、及びクリーニング装置26は、トナー像を形成する像形成部20(図1参照)を構成する。
【0034】
定着装置27は、シートに転写されたトナー像を加熱して当該トナー像をシートに定着させる。図1に示されるように、定着装置27は、定着ローラー35、及び加圧ローラー36を備える。定着ローラー35、及び加圧ローラー36は、トナー像が転写されたシートを挟持搬送する定着ニップ部を形成する。
【0035】
定着装置27は、図2に示されるヒーター37、及び温度センサー38を備える。ヒーター37は、商用電源200(図2参照)からの交流電圧の供給に応じてトナー像の定着に用いられる定着ローラー35(本発明の定着部材の一例)を加熱する。温度センサー38は、定着ローラー35の温度を検知する。温度センサー38は、制御部8によるヒーター37の駆動制御に用いられる。
【0036】
排紙トレイ28には、後処理装置5が装着される。なお、後処理装置5が装着されていない状態の排紙トレイ28には、定着装置27によってトナー像が定着したシートが排出される。
【0037】
温湿度センサー39は、画像形成装置100の筐体内部の温湿度を検知する。
【0038】
図1に示されるように、給紙部4は、給紙カセット41、シート搬送路42、給紙ユニット43、レジストローラー対44、及び排紙ローラー対45を備える。
【0039】
給紙カセット41は、画像形成部3によって画像が形成されるシートを収容する。例えば、給紙カセット41には、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート部材が収容される。給紙カセット41は、内部に収容された複数枚のシートを持ち上げるリフト板を有する。
【0040】
シート搬送路42は、給紙カセット41から転写ローラー25、及び定着装置27を経由して排紙トレイ28へ至るシートの移動通路である。シート搬送路42には、レジストローラー対44、及び排紙ローラー対45を含む複数のローラー対が設けられている。シート搬送路42では、給紙カセット41から搬出されたシートが当該複数のローラー対によって排紙トレイ28へ向かう方向へ搬送される。シート搬送路42は、画像形成装置100の筐体内に設けられた一対の搬送ガイド部材によって形成される。
【0041】
給紙ユニット43は、給紙カセット41に収容されたシートを一枚ずつシート搬送路42へ送り出す。給紙ユニット43は、ピックアップローラー、給紙ローラー、及びリタードローラーを備える。前記ピックアップローラーは、給紙カセット41の前記リフト板によって持ち上げられた複数枚のシートのうち、最上層のシートの上面に接触して回転することで、当該シートを前記給紙ローラーへ送り出す。前記給紙ローラーは、前記ピックアップローラーによって送り出されたシートの上面に接触して回転することで、当該シートをシート搬送路42へ送り出す。前記リタードローラーは、前記給紙ローラーの下側から前記給紙ローラーへ向けて付勢されて設けられる。前記リタードローラーは、前記ピックアップローラーによって複数枚のシートが重なり合って送り出された場合に、その重なり合う複数枚のシートから最上層以外のシートを分離する。
【0042】
レジストローラー対44は、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像が感光体ドラム21の回転によって転写ローラー25による転写位置に搬送されるタイミングに合わせて、シートを当該転写位置へ搬送する。
【0043】
排紙ローラー対45は、定着装置27によってトナー像が定着されたシートを後処理装置5に供給、又は排紙トレイ28に排出する。
【0044】
画像形成装置100では、画像形成装置100の動作状態が画像形成不能な第1状態から画像形成可能な第2状態に移行する場合に、複数の準備処理が並行して実行される。複数の前記準備処理の全てが終了した場合に、画像形成装置100の動作状態が前記第2状態に移行する。
【0045】
例えば、複数の前記準備処理には、加熱処理、像形成部起動処理(本発明の第2起動処理の一例)、後処理装置起動処理(本発明の第1起動処理の一例)、及びキャリブレーション処理(本発明の調整処理の一例)が含まれる。
【0046】
前記加熱処理は、ヒーター37を用いて定着ローラー35を予め定められた目標温度に加熱する処理である。
【0047】
前記像形成部起動処理は、像形成部20(図1参照)を起動させる処理である。具体的に、前記像形成部起動処理は、加速処理を含む。前記加速処理は、前記ポリゴンミラーの回転速度が予め定められた目標速度に達するまで当該ポリゴンミラーを加速させる処理である。なお、前記像形成部起動処理は、現像装置24におけるトナーの収容量が予め定められた基準量に達するまでトナーコンテナ33のトナーを現像装置24に供給するトナー供給処理を含んでいてもよい。また、前記像形成部起動処理は、現像装置24に収容された前記現像剤を所定時間撹拌する現像剤撹拌処理を含んでいてもよい。
【0048】
前記後処理装置起動処理は、後処理装置5を起動させる処理である。前記後処理装置起動処理は、画像形成装置100に後処理装置5が装着されている場合に実行される。
【0049】
前記キャリブレーション処理は、像形成部20(図1参照)の動作条件を調整する処理である。前記キャリブレーション処理は、前記像形成部起動処理の後に実行される。例えば、前記キャリブレーション処理では、感光体ドラム21に形成される予め定められた検査用トナー像のトナー濃度に基づいて、現像装置24に含まれる現像ローラーに印加される現像バイアス電圧などの像形成部20の動作条件が調整される。画像形成装置100では、前記キャリブレーション処理が実行される場合に、連続して実行される前記像形成部起動処理、及び前記キャリブレーション処理が一つの前記準備処理として扱われる。
【0050】
なお、複数の前記準備処理には、給紙カセット41に収容されたシートをレジストローラー対44まで搬送する一次給紙処理が含まれてもよい。
【0051】
ところで、無駄な電力消費を抑制するために、前記準備処理各々の実行時間の予測値に基づいて、前記準備処理各々の終了タイミングが一致するように、前記準備処理各々の開始タイミングを制御する画像形成装置が関連技術として知られている。
【0052】
しかしながら、上述の関連技術に係る画像形成装置では、ヒーター37に供給される電力の変動が考慮されておらず、前記加熱処理の実行時間を精度よく予測することができない。
【0053】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、前記加熱処理の実行時間の予測精度を向上させることが可能である。
【0054】
[制御部8の構成]
以下、図2を参照しつつ、制御部8の構成についてより詳細に説明する。
【0055】
図2に示されるように、制御部8は、準備処理部51、制限処理部52、取得処理部53、予測処理部54、及びタイミング制御部55を含む。
【0056】
具体的に、制御部8のROM12には、CPU11を上述の各機能部として機能させるための状態移行プログラムが予め格納されている。そして、CPU11は、ROM12に格納された前記状態移行プログラムを実行することにより、上述の各機能部として機能する。
【0057】
なお、前記状態移行プログラムは、CD、DVD、及びフラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から読み取られて記憶部7などの記憶装置に格納されてもよい。また、上述の各機能部の一部、又は全部は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものでもよい。また、前記状態移行プログラムは、複数のプロセッサーを制御部8に含まれる各機能部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0058】
準備処理部51は、画像形成装置100が前記第1状態から前記第2状態に移行する場合に、前記加熱処理を含む複数の前記準備処理を実行する。
【0059】
具体的に、準備処理部51は、画像形成装置100が前記第1状態から前記第2状態に移行する場合に、前記加熱処理、及び前記像形成部起動処理を実行する。
【0060】
また、準備処理部51は、画像形成装置100が前記第1状態から前記第2状態に移行する場合であって、画像形成装置100に後処理装置5が装着されている場合に、前記後処理装置起動処理を実行する。
【0061】
また、準備処理部51は、画像形成装置100が前記第1状態から前記第2状態に移行する場合であって、予め定められた調整条件を充足する場合に、前記キャリブレーション処理を実行する。例えば、前記調整条件は、直前の前記キャリブレーション処理の実行時からの経過時間が予め定められた時間を超えたこと、である。なお、前記調整条件は、直前の前記キャリブレーション処理の実行時からの画像形成枚数が予め定められた枚数を超えたこと、であってもよい。また、準備処理部51は、画像形成装置100が前記第1状態から前記第2状態に移行する場合に、無条件で、前記キャリブレーション処理を実行してもよい。
【0062】
制限処理部52は、前記後処理装置起動処理の実行中に、前記後処理装置起動処理の消費電力に応じてヒーター37への供給電力を制限する。
【0063】
例えば、画像形成装置100では、商用電源200(図1参照)とヒーター37との間の給電経路上に、当該給電経路の導通及び遮断を切り替え可能なスイッチング素子(不図示)が設けられている。また、画像形成装置100では、前記後処理装置起動処理の消費電力とヒーター37への供給電力の制限量とが対応付けられた第1テーブルデータが予め記憶部7に格納されている。前記第1テーブルデータでは、前記後処理装置起動処理の消費電力が大きいほど、ヒーター37への供給電力の制限量が大きくなるように、前記後処理装置起動処理の消費電力とヒーター37への供給電力の制限量との対応関係が定められている。
【0064】
制限処理部52は、前記後処理装置起動処理が実行される場合に、前記後処理装置起動処理の消費電力を取得する。例えば、制限処理部52は、後処理装置5に含まれる後処理装置5に関する情報を格納する記憶装置から、前記後処理装置起動処理の消費電力を取得する。また、制限処理部52は、前記第1テーブルデータを用いて、取得された前記後処理装置起動処理の消費電力に対応するヒーター37への供給電力の制限量を取得する。そして、制限処理部52は、取得されたヒーター37への供給電力の制限量に応じたデューティー比のPWM信号を前記スイッチング素子に入力することにより、ヒーター37への供給電力を制限する。これにより、前記後処理装置起動処理と前記加熱処理とが同時に実行される場合に、商用電源200から画像形成装置100に供給される電力が所定の定格を超えることを回避可能である。
【0065】
取得処理部53は、商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値を取得する。
【0066】
例えば、取得処理部53は、商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値を計測可能な電圧計(不図示)を用いて、当該交流電圧の電圧値を取得する。
【0067】
予測処理部54は、前記準備処理各々の実行時間を予測する。
【0068】
具体的に、予測処理部54は、画像形成装置100に後処理装置5が装着されていない場合に、取得処理部53によって取得される前記交流電圧の電圧値に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する。
【0069】
また、予測処理部54は、画像形成装置100に後処理装置5が装着されている場合に、取得処理部53によって取得される前記交流電圧の電圧値、及び制限処理部52によって制限されたヒーター37への供給電力に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する。
【0070】
例えば、予測処理部54は、予め定められた第1基準時間と、現在の前記加熱処理の実行条件とに基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する。ここで、前記第1基準時間は、前記加熱処理を予め定められた基準実行条件で実行した場合の、前記加熱処理の実行時間の計測値である。前記第1基準時間は、予め記憶部7に格納されている。前記加熱処理の実行条件には、定着ローラー35の初期温度(加熱開始前の温度)に関する条件、画像形成装置100の筐体内部の温湿度に関する条件、商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値に関する条件、及び制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量に関する条件が含まれる。
【0071】
例えば、予測処理部54は、以下の手順で、前記加熱処理の実行時間の予測値を取得する。
【0072】
まず、予測処理部54は、前記第1基準時間を記憶部7から読み出す。
【0073】
次に、予測処理部54は、現在の前記加熱処理の実行条件に基づいて、読み出した前記第1基準時間を補正する。具体的に、予測処理部54は、現在の定着ローラー35の温度、現在の画像形成装置100の筐体内部の温湿度、現在の商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値、及び制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量に基づいて、前記基準時間を補正する。
【0074】
例えば、画像形成装置100では、現在の定着ローラー35の温度と前記第1基準時間の補正値とが対応付けられた第2テーブルデータが予め記憶部7に格納されている。前記第2テーブルデータでは、現在の定着ローラー35の温度と前記基準実行条件における定着ローラー35の初期温度との差が大きいほど、前記第1基準時間の補正値の絶対値が大きくなるように、現在の定着ローラー35の温度と前記第1基準時間の補正値との対応関係が定められている。予測処理部54は、前記第2テーブルデータを用いて、現在の定着ローラー35の温度に対応する前記第1基準時間の補正値を取得する。そして、予測処理部54は、取得した補正値を前記第1基準時間に加算することにより、当該第1基準時間を補正する。なお、現在の定着ローラー35の温度は、温度センサー38が用いられて取得される。
【0075】
また、画像形成装置100では、現在の画像形成装置100の筐体内部の温湿度と前記第1基準時間の補正値とが対応付けられた第3テーブルデータが予め記憶部7に格納されている。前記第3テーブルデータでは、現在の画像形成装置100の筐体内部の温湿度と前記基準実行条件における画像形成装置100の筐体内部の温湿度との差が大きいほど、前記第1基準時間の補正値の絶対値が大きくなるように、現在の画像形成装置100の筐体内部の温湿度と前記第1基準時間の補正値との対応関係が定められている。予測処理部54は、前記第3テーブルデータを用いて、現在の画像形成装置100の筐体内部の温湿度に対応する前記第1基準時間の補正値を取得する。そして、予測処理部54は、取得した補正値を前記第1基準時間に加算することにより、当該第1基準時間を補正する。なお、現在の画像形成装置100の筐体内部の温湿度は、温湿度センサー39が用いられて取得される。
【0076】
また、画像形成装置100では、現在の商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値と前記第1基準時間の補正値とが対応付けられた第4テーブルデータが予め記憶部7に格納されている。前記第4テーブルデータでは、現在の商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値と前記基準実行条件における商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値との差が大きいほど、前記第1基準時間の補正値の絶対値が大きくなるように、現在の商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値と前記第1基準時間の補正値との対応関係が定められている。予測処理部54は、前記第4テーブルデータを用いて、現在の商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値に対応する前記第1基準時間の補正値を取得する。そして、予測処理部54は、取得した補正値を前記第1基準時間に加算することにより、当該第1基準時間を補正する。なお、現在の商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値は、取得処理部53によって取得される。
【0077】
また、画像形成装置100では、制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量と前記第1基準時間の補正値とが対応付けられた第5テーブルデータが予め記憶部7に格納されている。前記第5テーブルデータでは、制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量が大きいほど、前記第1基準時間の補正値が大きくなるように、制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量と前記第1基準時間の補正値との対応関係が定められている。なお、前記基準実行条件における制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量はゼロである。予測処理部54は、前記第5テーブルデータを用いて、制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量に対応する前記第1基準時間の補正値を取得する。そして、予測処理部54は、取得した補正値を前記第1基準時間に加算することにより、当該第1基準時間を補正する。
【0078】
そして、予測処理部54は、現在の前記加熱処理の実行条件に基づく補正後の前記第1基準時間を、前記加熱処理の実行時間の予測値として取得する。
【0079】
また、予測処理部54は、予め定められた第2基準時間を、前記加速処理の実行時間の予測値として取得する。前記第2基準時間は、予め記憶部7に格納されている。なお、予測処理部54は、現在の画像形成装置100の筐体内部の温湿度に基づいて前記第2基準時間を補正し、補正後の前記第2基準時間を前記加速処理の実行時間の予測値として取得してもよい。
【0080】
また、予測処理部54は、後処理装置5の種類に対応する予め定められた第3基準時間を、前記後処理装置起動処理の実行時間の予測値として取得する。前記第3基準時間は、予め記憶部7に格納されている。
【0081】
また、予測処理部54は、予め定められた第4基準時間を、前記キャリブレーション処理の実行時間の予測値として取得する。前記第4基準時間は、予め記憶部7に格納されている。
【0082】
なお、予測処理部54による前記準備処理各々の実行時間の予測方法は、上述の方法に限らず、他の方法が用いられてもよい。
【0083】
タイミング制御部55は、予測処理部54による予測結果に基づいて、準備処理部51によって実行される前記準備処理各々の開始タイミングを制御する。
【0084】
具体的に、タイミング制御部55は、前記後処理装置起動処理、及び前記キャリブレーション処理のいずれか一方又は両方が実行されない場合に、準備処理部51によって実行される前記準備処理各々の終了タイミングが一致するように、前記準備処理各々の開始タイミングを決定する。なお、タイミング制御部55は、前記加熱処理の終了タイミングが他の前記準備処理各々の終了タイミングよりも所定時間だけ先に到来するように、前記加熱処理の開始タイミングを決定してもよい。これにより、商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値が突発的に減少した場合であっても、定着ローラー35の温度を前記目標温度に到達させることが可能である。
【0085】
また、タイミング制御部55は、前記後処理装置起動処理、及び前記キャリブレーション処理の両方が実行される場合に、前記像形成部起動処理を最初に実行させ、前記像形成部起動処理の開始タイミングに基づいて前記後処理装置起動処理の開始タイミングを制御し、前記キャリブレーション処理の終了タイミングに基づいて前記加熱処理の開始タイミングを制御する。例えば、タイミング制御部55は、前記後処理装置起動処理の開始タイミングと前記像形成部起動処理の開始タイミングとが一致するように、前記後処理装置起動処理の開始タイミングを決定する。また、タイミング制御部55は、前記加熱処理の終了タイミングと前記キャリブレーション処理の終了タイミングとが一致するように、前記加熱処理の開始タイミングを決定する。
【0086】
ここで、予測処理部54は、タイミング制御部55による制御結果に基づいて特定される、前記加熱処理の実行期間における前記後処理装置起動処理が並行して実行されない特定実行期間の長さに応じて、前記加熱処理の実行時間を修正する。例えば、予測処理部54は、前記特定実行期間の長さに基づいて修正値を算出し、算出された修正値を前記加熱処理の実行時間の予測値から減算することにより、前記加熱処理の実行時間を修正する。例えば、予測処理部54は、前記特定実行期間の長さと、制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量と、予め定められた係数とを乗算することにより、修正値を算出する。
【0087】
また、タイミング制御部55は、予測処理部54による前記加熱処理の実行時間の修正結果に基づいて、前記加熱処理の開始タイミングを修正する。
【0088】
[状態移行処理]
以下、図3を参照しつつ、画像形成装置100において制御部8により実行される状態移行処理の手順の一例とともに、本発明の予測方法について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部8により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記状態移行処理は、画像形成装置100の動作状態が前記第1状態から前記第2状態に移行する場合に実行される。例えば、画像形成装置100では、画像形成装置100の電源が投入された場合に、動作状態が前記第1状態から前記第2状態に移行する。また、画像形成装置100では、スリープモードから通常モードに復帰する場合に、動作状態が前記第1状態から前記第2状態に移行する。
【0089】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部8は、実行対象の複数の前記準備処理を決定する。
【0090】
具体的に、制御部8は、画像形成装置100に後処理装置5が装着されておらず、且つ前記調整条件を充足しない場合に、前記加熱処理、及び前記像形成部起動処理を、実行対象の複数の前記準備処理として決定する。
【0091】
また、制御部8は、画像形成装置100に後処理装置5が装着されておらず、且つ前記調整条件を充足する場合に、前記加熱処理、前記像形成部起動処理、及び前記キャリブレーション処理を、実行対象の複数の前記準備処理として決定する。
【0092】
また、制御部8は、画像形成装置100に後処理装置5が装着されており、且つ前記調整条件を充足しない場合に、前記加熱処理、前記像形成部起動処理、及び前記後処理装置起動処理を、実行対象の複数の前記準備処理として決定する。
【0093】
また、制御部8は、画像形成装置100に後処理装置5が装着されており、且つ前記調整条件を充足する場合に、前記加熱処理、前記像形成部起動処理、前記後処理装置起動処理、及びキャリブレーション処理を、実行対象の複数の前記準備処理として決定する。
【0094】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部8は、商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値を取得する。ここで、ステップS12の処理は、本発明の取得ステップの一例であって、制御部8の取得処理部53により実行される。
【0095】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部8は、実行対象の複数の前記準備処理に前記後処理装置起動処理が含まれるか否かを判定する。
【0096】
ここで、制御部8は、実行対象の複数の前記準備処理に前記後処理装置起動処理が含まれると判定すると(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させる。また、実行対象の複数の前記準備処理に前記後処理装置起動処理が含まれていなければ(S13のNo側)、制御部8は、処理をステップS31に移行させる。
【0097】
<ステップS31>
ステップS31において、制御部8は、実行対象の前記準備処理各々の実行時間を予測する。ここで、ステップS31の処理は、本発明の予測ステップの一例であって、制御部8の予測処理部54により実行される。
【0098】
ここで、制御部8は、ステップS12の処理によって取得された前記交流電圧の電圧値に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する。これにより、ヒーター37に供給される電力の変動が考慮されて前記加熱処理の実行時間が予測されるため、前記加熱処理の実行時間の予測精度を向上させることが可能である。
【0099】
<ステップS32>
ステップS32において、制御部8は、ステップS31の処理による予測結果に基づいて、実行対象の前記準備処理各々の開始タイミングを決定する。ここで、ステップS32の処理は、制御部8のタイミング制御部55により実行される。
【0100】
具体的に、制御部8は、図4に示されるように、前記準備処理各々の終了タイミングが一致するように、前記準備処理各々の開始タイミングを決定する。図4には、画像形成装置100において、連続して実行される前記像形成部起動処理、及び前記キャリブレーション処理、並びに前記加熱処理が実行される場合の、複数の準備処理の実行スケジュールの一例が示されている。
【0101】
<ステップS33>
ステップS33において、制御部8は、ステップS32の処理によって決定された前記準備処理各々の開始タイミングに従って、実行対象の前記準備処理各々を実行する。ここで、ステップS33の処理は、本発明の準備ステップの一例であって、制御部8の準備処理部51により実行される。
【0102】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部8は、実行対象の複数の前記準備処理に前記キャリブレーション処理が含まれるか否かを判定する。
【0103】
ここで、制御部8は、実行対象の複数の前記準備処理に前記キャリブレーション処理が含まれると判定すると(S14のYes側)、処理をステップS15に移行させる。また、実行対象の複数の前記準備処理に前記キャリブレーション処理が含まれなければ(S14のNo側)、制御部8は、処理をステップS21に移行させる。
【0104】
<ステップS21>
ステップS21において、制御部8は、実行対象の前記準備処理各々の実行時間を予測する。ここで、ステップS21の処理は、本発明の予測ステップの一例であって、制御部8の予測処理部54により実行される。
【0105】
ここで、制御部8は、ステップS12の処理によって取得された前記交流電圧の電圧値、及び制限処理部52によって制限されたヒーター37への供給電力に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する。これにより、前記後処理装置起動処理の実行に伴うヒーター37への供給電力の制限が考慮されて前記加熱処理の実行時間が予測されるため、前記加熱処理の実行時間の予測精度を向上させることが可能である。
【0106】
<ステップS22>
ステップS22において、制御部8は、ステップS21の処理による予測結果に基づいて、実行対象の前記準備処理各々の開始タイミングを決定する。ここで、ステップS22の処理は、制御部8のタイミング制御部55により実行される。
【0107】
具体的に、制御部8は、図5に示されるように、前記準備処理各々の終了タイミングが一致するように、前記準備処理各々の開始タイミングを決定する。図5には、画像形成装置100において、前記像形成部起動処理、前記加熱処理、及び前記後処理装置起動処理が実行される場合の、複数の準備処理の実行スケジュールの一例が示されている。なお、図5では、予測処理部54による修正前の前記加熱処理の実行期間が、破線によって示されている。
【0108】
<ステップS23>
ステップS23において、制御部8は、ステップS22の処理による制御結果に基づいて特定される、前記加熱処理の実行期間における前記後処理装置起動処理が並行して実行されない前記特定実行期間の長さ(図5の時間T1参照)に応じて、前記加熱処理の実行時間を修正する。ここで、ステップS23の処理は、制御部8の予測処理部54により実行される。
【0109】
具体的に、制御部8は、前記特定実行期間の長さと、制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量と、前記係数とを乗算することにより、修正値を算出する。そして、制御部8は、算出された修正値をステップS21の処理によって取得される前記加熱処理の実行時間の予測値から減算することにより、前記加熱処理の実行時間を修正する。
【0110】
例えば、図5に示されるように、前記特定実行期間の長さが時間T1である場合に、前記加熱処理の実行時間が時間T2だけ短縮される。
【0111】
<ステップS24>
ステップS24において、制御部8は、ステップS23の処理による前記加熱処理の実行時間の修正結果に基づいて、前記加熱処理の開始タイミングを修正する。
【0112】
具体的に、制御部8は、図5に示されるように、前記準備処理各々の終了タイミングが一致するように、前記加熱処理の開始タイミングを修正する。
【0113】
<ステップS25>
ステップS25において、制御部8は、ステップS22、及びステップS24の処理によって決定された前記準備処理各々の開始タイミングに従って、実行対象の前記準備処理各々を実行する。ここで、ステップS25の処理は、本発明の準備ステップの一例であって、制御部8の準備処理部51により実行される。
【0114】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部8は、実行対象の前記準備処理各々の実行時間を予測する。ここで、ステップS15の処理は、本発明の予測ステップの一例であって、制御部8の予測処理部54により実行される。
【0115】
ここで、制御部8は、ステップS12の処理によって取得された前記交流電圧の電圧値、及び制限処理部52によって制限されたヒーター37への供給電力に基づいて、前記加熱処理の実行時間を予測する。これにより、前記後処理装置起動処理の実行に伴うヒーター37への供給電力の制限が考慮されて前記加熱処理の実行時間が予測されるため、前記加熱処理の実行時間の予測精度を向上させることが可能である。
【0116】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部8は、ステップS15の処理による予測結果に基づいて、実行対象の前記準備処理各々の開始タイミングを決定する。ここで、ステップS16の処理は、制御部8のタイミング制御部55により実行される。
【0117】
具体的に、制御部8は、図6に示されるように、前記後処理装置起動処理の開始タイミングと前記像形成部起動処理の開始タイミングとが一致するように、前記後処理装置起動処理の開始タイミングを決定する。また、制御部8は、前記加熱処理の終了タイミングと前記キャリブレーション処理の終了タイミングとが一致するように、前記加熱処理の開始タイミングを決定する。これにより、前記準備処理各々の終了タイミングが一致するように、前記準備処理各々の開始タイミングが決定される場合と比較して、前記特定実行期間の長さ(図6の時間T3参照)を長くすることが可能である。そのため、前記加熱処理の実行期間をより短くすることが可能である。図6には、画像形成装置100において、前記加熱処理、前記後処理装置起動処理、並びに連続して実行される前記像形成部起動処理、及び前記キャリブレーション処理が実行される場合の、複数の準備処理の実行スケジュールの一例が示されている。なお、図6では、予測処理部54による修正前の前記加熱処理の実行期間が、破線によって示されている。
【0118】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部8は、ステップS16の処理による制御結果に基づいて特定される、前記加熱処理の実行期間における前記後処理装置起動処理が並行して実行されない前記特定実行期間の長さ(図6の時間T3参照)に応じて、前記加熱処理の実行時間を修正する。ここで、ステップS17の処理は、制御部8の予測処理部54により実行される。
【0119】
具体的に、制御部8は、前記特定実行期間の長さと、制限処理部52によるヒーター37への供給電力の制限量と、前記係数とを乗算することにより、修正値を算出する。そして、制御部8は、算出された修正値をステップS15の処理によって取得される前記加熱処理の実行時間の予測値から減算することにより、前記加熱処理の実行時間を修正する。
【0120】
例えば、図6に示されるように、前記特定実行期間の長さが時間T3である場合に、前記加熱処理の実行時間が時間T4だけ短縮される。
【0121】
<ステップS18>
ステップS18において、制御部8は、ステップS17の処理による前記加熱処理の実行時間の修正結果に基づいて、前記加熱処理の開始タイミングを修正する。
【0122】
具体的に、制御部8は、図6に示されるように、前記加熱処理の終了タイミングと前記キャリブレーション処理の終了タイミングとが一致するように、前記加熱処理の開始タイミングを修正する。
【0123】
<ステップS19>
ステップS19において、制御部8は、ステップS16、及びステップS18の処理によって決定された前記準備処理各々の開始タイミングに従って、実行対象の前記準備処理各々を実行する。ここで、ステップS19の処理は、本発明の準備ステップの一例であって、制御部8の準備処理部51により実行される。
【0124】
このように、画像形成装置100では、商用電源200から供給される前記交流電圧の電圧値が取得され、取得された前記交流電圧の電圧値に基づいて前記加熱処理の実行時間が予測される。これにより、ヒーター37に供給される電力の変動が考慮されて前記加熱処理の実行時間が予測されるため、前記加熱処理の実行時間の予測精度を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 ADF
2 画像読取部
3 画像形成部
4 給紙部
5 後処理装置
6 操作表示部
7 記憶部
8 制御部
20 像形成部
21 感光体ドラム
22 帯電装置
23 光走査装置
24 現像装置
25 転写ローラー
26 クリーニング装置
27 定着装置
28 排紙トレイ
35 定着ローラー
37 ヒーター
51 準備処理部
52 制限処理部
53 取得処理部
54 予測処理部
55 タイミング制御部
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6