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  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164860
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20241121BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B41J2/47 101M
G03G15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080523
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】岸本 充行
【テーマコード(参考)】
2C362
【Fターム(参考)】
2C362AA56
2C362BA04
2C362BB38
2C362CA18
2C362CA39
(57)【要約】
【課題】 低消費電力で画像形成を行う画像形成装置を得る。
【解決手段】 コントローラー33は、(a)プリントすべき画像のための点灯ドットのドットカウント値の積算値を導出し、(b1)その積算値が所定第1閾値以上となった場合、所定期間において、光線の自動出力制御のための点灯を行うとともに積算値をリセットし、(b2)積算値が第1閾値以上となっていない場合、所定期間において、光線の自動出力制御のための点灯を行なわず積算値をリセットしない
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源で光線を生成し前記光線を像担持体上で走査して静電潜像を形成する露光装置と、
前記光源の点灯制御を行うコントローラーとを備え、
前記コントローラーは、(a)プリントすべき画像のための点灯ドットのドットカウント値の積算値を導出し、(b1)前記積算値が所定第1閾値以上となった場合、所定期間において、前記光線の自動出力制御のための点灯を行うとともに前記積算値をリセットし、(b2)前記積算値が前記第1閾値以上となっていない場合、前記所定期間において、前記光線の自動出力制御のための点灯を行なわず前記積算値をリセットしないこと、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定期間は、前記画像の1ラインに対応する1周期における所定範囲の期間であって、前記1ラインに対応する期間より後に設定されており、
前記コントローラーは、前記1ラインごとに前記ドットカウント値を特定し、前記積算値を更新すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラーは、前記1ラインの前記ドットカウント値が所定第2閾値以上である場合、前記積算値に拘わらず、前記所定期間において、前記光線の自動出力制御のための点灯を行うとともに前記積算値をリセットすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光源に対して設置されている温度検出部をさらに備え、
前記コントローラーは、前記温度検出部により検出された温度に応じて、前記第1閾値を調整すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光源に対して設置されている温度検出部をさらに備え、
前記コントローラーは、前記温度検出部により検出された温度に応じて、前記第2閾値を調整すること、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、静電潜像を形成する際に、1ラインごとに、画像のための点灯がある場合には、レーザービームの自動出力制御(APC)を行い、画像のための点灯がない場合には、レーザービームのAPCを行わないようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-76611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像形成装置では、画像のための点灯がないラインについては、レーザービーム発光のための消費電力を削減できるが、画像のための点灯があるラインについては、常にAPCを行っているため、レーザービーム発光のための消費電力が削減されない。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、低消費電力で画像形成を行う画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、光源で光線を生成し前記光線を像担持体上で走査して静電潜像を形成する露光装置と、前記光源の点灯制御を行うコントローラーとを備える。そして、前記コントローラーは、(a)プリントすべき画像のための点灯ドットのドットカウント値の積算値を導出し、(b1)前記積算値が所定第1閾値以上となった場合、所定期間において、前記光線の自動出力制御のための点灯を行うとともに前記積算値をリセットし、(b2)前記積算値が前記第1閾値以上となっていない場合、前記所定期間において、前記光線の自動出力制御のための点灯を行なわず前記積算値をリセットしない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低消費電力で画像形成を行う画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
図2図2は、図1における露光装置2a~2dの構成例を示す図である。
図3図3は、同期期間、画像期間、およびAPC点灯期間を説明する図である。
図4図4は、図2に示す露光装置2aの動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式のプリント機能を有する装置である。
【0012】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、像担持体としての感光体ドラム1a~1d、露光装置2a~2dおよび現像ユニット3a~3dを有する。感光体ドラム1a~1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。露光装置2a~2dは、感光体ドラム1a~1dへレーザー光線を照射して静電潜像を形成する装置である。各露光装置2a~2dは、光源で光線を生成しその光線を対応する感光体ドラム1a~1d上で走査して静電潜像を形成する。露光装置2a~2dは、レーザー光線の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光線を感光体ドラム1a~1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0013】
さらに、感光体ドラム1a~1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a~1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a~1dを除電する。
【0014】
現像ユニット3a~3dには、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーが充填されているトナーカートリッジがそれぞれ装着され、トナーカートリッジからトナーが供給され、キャリアとともに現像剤を構成する。現像ユニット3a~3dは、そのトナーを感光体ドラム1a~1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。
【0015】
感光体ドラム1a、露光装置2a、および現像ユニット3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1b、露光装置2b、および現像ユニット3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1c、露光装置2c、および現像ユニット3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1d、露光装置2d、および現像ユニット3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0016】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a~1dに接触し、感光体ドラム1a~1d上のトナー画像を1次転写される環状の部材である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ周回していく。
【0017】
転写ローラー6は、搬送されてくる用紙を中間転写ベルト4に接触させ、中間転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0018】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0019】
センサー8は、トナー濃度調整に使用されるセンサーであって、中間転写ベルト4に光線を照射し、その反射光を検出する。トナー濃度調整の際、センサー8は、中間転写ベルト4の所定の領域に光線を照射し光線の反射光(測定光)を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0020】
図2は、図1における露光装置2a~2dの構成例を示す図である。なお、図2に示す露光装置は、感光体ドラム1a用の露光装置2aであり、感光体ドラム1b~1d用の露光装置2b~2dも同様の構成を有する。
【0021】
図2において、光源21は、レーザーダイオードなどであって、レーザー光線を出射する。光源21から出射され走査されるレーザー光線の出力は、光源21の温度が低下すると大きくなり、光源21の温度が上昇すると小さくなる。
【0022】
また、光学系22は、光源21からポリゴンミラー23までの間、および/またはポリゴンミラー23から感光体ドラム1aおよびPDセンサー24までの間に配置された各種レンズ群である。光学系22には、fθレンズなどが使用される。
【0023】
また、ポリゴンミラー23は、感光体ドラム1aの軸に対して垂直な軸を有し、その軸に垂直な断面が多角形であり、その側面がミラーとなっている素子である。ポリゴンミラー23は、その軸を中心に回転し、光源21から出射した光を感光体ドラム1aの軸方向(主走査方向)に沿って走査する。
【0024】
また、PDセンサー24は、主走査同期信号を生成するためにポリゴンミラー23により走査された光線を受光するセンサーである。そのため、光源21は、光線がPDセンサー24上で走査される同期期間において連続点灯する。PDセンサー24は、光が入射すると、光量に応じた出力電圧を誘起する。PDセンサー24は、光が走査される線上の所定の位置に配置され、光のスポットがその位置を通過するタイミングを検出するために使用される。
【0025】
また、ドライバー回路31は、光源21を駆動する回路である。ドライバー回路31は、画像形成のための駆動信号に基づき、光源21を駆動してレーザー光を出射させる。また、ドライバー回路31は、基準電圧に基づいて自動電力制御回路(APC回路)で光源の出力光量を制御する。
【0026】
また、検出回路32は、PDセンサー24の出力波形において、PDセンサー24上を光が走査されることにより形成されるパルスを検出する回路である。
【0027】
コントローラー33は、光源21の点灯制御を行う。
【0028】
例えば、ドライバー回路31では、コントローラー33からの光量制御信号に従って基準電圧Vrefが生成され、APC回路が、その基準電圧Vrefに応じた電力でレーザーダイオード(光源21)を駆動する。APC回路は、モニター用フォトデテクターPDmに導通する電流Imを、検出抵抗Rの両端電圧Vmとして検出し、その電圧Vmが基準電圧Vrefに等しくなるように、レーザーダイオードの出力光量を設定する。また、ドライバー回路31は、コントローラー33からの画像制御信号(画像パターン)に基づいて、スイッチング素子でレーザーダイオードを点灯/消灯させる。
【0029】
図3は、同期期間、画像期間、およびAPC点灯期間を説明する図である。図3に示すように、PDセンサー24上をレーザー光線のスポットが追加する期間(同期期間)およびAPC回路によるレーザーダイオードの出力制御の期間(APC点灯期間)が画像期間(プリントすべき画像の1ラインに対応する画像パターンで点灯する期間)とは別に設定され、同期期間では、レーザーダイオードが連続して点灯するように制御される。APC点灯期間においてレーザーダイオードを点灯させる場合には、APC点灯期間においてレーザーダイオードが連続して点灯するように制御される。
【0030】
また、画像処理部34は、所定の画像処理を行って、プリントジョブ要求などで指定された、プリントすべき画像の画像データを生成し、コントローラー33に供給する。コントローラー33は、画像データに基づいて、1ラインごとの画像パターンを示す画像制御信号を生成し、ドライバー回路31に供給する。
【0031】
温度検出部35は、光源21に対して設置されており、温度センサーで光源21の温度を検出する。
【0032】
さらに、コントローラー33は、(a)プリントすべき画像のための点灯ドットのドットカウント値の積算値を導出し、(b1)その積算値が所定第1閾値以上となった場合、所定期間(上述のAPC点灯期間)において、上述の光線の自動出力制御のための点灯を行うとともにその積算値をゼロにリセットし、(b2)その積算値が第1閾値以上となっていない場合、その所定期間において、光線の自動出力制御のための点灯を行なわず積算値をリセットしない。
【0033】
ここで、上述の所定期間(APC点灯期間)は、画像の1ラインに対応する1周期における所定範囲の期間であって、1ラインに対応する期間(画像期間)より後に設定されており、コントローラー33は、1ラインごとにドットカウント値を特定し、積算値を更新する。
【0034】
さらに、この実施の形態では、コントローラー33は、上述の1ラインのドットカウント値が所定第2閾値以上である場合、上述の積算値に拘わらず、上述の所定期間において、光線の自動出力制御のための点灯を行うとともに積算値をリセットする。
【0035】
なお、コントローラー33は、温度検出部35により検出された温度に応じて、第1閾値および第2閾値の一方または両方を調整してもよい。なお、その場合、検出温度が高くなるほど、第1閾値および第2閾値の一方または両方が低くなるように調整される。
【0036】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。図4は、図2に示す露光装置2aの動作について説明するフローチャートである。なお、露光装置2b~2dの動作は、露光装置2aの動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0037】
1ラインごとに、コントローラー33は、ドライバー回路31を制御して、主走査同期信号に従って同期点灯期間において光源21を連続点灯させ(ステップS1)、次に、画像期間において、プリントすべき画像の画像パターンに対応する画像制御信号をドライバー回路31に供給して、プリントすべき画像の画像パターンに対応する点灯パターンで光源21を点灯させる(ステップS2)。
【0038】
また、コントローラー33は、画像期間における画像パターンの点灯ドットのドットカウント値を画像データや画像制御信号から特定し(ステップS3)、そのドットカウント値の積算値を更新する(ステップS4)。ドットカウント値の積算値は、現時点までのドットカウント値の積算値に1ライン分のドットカウント値を加算した値で更新される。なお、ドットカウント値の積算値の初期値は、ゼロである。
【0039】
そして、コントローラー33は、1ライン分のドットカウント値が第2閾値以上であるか否かを判定し(ステップS5)、1ライン分のドットカウント値が第2閾値以上である場合には、APC点灯期間において光源21を連続点灯させてAPC動作を行い(ステップS6)、積算値をゼロにリセットする(ステップS7)。
【0040】
一方、1ライン分のドットカウント値が第2閾値以上ではない場合には、コントローラー33は、ドットカウント値の積算値が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。そして、ドットカウント値の積算値が第1閾値以上である場合には、コントローラー33は、APC点灯期間において光源21を連続点灯させてAPC動作を行い(ステップS6)、積算値をゼロにリセットする(ステップS7)。
【0041】
また、1ライン分のドットカウント値が第2閾値以上ではなく、かつ、ドットカウント値の積算値が第1閾値以上ではない場合には、コントローラー33は、APC点灯期間において光源21を点灯させずAPC動作を行わない。したがって、積算値のリセットも行わない。
【0042】
以上のように、上記実施の形態によれば、コントローラー33は、(a)プリントすべき画像のための点灯ドットのドットカウント値の積算値を導出し、(b1)その積算値が所定第1閾値以上となった場合、所定期間において、光線の自動出力制御のための点灯を行うとともに積算値をリセットし、(b2)積算値が第1閾値以上となっていない場合、所定期間において、光線の自動出力制御のための点灯を行なわず積算値をリセットしない。
【0043】
これにより、1ラインにおいて画像のための点灯ドットがあってもドットカウント値が少ない場合にはAPC動作が実行されないため、低消費電力で画像形成が行われる。
【0044】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0045】
例えば、上記実施の形態において、コントローラー33は、ステップS5の判定を行わず、1ライン分のドットカウント値に拘わらず、ステップS8において積算値でAPC動作(ステップS6)および積算値のリセット(ステップS7)を行うか否かを判定するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態において、第2閾値は、第1閾値と同じでもよいし、第1閾値より小さくてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態において、ドットカウント値の更新(ステップS4)を、ステップS6において1ライン分のドットカウント値が第2閾値以上である場合と判定された後に実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば、電子写真方式の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体の一例)
2a~2d 露光装置
21 光源
33 コントローラー
35 温度検出部
図1
図2
図3
図4