(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164862
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241121BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B41J2/01 125
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080525
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 拓弥
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB03
2C056EB14
2C056EC03
2C056EC14
2C056FA13
2C056HA47
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061HH01
2C061HJ10
2C061HN22
2C061HV03
2C061HV45
(57)【要約】
【課題】 比較的低コストで、ヒーター制御用のプロセッサーに不具合が発生しても適切にヒーターへの電力供給を遮断する画像形成装置を得る。
【解決手段】 温度センサー11は、ヒーター7aの温度を検出し、電源回路7bは、ヒーター7aへの電力供給を行う。メインプロセッサー31は、検出された温度に基づいて、電源回路7bへヒーター制御信号を供給して電源回路7bを制御しヒーター7aの温度を調整する。そして、サブプロセッサー32は、(a)定期的にメインプロセッサー31からの出力が検出されているか否かを監視し、(b)その出力が検出されていないと判定すると、ヒーター7aへの電力供給を遮断させるヒーター制御信号を電源回路7bに供給する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターと、
前記ヒーターの温度を検出する温度センサーと、
前記ヒーターへの電力供給を行う電源回路と、
検出された前記温度に基づいて、前記電源回路へヒーター制御信号を供給して前記電源回路を制御し前記ヒーターの温度を調整するメインプロセッサーと、
サブプロセッサーとを備え、
前記サブプロセッサーは、(a)定期的に前記メインプロセッサーからの出力が検出されているか否かを監視し、(b)前記出力が検出されていないとを判定すると、前記ヒーターへの電力供給を遮断させる前記ヒーター制御信号を前記電源回路に供給すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記サブプロセッサーは、当該画像形成装置の内部装置を制御するために設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
色材を使用してプリントシート上に画像を形成するプリントエンジンと、
前記プリントシートを前記プリントエンジンへ搬送する搬送装置とを備え、
前記メインプロセッサーは、前記プリントエンジンを制御し、
前記サブプロセッサーは、前記内部装置としての前記搬送装置を制御すること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
インクジェット方式でのプリント後のプリントシートを乾燥する乾燥装置をさらに備え、
前記ヒーターは、前記乾燥装置に設けられていること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるインクジェットプリンターでは、プリントヘッドに取り付けられたサーミスターの電圧がアナログデジタル変換後にコントローラーに供給され、コントローラーは、その電圧に応じてプリントヘッドのヒーターへの電力量を調整している。このインクジェットプリンターでは、コントローラーとは別に、サーミスターの電圧を検出しその電圧に応じてヒーターへの電力供給を遮断する電子回路が設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、あるインクジェット印刷装置は、乾燥装置と、CPU(Central Processing Unit)を備え、そのCPUは、乾燥装置のヒーターに設けられた温度センサーにより温度測定値を取得してヒーターの温度を監視しながら、ヒーターの温度が設定温度になるようにヒーターを制御している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-167783号公報
【特許文献2】特開2023-41403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のインクジェットプリンターでは、温度上昇の際に、コントローラーが故障しても上述の電子回路によってヒーターへの電力供給を遮断できるものの、専用の電子回路を設ける必要があり、装置のコストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、比較的低コストで、ヒーター制御用のプロセッサーに不具合が発生しても適切にヒーターへの電力供給を遮断する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、ヒーターと、前記ヒーターの温度を検出する温度センサーと、前記ヒーターへの電力供給を行う電源回路と、検出された前記温度に基づいて、前記電源回路へヒーター制御信号を供給して前記電源回路を制御し前記ヒーターの温度を調整するメインプロセッサーと、サブプロセッサーとを備える。そして、前記サブプロセッサーは、(a)定期的に前記メインプロセッサーからの出力が検出されているか否かを監視し、(b)前記出力が検出されていないと判定すると、前記ヒーターへの電力供給を遮断させる前記ヒーター制御信号を前記電源回路に供給する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、比較的低コストで、ヒーター制御用のプロセッサーに不具合が発生しても適切にヒーターへの電力供給を遮断する画像形成装置が得られる。
【0009】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す図である。
図1に示す画像形成装置10は、プリンター、コピー機、ファクシミリ機、複合機などといった装置であり、この実施の形態ではラインヘッド型のインクジェット方式のカラープリント機構を備える。
【0013】
図1に示す画像形成装置10は、プリントエンジン10aと、シート搬送部10bとを備える。プリントエンジン10aは、記録媒体としてのプリントシート101にインクを付着させて、プリントすべき画像をプリントシート101上に物理的にプリントする。例えば、プリントエンジン10aにはインクカートリッジが着脱可能であり、プリントエンジン10aは、インクカートリッジから供給されるインクを使用してプリントを行う。また、シート搬送部10bは、プリントシート101をプリントエンジン10aに搬送する搬送装置である。
【0014】
この実施の形態では、プリントエンジン10aは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックという4つのインク色に対応するラインヘッド型の記録ヘッド1a~1dを備える。記録ヘッド1a~1dは、そのインク色のインクをノズルで吐出してプリントすべき画像を、ある記録媒体種別のプリントシート101上に形成する。なお、モノクロの画像形成装置の場合には、記録ヘッドは1つとなる。
【0015】
また、この実施の形態では、シート搬送部10bは、プリントエンジン10aに対向して配置されプリントシート101を搬送する環状の搬送ベルト2と、搬送ベルト2を懸架される駆動ローラー3、従動ローラー4、およびテンションローラー4aと、搬送ベルト2ととともにプリントシート101をニップする吸着ローラー5と、後段搬送ベルト6と、乾燥装置7とを備える。
【0016】
駆動ローラー3、従動ローラー4およびテンションローラー4aは、搬送ベルト2を周回させる。そして、後述の給紙カセット20から搬送されてきたプリントシート101を吸着ローラー5がニップし、ニップされたプリントシート101は、搬送ベルト2によって記録ヘッド1a~1dのプリント位置へ順番に搬送されていき、記録ヘッド1a~1dによりそれぞれの色の画像をプリントされる。その際、シートセンサー2aでプリントシート101の通過が検出され、その検出タイミングに基づいて搬送路上でのプリントシート101の現在位置が特定され、これにより、プリントシート101上の適切な位置に画像がプリントされる。そして、プリント完了後のプリントシート101が後段搬送ベルト6によって排出トレイ10cなどに排出される。その際、乾燥装置7によって、インクを吐出されたプリントシート101の乾燥が行われる。
【0017】
具体的には、乾燥装置7は、ヒーター7aおよび送風機を備え、ヒーター7aおよび送風機を使用して、記録ヘッド1a~1dによってインクで画像が形成されたプリントシート101の乾燥を行う。
【0018】
さらに、ヒーター7aの温度を検出する温度センサー11が設けられている。温度センサー11は、例えばサーミスターおよびサーミスターの駆動回路を備える。
【0019】
また、シート吸引部9がシートの搬送路に沿って配置されている。シート吸引部9には負圧が与えられ、これにより、プリントシート101がシート吸引孔を介して搬送ベルト2に吸着する。
【0020】
さらに、シート搬送部10bは、給紙元としての給紙カセット20を備えている。給紙カセット20は、プリントシート101を収容しており、リフト板21でプリントシート101を上方に押し上げてピックアップローラー22に当接させる。給紙カセット20に載置されたプリントシート101は上側から1枚ずつピックアップローラー22によって給紙ローラー23へピックアップされる。給紙ローラー23は、給紙カセット20からピックアップローラー22によって給紙されたプリントシート101を1枚ずつ搬送路上へ搬送する。
【0021】
搬送ローラー27は、所定の搬送路上でプリントシート101を搬送する。レジストローラー28は、搬送されてくるプリントシート101がレジストセンサー28aによって検出されると、そのプリントシート101を一時停止させ、2次給紙タイミングでそのプリントシート101をプリントエンジン10aへ(具体的には、吸着ローラー5と搬送ベルト2とのニップ位置に)搬送する。2次給紙タイミングは、そのプリントシート101上の指定された位置に画像が形成されるようにコントローラー(後述のサブプロセッサー)によって指定される。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置10は、ヒーター7aへの電力供給を行う電源回路7b、メインプロセッサー31、およびサブプロセッサー32をさらに備える。メインプロセッサー31およびサブプロセッサー32は、それぞれCPUを備え、プログラムをRAM(Random Access Memory)にロードし、そのプログラムに従って処理(データ処理、制御など)を行う。
【0023】
この実施の形態では、メインプロセッサー31は、色材を使用してプリントシート上に画像を形成するプリントエンジン10aを制御し、サブプロセッサー32は、当該画像形成装置10におけるプリントエンジン10a以外の内部装置(ここではシート搬送部10b)を制御する。
【0024】
また、メインプロセッサー31は、温度センサー11によって検出された温度(具体的には温度センサー11から出力される温度測定値)に基づいて、電源回路7bへヒーター制御信号を供給して電源回路7bを制御しヒーター7aの温度を所望の温度に調整する。
【0025】
サブプロセッサー32は、(a)定期的にメインプロセッサー31からの出力(プロセッサー間通信による特定のメッセージ、プリントエンジン10aに対する特定の制御信号など)が検出されているか否かを監視し、(b)その出力が検出されていないと判定すると、ヒーター7aへの電力供給を遮断させるヒーター制御信号を電源回路7bに直接供給する。これにより、ヒーター7aの温度の異常上昇時に、メインプロセッサー31が、何等かの原因(プログラムエラー、ノイズ、熱暴走など)でロックしヒーター7aを制御できなくなってもサブプロセッサー32によって適切にヒーター7aへの電力供給が遮断される。
【0026】
例えば、サブプロセッサー32は、メインプロセッサー31からプリントエンジン10aへの制御信号を監視し、特定の制御信号が検出されていない場合には、メインプロセッサー31からの出力が検出されていないと判定し、ヒーター7aへの電力供給を遮断させるヒーター制御信号を電源回路7bに供給する。
【0027】
なお、上述のプロセッサー間通信は、双方向通信でなくてもよく、メインプロセッサー31からサブプロセッサー32へのデータ転送が行えればよい。また、サブプロセッサー32の負荷をメインプロセッサー32の負荷より小さくして不具合が発生しにくくしてもよい。また、サブプロセッサー32には、メインプロセッサー31より最大許容温度が高いものを使用してもよい。
【0028】
この実施の形態では、温度センサー11の出力に対してメインプロセッサー31以外の検出回路がメインプロセッサー31に対して並列に設けられておらず、温度測定値へのノイズの混入が抑制される。
【0029】
次に、上記画像形成装置10の動作について説明する。
【0030】
プリントシートへのプリントのために、サブプロセッサー32は、シート搬送部10bを制御し、メインプロセッサー31は、プリントエンジン10aを制御する。その際、メインプロセッサー31は、プリント後のプリントシート101の乾燥のために、上述のようにヒーター制御信号を電源回路7bに供給してヒーター7aを制御している。他方、サブプロセッサー32は、メインプロセッサー31からの出力を監視しており、メインプロセッサー31からの出力が検出されている場合には、ヒーター7aの電源回路7bに対して特に何もしない。
【0031】
一方、メインプロセッサー31からの特定の出力が検出されていない場合には、ヒーター7aへの電力供給を遮断させるヒーター制御信号をヒーター7aの電源回路7bに供給し、電源回路7bにヒーター7aへの電力供給を遮断させる。これにより、メインプロセッサー31がロックした状況でも、ヒーター7aの温度の異常上昇が抑制される。
【0032】
以上のように、上記実施の形態によれば、温度センサー11は、ヒーター7aの温度を検出し、電源回路7bは、ヒーター7aへの電力供給を行う。メインプロセッサー31は、検出された温度に基づいて、電源回路7bへヒーター制御信号を供給して電源回路7bを制御しヒーター7aの温度を調整する。そして、サブプロセッサー32は、(a)定期的にメインプロセッサー31からの出力が検出されているか否かを監視し、(b)その出力が検出されていないと判定すると、ヒーター7aへの電力供給を遮断させるヒーター制御信号を電源回路7bに供給する。
【0033】
これにより、上述のような専用の電子回路を追加しなくても、比較的低コストで、ヒーター制御用のプロセッサー31に不具合が発生した際に適切にヒーター7aへの電力供給が遮断される。つまり、内部装置を制御するサブプロセッサー32でメインプロセッサー31の出力の監視が行われるため、専用の回路を追加する必要がなく、コストが低くなっている。
【0034】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0035】
例えば、上記実施の形態では、乾燥装置7に設けられているヒーター7aの制御を行っているが、同様にして、プリントエンジン10aに設けられているヒーターの制御を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば、プリンター、複合機などといった画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 画像形成装置
10a プリントエンジン
10b シート搬送部
11 温度センサー
31 メインプロセッサー
32 サブプロセッサー