(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164866
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】地図生成装置、地図生成方法及び地図生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20241121BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080531
(22)【出願日】2023-05-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】愛知 広樹
【テーマコード(参考)】
2C032
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB22
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD02
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181MC18
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】第1の地図から、車両が走行可能な道路を特定して第2の地図を生成する地図生成装置を提供する。
【解決手段】 第1の地図の走行実績のある道路を用いて、第2の地図を生成する地図生成装置であって、位置情報と日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得部と、第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせ部と、一台の車両による一連の走行について、車両走行情報各々が位置合わせされた複数のリンク間に、位置合わせされていない第1リンクを特定する特定部と、第1リンクに接続する車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定部と、判定部が、第1リンクに走行実績があると判定した場合に、第1リンクも第2の地図の道路として生成して、第2の地図を生成する生成部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地図において、車両の走行実績のある道路を用いて、第2の地図を生成する地図生成装置であって、
少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得部と、
前記車両走行情報各々を、少なくとも道路の情報を含み前記道路がリンクの接続により表現される第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせ部と、
一台の車両による一連の走行について、前記位置合わせ部により前記車両走行情報各々が位置合わせされることにより特定される複数のリンク間に、前記第1の地図において車両走行情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する特定部と、
前記第1リンクに接続する前記車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、前記第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記第1リンクに走行実績があると判定した場合に、前記第1リンクも前記第2の地図の道路として生成して、前記第2の地図を生成する生成部と、
を備える地図生成装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第2リンクに対して位置合わせされている車両走行情報の日時情報の時間差が、前記第1リンクを走行するのに必要と推測される時間よりも所定の閾値以上大きい場合に、前記車両は、前記第1リンクに走行実績がないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図生成装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記一連の走行において取得された車両走行情報のうち、前記第1の地図のいずれの道路に対しても位置合わせできない車両走行情報が、所定数以上又は所定割合以上存在する場合には、当該車両走行情報を判定に用いない
ことを特徴とする請求項1に記載の地図生成装置。
【請求項4】
前記車両走行情報は、更に、車両の走行時における車両の操舵角を示す操舵角情報を含み、
前記取得部は、更に、前記車両走行情報ごとに各車両走行情報における前記車両の操舵角を示す操舵角情報を取得し、
前記判定部は、前記操舵角情報が示す操舵角が、前記第1リンクと前記第2リンクとが接続する接続角に対応しない場合には、当該車両走行情報を判定に用いない
ことを特徴とする請求項1に記載の地図生成装置。
【請求項5】
前記車両走行情報は、更に、車両の走行時の走行速度を示す速度情報を含み、
前記取得部は、前記一連の走行を通して前記走行速度が所定の閾値以上の車両走行情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図生成装置。
【請求項6】
前記判定部は、更に、前記第1リンクに接続する前記車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされ、所定の条件を満たしているか否かに応じて、前記第1リンクに走行実績があるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の地図生成装置。
【請求項7】
第1の地図において、車両の走行実績のある道路を用いて、第2の地図を生成する地図生成装置のコンピュータが、
少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得ステップと、
前記車両走行情報各々を、少なくとも道路の情報を含み前記道路がリンクの接続により表現される第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせステップと、
一台の車両による一連の走行について、前記位置合わせステップにより前記車両走行情報各々が位置合わせされることにより特定される複数のリンク間に、前記第1の地図において車両走行情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する特定ステップと、
前記第1リンクに接続する前記車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、前記第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップが、前記第1リンクに走行実績があると判定した場合に、前記第1リンクも前記第2の地図の道路として生成して、前記第2の地図を生成する生成ステップと、
を実行する地図生成方法。
【請求項8】
第1の地図において、車両の走行実績のある道路を用いて、第2の地図を生成する生成装置のコンピュータに、
少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得機能と、
前記車両走行情報各々を、少なくとも道路の情報を含み前記道路がリンクの接続により表現される第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせ機能と、
一台の車両による一連の走行について、前記位置合わせ機能により前記車両走行情報各々が位置合わせされることにより特定される複数のリンク間に、前記第1の地図において車両走行情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する特定機能と、
前記第1リンクに接続する前記車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、前記第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定機能と、
前記判定機能が、前記第1リンクに走行実績があると判定した場合に、前記第1リンクも前記第2の地図の道路として生成して、前記第2の地図を生成する生成機能と、
を実現させる地図生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の地図から第2の地図を生成する地図生成装置及びその地図生成方法、地図生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に対して道案内をするナビゲーション装置に用いられる道路地図を新たに生成する際には、通常の地図に示される道路のうち、いずれの道路が車両走行可能な道路かは、人手により決定される。しかしながら、人手による決定は煩雑なものとなる。そこで、道路リンクについて、車両の走行実績に基づいて、車両が走行可能かどうかを判定することが考えられる。特許文献1には、原則的に車両の通行が制限された制限領域における通行実績のなかから、例外的に通行が許可された車両によって形成された通行実績を除外して、車両に依る通行の可否を判定する技術が開示されている。また、特許文献2には、地図データを参照して、車両が走行した未整備道路区間の沿線に一般車両が立ち寄る施設が存在する場合に、未整備道路区間が一般の車両の通行が可能な道路であると推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-030636号公報
【特許文献2】特開2010-014665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の走行実績があれば、例えば、車両のプローブ情報が対応付けられる、地図の道路に対して対応付けられるかどうかで判定することはできるものの、車両が走行できるにも関わらずプローブ情報が対応付けられない道路があった場合には、そのような道路を車両が走行可能な道路として特定できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、車両のプローブ情報を利用して、第1の地図から第2の地図を生成することができる地図生成装置及びその地図生成方法、地図生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図生成装置は、第1の地図において、車両の走行実績のある道路を用いて、第2の地図を生成する地図生成装置であって、少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得部と、車両走行情報各々を、少なくとも道路の情報を含み道路がリンクの接続により表現される第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせ部と、一台の車両による一連の走行について、位置合わせ部により車両走行情報各々が位置合わせされることにより特定される複数のリンク間に、第1の地図において車両走行情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する特定部と、第1リンクに接続する車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定部と、判定部が、第1リンクに走行実績があると判定した場合に、第1リンクも第2の地図の道路として生成して、第2の地図を生成する生成部と、を備える。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図生成方法は、第1の地図において、車両の走行実績のある道路を用いて、第2の地図を生成する地図生成装置のコンピュータが、少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得ステップと、車両走行情報各々を、少なくとも道路の情報を含み道路がリンクの接続により表現される第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせステップと、一台の車両による一連の走行について、位置合わせステップにより車両走行情報各々が位置合わせされることにより特定される複数のリンク間に、第1の地図において車両走行情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する特定ステップと、第1リンクに接続する車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップが、第1リンクに走行実績があると判定した場合に、第1リンクも第2の地図の道路として生成して、第2の地図を生成する生成ステップと、を実行する。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図生成プログラムは、第1の地図において、車両の走行実績のある道路を用いて、第2の地図を生成する生成装置のコンピュータに、少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得機能と、車両走行情報各々を、少なくとも道路の情報を含み道路がリンクの接続により表現される第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせ機能と、一台の車両による一連の走行について、位置合わせ機能により車両走行情報各々が位置合わせされることにより特定される複数のリンク間に、第1の地図において車両走行情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する特定機能と、第1リンクに接続する車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定機能と、判定機能が、第1リンクに走行実績があると判定した場合に、第1リンクも第2の地図の道路として生成して、第2の地図を生成する生成機能と、を実現させる。
【0009】
また、上記地図生成装置において、判定部は、第2リンクに対して位置合わせされている車両走行情報の日時情報の時間差が、第1リンクを走行するのに必要と推測される時間よりも所定の閾値以上大きい場合に、車両は、第1リンクに走行実績がないと判定することとしてよい。
【0010】
また、上記地図生成装置において、判定部は、一連の走行において取得された車両走行情報のうち、第1の地図のいずれの道路に対しても位置合わせできない車両走行情報が、所定数以上又は所定割合以上存在する場合には、当該車両走行情報を判定に用いないこととしてよい。
【0011】
また、上記地図生成装置において、車両走行情報は、更に、車両の走行時における車両の操舵角を示す操舵角情報を含み、取得部は、更に、車両走行情報ごとに各車両走行情報における車両の操舵角を示す操舵角情報を取得し、判定部は、操舵角情報が示す操舵角が、第1リンクと第2リンクとが接続する接続角に対応しない場合には、当該車両走行情報を判定に用いないこととしてよい。
【0012】
また、上記地図生成装置において、車両走行情報は、更に、車両の走行時の走行速度を示す速度情報を含み、取得部は、一連の走行を通して走行速度が所定の閾値以上の車両走行情報を取得することとしてよい。
【0013】
また、上記地図生成装置において、判定部は、更に、第1リンクに接続する車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされ、所定の条件を満たしているか否かに応じて、第1リンクに走行実績があるか否かを判定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る地図生成装置は、第1の地図に示される道路のうち、車両が走行した実績がある道路を、第2の地図の車両走行用の道路として採用しつつ、車両が走行した実績のない道路であっても、車両が走行した可能性がある場合に、当該道路を第2の地図の車両走行用の道路として採用して、第2の地図を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】地図生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】(a)は、地図の一部を示す一例を示す図である。(b)は、(a)付近を走行した車両から取得したプローブ情報の位置を示す図である。(c)は、(b)のプローブ情報をマップマッチングした例を示す図である。
【
図3】(a)は、初期の制御テーブルの一例を示す図である。(b)、(c)は、処理過程の制御テーブルの一例を示す図である。(d)は、処理後の制御テーブルの一例を示す図である。
【
図4】地図生成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】地図生成装置の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一態様に係る地図生成装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
<実施形態>
<構成>
本発明の一態様に係る地図生成装置は、第1の地図(
図1の141参照)において、車両の走行実績のある道路を用いて、第2の地図(
図1の142参照)を生成する地図生成装置であって、少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報を複数取得する取得部(
図1の105参照)と、前記車両走行情報各々を、少なくとも道路の情報を含み前記道路がリンクの接続により表現される第1の地図に対して、位置合わせする位置合わせ部(
図1の105参照)と、一台の車両による一連の走行について、前記位置合わせ部により前記車両走行情報各々が位置合わせされることにより特定される複数のリンク間に、前記第1の地図において車両走行情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する特定部(
図1の105参照)と、前記第1リンクに接続する前記車両の進行方向における前後の第2リンクに対して車両走行情報が位置合わせされているか否かに応じて、前記第1リンクに走行実績があるか否かを判定する判定部(
図1の105参照)と、前記判定部が、前記第1リンクに走行実績があると判定した場合に、前記第1リンクも前記第2の地図の道路として生成して、前記第2の地図を生成する生成部(
図1の105参照)と、を備える。
【0018】
図1は、地図生成装置100の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、地図生成装置100は、通信部101と、入力部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU105とを備える。
【0019】
地図生成装置100は、サーバ装置、PCなどにより実現されるコンピュータシステムであるが、これらに限定するものではなく、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末などにより実現されるものであってもよい。地図生成装置100は、一例として、第1の地図に示される道路の中から、車両が走行可能な道路を特定し、車両用のナビゲーションに用いられる道路地図である第2の地図を生成する情報処理装置であり、第1の地図の中の道路であって車両の走行実績のある道路を用いて第2の地図を生成する装置である。
【0020】
通信部101は、他の装置と、有線又は無線の通信により情報を送受信する機能を有する。通信部101は、例えば、外部の装置(例えば、プローブ情報を蓄積するセンター装置、あるいは、走行する車両等)から、プローブ情報を受信し、CPU105に伝達することとしてよい。プローブ情報は、適時、車両から送信される情報であって、少なくとも、測定した時の、日時情報及びその際の車両の位置を示す位置情報(経緯度情報)を含む。プローブ情報は、車両が走行した履歴を示す車両走行情報と換言することもできる。プローブ情報には、日時情報、位置情報の他、車両に関する情報が含まれてもよく、一例として、位置情報を測定したときの走行速度情報、操舵角情報など、車両から取得可能な情報が含まれてよい。
【0021】
入力部102は、地図生成装置100のユーザからの入力を受け付けて、CPU105に伝達する機能を有する。入力部102は、例えば、地図生成装置100に備えられたハードウェアキーや、タッチパネルやタッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。なお、入力部102に対する入力は音声による入力であってもよく、この場合、入力部102は、マイクロフォンにより実現される。入力部102は、例えば、プローブ情報に相当する情報として、車両の位置情報とその日時情報の入力を受け付けてCPU105に伝達してもよい。
【0022】
出力部103は、CPU105からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部103は、例えば、CPU105により生成された第2の地図に係る情報を出力することとしてよい。第2の地図に係る情報は、例えば、第2の地図そのものであってもよいし、第2の地図に対して採用された道路の情報であってもよいが、これらに限定するものではない。出力部103による情報の出力は、地図生成装置100に付属する、あるいは、接続されたモニタ(表示装置)等に、文字あるいは画像による出力を行うものであってもよいし、地図生成装置100に付属する、あるいは、接続されたスピーカから音声を出力するものであってもよいし、通信部101を介して外部の装置に通信による情報の出力を行うものであってもよい。
【0023】
記憶部104は、地図生成装置100が動作する上で必要とする各種のプログラム及び各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0024】
記憶部104は、第1の地
図141を記憶していることとしてよい。第1の地
図141は、少なくとも、道路がリンクにより表現され、リンク同士の接続点がノードにより表現された道路情報を含む地図情報であり、車両の走行が可能な道路と車両の走行が不可能な道路との区別が成されていない地図であってよい。第1の地
図141は、一例として、国土地理院により公表されている地図であってもよいし、特定の地図製作会社等により作成された地図であってもよいし、これ以外のものであってもよい。第1の地
図141は、通信部101を介して、外部の装置から取得したものを記憶部104に記憶していることとしてもよいし、入力部102を介して、フラッシュメモリ等により記憶されていたものを記憶していることとしてもよい。
【0025】
また、記憶部104は、CPU105により生成される第2の地
図142を記憶してもよい。また、記憶部104は、一台の車両が走行したことにより得られる一連のプローブ情報を記憶してもよい。一連のプローブ情報とは、基本的にエンジンを止めることなく走行した間に車両から送信された時間的に連続するプローブ情報のことであってよい。
【0026】
CPU105は、記憶部104に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、地図生成装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。即ち、CPU105は、記憶部104に記憶されている第1の地
図141と、取得したプローブ情報とに基づいて、第1の地
図141に登録されている道路のうち、車両が走行可能な道路を特定し、特定した道路を用いて第2の地
図142を生成する。
【0027】
CPU105は、取得部、位置合わせ部、特定部、判定部、生成部として機能してよい。
【0028】
取得部は、通信部101を介して、少なくとも車両の位置情報と、当該位置情報を取得した日時を示す日時情報とを含む車両走行情報、即ち、プローブ情報を取得し、位置合わせ部に伝達する。取得部は、入力部102を介して、ユーザによる手入力あるいは地図生成装置のポートに接続されたフラッシュメモリ等に記憶されているプローブ情報を取得するものであってもよい。取得部が取得するプローブ情報は、一台の車両の一連の継続した走行において取得されたものであることが望ましい。また、第1の地図において車両が走行可能な道路かを判定する対象となる道路付近を走行した(位置情報を有する)一連のプローブ情報であって、複数の車両のプローブ情報を取得することが望ましい。
【0029】
位置合わせ部は、取得部が取得したプローブ情報それぞれについて、それぞれの位置情報に基づいて、第1の地図の道路(リンク)に対してマップマッチングを行う。マップマッチングのアルゴリズムとしては既存のものを利用することとしてよいが、基本的には、位置情報からの直線距離が近いリンクにマッチングさせることとしてよいが、車両の走行経路を鑑みてマッチングさせるリンクを決定してもよい。なお、ここでいうマップマッチングとは、プローブ情報が示す位置情報を、第1の地図で規定されている道路としてのリンクの位置上に位置合わせする(位置を補正する)ことをいう。なお、位置合わせ部は、プローブ情報について、所定の条件を満たす(例えば、プローブ情報の位置が、第1の地図のリンクのいずれからも所定距離以上離れているなど)場合には、プローブ情報を第1の地図にマップマッチングしなくてもよい。
【0030】
特定部は、位置合わせ部がマップマッチングした一台の車両による一連の走行において取得された複数のプローブ情報それぞれが対応する複数のリンクについて、2つのリンク間で、第1の地図においてプローブ情報が位置合わせされていない第1リンクを特定する。第1リンクは、第1の地図から第2の地図において車両が走行可能な道路として格上げされる可能性がある道路であるとして、格上げ候補道路(リンク)と呼称することもある。
【0031】
判定部は、特定部が特定した第1リンクについて、車両が走行した走行実績があるか否かを判定する。通常、走行実績は、そのリンクに対してプローブ情報が位置合わせされることで確定し得るものであり、プローブ情報が一つも位置合わせされない第1リンクは本来、走行実績がないリンクとするべきである。しかし、本実施形態においては、当該第1リンクについて、プローブ情報が位置合わせされてはいないものの、その前後の第2リンク双方に走行実績がある(第2リンクに対してプローブ情報が位置合わせされている)場合に、所定の条件下で、判定部は、第1リンクにも走行実績があると判定する。
【0032】
プローブ情報は、基本的に一定期間毎(例えば、1秒、10秒、30秒、1分などであってよいが、これらに限定するものではない)に車両のGPS等により測定された位置情報に基づいて生成される。そのため、車両が走行しており、かつ、例えば、第1リンクが短い場合には、その測定間隔の間に挟まれてしまって、プローブ情報がマップマッチングされない可能性がある。そのような場合であって、前後の第2リンクを当該車両が走行している場合には、その間に挟まれた第1リンクも当然に走行している可能性が高いと考えることができる。本実施形態に係る地図生成装置100は、そのような思想のもと、第1の地図に含まれる道路の中で車両が走行可能な道路(リンク)を特定する。
【0033】
ここで、判定部が第1リンクについて、走行実績があるかどうかを判定するための所定の条件について述べる。所定の条件は、車両が、第2リンクに挟まれた第1リンクを実際には走行していない可能性がある場合を考慮して、そのような場合の第1リンクを除外するための条件のことであり、走行実績がある第2リンク間の第1リンクを確かに車両が走行した可能性が高いことを確定させるための条件である。即ち、ここでいう所定の条件は、不要な第1リンクを除外する所定の除外条件であると言える。
【0034】
所定の条件の一つとしては、第1リンクを挟む第2リンクにマップマッチングされたプローブ情報の日時情報の差分、即ち、時間差が、第1リンクを走行するのに必要と推測される時間よりも、所定の閾値以上大きいか否かであることが考えられる。即ち、第1リンクを走行するのに想定以上の時間がかかっている場合には、その車両は第1リンクを迂回した可能性があると推定することができる。このような場合には、第1リンクは、走行実績がないと判定することができる。即ち、判定部は、車両の走行方向において第1リンクの後ろの第2リンクに対して時間的に最初のプローブ情報の日時情報の時間T1と、車両の走行方向において第1リンクの前の第2リンクに対して時間的に最後のプローブ情報の日時情報の時間T2の時間差T1-T2が、第1リンクを走行するのに必要と推測される時間T3よりも所定の閾値T4以上大きい、即ち、T1-T2>T3+T4である場合には、第1リンクには走行実績がないと判定する。
【0035】
なお、第1リンクを走行するのに必要と推測される時間は、例えば、第1リンクの距離を、第2リンクのプローブ情報の速度情報で除することで得ることができる。また、あるいは、第1リンクに対して走行における上限速度が設定されている場合には、第1リンクの距離をその上限速度で除することで得ることとしてもよい。また、所定の閾値T4は、人によって運転の速度が変わったり、第1リンクまで若干の停止をしたりしたような場合などを想定して設けるものであり、判定部は、T4を加算することなく、T1-T2をT3と比較するものであってもよい。
【0036】
他の所定の条件の一つとしては、判定部は、プローブ情報に操舵角情報が含まれている場合に、その操舵角情報が示す操舵角θ1が、第1リンクと第2リンクとの接続角θ2に対応しない、即ち、θ1-θ2が、所定の範囲内(例えば、―5度から+5度の範囲内。ただし、この角度に限定するものではない)にない場合には、車両は第2リンクから別の道に移動したと考えて、第1リンクには走行実績がないと判定する。
【0037】
さらに、他の所定の条件の一つとしては、判定部は、一連の走行において取得部が取得した複数のプローブ情報について、位置合わせ部が第1の地図の道路(リンク)に対して、マップマッチングできなかったプローブ情報の個数が所定数以上ある、あるいは、所定割合以上ある場合に、第1リンクには走行実績がないと判定することとしてよい。マップマッチングできないプローブ情報が所定数以上、あるいは、所定割合以上ある場合には、プローブ情報が示す位置情報の測定精度が低い可能性があり、そのような場合には、プローブ情報の信頼精度が低い可能性がある。このような場合には、第1リンクや第2リンクの信頼精度も低い可能性があるため、判定部は、第1リンクに走行実績がないと判定することとしてよい。
【0038】
さらに、他の所定の条件の一つとしては、複数の車両についての一連の走行において、同一の第1リンクが特定された場合であって、複数の車両のうち、所定数以上あるいは所定割合以上の車両のプローブ情報が上述した条件を満たす場合に、判定部は、第1リンクに走行実績があると判定することとしてもよい。
【0039】
さらに、他の所定の条件の一つとしては、一台の車両による一連の走行において、プローブ情報が位置合わせされなかった第1リンクが特定された場合であって、当該第1リンクに対して、同一の経路を走行した他の車両のプローブ情報が位置合わせされる場合には、判定部は、第1リンクに走行実績があると判定することとしてもよい。
【0040】
なお、上記に示した複数の条件について、判定部は、(i)全ての条件を満たした場合に、第1リンクに走行実績があると判定してもよいし、(ii)所定数の条件を満たした場合に、第1リンクに走行実績があると判定してもよいし、(iii)単純に走行実績がある第2リンクに挟まれているという条件を満たすだけで第1リンクに走行実績があると判定してもよい。上記(i)~(iii)いずれの条件とするかは、地図生成装置100のオペレータ等により任意に設定されてよい。
【0041】
生成部は、判定部が走行実績有りと判定した第1リンクについて、車両が走行可能な道路であるとして、第2の地図を生成する。即ち、生成部は、判定部が走行実績有りと判定した第1リンクについて、走行実績がある第2リンクとともに、第2の地
図142に登録する。
【0042】
以上が、地図生成装置100の構成例である。
【0043】
<地図生成装置の動作例>
ここから、地図生成装置100による第2の地図に登録される道路の特定処理について、
図2、
図3を参照しながら、
図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
まずは、
図4のフローチャートにしたがって、地図生成装置100の動作を説明し、その後に、
図2、
図3を用いて具体的に説明する。
【0045】
図4に示すように、CPU105の取得部は、一連の走行の複数のプローブ情報を取得する(ステップS401)。一連の走行とは上述したように一台の車両により、エンジンを始動させてから、停止させるまでの間の走行であってよいし、その間の所定の時間幅の間の走行のことであってもよい。取得部は、取得した複数のプローブ情報を位置合わせ部に伝達する。
【0046】
位置合わせ部は、伝達された複数のプローブ情報を、第1の地
図141のリンクに対して、マップマッチングを行う(ステップS402)。
【0047】
特定部は、位置合わせ部によりマップマッチングされたプローブ情報が対応する道路それぞれに対して、一連の走行における走行方向に昇順にグループ番号と、グループ番号内のシーケンス番号を割り付ける(ステップS403)。グループ番号は、一連の走行において、連続して接続されるプローブ情報がマップマッチングされた複数のリンクがある場合に、当該複数のリンクに対して同じグループ番号を割り付ける。そして、一連の走行の間に、プローブ情報がマップマッチングされなかったリンクがあった場合に、そこで、グループ番号が切り替わるようにグループ番号を割り付ける。シーケンス番号は、同じグループ番号を有するリンクに対して、一連の走行における走行方向において走行した昇順にシーケンス番号を割り付けて、制御テーブルを生成する。
【0048】
特定部は、グループ番号が連続する2つのグループのグループ番号が小さい方のシーケンス番号が最も大きいリンクと、グループ番号が大きい方のシーケンス番号が最も小さいリンクとの間のリンクを第1リンクとして特定し、格上げ候補道路(リンク)に設定する(ステップS404)。特定部は、特定した第1リンク(格上げ候補道路)の情報を判定部に伝達する。
【0049】
判定部は、特定部が特定した第1リンク(格上げ候補道路)について、所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS405)。即ち、判定部は、第1リンクに走行実績があるか否かを判定する。満たさない場合には(ステップS405のNO)、格上げ候補道路を、格上げ対象から削除し(ステップS409)、処理を終了する(もしくは、次の格上げ候補道路の判定に移行する)。
【0050】
第1リンクが、走行実績があると判定される所定の条件を満たす場合には(ステップS405のYES)、格上げ候補道路を制御テーブルに追加する(ステップS406)。そして、これによって、2つのグループは追加された第1リンクによって接続されることになるので、この2つのグループと、追加した格上げ候補道路のグループ番号を、同じグループ番号、即ち、若い方のグループ番号に統一し、統一したグループ番号内でシーケンス番号をふりなおす(ステップS407)。判定部は、ステップS405からステップS407を、全ての第1リンクについて処理を実行する。
【0051】
生成部は、このようにして、制御テーブルにおいて、同一のグループとなった全てのリンクを、第2の地
図142に用いる道路として、登録(第2の地図を生成)し(ステップS408)、処理を終了する。
【0052】
これによって、地図生成装置100は、第2の地図を生成する。以上が、地図生成装置100による第1の地図から第2の地図の生成処理である。
【0053】
【0054】
図2(a)は、第1の地
図141の一部を示す一例であり、道路地図の一例を示す図である。
図2(a)に示すように、第1の地
図141は、道路を示すリンクA~Mが、道路の接続点であるノードa~gを介して接続される態様で表現される地図情報である。
図1に示されるように、ノードaとノードbとをリンクAが接続し、ノードbには、リンクBとリンクHとリンクKも接続されている。ノードbに接続するリンクBには、ノードcが接続され、ノードcには、リンクCとリンクIとリンクLが接続されている。ノードcに接続するリンクCには、ノードdが接続され、ノードdには、ノードeに接続されるリンクDが接続されている。ノードeには、ノードfにも接続されるリンクEが接続されている。ノードfには、リンクEの他、リンクFとリンクJも接続され、リンクFにはノードgが接続されている。そして、ノードgには、リンクGとリンクMとが接続されている。このような態様の第1の地
図141において、
図2(b)に示すように、車両のプローブ情報が取得されたとする。
【0055】
図2(b)には、
図2(a)に示した第1の地
図141に対して、車両のプローブ情報をそれぞれが示す位置そのままでプロットした例を示している。図中の黒丸がプローブ情報である。ここでは、紙面左側のプローブ情報の日時情報の方が、紙面右側のプローブ情報よりも早いものであるとする。これらのプローブ情報からすると、
図2(b)の段階では、車両は、リンクA、B、C、D、E、F、GあるいはリンクA、B、C、D、E、F、Mという順に道路を走行したものと推定される。
【0056】
図2(c)は、位置合わせ部により、各プローブ情報を、第1の地
図141のリンクにマップマッチングした例を示している。
図2(c)では、リンクAには、3つのプローブ情報が、リンクCにも3つのプローブ情報が、リンクE、Fには2つのプローブ情報が、そして、リンクGに3つのプローブ情報がマップマッチングされている例を示している。このことから、リンクA、C、E、F、Gについては、プローブ情報がマップマッチングされているので、走行実績がある道路として判定され、第2の地
図142において用いる地図として特定される。
【0057】
図2(c)に示す情報に基づいて、特定部は、
図3(a)に示す制御テーブル300を生成する。制御テーブル300は、第1の地
図141においてどの道路かを一意に特定可能な情報である道路301と、当該道路301に対して割り付けられるグループ番号302と、当該道路301に対して対応するグループ番号302内でのシーケンス番号303とが対応付けられた表である。
図2(c)から理解されるように、リンクAとリンクCとの間には、マップチングされなかったものの、リンクA及びリンクCにノードを介して接続するリンクBが存在し、リンクCとリンクEとの間には、それぞれにノードを介して接続するリンクDが存在する。したがって、特定部は、リンクAと1つのグループ、リンクCを別の1つのグループ、リンクE、F、Gを1つのグループとして、それぞれグループ番号を昇順に割り付ける。したがって、
図3(a)に示されるように、リンクAは、グループ番号1となり、リンクCは、グループ番号2となり、リンクE、F、Gは、グループ番号3となる。リンクA、Cは、共にグループ内で一つのリンクしか存在せず、シーケンス番号は共に1となる。一方で、グループ番号3には、3つのリンクE、F、Gが存在するので、それぞれ昇順に、シーケンス番号303を、1、2、3と設定する。このように、特定部は、
図2(c)に基づいて(位置合わせ部によるマップマッチングの結果に基づいて)、初期の制御テーブル300を
図3(a)に示すように生成する。
【0058】
次に特定部は、制御テーブル300において連続する二つのグループの間に、第1の地
図141においてリンクが一つだけ存在するか(接続されているか)否かを判定する。例えば、リンクAとリンクCとは、異なるグループであって、連続する二つのグループに該当し、リンクAとリンクCとの間には、
図2(a)に示されるように、一つのリンクBによって接続されていることが理解される。このような場合には、特定部は、リンクBを第1リンクとして特定し、
図3(b)に示されるように、リンクAとリンクCとの間に、リンクBの欄を挿入する。
【0059】
判定部は、制御テーブル300に追加されたリンクBについて、走行実績がある道路か否かを判定する。そして、走行実績があると判定した場合には、リンクBに対して、グループ番号が若い方のグループ番号を割り付ける。これによって、リンクCはリンクBと接続されているので、リンクA、B、Cは一つながりのリンクとなるので、同じグループとなる。よって、リンクCのグループ番号を、2から1に変更する。これによって、リンクA、B、Cは同じグループになるので、シーケンス番号をAから順に、1、2、3とふり直す。この結果、判定部により、制御テーブル300は、
図3(b)に示す状態から、
図3(c)に示す状態に変更(更新)される。
【0060】
特定部および判定部は、同様に、連続するグループ1とグループ3とについても同様の処理を行う。これによって、特定部によりリンクDが第1リンクとして、特定され、判定部によってリンクDも走行実績のあるリンクとして判定されたものとする。この結果、
図3(d)に示すように、制御テーブル300が変更され、リンクA~Gは全て同じグループになり、これらの道路は、車両が走行可能な道路として特定され、第2の地
図142に用いる道路として採用される。
【0061】
このようにして、地図生成装置100は、第1の地
図141に含まれる道路について車両が走行可能な道路を特定して、第2の地
図142を生成することができる。特に、車両が走行した走行実績がとりにくい(プローブ情報がマップマッチングされにくい)短いリンクについても、地図生成装置100は、車両の走行実績があるかを判定し、第2の地
図142に利用できるかを特定することができる。
【0062】
<まとめ>
上述したように、地図生成装置100は、第1の地
図141において、車両の走行実績がある2つのリンクに挟まれたリンクについても、車両の走行方向、走行順序から、走行した実績があると推定して、第2の地
図142を生成することができる。したがって、既存の地図と車両のプローブ情報とから車両が走行可能な道路が規定された地図を生成することができるので、実際の場所に行って車両が走行可能かどうかを確認せずとも、車両が走行可能である確度が高い道路地図を生成することができる。
【0063】
<補足>
上記実施の形態に係る検索装置や生成装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0064】
(1)上記実施の形態においては、地図生成装置100は、車両に備えられたナビゲーション装置用の地図を生成する装置として実現されてよい。即ち、上記実施の形態に示した第2の地
図142は、ナビゲーション装置等の記憶部に記憶されて、出発地(現在地であってもよい)と目的地の入力を受けて、第2の地
図142に規定されている道路を利用して探索する経路探索に利用することができる。
【0065】
(2)上記実施の形態において、取得部は、所定の速度以上で走行している車両のプローブ情報を取得するものであってもよい。車両の走行速度は、プローブ情報に含まれていてもよいし、一連の走行における2つのプローブ情報における車両の位置情報の差分に基づく距離と、時間差とから算出することとしてもよい。所定の速度以上で走行している車両のプローブ情報を取得することで、実際に走行していることが保証される。なお、上記実施の形態に示した第1リンクは、車両が所定速度以上で走行している場合に発生しやすいと考えられ、取得部は、そのような車両のプローブ情報を取得することとしてよい。
【0066】
(3)上記実施の形態において、制御テーブルを生成して、第1リンクが格上げ可能かどうか(第2の地図の車両が走行可能な道路として採用するか否か)を判定することとしたが、制御テーブルは必須の構成ではない。位置合わせ部が一連の走行で取得されるプローブ情報をマップマッチングした複数のリンクにおいて、特定部は、第1の地図において、リンク間に空きがある場合に、その空きの位置に存在するリンクを第1リンクとして特定し、判定部は、特定部が特定した当該第1リンクそれぞれについて、走行実績があるか否かを判定して、第2の地図の道路として採用するかどうかを判定することとしてもよい。
【0067】
(4)上記実施の形態において、取得部は、第1の地図において、第2の地図の道路として採用可能かどうかを判定する対象となる第1リンクについて、判定部は、その前後(両隣)のリンク(第2リンク)に走行実績があるか否かに基づいて判定している。このとき、判定部は、特定部が特定した第1リンクについて、車両が走行した走行実績があるか否かを判定するにあたり、第2リンクに対してプローブ情報が位置合わせされる(あるいは第2リンクに走行実績がある)だけでなく、更に、所定の条件を満たすか否かに基づいても、第1リンクに走行実績があるか否かを判定するようにしてもよい。即ち、判定部は、特定部が特定した第2リンクに対してプローブ情報が位置合わせされており(又は第2リンクに走行実績があり)、かつ、所定の条件を満たす場合に、第1リンクに走行実績があると判定するように構成されてもよい。ここで、所定の条件とは、第1リンクに走行実績があると判断するに足る条件であればよい。一例として、所定の条件とは、位置合わせされた各プローブ情報の位置情報が示す位置から当該プローブ情報(第1リンクに最も近いプローブ情報)が位置合わせされた第2リンクまでの距離と、当該プローブ情報の位置から第1リンクまでの最短距離と、の差分が所定距離以内であることであってよい。これは、第1リンクの両隣の第2リンクに位置合わせされたプローブ情報が、第1リンクに位置合わせされた可能性があったと判断することができるので、このような場合には、車両が第1リンクを走行した可能性が高いことを補強する条件となり得る。
【0068】
また、所定の条件として、判定部は、対象のリンク(第1リンク)の前後の(両隣)のリンクのうち、一方のリンク(第2リンク)にプローブ情報が位置合わせされており、他方のリンク(反対側の第2リンク)に走行実績があると認定できるほどプローブ情報が位置合わせされていない場合に、他方のリンクが公道であり、幅員(道路幅)が3m以上という条件に該当する場合には、対象のリンクを、第2の地
図142の道路として採用可能な(格上げ可能な)道路として判定するようにしてもよい。即ち、対象のリンクを挟むリンクについて、一方に走行実績があり、他方が走行実績があると判定するには弱い状況であっても所定の条件を満たすリンクである場合には、対象の道路を格上げ道路と判定するようにしてもよい。なお、走行実績があると判定するには弱いとは、第2リンクに対して1以上のプローブ情報が位置合わせされてはいても、当該第2リンクの全体に対してプローブ情報が位置合わせされていない(例えば、第2リンクのうち第1リンク寄りの一部分にのみプローブ情報が位置合わせされているような場合など)ことであってよい。逆に、第2リンクにプローブ情報に基づいて走行実績があるとは、第2リンク全体に対してプローブ情報が位置合わせされている場合のことであってもよい。一具体例として、例えば、第2リンクを、端部領域、当該端部領域とは反対側の端部領域、そして、両端部領域に挟まれた中央領域の3つ(3つに限定するものではなく、2以上であればよい)の領域に分け、全領域に対してプローブ情報が位置合わせされていたら、当該第2リンクには走行実績があると判定してよい。また、あるいは、例えば、所定数以上のプローブ情報が位置合わせされていれば、その第2リンクには走行実績があると判定するようにしてもよい。第2リンクのいずれか一方が、第1リンクよりも幅が広くなっている、あるいは、第1リンクの幅が狭い場合などには、プローブ情報は、第1リンクにはマップマッチングしにくくなる可能性が高くなる。つまり、本来は、第1リンクにマップマッチングされるべきプローブ情報が、地形(道路形状)の関係上、その両隣の第2リンクにマップマッチングされてしまう可能性がある。このような道路形状に基づく条件も第1リンクに走行実績があるか否かを判定するための条件に追加し、追加条件の1つ又は複数、あるいは全部の条件を満たす場合に、第1リンクに走行実績があると判定するように構成してもよい。なお、ここでいう所定の条件は、上記実施の形態において不要な第1リンクを除外するための除外条件と組み合わせる、もしくは、含むこととしてもよい。
【0069】
(5)上記実施の形態において、第2リンクに走行実績があるか否かについて、車両のプローブ情報が位置合わせされている場合に走行実績があると判定する例を説明しているが、これは、第2リンク(道路)を直接目視により車両が走行している実績があることを示す情報がある場合に、当該情報で代替することとしてもよい。また、あるいは、第2リンク(道路)を撮像した撮像映像に、車両が走行している様子が含まれている場合に、第2リンクに走行実績があると判定するようにしてもよい。
【0070】
(6)上記実施の形態においては、地図生成装置における第1の地図から車両が走行可能な道路(リンク)を抽出して第2の地図を生成する手法について、地図生成装置のプロセッサが所定のプログラム等を実行することにより、特定することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能は1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。すなわち、
図5に示すように、地図生成装置100は、通信回路101a、入力回路102a、出力回路103a、記憶回路104a、制御回路105a、とから構成されてよく、それぞれ、通信部101、入力部102、出力部103、記憶部104、CPU105、に相当する。
【0071】
また、上記プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。つまり、例えば、スマートフォン等の情報処理機器を利用して、ネットワーク上からプログラムをダウンロードして実行する構成としてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0072】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、C++、Python、Rなどのオブジェクト指向プログラミング言語などを用いて実装できるが、これらの言語は一例である。
【0073】
(7)上記実施の形態に示した各種の実施例は適宜組み合わせることとしてもよい。また、フローチャートに示した各動作は、結果として矛盾がなければその実行順序を入れ替えたり、並列に実行したりすることとしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
100 地図生成装置
101 通信部
102 入力部
103 出力部
104 記憶部
105 CPU(取得部、位置合わせ部、特定部、判定部、生成部)
141 第1の地図
142 第2の地図