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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164868
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20241121BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080535
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 毅晟
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB15
5E223AB20
5E223AB76
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB24
5E223CB31
5E223CB84
5E223CD01
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA13
(57)【要約】
【課題】ハウジングとペグとの固定力を高める。
【解決手段】幅方向の両端部に位置する一対の外壁面33を有し、外壁面33に圧入部30が形成されたハウジング20と、回路基板100に固着される固着部85と、外壁面33を覆うように配置された板状部71と、を有し、板状部71の外縁部から突出した圧入突起72を圧入部30に圧入することによってハウジング20に固定された金属製のペグ70と、を備え、板状部71は、板状部71の外縁部から離隔した領域に位置し、外壁面33に食い込む係止部77を有するコネクタ10。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の両端部に位置する一対の外壁面を有し、前記外壁面に圧入部が形成されたハウジングと、
回路基板に固着される固着部と、前記外壁面を覆うように配置された板状部と、を有し、前記板状部の外縁部から突出した圧入突起を前記圧入部に圧入することによって前記ハウジングに固定された金属製のペグと、を備え、
前記板状部は、前記板状部の外縁部から離隔した領域に位置し、前記外壁面に食い込む係止部を有するコネクタ。
【請求項2】
前記板状部は、
板厚方向に貫通しつつ、前後方向に離隔した位置において、前記回路基板と交差する方向に延びる一対の第1切込み部と、
板厚方向に貫通しつつ、一対の前記第1切込み部の前記回路基板から遠い側の端部同士を繋ぐ第2切込み部と、を有し、
前記板状部のうち前記一対の第1切込み部と前記第2切込み部とによって区画され、且つ前記外壁面側へ傾いた部位が、前記係止部として機能する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記係止部は、前記第2切込み部を長辺とする長方形をなしている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記圧入突起は、前記板状部の前後両側縁において、前記第1切込み部の長さ方向に離隔して配置された第1圧入突起と第2圧入突起とを含み、
前記第1切込み部の形成範囲が、前記第1圧入突起と前記第2圧入突起との間の領域のみに設定されている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記板状部は、前記第1圧入突起と、前記第2圧入突起との間において、前記板状部の前記前後両側縁から、前記幅方向の外側に延出した一対の補強部を有する請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記外壁面は、前記補強部に対して前記固着部側から対向する第1規制面を有する請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記外壁面は、前記外壁面に対する前記補強部の前記幅方向外側への相対変位を規制する第2規制面を有する請求項5又は請求項6に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のコネクタは、回路基板に実装されるコネクタハウジング(以下、ハウジングともいう。)と、回路基板とはんだ固定するための固定金具(以下、ペグともいう。)を備えている。ハウジングの両側面には、ペグ外側縁の外側に突出する圧入部(以下、圧入突起部ともいう。)を圧入保持する圧入装着部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-49331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のペグは、圧入突起部と、圧入装着部との嵌合のみによって、ハウジングに固定されていたため、ハウジングとの固定力が弱く、例えば、リフローの際にハウジングが変形し、ハウジングが回路基板側に変位するおそれがあった。
【0005】
本開示は、ハウジングとペグとの固定力を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
幅方向の両端部に位置する一対の外壁面を有し、前記外壁面に圧入部が形成されたハウジングと、
回路基板に固着される固着部と、前記外壁面を覆うように配置された板状部と、を有し、前記板状部の外縁部から突出した圧入突起を前記圧入部に圧入することによって前記ハウジングに固定された金属製のペグと、を備え、
前記板状部は、前記板状部の外縁部から離隔した領域に位置し、前記外壁面に食い込む係止部を有するコネクタ。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ハウジングとペグとの固定力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1のコネクタの斜視図である。
図2図2は、実施形態1のコネクタの拡大斜視図である。
図3図3は、実施形態1のコネクタの備えるペグの斜視図である。
図4図4は、実施形態1のコネクタの側断面図である。
図5図5は、実施形態1のコネクタの係止部を表す拡大正断面図である。
図6図6は、実施形態1のコネクタの補強部を表す拡大正断面図である。
図7図7は、実施形態1のコネクタの備える端子金具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
本開示のコネクタは、
(1)幅方向の両端部に位置する一対の外壁面を有し、前記外壁面に圧入部が形成されたハウジングと、回路基板に固着される固着部と、前記外壁面を覆うように配置された板状部と、を有し、前記板状部の外縁部から突出した圧入突起を前記圧入部に圧入することによって前記ハウジングに固定された金属製のペグと、を備え、前記板状部は、前記板状部の外縁部から離隔した領域に位置し、前記外壁面に食い込む係止部を有する。この構成によれば、ペグは、圧入部に対する圧入突起の圧入に加え、外壁面に対する係止部の食い込みによってもハウジングに固定される。
【0010】
(2)(1)に記載のコネクタにおいて、前記板状部は、板厚方向に貫通しつつ、前後方向に離隔した位置において、前記回路基板と交差する方向に延びる一対の第1切込み部と、板厚方向に貫通しつつ、一対の前記第1切込み部の前記回路基板から遠い側の端部同士を繋ぐ第2切込み部と、を有し、前記板状部のうち前記一対の第1切込み部と前記第2切込み部とによって区画され、且つ前記外壁面側へ傾いた部位が、前記係止部として機能する。この構成によれば、係止部が、外壁面に対して回路基板側から支持するように食い込むため、リフロー時におけるハウジングの回路基板側への変位を防止できる。
【0011】
(3)(2)に記載のコネクタにおいて、前記係止部は、前記第2切込み部を長辺とする長方形をなしている。この構成によれば、係止部が第1切込み部を長辺とする長方形をなしている場合に比べると、係止部の上面における外壁面の食込み面積を増やせるため、リフロー時におけるハウジングの回路基板に接近する方向への変位を効果的に防止できる。
【0012】
(4)(3)に記載のコネクタにおいて、前記圧入突起は、前記板状部の前後両側縁において、前記第1切込み部の長さ方向に離隔して配置された第1圧入突起と第2圧入突起とを含み、前記第1切込み部の形成範囲が、前記第1圧入突起と前記第2圧入突起との間の領域のみに設定されている。この構成によれば、第1圧入突起と第2圧入突起は、板状部のうち第1切込み部と第2切込み部の形成に起因して剛性低下が懸念される剛性低下懸念部位から外れた位置に配置される。したがって、圧入部と圧入突起との圧入による固定力の信頼性に優れている。
【0013】
(5)(4)に記載のコネクタにおいて、前記板状部は、前記第1圧入突起と、前記第2圧入突起との間において、前記板状部の前記前後両側縁から、前記幅方向の外側に延出した一対の補強部を有する。この構成によれば、板状部のうち前後両側縁と第1切込み部との間の部位が、補強部によって補強される。よって、一対の第1切込み部、及び第2切込み部の形成に起因する板状部の剛性低下を防止できる。
【0014】
(6)(5)に記載のコネクタにおいて、前記外壁面は、前記補強部に対して前記固着部側から対向する第1規制面を有する。この構成によれば、補強部が第1規制面に係止することによって、ハウジングに対するペグの固着部側への相対移動を規制することができる。
【0015】
(7)(5)又は(6)に記載のコネクタにおいて、前記外壁面は、前記外壁面に対する前記補強部の前記幅方向外側への相対変位を規制する第2規制面を有する。この構成によれば、板状部が第2規制面に係止することによって、ハウジングに対するペグの幅方向外側への相対移動を規制することができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0017】
[実施形態1]
コネクタ10は、ハウジング20と、ペグ70とを備えている。以下の説明において、前後方向については、図1-4,7において、「前側」を「F」で表している。上下方向については、各図において、「上側」を「U」で表している。左右方向については、各図において、「右側」を図1-3,5-7において、「R」で表している。なお、ハウジングの幅方向は、本実施形態1において、左右方向である。
【0018】
[ハウジング20]
ハウジング20は、合成樹脂製である。図1に示すように、ハウジング20は、幅方向に延び、板厚方向を前後方向に向けて配置される壁部21と、壁部21の外縁から角筒状に前向きに突出するフード部23と、を有している。フード部23内には、相手側コネクタ(図示省略)が嵌合されるようになっている。フード部23は、上下方向に間隔を空けて配置された上壁25及び下壁27と、左右方向に間隔を空けて配置された一対の側壁29と、を有している。壁部21は、後述する端子金具90を圧入させるための圧入孔31を複数有している。
【0019】
本実施形態において、ハウジング20に形成される一対の側壁29の外側面を、外壁面33と定義する。本実施形態1のコネクタ10は、ハウジング20の外壁面33に圧入部30を有している。図1に示すように、圧入部30には、第1圧入凹部39、及び第2圧入凹部53が形成されている。ペグ70は、第1圧入凹部39、及び第2圧入凹部53への圧入によって固定される。図4に示すように、圧入部30に形成された第1圧入凹部39、及び第2圧入凹部53に、後述するペグ70の第1圧入突起73、及び第2圧入突起75が圧入されている。
【0020】
図1に示すように、圧入部30は、1つの外壁面33の前端部、及び後端部から、ハウジング20の幅方向の外側に突出する部位である。一対の圧入部30は、1つの外壁面33において前後方向に互いに対向している。一対の圧入部30の上端部には、外壁面33と対向する内面に、前後方向において対向するように、縦長スリット状をなす第1圧入凹部39が形成されている。図5図6で示すように、第1圧入凹部39は、第1対向壁41と、第1側壁43と、第1底壁45とで形成されている。第1対向壁41は、外壁面33と対向するように形成される。第1側壁43は、外壁面33と第1対向壁41とを圧入部30の前端部、及び後端部において繋いでいる。第1底壁45は、外壁面33、第1対向壁41、及び第1側壁43により囲まれた空間の底部を形成する。第1底壁45の前後両端部のうち外壁面33の前後方向中央側の端部には、外壁面33の前後方向における中央に向かって、下方に傾斜する傾斜面47を有している。傾斜面47は、第1底壁45の前後両端部のうち第1側壁43とは反対側の端部において、第1側壁43から遠ざかるのに伴い下方に傾斜している。第1対向壁41の前後両端部のうち中央側端部は、中央側端部に向かって広がるように湾曲している。第1対向壁41の上端部は、幅方向における中央に向かって下方に傾斜する第1テーパ部49を有している。第1側壁43の上端部は、前後方向における中央に向かって下方に傾斜する第2テーパ部51を有している。第1圧入凹部39は、一対の圧入部30にそれぞれ形成されている。
【0021】
図4図6で示すように、圧入部30の下端部には、外壁面33と対向する内面に、前後方向において縦長スリット状をなす第2圧入凹部53が形成されている。第2圧入凹部53は、一対の圧入部30にそれぞれ形成されている。一対の第2圧入凹部53は、一対の第1圧入凹部39よりも下方にそれぞれ形成されている。図6で示すように、第2圧入凹部53は、第2対向壁55と、第2側壁57と、第2底壁59とで形成されている。第2対向壁55は、外壁面33と対向するように形成される。第2側壁57は、一対の圧入部30において、外壁面33と第2対向壁55の前端、及び後端同士を繋いでいる。第2底壁59は、外壁面33、第2対向壁55、及び第2側壁57により囲まれた空間の底部を形成する。図4に示すように、第2側壁57は、第1側壁43よりも、外壁面33の前後方向における中央側に形成されている。
【0022】
図6に示すように、圧入部30は、第2対向壁55の上端に繋がり、第2対向壁55の上端からハウジング20の幅方向の外側に向かって垂直に延びる第1規制面61を有している。第1規制面61は、一対の圧入部30にそれぞれ形成されている。第1規制面61は、ペグ70が装着された状態において、後述する補強部79の下端に離間して対向するように配置されている。第1規制面61は、第1底壁45と、第2底壁59の間の高さに形成されている。
【0023】
図6に示すように、圧入部30は、第1規制面61のハウジング20の幅方向の外側端部に繋がり、第1規制面61に対して垂直上方向に延びる、第2規制面63を有している。第2規制面63は、外壁面33と対向するように形成されている。図4に示すように、第2規制面63は、第1側壁43よりもハウジング20の前後方向における中央側に形成されている。
【0024】
[ペグ70]
ペグ70は、金属製である。ペグ70は、板状部71と、固着部85を有する単一部品である。図2に示すように、板状部71は、圧入部30に圧入されることによってハウジング20に取り付けられ、外壁面33を覆うように配置される。固着部85は、板状部71の下端部からハウジング20の幅方向外側へ突出している。固着部85は、はんだにより回路基板100に固着される。
【0025】
図3に示すように、板状部71は、平板形状をなし、板厚方向を左右方向に向けている。板状部71は、一対の圧入突起72と、係止部77と、一対の補強部79と、を有している。一対の圧入突起72は、一対の第1圧入突起73と、一対の第2圧入突起75とによって構成される。一対の第1圧入突起73は、板状部71の上端部において、外側縁71Sの前後両端から突出する部位である。図4で示すように、第1圧入突起73は、圧入部30に形成された一対の第1圧入凹部39に圧入されている。一対の第2圧入突起75は、板状部71の下部において、外側縁71Sの前後両端から突出する部位である。第2圧入突起75は、圧入部30に形成された一対の第2圧入凹部53に圧入されている。一対の補強部79は、第1圧入突起73と、第2圧入突起75との間において、板状部71の左右両端から、外壁面33に対して垂直をなし、第2規制面63に向かって幅方向の外側に延びている。図3に示すように、補強部79の上端は、第1圧入突起73の下端よりも低い位置にある。補強部79の下端は、第2圧入突起75の上端よりも高い位置にある。図5に示すように、補強部79は、第1規制面61の直上において、離間して対向する位置に配置されている。
【0026】
係止部77は、図4に示すように、板状部71において、第1圧入突起73の下端と第2圧入突起75の上端との間に配置されている。板状部71には、板厚方向に貫通し、前後方向に離隔した位置において、回路基板100と交差する方向に延びる一対の第1切込み部81が形成されている。板状部71には、板厚方向に貫通し、一対の第1切込み部81の上端部同士をつなぐように前後方向に延びる第2切込み部83が形成されている。板状部71のうち、一対の第1切込み部81と第2切込み部83とによって区画され、外壁面33側へ傾いた部位は、係止部77として機能する。一対の第1切込み部81は、第2圧入突起75の直上の高さから第1圧入突起73の直下の高さまで互いに上方向に平行に延びている。係止部77は、図4に示すように、一対の第1切込み部81、第2切込み部83、及び第1切込み部81の下端同士を繋ぐ線分Lとで囲まれる長方形の領域に形成される。係止部77は、切り起こしによって、板状部71の内側面(外壁面33との対向面)よりも、ハウジング20側(外壁面33側)に突出している。図5で示すように、係止部77の上端部は、板状部71の内側面(外壁面33との対向面)よりも、ハウジング20側(外壁面33側)に突出している。係止部77は、板状部71、及び外壁面33に対して斜め姿勢である。係止部77は、切り起こしにより、上方へ片持ち状に延出している。
【0027】
ハウジング20内には、端子金具90が圧入される。端子金具90の前端部は、フード部23内に突出している。図7に示すように、端子金具90は、導電性を有する金属からなり、横断面が略矩形をした細長い棒材を2箇所で略直角にそれぞれ折り曲げ加工して形成される。端子金具90は、前後方向に直線状に延びる端子接続部91と、端子接続部91に連なる基板接続部93とを有している。端子接続部91の後端部には、凸部97が形成されている。基板接続部93は、第1屈曲部95を介して端子接続部91の後端に連なり、第1屈曲部95から下方へ延出している。基板接続部93は、端子金具90を側方から見た側面視においてL字形に屈曲した形状をなしている。基板接続部93の後端部は、回路基板100に接続されている。端子金具90の表面には、相手側端子(図示省略)との電気的接続を良好にするため、金メッキが施されている。
【0028】
[コネクタ10の作用効果]
コネクタ10は、以下のように回路基板100に実装される。まず、端子金具90を、ハウジング20の各圧入孔31に圧入させる。端子金具90の凸部97を、圧入孔31の内壁に食い込ませることにより、端子金具90が位置決めされる。端子金具90が位置決めされた状態において、端子金具90の前端部は、フード部23内に突出する。
【0029】
次に、ペグ70をハウジング20に取り付ける。具体的には、ペグ70の第1圧入突起73を第1圧入凹部39に対して上方から圧入する。図6に示すように、第1圧入突起73の板厚は、第1圧入凹部39の左右幅と略同一であるため、第1圧入突起73の圧入によって、ペグ70がハウジング20に対して固定される。第1圧入凹部39は、傾斜面47、第1テーパ部49、第2テーパ部51により、第1圧入突起73を圧入しやすい形状となっている。
【0030】
同時に、第2圧入突起75が、第2圧入凹部53に対して、上方から圧入される。図6に示すように、第2圧入突起75の板厚は、第2圧入凹部53の左右幅と略同一であるため、第2圧入突起75の圧入によって、ペグ70がハウジング20に対して位置決めされる。第1圧入突起73、及び第2圧入突起75を、上方から圧入部30に対して圧入すると、係止部77が、外壁面33に食い込む。図5に示すように、係止部77の上端面77Uは、幅方向の外側から、外壁面33に食い込んでいる。ペグ70とハウジング20とが固定された状態において、係止部77は、上端面77Uによって、外壁面33に対して下側から支持するように食い込むため、ペグ70に対するハウジング20の下方への変位を防止できる。上記のように、ペグ70は、ハウジング20に対して一対の第1圧入突起73、一対の第2圧入突起75、係止部77により異なる5箇所において、ハウジング20に固定されるため、外部の力に対し、ペグ70とハウジング20が相対変位を生じにくい。
【0031】
ハウジング20に、端子金具90、及びペグ70の装着されたコネクタ10は、回路基板100に対してリフローによって実装される。具体的には、各端子金具90の基板接続部93の後端部とペグ70の固着部85が回路基板100の表面に形成された半田ペースト上に載せられる。そして、図示しないリフロー炉の中で半田が溶融される。その後、冷却固化されることにより、ペグ70が回路基板100にはんだ付けして固定される。これにより、各端子金具90の基板接続部93は、回路基板100の導電部にはんだ付けして接続される。
【0032】
リフロー炉の中で加熱されることにより、ハウジング20の幅方向の両端部は、ペグ70に対し、下方へ相対変位しようとする。しかし、第1圧入突起73、第2圧入突起75、係止部77の係止作用により、ハウジング20の幅方向の両端部は、下方への変位を抑えられる。従って、本実施形態1のコネクタ10は、リフロー炉の中のような高温環境下においても、ハウジング20の変形を抑制できる。これにより、コネクタ10は、回路基板100との接続信頼性を確保できる。上記のリフロー工程により、コネクタ10の組み付け、実装が完了する。
【0033】
実施形態1のコネクタ10は、ハウジング20と、金属製のペグ70を備えている。ハウジング20は、幅方向の両端部に位置する一対の外壁面33を有している。外壁面33には、圧入部30が形成されている。金属製のペグ70は、回路基板100に固着される固着部85と、外壁面33を覆うように配置された板状部71とを有している。板状部71は、外側縁71Sから突出した第1圧入突起73、第2圧入突起75を有している。ペグ70は、第1圧入突起73、第2圧入突起75に、第1圧入凹部39、第2圧入凹部53をそれぞれ圧入することによって固定されている。板状部71は、板状部71の外側縁71Sから離隔した領域に位置し、外壁面33に食い込む係止部77を有する。この構成によれば、ペグ70は、圧入部30に対する圧入突起72の圧入に加え、外壁面33に対する係止部77の食い込みによってもハウジング20に固定される。詳細には、ペグ70の第1圧入突起73と第2圧入突起75は、第1圧入凹部39と、第2圧入凹部53にそれぞれ食い込む。よって、ペグ70は、ハウジング20に対して前後方向に固定される。さらに、係止部77が外壁面33に食い込むことにより、ペグ70は、ハウジング20に対して上下方向及び左右方向に固定される。これにより、コネクタ10は、リフロー時における、ハウジング20の回路基板100側への変位を減少させて、コネクタ10と回路基板100の接続信頼性を確保できる。
【0034】
板状部71は、板厚方向に貫通しつつ、前後方向において離隔した位置において、回路基板100と交差する方向に延びる一対の第1切込み部81を有している。板状部71は、板厚方向に貫通しつつ、一対の第1切込み部81の回路基板100から遠い側の端部同士を繋ぐ、第2切込み部83を有している。板状部71のうち、一対の第1切込み部81と第2切込み部83とによって区画され、かつ外壁面33側へ傾いた部位が、係止部77として機能する。この構成によれば、係止部77が、外壁面33に対して回路基板100側から支持するように食い込むため、リフロー時におけるハウジング20の回路基板100側への変位を防止できる。
【0035】
係止部77は、第2切込み部83を長辺とする長方形をなしている。この構成によれば、係止部77が第1切込み部81を長辺とする長方形をなしている場合に比べると、係止部77の上面における外壁面33の食込み面積を増やせるため、リフロー時におけるハウジング20の回路基板100に接近する方向への変位を効果的に防止できる。
【0036】
圧入突起72は、板状部71の前後両側縁において、第1切込み部81の長さ方向に離隔して配置された第1圧入突起73と第2圧入突起75とを含んでいる。第1切込み部81の形成範囲は、第1圧入突起73と第2圧入突起75との間の領域のみに設定されている。この構成によれば、第1圧入突起73と第2圧入突起75は、板状部71のうち第1切込み部81と第2切込み部83の形成に起因して剛性低下が懸念される剛性低下懸念部位から外れた位置に配置される。したがって、圧入部30と圧入突起72との圧入による固定力の信頼性に優れている。
【0037】
板状部71は、第1圧入突起73と、第2圧入突起75との間において、板状部71の前後両側縁から、幅方向の外側に延出した一対の補強部79を有する。この構成によれば、板状部71のうち前後両側縁と第1切込み部81との間の部位が、補強部79によって補強される。よって、一対の第1切込み部81、及び第2切込み部83の形成に起因する板状部71の剛性低下を防止できる。
【0038】
外壁面33は、補強部79に対して固着部85側から対向する第1規制面61を有する。この構成によれば、補強部79が第1規制面61に係止することによって、ハウジング20に対するペグ70の固着部85側への相対移動を規制することができる。
【0039】
外壁面33は、外壁面33に対する補強部79の幅方向外側への相対変位を規制する第2規制面63を有する。この構成によれば、板状部71が第2規制面63に係止することによって、ハウジング20に対するペグ70の幅方向外側への相対移動を規制することができる。
【0040】
[本開示の他の実施形態]
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本開示には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
(1)本実施形態1の圧入突起72は、例えば、第1圧入突起73、第2圧入突起75のいずれかにより構成されていてもよい。
(2)本実施形態1の圧入部30は、第1圧入突起73を圧入するための第1圧入凹部39と、第2圧入突起75を圧入するための第2圧入凹部53を有している。圧入突起72が圧入可能な構造であれば、第1圧入凹部39、及び第2圧入凹部53の形状は問わない。
(3)本実施形態1において、一対の第1切込み部81は、第2圧入突起75上端よりも下の位置から、第1圧入突起73下端よりも上の位置まで、延びていても良い。一対の第1切込み部81は、互いに平行である必要はない。
(4)本実施形態1において、第2切込み部83は、第1切込み部81の上端同士を繋ぐ必要はない。例えば、第2切込み部83は、第1切込み部81上端より下方の部分同士を繋いでいてもよい。この場合、板状部には、第2切込み部を境界として上下一対の係止部が形成される。
(5)本実施形態1において補強部79の上端は、第1圧入突起73の下端よりも高い位置にあっても良い。補強部79の下端は、第2圧入突起75の上端よりも低い位置にあってもよい。
(6)本実施形態1の第2規制面63は、第1規制面61に対して鈍角又は鋭角をなして延びていてもよい。
(7)本実施形態1において、第1規制面61は、圧入部30に備えられる必要はない。例えば、外壁面33において、圧入部30と離隔した位置より、補強部79に対して固着部85側から対向するように延びていてもよい。
(8)本実施形態1において、第2規制面63は、圧入部30に備えられる必要はない。例えば、外壁面33において、圧入部30と離隔した位置から、補強部79に対して、板状部71の幅方向外側への相対変位を規制するように延びていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10… コネクタ
20… ハウジング
21… 壁部
23… フード部
25… 上壁
27… 下壁
29… 側壁
30… 圧入部
31… 圧入孔
33… 外壁面
39… 第1圧入凹部
41… 第1対向壁
43… 第1側壁
45… 第1底壁
47… 傾斜面
49… 第1テーパ部
51… 第2テーパ部
53… 第2圧入凹部
55… 第2対向壁
57… 第2側壁
59… 第2底壁
61… 第1規制面
63… 第2規制面
70… ペグ
71… 板状部
72… 圧入突起
73… 第1圧入突起
75… 第2圧入突起
77… 係止部
77U… 上端面
79… 補強部
81… 第1切込み部
83… 第2切込み部
85… 固着部
90… 端子金具
91… 端子接続部
93… 基板接続部
95… 第1屈曲部
97… 凸部
100… 回路基板
L… 線分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7