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特開2024-164883承認サービスシステム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164883
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】承認サービスシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/32 20060101AFI20241121BHJP
   B41J 29/38 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
H04L9/32 200D
H04L9/32 200F
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080578
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹也
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061BB10
2C061CG02
2C061HH03
2C061HJ06
2C061HK03
(57)【要約】
【課題】クラウドがユーザからのデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、クラウドにアクセスできない場合でも承認者から承認を得ることができるようにする。
【解決手段】ユーザ端末2のユーザがクラウド8にアクセスできないことにより承認プリントが利用できない場合、携帯端末10に承認プリントを代行させる。携帯端末10は、印刷対象の文書に制限を付加した印刷制限付き文書をユーザ端末2から受信する印刷関連データ受信部11と、印刷制限付き文書を画面表示して上長に承認依頼を行う承認依頼部12と、上長が承認する際に上長端末6に表示する制限解除情報のコードを読み取ると、制限解除情報を用いて印刷制限付き文書の制限を解除することで印刷可能な状態に変更する印刷データ生成部13と、制限が解除された文書の印刷をプリンタ4に指示する印刷指示部14と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドがユーザ端末装置からのネットワークを経由したデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、前記ユーザ端末装置が前記クラウドとネットワーク接続できない場合に前記ユーザ端末装置における承認依頼を代行する携帯端末は、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
データ処理装置がそのままでは処理できない状態に設定されているデータを処理不可データとして前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データを表示することで承認者に承認依頼を行い、
承認者が承認依頼に応じて承認する場合に提供する実行許可情報を取得し、
前記実行許可情報を用いて前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する、
ことを特徴とする承認サービスシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、取得した前記実行許可情報を前記処理不可データに設定することで、前記処理不可データを、前記実行許可情報が設定されているデータを処理可能な前記データ処理装置が実行可能な状態に変更することを特徴とする請求項1に記載の承認サービスシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記携帯端末が有する読取手段を用いて承認者が提示するコード情報を読み取ることで前記実行許可情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の承認サービスシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記処理不可データが暗号化データの場合、前記処理不可データと共に前記データを特定しうる代替情報を前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データの代わりに前記代替情報を表示することで承認者に承認依頼を行い、
前記実行許可情報として前記処理不可データの暗号化に使用された暗号鍵に対応する復号鍵を取得し、
前記処理不可データを前記復号鍵にて復号することで、前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の承認サービスシステム。
【請求項5】
前記代替情報は、暗号化される前の前記データの縮小画像であることを特徴とする請求項4に記載の承認サービスシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記処理不可データを表示する代わりに承認者が使用する承認者端末へ送信することで承認依頼を行い、
承認者が承認依頼に応じて承認する場合に前記承認者端末から前記実行許可情報を受信することで取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の承認サービスシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記ユーザ端末装置のユーザに付与されている秘密鍵に対応する公開鍵を承認者が有している場合、前記秘密鍵を用いて暗号化されている前記処理不可データを前記承認者端末へ送信することを特徴とする請求項6に記載の承認サービスシステム。
【請求項8】
前記承認サービスは、承認プリントサービスであり、
前記データ処理装置は、印刷装置である、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の承認サービスシステム。
【請求項9】
クラウドがユーザ端末装置からのネットワークを経由したデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、前記ユーザ端末装置が前記クラウドとネットワーク接続できない場合に前記ユーザ端末装置における承認依頼を代行するコンピュータに、
データ処理装置がそのままでは処理できない状態に設定されているデータを処理不可データとして前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データを表示することで承認者に承認依頼を行う機能、
承認者が承認依頼に応じて承認する場合に提供する実行許可情報を取得する機能、
前記実行許可情報を用いて前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、承認サービスシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドコンピューティングは、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する利用形態である。一般には、略して「クラウド」と呼ばれることが多い。クラウドが提供するサービスの中に、承認プリントなどと呼ばれるサービスがある。承認プリントは、ユーザがクラウドに印刷したいファイルと上長への印刷許可の承認依頼を送付する。クラウドは、上長への承認依頼を実施し、承認が得られたら、ファイルを印刷可能状態に変更する。これにより、ユーザは、印刷したいプリンタに移動し、承認が得られたファイルを印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7071665号明細書
【特許文献2】特許第7048872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クラウドにネットワークを介してアクセスできない場合、クラウドが提供する承認サービスを利用したくても利用することができない。
【0005】
本発明は、クラウドがユーザからのデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、クラウドにアクセスできない場合でも承認者から承認を得ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る承認サービスシステムは、クラウドがユーザ端末装置からのネットワークを経由したデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、前記ユーザ端末装置が前記クラウドとネットワーク接続できない場合に前記ユーザ端末装置における承認依頼を代行する携帯端末は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、データ処理装置がそのままでは処理できない状態に設定されているデータを処理不可データとして前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データを表示することで承認者に承認依頼を行い、承認者が承認依頼に応じて承認する場合に提供する実行許可情報を取得し、前記実行許可情報を用いて前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する、ことを特徴とする。
【0007】
また、前記プロセッサは、取得した前記実行許可情報を前記処理不可データに設定することで、前記処理不可データを、前記実行許可情報が設定されているデータを処理可能な前記データ処理装置が実行可能な状態に変更することを特徴とする。
【0008】
また、前記プロセッサは、前記携帯端末が有する読取手段を用いて承認者が提示するコード情報を読み取ることで前記実行許可情報を取得することを特徴とする。
【0009】
また、前記プロセッサは、前記処理不可データが暗号化データの場合、前記処理不可データと共に前記データを特定しうる代替情報を前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データの代わりに前記代替情報を表示することで承認者に承認依頼を行い、前記実行許可情報として前記処理不可データの暗号化に使用された暗号鍵に対応する復号鍵を取得し、前記処理不可データを前記復号鍵にて復号することで、前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記代替情報は、暗号化される前の前記データの縮小画像であることを特徴とする。
【0011】
また、前記プロセッサは、前記処理不可データを表示する代わりに承認者が使用する承認者端末へ送信することで承認依頼を行い、承認者が承認依頼に応じて承認する場合に前記承認者端末から前記実行許可情報を受信することで取得する、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記プロセッサは、前記ユーザ端末装置のユーザに付与されている秘密鍵に対応する公開鍵を承認者が有している場合、前記秘密鍵を用いて暗号化されている前記処理不可データを前記承認者端末へ送信することを特徴とする。
【0013】
また、前記承認サービスは、承認プリントサービスであり、前記データ処理装置は、印刷装置である、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るプログラムは、クラウドがユーザ端末装置からのネットワークを経由したデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、前記ユーザ端末装置が前記クラウドとネットワーク接続できない場合に前記ユーザ端末装置における承認依頼を代行するコンピュータに、データ処理装置がそのままでは処理できない状態に設定されているデータを処理不可データとして前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データを表示することで承認者に承認依頼を行う機能、承認者が承認依頼に応じて承認する場合に提供する実行許可情報を取得する機能、前記実行許可情報を用いて前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、クラウドがユーザからのデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、クラウドにアクセスできない場合でも承認者から承認を得ることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、データ処理装置が実行できない状態に設定されているデータを、実行可能な状態に変更することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、コード情報を読み取ることで実行許可情報を容易に取得することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、データが復号されるまでは、携帯端末がデータをデータ処理装置に渡してもデータ処理ができない状態に維持することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、縮小画像によって承認者にデータの内容を確認させることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、承認者が表示した内容を直接見ることができない場所にいるときでも、承認を得ることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、承認者が承認を得ようとするユーザを確認することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、承認プリントサービスに適用することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、クラウドがユーザからのデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、クラウドにアクセスできない場合でも承認者から承認を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態1における承認サービスシステムを示す全体構成図である。
図2】実施の形態1における携帯端末の機能ブロック構成図である。
図3】実施の形態1における承認プリント代行処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2における承認プリント代行処理を示すフローチャートである。
図5】実施の形態3における承認プリント代行処理を示すフローチャートである。
図6】実施の形態4における承認プリント代行処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0026】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る承認サービスシステムの一実施の形態を示す全体構成図である。図1には、ユーザ端末装置(以下、「ユーザ端末」)2と、プリンタ4と、上長が携帯する携帯端末6と、インターネットを含むネットワークを介して各ネットワーク機器2,4,6と接続されるクラウド8と、が示されている。携帯端末10は、ユーザ端末2のユーザが利用可能な携帯端末である。携帯端末10もインターネットへの接続機能を有するかもしれないが、本実施の形態において提供する承認プリントでは、その接続機能を利用してクラウド8に接続することはない。
【0027】
ユーザ端末2は、ユーザが使用する情報処理装置であり、本実施の形態では、パーソナルコンピュータ(PC)等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、ユーザ端末2は、CPU、ROM、RAM、記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)、マウスやキーボード等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を含むユーザインタフェース、通信手段としてクラウドサービス等を利用するためにインターネットを介したネットワーク通信を行うためのネットワークインタフェースを有する。
【0028】
プリンタ4は、例えば印刷機能を搭載する複合機等の画像形成装置で実現することができる。本実施の形態におけるプリンタ4は、コンピュータを内蔵した汎用的な装置構成にて実現できる。すなわち、プリンタ4は、CPU、ROM、RAM、記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)、ユーザインタフェースとしての操作パネル、通信手段としてネットワークインタフェースを有する。
【0029】
本実施の形態における上長は、ユーザ端末2のユーザからの要求に応じて、印刷対象とする文書ファイル(以下、単に「文書」)の印刷を承認する承認者である。そのため、上長が携帯する携帯端末6は、承認者端末という位置付けとなり、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯性を有する端末装置である。携帯端末6は、コンピュータを内蔵することから、CPU、ROM、RAM、ストレージ等の記憶手段、タッチパネルなどのユーザインタフェース、ネットワークインタフェース等の通信手段を有する。なお、本実施の形態では、承認者端末を携帯端末6としたが、必ずしも携帯性を持たせなくてもよい。
【0030】
クラウド8は、1又は複数のコンピュータにより構築されるコンピュータネットワークシステムの一形態である。本実施の形態におけるクラウド8は、各ネットワーク機器2,4,6とインターネットを介して接続され、承認サービスを提供する。承認サービスというのは、クラウド8が提供するクラウドサービスの1つであり、ユーザ端末2からのインターネット等のネットワークを経由したデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得るサービスである。本実施の形態においては、承認サービスとして承認プリントサービスを例にして説明する。従って、本実施の形態におけるプリンタ4は、文書というデータを印刷するというデータ処理を実行するデータ処理装置として設けられている。
【0031】
携帯端末10は、前述したようにユーザ端末2のユーザが利用可能な携帯端末である。携帯端末10は、携帯端末6と同様に、汎用的なハードウェアにて実現でき、例えばスマートフォンやタブレット端末等で実現してよい。ただ、携帯端末10は、必要により、QRコード(登録商標)等のデータコードの読取手段を備える。
【0032】
図2は、本実施の形態における携帯端末10の機能ブロック構成図である。本実施の形態における携帯端末10は、印刷関連データ受信部11、承認依頼部12、印刷データ生成部13及び印刷指示部14を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。
【0033】
印刷関連データ受信部11は、ユーザ端末2から送信されてくる印刷関連データを受信する。詳細は後述するが、印刷関連データには、プリンタ4がそのままでは印刷できない状態に設定されている文書が処理不可データとして含まれている。承認依頼部12は、印刷関連データ受信部11が印刷関連データを受信すると、上長に対して承認を依頼する。印刷データ生成部13は、承認依頼部12による承認依頼に応じて上長が承認する場合に提供する実行許可情報を取得し、実行許可情報を用いて印刷関連データに含まれている処理不可データを、プリンタ4が印刷可能な状態に変更する。印刷指示部14は、印刷データ生成部13により印刷可能な状態に変更された文書の印刷をプリンタ4に指示する。
【0034】
携帯端末10における各構成要素11~14は、携帯端末10に内蔵されるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。携帯端末10には、このプログラムに相当するアプリケーションがインストールされることによって、後述する本実施の形態において特徴的な承認プリント代行処理の実行が可能となる。
【0035】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0036】
本実施形態における「承認サービスシステム」は、一例として図1に示すシステム構成とした。例えば、各ネットワーク機器2,4,6,10は、単一の装置によって構成されたものとして記載したが、複数の装置によって構成されたものであってもよい。また、クラウド8は、一般に複数の装置によって構成されるが、単一の装置によって構成されたものでもよい。
【0037】
次に、本実施の形態における動作について説明するが、最初に従前から提供されている承認プリントについて、図1を用いて説明する。
【0038】
まず、ユーザは、ユーザ端末2に保存している文書と上長への当該文書の印刷許可の承認依頼をクラウド8にアップロードする(ステップS1)。なお、印刷対象とする文書は、上長からの承認が得られてないときには印刷ができない状態に設定されている。クラウド8は、承認依頼が送られてくると、上長の携帯端末(以下、「上長端末」ともいう)6に対して承認の対象となる文書を明示した承認依頼を行う(ステップS2)。上長端末6から上長が文書の印刷を許可する旨が返信されてくると(ステップS3)、クラウド8は、文書を印刷可能な状態に変更すると共に、印刷が承認された旨をユーザ端末2へ送信する(ステップS4)。印刷の承認が得られると、ユーザは、印刷したいプリンタ4に移動し、承認が得られた文書をプリンタ4にダウンロードして印刷を実行させる(ステップS5)。
【0039】
承認プリントは、以上のように実施されるが、ステップS1においてユーザ端末2がクラウド8に承認依頼ができなければ実施することができない。また、ステップS1に限らず、ステップS2~S5におけるいずれかの処理で、いずれかのネットワーク機器2,4,6がクラウド8にアクセスできない場合も同様に、承認プリントを正常に実施することができない。
【0040】
そこで、本実施の形態においては、何らかの理由によりクラウド8にアクセスできないことで、前述した従前の承認プリントが実施できない場合でも、ユーザは、上長から承認を得ることができるようにすることを特徴としている。そのために、本実施の形態においては、ユーザは、ユーザ端末2の代わりに携帯端末10を有効利用して承認プリントを代行させる。
【0041】
なお、クラウド8が提供するサービス機能が承認プリントとするならば、厳密には、クラウド8にアクセスできないことで携帯端末10がユーザ端末2の代わりに行う処理を承認プリントと称するのは適切ではないかもしれない。ただ、本実施の形態では、クラウド8が提供する承認プリントを利用できない場合に携帯端末10がユーザ端末2の代わりに印刷のための承認を得るので、説明の便宜上、「承認プリント代行処理」と称することにする。
【0042】
以下、本実施の形態における携帯端末10による承認プリント代行処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0043】
なお、本実施の形態においても、クラウド8にアクセスできる場合には、クラウド8を介した承認プリントを実施するが、以降の説明では、クラウド8を介した承認プリントが実行できない状態であることを前提にして説明する。
【0044】
クラウド8にアクセスできない場合、ユーザは、印刷対象の文書を、プリンタ4がそのままでは処理できない状態に設定することで印刷が制限された文書を印刷制限付き文書として生成する。そして、ユーザ端末2は、印刷制限付き文書を含む印刷ジョブを携帯端末10へ送信する。
【0045】
「印刷制限付き文書」は、制限解除情報が設定されないと印刷できないという制限が課された状態の文書のことをいう。また、本実施の形態において、印刷制限付き文書は、前述した処理不可データに相当し、基本的には従前と同様に作成すればよい。例えば、上長から印刷が承認された場合、クラウド8は、上長が発行する承認済み情報に基づきアップロードされている印刷制限付き文書に設定されている制限を解除してプリンタ4が印刷可能な状態に変更する。ユーザ端末2は、クラウド8にアクセスできる場合と同様に印刷制限付き文書を生成するが、クラウド8にではなく携帯端末10へ送信する。ちなみに、印刷制限付き文書は、そのままでは印刷できない状態でも、文書の内容が確認できる状態で表示することは可能である。
【0046】
携帯端末10において、印刷関連データ受信部11は、ユーザ端末2から送信されてくる印刷ジョブを印刷関連データとして受信する(ステップS110)。続いて、承認依頼部12は、受信された印刷ジョブに含まれている印刷制限付き文書をタッチパネルに表示する(ステップS120)。なお、印刷制限付き文書は、印刷制限付きとは言っても平文である。また、印刷制限付き文書を送信する場合については後述することとして、ここでは、携帯端末10は、ユーザ端末2のユーザが利用可能な機器であり、ユーザが持ち運べるものとする。
【0047】
この場合、ユーザは、携帯端末10を携行して上長のいる場所まで移動し、タッチパネルに表示した印刷制限付き文書を見せることによって、上長に承認依頼をする。換言すると、ユーザは、携帯端末10に対して印刷制限付き文書を表示させるための所定の操作をし、承認依頼部12は、この操作に応じて印刷制限付き文書をタッチパネルに表示することによって承認依頼を行う。
【0048】
上長は、携帯端末10に表示されている印刷制限付き文書を閲覧し、そして、印刷を許可する場合、携帯端末10に印刷制限付き文書に設定されている制限を解除するために用いる実行許可情報として制限解除情報を携帯端末10に付与する。制限解除情報は、上長が承認する場合に発行する上記承認済み情報に相当する。例えば、上長は、制限解除情報としてQRコード(登録商標)などのコード情報を上長端末6に表示させ、その制限解除情報を携帯端末10に読み取らせる。あるいは、上長は、印刷制限付き文書が表示されていた携帯端末10のタッチパネルに改めて表示されるコード入力画面から制限解除情報に相当するコードを入力する。
【0049】
以上のようにして、携帯端末10が制限解除情報を取得できた場合(ステップS130でY)、印刷データ生成部13は、制限解除情報を用いて印刷制限付き文書に付加されている制限を解除することによって、印刷対象の文書を印刷可能な状態に変更する(ステップS140)。例えば、印刷データ生成部13は、印刷制限付き文書に制限解除情報を付加するなどの設定を行うことで印刷可能な状態に変更する。そして、印刷指示部14は、印刷データ生成部13により印刷可能な状態に変更された文書を含む印刷ジョブをプリンタ4へ送信することで、文書の印刷をプリンタ4に指示する(ステップS150)。
【0050】
本実施の形態におけるプリンタ4は、印刷制限が解除されている文書のみを印刷可能とし、ユーザ端末2で生成された印刷制限付き文書の印刷は禁止されている。例えば、プリンタ4は、文書のヘッダ情報に制限解除情報が含まれている場合や、制限解除情報に相当するフラグ情報が印刷可のフラグ値に設定されているなどを確認することで、制限の有無を確認する。そして、プリンタ4は、携帯端末10から送られてきた印刷ジョブに含まれている文書が印刷可能な状態であれば、印刷を実行する。
【0051】
なお、上長が印刷を承認しない場合は、携帯端末10は、制限解除情報を取得できないため(ステップS130でN)、処理を終了する。
【0052】
ところで、上記説明では、ユーザは、上長のいる場所まで移動できることで、携帯端末10に印刷制限付き文書を表示させて、上長から承認を得るようにした。ただ、ユーザは、上長のいる場所まで移動できない、すなわち携帯端末10に印刷制限付き文書を表示させても上長に見せることができない場合も想定しうる。
【0053】
そこで、本実施の形態では、ユーザ端末2のユーザは、印刷制限付き文書を携帯端末10に表示させても上長に見せることができない場合、印刷制限付き文書を携帯端末10に表示する代わりに上長端末6へ送信する所定の操作を行う。承認依頼部12は、この所定の操作に応じて印刷制限付き文書を上長端末6へ送信することで承認依頼を行う(ステップS120)。送信ツールは、特に限定する必要はなく、例えばメールを用いてもよい。
【0054】
上長は、携帯端末10から送信されてきた印刷制限付き文書を上長端末6に表示させて、承認の是非を判断する。そして、承認する場合、上長は、上長端末6に所定の操作をすることで、制限解除情報を携帯端末10へ送信する。携帯端末10は、上長端末6から制限解除情報を受信することによって取得できた場合(ステップS130でY)、その後に実施する処理(ステップS140~S150)は、上記と同じとなるので説明を省略する。
【0055】
本実施の形態によれば、以上のようにしてユーザ端末2等がクラウド8にアクセスできない場合でも、ユーザは、承認プリント機能に基づく印刷を携帯端末10に代行させることによって、承認プリントを利用することができる。
【0056】
なお、上記説明では、上長端末6から取得した制限解除情報をそのまま印刷制限付き文書に付加することで印刷可能な状態に変更するようにした。ただ、上長端末6から取得した制限解除情報に対して何らかの変換処理を施した後に、制限解除情報として印刷制限付き文書に付加するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、印刷が承認された文書を携帯端末10からプリンタ4に印刷させるようにしたが、文書をユーザ端末2に戻してユーザ端末2から行うようにしてもよい。ユーザ端末2は、携帯端末10より印刷属性の設定の種類が豊富と考えられるので、ユーザ端末2から印刷するようにしてもよい。このことは、以降に説明する実施の形態においても同様である。
【0058】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、上長の承認が得られる際に取得できる制限解除情報を印刷制限付き文書に設定することで、印刷可能な状態である文書をプリンタ4が印刷できるようにした。ただ、プリンタ4の中には、制限解除情報の判別機能のない機種も存在しうる。また、印刷制限付き文書は、印刷制限付きとは言っても平文である。従って、ユーザは、上長から承認を得ることなく、制限解除情報の判別機能のないプリンタ4から、制限が解除されていない状態の文書、すなわち印刷制限付き文書を不正に印刷することが可能になってくる。そこで、本実施の形態においては、このような場合にも対処できるようにしたことを特徴とする。
【0059】
本実施の形態における承認サービスシステムのシステム構成及び携帯端末10の機能ブロック構成は、実施の形態1と同じでよい。以下、本実施の形態における携帯端末10による承認プリント代行処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、基本的な処理の流れは、実施の形態1と同じでよいので、共通する処理やユーザによる操作等の行動に関しては、適宜説明を省略する。
【0060】
上記実施の形態1では、印刷制限付き文書を平文で作成していたが、本実施の形態では、ユーザは、印刷対象の文書を暗号化してから携帯端末10へ送信する。つまり、暗号化された文書は、そのまま印刷できない状態で設定されている処理不可データに相当する。一方、暗号化することにより、文書を画面表示しても、文書の内容を正しく読むことはできない。そこで、ユーザは、暗号化文書を作成すると共に暗号化する前の文書のサムネイル画像を代替情報として作成して、暗号化文書とサムネイル画像を組にして含む印刷ジョブを携帯端末10へ送信する。代替情報は、文書の内容を上長に確認させることができる点で文書を特定しうる情報となり得るものの、印刷しても文書の代わりとはならない情報である。なお、サムネイル画像は、縮小画像であり、原文と比較して内容が確認しづらい可能性があるので、サムネイル画像に文字情報等を付加して補完するようにしてもよい。
【0061】
携帯端末10において、印刷関連データ受信部11は、ユーザ端末2から送信されてくる印刷ジョブを印刷関連データとして受信する(ステップS210)。実施の形態1と異なり、文書は、暗号化されており平文形式ではないので、制限解除情報に未対応のプリンタ4から印刷しても文書の内容を確認することはできない。そこで、承認依頼部12は、受信された印刷ジョブに含まれているサムネイル画像を暗号化文書の代わりにタッチパネルに表示することで承認依頼を行う(ステップS220)。サムネイル画像を送信する場合については後述することとして、ここでは、ユーザは、サムネイル画像を携帯端末10に画面表示して、実施の形態1と同様に上長に対して承認依頼を行う。
【0062】
上長は、携帯端末10に表示されているサムネイル画像を閲覧し、そして、印刷を許可する場合、上長端末6を操作して、暗号化文書の暗号化に使用された暗号鍵に対応する復号鍵を実行許可情報として携帯端末10へ送信する。
【0063】
以上のようにして、携帯端末10が復号鍵を取得できた場合(ステップS230でY)、印刷データ生成部13は、復号鍵を用いて暗号化文書を復号することによって、暗号化文書を印刷可能な状態に変更する(ステップS240)。そして、印刷指示部14は、印刷データ生成部13により印刷可能な状態に変更された文書を含む印刷ジョブをプリンタ4へ送信することで、文書の印刷をプリンタ4に指示する(ステップS250)。
【0064】
ところで、本実施の形態のおいても実施の形態1と同様に、上長は、携帯端末10の表示画面を見ることができない場合がある。あるいは、携帯端末10に近づけなく、縮小画像であるサムネイル画像の内容を十分に確認できない場合がある。本実施の形態では、このような場合を想定して、承認依頼部12は、ユーザによる所定の操作に応じてサムネイル画像を上長端末6へ送信することで承認依頼を行う(ステップS220)。
【0065】
上長は、携帯端末10から送信されてきたサムネイル画像を上長端末6に表示させることによって文書の内容を確認することができる。このようにして文書の印刷の承認の是非を判断する。そして、承認する場合、上長は、上長端末6に所定の操作をすることで、復号鍵を携帯端末10へ送信する。携帯端末10は、上長端末6から復号鍵を実行許可情報として受信することによって取得できた場合(ステップS230でY)、その後の処理は、上記と同じでよいので説明を省略する。復号鍵を取得できない場合(ステップS230でN)、携帯端末10は、処理を終了する。
【0066】
本実施の形態によれば、以上のようにして文書を暗号化することによって、制限解除情報に未対応なプリンタ4から文書を不正に印刷されてしまうことを回避できる。また、サムネイル画像を利用することで、文書の内容を上長に確認させることができると共に、仮にサムネイル画像が印刷されたとしても、その印刷物は、印刷対象の正当な文書の印刷物の代わりとはならない。
【0067】
実施の形態3.
上記実施の形態1における図3のステップS120では、印刷制限付き文書を表示又は送信することで承認依頼を行う。ユーザが携帯端末10に表示して承認依頼を行う場合は、承認を受けたいユーザが自ら携帯端末10を上長に差し出すため、上長は、承認依頼者が誰かを確認することができる。一方、印刷制限付き文書を上長端末6へ送信する場合、上長は、送信者の正当性を判断することができない。つまり、ユーザ端末2のユーザではなく第三者が不正により文書の印刷の承認を得る可能性が生じてくる。そこで、本実施の形態では、承認を受けようとするユーザの本人確認をできる機能を追加することで、印刷制限付き文書を上長に送信することで承認依頼を行う場合に発生しうる不正行為を未然に回避できるようにした。なお、上長端末6へ情報送信することで承認依頼を行うことを前提とするならば、携帯端末10のように、ユーザが利用する端末装置に携帯性を持たせる必要はない。
【0068】
本実施の形態における承認サービスシステムのシステム構成及び携帯端末10の機能ブロック構成は、実施の形態1と同じでよい。以下、本実施の形態における携帯端末10による承認プリント代行処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、基本的な処理の流れは、実施の形態1と同じでよいので、共通する処理やユーザによる操作等の行動に関しては、適宜説明を省略する。
【0069】
本実施の形態では、ユーザ端末2のユーザに付与されている秘密鍵と公開鍵を利用する。そして、上長は、公開鍵を事前に有しているものとする。
【0070】
ユーザは、印刷対象の文書を、実施の形態1と同様にして印刷制限付き文書を生成する。本実施の形態の場合、更に、自分用に付与されている秘密鍵を用いて印刷制限付き文書をデジタル署名する。そして、ユーザ端末2は、印刷制限付き文書及びデジタル署名を含む印刷ジョブを携帯端末10へ送信する。
【0071】
携帯端末10において、印刷関連データ受信部11は、ユーザ端末2から送信されてくる印刷ジョブを印刷関連データとして受信する(ステップS310)。続いて、承認依頼部12は、受信された印刷ジョブに含まれている印刷制限付き文書及びデジタル署名を上長端末6へ送信する(ステップS320)。
【0072】
上長端末6は、携帯端末10から印刷制限付き文書及びデジタル署名が送信されてくると、承認を受けようとするユーザから事前に取得している当該ユーザの公開鍵を用いて署名検証を行うことでユーザ本人に認証を行う。この認証技術は、従前からある技術を利用すればよい。
【0073】
本人認証に成功すると、上長は、携帯端末10から送信されてきた印刷制限付き文書を上長端末6に表示させて、承認の是非を判断する。そして、承認する場合、上長は、上長端末6に所定の操作をすることで、制限解除情報を携帯端末10へ送信する。
【0074】
携帯端末10は、上長端末6から制限解除情報を受信することによって取得できた場合(ステップS130でY)、その後の処理(ステップS140~S150)は、実施の形態1と同じでよいので説明を省略する。
【0075】
本実施の形態によれば、上長は、本人認証を行えると共に文書の内容を、縮小されていない原文と同じ大きさで確認することができる。
【0076】
実施の形態4.
実施の形態1と実施の形態3が印刷制限付き文書を処理不可データとして用い、そして実施の形態3では、秘密鍵と公開鍵を利用して本人確認ができるようにした。本実施の形態では、実施の形態2で説明した暗号化文書を処理不可データとして用い、そして本実施の形態では、実施の形態3と同様に秘密鍵と公開鍵を利用して本人確認ができる機能を追加している。
【0077】
本実施の形態における承認サービスシステムのシステム構成及び携帯端末10の機能ブロック構成は、実施の形態1と同じでよい。以下、本実施の形態における携帯端末10による承認プリント代行処理について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、基本的な処理の流れは、実施の形態2と同じでよいので、共通する処理やユーザによる操作等の行動に関しては、適宜説明を省略する。
【0078】
ユーザは、印刷対象の文書を、実施の形態1と同様にして暗号化文書及びサムネイル画像を生成する。本実施の形態の場合、更に、自分用に付与されている秘密鍵を用いて暗号化文書をデジタル署名する。なお、サムネイル画像をデジタル署名の対象としてもよい。そして、ユーザ端末2は、暗号化文書、サムネイル画像及びデジタル署名を含む印刷ジョブを携帯端末10へ送信する。
【0079】
携帯端末10において、印刷関連データ受信部11は、ユーザ端末2から送信されてくる印刷ジョブを印刷関連データとして受信する(ステップS410)。続いて、承認依頼部12は、受信された印刷ジョブに含まれている暗号化文書、サムネイル画像及びデジタル署名を上長端末6へ送信する(ステップS420)。
【0080】
上長端末6は、携帯端末10から暗号化文書、サムネイル画像及びデジタル署名が送信されてくると、承認を受けようとするユーザから事前に取得している当該ユーザの公開鍵を用いて署名検証を行うことでユーザ本人の認証を行う。この認証技術は、従前からある技術を利用すればよい。
【0081】
本人認証に成功すると、上長は、携帯端末10から送信されてきたサムネイル画像を上長端末6に表示させて、承認の是非を判断する。そして、承認する場合、上長は、上長端末6に所定の操作をすることで、復号鍵を携帯端末10へ送信する。
【0082】
携帯端末10は、上長端末6から復号鍵を受信することによって取得できた場合(ステップS230でY)、その後の処理(ステップS240~S250)は、実施の形態2と同じでよいので説明を省略する。
【0083】
本実施の形態によれば、上長は、本人認証を行えると共に文書の内容をサムネイル画像にて確認することができる。
【0084】
上記各実施の形態においては、クラウド8が提供する承認サービスは承認プリントサービスである場合を例にして説明した。ただ、クラウド8が提供する承認サービスは、承認プリントサービスに限る必要はない。すなわち、スキャン等印刷以外の処理をデータ処理装置に実行させる際の承認サービスに適用してもよい。
【0085】
上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0086】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0087】
(付記)
(((1)))
クラウドがユーザ端末装置からのネットワークを経由したデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、前記ユーザ端末装置が前記クラウドとネットワーク接続できない場合に前記ユーザ端末装置における承認依頼を代行する携帯端末は、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
データ処理装置がそのままでは処理できない状態に設定されているデータを処理不可データとして前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データを表示することで承認者に承認依頼を行い、
承認者が承認依頼に応じて承認する場合に提供する実行許可情報を取得し、
前記実行許可情報を用いて前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する、
ことを特徴とする承認サービスシステム。
(((2)))
前記プロセッサは、取得した前記実行許可情報を前記処理不可データに設定することで、前記処理不可データを、前記実行許可情報が設定されているデータを処理可能な前記データ処理装置が実行可能な状態に変更することを特徴とする(((1)))に記載の承認サービスシステム。
(((3)))
前記プロセッサは、前記携帯端末が有する読取手段を用いて承認者が提示するコード情報を読み取ることで前記実行許可情報を取得することを特徴とする(((2)))に記載の承認サービスシステム。
(((4)))
前記プロセッサは、
前記処理不可データが暗号化データの場合、前記処理不可データと共に前記データを特定しうる代替情報を前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データの代わりに前記代替情報を表示することで承認者に承認依頼を行い、
前記実行許可情報として前記処理不可データの暗号化に使用された暗号鍵に対応する復号鍵を取得し、
前記処理不可データを前記復号鍵にて復号することで、前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の承認サービスシステム。
(((5)))
前記代替情報は、暗号化される前の前記データの縮小画像であることを特徴とする(((4)))に記載の承認サービスシステム。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記処理不可データを表示する代わりに承認者が使用する承認者端末へ送信することで承認依頼を行い、
承認者が承認依頼に応じて承認する場合に前記承認者端末から前記実行許可情報を受信することで取得する、
ことを特徴とする(((1)))から(((5)))のいずれか1つに記載の承認サービスシステム。
(((7)))
前記プロセッサは、前記ユーザ端末装置のユーザに付与されている秘密鍵に対応する公開鍵を承認者が有している場合、前記秘密鍵を用いて暗号化されている前記処理不可データを前記承認者端末へ送信することを特徴とする(((1)))から(((6)))のいずれか1つに記載の承認サービスシステム。
(((8)))
前記承認サービスは、承認プリントサービスであり、
前記データ処理装置は、印刷装置である、
ことを特徴とする(((1)))から(((7)))のいずれか1つに記載の承認サービスシステム。
(((9)))
クラウドがユーザ端末装置からのネットワークを経由したデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、前記ユーザ端末装置が前記クラウドとネットワーク接続できない場合に前記ユーザ端末装置における承認依頼を代行するコンピュータに、
データ処理装置がそのままでは処理できない状態に設定されているデータを処理不可データとして前記ユーザ端末装置から受信すると、前記処理不可データを表示することで承認者に承認依頼を行う機能、
承認者が承認依頼に応じて承認する場合に提供する実行許可情報を取得する機能、
前記実行許可情報を用いて前記処理不可データを前記データ処理装置が処理可能な状態に変更する機能、
を実現させるためのプログラム。
【0088】
(((1)))に記載の発明によれば、クラウドがユーザからのデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、クラウドにアクセスできない場合でも承認者から承認を得ることができる。
(((2)))に記載の発明によれば、データ処理装置が実行できない状態に設定されているデータを、実行可能な状態に変更することができる。
(((3)))に記載の発明によれば、コード情報を読み取ることで実行許可情報を容易に取得することができる。
(((4)))に記載の発明によれば、データが復号されるまでは、携帯端末がデータをデータ処理装置に渡してもデータ処理ができない状態に維持することができる。
(((5)))に記載の発明によれば、縮小画像によって承認者にデータの内容を確認させることができる。
(((6)))に記載の発明によれば、承認者が表示した内容を直接見ることができない場所にいるときでも、承認を得ることができる。
(((7)))に記載の発明によれば、承認者が承認を得ようとするユーザを確認することができる。
(((8)))に記載の発明によれば、承認プリントサービスに適用することができる。
(((9)))に記載の発明によれば、クラウドがユーザからのデータ処理の実行の承認依頼に応じて承認者から承認を得る承認サービスを提供する場合において、クラウドにアクセスできない場合でも承認者から承認を得ることができる。
【符号の説明】
【0089】
2 ユーザ端末、4 プリンタ、6 上長端末、8 クラウド、10 携帯端末、11 印刷関連データ受信部、12 承認依頼部、13 印刷データ生成部、14 印刷指示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6