(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164889
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】目地カバー装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080588
(22)【出願日】2023-05-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA03
2E001FA51
2E001PA04
2E001PA12
(57)【要約】
【課題】容易に設置することができ、地震による揺れ動きを吸収することができる目地カバー装置を提供することを目的としている。
【解決手段】一方の躯体の壁面と他方の躯体の壁面との目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、一方の躯体に前後方向に回動可能に設けられた一方のベース部材と、一方、他方の躯体に前後方向に回動可能に設けられていると共に、一方のベース部材に左右方向に摺動可能な他方のベース部材と、一方のベース部材及び他方のベース部材の全体を覆う目地カバーとで構成され、目地カバーは、一方のベース部材の表面側に設けられた一方のカバー部材と、前記他方のベース部材の表面側に設けられた他方のカバー部材とからなり、一方のカバー部材と他方のカバー部材の少なくとも一部が常時重なり合った状態で一方のベース部材及び他方のベース部材の略全体を覆う目地カバー装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体の壁面と他方の躯体の壁面との目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、前記一方の躯体に前後方向に回動可能に設けられた一方のベース部材と、一方、前記他方の躯体に前後方向に回動可能に設けられていると共に、前記一方のベース部材に左右方向に摺動可能な他方のベース部材と、前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の全体を覆う目地カバーとで構成され、
前記目地カバーは、前記一方のベース部材の表面側に設けられた一方のカバー部材と、前記他方のベース部材の表面側に設けられた他方のカバー部材とからなり、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材の少なくとも一部が常時重なり合った状態で前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の略全体を覆う目地カバー装置。
【請求項2】
前記一方のカバー部材は可撓性を有するシート材で、かつ、前記一方のベース部材の全体及び前記他方のカバー部材の一部を覆うことができるように形成され、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材が磁力によって吸着され、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材の少なくとも一部が常時密着状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の目地カバー装置。
【請求項3】
前記一方のベース部材は、前記一方の躯体に取り付けられる一方の縦桟部材と、前記一方の縦桟部材に固定されたパイプ状又はレール状に形成された複数個の一方の横桟部材とで構成され、前記他方のベース部材は、前記他方の躯体に取り付けられる他方の縦桟部材と、前記一方の横桟部材に摺動可能に挿入又は係合する複数個の他方の横桟部材とで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の目地カバー装置。
【請求項4】
前記一方のベース部材には、前記一方の横桟部材の突出端部側に設けられ、複数個の前記一方の横桟部材を連結するように設けられた補強部材を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の目地カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して左右に設けられた一方の躯体と他方の躯体の間の壁面間の目地部や、免震装置を有する一方の躯体と、目地部を介して設けられた基礎構造物である他方の躯体の間の壁面間の目地部を塞ぐ目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右の躯体の間の縦方向の目地部に設けられる目地装置としては、「一方の躯体の壁面と、前記一方の躯体に目地部を介して設けられた他方の躯体の壁面間の前記目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、前記目地カバー装置は、前記他方の躯体の前方側の壁面に左右方向にスライド移動可能に取り付けられた目地カバーと、前記目地カバーの前記一方の躯体側の端部に接続され、後方側へ延在し、前記一方の躯体の目地部側壁面に常時略当接するように前後方向にスライド移動可能に取り付けられた第1のガイド部材と、前記第1のガイド部材の中間部付近に接続され、前記他方の躯体側へ延在し、前記他方の躯体の後方側の壁面に左右方向にスライド移動可能に取り付けられた第2のガイド部材とで構成される目地カバー装置」等が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような目地カバー装置は、適切に目地部を塞ぐことができるものの、2種のガイド部材を設置する必要があり、このようなガイド部材を設置できない場所に用いることは困難だった。
【0004】
なお、このような免震構造の躯体と非免震構造の躯体間の壁面間の目地部を塞ぐものとして、ばね鋼を蛇腹状に接続した目地カバー等が一般的に知られているが、躯体の外側の美観を損ねるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、容易に設置することができ、地震による揺れ動きを吸収することができる目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の目地カバー装置は、一方の躯体の壁面と他方の躯体の壁面との目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、前記一方の躯体に前後方向に回動可能に設けられた一方のベース部材と、一方、前記他方の躯体に前後方向に回動可能に設けられていると共に、前記一方のベース部材に左右方向に摺動可能な他方のベース部材と、前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の全体を覆う目地カバーとで構成され、前記目地カバーは、前記一方のベース部材の表面側に設けられた一方のカバー部材と、前記他方のベース部材の表面側に設けられた他方のカバー部材とからなり、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材の少なくとも一部が常時重なり合った状態で前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の略全体を覆うことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の目地カバー装置の前記一方のカバー部材は可撓性を有するシート材で、かつ、前記一方のベース部材の全体及び前記他方のカバー部材の一部を覆うことができるように形成され、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材が磁力によって吸着され、常時密着状態となるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の目地カバー装置の前記一方のカバー部材は、前記一方の躯体に取り付けられる一方の縦桟部材と、前記縦桟部材に固定されたパイプ状又はレール状に形成された複数個の一方の横桟部材とで構成され、前記他方のカバー部材は、前記他方の躯体に取り付けられる他方の縦桟部材と、前記一方の横桟部材に摺動可能に挿入又は係合する複数個の他方の横桟部材とで構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の目地カバー装置の前記一方のカバー部材には、前記一方の横桟部材の突出端部側に設けられ、複数個の前記一方の横桟部材を連結するように設けられた補強部材を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、目地カバーを備える一方のベース部材と、この一方のベース部材に左右方向に摺動可能に接続される他方のベース部材を左右の躯体に取り付けることで目地部を塞ぐことができ、ガイドレール等を躯体に設置しなくても取り付けることができる。
したがって、ガイドレール等の設置が難しい箇所であっても容易に設置することができる。
(2)前後方向に回動可能に設けられた左右のベース部材及びその表面に設けられた目地カバーにより、左右方向の揺れ動きに対しては左右のベース部材が伸縮するように揺れ動き、かつ、前後方向の揺れ動きに対しては左右のベース部材が回動して追従するため、目地部が開口することなく塞ぐことができる。
(3)請求項2に記載の発明においても、前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、一方のカバー部材を可撓性を有するシート状とするとともに、一方のカバー部材と他方のカバー部材を磁力で吸着させることができるので、通常時や地震時においても隙間が生じることを確実に防止することができる。
(4)請求項3に記載の発明においても、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、より容易に施工することができる。
(5)請求項4に記載の発明においても、前記(1)~(4)と同様な効果が得られるとともに、一方のベース部材の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至
図6は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図7及び
図8は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図4】地震で目地部が狭くなった状態の平面視側からの動作説明図。
【
図5】地震で目地部が広くなった状態の平面視側からの動作説明図。
【
図6】地震で左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の平面視側からの動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
なお、この明細書に於いて、左右方向とは
図1(正面視)における左右方向であり、前後方向とは
図2における下方向が前方向で上方向が後方向であり、上下方向とは
図1における上下方向をいう。また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0015】
図1乃至
図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は一方の躯体3と他方の躯体4の間の目地部(隙間)2を塞ぐ目地カバー装置である。
【0016】
前記目地カバー装置1は、前記一方の躯体3に前後方向に回動可能に設けられた一方のベース部材5と、前記他方の躯体に前後方向に回動可能に設けられ、前記一方のベース部材5に左右方向に摺動可能に接続される他方のベース部材6と、前記一方のベース部材5及び前記他方のベース部材6の略全体を覆い、前記目地部を塞ぐ目地カバー7とで構成されている。
【0017】
ところで、前記目地部2は、例えば縦方向であるが、ここでは躯体3、4の壁面3a、4a間の目地部2をいうものであり、本発明はこのような目地部2が通常時及び地震発生時においても開口することなく塞ぐことができるものである。
一方の躯体3は、本実施形態では、免震装置(図示せず)を備える免震構造の構造物であって、正面視において下部に非免震構造物である他方の躯体4が目地部2を介して入り込めるような切り欠き状の形状に形成されている。
【0018】
例えば、免震構造である一方の躯体3から外方に突出した犬走り等を形成し、この犬走りの下部に目地部2を介して他方の躯体4が位置するような構造が考えられる。
【0019】
他方の躯体4は、本実施形態では前述のような非免震構造の構造物であり、一方の躯体3と縦方向の目地部2を介して対向するように設けられている。本実施形態では他方の躯体4は、基礎部分及び立設するように設けられた厚みのある壁面状の構造物等からなる。
【0020】
なお、本実施形態では、他方の躯体4の上端部と、この他方の躯体4の上側に位置する一方の躯体3との間の縦方向の間隙は、地震時に一方の躯体3と他方の躯体4が左右又は前後方向に揺れ動いても、干渉しないように配置されている。
一方の躯体3の目地部側の壁面3aには一方のベース部材5がヒンジ部材8を介して前後方向に回動可能に取り付けられている。
【0021】
この一方のベース部材5は本実施形態ではフレーム状に形成されており、具体的には
図3に示すように、一方の躯体3にヒンジ部材8を介して取り付けられる一方の縦桟部材9と、前記一方の縦桟部材9に略直角に固定されたパイプ状又は断面略チャンネル型等のレール状の複数個の一方の横桟部材10と、一方の横桟部材10の突出端部側の背面に設けられ、複数個の前記一方の横桟部材10を連結するように略垂直に設けられたバー状の補強部材11とで構成されている。
【0022】
ガイド機能を有する一方の横桟部材10の断面形状は、例えば円筒、角筒、リップミゾ形綱の形状等であるが、該横桟部材10は、本実施形態では、角パイプ状に形成されており、他方のベース部材6が左右方向に摺動可能に挿入される。
一方の縦桟部材9や補強部材11は中実のバー状、パイプ状又はレール状に形成されており、本実施形態では、角パイプ状に形成されている。
【0023】
他方の躯体4の目地部側の壁面4aには一方のベース部材5と対向するように他方のベース部材6がヒンジ部材8を介して前後方向に回動可能に取り付けられている。付言すると、一方の躯体3側のヒンジ部材8と他方の躯体4側のヒンジ部材8は同一構造であり、連結部材として左右に一対設けられている。
【0024】
この他方のベース部材6は、本実施形態ではフレーム状に形成されており、具体的には
図3に示すように、一方の躯体4にヒンジ部材8を介して取り付けられる他方の縦桟部材12と、前記他方の縦桟部材12に略直角に固定され、前記一方の横桟部材10にそれぞれ摺動可能に挿入される複数個の他方の横桟部材13とで構成されている。
【0025】
他方の横桟部材13は、本実施形態では、一方の横桟部材10よりも断面形状の小さい角パイプ状に形成されており、一方の横桟部材10に他方の横桟部材13の突出端部側が左右方向に摺動可能に挿入される。なお、一方の横桟部材10がレール状に形成されている場合、他方の横桟部材13は、この一方の横桟部材10に左右方向に摺動可能に係合可能な形状に形成される。
【0026】
この一方及び他方のベース部材5、6の表面には目地カバー7が設けられている。
この目地カバー7は、前記一方のベース部材5の表面側に設けられ一方のカバー部材14と、前記他方のベース部材6の表面側に設けられた他方のカバー部材15と構成されている。
【0027】
この一方のカバー部材14は、一方のベース部材5の表面に固定された可撓性及び磁性を有するシート材で、かつ、前記一方のベース部材の全体及び前記他方のカバー部材15の一部を覆うことができるように形成されており、本実施形態では、他方のベース部材6の中央より他方の躯体4側まで覆えるような大きさに形成されている。本実施形態では、具体的には通常時において他方のベース部材6の約3分の2程度まで覆えるように形成されている。
【0028】
なお、一方のベース部材5よりも外側にはみ出した部分の一方のカバー部材14はフリーな状態となっているが、他方のカバー部材15と磁力により吸着するように構成されており、他方のカバー部材15の少なくとも一部が常時略密着状態で重なり合っている。
【0029】
他方のカバー部材15は、本実施形態では、他方のベース部材6の表面に固定された可撓性及び磁性を有するシート材で、他方のベース部材6の横方向の寸法よりも小さく形成されている。具体的には、地震時に他方の横桟部材13が一方の横桟部材10に入り込んだ際に干渉しない程度の寸法に形成されており、他方のベース部材6を他方の躯体4側から約3分の2程度を覆えるように形成されている。すなわち、本実施形態では、通常時において一方のカバー部材14と他方のカバー部材15は、他方のベース部材6の幅の約3分の1程度の長さが重なり合い、かつ、磁力によって当接状態となっている。
【0030】
なお、本実施形態では、一方のカバー部材14には磁性を有するシート材を用いているが、例えば可撓性を有するシート材の突出端部側(他方の躯体4側)の端部付近に磁石等を固定して他方のカバー部材15側に吸着されるようにしてもよい。また、一方のカバー部材14が磁力によってベース部材に吸着されるようにしてもよく、このような場合には他方のカバー部材15が磁性を有さなくても一方のカバー部材14と他方のカバー部材15が略密着状態とすることができる。
【0031】
ところで、本実施形態では、一方のカバー部材14及び他方のカバー部材15は、一方のベース部材5や他方のベース部材6と左右の躯体3、4の間の隙間も塞ぐように形成することが望ましい。このように形成することで、僅かな隙間も塞ぐことができ、ゴミや虫、小動物等が目地部内に侵入することを確実に防止できる。
【0032】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図4に示すように、他方のベース部材6の突出端部側が一方のベース部材5に更に入り込むように摺動するとともに、一方のカバー部材14と他方のカバー部材15の重なり幅が大きくなるように左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0033】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図5に示すように、一方のベース部材5と他方のベース部材6及び一方のカバー部材14と他方のカバー部材15の重なり幅が小さくなるように左右方向にスライド移動し、目地部2を開口させることなく地震による揺れ動きを吸収する。
【0034】
地震で躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動くと、
図6に示すように、一方のベース部材5及び他方のベース部材6はヒンジ部材8を支点に前後方向に回動して、地震による揺れ動きを吸収する。なお、この時一方のカバー部材14と他方のカバー部材15の端部が一方の躯体3の壁面3aや他方の躯体4の壁面4aとやや干渉するが、一方のカバー部材14と他方のカバー部材15は可撓性を有するシート状の材質で形成されているため、適宜変形することができ、躯体や目地カバー7を損傷することなく揺れ動きを吸収することができる。
【0035】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図7及び
図8に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
図7及び
図8に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方のベース部材5の取付端部側に一端部が固定された平面視略クランク形状で突出端部側が略コ字状に形成された板状の一方のカバー部材14Aと、他方のベース部材6の取付端部側に一端部が固定された平面視略クランク形状で突出端部側が略アングル状に形成された板状の他方のカバー部材15Aとで目地カバー7Aを形成した点で、このような目地カバー装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
ところで、本実施形態では、建築物である一方の躯体3Aの壁面3aと建築物である他方の躯体4Aの間の目地部2を塞ぐ装置として本発明の目地カバー装置1Aを用いている。
【0038】
本実施形態では、金属板で形成されたカバー部材14A、15Aを用いているので、左右の躯体3、4とカバー部材14A、15Aの間に間隙を形成する必要があるが、この間隙は弾性を有するシール材等により塞ぐことが望ましい。
【0039】
本実施形態では、一方のカバー部材14Aに磁石等の磁性材料を設けていないが、一方のカバー部材14Aに磁性材料を固定して、他方のベース部材6や他方のカバー部材15Aに吸着するように構成してもよい。
【0040】
なお、本発明の実施形態では、縦桟部材と横桟部材からなるフレーム状の一方及び他方のベース部材を用いたが、例えば正面視略コ字状のフレーム状のベース部材を用いても良いし、その他、レール部を有する板状、メッシュ板状等の一方のベース部材と、このレール部にスライド可能に接続される板状、メッシュ板状等の他方のベース部材とを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0042】
1、1A:目地カバー装置、 2:目地部、
3、3A:一方の躯体、 4、4A:他方の躯体、
5:一方のベース部材、 6:他方のベース部材、
7、7A:目地カバー、 8:ヒンジ部材、
9:一方の縦桟部材、 10:一方の横桟部材、
11:補強部材、 12:他方の縦桟部材、
13:他方の横桟部材、 14、14A:一方のカバー部材、
15、15A:他方のカバー部材。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体の壁面と他方の躯体の壁面との目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、前記一方の躯体に前後方向に回動可能に設けられた一方のベース部材と、一方、前記他方の躯体に前後方向に回動可能に設けられていると共に、前記一方のベース部材に左右方向に摺動可能な他方のベース部材と、前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の全体を覆う目地カバーとで構成され、
前記目地カバーは、前記一方のベース部材の表面側に設けられた一方のカバー部材と、前記他方のベース部材の表面側に設けられた他方のカバー部材とからなり、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材の少なくとも一部が常時重なり合った状態で前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の略全体を覆い、前記一方のカバー部材は可撓性を有するシート材で、かつ、前記一方のベース部材の全体及び前記他方のカバー部材の一部を覆うことができるように形成され、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材が磁力によって吸着され、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材の少なくとも一部が常時密着状態となるように構成されている目地カバー装置。
【請求項2】
前記一方のベース部材は、前記一方の躯体に取り付けられる一方の縦桟部材と、前記一方の縦桟部材に固定されたパイプ状又はレール状に形成された複数個の一方の横桟部材とで構成され、前記他方のベース部材は、前記他方の躯体に取り付けられる他方の縦桟部材と、前記一方の横桟部材に摺動可能に挿入又は係合する複数個の他方の横桟部材とで構成されることを特徴とする請求項1に記載の目地カバー装置。
【請求項3】
前記一方のベース部材には、前記一方の横桟部材の突出端部側に設けられ、複数個の前記一方の横桟部材を連結するように設けられた補強部材を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の目地カバー装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して左右に設けられた一方の躯体と他方の躯体の間の壁面間の目地部や、免震装置を有する一方の躯体と、目地部を介して設けられた基礎構造物である他方の躯体の間の壁面間の目地部を塞ぐ目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右の躯体の間の縦方向の目地部に設けられる目地装置としては、「一方の躯体の壁面と、前記一方の躯体に目地部を介して設けられた他方の躯体の壁面間の前記目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、前記目地カバー装置は、前記他方の躯体の前方側の壁面に左右方向にスライド移動可能に取り付けられた目地カバーと、前記目地カバーの前記一方の躯体側の端部に接続され、後方側へ延在し、前記一方の躯体の目地部側壁面に常時略当接するように前後方向にスライド移動可能に取り付けられた第1のガイド部材と、前記第1のガイド部材の中間部付近に接続され、前記他方の躯体側へ延在し、前記他方の躯体の後方側の壁面に左右方向にスライド移動可能に取り付けられた第2のガイド部材とで構成される目地カバー装置」等が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような目地カバー装置は、適切に目地部を塞ぐことができるものの、2種のガイド部材を設置する必要があり、このようなガイド部材を設置できない場所に用いることは困難だった。
【0004】
なお、このような免震構造の躯体と非免震構造の躯体間の壁面間の目地部を塞ぐものとして、ばね鋼を蛇腹状に接続した目地カバー等が一般的に知られているが、躯体の外側の美観を損ねるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、容易に設置することができ、地震による揺れ動きを吸収することができる目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の目地カバー装置は、一方の躯体の壁面と他方の躯体の壁面との目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、前記一方の躯体に前後方向に回動可能に設けられた一方のベース部材と、一方、前記他方の躯体に前後方向に回動可能に設けられていると共に、前記一方のベース部材に左右方向に摺動可能な他方のベース部材と、前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の全体を覆う目地カバーとで構成され、前記目地カバーは、前記一方のベース部材の表面側に設けられた一方のカバー部材と、前記他方のベース部材の表面側に設けられた他方のカバー部材とからなり、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材の少なくとも一部が常時重なり合った状態で前記一方のベース部材及び前記他方のベース部材の略全体を覆い、前記一方のカバー部材は可撓性を有するシート材で、かつ、前記一方のベース部材の全体及び前記他方のカバー部材の一部を覆うことができるように形成され、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材が磁力によって吸着され、前記一方のカバー部材と前記他方のカバー部材の少なくとも一部が常時密着状態となるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
【0010】
請求項2に記載の目地カバー装置の前記一方のカバー部材は、前記一方の躯体に取り付けられる一方の縦桟部材と、前記縦桟部材に固定されたパイプ状又はレール状に形成された複数個の一方の横桟部材とで構成され、前記他方のカバー部材は、前記他方の躯体に取り付けられる他方の縦桟部材と、前記一方の横桟部材に摺動可能に挿入又は係合する複数個の他方の横桟部材とで構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の目地カバー装置の前記一方のカバー部材には、前記一方の横桟部材の突出端部側に設けられ、複数個の前記一方の横桟部材を連結するように設けられた補強部材を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、目地カバーを備える一方のベース部材と、この一方のベース部材に左右方向に摺動可能に接続される他方のベース部材を左右の躯体に取り付けることで目地部を塞ぐことができ、ガイドレール等を躯体に設置しなくても取り付けることができる。
したがって、ガイドレール等の設置が難しい箇所であっても容易に設置することができる。
(2)前後方向に回動可能に設けられた左右のベース部材及びその表面に設けられた目地カバーにより、左右方向の揺れ動きに対しては左右のベース部材が伸縮するように揺れ動き、かつ、前後方向の揺れ動きに対しては左右のベース部材が回動して追従するため、目地部が開口することなく塞ぐことができる。
(3)一方のカバー部材を可撓性を有するシート状とするとともに、一方のカバー部材と他方のカバー部材を磁力で吸着させることができるので、通常時や地震時においても隙間が生じることを確実に防止することができる。
(4)請求項2に記載の発明においても、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、より容易に施工することができる。
(5)請求項3に記載の発明においても、前記(1)~(4)と同様な効果が得られるとともに、一方のベース部材の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至
図6は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図7及び
図8は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図4】地震で目地部が狭くなった状態の平面視側からの動作説明図。
【
図5】地震で目地部が広くなった状態の平面視側からの動作説明図。
【
図6】地震で左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の平面視側からの動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
なお、この明細書に於いて、左右方向とは
図1(正面視)における左右方向であり、前後方向とは
図2における下方向が前方向で上方向が後方向であり、上下方向とは
図1における上下方向をいう。また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0015】
図1乃至
図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は一方の躯体3と他方の躯体4の間の目地部(隙間)2を塞ぐ目地カバー装置である。
【0016】
前記目地カバー装置1は、前記一方の躯体3に前後方向に回動可能に設けられた一方のベース部材5と、前記他方の躯体に前後方向に回動可能に設けられ、前記一方のベース部材5に左右方向に摺動可能に接続される他方のベース部材6と、前記一方のベース部材5及び前記他方のベース部材6の略全体を覆い、前記目地部を塞ぐ目地カバー7とで構成されている。
【0017】
ところで、前記目地部2は、例えば縦方向であるが、ここでは躯体3、4の壁面3a、4a間の目地部2をいうものであり、本発明はこのような目地部2が通常時及び地震発生時においても開口することなく塞ぐことができるものである。
一方の躯体3は、本実施形態では、免震装置(図示せず)を備える免震構造の構造物であって、正面視において下部に非免震構造物である他方の躯体4が目地部2を介して入り込めるような切り欠き状の形状に形成されている。
【0018】
例えば、免震構造である一方の躯体3から外方に突出した犬走り等を形成し、この犬走りの下部に目地部2を介して他方の躯体4が位置するような構造が考えられる。
【0019】
他方の躯体4は、本実施形態では前述のような非免震構造の構造物であり、一方の躯体3と縦方向の目地部2を介して対向するように設けられている。本実施形態では他方の躯体4は、基礎部分及び立設するように設けられた厚みのある壁面状の構造物等からなる。
【0020】
なお、本実施形態では、他方の躯体4の上端部と、この他方の躯体4の上側に位置する一方の躯体3との間の縦方向の間隙は、地震時に一方の躯体3と他方の躯体4が左右又は前後方向に揺れ動いても、干渉しないように配置されている。
一方の躯体3の目地部側の壁面3aには一方のベース部材5がヒンジ部材8を介して前後方向に回動可能に取り付けられている。
【0021】
この一方のベース部材5は本実施形態ではフレーム状に形成されており、具体的には
図3に示すように、一方の躯体3にヒンジ部材8を介して取り付けられる一方の縦桟部材9と、前記一方の縦桟部材9に略直角に固定されたパイプ状又は断面略チャンネル型等のレール状の複数個の一方の横桟部材10と、一方の横桟部材10の突出端部側の背面に設けられ、複数個の前記一方の横桟部材10を連結するように略垂直に設けられたバー状の補強部材11とで構成されている。
【0022】
ガイド機能を有する一方の横桟部材10の断面形状は、例えば円筒、角筒、リップミゾ形綱の形状等であるが、該横桟部材10は、本実施形態では、角パイプ状に形成されており、他方のベース部材6が左右方向に摺動可能に挿入される。
一方の縦桟部材9や補強部材11は中実のバー状、パイプ状又はレール状に形成されており、本実施形態では、角パイプ状に形成されている。
【0023】
他方の躯体4の目地部側の壁面4aには一方のベース部材5と対向するように他方のベース部材6がヒンジ部材8を介して前後方向に回動可能に取り付けられている。付言すると、一方の躯体3側のヒンジ部材8と他方の躯体4側のヒンジ部材8は同一構造であり、連結部材として左右に一対設けられている。
【0024】
この他方のベース部材6は、本実施形態ではフレーム状に形成されており、具体的には
図3に示すように、一方の躯体4にヒンジ部材8を介して取り付けられる他方の縦桟部材12と、前記他方の縦桟部材12に略直角に固定され、前記一方の横桟部材10にそれぞれ摺動可能に挿入される複数個の他方の横桟部材13とで構成されている。
【0025】
他方の横桟部材13は、本実施形態では、一方の横桟部材10よりも断面形状の小さい角パイプ状に形成されており、一方の横桟部材10に他方の横桟部材13の突出端部側が左右方向に摺動可能に挿入される。なお、一方の横桟部材10がレール状に形成されている場合、他方の横桟部材13は、この一方の横桟部材10に左右方向に摺動可能に係合可能な形状に形成される。
【0026】
この一方及び他方のベース部材5、6の表面には目地カバー7が設けられている。
この目地カバー7は、前記一方のベース部材5の表面側に設けられ一方のカバー部材14と、前記他方のベース部材6の表面側に設けられた他方のカバー部材15と構成されている。
【0027】
この一方のカバー部材14は、一方のベース部材5の表面に固定された可撓性及び磁性を有するシート材で、かつ、前記一方のベース部材の全体及び前記他方のカバー部材15の一部を覆うことができるように形成されており、本実施形態では、他方のベース部材6の中央より他方の躯体4側まで覆えるような大きさに形成されている。本実施形態では、具体的には通常時において他方のベース部材6の約3分の2程度まで覆えるように形成されている。
【0028】
なお、一方のベース部材5よりも外側にはみ出した部分の一方のカバー部材14はフリーな状態となっているが、他方のカバー部材15と磁力により吸着するように構成されており、他方のカバー部材15の少なくとも一部が常時略密着状態で重なり合っている。
【0029】
他方のカバー部材15は、本実施形態では、他方のベース部材6の表面に固定された可撓性及び磁性を有するシート材で、他方のベース部材6の横方向の寸法よりも小さく形成されている。具体的には、地震時に他方の横桟部材13が一方の横桟部材10に入り込んだ際に干渉しない程度の寸法に形成されており、他方のベース部材6を他方の躯体4側から約3分の2程度を覆えるように形成されている。すなわち、本実施形態では、通常時において一方のカバー部材14と他方のカバー部材15は、他方のベース部材6の幅の約3分の1程度の長さが重なり合い、かつ、磁力によって当接状態となっている。
【0030】
なお、本実施形態では、一方のカバー部材14には磁性を有するシート材を用いているが、例えば可撓性を有するシート材の突出端部側(他方の躯体4側)の端部付近に磁石等を固定して他方のカバー部材15側に吸着されるようにしてもよい。また、一方のカバー部材14が磁力によってベース部材に吸着されるようにしてもよく、このような場合には他方のカバー部材15が磁性を有さなくても一方のカバー部材14と他方のカバー部材15が略密着状態とすることができる。
【0031】
ところで、本実施形態では、一方のカバー部材14及び他方のカバー部材15は、一方のベース部材5や他方のベース部材6と左右の躯体3、4の間の隙間も塞ぐように形成することが望ましい。このように形成することで、僅かな隙間も塞ぐことができ、ゴミや虫、小動物等が目地部内に侵入することを確実に防止できる。
【0032】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図4に示すように、他方のベース部材6の突出端部側が一方のベース部材5に更に入り込むように摺動するとともに、一方のカバー部材14と他方のカバー部材15の重なり幅が大きくなるように左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0033】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図5に示すように、一方のベース部材5と他方のベース部材6及び一方のカバー部材14と他方のカバー部材15の重なり幅が小さくなるように左右方向にスライド移動し、目地部2を開口させることなく地震による揺れ動きを吸収する。
【0034】
地震で躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動くと、
図6に示すように、一方のベース部材5及び他方のベース部材6はヒンジ部材8を支点に前後方向に回動して、地震による揺れ動きを吸収する。なお、この時一方のカバー部材14と他方のカバー部材15の端部が一方の躯体3の壁面3aや他方の躯体4の壁面4aとやや干渉するが、一方のカバー部材14と他方のカバー部材15は可撓性を有するシート状の材質で形成されているため、適宜変形することができ、躯体や目地カバー7を損傷することなく揺れ動きを吸収することができる。
【0035】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図7及び
図8に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
図7及び
図8に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方のベース部材5の取付端部側に一端部が固定された平面視略クランク形状で突出端部側が略コ字状に形成された板状の一方のカバー部材14Aと、他方のベース部材6の取付端部側に一端部が固定された平面視略クランク形状で突出端部側が略アングル状に形成された板状の他方のカバー部材15Aとで目地カバー7Aを形成した点で、このような目地カバー装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
ところで、本実施形態では、建築物である一方の躯体3Aの壁面3aと建築物である他方の躯体4Aの間の目地部2を塞ぐ装置として本発明の目地カバー装置1Aを用いている。
【0038】
本実施形態では、金属板で形成されたカバー部材14A、15Aを用いているので、左右の躯体3、4とカバー部材14A、15Aの間に間隙を形成する必要があるが、この間隙は弾性を有するシール材等により塞ぐことが望ましい。
【0039】
本実施形態では、一方のカバー部材14Aに磁石等の磁性材料を設けていないが、一方のカバー部材14Aに磁性材料を固定して、他方のベース部材6や他方のカバー部材15Aに吸着するように構成してもよい。
【0040】
なお、本発明の実施形態では、縦桟部材と横桟部材からなるフレーム状の一方及び他方のベース部材を用いたが、例えば正面視略コ字状のフレーム状のベース部材を用いても良いし、その他、レール部を有する板状、メッシュ板状等の一方のベース部材と、このレール部にスライド可能に接続される板状、メッシュ板状等の他方のベース部材とを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0042】
1、1A:目地カバー装置、 2:目地部、
3、3A:一方の躯体、 4、4A:他方の躯体、
5:一方のベース部材、 6:他方のベース部材、
7、7A:目地カバー、 8:ヒンジ部材、
9:一方の縦桟部材、 10:一方の横桟部材、
11:補強部材、 12:他方の縦桟部材、
13:他方の横桟部材、 14、14A:一方のカバー部材、
15、15A:他方のカバー部材。