(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164894
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
F24F1/0007 401Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080601
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真吾
(72)【発明者】
【氏名】三木 大輔
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BJ10
(57)【要約】
【課題】払拭機構のメンテナンス作業が容易に実施可能な空調装置を提供する。
【解決手段】従動プーリ62dは、ケース本体部43の所定位置である左端側収容部43dに着脱可能となるよう設置され、ケース本体部43には、従動プーリ62dの着脱時に左端側収容部43dまで従動プーリ62dを案内する案内面48が形成された。これにより、メンテナンス作業時に作業者が支持伝達部62cである歯付きロープを取り付けた状態の従動プーリ62dを左端側収容部43dの突起部46に設置するとき、ケース本体部43の奥で狭小な位置にある左端側収容部43dまで案内面48が形成されているので、容易に従動プーリ62dを左端側収容部43dの設置場所まで案内することができ、作業者の作業性が向上する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの空気を取り入れ可能な空気取入口及び取り入れられた空気を外部へ吹出し可能な空気吹出口が開けられているケースと、
当該ケースに収容され、回転可能に支持され回転することにより送風を行なうファンと、
当該ファンの軸線が延びる方向に沿って前記ケースに形成され、前記ファンの送風する空気を前記空気吹出口に向かってガイドするガイド面部と、を備えた空調装置であって、
前記ガイド面部には、払拭機構が設置され、
当該払拭機構は、
駆動部と、
当該駆動部によって駆動され前記ガイド面部に沿って移動可能であると共に、前記ガイド面部に付着した塵埃を払拭可能な払拭部と、を有し、
前記駆動部は、
通電することで駆動するモータと、
当該モータの駆動力を前記払拭部に伝達する駆動力伝達部と、を有し、
前記駆動力伝達部は、
前記モータの駆動力を受けて回転するギア部と、
当該ギア部が回転することにより共に回転するプーリと、
当該プーリが回転することにより変位し前記払拭部を支持している支持伝達部と、を有し、
前記プーリは、前記ケースの所定位置に着脱可能となるよう設置され、
前記ケースには、前記プーリの着脱時に前記所定位置まで前記プーリを案内する案内面が形成されたことを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記プーリは、前記ギア部と一体的に設けられた駆動プーリと、当該駆動プーリとは逆側の端部に設置された従動プーリと、で構成され、
前記支持伝達部は、前記駆動プーリと前記従動プーリとに環状に掛け渡されたロープであり、
前記案内面は、前記従動プーリが設置される前記所定位置の前記ケースに形成されたことを特徴とする請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記案内面は、前記従動プーリの着脱時に前記従動プーリと近接する位置で対向するように形成されたことを特徴とする請求項2記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の温度を調節するための空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の室内の温度を調節するのに広く空調装置が用いられている。空調装置に関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、空調装置は、壁に固定されているケースと、このケースに収納され回転することにより室内に送風するファンと、当該ファンに当接可能に設けられファンを清掃するためのブラシ部と、を有する。
【0004】
空調装置によれば、ブラシ部をファンに当接させた状態でファンを回転させることにより、ファンに付着した塵埃を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この従来のものでは、一般に、ケースには、ファンの送風する空気を吹出口に向かってガイドするガイド面部が形成されている。このガイド面部にも塵埃が付着することがあるが、ガイド面部とファンとの間は狭く、空調装置の使用者が手を入れて清掃を行うことは困難である。また、一般に、ブラシ部がファンに当接するので、ファンに付着した塵埃を除去するとき、除去した塵埃がガイド面部に落下してしまう。ファンが駆動すると、ガイド面部に落下した塵埃が空気吹出口から飛散するため室内環境が悪化する。
【0007】
そこで、ガイド面部に溜まった塵埃を払拭する払拭部を有した払拭機構をケース内に設置し、払拭部がモータの駆動によりガイド面部を移動することで、ガイド面部の塵埃を除去する方法が考えられる。
しかし、モータの駆動力を払拭部に伝達する駆動力伝達部が、モータの駆動力を受けて回転するギア部と、当該ギア部が回転することにより共に回転するプーリと、当該プーリが回転することで変位し払拭部を支持している支持伝達部と、を有した構成であり、プーリがケースの狭小な位置に設置される場合、メンテナンス作業時、あるいは組立作業時に作業者がプーリをケースから着脱し難く作業性が悪いことから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、外部からの空気を取り入れ可能な空気取入口及び取り入れられた空気を外部へ吹出し可能な空気吹出口が開けられているケースと、
当該ケースに収容され、回転可能に支持され回転することにより送風を行なうファンと、
当該ファンの軸線が延びる方向に沿って前記ケースに形成され、前記ファンの送風する空気を前記空気吹出口に向かってガイドするガイド面部と、を備えた空調装置であって、
前記ガイド面部には、払拭機構が設置され、
当該払拭機構は、
駆動部と、
当該駆動部によって駆動され前記ガイド面部に沿って移動可能であると共に、前記ガイド面部に付着した塵埃を払拭可能な払拭部と、を有し、
前記駆動部は、
通電することで駆動するモータと、
当該モータの駆動力を前記払拭部に伝達する駆動力伝達部と、を有し、
前記駆動力伝達部は、
前記モータの駆動力を受けて回転するギア部と、
当該ギア部が回転することにより共に回転するプーリと、
当該プーリが回転することにより変位し前記払拭部を支持している支持伝達部と、を有し、
前記プーリは、前記ケースの所定位置に着脱可能となるよう設置され、
前記ケースには、前記プーリの着脱時に前記所定位置まで前記プーリを案内する案内面が形成されたことを特徴とした。
【0009】
また、請求項2では、前記プーリは、前記ギア部と一体的に設けられた駆動プーリと、当該駆動プーリとは逆側の端部に設置された従動プーリと、で構成され、
前記支持伝達部は、前記駆動プーリと前記従動プーリとに環状に掛け渡されたロープであり、
前記案内面は、前記従動プーリが設置される前記所定位置の前記ケースに形成されたことを特徴とした。
【0010】
また、請求項3では、前記案内面は、前記従動プーリの着脱時に前記従動プーリと近接する位置で対向するように形成されたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、 プーリは、ケースの所定位置に着脱可能となるよう設置され、ケースには、プーリの着脱時に所定位置までプーリを案内する案内面が形成されたので、プーリがケースの狭小な位置に設置されても、メンテナンス作業時、あるいは組立作業時に作業者がプーリを容易に着脱することができるため、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例における空調装置を模式的に示した図である。
【
図3】
図2に示された室内機に用いられているケースからファンが外された状態の斜視図である。
【
図4】
図2に示された室内機を右側面側から見た状態の断面図である。
【
図7】
図2に示された室内機に用いられているケースからファン、左右ルーバ、及びカバー部44が外された状態の正面図である。
【
図8】
図7に示された二点鎖線で囲った部分の拡大図である。
【
図9】従動プーリがケースの所定位置から外された状態を説明する部分拡大斜視図である。
【
図10】従動プーリをケースの案内面に沿って移動させている状態を説明する部分拡大斜視図である。
【
図11】従動プーリがケースの所定位置に設置された状態を説明する部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0014】
図1を参照する。
図1には、本発明による空調装置10が示されている。空調装置10は、屋内Inを冷却する冷房機能と、屋内Inを暖房する暖房機能と、を備えている。
【0015】
空調装置10は、屋外Ouに設けられた室外機20及び屋内Inに設けられた室内機30を備えてなる。室外機20と、室内機30とは、冷媒を循環させることができるよう互いに接続されている。以下、特に説明のない限り、冷媒の循環する方向は、冷房運転時を基準とする。
【0016】
室外機20は、冷房運転時及び暖房運転時における冷媒の循環する方向を切り替える四路切替弁21と、この四路切替弁21を通過した冷媒が流され冷媒を圧縮する圧縮機22と、この圧縮機22において圧縮され高温高圧となった冷媒が流れる室外熱交換器23と、この室外熱交換器23に向かって送風を行う室外ファン24と、室外熱交換器23を通過した冷媒を減圧する膨張弁25と、を有する。
【0017】
室内機30は、屋内Inにおいて壁Waに掛けて用いられる。室内機30のケース40は、支持板を介して壁Waに固定されている。左右方向に延びるケース40には、屋内Inの空気をケース40内に取り込み屋内Inへ送風を行うファン33と、このファン33が取り込んだ空気と熱交換を行う熱交換器34と、ケース40の内部に付着した塵埃を払拭可能な払拭機構50と、が収納されている。
【0018】
冷房運転時において、圧縮機22で高温高圧とされた冷媒は、室外熱交換器23において外気と熱交換を行い、熱を放出する。このとき、室外ファン24が作動することによって、外気を強制的に室外熱交換器23の外周に流し、熱交換を促す。室外熱交換器23を通過し熱を放出した冷媒は、膨張弁25において減圧され、温度が低下する。温度が低下した冷媒は、室内機30に送られる。
【0019】
室内機30のケース40には、ファン33が作動することにより空気が導入される。導入された空気は、熱交換器34の外周を通過し、屋内Inに送風される。熱交換器34には、室外機20において冷却された冷媒が供給されている。熱交換器34の外周を通過する空気は、冷媒と熱交換を行い、冷却される。屋内Inには、冷却された空気が送風される。
【0020】
暖房運転時には、四路切替弁21が冷媒の流路を切り替え、冷房運転時とは逆方向に冷媒を循環させる。
【0021】
図2を参照する。ケース40の上面には、外部(屋内In)からの空気を取り入れ可能な空気取入口41が開けられている。ケース40の前下部には、外部(屋内In)へ空気を吹出し可能な空気吹出口42が開けられている。空気吹出口42には、空気吹出口42を開閉可能であると共に、空気の吹き出す方向を上下方向に調整可能な上下ルーバ36が設けられている。
【0022】
図3及び
図4を参照する。また、上下ルーバ36(
図2参照)の後方には、空気の吹き出す方向を左右方向に調整可能な左右ルーバ37が設けられている。ケース40は、ファン33を回転可能に支持しているケース本体部43と、このケース本体部43に固定されケース本体部43の一部を覆っているカバー部44と、を有する。
【0023】
ケース40には、ファン33の送風する空気を空気吹出口42(
図2参照)に向かってガイドするガイド面部45が形成されている。ガイド面部45は、ファン33の軸線Cが延びる方向に沿ってケース40の長手方向に亘って形成されている。以下、ファン33とガイド面部45との間の空間を、送風された空気が流れる送風路APという。
【0024】
ガイド面部45は、ケース本体部43の前面とカバー部44の前面とによって形成されている。以下、ガイド面部45のうち、ケース本体部43によって構成されている部位を本体側ガイド面部43aといい、カバー部44によって構成されている部位をカバー側ガイド面部44aということがある。ガイド面部45という場合には、本体側ガイド面部43aとカバー側ガイド面部44aとの両方を含む。
【0025】
ケース本体部43には、払拭機構50の一部が収納されている伝達部収納部43bが形成されている。
【0026】
図4及び
図5を参照する。伝達部収納部43bは、ケース本体部43の下部において後方に略U字状に突出している部位であり、ケース本体部43の長手方向に亘って形成されている。伝達部収納部43bの前方はカバー部44によって覆われている。
【0027】
カバー部44は、カバー側ガイド面部44aの裏面から伝達部収納部43bに向かって突出しカバー部44を補強するリブ44bが形成されている。
【0028】
ケース本体部43とカバー部44との間には、所定の間隔の間隙である間隙部Spが形成されている。間隙部Spは、略同一の幅でケースの長手方向に亘って形成されている。
【0029】
払拭機構50は、駆動部60と、この駆動部60によって駆動されガイド面部45に沿って移動可能であると共にガイド面部45に付着した塵埃を払拭可能な払拭部70と、を有する。
【0030】
図6を参照する。駆動部60は、ケース40の右端部に設けられ通電することにより作動するモータ61と、このモータ61に接続され払拭部70にモータ61の駆動力を伝達する駆動力伝達部62と、を有する。なお、モータ61は左端部に設けられていても良い。
【0031】
駆動力伝達部62は、伝達部収納部43bに収納されている。駆動力伝達部62は、モータ61の駆動力を伝達可能であり複数のギアによって構成されるギア部62aと、このギア部62aに一体的に設けられギア部62aが回転することにより共に回転する駆動プーリ62bと、この駆動プーリ62bが回転することにより変位し払拭部70を支持している支持伝達部62cと、有する。
【0032】
また、駆動力伝達部62は、ケース本体部43の駆動プーリ62bが設けられるのとは逆側の端部に設けられている従動プーリ62dを有する。従動プーリ62dは、ケース本体部43の所定位置に着脱可能となるように設置されている。詳細は後述する。
【0033】
支持伝達部62cには、歯付きロープを用いることができる。支持伝達部62cは、ケース本体部43の左右両端にそれぞれ設けられた駆動プーリ62bと従動プーリ62dとに、環状に掛け渡されている。ロープ状の支持伝達部62cの両端は、それぞれ払拭部70に接続されて環状とされている、ということもできる。
【0034】
図4を参照する。払拭部70は、支持伝達部62cに接続され駆動部60が作動することにより左右方向に従動する従動部71と、この従動部71に回転可能に支持され上面が伝達部収納部43bに当接可能な第1ガイドローラ72と、従動部71に回転可能に支持され側面がリブ44bに当接している第2ガイドローラ73と、従動部71の先端に一体的に形成されガイド面部45に沿った形状を呈する払拭本体部74と、この払拭本体部74に設けられガイド面部45に当接しているシート75と、払拭本体部74からファン33に向かって延び先端がファン33に接触可能なブラシ部76と、を有する。
【0035】
従動部71には、ワイヤ状の支持伝達部62cの両端が接続されている。これにより、払拭部70と駆動部60とが連結されている。従動部71の先端は、間隙部Spを貫通して送風路APに臨んでいる。
【0036】
なお、払拭部70と駆動部60とは、ガイド面部45を挟んで磁石によって連結されていても良い。
【0037】
第1ガイドローラ72は、下面が伝達部収納部43bに当接していても良い。また、第2ガイドローラ73は、右側の側面が伝達部収納部43bに当接していても良い。なお、リブ44bが第2ガイドローラ73に当接可能な位置に形成されている場合には、カバー部44を補強するためのリブ44bによって、第2ガイドローラ73をガイドすることが可能となる。
【0038】
シート75は、不織布やスポンジ等によって構成することができる。シート75は、払拭本体部74に対して着脱可能に設けられている。
【0039】
ブラシ部76は、払拭本体部74に対して前後方向にスイング可能に設けられている。
【0040】
次に、払拭機構50によるガイド面部45及びファン33の清掃について説明する。
【0041】
図6を参照する。例えば、空調装置10は、運転停止信号を受けた後や操作者の操作による清掃指示信号を受けた際に清掃を開始する。まず、モータ61が作動すると、ギア部62a及び駆動プーリ62bが回転する。駆動プーリ62bが回転すると、支持伝達部62c上に設けられている払拭部70が左右方向に移動する。
【0042】
図4及び
図5を参照する。ガイド面部45にはシート75が当接し、ファン33にはブラシ部76が当接している。この状態で払拭部70が間隙部Spに沿って移動することにより、ガイド面部45に付着した塵埃はシート75により払拭され、ファン33に付着した塵埃もブラシ部76によって払拭される。このとき、ファン33を回転させておくことにより全ての羽根を清掃することができる。
【0043】
払拭本体部74にシート75とブラシ部76の両方が設けられることにより、シート75とブラシ部76とは近接して配置されている。このため、ブラシ部76によってファン33からガイド面部45に塵埃を落とし、シート75によって払拭することができる。
【0044】
払拭機構50の空気流れ下流側に左右ルーバ37(
図3参照)が設置されているので、ファン33とガイド面部45との間の送風路APに手を入れて清掃することが困難であることから、ガイド面部45に沿って移動可能な払拭機構50を設けることで、簡易にガイド面部45に付着した塵埃を除去できる。
【0045】
次に、従動プーリ62d付近のケース40の構造について説明する。
【0046】
図7は、ケース本体部43からファン33、左右ルーバ37、及びカバー部44を取り外し伝達部収納部43bが露出した状態の正面図である。
図8は、
図7に示された二点鎖線で囲われた部分にある従動プーリ62d周辺の構造を説明する部分拡大正面図である。
図9は、従動プーリ62dがケース本体部43の所定位置から外された状態を説明する部分拡大斜視図である。
図10は、従動プーリ62dをケース本体部43の案内面48に沿って移動させている状態を説明する部分拡大斜視図である。
図11は、従動プーリ62dがケース本体部43の所定位置に設置された状態を説明する部分拡大斜視図である。
【0047】
図7を参照する。ケース本体部43の伝達部収納部43bにおいて、右側端部の所定位置である右端側収容部43cに駆動プーリ62b、左側端部の所定位置である左端側収容部43dに従動プーリ62dが設置されており、駆動プーリ62bと従動プーリ62dとの間に支持伝達部62cとしての歯付きロープが環状に架け渡して取り付けられている。
【0048】
図8から
図11を参照する。従動プーリ62dは中心部が空洞の円環体であり、空洞部分が左端側収容部43dに形成された突起部46に嵌め込まれた状態でネジ47により回動可能に締結固定される。また、ケース本体部43には、左端側収容部43dから前方にかけて従動プーリ62dの左方から下方と対向する位置に従動プーリ62dの外周縁に沿う曲面形状の案内面48が形成されている。当該案内面48は、前後方向において左端側収容部43dに近づくにつれて従動プーリ62dの左方向と対向する面積が増えるように形成されている。
【0049】
次に、メンテナンス作業時における従動プーリ62dの着脱について説明する。
【0050】
モータ61の駆動により払拭部70が左右に移動するとき、支持伝達部62cである歯付きロープが従動プーリ62dから外れてしまい、モータ61の駆動力が払拭部70に伝わらず、払拭部70が移動しない事態が考えられる。このような場合、歯付きロープを従動プーリ62dに正しく組み付けた状態にしなければならず、作業者によるメンテナンス作業が必要となる。
【0051】
作業者は、ケース本体部43からファン33、左右ルーバ37、及びカバー部44を取り外して伝達部収納部43bが露出した状態にし、駆動プーリ62b、従動プーリ62d、及び支持伝達部62cである歯付きロープのメンテナンス作業が可能な状態にする(
図7の状態)。その後、作業者は、ネジ47を取り外して従動プーリ62dを突起部46から取り外し、歯付きロープを従動プーリ62dに正しく組み付けた状態にする。
【0052】
図9から
図11を参照する。作業者は、歯付きロープを組み付けた従動プーリ62dをケース本体部43の正面から案内面48に近接させた状態で左端側収容部43dの突起部46に向けて挿し込む。従動プーリ62dの挿し込み作業中、従動プーリ62dの左方から下方にかけて案内面48が近接した位置で対向する。ケース本体部43の奥で狭小な位置にある左端側収容部43dまで案内面48が形成されているので、メンテナンス作業時、作業者が容易に従動プーリ62dを左端側収容部43dまで挿し込むことができる。
【0053】
また、作業者が従動プーリ62dに歯付きロープを組み付けた状態で挿し込むときに従動プーリ62dがいずれかの方向に傾くと、従動プーリ62dと案内面48とが近接していることから、歯付きロープが案内面48に当接して係止した状態となる。これにより、作業者が従動プーリ62dをケース本体部43の正面から左端側収容部43dの突起部46に向けて挿し込む途中で従動プーリ62dを傾けてしまい、従動プーリ62dから歯付きロープが外れ、再度歯付きロープを従動プーリ62dに組み付ける作業の手間が省ける。案内面48により従動プーリ62dを左端側収容部43dに設置するときにおける作業者の作業性が向上する。
【0054】
また、従動プーリ62dを左端側収容部43dの突起部46に嵌め込んで設置したとき、従動プーリ62dの左方から下方にかけた外周端が案内面48と近接した状態で対向する。これにより、作業者が従動プーリ62dを突起部46に嵌め込んで設置した状態でネジ47により回動可能に締結固定をするまでの間、従動プーリ62dが傾いても歯付きロープが案内面48に当接し係止することで従動プーリ62dから外れない。よって、メンテナンス作業時、作業者が従動プーリ62dを突起部46に嵌め込んで設置した後にネジ47で回動可能に締結固定するまでの間、従動プーリ62dから傾くことで歯付きロープが外れてしまい、作業を再度実施することが防止できるため、作業者の作業性が向上する。
【0055】
また、ここではメンテナンス作業時における従動プーリ62dの着脱について説明したが、製品の組立作業時における従動プーリ62dの所定位置への設置についても同様である。すなわち、室内機30の組立工程において、歯付きロープを組み付けた状態の従動プーリ62dを左端側収容部43dに挿し込むとき、作業者が従動プーリ62dを案内面48に近接させた状態で移動させることで、従動プーリ62dが傾いても案内面48に歯付きロープが当接して係止されるため、従動プーリ62dから歯付きロープが外れることなく左端側収容部43dの突起部46まで案内することができる。また、突起部46に嵌め込まれた従動プーリ62dがネジ47で回動可能に締結固定されるまでの間、案内面48が近接した位置にあることで、従動プーリ62dが傾いても案内面48に歯付きロープが当接して係止されるため、従動プーリ62dから歯付きロープが外れること防止することができる。よって、組立作業時における作業者の作業性が向上する。
【0056】
次に、本発明の効果を説明する。
【0057】
従動プーリ62dは、ケース本体部43の所定位置である左端側収容部43dに着脱可能となるよう設置され、ケース本体部43には、従動プーリ62dの着脱時に左端側収容部43dまで従動プーリ62dを案内する案内面48が形成された。これにより、メンテナンス作業時に作業者が支持伝達部62cである歯付きロープを組み付けた状態の従動プーリ62dを左端側収容部43dの突起部46に設置するとき、ケース本体部43の奥で狭小な位置にある左端側収容部43dまで案内面48が形成されているので、容易に従動プーリ62dを左端側収容部43dの設置場所まで案内することができ、作業者の作業性が向上する。
【0058】
また、案内面48は、従動プーリ62dが設置される所定位置である左端側収容部43d側のケース本体部43に形成された。これにより、メンテナンス作業時において作業者が容易に従動プーリ62dを着脱することが可能となるので、作業者の作業性が向上する。
【0059】
また、案内面48は、従動プーリ62dの着脱時に従動プーリ62dと近接する位置で対向するように形成された。これにより、メンテナンス作業時に作業者が案内面48に沿って従動プーリ62dを着脱するとき、従動プーリ62dが傾いた状態になると歯付きロープが案内面48と当接して係止するので、従動プーリ62dから歯付きロープが外れることを防止できるので、従動プーリ62dに歯付きロープを組み付けた状態を保持して左端側収容部43dから容易に着脱することができ、作業者の作業性が向上する。
【0060】
尚、本発明による空調装置は、冷房機能及び暖房機能の両方を備えた空気調和装置を例に説明したが、冷房機能のみや暖房機能のみを有するものであっても適用可能である。さらに、本発明は、室外機及び室内機からなる空調装置のみならず、これらが一体化された空調装置にも適用可能である。
【0061】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は実施例に限定されるものではない。例えば、実施例では従動プーリ62dの着脱について説明したが、駆動プーリ62bが設置される右端側収容部43cの前後方向において、ケース本体部43に案内面48を形成し、駆動プーリ62bの着脱時に案内面48により駆動プーリ62bを案内可能な構成であってもよい。この場合、ケース本体部43の前後方向において、駆動プーリ62bの右方から下方にかけて対向するよう案内面48を形成することで、実施例と同様の作用効果を出せるものである。
【0062】
また、実施例では従動プーリ62dの着脱時に従動プーリ62dの左方から下方にかけて対向する位置に案内面48が形成された内容で説明したが、これに限られない。例えば、従動プーリ62dの左方から上方にかけて対向する位置に案内面48が形成されていてもよく、従動プーリ62dの着脱の作業性が向上しつつ、従動プーリ62dの回動を阻害しなければ、従動プーリ62dに対する案内面48を形成する方向は特に限定されてないものである。
【符号の説明】
【0063】
10 空調装置
33 ファン
40 ケース
41 空気取入口
42 空気吹出口
45 ガイド面部
48 案内面
50 払拭機構
60 駆動部
61 モータ
62 駆動力伝達部
62a ギア部
62b 駆動プーリ
62c 支持伝達部
62d 従動プーリ
70 払拭部