(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164896
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20241121BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F04D29/44 S
F04D29/62 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080610
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米村 淳
(72)【発明者】
【氏名】金子 雄大
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 龍介
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB47
3H130AC17
3H130BA22A
3H130BA22B
3H130BA22Z
3H130BA66A
3H130BA66B
3H130BA66Z
3H130CA08
3H130CA09
3H130CA10
3H130CA21
3H130CA27
3H130DA02Z
3H130DD09Z
3H130DJ01X
3H130EA01A
3H130EA01B
3H130EA01Z
3H130EA07A
3H130EA07B
3H130EA07Z
(57)【要約】
【課題】インペラの最外径部とシュラウドとの間の隙間の膨張を抑制すること。
【解決手段】回転装置C1は、インペラ9と、インペラ9を囲うハウジング本体43と、ハウジング本体43とは別個のシュラウドピース42であって、インペラ9の翼面に対向するシュラウド41の少なくとも一部を含むシュラウドピース42と、シュラウドピース42と対向する表面11bと、シュラウドピース42と表面11bとを連結し、ベーン50を表面11bに向かって押圧する少なくとも1つの継手60と、インペラ9の径方向外側に位置し、円周方向沿って配置され、シュラウドピース42と表面11bの間に挟持される複数のベーン50と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラと、
前記インペラを囲うハウジング本体と、
前記ハウジング本体とは別個のシュラウドピースであって、前記インペラの翼面に対向するシュラウドの少なくとも一部を含むシュラウドピースと、
前記シュラウドピースと対向する表面と、
前記シュラウドピースと前記表面とを連結する継手と、
前記インペラの径方向外側に位置し、円周方向沿って配置され、前記シュラウドピースと前記表面の間に挟持される複数のベーンと、
を備える、回転装置。
【請求項2】
前記継手は、前記複数のベーンの最外端を通る、前記インペラと同心の仮想円と接するまたは重複する、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記複数のベーンの径方向外側に位置するスクロール流路と、
前記複数のベーンと前記スクロール流路との間に位置する舌部と、
を備え、
前記継手は、前記複数のベーンのうち、流体の流れのなかで前記舌部に最も近いベーンと、前記舌部との間に設けられる、請求項1または2に記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機およびタービン等の回転装置は、インペラの周りの流路に複数のベーンを備える場合がある。例えば、特許文献1は、複数のディフューザ翼を備える遠心コンプレッサを開示する。この遠心コンプレッサは、スクロールと、ディフューザ環と、複数のディフューザ翼と、軸受台と、を備える。ディフューザ翼は、ディフューザ環と一体に形成される。ディフューザ環は、ディフューザ翼を挟んで軸受台と対向する。また、ディフューザ環は、スクロールに固定される。ディフューザ環とスクロールとの間には、Oリングが挿入される。Oリングの応力によって、ディフューザ翼が軸受台に押し付けられる。このような構成に依れば、スクロールの変形に伴って軸受台とディフューザ翼との間に隙間が生じることが抑制される。
【0003】
また、特許文献2は、複数のノズル翼を備えるラジアルタービンを開示する。このラジアルタービンは、互いに対向する一対のサイドウォールと、複数のノズル翼と、フランジと、を備える。ノズル翼は、フランジに固定される。ノズル翼およびフランジは、一対のサイドウォールの間に配置される。フランジと一方のサイドウォールとの間には、シールプレートが配置される。シールプレートは、ノズル翼を他方のサイドウォールに押し付ける。このような構成によれば、ノズル翼とサイドウォールとの間の隙間を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1-91100号公報
【特許文献2】特開昭61-85503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような回転装置においては、効率の低下を抑制するために、インペラの最外径部とシュラウドとの間の隙間の膨張を抑制することが望まれる。
【0006】
本開示は、インペラの最外径部とシュラウドとの間の隙間の膨張を抑制することができる、回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る回転装置は、インペラと、インペラを囲うハウジング本体と、ハウジング本体とは別個のシュラウドピースであって、インペラの翼面に対向するシュラウドの少なくとも一部を含むシュラウドピースと、シュラウドピースと対向する表面と、シュラウドピースと表面とを連結する継手と、インペラの径方向外側に位置し、円周方向沿って配置され、シュラウドピースと表面の間に挟持される複数のベーンと、を備える。
【0008】
継手は、複数のベーンの最外端を通る、インペラと同心の仮想円と接してもよい、または、重複してもよい。
【0009】
回転装置は、複数のベーンの径方向外側に位置するスクロール流路と、複数のベーンとスクロール流路との間に位置する舌部と、を備えてもよく、継手は、複数のベーンのうち、流体の流れのなかで舌部に最も近いベーンと、舌部との間に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、インペラの最外径部とシュラウドとの間の隙間の膨張を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る遠心圧縮機を備える過給機の概略的な断面図である。
【
図3】
図3は、
図1中のIII-III線に沿って得られる概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る遠心圧縮機の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、第1実施形態に係る遠心圧縮機(回転装置)C1を備える過給機TCの概略的な断面図である。本実施形態では、本開示に係る回転装置の構成が、遠心圧縮機C1に適用される。例えば、過給機TCは、エンジンに適用される。過給機TCは、ハウジング1と、シャフト7と、タービンインペラ8と、コンプレッサインペラ9と、を備える。
【0014】
後述するように、タービンインペラ8およびコンプレッサインペラ9は、シャフト7と同心に配置され、シャフト7と一体的に回転する。したがって、本開示では、シャフト7、タービンインペラ8およびコンプレッサインペラ9の軸線方向、径方向および円周方向は、他に指示が無い限り、それぞれ単に「軸線方向」、「径方向」および「円周方向」と称され得る。また、本開示では、シャフト7、タービンインペラ8およびコンプレッサインペラ9の中心軸線は、他に指示が無い限り、単に「中心軸線」と称され得る。
【0015】
ハウジング1は、ベアリングハウジング2と、タービンハウジング3と、コンプレッサハウジング4と、を含む。軸線方向において、ベアリングハウジング2の一方の端部は、ボルト等の締結具21aによってタービンハウジング3に連結される。軸線方向において、ベアリングハウジング2の他方の端部は、ボルト等の締結具21bによってコンプレッサハウジング4に連結される。
【0016】
ベアリングハウジング2は、軸受孔22を含む。軸受孔22は、ベアリングハウジング2内を軸線方向に延在する。軸受孔22は、軸受23,24を収容する。軸受23,24は、シャフト7を回転可能に支持する。
【0017】
軸線方向において、シャフト7の第1の端部には、タービンインペラ8が設けられる。タービンインペラ8は、タービンハウジング3に回転可能に収容される。軸線方向において、第1の端部とは反対側のシャフト7の第2の端部には、コンプレッサインペラ9が設けられる。コンプレッサインペラ9は、コンプレッサハウジング4に回転可能に収容される。シャフト7、タービンインペラ8およびコンプレッサインペラ9は、互いに一体的に回転する。
【0018】
コンプレッサハウジング4は、軸線方向においてベアリングハウジング2と反対側の端部に、吸気口10を含む。吸気口10は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング2およびコンプレッサハウジング4は、それらの間にディフューザ流路11を規定する。ディフューザ流路11は、環状形状を有する。ディフューザ流路11は、コンプレッサインペラ9の径方向外側に位置する。ディフューザ流路11は、コンプレッサインペラ9を介して吸気口10に連通する。ディフューザ流路11は、複数のベーン50を収容する。ベーン50は、コンプレッサインペラ9の径方向外側に配置される。複数のベーン50は、円周方向に沿って配列される。
【0019】
コンプレッサハウジング4は、コンプレッサスクロール流路12を含む。コンプレッサスクロール流路12は、ディフューザ流路11の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路12は、ディフューザ流路11と連通する。また、コンプレッサスクロール流路12は、不図示のエンジンの吸気口と連通する。
【0020】
コンプレッサハウジング4は、シュラウド41を含む。シュラウド41は、コンプレッサインペラ9の径方向外側に位置し、径方向および軸線方向においてコンプレッサインペラ9の翼面に対向する。シュラウド41とコンプレッサインペラ9のブレードとの間には、隙間が形成される。シュラウド41は、吸気口10から軸線方向に離れるにつれて、径方向外側に拡がる曲面形状を有する。
【0021】
コンプレッサハウジング4の一部は、シュラウドピース42として形成される。本実施形態では、コンプレッサハウジング4の残りは、ハウジング本体43として形成される。他の実施形態では、コンプレッサハウジング4は、他の部分をさらに含んでもよい。シュラウドピース42は、ハウジング本体43とは別個である。シュラウドピース42は、ハウジング本体43に取り付けられる(シュラウドピース42およびハウジング本体43については、詳しくは後述)
【0022】
コンプレッサハウジング4では、コンプレッサインペラ9が回転すると、吸気口10からコンプレッサハウジング4内に流体(例えば、空気)が吸気される。流体は、コンプレッサインペラ9を通過する際に増速される。流体は、ディフューザ流路11およびコンプレッサスクロール流路12で加圧される。加圧された流体は、不図示の吐出口から流出し、エンジンの吸気口に導かれる。このように、コンプレッサハウジング4およびコンプレッサインペラ9を含む部分は、遠心圧縮機C1として機能する。
【0023】
タービンハウジング3は、軸線方向においてベアリングハウジング2と反対側の端部に、吐出口13を含む。吐出口13は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。タービンハウジング3は、流路14を含む。流路14は、環状形状を有する。流路14は、タービンインペラ8の径方向外側に位置する。流路14は、タービンインペラ8を介して吐出口13に連通する。
【0024】
タービンハウジング3は、タービンスクロール流路15を含む。タービンスクロール流路15は、流路14の径方向外側に位置する。タービンスクロール流路15は、流路14と連通する。また、タービンスクロール流路15は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口は、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスを受け入れる。
【0025】
タービンハウジング3では、排気ガスがガス流入口からタービンスクロール流路15に導かれ、さらに、流路14およびタービンインペラ8を介して吐出口13に導かれる。排気ガスは、タービンインペラ8を通過する際に、タービンインペラ8を回転させる。
【0026】
タービンインペラ8の回転力は、シャフト7を介してコンプレッサインペラ9に伝達される。コンプレッサインペラ9が回転すると、上記のとおりに流体が加圧される。こうして、加圧された流体がエンジンの吸気口に導かれる。このように、タービンハウジング3およびタービンインペラ8を含む部分は、タービンTとして機能する。
【0027】
続いて、シュラウドピース42およびハウジング本体43について詳細に説明する。
【0028】
図2は、
図1中のA部の概略的な拡大断面図である。上記のように、ベーン50は、ディフューザ流路11に収容される。ディフューザ流路11は、表面(第1表面)11aおよび表面(第2表面)11bによって画定される。なお、本開示において、「画定」とは、流路またはクリアランス等の空間の区切りまたは境界を決めることを意味し得る。表面11aは、コンプレッサハウジング4によって規定され、表面11bは、ベアリングハウジング2によって規定される。表面11aは、シュラウド41に連続する。表面11bは、軸線方向において表面11aと対向する。
【0029】
例えば、ベーン50は、表面11aおよび表面11bの一方に固定される。例えば、ベーン50は、表面11aに固定されてもよい。この場合、ベーン50は、表面11bに接触する。他の実施形態では、ベーン50は、表面11bに固定されてもよい。この場合、ベーン50は、表面11aに接触する。
【0030】
シュラウドピース42は、インペラ9の径方向外側に位置する。シュラウドピース42は、シュラウド41の少なくとも一部を含む。また、シュラウドピース42は、表面11aの少なくとも一部を含む。つまり、シュラウドピース42は、径方向において、シュラウド41およびディフューザ流路11にまたがる。本実施形態では、シュラウドピース42は、径方向において、少なくともベーン50のリーディングエッジ(最内端)LEからトレーリングエッジ(最外端)TEまで延在する。
図1を参照して、より具体的には、本実施形態では、シュラウドピース42は、シュラウド41の全体を含む。また、
図2を参照して、シュラウドピース42は、トレーリングエッジTEを越えて径方向外側に延在する。本実施形態では、シュラウドピース42は、表面11aの全体を含む。例えば、シュラウドピース42は、ハウジング本体43に嵌合される。他の実施形態では、シュラウドピース42は、ボルト等の他の方法によってハウジング本体43に固定されてもよい。
【0031】
シュラウドピース42および表面11bは、複数の継手60によって互いに連結される。継手60は、ディフューザ流路11内を軸線方向に延在する。例えば、継手60は、ボルトまたはリベットであってもよい。継手60は、ベーン50を表面11bに向かって押圧するように構成される。例えば、継手60がボルトである場合、表面11aおよび表面11bの一方にねじ孔が形成され、他方に貫通孔が形成されてもよい。継手60は、貫通孔を通してねじ孔に挿入され、ベーン50が表面11aおよび表面11bの双方に接触するように締め付けられる。このような構成によれば、シュラウドピース42、ベーン50および表面11bは、継手60によって互いに締め付けられる。したがって、高温の流体によってコンプレッサハウジング4が熱変形する場合に、ベーン50と表面11aとの間の隙間、または、ベーン50と表面11bとの間の隙間の膨張が抑制される。また、シュラウドピース42は、シュラウド41の少なくとも一部、具体的には、シュラウド41のうち、コンプレッサインペラ9の最外径部と軸線方向に対向する部分を含む。このため、高温の流体によってコンプレッサハウジング4が熱変形する場合に、シュラウド41とコンプレッサインペラ9の最外径部との間の隙間の膨張が抑制される。したがって、遠心圧縮機C1の効率の低下が抑制される。
【0032】
図3は、
図1中のIII-III線に沿って得られる概略的な断面図である。
図3は、中心軸線に垂直でかつベーン50を通る断面図を示す。なお、
図3では、コンプレッサインペラ9は単純な円として描かれている。本実施形態では、遠心圧縮機C1は、3つの継手60を備える。継手60の数はこれに限定されず、遠心圧縮機C1は、1つ、2つ、または、4つ以上の継手60を備えてもよい。
【0033】
継手60の数に関して、流体の流れのスムースさに着目する場合には、継手60の数は少ない方が良い。対照的に、熱変形の防止に着目する場合には、継手60の数は多い方が良い。
【0034】
継手60の太さ(径)に関して、流体の流れのスムースさに着目する場合には、継手60は細い方が良い。対照的に、熱変形の防止に着目する場合には、継手60は太い方が良い。
【0035】
複数の継手60は、円周方向に沿って配置される。例えば、複数の継手60は、円周方向に均一に配置されてもよい。本実施形態では、継手60は、120度の間隔で配置される。他の実施形態では、複数の継手60は、円周方向に不均一に配置されてもよい。本実施形態では、継手60は、複数のベーン50のトレーリングエッジTEを通る、コンプレッサインペラ9と同心の仮想円ICと接するように配置される。他の実施形態では、継手60は、仮想円ICと重複するように配置されてもよい。さらに他の実施形態では、継手60は、仮想円ICの径方向外側に配置されてもよい。
【0036】
以上のような遠心圧縮機C1は、コンプレッサインペラ9と、コンプレッサインペラ9を囲うハウジング本体43と、ハウジング本体43とは別個のシュラウドピース42であって、コンプレッサインペラ9の翼面に対向するシュラウド41の少なくとも一部を含むシュラウドピース42と、シュラウドピース42と対向する表面11bと、シュラウドピース42と表面11bとを連結する継手60と、インペラ9の径方向外側に位置し、円周方向沿って配置され、シュラウドピース42と表面11bの間に挟持される複数のベーン50と、を備える。このような構成によれば、シュラウドピース42、ベーン50および表面11bは、継手60によって互いに締め付けられる。したがって、高温の流体によってコンプレッサハウジング4が熱変形する場合に、ベーン50と表面11aとの間の隙間、または、ベーン50と表面11bとの間の隙間の膨張が抑制される。また、シュラウドピース42は、シュラウド41の少なくとも一部、具体的には、シュラウド41のうち、コンプレッサインペラ9の最外径部と軸線方向に対向する部分を含むため、高温の流体によってコンプレッサハウジング4が熱変形する場合に、シュラウド41とコンプレッサインペラ9の最外径部との間の隙間の膨張が抑制される。よって、遠心圧縮機C1の効率の低下が抑制される。
【0037】
また、遠心圧縮機C1では、継手60は、複数のベーン50のトレーリングエッジTEを通る、コンプレッサインペラ9と同心の仮想円ICと接する。このような構成によれば、シュラウドピース42、ベーン50および表面11bは、ベーン50に近い位置において、継手60によって互いに締め付けられる。したがって、ベーン50と表面11aとの間の隙間、または、ベーン50と表面11bとの間の隙間の膨張がより抑制される。
【0038】
続いて、他の実施形態について説明する。
【0039】
図4は、第2実施形態に係る遠心圧縮機C2の概略的な断面図である。
図4は、
図3と同様に、中心軸線に垂直でかつベーン50を通る断面図を示す。遠心圧縮機C2は、継手60の配置において、第1実施形態に係る遠心圧縮機C1と異なる。その他の構成については、遠心圧縮機C2は、遠心圧縮機C1と同じでもよい。
【0040】
コンプレッサハウジング4は、複数のベーン50とスクロール流路12との間、すなわち、ディフューザ流路11とスクロール流路12との間に、舌部16を含む。本実施形態では、複数の継手60のうちの1つは、複数のベーン50のうち、流体の流れのなかで舌部16に最も近いベーン50aと、舌部16との間に位置する。本実施形態では、流体は、ベーン50に対して、径方向内側から径方向外側に向かって流れる。したがって、本実施形態において、「舌部に最も近いベーン」とは、中心軸線に同心円状に並んだベーンのうち以下のベーンを表す。つまり、中心軸線と交差する断面において、中心軸線を中心とした周方向において、舌部16の主要部から舌部16の先端に向かう方向を周方向の1方側とした場合において、「舌部に最も近いベーン」は、ベーンの外周側の端縁が舌部16と同じ周方向位置、または、舌部16より周方向一方側に位置し、かつ舌部16の先端から周方向の1方側に見た場合にベーンの外周側の端縁との周方向位置(角度)が最も小さいベーンを表す。本実施形態においても、3つの継手60は、120度の間隔で配置される。
【0041】
以上のような遠心圧縮機C2は、第1実施形態に係る遠心圧縮機C1と同様な効果を奏する。また、遠心圧縮機C2は、複数のベーン50の径方向外側に位置するコンプレッサスクロール流路12と、複数のベーン50とコンプレッサスクロール流路12との間に位置する舌部16と、を備え、継手60のうちの1つは、複数のベーン50のうち、流体の流れのなかで舌部16に最も近いベーン50aと、舌部16との間に設けられる。遠心圧縮機C2が低流量で運転する場合、コンプレッサスクロール流路12の非対称性に起因して、舌部16に最も近いベーン50aと、表面11aまたは表面11bとの間の隙間が膨張し易い。本実施形態では、このベーン50aの近くに継手60が配置されるので、ベーン50aと、表面11aまたは表面11bとの間の隙間の膨張がより抑制される。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0043】
例えば、上記の実施形態では、本開示の回転装置は、遠心圧縮機C1,C2に適用される。他の実施形態では、例えば、タービンTが流路14に不図示のノズルベーンを備えてもよく、本開示の回転装置は、タービンインペラ8、ノズルベーンおよびタービンハウジング3を備えるタービンTに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
8 タービンインペラ
9 コンプレッサインペラ
11b シュラウドピースと対向する表面
12 コンプレッサスクロール流路
15 タービンスクロール流路
16 舌部
41 シュラウド
42 シュラウドピース
43 ハウジング本体
50 ベーン
50a 舌部に最も近いベーン
60 継手
C1 遠心圧縮機(回転装置)
C2 遠心圧縮機(回転装置)
IC 仮想円
T タービン(回転装置)