IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図1
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図2
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図3
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図4
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図5
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図6
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図7
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図8
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図9
  • 特開-物体検出方法及び物体検出装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164902
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】物体検出方法及び物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241121BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20241121BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20241121BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
G01S17/89
G01S17/931
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080618
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 祐一
【テーマコード(参考)】
5H181
5J084
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5J084AA14
5J084AB01
5J084AB16
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA49
5L096AA09
5L096BA04
(57)【要約】
【課題】間引いた点群データから対象物を検出する場合に対象物の検出漏れを抑制できる物体検出方法及び物体検出装置を提供する。
【解決手段】対象物の測距点の位置情報を移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データ50において、位置情報が左右方向に配列した第1行データと、第1行データの直上の第2行データと、第1行データの直下の第3行データとに、所定個数おきの位置情報の取得を開始する開始位置を設定する場合に、第1行データの第1開始位置の左右方向の列位置を、第2行データの第2開始位置の左右方向の列位置及び第3行データの第3開始位置の左右方向の列位置と異なる位置とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられ、対象物の測距点の位置情報を前記移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データを生成するデータ生成装置を備えた物体検出装置により実行される、物体検出方法において、
前記物体検出装置は、
前記データ生成装置から取得した前記点群データにおいて、前記位置情報が前記左右方向に配列した第1行データと、前記第1行データの前記上下方向の直上の第2行データと、前記第1行データの前記上下方向の直下の第3行データとに前記位置情報の取得を開始する開始位置を設定し、前記第1行データの第1開始位置の前記左右方向の列位置は、前記第2行データの第2開始位置の前記左右方向の列位置及び前記第3行データの第3開始位置の前記左右方向の列位置と異なり、
前記第1行データ、前記第2行データ及び前記第3行データにおいて、前記第1開始位置、前記第2開始位置及び前記第3開始位置から所定個数おきに前記位置情報を取得し、
前記所定個数おきに取得した前記位置情報から前記移動体の周囲に存在する前記対象物を検出する、物体検出方法。
【請求項2】
前記物体検出装置は、前記所定個数が多いほど、前記第1開始位置と前記第2開始位置との前記左右方向の差及び前記第1開始位置と前記第3開始位置との前記左右方向の差のうち少なくとも一方を大きく設定する、請求項1に記載の物体検出方法。
【請求項3】
前記物体検出装置は、
前記第1行データ、前記第2行データ及び前記第3行データと異なる第4行データに前記位置情報の取得を開始する第4開始位置を設定し、
前記第1開始位置と前記第4開始位置との前記左右方向の差を、前記第1開始位置と前記第2開始位置との前記左右方向の差及び前記第1開始位置と前記第3開始位置との前記左右方向の差のいずれか一方より小さく設定する、請求項1に記載の物体検出方法。
【請求項4】
前記物体検出装置は、
前記第2開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ左側の位置に設定し、
前記第3開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ右側の位置に設定する、請求項1に記載の物体検出方法。
【請求項5】
前記物体検出装置は、
前記第2開始位置及び前記第3開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ左側の位置に設定する、又は、
前記第2開始位置及び前記第3開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ右側の位置に設定する、請求項1に記載の物体検出方法。
【請求項6】
前記物体検出装置は、前記位置情報が取得できない前記測距点が存在する場合は、前記位置情報が取得できない前記測距点を除いて前記所定個数おきに前記位置情報を取得する、請求項1~5のいずれか一項に記載の物体検出方法。
【請求項7】
移動体に設けられ、対象物の測距点の位置情報を前記移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データを生成するデータ生成装置と、
前記データ生成装置から取得した前記点群データにおいて、前記位置情報が前記左右方向に配列した第1行データと、前記第1行データの前記上下方向の直上の第2行データと、前記第1行データの前記上下方向の直下の第3行データとに前記位置情報の取得を開始する開始位置を設定する設定部であって、前記第1行データの第1開始位置の前記左右方向の列位置は、前記第2行データの第2開始位置の前記左右方向の列位置及び前記第3行データの第3開始位置の前記左右方向の列位置と異なる設定部と、
前記第1行データ、前記第2行データ及び前記第3行データにおいて、前記設定部が設定した前記第1開始位置、前記第2開始位置及び前記第3開始位置から所定個数おきに前記位置情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記位置情報から前記移動体の周囲に存在する対象物を検出する検出部とを備える、物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出方法及び物体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の車幅方向に延びるX軸と、X軸に直交し、車両が位置している路面に沿うY軸と、X軸及びY軸に直交するZ軸とからなる座標系において、物体の一部を表す点の座標を取得し、取得された点から一部の点を間引き、間引き後に残った点毎に面法線ベクトルを導出し、XY平面に対する面法線ベクトルの角度が第1閾値未満となる点を集合させた点群であって、点の数が第2閾値以上の点群を障害物として抽出する障害物検出装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、取得された点から一部の点を間引く場合に、X軸方向(左右方向)で隣り合う点同士の間隔を所定間隔以上とするなど、間引き後に残る点がZ軸方向(上下方向)に並ぶように間引かれるため、路面に設置された車線分離標(ガイドポスト)のように上下方向に細長い対象物を適切に検出できないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、間引いた点群データから対象物を検出する場合に対象物の検出漏れを抑制できる物体検出方法及び物体検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象物の測距点の位置情報を移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データにおいて、位置情報が左右方向に配列した第1行データと、第1行データの上下方向の直上の第2行データと、第1行データの上下方向の直下の第3行データとに位置情報の取得を開始する開始位置を設定する場合に、第1行データの第1開始位置の左右方向の列位置を、第2行データの第2開始位置の左右方向の列位置及び第3行データの第3開始位置の左右方向の列位置と異なる位置にすることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、間引いた点群データから対象物を検出する場合に対象物の検出漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る物体検出装置の実施形態の一例を示すブロック図である。
図2図1のデータ生成装置の一例を示す平面図である。
図3図2のデータ生成装置により生成された点群データの一例を示す正面図である。
図4図3の点群データにおける開始位置の設定の一例を示す正面図である。
図5図3の点群データにおける開始位置の設定の他の例を示す正面図である。
図6図3の点群データにおける開始位置の設定のさらに他の例を示す正面図である。
図7図3の点群データにおける開始位置の設定のさらに他の例を示す正面図である。
図8図1の物体検出装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図1の物体検出装置における処理手順の他の例を示すフローチャートである。
図10図3の点群データにおいて、本発明の比較例に係る物体検出装置により設定された開始位置の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
[物体検出装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る物体検出装置1を示すブロック図である。物体検出装置1は、車両などの移動体の周囲に存在する対象物を検出する装置である。移動体とは、ユーザの操作又は指示により移動する物体のことを言い、車両、移動可能なロボットなどが含まれる。対象物とは、物体検出装置の検出対象であり、特に限定されないが、例えば、移動体の現在位置の認識に用いる物体である。具体的には、境界線、中央線、路面標識、ガードレール、縁石、道路標識、信号機、横断歩道などが挙げられる。また、対象物には、他車両、自動二輪車(オートバイ)、自転車、移動体の周囲の建物、路上設置物(郵便ポスト、自動販売機など)なども含まれる。
【0011】
図1に示すように、物体検出装置1は、データ生成装置10、地図情報20及び制御装置30を備える。これらの装置は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、互いに情報を授受できる。
【0012】
データ生成装置10は、移動体に設けられ、対象物の測距点の位置情報を移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データを生成する装置であり、具体的には、レーザーレーダ、ミリ波レーダ、LiDAR(light detection and ranging)ユニットなどが挙げられる。移動体に設けるとは、移動体に搭載すること、移動体に固定すること、移動体に積載することなどを含む。また、移動体にデータ生成装置10を設けることは、人間にデータ生成装置10を取り付けることを含む。
【0013】
対象物の測距点とは、データ生成装置10により、データ生成装置10との距離が測定された対象物上の点であり、測距点の位置情報とは、測距点の座標、データ生成装置10から測距点までの距離などである。データ生成装置10は、移動体の左右方向に電磁波を走査することで点群データを生成する。例えば、移動体が車両である場合は、データ生成装置10は、車幅方向に沿って電磁波を照射して反射した電磁波(反射波)を検出することで、測距点までの距離及び測距点の方向(角度)を検出する。電磁波の照射範囲は特に限定されない。電磁波としては、ミリ波(波長:1~10mm)、赤外線(波長:700~1000nm)、レーザー(波長:500~800nm)などが挙げられる。
【0014】
図2を用いてデータ生成装置10の例を示す。図2は、移動体である車両40が図面右側(車両40の前方側)に向かって走行している走行シーンを示す平面図である。図2に示す走行シーンでは、車両40の前方に、対象物である車線分離標Y及び壁Zが存在する。
【0015】
図2に示す車両40には、データ生成装置としてLiDARユニット10a,10b,10cが設けられている。LiDARユニット10aは、車両40のルーフに固定されており、モータにより照射装置が回転して車両40の周囲全体にレーザーを照射する。LiDARユニット10bは、車両40のウィンドシールドと一体となっており、車両40の左右方向に100~160°(図2中に角度αで示す。)、上下方向に10~30°の範囲でレーザーを照射する。LiDARユニット10cは、車両40のフロントグリルの内側に搭載されており、LiDARユニット10bと同じ範囲にレーザーを照射する。
【0016】
LiDARユニット10a,10b,10cは、電磁波が反射した測距点の位置情報が左右方向及び上下方向に並んだ(二次元配列した)点群データを生成する。具体的には、数ナノ秒(例えば2~6ナノ秒)単位の上下方向のレーザーパルスを左右方向に走査し、車両40の周囲の対象物により反射された電磁波の反射波を検出する。そして、電磁波の照射から反射波の検出までに要した時間(レーザーの飛行時間)から反射位置までの距離を算出し、算出した距離と、電磁波を照射した方向とから反射位置(すなわち測距点の位置)を求める。反射位置は、例えば、LiDARユニット10bの位置を原点とした3次元直交座標系の座標として求める。パルスごとに反射位置を求めることで、電磁波の反射位置を示す点が左右方向及び上下方向に並んだ点群データを生成する。
【0017】
一例として、LiDARユニット10bからレーザーパルスを10回照射した場合に、図2に示す測距点X1~X10にてレーザーが反射し、反射波が10個検出されたものとする。この場合、LiDARユニット10bは、各レーザーパルスについて飛行時間を算出し、LiDARユニット10bと測距点X1~X10との距離を求める。そして、車両40の前後方向に対するレーザーパルスの照射角度から、三角測量により測距点X1~X10の座標を求める。LiDARユニット10bは、求めた座標に基づき、測距点X1~X10の座標情報が左右方向に並んだ行データを生成する。この行データでは、データを構成する点のうち測距点X5に対応する点の位置情報のみが車線分離標Yに関する位置情報を有する。
【0018】
図1に戻り、地図情報20は、道路情報、施設情報及びそれらの属性情報を含み、例えば、レーンごとの移動軌跡を把握できる高精細地図情報である。地図情報20は、例えば、道路の幅、道路の曲率半径、路肩の構造物、道路交通法規、道路の合流地点及び分岐地点などの情報を含む。地図情報20は、読み込み可能な状態で任意の記録媒体に記憶され、必要に応じて、制御装置30により取得される。
【0019】
制御装置30は、物体検出装置1を構成する装置を制御して協働させることで移動体の周囲の対象物を検出するための装置である。制御装置30は、例えばコンピュータであり、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)と、プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、ROMに格納されたプログラムを実行し、制御装置30が有する機能を実現するための動作回路である。
【0020】
制御装置30は、対象物を検出する検出機能を有する。ROMには、検出機能を実現するためのプログラムが格納され、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することで、検出機能が実現される。図1には、検出機能を実現する機能ブロックとして設定部31、取得部32、検出部33及び推定部34を便宜的に抽出して示す。以下、各機能ブロックが有する機能について、図3を用いて説明する。
【0021】
[各機能ブロックの機能]
図3は、図2に示すLiDARユニット10bが、図2に示す走行シーンにおいて生成した点群データ50の一例を示す正面図である。LiDARユニット10bは、レーザーの反射位置(つまり測距点の位置)の位置情報が移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データ50を生成する。例えば、図3に示す点群データ50は、測距点の位置情報に対応する点が左右方向に21個並んだ(配列した)行データを、上下方向に沿って15列有する。なお、説明のために、図3において壁Zの図示は省略している。
【0022】
データ生成装置10は移動体の左右方向に電磁波を走査するため、点群データ50は少なくとも一つの行データを含むが、行データを構成する点は、必ずしも図3に示すように上下方向に対応している必要はなく、点群データ50を構成する点の左右方向の位置(以下、列位置とも言う。)は必ずしも揃っていなくともよい。つまり、測距点の左右方向の間隔は等間隔である必要はなく、任意の測距点の上方向及び/又は下方向に、別の測距点が存在しなくともよい。また、行データ同士の上下方向の間隔は等間隔である必要はなく、対象物を適切に検出できる範囲内で、行データ同士の上下方向の間隔(つまり、測距点の上下方向の間隔)を適宜の値に設定できる。
【0023】
図3に示す点群データ50では、各行データに上から順番にA~Oの符号を付し、それぞれ行データA~行データOと称することとする。また、各行データを構成する位置情報を示す点に左から順番に1~21の番号を付し、点群データ50を構成する各点を符号と番号の組み合わせで示す。例えば、上から5番目で、左から3番目の点は、行データEの3番目の点であるので「点(E,3)」と表記する。
【0024】
例えば、図3に示す点群データ50から対象物を検出する場合に、情報の処理に時間がかかるときは、点群データ50の点を間引きして点の数(つまり、測距点の位置情報の量)を減らしてから対象物を検出する。一例として、行データから、4点おきに(5点ごとに)測距点の位置情報を取得することで点群データ50の点を間引きする場合は、本発明の比較例に係る図10に示すように、各行データの1番目、6番目、11番目、16番目及び21番目の点から位置情報を取得する。
【0025】
この場合、ハッチングを付した、位置情報が取得された点が上下方向に並ぶため、例えば、各行データの7番目~10番目の点の位置情報は、対象物の検出に用いられない。図3に示す点群データ50では、点群データ50を構成する点のうち点(B,7)~点(O,7)及び点(B,8)~点(O,8)が車線分離標Y上の測距点の位置を示し、それ以外の点は壁Z上の測距点の位置を示すものとすると、図10に示す間引き処理では、車線分離標Yの位置情報を取得できず、車線分離標Yを検出できない。
【0026】
そこで、本実施形態の制御装置30は、設定部31、取得部32及び検出部33の機能により、図3に示す点群データ50の点を、図4に示す間引き処理により間引く。
【0027】
設定部31は、データ生成装置10から取得した点群データ50において、測距点の位置情報に対応する点が左右方向に並んだ(配列した)第1行データと、第1行データの直上の第2行データと、第1行データの直下の第3行データとに測距点の位置情報の取得を開始する開始位置を設定する機能を有する。制御装置30は、開始位置として、左右方向の列位置と、上下方向の行位置とを設定する。図4に示す例では、列位置を1~21の番号で示し、行位置をA~Oの符号で示す。
【0028】
また、制御装置30は、上下方向で第2行データの第2開始位置及び第3行データの第3開始位置に対応していない位置を、第1行データの第1開始位置に設定する。つまり、第1行データの第1開始位置の列位置は、第2行データの第2開始位置の列位置及び第3行データの第3開始位置の列位置と異なる。この条件を満たす限り、制御装置30は、第1行データ、第2行データ及び第3行データの任意の位置(点)を、それぞれ、第1開始位置、第2開始位置及び第3開始位置に設定できる。
【0029】
図4は、制御装置30が、図3に示す点群データ50に対して設定した開始位置の一例を示す正面図である。図4に示す例では、制御装置30は、第2開始位置を、第1開始位置に上下方向で対応する位置(点)の一つ左側の位置(点)に設定し、第3開始位置を、第1開始位置に上下方向で対応する位置(点)の一つ右側の位置(点)に設定する処理を繰り返し実行し、各行データの開始位置を設定した。具体的には、点(A,1)、点(B,2)、点(C,3)、点(D,4)、点(E,5)、点(F,6)、点(G,7)、点(H,8)、点(I,9)、点(J,10)、点(K,11)、点(L,12)、点(M,13)、点(N,14)及び点(O,15)が各行データの開始位置に設定されている。
【0030】
図4に示す例では、例えば、行データBが第1行データであるとすると、行データBの直上の行データAが第2行データとなり、行データBの直下の行データCが第3行データとなる。そして、点(B,2)が第1開始位置となり、点(A,1)が第2開始位置となり、点(C,3)が第3開始位置となる。この場合、点(B,2)は、点(A,1)と上下方向に対応した点(B,1)でなく、点(C,3)と上下方向に対応した点(B,3)でもない。また、点(A,1)の列位置は、点(B,2)に上下方向で対応する点(A,2)の列位置の一つ左側の位置であり、点(C,3)の列位置は、点(B,2)に上下方向で対応する点(C,2)の列位置の一つ右側の位置である。
【0031】
取得部32は、設定部31の機能により設定された開始位置から所定個数おきに、測距点の位置情報を取得する機能を有する。制御装置30は、第1行データ、第2行データ及び第3行データのそれぞれにおいて、第1開始位置、第2開始位置及び第3開始位置から所定個数おきに、測距点の位置情報を取得する。所定個数は、行データの数と、行データを構成する点の数(つまり位置情報の数)とに応じて適宜の値を設定できる。
【0032】
所定個数おきに位置情報を取得する場合は、開始位置から右方向及び左方向の少なくとも一方向で所定個数おきに位置情報を取得する。例えば、図4に示す点(E,5)が開始位置に設定され、行データEにおいて3点おきに(4点ごとに)位置情報を取得する場合は、点(E,5)及び点(E,1)の位置情報を取得するか(左方向)、点(E,5)、点(E,9)、点(E,13)、点(E,17)及び点(E,21)の位置情報を取得するか(右方向)、点(E,1)、点(E,5)、点(E,9)、点(E,13)、点(E,17)及び点(E,21)の位置情報を取得する(左右方向)。なお、開始位置の位置情報は必ずしも取得する必要はない。
【0033】
図4に示す例では、制御装置30は、上述した15個の開始位置から右方向に4点おきに(5点ごとに)位置情報を取得する。この場合、制御装置30は、ハッチングを付した点から位置情報を取得する。ハッチングが付された、位置情報が取得される点には、点(B,7)、点(C,8)、点(G,7)及び点(H,8)が含まれるため、間引き処理した点群データに車線分離標Y上の測距点の位置を示す点が残る。以下、点群データ50において位置情報を取得する点にはハッチングを付して示すこととする。
【0034】
検出部33は、取得部32の機能により取得した位置情報から、移動体の周囲に存在する対象物を検出する機能を有する。制御装置30は、測距点の位置情報(測距点の座標、対象物までの距離など)から、移動体の周囲に存在する対象物を検出する。例えば、制御装置30は、測距点の位置情報に基づいて測距点を3次元マップにプロットした画像を作成し、当該画像から対象物を検出する。
【0035】
図4に示す例では、制御装置30は、取得部32の機能により取得した測距点の位置情報から、測距点をプロットした画像を生成し、当該画像に対してパターンマッチングなどの処理を行い、対象物を検出する。制御装置30は、画像を生成する場合に、点(B,7)、点(C,8)、点(G,7)及び点(H,8)の位置情報を用いるため、車両40の前方に存在する車線分離標Yを検出できる。
【0036】
次に、図5は、制御装置30が、図3に示す点群データ50に対して設定した開始位置の他の例を示す正面図である。図5は、右方向に9点おきに(10点ごとに)位置情報を取得する場合の開始位置の設定の例であり、点(A,1)、点(B,3)、点(C,5)、点(D,7)、点(E,9)、点(F,11)、点(G,13)、点(H,15)、点(I,17)、点(J,19)及び点(K,21)が開始位置に設定されている。
【0037】
図5に示す例では、例えば、行データBが第1行データであるとすると、行データBの直上の行データAが第2行データとなり、行データBの直下の行データCが第3行データとなる。そして、点(B,3)が第1開始位置となり、点(A,1)が第2開始位置となり、点(C,5)が第3開始位置となる。この場合、図4に示す例より開始位置同士の左右方向の差が大きく設定されており、これにより、図4に示す例と比較して位置情報を取得する点をより疎らに設定できる。このように、制御装置30は、所定個数が多いほど、第1開始位置と第2開始位置との左右方向の差及び第1開始位置と第3開始位置との左右方向の差のうち少なくとも一方を大きく設定してもよい。なお、開始位置同士の差は、開始位置同士の距離により設定してもよく、行データの点の間隔、データ生成装置の電磁波の照射角度の間隔などにより設定してもよい。
【0038】
図5に示す例では、位置情報が取得される点には点(D,7)が含まれるため、間引き処理した点群データに車線分離標Y上の測距点の位置を示す点が残る。これにより、図5に示す例において、制御装置30は、車両40の前方に存在する車線分離標Yを検出できる。
【0039】
なお、図4に示す例では、行データごとに開始位置を設定し、行データごとに、開始位置から所定個数おきに位置情報を取得しているが、図5に示す例のように、必ずしも全ての行データから位置情報を取得する必要はない。例えば、点群データ50の上側など、対象物が存在する確率が低い部分の行データでは位置情報を取得しなくともよい。
【0040】
次に、図6は、制御装置30が、図3に示す点群データ50に対して設定した開始位置のさらに他の例を示す正面図である。図6に示す例では、制御装置30は、第2開始位置及び第3開始位置の列位置を、第1開始位置の列位置の一つ左側の位置に設定する処理を繰り返し実行し、各行データの開始位置を設定した。具体的には、点(A,1)、点(B,2)、点(C,1)、点(D,2)、点(E,1)、点(F,2)、点(G,1)、点(H,2)、点(I,1)、点(J,2)、点(K,1)、点(L,2)、点(M,1)、点(N,2)及び点(O,1)が各行データの開始位置に設定されている。
【0041】
図6に示す例では、例えば、行データBが第1行データであるとすると、行データBの直上の行データAが第2行データとなり、行データBの直下の行データCが第3行データとなる。そして、点(B,2)が第1開始位置となり、点(A,1)が第2開始位置となり、点(C,1)が第3開始位置となる。この場合、点(A,1)及び点(C,1)の列位置は、点(B,2)に上下方向で対応する点(A,2)及び点(C,2)の列位置の一つ左側の位置である。
【0042】
また、制御装置30は、第2開始位置及び第3開始位置の列位置を、第1開始位置の列位置の一つ右側の位置に設定する処理を繰り返し実行することで、図6に示す開始位置と同様の開始位置を設定できる。例えば、行データCが第1行データであるとすると、行データCの直上の行データBが第2行データとなり、行データCの直下の行データDが第3行データとなる。そして、点(C,1)が第1開始位置となり、点(B,2)が第2開始位置となり、点(D,2)が第3開始位置となる。この場合、点(B,2)及び点(D,2)の列位置は、点(C,1)に上下方向で対応する点(B,1)及び点(D,1)の列位置の一つ右側の位置である。
【0043】
図6に示す例では、制御装置30は、上述した15の開始位置から右方向に4点おきに(5点ごとに)位置情報を取得する。この場合、制御装置30は、ハッチングが付された点から位置情報を取得する。位置情報が取得される点には、点(B,7)、点(D,7)、点(F,7)、点(H,7)、点(J,7)、点(L,7)及び点(N,7)が含まれるため、間引き処理した点群データに車線分離標Y上の測距点の位置を示す点が残る。
【0044】
また、制御装置30は、図4に示す例と同様に、取得した位置情報から反射位置をプロットした画像を生成し、当該画像に対してパターンマッチングなどの処理を行い、対象物を検出する。制御装置30は、画像を生成する場合に、点(B,7)、点(D,7)、点(F,7)、点(H,7)、点(J,7)、点(L,7)及び点(N,7)の位置情報を用いるため、車両40の前方に存在する車線分離標Yを検出できる。
【0045】
空など、照射した電磁波が反射しない位置や、データ生成装置10の検出限界距離を超えた位置については、測距点の位置情報が取得できない。図6に示す例では、破線で示す点(B,9)、点(B,10)、点(C,10)及び点(C,11)に対応する測距点では、レーザーの反射波を検出できなかったため、測距点の位置情報が取得できなかったものとする。このような、位置情報が取得できない点が行データに存在する場合は、制御装置30は、位置情報が取得できない点が存在しないものとして所定個数おきに位置情報を取得してもよい。
【0046】
図6に示す例では、本来であれば、行データBの点(B,2)、点(B,7)、点(B,12)及び点(B,17)から位置情報が取得されるところ、点(B,9)及び点(B,10)は位置情報が取得できない点であるため、これら2点を除いて(飛ばして)行データBの点(B,2)、点(B,7)、点(B,14)及び点(B,19)から位置情報を取得する。同様に、本来であれば、行データCの点(C,1)、点(C,6)、点(C,11)、点(C,16)及び点(C,21)から位置情報が取得されるところ、点(C,10)及び点(C,11)は位置情報が取得できない点であるため、これら2点を除いて(飛ばして)行データCの点(C,1)、点(C,6)、点(C,13)及び点(C,18)から位置情報を取得する。
【0047】
次に、図7は、制御装置30が、図3に示す点群データ50に対して設定した開始位置のさらに他の例を示す正面図である。図7は、右方向に4点おきに(5点ごとに)位置情報を取得する場合の開始位置の設定の例であり、点(A,8)、点(B,1)、点(C,9)、点(D,2)、点(E,10)、点(F,3)、点(G,11)、点(H,4)、点(I,12)、点(J,5)、点(K,13)、点(L,6)、点(M,14)、点(N,7)及び点(O,15)が開始位置に設定されている。
【0048】
図7に示す例では、例えば、行データBが第1行データであるとすると、行データBの直上の行データAが第2行データとなり、行データBの直下の行データCが第3行データとなる。そして、点(B,1)が第1開始位置となり、点(A,8)が第2開始位置となり、点(C,9)が第3開始位置となる。この場合、行データA~行データCと異なる行データDを第4行データとすると、第4行データにおいて位置情報の取得を開始する第4開始位置は点(D,2)となり、点(B,1)と点(D,2)との左右方向の差は、点(B,1)と点(A,8)との左右方向の差及び点(B,1)と点(C,9)との左右方向の差より小さく、これにより、図4に示す例と比較して位置情報を取得する点をより疎らに設定できる。このように、制御装置30は、第1行データ、第2行データ及び第3行データと異なる第4行データに位置情報の取得を開始する第4開始位置を設定し、第1開始位置と第4開始位置との左右方向の差を、第1開始位置と第2開始位置との左右方向の差及び第1開始位置と第3開始位置との左右方向の差のいずれか一方より小さく設定してもよい。
【0049】
図7に示す例では、位置情報が取得される点には点(D,7)、点(F,8)及び点(N,7)が含まれるため、間引き処理した点群データに車線分離標Y上の測距点の位置を示す点が残る。これにより、図7に示す例において、制御装置30は、車両40の前方に存在する車線分離標Yを検出できる。
【0050】
制御装置30は、点群データ50の行データごとに位置情報の取得を開始する開始位置をランダムに設定してもよい。この場合、ランダムに設定した第1開始位置の列位置が、直上の行データに設定された第2開始位置の列位置と、直下の行データに設定された第3開始位置の列位置と異なるか否かを判定し、第1開始位置の列位置が、第2開始位置の列位置及び第3開始位置の列位置の少なくとも一方と同じである場合は、第1開始位置を再度設定する。
【0051】
制御装置30は、複数の行データに上から順番に行データ番号を設定し、行データごとに、行データの総数と行データ番号との和を、行データの総数より小さく、1より大きい第1整数で除した場合の余りを算出し、算出した余りを整数にする処理を行って第2整数を取得し、各行データにおいて、最も左側又は最も右側に位置する点の位置から第2整数番目の位置を開始位置に設定してもよい。第1整数は適宜の整数を設定できる。また、算出した余りを整数にする処理とは、小数点第一位の四捨五入、切り上げ又は切り捨ての処理である。
【0052】
図1に戻り、推定部34は、検出部33の機能により検出された対象物の位置の情報を用いて、移動体の現在位置を推定する機能を有する。制御装置30は、点群データ50から検出した対象物の特徴部分と、地図情報20に予め登録された対象物の特徴部分とが合致するか否かを判定し、二つの特徴部分同士が合致すると判定した場合は、地図情報20に登録された対象物の位置と、検出部33の機能により検出された、移動体に対する対象物の相対位置とから移動体の現在位置を推定する。これに対し、二つの特徴部分同士が合致しないと判定した場合は、移動体の現在位置の推定を行わない。
【0053】
例えば、図3に示す点群データ50から、図2に示す車線分離標Y及び壁Zを検出した場合は、制御装置30は、車線分離標Y及び壁Zの特徴部分を判別するとともに、地図情報20上の取得位置近傍の対象物の特徴部分を取得する。取得位置は、例えば、車両40の走行位置として最後に検出された位置であり、特徴部分は、例えば、車線分離標Y及び壁Zの形状の特徴線などである。検出した車線分離標Y及び壁Zの形状が、地図情報20から取得した車線分離標Y及び壁Zの形状と合致していると判定した場合は、地図情報20に登録された車線分離標Y及び壁Zの位置と、車両40に対する車線分離標Y及び壁Zの相対位置とから車両40の現在位置を推定する。これに対し、検出した車線分離標Y及び壁Zの形状が、地図情報20から取得した車線分離標Y及び壁Zの形状と合致していないと判定した場合は、車両40の現在位置の推定を繰り返す、又は車両40の現在位置の推定を中止する。
【0054】
[物体検出装置における処理]
図8~9を参照して、制御装置30が情報を処理する際の手順を説明する。図8は、本実施形態の物体検出装置1において実行される、情報の処理を示すフローチャートの一例である。以下に説明する処理は、制御装置30が備えるプロセッサ(CPU)により実行される。
【0055】
まず、ステップS1にて、設定部31の機能によりデータ生成装置10から点群データ50を取得し、続くステップS2にて、点群データ50の第1行データ~第3行データに開始位置を設定する。ステップS3にて、取得部32の機能により、設定した開始位置において位置情報を取得し、続くステップS4にて、開始位置から所定個数おきに位置情報を取得する。ステップS5にて、検出部33の機能により、取得した位置情報から周囲の対象物を検出する。その後、ルーチンの実行を終了する。
【0056】
次に、図9は、本実施形態の物体検出装置1において実行される、情報の処理を示すフローチャートの他の例である。以下に説明する処理は、制御装置30が備えるプロセッサ(CPU)により実行される。
【0057】
まず、ステップS11にて、推定部34の機能により周囲の環境情報を取得し、データ生成装置10の検出結果を用いて移動体の現在位置を推定するシーンであるか否かを判定する。データ生成装置10の検出結果を用いて移動体の現在位置を推定するシーンでないと判定した場合は、ステップS11の判定を繰り返す。これに対し、データ生成装置10の検出結果を用いて移動体の現在位置を推定するシーンであると判定した場合は、ステップS12に進む。
【0058】
ステップS12にて、設定部31の機能により、データ生成装置10から点群データ50を取得し、続くステップS13にて、点群データ50の各行データに開始位置を設定する。ステップS14にて、取得部32の機能により、設定した開始位置において位置情報を取得し、続くステップS15にて、行データに位置情報を取得できない点が存在するか否かを判定する。位置情報を取得できない点が存在しないと判定した場合は、ステップS16に進み、各行データごとに開始位置から所定個数おきに位置情報を取得する。これに対し、位置情報を取得できない点が存在すると判定した場合は、ステップS17に進み、各行データごとに開始位置から所定個数おきに、位置情報を取得できない点を除いて(飛ばして又は存在しないものとして)位置情報を取得する。
【0059】
ステップS18にて、検出部33の機能により、取得した位置情報から周囲の対象物を検出する。ステップS19にて、推定部34の機能により、検出した対象物の特徴部分を判別し、続くステップS20にて、地図情報20の点群データ50から対象物の特徴部分を取得し、続くステップS21にて、特徴部分同士を比較する。ステップS22にて、特徴部分同士が合致するか否かを判定する。特徴部分同士が合致すると判定した場合は、ステップS23に進み、地図情報20上の対象物の位置と、移動体に対する、検出した対象物の相対位置とから移動体の現在位置を推定する。これに対し、特徴部分同士が合致しないと判定した場合は、ステップS19に進む。
【0060】
[本発明の実施態様]
以上のとおり、本実施形態によれば、移動体に設けられ、対象物の測距点の位置情報を前記移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データ50を生成するデータ生成装置10を備えた物体検出装置1により実行される、物体検出方法において、前記物体検出装置1は、前記データ生成装置10から取得した前記点群データ50において、前記位置情報が前記左右方向に配列した第1行データと、前記第1行データの前記上下方向の直上の第2行データと、前記第1行データの前記上下方向の直下の第3行データとに前記位置情報の取得を開始する開始位置を設定し、前記第1行データの第1開始位置の前記左右方向の列位置は、前記第2行データの第2開始位置の前記左右方向の列位置及び前記第3行データの第3開始位置の前記左右方向の列位置と異なり、前記第1行データ、前記第2行データ及び前記第3行データにおいて、前記第1開始位置、前記第2開始位置及び前記第3開始位置から所定個数おきに前記位置情報を取得し、前記所定個数おきに取得した前記位置情報から前記移動体の周囲に存在する対象物を検出する、物体検出方法が提供される。これにより、間引いた点群データ50から対象物を検出する場合に対象物の検出漏れを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態の物体検出方法によれば、前記物体検出装置1は、前記所定個数が多いほど、前記第1開始位置と前記第2開始位置との前記左右方向の差及び前記第1開始位置と前記第3開始位置との前記左右方向の差のうち少なくとも一方を大きく設定する。これにより、対象物の検出漏れをより抑制できる。
【0062】
また、本実施形態の物体検出方法によれば、前記物体検出装置1は、前記第1行データ、前記第2行データ及び前記第3行データと異なる第4行データに前記位置情報の取得を開始する第4開始位置を設定し、前記第1開始位置と前記第4開始位置との前記左右方向の差を、前記第1開始位置と前記第2開始位置との前記左右方向の差及び前記第1開始位置と前記第3開始位置との前記左右方向の差のいずれか一方より小さく設定する。これにより、対象物の検出漏れをより抑制できる。
【0063】
また、本実施形態の物体検出方法によれば、前記物体検出装置1は、前記第2開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ左側の位置に設定し、前記第3開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ右側の位置に設定する。これにより、位置情報を取得する点をより疎らに設定できる。
【0064】
また、本実施形態の物体検出方法によれば、前記物体検出装置1は、前記第2開始位置及び前記第3開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ左側の位置に設定する、又は、前記第2開始位置及び前記第3開始位置の前記左右方向の列位置を、前記第1開始位置の前記左右方向の列位置の一つ右側の位置に設定する。これにより、位置情報を取得する点をより疎らに設定できる。
【0065】
また、本実施形態の物体検出方法によれば、前記物体検出装置1は、前記位置情報が取得できない前記測距点が存在する場合は、前記位置情報が取得できない前記測距点を除いて前記所定個数おきに前記位置情報を取得する。これにより、対象物の検出漏れをより抑制できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、移動体に設けられ、対象物の測距点の位置情報を前記移動体の左右方向及び上下方向に二次元配列した点群データ50を生成するデータ生成装置10と、前記データ生成装置10から取得した前記点群データ50において、前記位置情報が前記左右方向に配列した第1行データと、前記第1行データの前記上下方向の直上の第2行データと、前記第1行データの前記上下方向の直下の第3行データとに前記位置情報の取得を開始する開始位置を設定する設定部31であって、前記第1行データの第1開始位置の前記左右方向の列位置は、前記第2行データの第2開始位置の前記左右方向の列位置及び前記第3行データの第3開始位置の前記左右方向の列位置と異なる設定部31と、前記第1行データ、前記第2行データ及び前記第3行データにおいて、前記設定部31が設定した前記第1開始位置、前記第2開始位置及び前記第3開始位置から所定個数おきに前記位置情報を取得する取得部32と、前記取得部32が取得した前記位置情報から前記移動体の周囲に存在する対象物を検出する検出部33とを備える、物体検出装置1が提供される。これにより、間引いた点群データ50から対象物を検出する場合に対象物の検出漏れを抑制できる。
【符号の説明】
【0067】
1…物体検出装置
10…データ生成装置
10a,10b,10c…LiDARユニット
20…地図情報
30…制御装置
31…設定部
32…取得部
33…検出部
34…推定部
40…車両
50…点群データ
X1,X2,X3,X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10…測距点
Y…車線分離標(ガイドポスト)
Z…壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10