(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164911
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/38 20200101AFI20241121BHJP
【FI】
D06F58/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080632
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】青山 陽一
(72)【発明者】
【氏名】西口 和志
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智幸
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA24
3B167AB24
3B167AB29
3B167AE01
3B167AE04
3B167AE07
3B167BA55
3B167KA32
3B167KA90
3B167KB16
3B167LA23
3B167LC07
3B167LC14
3B167LC20
3B167LD12
3B167LD15
3B167LD20
3B167LE07
3B167LF02
3B167LG08
3B167LG11
(57)【要約】
【課題】回転ドラム内に設置された静止棚上に被乾燥物を載置して乾燥させるのに好適な衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】回転ドラム3と、給排気ファン21と、加熱部9と、回転ドラム3内に被乾燥物Dを載置する静止棚500が設置されているかどうかを検知する棚検知部50と、乾燥運転を制御する制御部Cとを備える。棚検知部50からの出力に基づき回転ドラム3内に静止棚500が設置されているかどうかが判定され、回転ドラム3内に静止棚500が設置されている場合、静止棚500上で被乾燥物Dを乾燥するための所定の棚コース用乾燥条件で乾燥運転が実行される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ドラムと、
前記回転ドラムに対する給気と排気とを行う給排気ファンと、
前記回転ドラムに供給される空気を加熱する加熱部と、
前記回転ドラム内に被乾燥物を載置する静止棚が設置されているかどうかを検知する棚検知部と、
乾燥運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記棚検知部からの出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを判定し、
前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていると判定すると、前記静止棚上で前記被乾燥物を乾燥するための所定の棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を実行する衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類乾燥機において、
前記棚検知部は、一対の電極間の抵抗変化を検知する電極センサを有し、
前記電極センサは、前記静止棚上に載置された前記被乾燥物が接触しない前記回転ドラム内の所定位置に設けられており、
前記制御部は、前記電極センサからの出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを判定する衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の衣類乾燥機において、
前記乾燥運転を制御するための制御温度を検知する温度検知部を有し、
前記制御部は、前記棚検知部からの前記出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていないと判定すると、前記回転ドラム内で前記被乾燥物を撹拌しながら乾燥するための所定の標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転を実行し、
前記標準コース用乾燥条件で乾燥運転中、所定の設定加熱量で前記加熱部を作動させているときに前記温度検知部で検知される前記制御温度が所定の標準コース用温調温度に到達すると、前記加熱部の加熱量を減少させる標準コース用温調制御を実行し、
前記棚コース用乾燥条件で乾燥運転中、前記標準コース用温調制御の前記設定加熱量と同一の設定加熱量で前記加熱部を作動させているときに前記温度検知部で検知される前記制御温度が前記標準コース用温調温度より低い所定の棚コース用温調温度に到達すると、前記加熱部の加熱量を減少させる棚コース用温調制御を実行する衣類乾燥機。
【請求項4】
請求項3に記載の衣類乾燥機において、
前記制御部は、前記乾燥運転の開始前に前記棚検知部からの前記出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを初期判定し、
前記初期判定で前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていると判定すると、前記静止棚上で前記被乾燥物を乾燥するための前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させ、
前記初期判定で前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていないと判定すると、前記回転ドラム内で前記被乾燥物を撹拌しながら乾燥するための前記標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させ、
前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させた後、所定の再判定時間内に、前記棚検知部からの前記出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを再判定し、
前記再判定で前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていないと判定すると、前記標準コース用乾燥条件に変更して前記乾燥運転を継続させる衣類乾燥機。
【請求項5】
請求項3に記載の衣類乾燥機において、
前記制御部は、前記標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させる場合、所定の標準コース用初期設定加熱量で前記加熱部を作動させ、
前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させる場合、前記標準コース用初期設定加熱量よりも低い所定の棚コース用初期設定加熱量で前記加熱部を作動させる衣類乾燥機。
【請求項6】
請求項3に記載の衣類乾燥機において、
前記制御部は、前記標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転が終了した場合、前記加熱部の作動を停止させた状態で、前記給排気ファンを所定の標準コース用送風時間、作動させて、前記回転ドラム内に冷却空気を供給し、
前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転が終了した場合、前記加熱部の作動を停止させた状態で、前記給排気ファンを前記標準コース用送風時間よりも長い所定の棚コース用送風時間、作動させて、前記回転ドラム内に冷却空気を供給する衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機に関する。特に、本発明は、回転ドラム内に設置した静止棚上で被乾燥物を乾燥させることができる衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ドラムを回転させつつ、給排気ファン及び加熱手段を作動させることにより、回転ドラム内に温風を供給して衣類などの被乾燥物を乾燥する衣類乾燥機がある。この種の衣類乾燥機では、回転ドラム内で被乾燥物が撹拌されるため、デリケートな衣類や、靴、ぬいぐるみなどの被乾燥物を乾燥させると、被乾燥物に型崩れや縮み、傷みが生じやすい。そのため、回転ドラム内で被乾燥物を撹拌しながら回転ドラム内に高温の温風を供給して乾燥させる標準乾燥コース以外に、回転ドラム内に静止棚を設置し、静止棚上に被乾燥物を載置して、標準コースよりも緩やかな乾燥条件で被乾燥物を乾燥させるドライ乾燥コースをユーザが選択可能な衣類乾燥機が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、特許文献1の衣類乾燥機では、ユーザが所望の乾燥コースを選択できるように、複数の操作スイッチを有する操作部が設けられているが、回転ドラム内に静止棚が設置されているかどうかはユーザが判断する。そのため、ユーザが乾燥コースの選択を誤ると、静止棚が設置されていない状態でドライ乾燥コースでの乾燥運転が行われたり、静止棚が設置されている状態で標準乾燥コースでの乾燥運転が行われたりする。その結果、被乾燥物が適切に乾燥されないという問題がある。特に、後者の場合、回転ドラム内に高温の温風が供給されるため、被乾燥物が加熱され過ぎる虞がある。さらに、ドライ乾燥コース専用の操作スイッチを選択可能な操作部を有していない衣類乾燥機でも、ユーザが静止棚を利用した乾燥運転を望む場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、回転ドラム内に設置された静止棚上に被乾燥物を載置して乾燥させるのに好適な衣類乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の態様によれば、
回転ドラムと、
前記回転ドラムに対する給気と排気とを行う給排気ファンと、
前記回転ドラムに供給される空気を加熱する加熱部と、
前記回転ドラム内に被乾燥物を載置する静止棚が設置されているかどうかを検知する棚検知部と、
乾燥運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記棚検知部からの出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを判定し、
前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていると判定すると、前記静止棚上で前記被乾燥物を乾燥するための所定の棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を実行する衣類乾燥機が提供される。
【0007】
上記第1の態様によれば、回転ドラム内に被乾燥物を載置する静止棚が設置されているかどうかを検知する棚検知部が設けられているから、ユーザは回転ドラム内に静止棚が設置されているかどうかを判断する必要がない。そして、回転ドラム内に静止棚が設置されていると判定されると、棚コース用乾燥条件で乾燥運転を実行するから、適切な乾燥条件で被乾燥物を乾燥させることができる。
【0008】
本技術の第2の態様によれば、上記第1の態様の衣類乾燥機において、
前記棚検知部は、一対の電極間の抵抗変化を検知する電極センサを有し、
前記電極センサは、前記静止棚上に載置された前記被乾燥物が接触しない前記回転ドラム内の所定位置に設けられており、
前記制御部は、前記電極センサからの出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを判定する。
【0009】
回転ドラム内に静止棚が設置されておらず、回転ドラム内で被乾燥物を撹拌しながら乾燥運転が行われる場合、電極センサに被乾燥物が接触して、抵抗が変化する。従って、静止棚上に載置された被乾燥物が接触しない回転ドラム内の所定位置に電極センサを設けることにより、回転ドラム内に静止棚が設置されているかどうかを判定することができる。また、回転ドラム内で被乾燥物を撹拌しながら乾燥運転が行われる場合、新たな部品を追加することなく、被乾燥物の乾燥度合いを電極センサからの出力で判断することができる。
【0010】
本技術の第3の態様によれば、上記第1または第2の態様の衣類乾燥機において、
前記乾燥運転を制御するための制御温度を検知する温度検知部を有し、
前記制御部は、前記棚検知部からの前記出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていないと判定すると、前記回転ドラム内で前記被乾燥物を撹拌しながら乾燥するための所定の標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転を実行し、
前記標準コース用乾燥条件で乾燥運転中、所定の設定加熱量で前記加熱部を作動させているときに前記温度検知部で検知される前記制御温度が所定の標準コース用温調温度に到達すると、前記加熱部の加熱量を減少させる標準コース用温調制御を実行し、
前記棚コース用乾燥条件で乾燥運転中、前記標準コース用温調制御の前記設定加熱量と同一の設定加熱量で前記加熱部を作動させているときに前記温度検知部で検知される前記制御温度が前記標準コース用温調温度より低い所定の棚コース用温調温度に到達すると、前記加熱部の加熱量を減少させる棚コース用温調制御を実行する。
【0011】
静止棚上に載置された被乾燥物を乾燥させる場合、被乾燥物の同じ箇所に温風が当たりやすく、被乾燥物が部分的に過熱される虞がある。しかしながら、上記第3の態様によれば、標準コース用温調制御よりも緩やかな低い制御温度に到達すると加熱量を減少させる棚コース用温調制御が実行されるから、乾燥運転中、被乾燥物の温度が上がり過ぎるの防止することができる。
【0012】
本技術の第4の態様によれば、上記第3の態様の衣類乾燥機において、
前記制御部は、前記乾燥運転の開始前に前記棚検知部からの前記出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを初期判定し、
前記初期判定で前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていると判定すると、前記静止棚上で前記被乾燥物を乾燥するための前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させ、
前記初期判定で前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていないと判定すると、前記回転ドラム内で前記被乾燥物を撹拌しながら乾燥するための前記標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させ、
前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させた後、所定の再判定時間内に、前記棚検知部からの前記出力に基づき前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されているかどうかを再判定し、
前記再判定で前記回転ドラム内に前記静止棚が設置されていないと判定すると、前記標準コース用乾燥条件に変更して前記乾燥運転を継続させる。
【0013】
上記第4の態様によれば、初期判定で静止棚が設置されていると判定されて棚コース用乾燥条件で乾燥運転が開始された場合でも、再判定で静止棚が設置されていないと判定されると、乾燥条件が標準コース用乾燥条件に変更されて乾燥運転が継続されるから、高温の温風で被乾燥物を効率的に乾燥することができる。
【0014】
本技術の第5の態様によれば、上記第3または第4の態様の衣類乾燥機において、
前記制御部は、前記標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させる場合、所定の標準コース用初期設定加熱量で前記加熱部を作動させ、
前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転を開始させる場合、前記標準コース用初期設定加熱量よりも低い所定の棚コース用初期設定加熱量で前記加熱部を作動させる。
【0015】
上記第5の態様によれば、回転ドラム内で被乾燥物を撹拌しながら乾燥が行われる場合、乾燥運転の初期から回転ドラム内に高温の温風を供給して、効率的に被乾燥物を乾燥することができる。また、静止棚上で被乾燥物を乾燥させる場合、乾燥運転の初期から緩やかな標準コース用初期設定加熱量よりも低い所定の棚コース用初期設定加熱量で静止棚上に載置された被乾燥物を乾燥することができる。
【0016】
本技術の第6の態様によれば、上記第1~第5のいずれか1つの態様の衣類乾燥機において、
前記制御部は、前記標準コース用乾燥条件で前記乾燥運転が終了した場合、前記加熱部の作動を停止させた状態で、前記給排気ファンを所定の標準コース用送風時間、作動させて、前記回転ドラム内に冷却空気を供給し、
前記棚コース用乾燥条件で前記乾燥運転が終了した場合、前記加熱部の作動を停止させた状態で、前記給排気ファンを前記標準コース用送風時間よりも長い所定の棚コース用送風時間、作動させて、前記回転ドラム内に冷却空気を供給する。
【0017】
静止棚は回転ドラム内で静止しているため、乾燥運転中、静止棚の温度が上昇しやすい。従って、上記第6の態様によれば、静止棚の温度が低下した状態で回転ドラム内から被乾燥物を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略縦断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略背面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機に用いられる静止棚を示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の乾燥運転の制御動作を示すフローチャートの一部である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の乾燥運転の制御動作を示すフローチャートの一部である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機で乾燥運転を行う場合の各乾燥コースにおける温調制御に用いられるデータテーブルであり、(a)は、標準コース用温調制御の設定値を示し、(b)は、棚コース用温調制御の設定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機について説明する。
図1は、本実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略斜視図であり、
図2は概略縦断面図であり、
図3は、本体ケースの後壁を省略した概略背面図であり、
図4は、回転ドラムの前後に配設される構成部品の要部概略分解斜視図である。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態に係る衣類乾燥機1は、略矩形箱状の本体ケース11と、衣類取出し口100をその正面側から被蓋する開閉扉12とで、その外郭が構成されている。なお、本明細書では、衣類乾燥機1の開閉扉12側を正面側とし、衣類乾燥機1を正面側から見たときの奥行き方向を前後方向、横方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0020】
本体ケース11は、開口部11hを有する前壁11aと、前後方向で前壁11aと対向する後壁11bと、前壁11aと後壁11bの上下側辺を連結する上下壁11c,11dと、前壁11aと後壁11bの左右側辺を連結する左右壁11e,11fとからなる周壁110を有する。前壁11aの後方には
図4及び
図5に示す入口形成部101が配設されている。入口形成部101は、その前端が前壁11aの開口部11hに嵌挿されて、衣類取出し口100を画成する円筒部102と、円筒部102の下方部分から下方に延びる中空の下ダクト部103とを有する。
【0021】
本体ケース11内には、その正面側に円形状の開口部130を有する円筒形状の回転ドラム3が横向き姿勢で収容されている。入口形成部101の円筒部102の後端側の外周には、円環状の前ドラムサポート14が配設されている。前ドラムサポート14の後面下部には、回転ドラム3内で図示しない被乾燥物Dが撹拌されている状態で、被乾燥物Dが接触する一対の電極51a,51b間の抵抗変化から乾燥度合いを検知する電極センサ50(棚検知部)が配設されている。電極センサ50で検知された検知信号は、後述する制御回路に出力される。
【0022】
図2、
図4、及び
図5に示すように、入口形成部101の円筒部102の下方部分の一定領域には、半円弧形状の開口部121(以下、「温風排出口121」という)が開設されている。温風排出口121は下ダクト部103と連通している。温風排出口121には、取り外し可能な網目状のエアフィルタ19が装着されている。回転ドラム3内の温風が温風排出口121から下ダクト部103へ送り出される際、このエアフィルタ19によって回転ドラム3内に浮遊するごみや糸くずが除去される。
【0023】
入口形成部101は、回転ドラム3内に静止棚500を設置するための保持部104を有する。保持部104は、円筒部102の内周面に形成された、左右方向に対向する一対の支持部105及び左右方向に対向する一対の段部106と、円筒部102の後端下部に形成された左右の支持後端面107とを有する(図中、左側の保持部104のみを示す)。一対の支持部105は、衣類取出し口100の上下方向の中心よりも下方に位置している。また、一対の支持部105は、円筒部102の左右方向に対向する一対の対向内面108の前後方向中央部から互いに近接する内方に向かって突出している。一対の支持部105は、上方に凸の矩形状を有している。
【0024】
一対の段部106は、一対の支持部105の下端から前方及び後方に向かって水平に延びている。一対の段部106のうち、一対の支持部105の下端から後方に延びる一対の後方段部106は、支持後端面107まで延びている。支持後端面107は、一対の段部106の後端から下方に延在している。
【0025】
図6に示すように、回転ドラム3内に着脱可能に設置される静止棚500は、平面視略U字状に折り曲げられた金属製の2本の枠用線材を、上下方向に一定距離、離間して並設した上枠体501及び下枠体502と、下枠体502の左右方向に対向する側辺を前後方向に所定の間隔で連結し、左右両端部で上方に向かって折り曲げられて上下枠体501,502を連結する複数の金属製の連結線材503とを有する。これらの線材によって、被乾燥物Dを載置する載置部が形成される。上下枠体501,502は、前端の連結線材503よりも前方に延びている。また、静止棚500は、前端の連結線材503よりも前方に、連結線材503の下端よりも下方に突出する前端支持部504を有する。この前端支持部504の前端は、回転ドラム3内に静止棚500が設置されるとき、既述した支持後端面107に当接する。また、上枠体501の前端部は、後方に向かってU字状に折り曲げられ、下枠体502の前端部は、上枠体501の前端部よりも後方位置で、上方に向かってL字状に折り曲げられている。また、上枠体501の折り曲げられた部分と下枠体502の折り曲げられた部分との間には、一定の大きさの隙間505が形成されている。この隙間505は、回転ドラム3内に静止棚500が設置されるとき、既述した支持部105に係合する係合部を形成する。また、折り曲げられた上枠体501の前端部の下端及び折り曲げられた下枠体502の前端部の下端は、回転ドラム3内に静止棚500が設置されるとき、既述した段部106に当接する。これにより、静止棚500は、衣類取出し口100から回転ドラム3内に向かって水平に延びるように回転ドラム3内に設置される。また、回転ドラム3内で静止棚500は電極センサ50よりも上方に位置するため、静止棚500上に載置される被乾燥物Dは電極センサ50に接触しない。
【0026】
図2及び
図4に示すように、回転ドラム3の胴部131の後端には、後壁133が接続されている。回転ドラム3の後壁133の中央部には、円筒形状の支軸15が挿通されている。
【0027】
支軸15は、回転ドラム3の後壁133の後方で本体ケース11内に立設する後ドラムサポート111に挿通されている。後ドラムサポート111の平板部の外周部には、前方に膨出する円形状の凸部が形成されている。凸部は、後述する給気ダクト17の前面に形成されているダクト連絡口171に対向する環状領域に一定幅の開口部112を有する。
【0028】
回転ドラム3の外周部とモータ16の図示しない一端側の出力軸のドラム駆動プーリとの間には、伝動ベルト160が架け渡されている。図示しないが、モータ16には、モータ16の回転数を検出するためにホール素子を使用した回転数センサが設けられている。回転数センサで検知された検知信号は、制御回路に出力される。
【0029】
支軸15の後端部には、ファンプーリ151が取り付けられている。ファンプーリ151とモータ16の他端側の出力軸に取り付けられたファン駆動プーリ154との間には、ファンベルト155が架け渡されている。共通のモータ16によるベルト駆動によって、回転ドラム3及び給排気ファン21が回転駆動される。
【0030】
後ドラムサポート111の後面側の左領域には、加熱部であるバーナ9によって加熱された温風を回転ドラム3内へ送り込むための扁平な略半円弧形状の給気ダクト17が配設されている。給気ダクト17の後面上部には、後方に開放し、後述する燃焼室5に連通する流入口170が開設されている。また、給気ダクト17の前面の略全面には、前方に開放し、温風を前方に吹き出すダクト連絡口171が開設されている。
【0031】
後ドラムサポート111の後面側の中心部には、排気ダクト20の排気部200が配設されている。排気部200の後方の開口部210(以下、「排気出口210」という)は、ファンケース4の吸気口40と対向している。また、排気ダクト20の下端には、前方に開放する開口部が設けられている。そして、排気ダクト20は、後ドラムサポート111の下端の開口を介して、衣類取出し口100の下方部分の温風排出口121と連通する下ダクト部103の下端から、回転ドラム3と本体ケース11の下壁11dとの間に形成される隙間Gを通って回転ドラム3の後方まで延びる連絡ダクト120と接続されている。このため、温風排出口121から排出される温風は、下ダクト部103、連絡ダクト120、及び排気ダクト20を通って、ファンケース4に送り込まれる。
【0032】
給気ダクト17及び排気ダクト20の後方には、給排気ファン21を収容するファンケース4が配設されている。ファンケース4は、所定形状に成形した後方に開放する浅皿形状の前壁43と、所定形状に成形した平板形状の後壁44とを接合することにより、扁平な略円筒箱状に形成されている。ファンケース4は、前壁43に開口し、排気ダクト20の排気出口210と連通する吸気口40と、ファンケース4の周面から接線方向に上方に突出し、本体ケース11の上壁11cに形成された排気口10に連通する吐出口41とを有する。吐出口41近傍の排気経路には、外部に排気される温風の排気温度を検知する排気温センサ52(温度検知部)が配設されており、排気温センサ52で検知された検知信号は、制御回路に出力される。図示しないが、排気口10には、屋外に連通する排気筒が接続される。
【0033】
回転ドラム3の後壁133の凹部には、支軸15から放射状に複数の小円孔135(以下、「温風吹き出し口135」という)が穿設されている。燃焼室5から給気ダクト17へ送り込まれる温風は、これらの温風吹き出し口135を通って、後壁133と後述するカバー板153との間の間隙へ導かれる。図示しないが、温風吹き出し口135近傍には、吹出温センサが配設されており、吹出温センサで検知された検知信号は制御回路に出力される。
【0034】
支軸15の前端部には、その外周方向へ広がる略円板形状の固定フランジ152が固設されている。固定フランジ152の前面には、後壁133の前面の略全体を回転ドラム3の内側から覆う円板形状のカバー板153が非回転状態で固設されている。図示しないが、カバー板153の外周の所定幅の環状領域には、複数の小円孔が穿設されている。カバー板153の前面には、回転ドラム3内で撹拌されている被乾燥物Dの温度を検知するための衣類温センサM1が設けられており、衣類温センサM1で検知された検知信号は、制御回路に出力される。
【0035】
図3に示すように、ファンケース4の外周面と、本体ケース11の周壁110の上壁11cと右壁11fのコーナ部との間に形成される空間Sには、略横L字状の燃焼室5が配設されている。燃焼室5は、所定形状に形成した複数の金属板を接合することにより形成されている。燃焼室5の前壁は、前方に開放する流出口57を有する。流出口57は、給気ダクト17の後面上部に設けられた流入口170と接続されている。
【0036】
燃焼室5内の右端近傍には、複数本のバーナ9が配置されている。バーナ9によって生成される燃焼排気は、燃焼室5の長手方向の右から左に向かって流れる。図示しないが、各バーナ9のガス入口は、開口方向を揃えて下方に開口しており、ガス入口にはバルブユニット92から延びるガスノズルが臨んでいる。
【0037】
図示しないが、燃焼室5内には、バーナ9を点火するための点火電極と、バーナ9の点火及び消火を検知するための熱電対が配設されている。点火電極は、制御回路からの指示によりバーナ9を点火させる。熱電対は、バーナ9に形成される燃焼炎に晒されると熱起電力を発生し、熱起電力の検知信号は制御回路に出力される。
【0038】
バーナ9の下方には、バルブユニット92が配設されている。バルブユニット92は従来公知の構成を有するため図示しないが、電磁弁や比例弁等を有する。これらの制御弁が開弁されることにより、先端のノズルからバーナ9内へ所定量のガスと周辺の空気とが送り込まれる。そして、点火電極から火花放電を生じさせて混合気を点火させると、バーナ9に燃焼炎が形成されて、燃焼排気が燃焼室5内へ放出され、燃焼室5内に取り込まれる空気が加熱されて、温風が生成される。
【0039】
従って、本実施の形態では、排気経路に設けられた引張り式の給排気ファン21を作動させることによって、本体ケース11の取り込み口(図示せず)、燃焼室5、給気ダクト17、及び後ドラムサポート111の開口部112を介して回転ドラム3内に温風が給気される。また、給排気ファン21を作動させることによって、回転ドラム3内から、温風排出口121、下ダクト部103、連絡ダクト120、排気ダクト20、給排気ファン21、吐出口41、及び排気口10を介して外部に温風が排気される。
【0040】
前壁11aの前面右上部には、電源スイッチ、乾燥運転スイッチ等の各種操作スイッチや運転状態を表示する表示部などが配置された操作表示部45が配設されている。後述するように、本実施の形態の衣類乾燥機1では、ユーザが操作表示部45の操作スイッチでタイマ乾燥コースを選択した場合、静止棚500の判定結果に基づいて所定の標準コース用乾燥条件で乾燥運転が設定された乾燥時間、実行されるか、または所定の棚コース用乾燥条件で乾燥運転が設定された乾燥時間、実行されるように構成されている。このため、操作表示部45には棚コース専用の操作スイッチは設けられていない。これにより、ユーザが静止棚500を用いて乾燥運転を行うときの乾燥コースを選択する手間を省略することができるとともに、ユーザの乾燥コースの選択誤りも防止することができる。
【0041】
本体ケース11内には、衣類乾燥機1全体の運転を制御する制御回路Cが組み込まれている。既述したモータ16、回転数センサ、回転ドラム3内の衣類温センサM1や電極センサ50、吹出温センサ、排気温センサ52、燃焼室5内の点火電極や熱電対、操作表示部45は、配線を介して制御回路Cに接続されている。
【0042】
図示しないが、制御回路Cは、バルブユニット92の作動及び停止を行うことによりバーナ9の点火及び消火を行う点消火回路、バルブユニット92の電磁弁の開閉や比例弁の開度を調整する弁駆動回路、モータ16の作動を制御するモータ作動回路、電極センサ50からの出力に基づき回転ドラム3内に静止棚500が設置されているかどうかを判定する静止棚判定回路、静止棚判定回路の判定結果に基づき所定の乾燥条件を設定する乾燥条件設定回路、乾燥運転中、排気温センサ52で検知される排気温度に基づき、乾燥条件に応じた所定の温調制御を実行する温調制御回路、乾燥運転終了時の乾燥条件に応じて、送風運転の送風時間を設定する送風条件設定回路、操作表示部45や図示しないスピーカから所定の情報を報知する報知回路等によって構成されており、これらの各回路によって乾燥運転や送風運転などの各種運転が実行される。また、制御回路Cは、各種運転を実行するための運転プログラムや各種運転を制御するための各種設定値のデータが格納されたメモリを備える。従って、本実施の形態では、制御回路Cが乾燥運転や送風運転を制御する制御部を構成する。
【0043】
次に、ユーザが操作表示部45でタイマ乾燥コースを選択した場合の衣類乾燥機1の制御動作について、
図7~
図9を参照して説明する。
【0044】
ユーザが操作表示部45で電源スイッチをオン操作して、タイマ乾燥スイッチを押すと(ステップS1で、Yes)、モータ16が初期回転数で回転され、回転ドラム3及び給排気ファン21の作動が開始される(ステップS2)。
【0045】
回転ドラム3及び給排気ファン21の作動が開始すると、バーナ9の点火前に回転ドラム3内に静止棚500が設置されているかどうかを判定するため、制御回路Cは初期判定時間(例えば、10秒間)を計測する初期判定タイマtaをスタートさせ、電極センサ50からの出力を監視する(ステップS3)。このとき、回転ドラム3内で被乾燥物Dが撹拌されていれば、湿った被乾燥物Dが電極センサ50に接触し、所定以上の抵抗変化が検知される。一方、既述したように、静止棚500と電極センサ50とは、静止棚500上に載置された被乾燥物Dが電極センサ50に接触しないように設けられているから、所定以上の抵抗変化が検知されなければ、回転ドラム3内に静止棚500が設置されていると判定することができる。
【0046】
初期判定タイマtaがタイムアップする前に被乾燥物Dが電極センサ50に接触して回転ドラム3内に静止棚500が設置されていないと判定されると(ステップS4で、No、ステップS5で、Yes)、制御回路Cは乾燥条件を標準コース用乾燥条件に設定して乾燥運転を開始させる(ステップS6)。具体的には、制御回路Cは、電磁弁を開弁させ、バーナ9の加熱量(燃焼量)が所定の点火時燃焼速数(例えば、5速)となるように、比例弁の開度を調整するとともに、給排気ファン21の回転数を調整する。そして、制御回路Cは、バーナ9を点火させ、ユーザが選択した乾燥時間を計測する乾燥タイマtmをスタートさせる(ステップS7~S8)。
【0047】
乾燥運転が開始すると、制御回路Cは、バーナ9の加熱量が初期設定燃焼速数(例えば、8速)となるように、比例弁の開度を調整するとともに、給排気ファン21の回転数を調整し、
図9(a)に示すデータテーブルに従って標準コース用温調制御を実行する(ステップS9~S10)。これにより、高温の温風が回転ドラム3内に供給される。そして、被乾燥物Dの乾燥に伴って、回転ドラム3内から排気される温風の温度が上昇してくるため、温調制御では、排気温センサ52で検知される排気温度が所定の標準コース用温調温度(例えば、54℃)に到達すると、制御回路Cは、比例弁の開度を調整するとともに、給排気ファン21の回転数を調整して、バーナ9の加熱量を1段階低い所定の設定燃焼速数(例えば、8速→7速)に減少させる。従って、本実施の形態では、排気温度が温調制御における制御温度に対応し、バーナ9の設定燃焼速数がバーナ9の設定加熱量に対応する。なお、初期設定加熱量や温調制御における設定加熱量及び温調温度は、衣類乾燥機1の構成や乾燥させる被乾燥物Dの種類に応じて適宜、設定される。これらは実験により予め求めることができる。
【0048】
上記温調制御の実行中、乾燥タイマtmがタイムアップすると(ステップS11で、Yes)、制御回路Cは、給排気ファン21の作動を継続させた状態でバーナ9を消火させて、乾燥運転を終了し、送風運転に移行する(ステップS12)。
【0049】
送風運転に移行すると、制御回路Cは所定の標準コース用送風時間(例えば、2分間)を計測する送風タイマtsをスタートさせる(ステップS13)。送風タイマtsがタイムアップすると(ステップS14で、Yes)、制御回路Cはモータ16を停止させて、回転ドラム3及び給排気ファン21の作動を停止させ、送風運転を終了させて、操作表示部45やスピーカから乾燥終了を報知させる(ステップS15)。
【0050】
一方、初期判定タイマtaがタイムアップするまで被乾燥物Dが電極センサ50に接触せず、回転ドラム3内に静止棚500が設置されていると判定されると(ステップS4で、Yes、ステップS5で、No)、制御回路Cは乾燥条件を棚コース用乾燥条件に設定して乾燥運転を開始させる(ステップS21)。バーナ9の点火時の加熱量は、上記した標準コース用乾燥条件と同様である(ステップS22)。バーナ9が点火すると、制御回路Cは、ユーザが選択した乾燥時間を計測する乾燥タイマtmをスタートさせるとともに、回転ドラム3内に静止棚500が設置されているかどうかを再判定するための再判定時間(例えば、2.5分間)を計測する再判定タイマtbをスタートさせる(ステップS23)。
【0051】
乾燥運転が開始されると、制御回路Cは、バーナ9の加熱量が初期設定燃焼速数(例えば、4速)となるように、比例弁の開度を調整するとともに、給排気ファン21の回転数を調整する(ステップS24)。再判定タイマtbがタイムアップする前に被乾燥物Dが電極センサ50に接触して回転ドラム3内に静止棚500が設置されていないと判定されると(ステップS25で、No、ステップS26で、Yes)、制御回路Cは、乾燥条件を標準コース用乾燥条件に変更する(ステップS27)。なお、初期判定時間よりも長い再判定時間を設定することにより、早期に乾燥運転を開始させることができるとともに、確実に静止棚500の設置を判定することができる。
【0052】
再判定タイマtbがタイムアップするまで被乾燥物Dが電極センサ50に接触せず、再判定でも、初期判定と同様に、回転ドラム3内に静止棚500が設置されていると判定されると(ステップS25で、Yes、ステップS26で、No)、制御回路Cは、
図9(b)に示すデータテーブルに従って棚コース用温調制御を実行する(ステップS28)。棚コース用温調制御は上記した標準コース用温調制御と同様であり、温風が回転ドラム3内に供給されて、回転ドラム3内から排気される温風の温度が上昇し、排気温センサ52で検知される排気温度が所定の棚コース用温調温度(例えば、53℃)に到達すると、比例弁の開度を調整するとともに、給排気ファン21の回転数を調整して、バーナ9の加熱量を1段階低い所定の設定燃焼速数(例えば、4速→3速)に減少させる。従って、
図9(a)及び(b)に示すように、バーナ9の加熱量が同一の設定燃焼速数に設定されているとき、棚コース用温調制御では標準コース用温調制御よりも低い温調温度でバーナ9の加熱量が減少される。
【0053】
上記温調制御の実行中、乾燥タイマtmがタイムアップすると(ステップS29で、Yes)、給排気ファン21の作動を継続させた状態でバーナ9を消火させて、乾燥運転を終了し、送風運転に移行する(ステップS30)。
【0054】
送風運転に移行すると、制御回路Cは所定の棚コース用送風時間(例えば、4分間)を計測するために送風タイマtsをスタートさせる(ステップS31)。送風タイマtsがタイムアップすると(ステップS32で、Yes)、制御回路Cはモータ16を停止させて、回転ドラム3及び給排気ファン21の作動を停止させ、送風運転を終了させて、操作表示部45や図示しないスピーカから乾燥終了を報知させる(ステップS33)。
【0055】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、回転ドラム3内に被乾燥物Dを載置する静止棚500が設置されているかどうかを検知する電極センサ50が設けられているから、ユーザが回転ドラム3内に静止棚500が設置されているかどうかを判断する必要がない。そして、回転ドラム3内に静止棚500が設置されていると判定されると、棚コース用乾燥条件で乾燥運転が実行されるから、適切な乾燥条件で被乾燥物Dを乾燥させることができる。これにより、棚コース専用の操作スイッチが設けられていない衣類乾燥機1であっても、静止棚500上に載置した被乾燥物Dを適切に乾燥させることができる。また、本実施の形態によれば、回転ドラム3内に静止棚500が設置されていれば、棚コース用乾燥条件で乾燥運転が実行されるから、棚コース専用の操作スイッチを有する衣類乾燥機で、ユーザが乾燥コースの選択を誤った場合でも、静止棚500上に載置した被乾燥物Dを適切に乾燥させることができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、静止棚500上に載置された被乾燥物Dが接触しない回転ドラム3内の所定位置に電極センサ50が設けられており、回転ドラム3内で被乾燥物Dを撹拌しながら乾燥運転が行われる場合、電極センサ50に被乾燥物Dが接触して、抵抗が変化する。これにより、回転ドラム3内に静止棚500が設置されているかどうかを簡易に判定することができる。また、回転ドラム3内で被乾燥物Dを撹拌しながら乾燥運転が行われる場合、新たな部品を追加することなく、被乾燥物Dの乾燥度合いを電極センサ50からの出力で判断することができる。なお、棚検知部として、静止棚500を直接、検知可能な機械式または光学式のセンサを設けてもよい。
【0057】
なお、静止棚500上に載置された被乾燥物Dを乾燥させる場合、被乾燥物Dの同じ箇所に温風が当たりやすく、被乾燥物Dが部分的に過熱される虞がある。しかしながら、本実施の形態によれば、標準コース用温調制御よりも緩やかな低い制御温度に到達すると加熱量を減少させる棚コース用温調制御が実行されるから、乾燥運転中、被乾燥物Dの温度が上がり過ぎるの防止することができる。これにより、被乾燥物Dの劣化を防止することができる。なお、温調制御の制御温度として、排気温度の代わりにあるいは排気温度とともに、衣類温センサM1で検知される衣類温度や吹出温センサで検知される吹出温度を用いてもよい。
【0058】
また、回転ドラム3内に投入される被乾燥物Dの量が少なかったり、被乾燥物Dが回転ドラム3の周壁に張り付いていたりすると、回転ドラム3を作動させても、被乾燥物Dが電極センサ50に接触せず、静止棚500が設置されていると誤判定される場合がある。しかしながら、本実施の形態によれば、初期判定で静止棚500が設置されていると判定されて、棚コース用乾燥条件で乾燥運転が開始された場合でも、再判定で静止棚500が設置されていないと判定されると、乾燥条件が標準コース用乾燥条件に変更されて乾燥運転が継続されるから、高温の温風で被乾燥物Dを効率的に乾燥することができる。また、棚コース専用の操作スイッチを有する衣類乾燥機で、ユーザがコースの選択を誤った場合でも、ユーザが乾燥条件を変更する必要もない。なお、上記実施の形態では、電極センサ50への被乾燥物Dの接触により回転ドラム3内に静止棚500が設置されているかどうかが判定されるため、初期判定で電極センサ50への被乾燥物Dの接触が検知されれば、回転ドラム3内で被乾燥物Dが撹拌されていると考えられるから、再判定は実行されない。しかしながら、初期判定で回転ドラム3内に静止棚500が設置されてないと判定された場合でも、再判定を実行してもよい。この場合、標準コース用乾燥条件から棚コース用乾燥条件に変更して乾燥運転を継続させてもよい。
【0059】
また、本実施の形態によれば、回転ドラム3内で被乾燥物Dを撹拌しながら乾燥が行われる場合、乾燥運転の初期から回転ドラム3内に高温の温風を供給して、効率的に被乾燥物Dを乾燥することができる。また、静止棚500上で被乾燥物Dを乾燥させる場合、乾燥運転の初期から緩やかな標準コース用初期設定加熱量より低い棚コース用初期設定加熱量で静止棚500上に載置された被乾燥物Dを乾燥することができる。
【0060】
また、静止棚500が温風吹き出し口135に近い場合、乾燥運転中、静止棚500の温度が上昇しやすいが、本実施の形態によれば、静止棚500の温度が低下した状態で回転ドラム3内から被乾燥物Dを取り出すことができる。
【0061】
なお、上記実施の形態では、タイマ乾燥コースを選択した場合に、標準コース用乾燥条件の乾燥運転及び棚コース用乾燥条件の乾燥運転が実行される。しかしながら、他の乾燥コースを選択した場合に、標準コース用乾燥条件の乾燥運転及び棚コース用乾燥条件の乾燥運転が実行されてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、加熱部としてバーナ9が用いられている。しかしながら、加熱部としてヒータを用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 衣類乾燥機
3 回転ドラム
9 バーナ
21 給排気ファン
50 電極センサ
52 排気温センサ
500 静止棚
C 制御回路