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特開2024-164912計画調整システム、及び計画調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164912
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】計画調整システム、及び計画調整方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0835 20230101AFI20241121BHJP
【FI】
G06Q10/0835
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080636
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野本 多津
(72)【発明者】
【氏名】井上 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】内海 幸治
(72)【発明者】
【氏名】北島 大資
(72)【発明者】
【氏名】川崎 佳代子
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】バイヤとサプライヤで計画を共有する場を提供し、取引計画の調整にかかる工数を削減する。
【解決手段】発注者と受注者との取引交渉における取引計画を調整するための計画調整システムであって、シナリオに従って取引計画を計算する計画計算部と、発注者と受注者の前回の取引計画及び今回の取引計画を表示する交渉エリアと、自社のサプライチェーン情報を表示する情報エリアと、前記シナリオ毎の取引計画の計算結果を表示する調整ガイドエリアを表示するための表示データを出力する出力部と、調整ガイドエリアに表示された計画結果情報から前記シナリオが選択されると、当該選択されたシナリオに従って計算された取引計画を前記交渉エリアに出力し、前記計算された取引計画に関係する自社のサプライチェーン情報を情報エリアに出力する企業間計画調整部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注者と受注者との取引交渉における取引計画を調整するための計画調整システムであって、
所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶装置とを有する計算機によって構成され、
前記記憶装置は、計画の方針が定義される少なくとも一つのシナリオを格納し、
前記計画調整システムは、
前記演算装置が、前記シナリオに従って取引計画を計算する計画計算部と、
前記演算装置が、発注者と受注者の取引計画を表示するための表示データを出力する出力部と、
前記演算装置が、前記計画計算部を起動し、前記計算された取引計画を出力する企業間計画調整部とを備え、
前記出力部は、発注者と受注者の前回の取引計画及び今回の取引計画を表示する交渉エリアと、自社のサプライチェーン情報を表示する情報エリアと、前記シナリオ毎の取引計画の計算結果を表示する調整ガイドエリアを表示するための表示データを出力し、
前記企業間計画調整部は、調整ガイドエリアに表示された計画結果情報から前記シナリオが選択されると、当該選択されたシナリオに従って計算された取引計画を前記交渉エリアに出力し、前記計算された取引計画に関係する自社のサプライチェーン情報を情報エリアに出力することを特徴とする計画調整システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計画調整システムであって、
前記記憶装置は、
前記発注者と前記受注者との取引交渉において、参照された前記シナリオと、取引計画が調整された回数と、前記シナリオに従って計算された取引計画が採用されたかを示す情報を含む交渉履歴情報と、
前記シナリオの参照回数と採用回数を含むシナリオマスタ情報とを格納し、
前記計画調整システムは、前記採用回数が所定の閾値以上である、又は、前記参照回数が所定の閾値以上であるシナリオを選択し、前記選択されたシナリオに従って計算された取引計画を出力する計画調整案作成部を備えることを特徴とする計画調整システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計画調整システムであって、
前記演算装置が、発注者と受注者との取引交渉における前記参照回数及び前記採用回数に基づいて前記シナリオマスタ情報を更新し、前記シナリオの調整回数及び採用された前記シナリオの取引計画計算用パラメータを前記交渉履歴情報に記録する交渉履歴更新部を備えることを特徴とする計画調整システム。
【請求項4】
請求項1に記載の計画調整システムであって、
前記出力部が出力する表示データは、発注者と受注者との取引交渉における会話を表示するチャット領域を含むことを特徴とする計画調整システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計画調整システムであって、
利用者が入力したテキスト文に対してテキスト文を回答する制御部を有し、
前記記憶装置は、前記制御部が回答テキストを作成するために参照する回答情報を格納し、
前記制御部は、前記回答情報を参照し、前記入力されたテキスト文と一致する回答テキストを選択し、
前記出力部は、前記選択された回答テキストを前記チャット領域に表示するための表示データを出力することを特徴とする計画調整システム。
【請求項6】
請求項1に記載の計画調整システムであって、
前記出力部は、発注者と複数の受注者の取引計画を前記交渉エリアに表示するための表示データを出力することを特徴とする計画調整システム。
【請求項7】
請求項1に記載の計画調整システムであって、
前記出力部は、発注者と受注者の取引計画、及び当該受注者に原材料又は部品を供給する二次供給者の取引計画を前記交渉エリアに表示するための表示データを出力することを特徴とする計画調整システム。
【請求項8】
計算機が実行する計画調整方法であって、
前記計算機は、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶装置とを有し、
前記記憶装置は、計画の方針が定義される少なくとも一つのシナリオを格納し、
前記計画調整方法は、
前記演算装置が、前記シナリオに従って取引計画を計算する計画計算手順と、
前記演算装置が、発注者と受注者の取引計画を表示するための表示データを出力する出力手順と、
前記演算装置が、前記計画計算手順を起動し、前記計算された取引計画を出力する企業間計画調整手順とを備え、
前記出力手順では、前記演算装置は、発注者と受注者の前回の取引計画及び今回の取引計画を表示する交渉エリアと、自社のサプライチェーン情報を表示する情報エリアと、前記シナリオ毎の取引計画の計算結果を表示する調整ガイドエリアを表示するための表示データを出力し、
前記企業間計画調整手順では、前記演算装置は、調整ガイドエリアに表示された計画結果情報から前記シナリオが選択されると、当該選択されたシナリオに従って計算された取引計画を前記交渉エリアに出力し、前記計算された取引計画に関係する自社のサプライチェーン情報を情報エリアに出力することを特徴とする計画調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サプライチェーンで受発注を管理する計画調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サプライチェーンで受発注を管理する管理システムがある。例えば、特許文献1(特開2021-22180号公報)には、消費者から受注した商品を納品するために、商品の生産、輸送及び配送をネットワークにより管理する受発注管理システムであって、前記ネットワークに接続されるサーバと、サプライチェーンに関わるステークホルダー毎に設けられ、前記ネットワークに接続される操作端末とを備え、前記サーバは、前記商品の流通効率を金額換算し、理想的な商品流通モデルにおける主要な変量をもとに、前記サプライチェーンに関わるステークホルダー毎にグローバルウォレットの各配賦量を定義することを特徴とする受発注管理システムが記載されている。
【0003】
また、特許文献2(特開2021-163244号公報)には、製品の生産に用いる物を供給するサプライヤと、前記物を用いて前記製品を生産する工場と、生産された前記製品を保管する倉庫と、前記倉庫から製品が納入される顧客と、を含むサプライチェーンにおける前記製品の生産、在庫および配送に関する一つ又は複数の不確定要素の各々について確率分布の情報を取得する取得部と、前記顧客から注文された数量の前記製品を前記顧客へ納入するときの、前記サプライヤから前記工場への前記物の配送に要するコストを示す第1の配送コストと、前記工場での前記製品の生産に要するコストを示す生産コストと、前記工場から前記倉庫への前記製品の配送に要するコストを示す第2の配送コストと、前記倉庫での前記製品の保管に要する在庫コストと、前記倉庫から前記顧客への配送に要するコストを示す第3の配送コストと、前記製品が前記顧客へ納入された時間の納期からの遅延量に基づくコストと、を合計した評価値について、全ての前記不確定要素の値が、前記確率分布の期待値となる場合の前記評価値と、一つ又は複数の前記不確定要素の値が、前記確率分布に基づく、前記期待値よりも大きい値となる場合の前記評価値と、の合計を、所定の制約条件を満たしつつ最小化することを目的関数とする混合整数計画問題を解くことによって、前記サプライチェーンにおける前記物の供給、前記製品の生産、在庫および配送の計画であって、前記物の供給量と、前記製品の生産量と、前記倉庫における前記製品の在庫量と、前記工場から前記倉庫への前記製品の配送ルートおよび配送量と、前記倉庫から前記顧客への前記製品の配送ルートおよび配送量と、を含む前記計画を算出する計算部と、を備える計画システムが記載されている。
【0004】
また、特許文献3(特開2007-25850号公報)には、各種製品を構成する部品を購入するバイヤと、当該バイヤと前記部品のサプライヤとの間にあって両者の取引を仲介する中間業者と、前記サプライヤとをプレイヤーとしたサプライチェーンにおいて、前記プレイヤー間でのコラボレーションをコンピュータにより支援する方法であって、前記バイヤが備えるバイヤ端末が、前記中間業者の備える中間業者端末に送信する、前記製品の生産計画情報、部品の注文情報、サプライヤからの部品の着荷情報、サプライヤから着荷した部品の検収情報、および部品の買掛情報の少なくともいずれかの電文について、各情報に含まれる部品毎に、当該バイヤ端末が備える部品表データベースよりサプライヤおよび中間業者の指定情報を入力インターフェイスにて受け付け、当該サプライヤおよび中間業者の指定情報を前記電文の少なくともいずれかに付加して送信し、前記中間業者が備える中間業者端末が、前記製品の生産計画情報、部品の注文情報、サプライヤからの部品の着荷情報、サプライヤから着荷した部品の検収情報、および部品の買掛情報の少なくともいずれかの電文についてバイヤ端末より受信し、当該電文に含まれる前記指定情報に基づき、指定されたサプライヤまたは次中間業者毎に、前記電文に含まれる部品の情報をより分けて、前記指定されたサプライヤまたは次中間業者に宛てた転送電文を生成し、この転送電文に前記電文の発信元であるバイヤのコードおよび前記電文に付された電文コードとを付加して、前記サプライヤの備えるサプライヤ端末または次中間業者が備える次中間業者端末にこれを送信し、前記サプライヤが備えるサプライヤ端末が、前記転送電文を受信し、当該転送電文に従って、前記製品の生産計画情報に基づく部品生産計画生成、バイヤへの部品出荷の情報生成、バイヤにおける着荷部品の検収情報の取得、および部品の買掛情報の取得の少なくともいずれかの処理を実行する、ことを特徴とする、サプライチェーンにおけるコラボレーション支援方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-22180号公報
【特許文献2】特開2021-163244号公報
【特許文献3】特開2007-25850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サプライチェーンでの受発注管理において、バイヤとサプライヤの間で行われる取引計画の調整では、合意までに複数回のやり取りが発生し、時間がかかる課題がある。また、取引計画の調整において、相手方へ開示可能な情報と開示不可能な情報とを切り分け、情報の共有と情報漏洩防止のバランスが必要である。
【0007】
そこで、本発明は、バイヤとサプライヤで計画を共有する場を提供し、両者の要件を考慮したシミュレーションによって、取引計画の調整にかかる工数を削減できる計画調整システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、発注者と受注者との取引交渉における取引計画を調整するための計画調整システムであって、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶装置とを有する計算機によって構成され、前記記憶装置は、計画の方針が定義される少なくとも一つのシナリオを格納し、前記計画調整システムは、前記演算装置が、前記シナリオに従って取引計画を計算する計画計算部と、前記演算装置が、発注者と受注者の取引計画を表示するための表示データを出力する出力部と、前記演算装置が、前記計画計算部を起動し、前記計算された取引計画を出力する企業間計画調整部とを備え、前記出力部は、発注者と受注者の前回の取引計画及び今回の取引計画を表示する交渉エリアと、自社のサプライチェーン情報を表示する情報エリアと、前記シナリオ毎の取引計画の計算結果を表示する調整ガイドエリアを表示するための表示データを出力し、前記企業間計画調整部は、調整ガイドエリアに表示された計画結果情報から前記シナリオが選択されると、当該選択されたシナリオに従って計算された取引計画を前記交渉エリアに出力し、前記計算された取引計画に関係する自社のサプライチェーン情報を情報エリアに出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、サプライチェーンでの複数当事者の間の取引計画の調整を支援できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の取引計画調整システムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施例1のシナリオマスタ情報の例を示す図である。
図3】実施例1の交渉履歴情報の例を示す図である。
図4】実施例1の取引依頼情報の例を示す図である。
図5】実施例1の計画結果情報の例を示す図である。
図6】実施例1の計画調整案作成処理のフローチャートである。
図7】実施例1の企業間計画調整処理のフローチャートである。
図8】実施例1の企業間計画調整処理のフローチャートである。
図9】実施例1の交渉履歴更新処理のフローチャートである。
図10】実施例1のサプライヤ向けの交渉画面の例を示す図である。
図11】実施例1のバイヤ向けの交渉画面の例を示す図である。
図12】実施例1のバイヤ向けのマルチベンダ交渉画面の例を示す図である。
図13】実施例1のサプライヤ向けの二次サプライヤ連携交渉画面の例を示す図である。
図14】実施例1のサプライヤ向けの自社使用画面の例を示す図である。
図15】実施例2のQ&A情報の例を示す図である。
図16】実施例2のチャットボット制御部が実行する応答処理のフローチャートである。
図17】実施例2のチャットボット制御部による会話の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例の取引計画調整システム100の構成例を示すブロック図である。
【0012】
本実施例の取引計画調整システム100は、入力部110、演算部120、記憶部130及び通信部140を有する計算機で構成される計算機システムである。
【0013】
入力部110は、オペレータからの入力を受けるインターフェースである。
【0014】
演算部120は、記憶部130に格納されたプログラムを実行するプロセッサで構成される。演算部120が各種プログラムを実行することによって、取引計画調整システム100の各機能部(サプライチェーンシミュレーション演算部121、計画調整案作成部122、企業間計画調整部123、交渉履歴更新部124、チャットボット制御部125)による機能が実現される。なお、演算部120のプロセッサがプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア)で実行してもよい。
【0015】
サプライチェーンシミュレーション演算部121、シナリオを用いてシミュレーションを行い、シミュレーション結果を出力する。計画調整案作成部122は、企業システム300から受信した取引依頼に基づいて計画調整案を作成する。計画調整案作成処理の詳細は図6を参照して説明する。企業間計画調整部123は、交渉当事者(バイヤ、サプライヤ)からの入力を受け付け、計画を編集する企業間計画調整処理を実行する。企業間計画調整処理の詳細は図7図8を参照して説明する。交渉履歴更新部124は、交渉履歴として登録するデータを生成し、交渉履歴情報132に記録する交渉履歴更新処理を実行する。交渉履歴更新処理の詳細は図9を参照して説明する。チャットボット制御部125は、ユーザが入力したテキストに対するチャットボットによる回答動作を制御する。チャットボット制御部125は、実施例2で使用される機能ブロックである。
【0016】
記憶部130は、不揮発性の記憶素子であるROM、揮発性の記憶素子であるRAM、及び磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の補助記憶装置を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、演算部120が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。補助記憶装置は、演算部120がプログラムの実行時に使用するデータ(シナリオマスタ情報131、交渉履歴情報132、取引依頼情報133、シナリオテンプレート134、計画結果情報135、Q&A情報136など)、及び演算部120が実行するプログラムを格納する。
【0017】
シナリオマスタ情報131は、バイヤ及びサプライヤに提示するシミュレーション結果を作成するためのシナリオの情報であり、その詳細は図2を参照して説明する。交渉履歴情報132は、バイヤとサプライヤの間の交渉の情報であり、その詳細は図3を参照して説明する。取引依頼情報133は、バイヤから入力される購入する商品の情報であり、その詳細は図4を参照して説明する。シナリオテンプレート134は、シミュレーションに使用されるシナリオとしてシミュレーションの条件を記述したデータであり、シナリオマスタ情報131から参照される。計画結果情報135は、取引計画として採用されたシミュレーション結果の情報であり、その詳細は図5を参照して説明する。Q&A情報36は、チャットボット制御部125の動作を定める情報であり、その詳細は図15を参照して説明する。Q&A情報136は、実施例2で使用される情報である。
【0018】
通信部140は、所定のプロトコルに従って、他の装置(例えば、企業システム300)との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0019】
演算部120が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介して取引計画調整システム100に提供され、記憶部130の非一時的記憶媒体に格納される。このため、取引計画調整システム100は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0020】
取引計画調整システム100は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。例えば、取引計画調整システム100の機能を実現する複数のプログラムは、各々が別個の物理的又は論理的計算機上で動作するものでも、複数が組み合わされて一つの物理的又は論理的計算機上で動作するものでもよい。
【0021】
取引計画調整システム100は、ネットワーク200を介して企業システム300と接続される。企業システム300は、取引計画調整システム100に参加する企業(バイヤ、サプライヤ)が使用する計算機システムである。
【0022】
企業システム300は、入力部310、演算部320、記憶部330、通信部340及び表示部350を有する。
【0023】
入力部310は、キーボードやマウスなどの入力装置が接続され、オペレータからの入力を受けるインターフェースである。なお、企業システム300にネットワークを介して接続されたユーザ端末が入力装置及び出力装置を提供してもよい。この場合、企業システム300がウェブサーバの機能を有し、ユーザ端末が企業システム300に所定のプロトコル(例えばhttp)でアクセスしてもよい。
【0024】
演算部320は、記憶部330に格納されたプログラムを実行するプロセッサで構成される。
【0025】
記憶部330は、不揮発性の記憶素子であるROM、揮発性の記憶素子であるRAM、及び磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の補助記憶装置を含む。補助記憶装置は、演算部320がプログラムの実行時に使用するデータ、及び演算部320が実行するプログラムを格納する。記憶部330は、サプライチェーン情報331を格納する。サプライチェーン情報331は、交渉画面1000の情報エリア1020(図10参照)に表示される情報であり、交渉時にユーザが参照する。
【0026】
通信部340は、所定のプロトコルに従って、他の装置(例えば、取引計画調整システム100)との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0027】
表示部350は、ディスプレイ装置やプリンタなどの出力装置が接続され、取引計画調整システム100による処理結果をユーザが視認可能な形式で出力するインターフェースである。
【0028】
図2は、本実施例のシナリオマスタ情報131の例を示す図である。
【0029】
シナリオマスタ情報131は、バイヤ及びサプライヤに提示されるシミュレーション結果を作成するためのシナリオの情報であり、例えば、シナリオID、シナリオ名(Name)、テンプレート、最終採用日、採用回数、及び参照回数が関連付けられたレコードを含む。シナリオIDは、シナリオに付された識別情報である。シナリオ名(Name)は、当該シナリオに付された名前である。テンプレートは、当該シナリオの内容を表すシミュレーションのパラメータである。パラメータとは、シミュレーションの動作を制御するもので、例えば生産能力を加味するか、しないかの二値フラグの選択状況がある。別の例では、生産能力を計算する数式であって、後述する入力情報によりその値が定まるものがある。最終採用日は、当該シナリオでシミュレーションした結果が取引計画として採用された直近の日である。採用回数は、当該シナリオでシミュレーションした結果が取引計画として採用された回数である。参照回数は、当該シナリオでシミュレーションした結果が参照された回数である。
【0030】
図3は、本実施例の交渉履歴情報132の例を示す図である。
【0031】
交渉履歴情報132は、バイヤとサプライヤの間の交渉の情報であり、交渉日、バイヤ、サプライヤ、品目、トランザクションID、参照シナリオ、調整回数、採用フラグ、及びシミュレーションパラメータが関連付けられたレコードを含む。交渉日は、当該交渉が行われた日付である。バイヤ及びサプライヤは、当該交渉の当事者である。品目は、当該交渉に係る商品の品名又は型番である。トランザクションIDは、当該交渉に付された識別情報である。参照シナリオは、当該交渉におけるシミュレーションで参照されたシナリオを示す識別情報である。調整回数は、当該参照シナリオに記述されたシミュレーションパラメータ又はシミュレーション結果を調整した回数である。採用フラグは、当該交渉において参照シナリオによるシミュレーションした結果が取引計画として採用されたか否かを表すデータである。シミュレーションパラメータは、当該交渉におけるシミュレーションに使用されたパラメータを格納するファイル名である。
【0032】
図4は、本実施例の取引依頼情報133の例を示す図である。
【0033】
取引依頼情報133は、バイヤから入力される購入する商品の情報であり、オーダID、バイヤ、サプライヤ、品目、要求納期、要求数量、登録日、及びトランザクションIDが関連付けられたレコードを含む。オーダIDは、当該取引依頼を示す識別情報である。バイヤは、当該取引における商品の購入者である。サプライヤは、当該取引における商品の販売者である。品目は、当該取引で売買される商品の品名又は型番である。要求納期は、当該取引で商品を納品する期日である。要求数量は、当該取引で売買される商品の数量である。登録日は、当該取引が取引計画調整システム100に入力された日付である。トランザクションIDは、当該取引依頼によって生じる交渉の識別情報であり、交渉履歴情報132や計画結果情報135のレコードと関連付けられる。
【0034】
図5は、本実施例の計画結果情報135の例を示す図である。
【0035】
計画結果情報135は、取引計画として採用されたシミュレーション結果の情報であり、シナリオ毎のシミュレーション結果データと、結果詳細データを含む。
【0036】
シミュレーション結果データは、トランザクションID、シナリオID、KPI1~KPI3、及び結果データIDが関連付けられたレコードを含む。トランザクションIDは、当該取引依頼によって生じる交渉の識別情報であり、交渉履歴情報132や取引依頼情報133のレコードと関連付けられる。シナリオIDは、取引計画調整システム100で使用可能なシナリオに付された識別情報であり、シナリオマスタ情報131のレコードと関連付けられる。KPI1~KPI3は、シミュレーション結果の評価指標(Key Performance Indicator)毎の評価結果であり、例えば、欠品数量、在庫日数、変更コストなどである。結果データIDは、結果データに付与された識別情報であり、結果詳細データと関連付けるために使用される。
【0037】
結果詳細データは、オーダID、バイヤ、サプライヤ、品目、要求納期、要求数量、回答者、回答日、回答納期、及び回答数量が関連付けられたレコードを含む。オーダIDは、当該取引依頼を示す識別情報である。バイヤ及びサプライヤは、当該シミュレーション結果に係る交渉の当事者である。品目は、当該結果に係る取引に係る商品の品名又は型番である。要求納期は、当該結果に係る取引で商品を納品する期日である。要求数量は、当該結果に係る取引で売買される商品の数量である。回答者は、当該結果を導出又は入力した者であり、ユーザ名又はシミュレータであることが記述される。回答日は、当該結果を導出又は入力された日付である。回答納期は、結果として導出又は入力された納期である。回答数量は、結果として導出又は入力された納入数量である。
【0038】
図6は、本実施例の計画調整案作成処理のフローチャートである。
【0039】
計画調整案作成部122は、企業システム300から取引依頼を受信すると、受信した取引依頼に付与するトランザクションIDを生成し、トランザクションIDが付与された取引依頼を取引依頼情報133に追加する(S101)。通常、取引依頼はバイヤから入力されるが、サプライヤから入力されてもよい。取引依頼には、品目及び計画日毎の納品数量が含まれる。
【0040】
そして、計画調整案作成部122は、シミュレーションのための入力情報(図示せず)を入力部110から読み込む(S102)。シミュレーションのための入力情報は、調達要求、生産情報、生産場所、能力、在庫情報などが含まれる。
【0041】
そして、計画調整案作成部122は、採用実績があるシナリオを選択する。例えば、採用フラグが採用となっているレコードが所定の閾値以上の数であるシナリオを交渉履歴情報132から選択する(S103)。
【0042】
そして、計画調整案作成部122は、ステップS103で選択されたシナリオの数が所定の閾値以下である場合、シナリオマスタ情報131から参照回数が所定の閾値以上のシナリオを選択する(S104)。
【0043】
そして、計画調整案作成部122は、ステップS103及びS104で選択されたシナリオの数だけ、ステップS105からS107を繰り返す。
【0044】
計画調整案作成部122は、ステップS102で読み込まれた入力情報をシナリオテンプレート134に設定し(S105)、シミュレーションを実行する(S106)。そして、計画調整案作成部122は、トランザクションIDとシミュレーションの結果を計画結果情報135に格納する(S107)。
【0045】
図7図8は、本実施例の企業間計画調整処理のフローチャートである。企業間計画調整処理は、ユーザ(バイヤ、サプライヤ)が交渉画面1000(図10参照)にアクセスしたときに企業間計画調整部123が実行する。
【0046】
企業間計画調整部123は、ユーザ(取引依頼者であるバイヤ)が取引計画調整システム100に接続し、交渉相手であるサプライヤ(回答者)を指定する(S111)。
【0047】
そして、企業間計画調整部123は、該当バイヤ及びサプライヤが関係する1又は複数のオーダIDを取引依頼情報133から読み込む(S112)。
【0048】
そして、バイヤが交渉したい品目を指定すると、企業間計画調整部123は、バイヤの指定に従って取引依頼情報133から調整対象のデータを選択する(S113)。
【0049】
そして、企業間計画調整部123は、交渉履歴情報132から、当該バイヤ、当該サプライヤ及び当該品目の最も新しい履歴データを参照し、トランザクションIDと参照シナリオを取得する(S114)。
【0050】
そして、企業間計画調整部123は、取得したトランザクションIDと参照シナリオに該当するデータを計画結果情報135から取得し、交渉画面1000の交渉エリア1010の前回計画欄に表示する(S115)。
【0051】
そして、企業間計画調整部123は、トランザクションIDをキーに、ステップS103で選択されたシナリオのデータを計画結果情報135からシナリオIDを取得し、交渉画面1000の調整ガイドエリア1030のシナリオ一覧に表示する(S116)。
【0052】
そして、企業間計画調整部123は、ユーザ(バイヤ、サプライヤ)からの入力を受け付ける(S117)。
【0053】
そして、企業間計画調整部123は、交渉終了までステップS118からS120の処理を繰り返す。
【0054】
企業間計画調整部123は、調整ガイドエリア1030のシナリオ一覧からのシナリオ選択を受け付けると、計画結果情報135のデータを交渉画面1000の交渉エリアの今回計画欄に表示する(S118)。
【0055】
そして、企業間計画調整部123は、選択したシナリオの、シナリオマスタ情報131の参照回数に1を加算する(S119)。
【0056】
そして、企業間計画調整部123は、交渉シナリオに表示している品目をキーに、サプライチェーン情報331を企業システム300から取得し、交渉画面1000の情報エリア1020に表示する(S120)。なお、表示する情報の種類はユーザ登録時に定義されているとよい。例えば、バイヤであれば当該品目の使用計画であり、サプライヤであれば生産計画である。
【0057】
そして、企業間計画調整部123は、交渉画面1000の交渉エリア1010の今回計画の編集を受け付け、編集したセルの数をカウントする(S121)。
【0058】
そして、サプライチェーンシミュレーション演算部121は、「シミュレーション実行」ボタン1011が操作されると、計算に用いるシナリオとシミュレーションパラメータを入力部110から取得した後、表示中の今回計画:依頼を入力データとして、シミュレーションを実行し、シミュレーション結果を回答欄に出力する(S122)。
【0059】
図9は、本実施例の交渉履歴更新処理のフローチャートである。交渉履歴更新処理は、企業間計画調整処理に続けて、すなわち交渉終了後に、交渉履歴更新部124が実行する。
【0060】
交渉履歴更新部124は、今回計画を保存するかをユーザに問い合わせる。そして、ユーザが保存を選択した場合、結果データIDを新規に採番し、今回計画のデータを計画結果情報135に追加する。そして、計画結果情報135のデータを交渉画面1000の交渉エリア1010の回答者欄にユーザが修正したデータを出力する。なお、ユーザが修正した以外のデータはシミュレーション結果を出力する。また、今回計画を導出するために使用したシナリオについて、シナリオマスタ情報131の採用回数に1を加算し、現在のシミュレーションパラメータをテンプレートに登録する(S131)。
【0061】
そして、交渉履歴更新部124は、参照シナリオごとの調整回数、採用フラグ、及びシミュレーションパラメータを交渉履歴情報132に記録する(S132)。
【0062】
図10は、本実施例の交渉画面1000の例を示す図であり、サプライヤ向けの交渉画面を示す。
【0063】
交渉画面1000は、交渉エリア1010、情報エリア1020、及び調整ガイドエリア1030を含む。
【0064】
交渉エリア1010は、バイヤが入力した依頼(納品依頼数量を含むフォーキャスト)と、当該フォーキャストに対応する回答(納品可能数量)を表示する。この依頼と回答の組は交渉が行われた計画日毎に表示されるとよい。また、交渉エリア1010には、サプライチェーンシミュレーション演算部121によるシミュレーションを起動するための「シミュレーション実行」ボタン1011が設けられる。
【0065】
情報エリア1020は、ユーザが交渉に使用するサプライチェーン情報331を表示する。サプライチェーン情報331は、企業システム300に格納されるサプライチェーン情報331であり、ユーザ毎に企業システム300から取得する。図10に示す情報エリア1020には、サプライヤ用の情報として、当該品目X01の生産予定、在庫終了、当該バイヤ向けの出荷予定、及び当該品目X01の生産ラインL01の生産能力を表示するとよい。
【0066】
調整ガイドエリア1030は、シミュレーションに用いるシナリオの一覧を表示し、ユーザからの選択を受け付ける。また、調整ガイドエリア1030には、ユーザが交渉のために会話するチャット欄が設けられる。ユーザは、チャット欄下部に設けられた入力欄に文字を入力し、入力欄の右側に設けられる送信ボタンの操作によって、入力した文字を相手方に送信できる。
【0067】
図11は、本実施例の交渉画面1000の例を示す図であり、バイヤ向けの交渉画面を示す。
【0068】
図11に示す交渉画面1000は、図10に示す交渉画面1000と同様に、交渉エリア1010、情報エリア1020、及び調整ガイドエリア1030を含む。交渉エリア1010、及び調整ガイドエリア1030は、図10に示すサプライヤ向けの交渉画面1000と同じであり、情報エリア1020は、図10に示すサプライヤ向けの交渉画面1000と異なる。
【0069】
図11に示す情報エリア1020は、ユーザが交渉に使用するサプライチェーン情報331を表示する。図10に示す情報エリア1020には、バイヤ用の情報として、当該品目X01の所要数量、及び当該品目X01を使用する製品PC01の生産予定と出荷予定を表示するとよい。
【0070】
本実施例の交渉画面1000は、バイヤが複数のサプライヤと交渉するケースにおいても使用することができる。図12は、本実施例の交渉画面1000の例を示す図であり、バイヤ向けのマルチベンダ交渉画面を示す。
【0071】
図12に示す交渉画面1000は、図10に示す交渉画面1000と同様に、交渉エリア1010、情報エリア1020、及び調整ガイドエリア1030を含む。情報エリア1020は、図11に示すサプライヤ向けの交渉画面1000と同じであり、調整ガイドエリア1030は、図10に示すサプライヤ向けの交渉画面1000と同じであり、交渉エリア1010は、他の交渉画面1000と異なる。
【0072】
図12に示す交渉エリア1010は、バイヤが入力した依頼(納品依頼数量を含むフォーキャスト)と、当該フォーキャストに対応して複数のサプライヤの回答(納品可能数量)を表示する。例えば、10月1日の交渉ではサプライヤA社から回答を得たが、11月1日の交渉ではサプライヤA社、B社から回答を得ている。図12ではA社、B社の社名を表示しているが、双方のサプライヤに社名を公開したくない場合は、社名の開示可否を選択する表示オプションを交渉画面1000に有し、サプライヤの社名を非表示もしくは匿名で表示する。サプライヤであるA社、B社においては、図11に示すサプライヤ画面を表示手段に表示し、情報エリア1020には、各々のサプライチェーン情報331を表示する。
【0073】
図13は、本実施例の交渉画面1000の例を示す図であり、バイヤとサプライヤ、サプライヤのサプライヤである二次サプライヤと連携した交渉画面を示す。
【0074】
図13に示す交渉画面1000は、図10に示す交渉画面1000と同様に、交渉エリア1010、情報エリア1020、及び調整ガイドエリア1030を含む。情報エリア1020は、図11に示すサプライヤ向けの交渉画面1000と同じであり、調整ガイドエリア1030は、図10に示すサプライヤ向けの交渉画面1000と同じであり、交渉エリア1010は、他の交渉画面1000と異なる。
【0075】
図13に示す交渉エリア1010は、バイヤが入力した依頼(納品依頼数量を含むフォーキャスト)と、当該フォーキャストに対応したサプライヤの回答(納品可能数量)と、当該サプライヤに原材料や部品を供給する二次サプライヤの回答(納品可能数量)を表示する。例えば、製品X01を生産するサプライヤA社の納品可能数量と、製品X01の生産に必要な原材料を供給する二次サプライヤC社の納品可能数量がA社からの開示許可に応じて交渉エリア1010に表示される。図13ではC社の社名を表示しているが、A社はC社の社名の開示可否を選択する表示オプションを交渉画面1000に有し、開示否の場合は非表示もしくは匿名で表示する。また、製品X01の生産に必要な原材料が複数あり、それらをA社が開示する場合は交渉エリアの表示行を増やし、複数表示する。
【0076】
図14は、本実施例の交渉画面1000の例を示す図であり、サプライヤ向けの自社使用画面を示す。図14に示す交渉画面1000は、ベンダとの交渉を確認するために使用される。
【0077】
図14に示す交渉画面1000は、図10に示す交渉画面1000と同様に、交渉エリア1010、情報エリア1020、及び調整ガイドエリア1030を含む。交渉エリア1010及び情報エリア1020は、図10に示すサプライヤ向けの交渉画面1000と同じであり、調整ガイドエリア1030が、他の交渉画面1000と異なる。
【0078】
図14に示す調整ガイドエリア1030は、シミュレーションに用いるシナリオの一覧を表示し、ユーザからの選択を受け付ける。また、図14に示す調整ガイドエリア1030には、チャット欄が設けられていない。
【0079】
以上に説明したように、本発明の実施例1の取引計画調整システム100によると、サプライチェーンでの複数当事者(例えば、バイヤとサプライヤ)の間の取引計画の調整を支援できる。また、取引計画調整システム100は、ユーザ毎に相手方に見せる情報を定義可能とし、開示可能と定義された情報のみを相手方に提示するので、交渉時の情報の共有化と情報漏洩防止を両立できる。さらに、取引計画調整システム100は、シナリオマスタ情報131に記録されたシナリオを選択し、選択されたシナリオを用いたシミュレーション結果を出力するので、取引計画の調整案の提示を受けて、当該調整案に基づいて交渉を行える。また、ユーザ間でシミュレーション結果を共有し、複数の調整案をベースに条件を変えた取引計画の提示を受けられる。さらに、シナリオの参照回数、シナリオが採用されたかの情報、及び実際に使用されたシミュレーション条件を保存するので、良好なシミュレーション結果を得られる可能性が高まる。
【0080】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例1では交渉画面1000の調整ガイドエリア1030において、当事者(バイヤとサプライヤ)が会話するが、実施例2では当事者の他、チャットボットが会話に参加する。なお、実施例2において、主に実施例1との相違点を説明し、実施例1と同じ構成及び処理の説明は省略する。
【0081】
図15は、実施例2のQ&A情報136の例を示す図である。
【0082】
Q&A情報136は、チャットボット制御部125による回答動作を定める情報であり、トリガー、取得テキスト、回答テキスト、プログラム実行タイミング、及びプログラムの情報が関連付けられたレコードを含む。トリガーは、チャットボット制御部125が当該動作をする契機となる事象である。取得テキストは、ユーザが入力した情報からチャットボット制御部125が検出して、取得するテキストである。回答テキストは、当該動作においてチャットボット制御部125が出力するテキスト文である。プログラム実行タイミングは、プログラム欄に記載されたプログラムを実行するタイミングである。プログラムは、当該動作において実行されるプログラムである。
【0083】
例えば、シナリオがロードされた場合、チャットボット制御部125は、プログラム GetBestScenario を実行して得点が高いシナリオを取得して、取得したシナリオ名を変数sNameに設定して、sName + "シナリオがお勧めです"を出力する。
【0084】
また、メッセージが入力された場合、チャットボット制御部125は、入力文から「欠品」「表示」「どこ」を抽出し、それらのすべての単語が入力文に含まれている場合、テキスト文 "欠品をハイライトしますか?" を出力し、その後、プログラム GetAns(0) を実行して、ユーザからの回答を待つ。
【0085】
また、プログラムGetAns(0) が実行された場合、チャットボット制御部125は、入力文から「はい」「いいえ」を抽出し、「はい」が入力文に含まれている場合は、プログラム GetIndexShortage を実行してテキストの所定箇所をハイライトし、テキスト文 "ハイライトしました" を出力する。一方、「いいえ」が入力文に含まれている場合は終了する。
【0086】
図16は、実施例2のチャットボット制御部125が実行する応答処理のフローチャートである。図16に示す応答処理は、企業間計画調整処理(図7図8)のステップS118~S122と並行に実行される。
【0087】
まず、チャットボット制御部125は、トリガーを監視し、トリガーとなる事象を検知するとステップS132以後の処理を実行する(S131)。
【0088】
次に、チャットボット制御部125は、検知したトリガーをキーにしてQ&A情報136を検索して、検知したトリガーに対応するデータ行を特定する。なお、Q&A情報136の複数のデータ行が検索された場合、トリガーとなったメッセージとQ&A情報136の取得テキストを比較して、類似度が最も高い行を特定するとよい(S132)。
【0089】
Q&A情報136のプログラム欄に実行するプログラムが指定されている場合、Q&A情報136のプログラム実行タイミングの定義に応じて回答テキストの出力前又は出力後に、指定されたプログラムを実行する(S133)。
【0090】
図17は、実施例2のチャットボット制御部125による会話の例を示す図であり、チャットボット制御部125が出力するテキストによって、ユーザ(バイヤ)との会話が成り立っている。行頭に(機械)が付されているテキストがチャットボット制御部125が出力するテキストである。
【0091】
例えば、ユーザが「欠品はどこですか」と問うと、チャットボット制御部125は、「欠品をハイライトしますか?」と回答の選択肢を表示して、プログラム GetAns(0) を実行して、ユーザからの回答を待つ。ユーザが「はい」を選択すると、プログラム GetAns(0) は、テキスト「<はいを選択>」を表示し、プログラムGetIndexShortage を実行してテキストの所定箇所をハイライトし、テキスト文 "ハイライトしました" を出力する。
【0092】
以上に説明したように、本発明の実施例2によると、チャットボット制御部125が取引計画調整システム100の使用をアシストするので、不慣れな担当者でも取引計画調整システム100を使用できる。
【0093】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0094】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0095】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0096】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0097】
100 取引計画調整システム
110 入力部
120 演算部
121 サプライチェーンシミュレーション演算部
122 計画調整案作成部
123 企業間計画調整部
124 交渉履歴更新部
125 チャットボット制御部
130 記憶部
131 シナリオマスタ情報
132 交渉履歴情報
133 取引依頼情報
134 シナリオテンプレート
135 計画結果情報
136 Q&A情報
140 通信部
200 ネットワーク
300 企業システム
310 入力部
320 演算部
330 記憶部
331 サプライチェーン情報
340 通信部
350 表示部
1000 交渉画面
1010 交渉エリア
1011 ボタン
1020 情報エリア
1030 調整ガイドエリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17