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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164914
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20241121BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241121BHJP
   E05B 83/34 20140101ALI20241121BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B60K15/05 B
B60K1/04 Z
E05B83/34
F16J12/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080638
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
(72)【発明者】
【氏名】関岡 優季
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
3D235
3J046
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ09
2E250KK01
2E250LL13
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC14
3D038CC16
3D235BB23
3D235BB41
3J046AA08
3J046AA20
3J046BA01
3J046BB03
3J046BC20
3J046CA03
3J046DA10
(57)【要約】
【課題】全開時の蓋のバタ付き、異音の発生を防止し、且つコストアップを抑えた蓋の取付構造を提供する。
【解決手段】給油口等には、ボックス本体部31と、蓋取付部材21のアーム22を収納するアーム収納部37を有するボックス30が取付けられ、アーム収納部37のアーム収納部側係合部35とアーム22のアーム側係合部26が係合してアーム22を回動可能にすると共に、アーム22に取付けられたバネ40がアーム収納部37と係合する。ボックス本体部31におけるアーム収納部37との連結部55の近傍領域には、アーム22の側面22a側にせり出す突出部56が形成され、アーム22の側面22aには、突出部56に摺接可能であり、可撓性を有する摺接腕50が形成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、前記蓋を取付ける蓋取付部と、前記蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、前記給油口又は充電口等には、前記給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と、前記ボックス本体部に連結し、前記蓋取付部材の前記アームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、前記アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部と前記アームに形成されたアーム側係合部が係合して前記アームを回動可能にすると共に、前記アームに取付けられたバネが前記アーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、
前記ボックス本体部における前記アーム収納部との連結部の近傍には、前記アームの側面側にせり出す突出部が形成され、
前記アームの側面には、前記突出部に摺接可能であり、可撓性を有する摺接腕が形成されていることを特徴とする蓋の取付け構造。
【請求項2】
前記摺接腕には、前記突出部と摺接する略半円柱状、又は、略半球状の摺接突部が形成されている請求項1に記載の蓋の取付け構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記アームの前記側面に略平行な第1突出部と、前記第1突出部に連結し、前記蓋が開く方向にせり出し量が大きくなる第2突出部を有する請求項1又は請求項2に記載の蓋の取付け構造。
【請求項4】
前記第1突出部には、前記ボックス本体部の表面側端部方向に前記アームの前記側面側へのせり出し量が小さくなる第3突出部を有する請求項3に記載の蓋の取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等車両の車体に取付けられ、車体の給油口、充電口等を塞ぎ、開閉可能な蓋を有する蓋の取付構造、特に車体側とのロックが解除された時に、途中で停止することなく全開の位置まで移動することが可能な蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用燃料タンクにガソリン等の燃料や水素を給油又は充填する場合には、車体に設けられた給油口又は充填口を塞ぐ給油口蓋、充填口蓋を開き、燃料キャップを外して給油口から燃料を給油する、又は、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する。又、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合には、充電蓋を開き、急速充電ポート又は普通充電ポートに充電コネクタを差し込んで充電する。
【0003】
例えば、自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合には、図1に示すように、車体201に設けられた給油口101を塞ぐ蓋(給油口蓋)110を開いて、給油口101から燃料を給油する。蓋110の裏面には蓋取付部材200が取付けられている。蓋取付部材200は、蓋110を開閉可能にする大きく湾曲したアーム220を有し、ボックス(給油口ボックス)300に取付けられている。
【0004】
図11に示すように、ボックス300は、給油口101に対応する開口部340を有し、車体に取付けられるボックス本体部310と、蓋取付部材200のアーム220を回転自在に収納するアーム収納部370から構成されている。
【0005】
アーム220は、アーム収納部370に回動可能に取付けられ、又、アーム220には、アーム収納部370のバネ係合部360と係合するバネ400が取付けられている。
【0006】
バネ400は、図示しないが、略己字形状であり、アーム220のバネ取付部240に取付けられるアーム側部410と、ボックス300のアーム収納部370のバネ係合部360に係合して保持されるアーム収納部側部420と、アーム側部410とアーム収納部側部420との間に存在するバネ本体部430を有している。又、バネ400のアーム側部410に連結し、車体側とのロックが解除された時に、蓋110を車体面から少し浮き上がらせるポップアップのためのバネ突出部440が形成されている。
【0007】
蓋110を閉じた時(全閉時)には、バネ400のアーム側部410とアーム収納部側部420の間の距離が狭まるようにバネ本体部430が撓み、又、バネ突出部440は、アーム収納部370の内壁に当接してバネ本体部430側に撓み、いずれも元の形状に戻る方向に付勢されている。その結果、給油時等において、蓋110と車体側(ボックス300)とのロックが解除されると、バネ突出部440とバネ本体部430の付勢力によって、アーム220が蓋110を開く方向に回動する。
【0008】
なお、特許文献1では、このアーム220の回動により、蓋110の先端が、車体201の面から若干浮き上がり、その後、先端が浮き上がった蓋110の先端を手で持ち上げて、蓋110を全開させる旨が記載されているが、バネ突出部440の付勢力が開放された時に、バネ400のアーム側部410の位置がバネ係合部360とアーム220の回動中心を結んだ線よりボックス本体部310側となり、又、バネ本体部430の付勢力を大きくすれば、蓋110と車体側とのロックが解除された時に、蓋110を途中で停止することなく全開の位置まで移動させることができるので、手動で蓋を全開にする必要がなくなる。
【0009】
ただし、蓋110を途中で停止することなく全開の位置まで移動させる場合は、蓋110が開く時には、バネ本体部430には元の形状に戻る方向の付勢力が作用し、蓋110が加速し続けるので、アーム220がボックス本体部310に衝突したり、衝突しないまでも、バネ400のバネ本体部430が元の形状に戻った時にアーム220の回動が急停止するので、その反動で全開時に蓋110がバタ付き、異音を生じる場合がある。
【0010】
上記の蓋のバタ付きや異音の発生を生じ難くする方法として、特許文献2には、以下の技術が記載されている。図12に示すように、リッド(蓋)110は、ハウジング内に設けられたベース600に対し第1リンク610と第2リンク620を介して回動可能に支持されている。第1バネ体630は第1リンク610とベース600との間に配置され、第2バネ体640は第2リンク620とベース600との間に配置されている。そして、リッド110は、ハウジングの外周に装着されるロック手段により閉位置に係止されている。
【0011】
例えば、ロック手段が車室内のオープナーを介して係止解除操作されることで、又は、ドアロックの解除操作と連動して係止解除されると、図示しないプッシュリフタにより第1バネ体630などの付勢力に抗して閉位置から少しだけ開く。そこで、リッド110を手等で開方向にある第2位置まで回動操作すると、第2位置で第2バネ体640など付勢方向が大きく反転し、以後は付勢力で全開方向へ回動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2019-85086号公報
【特許文献2】特開2019-209834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献2の技術は、構造が複雑であり、大きなコストアップとなる。又、第1位置から第2位置まで、手等で回動操作する必要がある。そこで、本発明は、特に車体とのロックが解除された時に、途中で停止することなく全開の位置まで移動する蓋の取付構造に関し、全開時の蓋のバタ付き、異音の発生を防止し、且つコストアップを抑えた蓋の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、給油口又は充電口等には、給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と、ボックス本体部に連結し、蓋取付部材のアームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部とアームに形成されたアーム側係合部が係合してアームを回動可能にすると共に、アームに取付けられたバネがアーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、ボックス本体部におけるアーム収納部との連結部の近傍には、アームの側面側にせり出す突出部が形成され、アームの側面には、突出部に摺接可能であり、可撓性を有する摺接腕が形成されていることを特徴とする蓋の取付け構造である。
【0015】
請求項1の本発明では、ボックス本体部におけるアーム収納部との連結部の近傍には、アームの側面側にせり出す突出部が形成され、アームの側面には、突出部に摺接可能であり、可撓性を有する摺接腕が形成されているので、アームが回動して蓋が開く時に、摺接腕が突出部に摺接し、アームの側面側に撓んで変形すると共に、撓みの反力によって、摺接腕が突出部を押圧し、加速する蓋の開きにブレーキをかけることができる。その結果、蓋が開く速度を抑制することができるので、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、バネの付勢力が解消された時にアームの回動の急停止を防止し、その反動で全開時に蓋がバタ付き、異音を生じることを防止することができる。なお、「ボックス本体部におけるアーム収納部との連結部の近傍」には、連結部が含まれる。
【0016】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、摺接腕には、突出部と摺接する略半円柱状、又は、略半球状の摺接突部が形成されているの摺接突部が形成されている蓋の取付け構造である。
【0017】
請求項2の本発明では、摺接腕には、突出部と摺接する略半円柱状、又は、略半球状の摺接突部が形成されているので、突出部との摺接は、略半円柱状の場合は略線状、略半球状の場合は略点状になる。その結果、摺接面積が小さくなり、突出部との摺接をスムーズに行うことができる。又、摺接腕が突出部に引っ掛かる等、摺接腕に過度な力が加わることを防止することができるので、突出部、摺接腕の損傷や破損を防止することができる。
【0018】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、突出部は、アームの側面に略平行な第1突出部と、第1突出部に連結し、蓋が開く方向にせり出し量が大きくなる第2突出部を有する蓋の取付構造である。
【0019】
バネの付勢力によりアームが回動して蓋が開く時に、摺接腕が突出部に摺接し、加速する蓋の開きにブレーキをかけることができるが、回動する摺接腕がある時点でアームの側面側にせり出す突出部に摺接し始めると、摺接腕への負荷が急激なものとなるので、摺接腕の耐久性が低下する。又、蓋の開き方では、開く速度が突然遅くなるので、不自然な動きとなる。
【0020】
請求項3の本発明では、突出部は、アームの側面に略平行な第1突出部と、第1突出部に連結し、蓋が開く方向にせり出し量が大きくなる第2突出部を有するので、蓋が開く方向にせり出し量が大きくなる第2突出部により摺接腕への負荷が徐々に増大し、摺接腕の耐久性が向上する。又、蓋の開きが突然遅くなるなど不自然な動きを防止することができる。又、アームの側面に略平行な第1突出部を有しているので、第1突出部において、ほぼ一定の速度で蓋を開くことができる。
【0021】
請求項4の本発明は、請求項3の発明において、第1突出部は、ボックス本体部の表面側端部方向にアームの側面側へのせり出し量が小さくなる第3突出部を有する蓋の取付け構造である。
【0022】
請求項4の本発明では、第1突出部において、第1突出部は、ボックス本体部の表面側端部方向にアームの側面側へのせり出し量が小さくなる第3突出部を有するので、蓋の全開近くで摺接腕の腕部の撓みが緩和され、蓋を確実に全開状態にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、給油口又は充電口等には、給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と、ボックス本体部に連結し、蓋取付部材のアームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部とアームに形成されたアーム側係合部が係合してアームを回動可能にすると共に、アームに取付けられたバネがアーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、ボックス本体部におけるアーム収納部との連結部の近傍領域、又は、連結部を跨いでボックス本体部からアーム収納部に至る領域には、アームの側面側にせり出す突出部が形成され、アームの側面には、突出部に摺接可能であり、可撓性を有する摺接腕が形成されているので、アームが回動して蓋が開く時に、摺接腕が突出部に摺接し、アームの側面側に撓んで変形すると共に、撓みの反力によって、摺接腕が突出部を押圧し、加速する蓋の開きにブレーキをかけることができる。その結果、蓋が開く速度を抑制することができるので、アームがボックス本体部に衝突したり、衝突しないまでも、バネの付勢力が解消された時にアームの回動の急停止を防止し、その反動で全開時に蓋がバタ付き、異音を生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】蓋を開いた状態の給油口部分の斜視図である。
図2】本発明の実施形態を示すもので、図1におけるX-X断面の断面図である。
図3】本発明の実施形態に使用されるアームの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に使用されるアームの側面図であり、図3をA方向から見た図である。
図5】本発明の実施形態に使用されるアームの底面図であり、図3をB方向から見た図である。
図6】本発明の実施形態に使用されるバネの平面図である。
図7】本発明の第1の実施形態を示すものであり、ボックスのボックス本体部のアーム収納部との連結部近傍の拡大斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態を示すものであり、ボックスとアームとバネの位置関係と、突出部と摺接腕との摺接状況を説明する側面図である。
図9】本発明の第1の実施形態を示すものであり、図7の矢印L方向から見た時の断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態を示すものであり、図7の矢印L方向から見た時の断面図である。
図11】従来の蓋の取付け構造であり、アームと、ボックスのアーム収納部付近の拡大断面図である(特許文献1)。
図12】従来の蓋の付勢構造を模式的に示す要部拡大図である(特許文献2)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の実施形態を図1から図9に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、車体2の給油口1を塞ぐと共に開閉可能な蓋11(給油口蓋)を有する蓋11の取付構造に関し説明するものであるが、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する場合や、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合にも使用することができる。
【0026】
図1に示すように、蓋11は、車体2の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体2に設けられた給油口1を塞ぐ蓋11を開いて、給油口1から燃料を給油する。蓋11の裏面には蓋取付部材20が取付けられ、蓋取付部材20は、ボックス30に取付けられている。
【0027】
図2に示すように、蓋取付部材20は、蓋11に取付けられる蓋取付部21と、蓋11を開閉可能にする大きく湾曲した円弧状のアーム22を有している。又、蓋取付部21には、後述するボックス30のロックピン32と係合する蓋ロック部23が形成されている。なお、蓋11と蓋取付部材20を一体に形成してもよい。
【0028】
車体2に取付けられるボックス30は、給油口1部分に開口部34を有するボックス本体部31と、蓋取付部材20のアーム22を収納するアーム収納部37を有している。アーム22のボックス30内における開閉スペースを確保するため、アーム収納部37は、ボックス本体部31を車体2に保持するボックス保持部3よりも車体2の内側に入り込んで形成されている。したがって、アーム22の回動中心Oは、アーム収納部37内のさらに蓋11よりも横方向の奥の部分において、アーム収納部37と係合する。ボックス30とアーム22を含む蓋取付部材20は共に樹脂製である。
【0029】
ボックス本体部31の上端部の周囲には、シール部材33が取付けられ、ボックス本体部31が、車体2のボックス保持部3に取付けられた時に、車体2のボックス保持部3とボックス本体部31の上端部との間をシールする。
【0030】
ボックス30のアーム収納部37と反対側のボックス本体部31には、ロックピン32が形成され、蓋11が閉じられた時に、ロックピン32が蓋取付部材20の蓋ロック部23に係合して、蓋11をロックすることができる。又、蓋11を開く時は、ボックス30のロックピン32が後退して蓋取付部21の蓋ロック部23から外れる。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に使用されるアームの斜視図であり、図4は、アームの側面図であり、図3をA方向から見た図であり、図5は、アームの底面図であり、図3をB方向から見た図である。
【0032】
アーム22の先端部分には、アーム側係合部26が形成され、アーム側係合部26の側面には、円柱形状の凹部28が形成されている。又、アーム22におけるアーム側係合部26より蓋取付部21側には、後述するバネ40のアーム側部41を取付けるバネ取付部24が形成されている。バネ取付部24は、アーム22の先端側に形成される2個所の第1保持部24aと、第1保持部24aとは反対側から後述するバネ40のアーム側部41を保持する2箇所の第2保持部24bから構成されている。
【0033】
アーム22の側面22aには、側面22aから突出する摺接腕50が形成されている。摺接腕50は、アーム22の側面22aから突出する柱部51と、柱部51の先端部分に連結し、アーム22の側面22aから離れる方向に、アーム22の湾曲形状に沿って延設される腕部52と、腕部52の先端部分からアーム22の側面22aとは反対方向に略半円柱形状に形成された摺接突部53から構成されている。摺接突部53にアーム22の側面22a方向の力が加わると、腕部52は、アーム22の側面22aに近づくように撓んで変形する。なお、柱部51と腕部52を一体化し、アーム22の一方の側面22aから弧形状に腕部52を形成してもよい。又、摺接突部53は、略半球形状でもよい。
【0034】
図6は、本発明の実施形態に使用されるバネ40の平面図である。バネ40は、1本の金属線状部材であるワイヤーを略己字形状に折り曲げることにより製造される。バネ40は、後述するアーム収納部37のバネ係合部36に保持されるアーム収納部側部42と、アーム22のバネ取付部24に取付けられるアーム側部41と、アーム収納部側部42とアーム側部41を接続するバネ本体部43と、アーム側部41の先端部分から、アーム収納部側部42方向にほぼ垂直に屈曲し、アーム収納部側部42とアーム側部41が形成するバネ平面から外れて延設されるバネ突出部44から構成されている。
【0035】
図7は、本発明の第1の実施形態に使用されるボックス30のボックス本体部31のアーム収納部37との連結部近傍の拡大斜視図である。ボックス本体部31におけるアーム収納部37との連結部55からボックス本体部31の内壁には、アーム22の側面22a側にせり出す突出部56が形成されている。なお、ボックス本体部31におけるアーム収納部37との連結部55とは、突出部56を形成しない場合のボックス本体部31とアーム収納部37の境界部をいう。つまり、図7において、ボックス本体部31において、アーム22の側面22a側に沿った面に対応する破線Cと、アーム22の幅方向の面に対応する破線Dとの交点Eからボックス本体部31のアーム22の側面22aに沿って奥側方向に下した線分が連結部55となる。
【0036】
突出部56は、アーム22の側面22aと略平行になるように、アーム22の側面22a側にせり出して形成された第1突出部57と、第1突出部57に連結し、第1突出部57の奥側と、アーム収納部37のアーム収納部側係合部35方向には、第2突出部58が形成されている。又、第1突出部57と第2突出部58の連結部分には、弧状角部59が形成されている。
【0037】
第1突出部57をアーム22の側面22aと略平行になるように形成するのは、第1突出部57において、蓋11が開く速さを一定にするためである。なお、第1突出部57において、アーム22の側面22a側へのせり出し量を表面側が奥側より若干大きくし、蓋11が開くにつれて、開く速度を少し遅くしてもよい。
【0038】
又、第2突出部58は、ボックス本体部31の奥側にアーム22の側面22a側にせり出し量が減少するように形成されている。又、第2突出部58は、アーム収納部37側にも延設されて形成されている。これは、後述する摺接突部53の軌跡との関係で形成されるものである。第2突出部58は、蓋11が開く方向にせり出し量が大きくなる、すなわち、傾斜面を有しているので、第2突出部58により摺接腕50への負荷が徐々に増大し、摺接腕50の耐久性が向上する。又、蓋11の開きが突然遅くなるなど不自然な動きを防止することができる。又、第1突出部57と第2突出部58の連結部分には、弧状角部59が形成されている。弧状角部59を形成することにより、摺接腕50の第2突出部58から第1突出部57への移行を段付きなく、スムーズに行うことができる。
【0039】
図8は、ボックス30とアーム22とバネ40の位置関係と、突出部56と摺接腕50の摺接状況を説明する側面図である。アーム22がGの位置(実線)が蓋11の全閉時であり、Hの位置(二点鎖線)が蓋11の全開時である。
【0040】
アーム収納部37の長手方向であり、アーム収納部37のボックス本体部31とは反対側の端部には、車内側に向かってアーム収納部37の空間を画定する収納部側傾斜部38と、収納部側傾斜部38に接続する段差部39が形成されている。又、収納部側傾斜部38と収納部側傾斜部38に接続する段差部39との間には、内面において後述するバネ40のアーム収納部側部42と係合するバネ係合部36が形成されている。
【0041】
アーム22のバネ取付部24にバネ40のアーム側部41を取付け、アーム22をボックス30のアーム収納部37内に挿入すると、バネ40のアーム収納部側部42がアーム収納部37の収納部側傾斜部38の内面側を移動し、バネ係合部36に当接して保持される。そして、アーム22のアーム側係合部26をアーム収納部37のアーム収納部側係合部35(図7)に係合させることにより、アーム22が回転可能に取付けられる。
【0042】
そして、蓋11を閉じると、バネ40は、アーム側部41とアーム収納部側部42の間の距離が短くなるようにバネ本体部43が撓んで変形する。又、バネ突出部44は、収納部側傾斜部38に当接し、アーム側部41とアーム収納部側部42によって形成されるバネ平面との角度が小さくなるように撓んで変形する。その結果、バネ本体部43には、アーム側部41とアーム収納部側部42の間の距離を元に戻す方向に力Fの付勢力が発生し、バネ突出部44には、バネ平面との角度を元に戻す方向に力fの付勢力が発生している。
【0043】
ロックピン32と蓋取付部材20の蓋ロック部23の係合が解除されると、バネ突出部44とバネ本体部43の付勢力によって、アーム22が蓋11を開く方向に回動する。
【0044】
図8に示すように、アーム22の側面22aに形成された摺接腕50の摺接突部53の中心部は、一点鎖線の軌跡を描く。蓋11が開き始めて暫くは、摺接突部53に当接するものはない。したがって、バネ本体部43の力Fの付勢力により、蓋11が加速しながら開く。
【0045】
点Jより蓋11の全開側には、突出部56の第2突出部58が形成されているので、摺接腕50の摺接突部53は、まず、第2突出部58に摺接する。第2突出部58は、表面側方向に、つまり、蓋11が開く方向にせり出し量が大きくなるように形成されているので、摺接突部53は、アーム22の側面22aに押圧され、腕部52がアーム22の側面22a側に撓んで変形する。そして、変形に伴い反力が発生するので、その反力は、アーム22の回動を抑える方向に機能する。又、第2突出部58は、せり出し量が大きくなるように形成されているので、腕部52の撓み変形の度合いは大きくなり、それに伴い、反力も増大する。したがって、アーム22の回動を抑える力は、徐々に大きくなる。
【0046】
次に、点Kを通過すると、摺接突部53は、突出部56の第1突出部57に摺接する。第2突出部58と第1突出部57の連結部分には、弧状角部59が形成されているので、摺接突部53はスムーズに第2突出部58から第1突出部57に移動できる。第1突出部57において、アーム22の側面22a側へのせり出し量は、アーム22の側面22aと平行になるように形成されているので、腕部52の撓み変形の度合いは点Kの時と同じであり、アーム22には、ほぼ一定の回動を抑える力が働き、蓋11は、一定の速度で開き続ける。そして、アーム22が位置Hに到達して蓋11が全開となる。
【0047】
図9は、蓋11が開いた時の図7の矢印L方向から見た時の断面図である。図9に示すように、摺接腕50の腕部52がアーム22の側面22a側に近づくように撓み、摺接突部53が突出部56に当接した状態で蓋11が全開状態になっている。
【0048】
したがって、バネ40のバネ本体部43の付勢力によりアーム22が回動して蓋11が開く時に、摺接腕50が突出部56の第2突出部58、第1突出部57に摺接し、アーム22の側面22a側に近づくように撓んで変形すると共に、撓みの反力によって、加速する蓋11の開きにブレーキをかけることができる。その結果、蓋11が開く速度を抑制することができるので、アーム22がボックス本体部31に衝突したり、衝突しないまでも、バネ40のバネ本体部43が伸びきった時にアーム22の回動の急停止を防止し、その反動で全開時に蓋11がバタ付き、異音を生じることを防止することができる。
【0049】
又、摺接突部53は、略半円柱状であるので、第2突出部58、第1突出部57との摺接は、略線状になる。その結果、接触面が小さくなるので、第2突出部58、第1突出部57との摺接をスムーズに行うことができる。又、摺接腕50に過度な力がかかり、摺接腕50が破損することを防止することができる。
【0050】
蓋11を閉める時は、手動で行う。この時、蓋11の閉まる方向の回動に伴い、摺接腕50の摺接突部53は、第1突出部57、弧状角部59、第2突出部58に当接し、第2突出部58との当接が解除された後は、摺接腕50の腕部52の撓みも解消される。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態を図10に基づいて説明する。本第2の実施形態と上記の第1の実施形態の相違点は、本第2の実施形態では、第1突出部57において、蓋11の全開側端部、すなわち、ボックス本体部31の表面側端部には、蓋11が開く方向に、アーム22の側面22a側へのせり出し量が小さくなる第3突出部60を有する点にある。他の構成は、上記の第1の実施形態と同じである。
【0052】
図10に示すように、本第2の実施形態では、第3突出部60を形成することにより、蓋11の全開近くで摺接腕50の腕部52の撓みが緩和される。その結果、蓋11を確実に全開状態にすることができる。
【0053】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、上記の第1と第2の実施形態では、突出部56において、アーム22の側面22aと略平行になるように、アーム22の側面22a側にせり出して形成された第1突出部57を形成したが、第1突出部57を形成せず、第1の実施形態では、ボックス本体部31の奥側にアーム22の側面22a側にせり出し量が減少するように形成される第2突出部58のみ、第2の実施形態では、第2突出部58に第3突出部60が連結するように形成してもよい。
【0055】
例えば、上記の第1と第2の実施形態では、突出部56において、第1突出部57は、ボックス本体部31におけるアーム収納部37との連結部55からボックス本体部31の内壁に形成したが、連結部55を跨いで、ボックス本体部31からアーム収納部37にかけて形成してもよい。
【0056】
例えば、上記の第1と第2の実施形態では、アーム22の両方の側面22aに、側面22aから突出する摺接腕50を形成したが、片方の側面22aに、側面22aから突出する摺接腕50を形成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
11 蓋
20 蓋取付部材
22 アーム
26 アーム側係合部
30 ボックス
31 ボックス本体部
35 アーム収納部側係合部
36 バネ係合部
37 アーム部収納部
38 収納部側傾斜部
39 段差部
40 バネ
43 バネ本体部
50 摺接腕
51 柱部
52 腕部
53 摺接突部
55 連結部
56 突出部
57 第1突出部
58 第2突出部
59 弧状角部
60 第3突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12