(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164917
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】リクレーマの運転制御装置および運転制御方法
(51)【国際特許分類】
B65G 43/02 20060101AFI20241121BHJP
B65G 63/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65G43/02 D
B65G63/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080643
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】山根 正和
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA07
3F027CA07
3F027DA01
3F027DA07
3F027DA33
3F027EA01
3F027FA01
(57)【要約】
【課題】シュートの閉塞を防止して安定した運転を実現できるリクレーマの運転制御装置および運転制御方法を提供する。
【解決手段】本発明のリクレーマの運転制御装置50は、貯蔵庫1のばら物をスクレーパ26で掻き取るブーム20と、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段30を有するリクレーマ10と、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤ2と、
前記搬送コンベヤの駆動モータ2aの電流値を測定する電流検出手段52と、
前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値又は単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う制御手段54を備えたことを特徴としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマと、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤの駆動モータの電流値を測定する電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値又は単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う制御手段を備えたことを特徴とするリクレーマの運転制御装置。
【請求項2】
貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマと、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤの駆動モータの電流値を測定する電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値及び単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う制御手段を備えたことを特徴とするリクレーマの運転制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたリクレーマの運転制御装置であって、
前記制御手段は、前記検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を最低速度に減速する制御を行うことを特徴とするリクレーマの運転制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたリクレーマの運転制御装置であって、
前記制御手段は、前記検出値が前記閾値を超えたのが2回目のときに前記走行手段を最低速度に減速して異常が解消してから定常走行速度よりも減速した速度に戻して自動運転することを特徴とするリクレーマの運転制御装置。
【請求項5】
貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマの運転制御方法において、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤの駆動モータの電流値を電流検出手段で測定する工程と、
制御手段で前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値又は単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う工程を有することを特徴とするリクレーマの運転制御方法。
【請求項6】
貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマの運転制御方法において、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤの駆動モータの電流値を電流検出手段で測定する工程と、
制御手段で前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値及び単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う工程を有することを特徴とするリクレーマの運転制御方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載されたリクレーマの運転制御方法であって、
前記制御を行う工程は、前記検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を最低速度に減速することを特徴とするリクレーマの運転制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載されたリクレーマの運転制御方法であって、
前記制御を行う工程は、前記検出値が前記閾値を超えたのが2回目のときに前記走行手段を最低速度に減速して異常が解消してから定常走行速度よりも減速した速度に戻して自動運転することを特徴とするリクレーマの運転制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫のばら物を払い出すスクレーパ式のリクレーマの運転制御装置および運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リクレーマは、石こう、石炭、その他のばら物を払い出し搬送コンベヤより払い出しを行う装置であり、主にスクレーパ式(特許文献1参照)、バケットホイール式(特許文献2参照)がある。
図2はスクレーパ式のリクレーマの説明図である。リクレーマ10は、ブーム20と、シュート12と、走行手段30を備えている。ブーム20は走行手段30に配置して、貯蔵庫1の長手方向に沿って往復移動する(
図2の紙面と交差する方向の矢印A及びB参照)。またブーム20は下端を走行手段30に回転自在に軸支されて上端側が揺動して俯仰角度が変化する。このような構成のリクレーマ10は、ブーム20が貯蔵庫1の一端から他端に向けて走行移動する。ブーム20の移動中、ブーム本体22で周回移動するスクレーパ26により貯蔵庫1からばら物を掻き取り、シュート12を介して搬送コンベヤ2へ払い出して外部へ搬送できる。ブーム20が他端に達するとブーム20の俯仰角度を所定角度に変更して貯蔵庫1の一端に向けて移動しながら同様にばら物を払い出しできる。
貯蔵庫1に貯蔵されたばら物は環境の影響を受けやすく、特に石こうの場合、湿度により水分を含有して重量が増加したり、また貯蔵庫1の底面に近い箇所が圧密されて密度が増加したりすることがある。
【0003】
図示のように貯蔵庫1からばら物が払い出されてリクレーマ10のブーム20の下降が進むと貯蔵庫1の縦壁1aに付着したまま掻き取られずに残った石こう積山1bが形成される。石こうが圧密された石こう積山1bが形成されると、石こう積山1bが突発的に崩落することがあり、崩落した分の掻き取り量が急激に増加してシュート12が閉塞してしまう。
従来は、シュート12に振動式又はパドル式のシュートスイッチ(不図示)を設置して、ばら物がシュート12内に溜まって本センサに接触することによりシュート12の閉塞を検出している。
しかしながらシュートスイッチは、シュート12が完全閉塞することで検出されるセンサであり、閉塞が検出されると装置を緊急停止しなければならなかった。現状は、シュート12が閉塞すると運転を停止してシュート12の詰まりを解消しなければならないため、継続した安定運転ができず作業効率が悪くなる。特に船舶へ供給する場合には停泊時間が限られており装置を停止することは大きな損失につながるため、安定した連続運転が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-59605号公報
【特許文献2】特許第7125256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、シュートの閉塞を防止して安定した運転を継続できるリクレーマの運転制御装置および運転制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマと、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤの駆動モータの電流値を測定する電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値又は単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う制御手段を備えたことを特徴とするリクレーマの運転制御装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、搬送コンベヤの過負荷の電流値の閾値の場合、ばら物が供給されたシュートが閉塞気味の状態であり、過負荷時の電流値に閾値を設けて走行手段の走行を減速制御することによってシュートが閉塞することなく安定した運転を継続できる。
また搬送コンベヤの単位時間当たりの電流値変化量の閾値の場合、シュートが閉塞気味の兆候がある状態であり、過負荷の兆候である電流値変化量に閾値を設けて、過負荷となる前段階で走行手段の走行を減速制御することでシュートが閉塞することなく安定した運転を継続できる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマと、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤの駆動モータの電流値を測定する電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値及び単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う制御手段を備えたことを特徴とするリクレーマの運転制御装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、前記搬送コンベヤの過負荷の電流値及び単位時間当たりの電流値変化量の両方の閾値を用いることにより、シュートの閉塞気味とシュートの閉塞気味の兆候がある状態を検知して走行手段の走行を減速制御することでシュートが閉塞することがない。従って確実かつ安定した運転を継続できる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記制御手段は、前記検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を最低速度に減速する制御を行うことを特徴とするリクレーマの運転制御装置を提供することにある。
上記第3の手段によれば、スクレーパの掻き取る面積が減少し、その結果シュートに投入されるばら物の量が減少する。搬送コンベヤは常に定速で運転しており、シュート内に既に溜まっているばら物が払い出されて、シュート内の閉塞気味の状態を解消できる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第3の手段において、前記制御手段は、前記検出値が前記閾値を超えたのが2回目のときに前記走行手段を最低速度に減速して異常が解消してから定常走行速度よりも減速した速度に戻して自動運転することを特徴とするリクレーマの運転制御装置を提供することにある。
上記第4の手段によれば、シュートに払い出したばら物の詰まりが頻繁に発生した異常事態のときに、走行手段の走行速度を減速して払い出し量を減少してシュートに詰まったばら物の排出を促進させることにより、閉塞による装置停止を回避してリクレーマの運転を可能な限り継続することができる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマの運転制御方法において、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤの駆動モータの電流値を電流検出手段で測定する工程と、
制御手段で前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値又は単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う工程を有することを特徴とするリクレーマの運転制御方法を提供することにある。
上記第5の手段によれば、搬送コンベヤの過負荷の電流値の閾値の場合、ばら物が供給されたシュートが閉塞気味の状態であり、過負荷時の電流値に閾値を設けて走行手段の走行を減速制御することによってシュートが閉塞することなく安定した運転を継続できる。
また搬送コンベヤの単位時間当たりの電流値変化量の閾値の場合、シュートが閉塞気味の兆候がある状態であり、過負荷の兆候である電流値変化量に閾値を設けて、過負荷となる前段階で走行手段の走行を減速制御することでシュートが閉塞することなく安定した運転を継続できる。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第6の手段として、貯蔵庫のばら物をスクレーパで掻き取るブームと、前記ブームを前記貯蔵庫の長手方向に沿って往復移動させる走行手段を有するリクレーマの運転制御方法において、
前記スクレーパで掻き取ったばら物を前記貯蔵庫の長手方向に沿って外部へ搬送する搬送コンベヤの駆動モータの電流値を電流検出手段で測定する工程と、
制御手段で前記電流検出手段の検出値と、前記ばら物の重量が増加したときの前記搬送コンベヤの過負荷の電流値及び単位時間当たりの電流値変化量の閾値を比較して検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を減速する制御を行う工程を有することを特徴とするリクレーマの運転制御方法を提供することにある。
上記第6の手段によれば、前記搬送コンベヤの過負荷の電流値及び単位時間当たりの電流値変化量の両方の閾値を用いることにより、シュートの閉塞気味とシュートの閉塞気味の兆候がある状態を検知して走行手段の走行を減速制御することによってシュートが閉塞することなく確実かつ安定した運転を継続できる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための第7の手段として、第5又は第6の手段において、前記制御を行う工程は、前記検出値が前記閾値を超えたときに前記走行手段の走行速度を最低速度に減速することを特徴とするリクレーマの運転制御方法を提供することにある。
上記第7の手段によれば、スクレーパの掻き取る面積が減少し、その結果シュートに投入されるばら物の量が減少する。搬送コンベヤは常に定速で運転しており、シュート内に既に溜まっているばら物が払い出されて、シュート内の閉塞気味の状態を解消できる。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するための第8の手段として、第7の手段において、前記制御を行う工程は、前記検出値が前記閾値を超えたのが2回目のときに前記走行手段を最低速度に減速して異常が解消してから定常走行速度よりも減速した速度に戻して自動運転することを特徴とするリクレーマの運転制御方法を提供することにある。
上記第8の手段によれば、シュートに払い出したばら物の詰まりが頻繁に発生した異常事態のときに、走行手段の走行速度を減速して払い出し量を減少してシュートに詰まったばら物の排出を促進させることにより、閉塞による装置停止を回避してリクレーマの運転を可能な限り継続することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シュートが閉塞する前にシュートの詰まりを解消して装置を停止することなく継続したリクレーマの安定運転を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のリクレーマの運転制御装置の構成概略図である。
【
図3】本発明のリクレーマの運転制御装置のブロック図である。
【
図4】本発明のリクレーマの運転制御方法のフロー図である。
【
図5】本発明のリクレーマの運転制御方法のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のリクレーマの運転制御装置および運転制御方法の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0017】
[リクレーマ10]
図1は、本発明のリクレーマの運転制御装置の構成概略図である(同図中の走行手段30は二点鎖線で示す)。リクレーマ10は、側面の断面視で略L字型の貯蔵庫1に配置している。貯蔵庫1は長手方向に沿って下方に搬送コンベヤ2を配置している。搬送コンベヤ2は貯蔵庫1の長手方向に沿って外部へ延出し、後段で接続する船積コンベヤ3にばら物を供給する。船積コンベヤ3は船舶4へばら物を供給するコンベヤであり、コンベヤの途中にばら物の重量を測定できる計量計5を配置している。
リクレーマ10は、ブーム20と、シュート12と、走行手段30を備えている。
ブーム20は、ブーム本体22の外周に沿って周回ベルト24を配置している。周回ベルト24はベルト面から直行方向に延出するスクレーパ26を等間隔で複数配置している(
図1中のスクレーパ26は一部省略)。周回ベルト24を周回させるとスクレーパ26が貯蔵庫1のばら物を掻き取ってブーム本体22の下端から下方のシュート12へ供給できる。
シュート12は、ブーム20で掻き寄せたばら物を集約して下方の搬送コンベヤ2上に供給する。
【0018】
走行手段30は、ブーム20と、シュート12を配置している。走行手段30は貯蔵庫1の長手方向に沿って、移動する装置である。走行手段30は、搬送コンベヤ2の近傍でコンベヤに沿って配置したレール32と、貯蔵庫1の縦壁1a上のレール34に跨るフレーム本体36を備えている(
図2参照)。フレーム本体36はレール32,34上を平行移動する車輪37及び走行モータ38を配置して往復移動(
図2中の矢印A、B参照)する。ブーム本体22の下端はフレーム本体36の下部に回動自在に軸支されている。そしてブーム本体22の上端側はワイヤ40を介してフレーム本体36上部に支持されている。このような構成のブーム20はワイヤ40の長さを調整することによりブーム本体22の俯仰角度が変化する。
【0019】
[リクレーマの運転制御装置]
図3は本発明のリクレーマの運転制御装置のブロック図である。図示のように本発明のリクレーマの運転制御装置50は、電流検出手段52と制御手段54を備えている。
電流検出手段52は、搬送コンベヤ2の駆動モータ2aに接続している。駆動モータ2aはコンベヤの駆動プーリを回転する電動モータである。電流検出手段52は駆動モータ2aの運転中の電流値を測定する。
制御手段54は、リクレーマ10の俯仰角用動力源となるワイヤ40の駆動部42と、リクレーマ10の回転用動力源となるブーム20の駆動部20aと、ブーム20の走行手段30の走行モータ38と、電流検出手段52、船積コンベヤ3に配置した計量計5、操作手段56と電気的に接続している。
このような制御手段54は、リクレーマ10の通常運転のとき、あらかじめばら物の定量搬送量の設定値を設定し、貯蔵庫1のばら物を掻き取るブーム20の所定の俯仰角度、スクレーパ26の定常回転速度、ブーム20の定常走行速度で運転制御する。スクレーパ26でばら物を払い出しながら貯蔵庫1の一端から他端へブーム20が移動した後は、走行を停止してブーム20の俯仰角度を所定角度(例えば俯角0.5度など)下げる。その後、貯蔵庫1の他端から一端へ移動しながらスクレーパ26でばら物を払い出しする。制御手段54は船積コンベヤ3の計量計5の測定値を受信すると、ばら物の定量搬送量の設定値を満たすようにブーム20の走行速度をフィードバック制御する。例えば、搬送量が多いときはブーム20の走行速度を落とし、搬送量が少ないときはブーム20の走行速度を上げる。
【0020】
このほか制御手段54は、電流検出手段52の検出値を受信している。制御手段54はあらかじめ以下の閾値を設定している。
ブーム20の走行中に貯蔵庫1に形成された石こう積山が突発的に崩れて搬送コンベヤ2へのばら物の払い出し量が急激に増加したり、貯蔵庫1で圧密されたばら物の塊が払い出されたりすると搬送コンベヤ2を駆動する駆動モータ2aに負荷が掛かり駆動モータ2aの電流値が増大する。
ばら物の払い出し量が増加して定量搬送量を超えるとシュート12が詰まり気味になるため定量搬送量を超えたときの電流検出値の閾値を定めている。
また電流検出値を縦軸、時間を横軸にプロットしたグラフを作成し、単位時間当たりの電流値の変化量を見る。前述の電流測定値が閾値を超えていなくても単位時間当たりの電流変化量がある値を超えるとシュート12が詰まり気味となる兆候が見られるため単位時間当たりの電流変化量の閾値を定めている。
【0021】
[リクレーマの運転制御方法]
上記構成による本発明のリクレーマの運転制御方法について、以下説明する。
図4は本発明のリクレーマの運転制御方法のフロー図である。
図5は本発明のリクレーマの運転制御方法のタイミングチャートである。
(ステップ1)リクレーマ10の自動運転は、あらかじめばら物の定量搬送量の設定値を設定し、貯蔵庫1のばら物を掻き取るブーム20の所定の俯仰角度、スクレーパ26の定常回転速度、ブーム20の定常走行速度で運転制御する。制御手段54は船積コンベヤ3の計量計5の測定値を受信すると、ばら物の定量搬送量の設定値を満たすようにブーム20の走行速度をフィードバック制御する。
(ステップ2)制御手段54は電流検出手段52の検出値を受信すると、検出値があらかじめ定めた電流値の閾値と、単位時間当たりの電流変化量の閾値を超えたか否かを判定する。
検出値が電流値の閾値を超えた場合、
図5(1)に示すように、石こう積山が崩落するなどしてばら物の払い出し量が増えて搬送コンベヤのばら物の重量が増加すると、搬送コンベヤの駆動部に負荷が掛かり、電流値が閾値を超える。このときシュートは閉塞気味の状態となる。
検出値が単位時間当たりの電流変化量の閾値超えた場合、
図5(2)に示すように、石こう積山が崩落するなどしてばら物の払い出し量が増えて搬送コンベヤのばら物の重量が増加すると、電流値の閾値を超えていなくても搬送コンベヤの駆動部に負荷が掛かり単位時間当たりの電流変化量が閾値を超える。このときシュートが閉塞気味となる兆候がある。
検出値が電流値の閾値及び単位時間当たりの電流変化量の閾値を超えた場合、シュートが閉塞気味でかつ、シュートが閉塞気味の兆候が見られる状態である。
(ステップ3)1秒遅延する。閉塞気味又は閉塞気味の兆候がある状態が続いているかを見極めて、一時的に閾値を超えただけの状態を除くことにより、制御のバタつきを防止するためである。
(ステップ4)走行手段30の走行速度を最低速度に減速する。走行手段30の最低速度は一例として走行速度の10%などである。
このような場合、走行手段30を最低速度に減速することにより、スクレーパの掻き取る面積が減少し、その結果シュートに投入されるばら物の量が減少する。搬送コンベヤは常に定速で運転しており、シュート内に既に溜まっているばら物が払い出されて、シュート12内の閉塞気味状態を解消できる(
図5(1)、(2)参照)。
(ステップ5)異常が解消されたか否かの判定を行う。具体的には検出値があらかじめ定めた電流値の閾値と、単位時間当たりの電流変化量の閾値を下回ったか否かを判定する。下回っていない場合には(No)、検出値が閾値を下回るまでステップ4を繰り返す。下回っている場合には(Yes)、ステップ6に進む。
(ステップ6)検出値が閾値を超えたのが2回目以上か否かの判定を行う。検出値が閾値を超えたのが1回目の場合、異常が解消されているため、走行手段30を定常走行速度に復帰させて、ステップ1の自動運転を継続する。検出値が閾値を超えたのが2回目の場合、ステップ7に進む。
(ステップ7)検出値が閾値を超えたのが2回目の場合、シュート12の閉塞気味が頻繁に起こっているイレギュラーな状態である。この場合、走行手段30を定常走行速度よりも減速する(
図5(3)参照)。本実施形態の定常走行速度よりも減速するとは、例えば走行手段30の定常走行速度を75%に減速することである。2回目以降はシュートのイレギュラーな状態であり、走行手段の走行速度を減速して払い出し量を減少してシュートに詰まったばら物の排出を促進させることにより、閉塞による装置停止を回避してリクレーマの運転を可能な限り継続することができる。
検出値が閾値を超えたのが2回目の場合の組み合わせは、電流値の閾値と電流値の閾値、電流値の閾値と単位時間当たりの電流変化量の閾値、単位時間当たりの電流変化量の閾値と単位時間当たりの電流変化量の閾値があるが、いずれの場合でも良い。
【0022】
このような本発明によればリクレーマ10の搬送コンベヤ2の電流値、電流変化量を監視して、シュート12が完全閉塞する前にリクレーマ10の払い出し量を自動調整して安定した運転を継続できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 貯蔵庫
1a 縦壁
1b 石こう積山
2 搬送コンベヤ
2a 駆動モータ
3 船積コンベヤ
4 船舶
5 計量計
10 リクレーマ
12 シュート
20 ブーム
20a 駆動部
22 ブーム本体
24 周回ベルト
26 スクレーパ
30 走行手段
32 レール
34 レール
36 フレーム本体
37 車輪
38 走行モータ
40 ワイヤ
42 駆動部
50 運転制御装置
52 電流検出手段
54 制御手段
56 操作手段