(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164930
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電気機器およびヒータユニット
(51)【国際特許分類】
H05B 3/44 20060101AFI20241121BHJP
A47J 37/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H05B3/44
A47J37/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080669
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 正好
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇太
(72)【発明者】
【氏名】千々岩 真鈴
【テーマコード(参考)】
3K092
4B040
【Fターム(参考)】
3K092PP03
3K092QA02
3K092QB02
3K092QB26
3K092RA01
3K092RB02
3K092RB04
3K092RC02
3K092RD02
3K092SS20
3K092VV25
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB04
4B040AC03
4B040AE04
4B040CA05
4B040CA17
4B040CB06
4B040CB13
(57)【要約】
【課題】ヒータの封口部の温度が過度に上昇することを抑制できる電気機器およびヒータユニットを提供する。
【解決手段】電気機器は、ヒータ30と、ヒータ30に接触する放熱部材50と、を有する。ヒータ30は、発熱線33、絶縁材35、パイプ36、および封口部37を有する。絶縁材35は、発熱線33を覆う。パイプ36は、絶縁材35を覆う。封口部37は、パイプ36内において絶縁材35の端部を封止する。放熱部材50は、封口部37の少なくとも一部分と径方向に重なる位置において、パイプ36に接触する。これにより、封口部37の熱が、パイプ36および放熱部材50を介して外部へ放出される。したがって、封口部37の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱機能を有する電気機器であって、
ヒータと、
前記ヒータに接触する放熱部材と、
を備え、
前記ヒータは、
通電により発熱する発熱線と、
前記発熱線を覆う絶縁材と、
前記絶縁材を覆うパイプと、
前記パイプ内において前記絶縁材の端部を封止する封口部と、
を有し、
前記放熱部材は、前記封口部の少なくとも一部分と径方向に重なる位置において、前記パイプに接触する、電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記放熱部材は、複数のフィンを有する、電気機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機器であって、
前記ヒータへの通電時における前記放熱部材の周囲の空間が、
高温空間と、
前記高温空間よりも温度が低い低温空間と、
を含み、
前記複数のフィンは、前記低温空間に配置されたフィンを含む、電気機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気機器であって、
前記放熱部材は、
本体フレームに支持される第1放熱部材と、
前記第1放熱部材との間に前記パイプを挟む第2放熱部材と、
を有し、
前記第1放熱部材は、前記第2放熱部材を下側から保持する、電気機器。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気機器であって、
前記ヒータは、
前記発熱線を含む発熱部と、
前記発熱部の端部から前記ヒータの端部へ向けて延びる引き出し部と、
を有し、
前記電気機器は、
前記発熱部を収容する遮熱板と、
前記遮熱板の上面に固定され、前記引き出し部を通す貫通孔を有するヒータブラケットと、
を備え、
前記ヒータブラケットは、
周縁部から前記遮熱板の上面へ向けて下向きに突出する下凸部
を有し、
前記遮熱板は、
前記下凸部の内周部に沿って、上向きに突出する上凸部
を有する、電気機器。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気機器であって、
前記ヒータは、前記発熱線と電気的に接続されるとともに、前記パイプの外に一部分が露出する金属端子を有し、
前記放熱部材は、
上方から落下する水滴を、前記金属端子を避けて流す流路
を有する、電気機器。
【請求項7】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電気機器であって、
前記放熱部材は、
位置決めの基準となる基準面に接触する位置決め突起
を有し、
前記位置決め突起は、前記基準面へ向かうにつれて収束する形状を有する、電気機器。
【請求項8】
ヒータと、
前記ヒータに接触する放熱部材と、
を備えたヒータユニットであって、
前記ヒータは、
通電により発熱する発熱線と、
前記発熱線を覆う絶縁材と、
前記絶縁材を覆うパイプと、
前記パイプ内において前記絶縁材の端部を封止する封口部と、
を有し、
前記放熱部材は、前記封口部の少なくとも一部分と径方向に重なる位置において、前記パイプに接触する、ヒータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱機能を有する電気機器およびヒータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホットプレート、ロースター、電気ケトルなどの加熱機能を有する電気機器が知られている。この種の電気機器は、熱源となるシーズヒータを有する。シーズヒータを有する従来の電気機器については、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
シーズヒータは、ニクロム線等の発熱線と、発熱線を覆う絶縁材と、絶縁材を覆う金属製のパイプとを有する。絶縁材の材料には、例えば、酸化マグネシウム(MgO)が使用される。絶縁材は、発熱線とパイプとの間を絶縁する役割を果たす。ただし、絶縁材に水分が混入して、絶縁材が吸湿すると、絶縁材の絶縁性能が低下する。このため、シーズヒータの絶縁材の端部には、絶縁材へ水分が混入することを防止するために、ガラス製の封口部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、封口部の温度が過度に上昇すると、封口部の変質または破損によって、封口部の封止性が低下する。そうすると、シーズヒータの端部から絶縁材へ水分が混入しやすくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ヒータの封口部の温度が過度に上昇することを抑制できる電気機器およびヒータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、加熱機能を有する電気機器であって、ヒータと、前記ヒータに接触する放熱部材と、を備え、前記ヒータは、通電により発熱する発熱線と、前記発熱線を覆う絶縁材と、前記絶縁材を覆うパイプと、前記パイプ内において前記絶縁材の端部を封止する封口部と、を有し、前記放熱部材は、前記封口部の少なくとも一部分と径方向に重なる位置において、前記パイプに接触する。
【0008】
本願の第1発明によれば、封口部の熱が、パイプおよび放熱部材を介して外部へ放出される。これにより、封口部の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【0009】
特に、前記放熱部材は、複数のフィンを有することが望ましい。これにより、放熱部材の表面積が増加する。したがって、放熱部材から外部へ、より効率よく熱を放出できる。
【0010】
また、前記ヒータへの通電時における前記放熱部材の周囲の空間が、高温空間と、前記高温空間よりも温度が低い低温空間と、を含み、前記複数のフィンは、前記低温空間に配置されたフィンを含むことが好ましい。これにより、フィンからの放熱効率をより高めることができる。
【0011】
また、前記放熱部材は、本体フレームに支持される第1放熱部材と、前記第1放熱部材との間に前記パイプを挟む第2放熱部材と、を有し、前記第1放熱部材は、前記第2放熱部材を下側から保持することが好ましい。このように、2つの放熱部材でパイプを挟むことにより、放熱効率をより高めることができる。また、第2放熱部材は、本体フレームに支持される第1放熱部材に下側から保持されるため、所定位置を維持できる。
【0012】
また、前記ヒータは、前記発熱線を含む発熱部と、前記発熱部の端部から前記ヒータの端部へ向けて延びる引き出し部と、を有し、前記電気機器は、前記発熱部を収容する遮熱板と、前記遮熱板の上面に固定され、前記引き出し部を通す貫通孔を有するヒータブラケットと、を備え、前記ヒータブラケットは、周縁部から前記遮熱板の上面へ向けて下向きに突出する下凸部を有し、前記遮熱板は、前記下凸部の内周部に沿って、上向きに突出する上凸部を有することが好ましい。これにより、遮熱板の上面からヒータブラケットの下方へ水滴が漏出することを抑制できる。したがって、ヒータの端部を水滴から保護できる。
【0013】
また、前記ヒータは、前記発熱線と電気的に接続されるとともに、前記パイプの外に一部分が露出する金属端子を有し、前記放熱部材は、上方から落下する水滴を、前記金属端子を避けて流す流路を有することが好ましい。これにより、ヒータの金属端子を、水滴から保護できる。その結果、金属端子からの漏電や、電気的短絡などの問題を防止できる。
【0014】
また、前記放熱部材は、位置決めの基準となる基準面に接触する位置決め突起を有し、前記位置決め突起は、前記基準面へ向かうにつれて収束する形状を有することが好ましい。これにより、基準面から放熱部材への熱伝導を抑制しつつ、基準面に対して放熱部材を位置決めできる。
【0015】
本願の第2発明は、ヒータと、前記ヒータに接触する放熱部材と、を備えたヒータユニットであって、前記ヒータは、通電により発熱する発熱線と、前記発熱線を覆う絶縁材と、前記絶縁材を覆うパイプと、前記パイプ内において前記絶縁材の端部を封止する封口部と、を有し、前記放熱部材は、前記封口部の少なくとも一部分と径方向に重なる位置において、前記パイプに接触する。
【0016】
本願の第2発明によれば、封口部の熱が、パイプおよび放熱部材を介して外部へ放出される。これにより、封口部の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、封口部の熱が、パイプおよび放熱部材を介して外部へ放出される。これにより、封口部の温度が過度に上昇することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】遮熱板、ヒータブラケット、およびヒータの部分縦断面図である。
【
図5】放熱部材が取り付けられたヒータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<1.第1実施形態>
<1-1.ホットプレートの全体構成>
図1は、本発明の電気機器の第1実施形態であるホットプレート1の斜視図である。
図2は、ホットプレート1の分解斜視図である。以下の説明においては、
図1および
図2に表示した「前後方向」、「左右方向」、および「上下方向」を使用して、各部の位置関係を説明する。
【0021】
このホットプレート1は、肉や野菜などの食材をヒータ30の熱で加熱調理する装置である。
図1および
図2に示すように、ホットプレート1は、本体フレーム10、遮熱板20、ヒータブラケット25、ヒータ30、およびプレート40を備えている。
【0022】
本体フレーム10は、ホットプレート1の全体を支持する支持台である。本体フレーム10は、キッチン台やダイニングテーブルなどの水平な上面に載置される。本体フレーム10は、ベース部11、側壁部12、およびダイヤル13を有する。
【0023】
ベース部11は、例えば、金属製の板により形成される。上面視におけるベース部11の形状は、略矩形状である。ベース部11の下面には、図示を省略した複数の脚が設けられている。側壁部12は、ベース部11の周縁部から上方へ向けて延びる。遮熱板20、ヒータブラケット25、ヒータ30、プレート40、および後述する放熱部材50は、ベース部11と側壁部12とで構成されるカップ状の外装体の内部に収容される。
【0024】
ダイヤル13は、側壁部12の前面に設けられている。ホットプレート1のユーザは、ダイヤル13を回転させることにより、ヒータ30への通電のON/OFFを切り替えることができる。
【0025】
遮熱板20は、ヒータ30の熱が下方へ広がることを抑制するための板である。遮熱板20は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。遮熱板20は、ベース部11の上面に載置される。
図2に示すように、遮熱板20は、上面視において略矩形の平板状であり、その周縁部が上方へ立ち上げられている。ヒータ30から下方へ向かう輻射熱は、遮熱板20に遮られる。また、ヒータ30から下方へ向かう輻射熱の一部は、遮熱板20の上面により反射されて、プレート40へ照射される。これにより、プレート40を効率よく加熱できる。
【0026】
図3は、遮熱板20、ヒータブラケット25、およびヒータ30の部分縦断面図である。
図3に示すように、遮熱板20は、開口部21を有する。開口部21は、ホットプレート1の製造時にヒータ30を通すための孔である。開口部21は、遮熱板20の一部分を上下方向に貫通する。開口部21は、遮熱板20の中央よりも前側に位置する。開口部21の形状は、上面視において略矩形状である。
【0027】
ヒータブラケット25は、遮熱板20の開口部21を覆う板状の部材である。ヒータブラケット25は、遮熱板20の上面に固定されている。ヒータブラケット25は、2つの貫通孔26を有する。2つの貫通孔26は、ヒータ30の後述する引き出し部32を通すための孔である。2つの貫通孔26は、それぞれ、ヒータブラケット25を上下方向に貫通する。
【0028】
ヒータ30は、プレート40を加熱するための熱源である。ヒータ30は、ヒータブラケット25および遮熱板20を介して、本体フレーム10に支持されている。ヒータ30には、曲折した棒状のシーズヒータが使用される。
図2に示すように、ヒータ30は、発熱部31と、一対の引き出し部32とを有する。
【0029】
発熱部31は、通電時に発熱する部分である。発熱部31は、遮熱板20の上面側かつ周縁の立ち上がり部の内側に収容されている。発熱部31は、曲折しながら、略水平面に沿って広がる。
【0030】
一対の引き出し部32は、発熱部31の両端部から、ヒータ30の端部へ向けて延びる。一対の引き出し部32は、ヒータブラケット25の貫通孔26を通過し、ヒータブラケット25の下側まで延びる。そして、引き出し部32の下端部において、後述する金属端子34と電気配線とが、電気的に接続される。電気配線からヒータ30に電流が供給されると、ヒータ30が発熱する。これにより、ヒータ30からプレート40へ、輻射熱が照射される。
【0031】
図3に示すように、ヒータ30は、発熱線33、金属端子34、絶縁材35、パイプ36、および封口部37を有する。発熱線33は、通電により発熱する抵抗線である。発熱線33は、上述した発熱部31の内部に埋設されている。発熱線33には、例えば、ニクロム線または鉄クロム線が使用される。金属端子34は、発熱線33の端部と電気的に接続されている。
【0032】
発熱線33と、金属端子34の一部分とは、絶縁材35に覆われている。また、絶縁材35は、金属製のパイプ36に覆われている。絶縁材35は、発熱線33および金属端子34とパイプ36との間を絶縁する役割を果たす。絶縁材35の材料には、例えば、酸化マグネシウム(MgO)が使用される。金属端子34の下端部は、パイプ36の外に露出する。
【0033】
絶縁材35に水分が混入して、絶縁材35が吸湿すると、絶縁材35の絶縁性能が低下する。このため、ヒータ30は、絶縁材35へ水分が混入することを防止するために、封口部37を有する。封口部37は、絶縁材35の端部を封止する栓である。封口部37の材料には、例えば、ガラスが使用される。封口部37は、パイプ36の内側において、絶縁材35の端部の下側に配置されている。これにより、パイプ36の下端部の開口から絶縁材35へ、水分が侵入することが防止される。
【0034】
プレート40は、調理対象となる食材を載せる略平板状の部材である。プレート40には、例えば、鉄製の板が使用される。プレート40は、ヒータ30の上方に配置される。プレート40の周縁部は、本体フレーム10の側壁部12に支持される。プレート40は、ヒータ30からの輻射熱により加熱される。これにより、プレート40の上面に置かれた食材が加熱調理される。
【0035】
<1-2.放熱部材について>
封口部37の温度が過度に上昇すると、封口部37の変質または破損によって、封口部37の封止性が低下する。そうすると、絶縁材35に水分が混入しやすくなる。そこで、このホットプレート1は、封口部37の温度上昇を抑制するための放熱部材50(ヒートシンク)を備えている。ヒータ30および放熱部材50は、第1実施形態に係るヒータユニットを構成する。
【0036】
図4は、放熱部材50の分解斜視図である。
図5は、放熱部材50が取り付けられたヒータ30の斜視図である。
図4および
図5に示すように、放熱部材50は、第1放熱部材51と、第2放熱部材52とを有する。第1放熱部材51および第2放熱部材52は、アルミニウムやステンレス等の熱伝導率の高い金属により形成される。第1放熱部材51と第2放熱部材52は、ヒータ30の引き出し部32のパイプ36を前後方向に挟んだ状態で、図示を省略したネジにより、互いに固定されている。
【0037】
第1放熱部材51および第2放熱部材52は、封口部37の少なくとも一部分と径方向(封口部37の中心線Aに対して垂直な方向)に重なる位置において、パイプ36に接触する。このようにすれば、発熱部31から封口部37へ伝導する熱は、パイプ36および放熱部材50を介して外部へ放出される。これにより、封口部37の温度が過度に上昇することを抑制できる。また、第1放熱部材51および第2放熱部材52は、ヒータ30のうち、封口部37の付近のみに設けられる。これにより、放熱部材50の大きさを抑えて、ホットプレート1の大型化を抑制できる。
【0038】
特に、本実施形態では、パイプ36に1つの放熱部材を接触させるのではなく、第1放熱部材51と第2放熱部材52でパイプ36を挟む。これにより、パイプ36からの放熱効率を向上させることができる。
【0039】
図4に示すように、第2放熱部材52は、パイプ36に接触する半筒状の接触面521を有する。接触面521は、パイプ36の外周面と略同一の径を有する。このため、接触面521は、パイプ36の外周面に面接触する。これにより、パイプ36から第2放熱部材52へ、より効率よく熱が伝導する。
【0040】
また、第2放熱部材52は、複数の突起状のフィン522を有する。複数のフィン522を設けることにより、フィン522が無い場合よりも、第2放熱部材52の表面積が増加する。したがって、第2放熱部材52から周囲の空気へ、より効率よく熱を放出することができる。
【0041】
本実施形態では、複数のフィン522は、後方へ向けて延びている。特に、複数のフィン522は、複数の中央フィン522Aと、複数のサイドフィン522Bとを含んでいる。複数のサイドフィン522Bは、中央フィン522Aの左右方向の両側に位置する。また、複数のサイドフィン522Bは、中央フィン522Aよりも後方の位置まで延びている。
【0042】
ヒータ30への通電時において、発熱部31の下方(すなわち、放熱部材50の後方)には、高温空間S1と、高温空間S1よりも温度が低い低温空間S2とが形成される。高温空間S1は、発熱部31の略中央付近の下方に位置する。低温空間S2は、高温空間S1の周囲に位置する。低温空間S2は、高温空間S1の最も高温の箇所よりも、例えば20℃以上温度が低い空間である。上述した中央フィン522Aは、高温空間S1の手前の低温空間S2まで延びている。上述したサイドフィン522Bは、高温空間S1の左右の低温空間S2まで延びている。このように、中央フィン522Aおよびサイドフィン522Bは、いずれも、高温空間S1を避けて配置される。これにより、フィン522から周囲の空気へ、より効率よく熱を放出することができる。
【0043】
なお、フィン522の数や配置は、本実施形態の例に限定されるものではない。例えば、中央フィン522Aおよびサイドフィン522Bのうち、中央フィン522Aが省略されていてもよい。また、複数のフィン522は、前後方向以外の方向に延びていてもよい。
【0044】
第1放熱部材51は、本体フレーム10のベース部11の上面と上下方向に対向する支持面511を有する。このため、もし仮に、第1放熱部材51と第2放熱部材52を固定するネジが外れたとしても、ベース部11の上面に支持面511が接触することにより、第1放熱部材51は、ベース部11に支持される。これにより、第1放熱部材51の脱落が防止される。したがって、ヒータ30の両端部の金属端子34が、脱落した第1放熱部材51を介して電気的に短絡するような事態を回避できる。
【0045】
また、第1放熱部材51は、一対のフック512を有する。一対のフック512は、第2放熱部材52を下側から保持する。このようにすれば、もし仮に、第1放熱部材51と第2放熱部材52を固定するネジが外れたとしても、第2放熱部材52は、第1放熱部材51の一対のフック512に保持される。これにより、第2放熱部材52がフック512よりも下方へ脱落することを防止できる。したがって、ヒータ30の両端部の金属端子34が、脱落した第2放熱部材52を介して電気的に短絡するような事態を回避できる。
【0046】
また、
図4に示すように、第1放熱部材51は、位置決め突起513を有する。位置決め突起513は、第1放熱部材51の上縁部から上方へ向けて突出する。位置決め突起513の上端部は、遮熱板20の下面に接触する。これにより、遮熱板20に対する第1放熱部材51の上下方向の位置が決まる。
【0047】
すなわち、本実施形態の構造では、本体フレーム10に対して位置決めされた遮熱板20の下面が、第1放熱部材51を位置決めするための基準面22となる。そして、第1放熱部材51は、当該基準面22に位置決め突起513を接触させることにより、上下方向に位置決めされる。また、第2放熱部材52も、第1放熱部材51とともに、上下方向に位置決めされる。
【0048】
位置決め突起513は、高温の遮熱板20に接触する。しかしながら、本実施形態では、第1放熱部材51および第2放熱部材52のうち、発熱部31から比較的離れた位置にある第1放熱部材51が、位置決め突起513を有する。このため、第2放熱部材52を遮熱板20に接触させる場合よりも、放熱部材50の温度上昇を抑制できる。したがって、温度上昇により放熱部材50の放熱機能が低下することを抑制できる。
【0049】
また、位置決め突起513は、先端が円弧状となっている。すなわち、位置決め突起513は、基準面22へ向かうにつれて徐々に収束する先細りの形状となっている。このようにすれば、遮熱板20と位置決め突起513との接触面積を、小さくすることができる。したがって、遮熱板20から第1放熱部材51への熱伝導により、第1放熱部材51の温度が上昇することを、より抑制できる。したがって、温度上昇により放熱部材50の放熱機能が低下することを、より抑制できる。
【0050】
<1-3.金属端子の防水構造について>
上述の通り、遮熱板20には、開口部21が設けられている。そして、開口部21の下方には、ヒータ30の金属端子34が配置されている。このため、ホットプレート1の使用時に、遮熱板20の上面に溜まった水滴が、開口部21を介して下方の金属端子34へ流れることを、防止する必要がある。そこで、本実施形態のホットプレート1は、ヒータ30の金属端子34を水滴から保護するための構造を有する。以下では、当該構造について説明する。
【0051】
遮熱板20の開口部21は、ヒータブラケット25により覆われている。特に、本実施形態では、ヒータブラケット25が、遮熱板20の上面側に配置されている。このため、ヒータブラケット25が遮熱板20の下面側に配置される場合よりも、開口部21に水滴が溜まることを抑制できる。
【0052】
また、
図3に示すように、ヒータブラケット25は、下凸部27を有する。下凸部27は、ヒータブラケット25の周縁部から、遮熱板20の上面へ向けて、下向きに突出する。下凸部27は、ヒータブラケット25の全周に設けられている。一方、遮熱板20は、上凸部23を有する。上凸部23は、遮熱板20の開口部21の周縁部から、ヒータブラケット25の下面へ向けて、上向きに突出する。上凸部23は、開口部21の全周に設けられている。上凸部23は、下凸部27の内側に嵌合している。したがって、上凸部23は、下凸部27の内周部に沿って配置される。
【0053】
このように、遮熱板20の上凸部23を、ヒータブラケット25の下凸部27に嵌合させることで、遮熱板20の上面から上凸部23および下凸部27を通って開口部21へ、水滴が侵入することを抑制できる。したがって、開口部21の下方へ水滴が漏出することを、より抑制できる。その結果、ヒータ30の金属端子34を水滴から保護できる。
【0054】
また、
図4に示すように、第2放熱部材52は、複数の流路溝523を有する。流路溝523は、第2放熱部材52の上面に形成されている。流路溝523は、前後方向に延びる樋状であり、前方へ向かうにつれて徐々に高さが低くなっている。そして、流路溝523の前端部は、第1放熱部材51の前面の上方まで延びている。
【0055】
また、
図4に示すように、第1放熱部材51は、傾斜流路514を有する。傾斜流路514は、第1放熱部材51の前面の下端部から、下方かつ前方へ向けて斜めに延びている。
【0056】
仮に、遮熱板20の開口部21から下方へ水滴が落下したとしても、落下した水滴は、流路溝523を通って、第1放熱部材51の前面側へ流れる。そして、当該水滴は、第1放熱部材51の前面から、傾斜流路514によって斜め前方へ排出される。このように、本実施形態の放熱部材50は、遮熱板20またはヒータブラケット25から落下する水滴を、金属端子34を避けて流す流路523,514を有する。これにより、金属端子34に水滴が付着することを、より抑制できる。その結果、金属端子34からの漏電や、電気的短絡などの問題を防止できる。
【0057】
<2.第2実施形態>
<2-1.ロースターの全体構成>
図6および
図7は、本発明の電気機器の第2実施形態であるロースター2の斜視図である。
図6は蓋体95を閉じた状態を示し、
図7は蓋体95を開いた状態を示している。
図8は、ロースター2の分解斜視図である。以下の説明においては、
図6~
図8に表示した「前後方向」、「左右方向」、および「上下方向」を使用して、各部の位置関係を説明する。
【0058】
このロースター2は、魚等の食材をヒータ81,82の熱で加熱調理する装置である。
図6~
図8に示すように、ロースター2は、本体フレーム60、受け皿65、反射板70、焼き網75、下ヒータ81、上ヒータ82、ヒンジ部90、および蓋体95を備えている。
【0059】
本体フレーム60は、ロースター2の全体を支持する支持台である。本体フレーム60は、キッチン台やダイニングテーブルなどの水平な上面に載置される。
図8に示すように、本体フレーム60は、ベース部61、ダイヤル62、ヒンジ台63、およびシャフト64を有する。
【0060】
ベース部61は、受け皿65を支持する部位である。ベース部61は、例えば、金属製の板により形成される。ベース部61の下面には、複数の脚611が設けられている。ダイヤル62は、ベース部61の側部に設けられている。ロースター2のユーザは、ダイヤル62を回転させることにより、下ヒータ81および上ヒータ82への通電のON/OFFを切り替えることができる。
【0061】
ヒンジ台63は、ヒンジ部90および蓋体95を支持する部位である。ヒンジ台63は、ベース部61の後部に固定されている。シャフト64は、ヒンジ部90および蓋体95の回動軸となる部材である。シャフト64は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。シャフト64は、ヒンジ台63の上端部に固定されている。
【0062】
受け皿65は、ベース部61の上面に載置される。
図8に示すように、受け皿65は、上方へ向けて開いたカップ状の外形を有する。すなわち、受け皿65は、底板部66と、立ち上がり部67とを有する。底板部66は、水平面に沿って広がる。底板部66は、上面視において矩形状である。立ち上がり部67は、底板部66の周縁から上方へ向けて延びる。ロースター2の使用時には、食材から落下する油の過熱を抑制するために、受け皿65の中に適量の水が貯留される。
【0063】
図8に示すように、受け皿65は、下ヒータ81の端部を通すためのヒータ挿入孔68を有する。ヒータ挿入孔68は、受け皿65の後部の立ち上がり部67を、前後方向に貫通する。ヒータ挿入孔68は、受け皿65に水が貯留されたときの水面よりも、高い位置に設けられている。ヒータ挿入孔68は、下ヒータ81が通過可能な幅および高さを有する。
【0064】
反射板70は、下ヒータ81および上ヒータ82からの輻射熱を、食材へ反射させるための板である。反射板70は、扁平な皿形状である。反射板70は、例えば、アルミニウムにより形成される。ロースター2の使用時には、受け皿65に貯留された水に反射板70を浮かべる。下ヒータ81および上ヒータ82から出射された輻射熱の一部は、反射板70により反射されて、食材へ照射される。これにより、食材を効率よく加熱できる。
【0065】
焼き網75は、調理対象となる食材を載せる網である。焼き網75は、受け皿65の上端部に取り付けられる。焼き網75は、互いに間隔をあけて配列された複数の金属線を有し、全体として略平板状に形成されている。
【0066】
下ヒータ81は、焼き網75に載置された食材を、下側から加熱するための熱源である。下ヒータ81は、本体フレーム60に支持されている。下ヒータ81には、曲折した棒状のシーズヒータが使用される。
図8に示すように、下ヒータ81は、発熱部811と、一対の引き出し部812とを有する。
【0067】
発熱部811は、通電時に発熱する部分である。発熱部811は、受け皿65および蓋体95により構成される調理室内に位置する。より詳述すると、発熱部811は、反射板70よりも上側、かつ、焼き網75よりも下側に位置する。発熱部811は、曲折しながら、略水平面に沿って広がる。
【0068】
一対の引き出し部812は、発熱部811の両端部から、後方へ向けて延びる。一対の引き出し部812は、受け皿65のヒータ挿入孔68を通って、ヒンジ台63の内部へ延びている。そして、ヒンジ台63の内部において、下ヒータ81の金属端子と電気配線とが、電気的に接続される。電気配線から下ヒータ81に電流が供給されると、下ヒータ81が発熱する。これにより、下ヒータ81から食材へ、輻射熱が照射される。
【0069】
上ヒータ82は、焼き網75に載置された食材を、上側から加熱するための熱源である。上ヒータ82は、ヒンジ部90を介して、本体フレーム60に支持されている。上ヒータ82には、曲折した棒状のシーズヒータが使用される。
図8に示すように、上ヒータ82は、発熱部821と、一対の引き出し部822とを有する。
【0070】
発熱部821は、通電時に発熱する部分である。発熱部821は、受け皿65および蓋体95により構成される調理室内に位置する。より詳述すると、蓋体95を閉じた状態において、発熱部821は、焼き網75よりも上側、かつ、蓋体95の後述する天板部96よりも下側に位置する。発熱部821は、曲折しながら、略水平面に沿って広がる。
【0071】
一対の引き出し部822は、発熱部821の両端部から、後方へ向けて延びる。一対の引き出し部822は、ヒンジ部90の内部へ延びている。そして、ヒンジ部90の内部において、上ヒータ82の後述する金属端子84と電気配線とが、電気的に接続される。電気配線から上ヒータ82に電流が供給されると、上ヒータ82が発熱する。これにより、上ヒータ82から食材へ、輻射熱が照射される。
【0072】
ヒンジ部90は、上ヒータ82を回動可能に保持するユニットである。ヒンジ部90は、シャフト64に係合し、シャフト64を中心として回転する。これにより、上ヒータ82を、
図8に示す水平姿勢と、
図7に示す起立姿勢との間で、回動させることができる。
【0073】
蓋体95は、受け皿65を上方から覆う部材である。蓋体95の後部は、シャフト64に係合し、シャフト64を中心として回転する。これにより、蓋体95は、受け皿65を覆う閉鎖姿勢と、受け皿65を開放する開放姿勢との間で回動する。蓋体95を閉鎖姿勢に倒すと、受け皿65と蓋体95とにより、食材を加熱する調理室が形成される。
【0074】
蓋体95は、閉鎖姿勢において下方へ向けて開いたカップ状の外形を有する。すなわち、蓋体95は、天板部96と、立ち下がり部97とを有する。蓋体95が閉鎖姿勢の状態において、天板部96は、水平面に沿って広がる。天板部96は、上面視において矩形状である。また、蓋体95が閉鎖姿勢の状態において、立ち下がり部97は、天板部96の周囲から下方へ向けて延びる。
【0075】
<2-2.放熱部材について>
図9は、上ヒータ82の斜視図である。
図10は、上ヒータ82の部分斜視図である。上述した第1実施形態のヒータ30と同様に、本実施形態の上ヒータ82も、発熱線83、金属端子84、絶縁材85、パイプ86、および封口部87を有する。発熱線83は、通電により発熱する抵抗線である。発熱線83は、上述した発熱部821の内部に埋設されている。発熱線83には、例えば、ニクロム線または鉄クロム線が使用される。金属端子84は、発熱線83の端部と電気的に接続されている。
【0076】
発熱線83と、金属端子84の一部分とは、絶縁材85に覆われている。また、絶縁材85は、金属製のパイプ86に覆われている。絶縁材85は、発熱線83および金属端子84とパイプ86との間を絶縁する役割を果たす。絶縁材85の材料には、例えば、酸化マグネシウム(MgO)が使用される。金属端子84の後端部は、パイプ86の外に露出する。
【0077】
絶縁材85に水分が混入して、絶縁材85が吸湿すると、絶縁材85の絶縁性能が低下する。このため、上ヒータ82は、絶縁材85へ水分が混入することを防止するために、封口部87を有する。封口部87は、絶縁材85の端部を封止する栓である。封口部87の材料には、例えば、ガラスが使用される。封口部87は、パイプ86の内側において、絶縁材85の端部の後側に配置されている。これにより、パイプ86の後端部の開口から絶縁材85へ、水分が侵入することが防止される。
【0078】
ただし、封口部87の温度が過度に上昇すると、封口部87の変質または破損によって、封口部87の封止性が低下する。そうすると、絶縁材85に水分が混入しやすくなる。そこで、このロースター2は、封口部87の温度上昇を抑制するための放熱部材100(ヒートシンク)を備えている。上ヒータ82および放熱部材100は、第2実施形態に係るヒータユニットを構成する。
【0079】
放熱部材100は、ヒンジ部90の内部に位置する。
図9および
図10に示すように、放熱部材100は、第1放熱部材110と、第2放熱部材120とを有する。第1放熱部材110および第2放熱部材120は、アルミニウムやステンレス等の熱伝導率の高い金属により形成される。第1放熱部材110と第2放熱部材120は、上ヒータ82のパイプ86を上下方向に挟んだ状態で、ネジ130により互いに固定されている。
【0080】
第1放熱部材110および第2放熱部材120は、封口部87の少なくとも一部分と径方向(封口部87の中心線Aに対して垂直な方向)に重なる位置において、パイプ86に接触する。このようにすれば、発熱部811から封口部87へ伝導する熱は、パイプ86および放熱部材100を介して外部へ放出される。これにより、封口部87の温度が過度に上昇することを抑制できる。また、第1放熱部材110および第2放熱部材120は、上ヒータ82のうち、封口部87の付近のみに設けられる。これにより、放熱部材100の大きさを抑えて、ロースター2の大型化を抑制できる。
【0081】
特に、本実施形態では、パイプ86に1つの放熱部材を接触させるのではなく、第1放熱部材110と第2放熱部材120でパイプ86を挟む。これにより、パイプ86からの放熱効率を向上させることができる。
【0082】
第2放熱部材120は、パイプ86に接触する半筒状の接触面121を有する。接触面121は、パイプ86の外周面と略同一の径を有する。このため、接触面121は、パイプ86の外周面に面接触する。これにより、パイプ86から第2放熱部材120へ、より効率よく熱が伝導する。
【0083】
第2放熱部材120は、複数の突起状のフィン122を有する。複数のフィン122を設けることにより、フィン122が無い場合よりも、第2放熱部材120の表面積が増加する。したがって、第2放熱部材120から周囲の空気へ、より効率よく熱を放出することができる。特に、本実施形態では、第1放熱部材110および第2放熱部材120のうち、封口部87の上側に配置された第2放熱部材120に、フィン122が形成されている。これにより、封口部87から上昇する熱を、より効率よく放出できる。
【0084】
本実施形態では、複数のフィン122は、複数の第1フィン122Aと、複数の第2フィン122Bとを含んでいる。複数の第1フィン122Aは、封口部87の上方に設けられている。すなわち、複数の第1フィン122Aは、封口部87の少なくとも一部分と径方向に重なる位置に設けられている。複数の第2フィン122Bは、第1フィン122Aよりも後方に設けられている。
【0085】
すなわち、本実施形態では、発熱線83が、前後方向において、金属端子84との接続部と同等の位置またはそれよりも前方へ延びているのに対し、複数の第1フィン122Aおよび第2フィン122Bは、上記の接続部よりも後方に位置する。このように、第1フィン122Aおよび第2フィン122Bを、上記の接続部に対して、発熱線83の反対側に配置すれば、第1フィン122Aおよび第2フィン122Bが発熱線83の熱を受けにくくなる。これにより、第1フィン122Aおよび第2フィン122Bから周囲の空気へ、より効率よく熱を放出することができる。特に、第2フィン122Bは、封口部87よりもさらに後方に位置する。これにより、封口部87の熱を、第2フィン122Bを介してより効率よく放出することができる。
【0086】
図9のように、上ヒータ82への通電時において、発熱部821の周囲には、高温空間S1と、高温空間S1よりも温度が低い低温空間S2とが形成される。高温空間S1は、
図9において破線で囲んだ空間である。高温空間S1は、ヒンジ部90の前端部よりも前方の、発熱部821の近傍に位置する。低温空間S2は、高温空間S1の周囲に位置する。例えば、ヒンジ部90の前端部よりも後方の空間は、低温空間S2である。上述した第1フィン122Aおよび第2フィン122Bは、低温空間S2に配置されていることが望ましい。このように、第1フィン122Aおよび第2フィン122Bを、高温空間S1を避けて配置することで、フィン122から周囲の空気へ、より効率よく熱を放出することができる。
【0087】
なお、フィン122の数や配置は、本実施形態の例に限定されるものではない。例えば、第1フィン122Aおよび第2フィン122Bのうち、第1フィン122Aが省略されていてもよい。また、複数のフィン122は、前後方向以外の方向に延びていてもよい。
【0088】
また、
図9および
図10に示すように、第2放熱部材120は、位置決め突起123を有する。位置決め突起123は、第2放熱部材120の前縁部から前方へ向けて突出する。位置決め突起123の前端部は、ヒンジ部90を構成する部品91の後面に接触する。これにより、ヒンジ部90に対する第2放熱部材120の前後方向の位置が決まる。
【0089】
すなわち、本実施形態の構造では、本体フレーム10に対して位置決めされたヒンジ部90に含まれる部品91の後面が、第2放熱部材120を位置決めするための基準面92となる。そして、第2放熱部材120は、当該基準面92に位置決め突起123を接触させることにより、前後方向に位置決めされる。また、第1放熱部材110も、第2放熱部材120とともに、前後方向に位置決めされる。
【0090】
位置決め突起123は、高温の部品91に接触する。しかしながら、本実施形態では、位置決め突起123の先端が、円弧状となっている。すなわち、位置決め突起123は、基準面92へ向かうにつれて徐々に収束する先細りの形状となっている。このようにすれば、高温の部品91と位置決め突起123との接触面積を、小さくすることができる。したがって、高温の部品91から第2放熱部材120への熱伝導により、第2放熱部材120の温度が上昇することを、より抑制できる。したがって、温度上昇により放熱部材100の放熱機能が低下することを、抑制できる。
【0091】
なお、上ヒータ82と同様に、下ヒータ81も、発熱線、金属端子、絶縁材、パイプ、および封口部を有する。このため、上ヒータ82と同様に、下ヒータ81にも、封口部の少なくとも一部分と径方向に重なる位置においてパイプに接触する放熱部材が、取り付けられていてもよい。
【0092】
<3.変形例>
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0093】
上記の実施形態では、ヒータのパイプに、フィンを有する放熱部材を接触させていた。しかしながら、放熱部材がフィンを有することは必須ではない。また、上記の実施形態では、放熱部材は、放熱を主目的とする部品であった。しかしながら、放熱以外の目的で設けられた部品の一部を、ヒータのパイプに接触させて、放熱部品として使用してもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、放熱部材が、第1放熱部材および第2放熱部材の2部品で構成されていた。しかしながら、放熱部材は、1つのみまたは3つ以上の部品で構成されていてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態では、シーズヒータを使用する電気機器の例として、ホットプレートおよびロースターを挙げた。しかしながら、本発明の電気機器は、ホームベーカリー、たこ焼き器、炊飯器、自動調理鍋、オーブントースター等の加熱調理器であってもよく、あるいは、電気ポットや電気ケトル等であってもよい。
【0096】
また、電気機器およびヒータユニットの細部の形状・構造については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に取捨選択してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 ホットプレート(電気機器)
2 ロースター(電気機器)
10 本体フレーム
20 遮熱板
21 開口部
22 基準面
23 上凸部
25 ヒータブラケット
26 貫通孔
27 下凸部
30 ヒータ
31 発熱部
32 引き出し部
33 発熱線
34 金属端子
35 絶縁材
36 パイプ
37 封口部
40 プレート
50 放熱部材
51 第1放熱部材
52 第2放熱部材
60 本体フレーム
65 受け皿
70 反射板
75 焼き網
81 下ヒータ
82 上ヒータ
83 発熱線
84 金属端子
85 絶縁材
86 パイプ
87 封口部
90 ヒンジ部
92 基準面
95 蓋体
100 放熱部材
110 第1放熱部材
120 第2放熱部材
121 接触面
122 フィン
122A 第1フィン
122B 第2フィン
123 位置決め突起
130 ネジ
511 支持面
512 フック
513 位置決め突起
514 傾斜流路
521 接触面
522 フィン
522A 中央フィン
522B サイドフィン
523 流路溝
811 発熱部
812 引き出し部
821 発熱部
822 引き出し部
S1 高温空間
S2 低温空間