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特開2024-164937車両走行支援装置および車両走行支援方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164937
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】車両走行支援装置および車両走行支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080677
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徹
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL06
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】対象人物の移動先が進行方向と異なる場合に対象人物が移動先の方向に進行方向を変更したときのリスクを軽減する車両走行支援装置を提供する。
【解決手段】対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得部11と、地図情報を取得する地図情報取得部13と、対象人物現在位置をもとに地図情報から人移動先候補を抽出する人移動先候補抽出部14と、対象人物現在位置および人移動先候補をもとに人移動経路候補を生成する人移動経路候補生成部15と、自車両の車両情報を取得する車両情報取得部12と、車両情報および地図情報をもとに自車両の自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める自車移動経路計算部17と、人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに自車両を制御する車両制御信号を出力する車両制御部18とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺情報を取得し、前記周辺情報をもとに対象人物を検出し、前記対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得部と、
地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記対象人物現在位置をもとに前記地図情報から前記対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出する人移動先候補抽出部と、
前記対象人物現在位置および前記人移動先候補をもとに、前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成する人移動経路候補生成部と、
前記自車両の現在位置である自車現在位置および前記自車両の進行方向である自車進行方向を含む前記自車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報および前記地図情報をもとに、前記自車両の前記自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める自車移動経路計算部と、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差するときに前記自車両を制御する車両制御信号を出力する車両制御部とを備える車両走行支援装置。
【請求項2】
前記人移動先候補は、
前記対象人物に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点と、
前記対象人物が交差点において道路の反対側に渡って交差道路へ進むときの移動先と、
交差点における曲がり角と、
道路沿いにある店舗と、
道路沿いにある公共交通機関の施設との少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両走行支援装置。
【請求項3】
前記対象人物情報は、前記対象人物の進行方向の情報を含み、
前記人移動先候補は、前記対象人物の進行方向にある地点を含むことを特徴とする請求項2に記載の車両走行支援装置。
【請求項4】
前記周辺情報取得部は、前記周辺情報をもとに静止障害物を検出し、前記静止障害物の現在位置である静止物現在位置を含む静止物情報を出力し、
前記人移動先候補は、前記静止障害物の道路中央側の側面を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の車両走行支援装置。
【請求項5】
前記人移動経路候補生成部は、
前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路の上に、歩道と車道との境界である歩道境界線と、ガードレールと、中央分離帯とのいずれかがあったときに、前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路を前記人移動経路候補としないことを特徴とする請求項2または3に記載の車両走行支援装置。
【請求項6】
前記周辺情報取得部は、前記周辺情報をもとに移動障害物を検出し、前記移動障害物の現在位置である移動物現在位置と前記移動障害物の進行方向である移動物進行方向とを含む移動物情報を出力し、
前記車両走行支援装置は、前記移動物情報および前記地図情報から前記移動障害物の前記移動物現在位置からの移動経路である障害物移動経路を求める障害物移動経路計算部を備え、
前記人移動経路候補生成部は、
前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路が前記障害物移動経路に交差するときに、前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路を前記人移動経路候補としないことを特徴とする請求項2または3に記載の車両走行支援装置。
【請求項7】
前記車両制御部は、前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数に応じて前記車両制御信号における制御量を変更することを特徴とする請求項2または3に記載の車両走行支援装置。
【請求項8】
前記車両制御部は、前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、前記自車現在位置の前方に設定された複数の制御範囲のいずれかに前記対象人物現在位置が含まれるときに、前記対象人物現在位置が含まれた前記制御範囲に応じて前記車両制御信号の制御様態を変更することを特徴とする請求項2または3に記載の車両走行支援装置。
【請求項9】
前記車両制御部は、前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数が多いほど、前記制御範囲の大きさを大きくすることを特徴とする請求項8に記載の車両走行支援装置。
【請求項10】
前記対象人物情報は、前記対象人物の進行方向と前記対象人物の進行速度との情報を含み、
前記車両情報は、前記自車両の進行速度の情報を含み、
前記車両走行支援装置は、前記対象人物情報と前記車両情報とから前記対象人物と前記自車両とが最も接近するまでに要する時間である接近時間を予測する接近時間予測部を備え、
前記人移動先候補抽出部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の位置である対象人物予測位置を求め、それぞれの前記対象人物予測位置に対応する前記対象人物の移動先の候補である人移動先追加候補を抽出し、
前記人移動経路候補生成部は、前記対象人物予測位置および前記人移動先追加候補をもとに前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路追加候補を生成し、
前記自車移動経路計算部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記自車両の位置からの移動経路である自車追加移動経路を求め、
前記車両制御部は、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差せず、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記人移動経路追加候補が前記自車追加移動経路に交差するときに、前記車両制御信号を出力し、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数よりも多いときに、前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数以下のときに比べて前記制御範囲の大きさを大きくすることを特徴とする請求項8に記載の車両走行支援装置。
【請求項11】
前記対象人物情報は、前記対象人物の進行方向と前記対象人物の進行速度との情報を含み、
前記車両情報は、前記自車両の進行速度の情報を含み、
前記車両走行支援装置は、前記対象人物情報と前記車両情報とから前記対象人物と前記自車両とが最も接近するまでに要する時間である接近時間を予測する接近時間予測部を備え、
前記人移動先候補抽出部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の位置である対象人物予測位置を求め、それぞれの前記対象人物予測位置に対応する前記対象人物の移動先の候補である人移動先追加候補を抽出し、
前記人移動経路候補生成部は、前記対象人物予測位置および前記人移動先追加候補をもとに前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路追加候補を生成し、
前記自車移動経路計算部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記自車両の位置からの移動経路である自車追加移動経路を求め、
前記障害物移動経路計算部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記移動障害物の位置からの移動経路である障害物追加移動経路を求め、
前記人移動経路候補生成部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻において、前記対象人物予測位置から前記人移動先追加候補に向かう移動経路が前記障害物追加移動経路に交差するときに、前記対象人物予測位置から前記人移動先追加候補に向かう移動経路を前記人移動経路追加候補とせず、
前記車両制御部は、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、前記自車現在位置の前方に設定された複数の制御範囲のいずれかに前記対象人物現在位置が含まれるときに、前記対象人物現在位置が含まれた前記制御範囲に応じて前記車両制御信号の制御様態を変更し、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差せず、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記人移動経路追加候補が前記自車追加移動経路に交差するときに、前記車両制御信号を出力し、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数よりも多いときに、前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数以下のときに比べて前記制御範囲の大きさを大きくすることを特徴とする請求項6に記載の車両走行支援装置。
【請求項12】
前記対象人物情報は、前記対象人物が新規に検出された対象人物検出位置の情報を含み、
前記車両制御部は、前記対象人物検出位置に応じて前記制御範囲の大きさを変更することを特徴とする請求項8に記載の車両走行支援装置。
【請求項13】
前記周辺情報取得部は、前記対象人物の種別である対象人物種別を含む対象人物情報と、前記自車両が走行中の車道の車線幅および交通量の情報を出力し、
前記車両制御部は、前記対象人物種別、前記車線幅および前記交通量に応じて前記制御範囲の大きさを変更することを特徴とする請求項8に記載の車両走行支援装置。
【請求項14】
自車両の周辺情報を取得し、前記周辺情報をもとに対象人物を検出し、前記対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得ステップと、
地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
前記対象人物現在位置をもとに前記地図情報から前記対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出する人移動先候補抽出処理ステップと、
前記対象人物現在位置および前記人移動先候補をもとに、前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成する人移動経路候補生成処理ステップと、
前記自車両の現在位置である自車現在位置および前記自車両の進行方向である自車進行方向を含む前記自車両の車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両情報および前記地図情報をもとに、前記自車両の前記自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める自車移動経路計算処理ステップと、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差するときに前記自車両を制御する車両制御信号を出力する制御信号生成処理ステップとを含む車両走行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、車両走行支援装置および車両走行支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自車両の前方の対象人物などの障害物に対して、障害物の進行方向に応じて自車両との衝突を回避するように車両を制御する車両走行支援装置が知られている。例えば、自車両の移動経路上の対象人物の進行方向に対する領域に、自車両との相対速度の上限値分布を設定し、上限値分布に示された相対速度を超えないように自車両の速度を制御する車両走行支援装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6656601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された車両走行支援装置では、対象人物の進行方向の情報から自車両の速度を制御しているため、対象人物の移動先が進行方向と異なる場合に、対象人物が移動先の方向に進行方向を変更したときに対応が遅れ、衝突回避が困難となるという課題があった。
【0005】
本願は、上述の課題を解決するためになされたものであり、対象人物の移動先が進行方向と異なる場合に、対象人物が移動先の方向に進行方向を変更したときのリスクを軽減する車両走行支援装置および車両走行支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される車両走行支援装置は、自車両の周辺情報を取得し、周辺情報をもとに対象人物を検出し、対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得部と、地図情報を取得する地図情報取得部と、対象人物現在位置をもとに地図情報から対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出する人移動先候補抽出部と、対象人物現在位置および人移動先候補をもとに、対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成する人移動経路候補生成部と、自車両の現在位置である自車現在位置および自車両の進行方向である自車進行方向を含む自車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、車両情報および地図情報をもとに、自車両の自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める自車移動経路計算部と、人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに自車両を制御する車両制御信号を出力する車両制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される車両走行支援装置は、自車両の周辺情報を取得し、周辺情報をもとに対象人物を検出し、対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得部と、地図情報を取得する地図情報取得部と、対象人物現在位置をもとに地図情報から対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出する人移動先候補抽出部と、対象人物現在位置および人移動先候補をもとに、対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成する人移動経路候補生成部と、自車両の現在位置である自車現在位置および自車両の進行方向である自車進行方向を含む自車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、車両情報および地図情報をもとに、自車両の自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める自車移動経路計算部と、人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに自車両を制御する車両制御信号を出力する車両制御部とを備えるので、対象人物の移動先が進行方向と異なる場合に、対象人物が移動先の方向に進行方向を変更したときのリスクが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による車両走行支援システムおよび車両走行支援装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1における人移動先候補の例を示す図である。
図3】実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。
図4】実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。
図5】実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。
図6】実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。
図7】実施の形態1における人移動経路候補生成部の動作を説明するための図である。
図8】実施の形態1における人移動経路候補生成部の別の動作を説明するための図である。
図9】実施の形態1における障害物移動経路計算部および人移動経路候補生成部の動作を説明するための図である。
図10】実施の形態1における車両制御部の動作を説明するための図である。
図11】実施の形態1における車両制御部の動作を説明するための別の図である。
図12】実施の形態1における車両制御部の動作を説明するための別の図である。
図13】実施の形態1における制御範囲の例を示す図である。
図14】実施の形態1における制御範囲の別の例を示す図である。
図15】実施の形態1における制御範囲の別の例を示す図である。
図16】実施の形態2による車両走行支援システムおよび車両走行支援装置の構成を示すブロック図である。
図17】実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の例を示す図である。
図18】実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の別の例を示す図である。
図19】実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の別の例を示す図である。
図20】実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の別の例を示す図である。
図21】実施の形態3による車両走行支援システムおよび車両走行支援装置の構成を示すブロック図である。
図22】実施の形態3における対象人物検出位置の例を示す図である。
図23】実施の形態3における対象人物検出位置の別の例を示す図である。
図24】実施の形態4による車両走行支援システムおよび車両走行支援装置の構成を示すブロック図である。
図25】実施の形態4による車両走行支援システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図26】実施の形態4の人移動先候補抽出部における人移動先候補抽出処理の詳細を示すフローチャートである。
図27】実施の形態4の障害物移動経路計算部における障害物移動経路計算処理の詳細を示すフローチャートである。
図28】実施の形態4の人移動経路候補生成部における人移動経路候補生成処理の詳細を示すフローチャートである。
図29】実施の形態4の自車移動経路計算部における自車移動経路計算処理の詳細を示すフローチャートである。
図30】実施の形態4の車両制御部における制御信号生成処理の詳細を示すフローチャートである。
図31】実施の形態4の車両制御部における制御範囲設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図32】実施の形態による車両走行支援装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図33】実施の形態による車両走行支援装置のハードウェア構成の別の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願を実施するための実施の形態に係る車両走行支援装置および車両走行支援方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による車両走行支援システム100および車両走行支援装置10の構成を示すブロック図である。車両走行支援システム100および車両走行支援装置10は、例えば、自動運転を行うことができる自車両に搭載されている。車両走行支援システム100は、周辺監視装置1、車両情報センサ2、地図情報データベース3、無線通信装置4、車両走行支援装置10および駆動制御装置20を備えている。
【0011】
周辺監視装置1は、自車両の周辺を監視するセンサであり、自車両の周辺情報を出力する。周辺監視装置1は、例えば、カメラ、レーダ等の装置である。レーダには、ミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波レーダ等が用いられる。車両情報センサ2は、自車両の情報を取得するセンサであり、少なくとも自車両の現在位置を検出する装置を含むものであり、少なくとも自車両の現在位置である自車現在位置および自車両の進行方向である自車進行方向を含む車両情報を出力する。車両情報センサ2は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)などの人工衛星からの信号を受信し自車両の現在位置を検出する。車両情報センサ2は、自車両の運転状態を取得して、自車両の進行方向である自車進行方向を出力する。車両情報センサ2は、操舵角、動力機の出力、ブレーキなどの運転操作などの情報を取得して、車両情報として出力してもよい。
【0012】
無線通信装置4は、基地局と無線通信を行うものであり、例えば、4G、5G等の無線通信の規格を用いて基地局と無線通信を行う。地図情報データベース3には、道路の位置、道路形状、車線数、各車線の形状、標識、信号、横断歩道、ガードレール、中央分離帯などの道路情報と、施設の位置などの施設情報とが、地図情報として記憶されている。地図情報データベース3は、記憶装置を主体として構成されている。なお、地図情報データベース3は、ネットワーク網に接続された車外のサーバに設けられてもよく、車両走行支援装置10は、必要な地図情報を、無線通信装置4を介して車外のサーバから取得してもよい。
【0013】
駆動制御装置20は、車両走行支援装置10から取得した車両制御信号をもとに自車両の駆動制御を行うものであり、例えば、動力制御装置、ブレーキ制御装置および自動操舵制御装置を備えている。動力制御装置は、動力機の出力を制御するものであり、自車両の速度を制御するものである。ブレーキ制御装置は、ブレーキ装置のブレーキ動作を制御するものであり、自車両の減速を制御するものである。自動操舵制御装置は、操舵装置を制御するものであり、自車両の操舵角を制御するものである。
【0014】
車両走行支援装置10は、周辺情報取得部11と、車両情報取得部12と、地図情報取得部13と、人移動先候補抽出部14と、人移動経路候補生成部15と、障害物移動経路計算部16と、自車移動経路計算部17と、車両制御部18とを備えている。
【0015】
周辺情報取得部11は、周辺監視装置1から自車両の周辺情報を取得し、少なくとも、周辺情報をもとに自車両の周辺の対象人物を検出し、対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する。対象人物情報は、対象人物の進行方向、対象人物の進行速度の情報を含んでいてもよい。対象人物は、例えば、歩行者であり、自転車搭乗者である。周辺情報取得部11は、周辺情報をもとに自車両周辺の静止障害物を検出し、静止障害物の現在位置である静止物現在位置を含む静止物情報を出力してもよい。静止物情報は、静止障害物の大きさの情報を含んでいてもよい。静止障害物は、例えば、駐車車両である。さらに、周辺情報取得部11は、周辺情報をもとに自車両周辺の移動障害物を検出し、移動障害物の現在位置である移動物現在位置と移動障害物の進行方向である移動物進行方向とを含む移動物情報を出力してもよい。移動物情報は、移動障害物の大きさ、移動障害物の移動速度の情報を含んでいてもよい。移動障害物は、例えば他車両であり、自車両の前方を自車両と同じ方向に向かって走行する先行車であり、自車両とは逆の方向に向かって走行する対向車である。
【0016】
車両情報取得部12は、車両情報センサ2から自車両の現在位置である自車現在位置および自車両の進行方向である自車進行方向を含む自車両の車両情報を取得し、取得した車両情報を出力する。車両情報は、自車両の進行速度である自車進行速度を含んでいてもよい。車両情報は、自車両の運転情報を含んでもよく、例えば、操舵角、動力機の出力、ブレーキなどの運転操作などの情報を含んでもよい。地図情報取得部13は、自車両の周辺の地図情報を取得するものである。地図情報取得部13は、例えば、車両情報取得部12から取得した自車現在位置に基づいて、自車現在位置を含む地図取得範囲の地図情報を地図情報データベース3から取得する。地図取得範囲は、例えば、自車現在位置からあらかじめ定められた地図取得距離よりも近い範囲である。
【0017】
人移動先候補抽出部14は、周辺情報取得部11から対象人物現在位置を取得し、地図情報取得部13から地図情報を取得し、対象人物現在位置を含む人移動予想範囲の内側の地図情報から人移動先候補を抽出する。人移動先候補抽出部14は、例えば、周辺情報取得部11から自車両の進行方向の前方の対象人物に関する対象人物現在位置の情報を取得し、地図情報取得部13から地図情報を取得し、対象人物現在位置を含む人移動予想範囲の内側の地図情報から人移動先候補を抽出する。人移動予想範囲は、例えば、対象人物現在位置からあらかじめ定められた人移動予想距離よりも近い範囲である。人移動予想範囲は、対象人物の移動速度である人移動速度に応じてその大きさを変更してもよい。
【0018】
図2は、実施の形態1における人移動先候補の例を示す図である。図2は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、および、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41aを示している。人移動先候補41aは、対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。人移動先候補41aは、対象人物が道路を渡ることを想定したときの移動先の候補である。
【0019】
図3は、実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。図3は、前方の交差点に向かって走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、および、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41b、41c、41d、41e、41fを示している。人移動先候補41bは、対象人物が交差点において道路の反対側に渡って交差道路へ進むときの移動先である。人移動先候補41c、41d、41e、41fは、交差点における曲がり角である。人移動先候補41b、41c、41d、41e、41fは、対象人物が交差点において進行方向を変更することを想定したときの移動先の候補である。例えば、自車両の前方において道路が曲がっている場合において、対象人物が道路の反対側に渡って道路が曲がり切ったあとの地点に進むときの移動先を移動先候補としてもよい。
【0020】
図4は、実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。図4は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、および、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41gを示している。人移動先候補41gは、道路沿いにある施設であり、例えば、道路沿いにある店舗、道路沿いにある公共交通機関の施設(バス停、駅の出入り口など)である。人移動先候補41gは、対象人物が道路沿いにある施設に向かうことを想定したときの移動先の候補である。
【0021】
周辺情報取得部11は、周辺監視装置1から、対象人物現在位置を取得するとともに対象人物の進行方向の情報を取得し、対象人物の進行方向と対象人物現在位置とを含む対象人物情報を出力し、人移動先候補抽出部14は、周辺情報取得部11から対象人物の進行方向と対象人物現在位置とを含む対象人物情報を取得し、地図情報取得部13から地図情報を取得し、対象人物の進行方向にある地点を人移動先候補として抽出してもよい。図5は、実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。図5は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、および、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41hを示している。図5に示す例においては、対象人物の進行方向は図5における上方向であり、人移動先候補41hは対象人物現在位置40から見て進行方向にある地点である。人移動先候補41hは、対象人物が進行方向を変更せずにそのまま移動することを想定したときの移動先の候補である。
【0022】
人移動先候補抽出部14は、周辺情報取得部11から対象人物現在位置を取得するとともに静止障害物の現在位置である静止物現在位置を含む静止物情報を取得し、地図情報取得部13から地図情報を取得し、静止障害物の道路中央側の側面を人移動先候補として取得してもよい。図6は、実施の形態1における人移動先候補の別の例を示す図である。図6は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、静止障害物50、および、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41iを示している。図6に示す例においては、静止障害物50は例えば駐車車両であり、人移動先候補41iは静止障害物50である駐車車両の道路中央側の側面の位置にある。人移動先候補41iは、対象人物が道路中央側に移動して静止障害物50を避けて移動することを想定したときの移動先の候補である。
【0023】
人移動経路候補生成部15は、周辺情報取得部11から対象人物現在位置を取得し、人移動先候補抽出部14から人移動先候補を取得し、対象人物の移動経路の候補として、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう人移動経路候補を生成して出力する。図2に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41aに向かう点線の矢印で示された移動経路を人移動経路候補42aとして生成する。図3に示す例では、人移動経路候補生成部15は、例えば、対象人物現在位置40から人移動先候補41bに向かう点線の矢印で示された移動経路を人移動経路候補42bとして生成する。図3に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41c、41d、41e、41fのそれぞれに向かう移動経路を人移動経路候補として生成してもよい。図4に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41gに向かう点線の矢印で示された移動経路を人移動経路候補42gとして生成する。図5に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41hに向かう点線の矢印で示された移動経路を人移動経路候補42hとして生成する。図6に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41iに向かう点線の矢印で示された移動経路を人移動経路候補42iとして生成する。
【0024】
また、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路の上にガードレールまたは中央分離帯のいずれかがあったときに、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路を人移動経路候補としないようにしてもよい。図7は、実施の形態1における人移動経路候補生成部15の動作を説明するための図である。図7は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、および、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41jを示しており、人移動先候補41jは対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。また、図7は、対象人物現在位置40がある歩道と、自車現在位置30がある車道との間に、ガードレール51があることを示している。図7に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路43jの上にガードレール51があるため、対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路43jを人移動経路候補としない。また、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置がある歩道と自車現在位置がある車道との間に歩道と車道との境界である歩道境界線があり、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路の上に歩道境界線があるときに、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路を人移動経路候補としないようにしてもよい。
【0025】
図8は、実施の形態1における人移動経路候補生成部15の別の動作を説明するための図である。図8は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、および、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41kを示しており、人移動先候補41kは対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。また、図8は、道路が対向車線を含む2車線であり、自車両の走行車線と対向車線との間に中央分離帯52があることを示している。図8に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41kに向かう移動経路43kの上に中央分離帯52があるため、対象人物現在位置40から人移動先候補41kに向かう移動経路43kを人移動経路候補としない。
【0026】
障害物移動経路計算部16は、周辺情報取得部11から移動障害物の現在位置である移動物現在位置と移動障害物の進行方向である移動物進行方向とを含む移動物情報を取得し、地図情報取得部13から地図情報を取得し、移動物情報および地図情報をもとに移動障害物の移動物現在位置からの移動経路である障害物移動経路を求めて、出力する。障害物移動経路は、例えば、移動物現在位置から移動物進行方向に向かってあらかじめ定められた距離である移動物移動距離を移動したときの移動経路である。障害物移動経路計算部16は、周辺情報取得部11から取得した移動物情報が移動障害物の移動速度の情報を含む場合は、障害物移動経路は、移動障害物の移動速度の一定の速度で移動物現在位置から移動物進行方向に向かってあらかじめ定められた時間である障害物移動時間を移動したときの移動経路としてもよい。人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路が障害物移動経路に交差するときに、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路を人移動経路候補としないようにしてもよい。
【0027】
図9は、実施の形態1における障害物移動経路計算部16および人移動経路候補生成部15の動作を説明するための図である。図9は、道路の走行車線を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、および対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41mを示しており、人移動先候補41mは対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。また、図9は、対向車線を走行中の他車両である移動障害物について、移動障害物の現在位置である移動物現在位置32、および、移動障害物の移動物現在位置32からの移動経路である障害物移動経路33を示している。図9に示す例では、人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41mに向かう移動経路43mが障害物移動経路33に交差するため、対象人物現在位置40から人移動先候補41mに向かう移動経路43mを人移動経路候補としない。
【0028】
自車移動経路計算部17は、車両情報取得部12から自車両の現在位置である自車現在位置と自車両の進行方向である自車進行方向とを含む車両情報を取得し、地図情報取得部13から地図情報を取得し、車両情報および地図情報をもとに自車両の自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求めて、出力する。自車移動経路は、例えば、自車現在位置から自車進行方向に向かってあらかじめ定められた距離である自車移動距離を移動したときの移動経路である。自車移動経路計算部17は、車両情報取得部12から取得した車両情報が自車移動速度の情報を含む場合は、自車移動経路は、自車移動速度の一定の速度で自車現在位置から自車進行方向に向かってあらかじめ定められた時間である自車移動時間を移動したときの移動経路としてもよい。図2から図9に示す例では、自車進行方向は図における上方向であり、自車移動経路計算部17は、自車現在位置30からの実線の矢印で示された移動経路を自車移動経路31として生成する。
【0029】
車両制御部18は、人移動経路候補生成部15から人移動経路候補の情報を取得し、自車移動経路計算部17から自車移動経路の情報を取得し、人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに対象人物との衝突を回避する車両制御信号を出力する。車両制御部18は、例えば、人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに、対象人物との衝突回避のために、対象人物から退避する車両制御信号を出力する。車両制御部18は、具体的には、例えば、人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに、自車両を減速する車両制御信号を出力する、あるいは、対象人物から離れる方向に進行方向を変更する車両制御信号を出力する。
【0030】
対象人物現在位置をもとに地図情報から対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出し、人移動先候補から求めた人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに対象人物との衝突を回避する車両制御信号を出力することにより、対象人物が地図情報から予想された移動先に進行方向を突然変更した場合にも対応することができるため、対象人物との衝突のリスクが軽減される。また、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路の上にガードレールまたは中央分離帯のいずれかがあったとき、あるいは、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路が障害物移動経路に交差するときには、対象人物が移動経路に沿って移動しにくくなり、対象人物が人移動先候補に移動する可能性が低いと考えられる。そのため、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路の上にガードレールまたは中央分離帯のいずれかがあったとき、あるいは、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路が障害物移動経路に交差するときには、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう移動経路を人移動経路候補としないことにより、対象人物との衝突を回避する車両制御信号が出力されにくくなり、自車両の走行がよりスムースとなる。
【0031】
また、車両制御部18は、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数に応じて、車両制御信号における制御量を変更してもよい。車両制御部18は、例えば、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数に応じて、車両制御信号における減速量を変更してもよい。図10は、実施の形態1における車両制御部の動作を説明するための図である。図10は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の自車現在位置30からの移動経路である自車移動経路31、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41h、41jおよびガードレール51を示している。人移動先候補41hは対象人物現在位置40から見て進行方向にある地点であり、人移動先候補41jは対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41hに向かう移動経路を人移動経路候補42hとして生成するが、対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路の上にガードレール51があるために対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路は人移動経路候補としない。車両制御部18は、人移動経路候補42hが自車移動経路31に交差しないので、車両制御信号を出力しない。
【0032】
図11は、実施の形態1における車両制御部の動作を説明するための別の図である。図11は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の自車現在位置30からの移動経路である自車移動経路31、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40および対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41h、41aを示している。人移動先候補41hは対象人物現在位置40から見て進行方向にある地点であり、人移動先候補41aは対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41hに向かう移動経路を人移動経路候補42hとして生成し、対象人物現在位置40から人移動先候補41aに向かう移動経路を人移動経路候補42aとして生成する。車両制御部18は、1つの人移動経路候補である人移動経路候補42aが自車移動経路31に交差するので、制御量が小さな車両制御信号を出力する。車両制御部18は、例えば、1つの人移動経路候補が自車移動経路31に交差するときに、自車両を第一減速量で減速する車両制御信号を出力する、あるいは、対象人物から離れる方向に進行方向を第一変更量だけ変更する車両制御信号を出力する。
【0033】
図12は、実施の形態1における車両制御部の動作を説明するための別の図である。図12は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の自車現在位置30からの移動経路である自車移動経路31、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40および対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41h、41a、41bを示している。人移動先候補41hは対象人物現在位置40から見て進行方向にある地点であり、人移動先候補41aは対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点であり、人移動先候補41bは対象人物が交差点において道路の反対側に渡って交差道路へ進むときの移動先である。人移動経路候補生成部15は、対象人物現在位置40から人移動先候補41hに向かう移動経路を人移動経路候補42hとして生成し、対象人物現在位置40から人移動先候補41aに向かう移動経路を人移動経路候補42aとして生成し、対象人物現在位置40から人移動先候補41bに向かう移動経路を人移動経路候補42bとして生成する。車両制御部18は、2つの人移動経路候補である人移動経路候補42aおよび人移動経路候補42bが自車移動経路31に交差するので、制御量が大きな車両制御信号を出力する。車両制御部18は、例えば、2つの人移動経路候補が自車移動経路31に交差するときに、自車両を第一減速量よりも大きな第二減速量で減速する車両制御信号を出力する、あるいは、対象人物から離れる方向に進行方向を第一変更量よりも大きな第二変更量だけ変更する車両制御信号を出力する。車両制御部18は、例えば、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が多いほど、車両制御信号における制御量を大きくする。車両制御部18は、例えば、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が多いほど、より大きな減速量で減速する車両制御信号を出力する、あるいは、対象人物から離れる方向に進行方向をより大きな変更量だけ変更する車両制御信号を出力する。
【0034】
また、車両制御部18は、人移動経路候補が自車移動経路に交差し、自車現在位置の前方に設定された複数の制御範囲のいずれかに対象人物現在位置が含まれるときに、対象人物現在位置が含まれた制御範囲に応じて車両制御信号の制御様態を変更してもよい。図13は、実施の形態1における制御範囲の例を示す図である。図13は、自車両の自車現在位置30の前方に設定された制御範囲を示しており、右上がりの斜線で示された範囲が第一制御範囲61であり、右下がりの斜線で示された範囲が第二制御範囲62であり、横線で示された範囲が第三制御範囲63である。第二制御範囲62は第一制御範囲61よりも自車現在位置30に近い範囲であり、第三制御範囲63は第二制御範囲62よりも自車現在位置30に近い範囲である。
【0035】
車両制御部18は、人移動経路候補が自車移動経路に交差し、対象人物現在位置が第一制御範囲61に含まれるときに、制御レベルが小さな第一レベルの車両制御信号を生成して出力する。第一レベルの車両制御信号は、例えば、自車両の運転手に警告を発令し、対象人物との横方向の距離が離れる方向に自車両の進行方向を変更する制御信号である。車両制御部18は、人移動経路候補が自車移動経路に交差し、対象人物現在位置が第二制御範囲62に含まれるときに、制御レベルが中程度の第二レベルの車両制御信号を生成して出力する。第二レベルの車両制御信号は、例えば、自車両の速度を下げて徐行し対象人物に追従する制御信号である。車両制御部18は、人移動経路候補が自車移動経路に交差し、対象人物現在位置が第三制御範囲63に含まれるときに、制御レベルが大きな第三レベルの車両制御信号を生成して出力する。第三レベルの車両制御信号は、例えば、緊急ブレーキによって自車両を停止させる制御信号である。車両制御部18は、例えば、人移動経路候補が自車移動経路に交差し、対象人物現在位置がいずれの制御範囲にも含まれないときには、制御信号を出力しない。図13には制御範囲が3つの例を示したが、制御範囲は複数であればよく、車両制御部18は、対象人物現在位置が自車現在位置により近い制御範囲にあるときに、車両制御信号の制御レベルをより高いものにすればよい。以上の処理により、自車現在位置と対象人物現在位置との相対位置に応じて車両制御信号の制御様態を変更することができる。例えば、対象人物現在位置が自車現在位置に近いほど、対象人物との衝突を回避するためのより強力な制御を行う制御信号を出力することができる。
【0036】
また、車両制御部18は、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が多いほど、制御範囲の大きさを大きくしてもよい。図14は、実施の形態1における制御範囲の別の例を示す図である。図13を自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が2本のときの制御範囲としたとき、図14は自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が1本のときの制御範囲である。図15は、実施の形態1における制御範囲の別の例を示す図である。図13を自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が2本のときの制御範囲としたとき、図15は自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が3本のときの制御範囲である。図14において、右上がりの斜線で示された範囲が第一制御範囲61aであり、右下がりの斜線で示された範囲が第二制御範囲62aであり、横線で示された範囲が第三制御範囲63aである。図15において、右上がりの斜線で示された範囲が第一制御範囲61bであり、右下がりの斜線で示された範囲が第二制御範囲62bであり、横線で示された範囲が第三制御範囲63bである。自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が2本のときの第一制御範囲61の大きさは、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が1本のときの第一制御範囲61aよりも大きく、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が3本のときの第一制御範囲61bの大きさは、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が2本のときの第一制御範囲61よりも大きい。同様に、第二制御範囲62の大きさは第二制御範囲62aよりも大きく、第二制御範囲62bの大きさは第二制御範囲62よりも大きく、第三制御範囲63の大きさは第三制御範囲63aよりも大きく、第三制御範囲63bの大きさは第三制御範囲63よりも大きい。以上の処理により、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が多いほど、より遠方の対象人物に対して衝突を回避するための制御を行う制御信号を出力することができる。
【0037】
以上のように、実施の形態1による車両走行支援装置10は、自車両の周辺情報を取得し、周辺情報をもとに対象人物を検出し、対象人物の現在位置である対象人物現在位置40を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得部11と、地図情報を取得する地図情報取得部13と、対象人物現在位置40をもとに地図情報から対象人物の移動先の候補である人移動先候補41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41iを抽出する人移動先候補抽出部14と、対象人物現在位置40および人移動先候補41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41iをもとに、対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補42a、42b、42g、42h、42iを生成する人移動経路候補生成部15と、自車両の現在位置である自車現在位置30および自車両の進行方向である自車進行方向を含む自車両の車両情報を取得する車両情報取得部12と、車両情報および地図情報をもとに、自車両の自車現在位置30からの移動経路である自車移動経路31を求める自車移動経路計算部17と、人移動経路候補42a、42b、42g、42h、42iが自車移動経路31に交差するときに自車両を制御する車両制御信号を出力する車両制御部18とを備えるので、対象人物の移動先が進行方向とは異なる場合に、対象人物が移動先の方向に進行方向を変更したときのリスクが軽減される。
【0038】
実施の形態2.
図16は、実施の形態2による車両走行支援システム100aおよび車両走行支援装置10aの構成を示すブロック図である。図16に示す実施の形態2による車両走行支援システム100aを図1に示す実施の形態1による車両走行支援システム100と比較すると、車両走行支援装置10が車両走行支援装置10aになっている。実施の形態2による車両走行支援システム100aの他の構成は、実施の形態1による車両走行支援システム100の構成と同じである。図16に示す実施の形態2による車両走行支援装置10aを図1に示す実施の形態1による車両走行支援装置10と比較すると、接近時間予測部19が追加されており、人移動先候補抽出部14が人移動先候補抽出部14aになっており、人移動経路候補生成部15が人移動経路候補生成部15aになっており、障害物移動経路計算部16が障害物移動経路計算部16aになっており、自車移動経路計算部17が自車移動経路計算部17aになっており、車両制御部18が車両制御部18aになっている。実施の形態2による車両走行支援装置10aの他の構成は、実施の形態1による車両走行支援装置10の構成と同じである。
【0039】
周辺情報取得部11が出力する対象人物情報は、対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含むとともに、対象人物の進行方向と対象人物の進行速度との情報を含むものとする。車両情報取得部12が出力する車両情報は、自車両の現在位置である自車現在位置および自車両の進行方向である自車進行方向を含むとともに、自車両の進行速度の情報を含むものとする。
【0040】
接近時間予測部19は、対象人物情報と車両情報とを取得し、対象人物と自車両とが最も接近するまでに要する時間である接近時間を予測して出力する。自車移動経路計算部17aは、車両情報および地図情報をもとに自車両の自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求めるとともに、接近時間予測部19から接近時間の情報を取得し、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における自車両の位置である自車予測位置を求め、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における自車予測位置からの移動経路である自車追加移動経路を求めて、出力する。障害物移動経路計算部16aは、移動物情報および地図情報をもとに移動障害物の移動物現在位置からの移動経路である障害物移動経路を求めるとともに、接近時間予測部19から接近時間の情報を取得し、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における移動障害物の位置である移動障害物予測位置を求め、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における移動障害物予測位置からの移動経路である障害物追加移動経路を求めて、出力する。
【0041】
人移動先候補抽出部14aは、対象人物現在位置をもとに地図情報から対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出するとともに、接近時間予測部19から接近時間の情報を取得し、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における対象人物の位置である対象人物予測位置を求め、それぞれの対象人物予測位置に対応する対象人物の移動先の候補である人移動先追加候補を抽出する。人移動経路候補生成部15aは、対象人物現在位置および人移動先候補をもとに対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成するとともに、対象人物予測位置および人移動先追加候補をもとに接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における対象人物の移動経路の候補である人移動経路追加候補を生成する。人移動経路候補生成部15aは、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻において、対象人物予測位置から人移動先追加候補に向かう移動経路の上にガードレールまたは中央分離帯のいずれかがあったときに、対象人物予測位置から人移動先追加候補に向かう移動経路を人移動経路追加候補としないようにしてもよい。人移動経路候補生成部15aは、接近時間が経過するまでのある時刻において、対象人物予測位置から人移動先追加候補に向かう移動経路が障害物追加移動経路に交差するときには、対象人物予測位置から人移動先追加候補に向かう移動経路を人移動経路追加候補としないようにしてもよい。
【0042】
車両制御部18aは、車両制御部18と同じ動作をするとともに、人移動経路候補が自車移動経路に交差せず、かつ、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において人移動経路追加候補が自車追加移動経路に交差するときに、対象人物との衝突を回避する車両制御信号を出力し、人移動経路候補が自車移動経路に交差し、かつ、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数が自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数よりも多いときに、自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数が自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数と同じときに比べて制御範囲の大きさを大きくする。車両制御部18aは、人移動経路候補が自車移動経路に交差せず、かつ、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において人移動経路追加候補が自車追加移動経路に交差するときに、接近時間が経過するまでのある時刻に自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数に応じて、車両制御信号における制御量を変更してもよい。
【0043】
図17は、実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の例を示す図である。図17は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41jおよびガードレール51を示している。図17に示す例では、対象人物の進行方向と自車両の進行方向とは、図17における上方向である。人移動先候補41jは、対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。人移動経路候補生成部15aは、対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路の上にガードレール51があるために対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路は人移動経路候補としない。自車予測位置34aは、接近時間が経過するまでのとある時刻における自車両の位置であり、自車追加移動経路35aは、自車予測位置34aからの移動経路である。対象人物予測位置44aは、自車両が自車予測位置34aに到達したときに対象人物が到達すると予想される位置である。人移動先追加候補45aは、対象人物予測位置44aに対して道路を渡った反対側の道路の端の地点であり、接近時間が経過するまでに新たに発生した対象人物の移動先の候補である。人移動経路候補生成部15aは、対象人物予測位置44aから人移動先追加候補45aに向かう移動経路が横断歩道であり、対象人物予測位置44aから人移動先追加候補45aに向かう移動経路の上にガードレール51がないため、対象人物予測位置44aから人移動先追加候補45aに向かう移動経路を人移動経路追加候補46aとする。車両制御部18aは、人移動経路候補が自車移動経路に交差せず、かつ、人移動経路追加候補46aが自車追加移動経路35aに交差するので、対象人物との衝突を回避する車両制御信号を出力する。
【0044】
図18は、実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の別の例を示す図である。図18は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41mを示している。人移動先候補41mは、対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。図18に示す例では、対象人物の進行方向と自車両の進行方向とは、図18における上方向である。図18は、対向車線を走行中の他車両である移動障害物について、移動障害物の現在位置である移動物現在位置32を示している。図18に示す例では、移動障害物の進行方向は、図18における下方向である。図18に示す例では、人移動経路候補生成部15aは、対象人物現在位置40から人移動先候補41mに向かう移動経路が障害物移動経路に交差するため、対象人物現在位置40から人移動先候補41mに向かう移動経路を人移動経路候補としない。自車予測位置34bは、接近時間が経過するまでのとある時刻における自車両の位置であり、自車追加移動経路35bは、自車予測位置34bからの移動経路である。対象人物予測位置44bは、自車両が自車予測位置34bに到達したときに対象人物が到達すると予想される位置である。移動物予測位置36bは、自車両が自車予測位置34bに到達したときに移動障害物が到達すると予想される位置であり、障害物追加移動経路37bは、移動物予測位置36bからの移動経路である。人移動先追加候補45bは、対象人物予測位置44bに対して道路を渡った反対側の道路の端の地点であり、接近時間が経過するまでに新たに発生した対象人物の移動先の候補である。人移動経路候補生成部15aは、対象人物予測位置44bから人移動先追加候補45bに向かう移動経路が障害物追加移動経路37bに交差しないため、対象人物予測位置44bから人移動先追加候補45bに向かう移動経路を人移動経路追加候補46bとする。車両制御部18aは、人移動経路候補が自車移動経路に交差せず、かつ、人移動経路追加候補46bが自車追加移動経路35bに交差するので、対象人物との衝突を回避する車両制御信号を出力する。
【0045】
図19は、実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の別の例を示す図である。図19は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41aを示している。図19に示す例では、対象人物の進行方向と自車両の進行方向とは、図19における上方向である。人移動先候補41aは、対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。人移動経路候補生成部15aは、対象人物現在位置40から人移動先候補41aに向かう移動経路を人移動経路候補42aとする。自車予測位置34cは、接近時間が経過するまでのとある時刻における自車両の位置であり、自車追加移動経路35cは、自車予測位置34cからの移動経路である。対象人物予測位置44cは、自車両が自車予測位置34cに到達したときに対象人物が到達すると予想される位置である。人移動先追加候補45cは、対象人物予測位置44cに対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。人移動先追加候補45dは、対象人物が対象人物予測位置44cから交差点において道路の反対側に渡って交差道路へ進むときの移動先である。人移動先追加候補45dは、対象人物が交差点に近づいてきたことにより新たに発生した対象人物の移動先の候補である。人移動経路候補生成部15aは、対象人物予測位置44cから人移動先追加候補45cに向かう移動経路を人移動経路追加候補46cとし、対象人物予測位置44cから人移動先追加候補45dに向かう移動経路を人移動経路追加候補46dとする。車両制御部18aは、人移動経路候補42aが自車移動経路に交差し、かつ、自車追加移動経路35cに交差する人移動経路追加候補の本数が2本であり、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数である1本よりも多いので、自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数が自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数と同じときに比べて制御範囲の大きさを大きくする。車両制御部18aは、例えば、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が1本であり、自車追加移動経路35cに交差する人移動経路追加候補の本数が1本のときは図14に示された制御範囲によって車両制御信号の制御様態を変更するが、自車追加移動経路35cに交差する人移動経路追加候補の本数が2本であり、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数である1本よりも多いので、図14に示された制御範囲よりも大きな図13に示された制御範囲によって車両制御信号の制御様態を変更する。
【0046】
図20は、実施の形態2における人移動先追加候補および人移動経路追加候補の別の例を示す図である。図20は、道路を走行中の自車両の自車現在位置30、自車両の進行方向の前方に位置する対象人物の対象人物現在位置40、対象人物現在位置40に対応する人移動先候補41jおよび歩道と車道との境界である歩道境界線53を示している。図20に示す例では、自車両の進行方向は図20における上方向であり、対象人物の進行方向は図20における右上方向である。人移動先候補41jは、対象人物現在位置40に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点である。人移動経路候補生成部15aは、対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路の上に歩道と車道との境界である歩道境界線53があるために対象人物現在位置40から人移動先候補41jに向かう移動経路は人移動経路候補としない。自車予測位置34eは、接近時間が経過するまでのとある時刻における自車両の位置であり、自車追加移動経路35eは、自車予測位置34eからの移動経路である。対象人物予測位置44eは、自車両が自車予測位置34eに到達したときに対象人物が到達すると予想される位置であり、対象人物が図20における右上方向に移動して歩道境界線53を超えて車道上にいると予想される位置である。人移動先追加候補45eは、対象人物予測位置44eに対して道路を渡った反対側の道路の端の地点であり、接近時間が経過するまでに新たに発生した対象人物の移動先の候補である。人移動経路候補生成部15aは、対象人物予測位置44eから人移動先追加候補45eに向かう移動経路の上に歩道境界線53がないため、対象人物予測位置44eから人移動先追加候補45eに向かう移動経路を人移動経路追加候補46eとする。車両制御部18aは、人移動経路候補が自車移動経路に交差せず、かつ、人移動経路追加候補46eが自車追加移動経路35eに交差するので、対象人物との衝突を回避する車両制御信号を出力する。
【0047】
以上のように、実施の形態2による車両走行支援装置10aは、対象人物情報は、対象人物の進行方向と対象人物の進行速度との情報を含み、車両情報は、自車両の進行速度の情報を含み、車両走行支援装置10aは、対象人物情報と車両情報とから対象人物と自車両とが最も接近するまでに要する時間である接近時間を予測する接近時間予測部19を備え、人移動先候補抽出部14aは、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における対象人物の位置である対象人物予測位置を求め、それぞれの対象人物予測位置に対応する対象人物の移動先の候補である人移動先追加候補を抽出し、人移動経路候補生成部15aは、対象人物予測位置および人移動先追加候補をもとに接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における対象人物の移動経路の候補である人移動経路追加候補を生成し、自車移動経路計算部17aは、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における自車両の位置からの移動経路である自車追加移動経路を求め、車両制御部18aは、人移動経路候補が自車移動経路に交差せず、かつ、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において人移動経路追加候補が自車追加移動経路に交差するときに、車両制御信号を出力し、人移動経路候補が自車移動経路に交差し、かつ、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数が自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数よりも多いときに、自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数が自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数以下のときに比べて制御範囲の大きさを大きくするので、将来に対象人物が移動先を変更する可能性のある対象人物に対して、より遠くから自車両の制御を行うことができる。また、道路状況が変化したことで人移動先追加候補が追加され、対象人物が移動先を変更する可能性が高いと判断した時、実施の形態1と比較して、前方の対象人物から大きく距離を空けること、あるいは、早めに減速することにより対象人物が移動先の方向に進行方向を変更する可能性が高い場面のリスクが軽減される。
【0048】
実施の形態3.
図21は、実施の形態3による車両走行支援システム100bおよび車両走行支援装置10bの構成を示すブロック図である。図21に示す実施の形態3による車両走行支援システム100bを図1に示す実施の形態1による車両走行支援システム100と比較すると、車両走行支援装置10が車両走行支援装置10bになっている。実施の形態3による車両走行支援システム100bの他の構成は、実施の形態1による車両走行支援システム100の構成と同じである。図21に示す実施の形態3による車両走行支援装置10bを図1に示す実施の形態1による車両走行支援装置10と比較すると、車両制御部18が車両制御部18bになっている。実施の形態2による車両走行支援装置10bの他の構成は、実施の形態1による車両走行支援装置10の構成と同じである。
【0049】
周辺情報取得部11が出力する対象人物情報は、対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含むとともに、対象人物が新規に検出された対象人物検出位置を含むものとする。車両制御部18bは、車両制御部18と同じ動作をするとともに、対象人物検出位置に応じて制御範囲の大きさを変更する。車両制御部18bは、例えば、対象人物検出位置が周辺情報を取得する周辺情報センサの検出エリアの最も自車両から離れた位置までの距離の半分よりも近い位置であったときに、対象人物検出位置が周辺情報を取得する周辺情報センサの検出エリアの最も自車両から離れた位置までの距離の半分以上の遠い位置であったときに比べて、制御範囲の大きさを大きくする。
【0050】
図22は、実施の形態3における対象人物検出位置の例を示す図である。図22は、車両情報センサ2が自車両の前方に設置されているときの、自車現在位置30と、車両情報センサ2の検出エリア70を示している。図22は、対象人物が新規に検出された対象人物検出位置47aが、周辺情報センサの検出エリアの最も自車両から離れた位置であったときの例を示している。図23は、実施の形態3における対象人物検出位置の別の例を示す図である。図23は、対象人物が新規に検出された対象人物検出位置47bが、検出エリアの最も自車両から離れた位置までの距離の半分よりも近い位置であったときの例を示している。図22に示す例では、対象人物を遠方から追従できる。しかし、図23に示す例では、例えば、対象人物が車道を横断中である、あるいは、対象人物が自車両の前に飛び出してきた可能性がある。車両制御部18bは、例えば、対象人物検出位置が周辺情報を取得する周辺情報センサの検出エリアの最も自車両から離れた位置までの距離の半分以上の遠い位置であったときに、図13に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更する。車両制御部18bは、例えば、対象人物検出位置が周辺情報を取得する周辺情報センサの検出エリアの最も自車両から離れた位置の半分よりも近い位置であったときに、対象人物検出位置が周辺情報を取得する周辺情報センサの検出エリアの最も自車両から離れた位置までの距離の半分以上の遠い位置であったときに比べて、制御範囲の大きさを大きくして、図15に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更する。以上の処理により、自車両の近くに急に現れた対象人物にはより遠距離から対応して自車両の制御を行うことができる。
【0051】
周辺情報取得部11は、対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含むとともに、対象人物の種別である対象人物種別を含む対象人物情報を出力し、自車両が走行中の車道の車線幅および交通量の情報を出力してもよい。対象人物種別は、例えば、対象人物が、大人、子供、高齢者あるいは自転車搭乗者のいずれかであることを示す情報である。車両制御部18bは、対象人物種別、車線幅および交通量に応じて制御範囲の大きさを変更する。車両制御部18bは、例えば、対象人物種別が大人のときに図13に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更し、対象人物種別が子供、高齢者および自転車搭乗者のいずれかのときは、対象人物種別が大人のときに比べて、制御範囲の大きさを大きくして、図15に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更する。車両制御部18bは、例えば、車線幅があらかじめ定められた車線幅閾値より狭いときに図13に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更し、車線幅があらかじめ定められた車線幅閾値以上のときは車線幅が狭いときに比べて制御範囲の大きさを小さくして、図14に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更する。車両制御部18bは、例えば、交通量があらかじめ定められた交通量閾値よりも少ないときに図13に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更し、交通量があらかじめ定められた交通量閾値以上のときは交通量が少ないときに比べて制御範囲の大きさを小さくして、図14に示す制御範囲を用いて車両制御信号の制御様態を変更する。以上の処理により、対象人物種別、車線幅および交通量に応じた車両制御信号を出力することができる。
【0052】
実施の形態4.
図24は、実施の形態4による車両走行支援システム100cおよび車両走行支援装置10cの構成を示すブロック図である。図24に示す実施の形態4による車両走行支援システム100cを図16に示す実施の形態2による車両走行支援システム100aと比較すると、車両走行支援装置10aが車両走行支援装置10cになっている。実施の形態4による車両走行支援システム100cの他の構成は、実施の形態2による車両走行支援システム100aの構成と同じである。図24に示す実施の形態4による車両走行支援装置10cを図16に示す実施の形態2による車両走行支援装置10aと比較すると、車両制御部18aが車両制御部18cになっている。実施の形態4による車両走行支援装置10cの他の構成は、実施の形態2による車両走行支援装置10aの構成と同じである。実施の形態4における車両制御部18cは、車両制御部18aと同じ動作をし、さらに、車両制御部18bと同じ動作をする。
【0053】
図25は、実施の形態4による車両走行支援システム100cの動作を説明するためのフローチャートである。ステップS01からステップS11が、車両走行支援装置10cの動作を説明するためのものである。ステップS01からステップS03は周辺情報取得ステップであり、ステップS04は車両情報取得ステップであり、ステップS05は地図情報取得ステップであり、ステップS06は接近時間予測ステップであり、ステップS07は人移動先候補抽出処理ステップであり、ステップS08は障害物移動経路計算処理ステップであり、ステップS09は人移動経路候補生成処理ステップであり、ステップS10は自車移動経路計算処理ステップであり、ステップS11は制御信号生成処理ステップであり、ステップS12およびステップS13は駆動制御ステップである。
【0054】
ステップS01では、周辺情報取得部11は自車両の周辺情報を取得し、ステップS02に進む。ステップS02では、周辺情報取得部11は周辺情報をもとに対象人物を検出する処理を行い、対象人物が検出された場合にはステップS03に進み、対象人物が検出されなかった場合には処理を終了する。ステップS03では、周辺情報取得部11は、対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力して、ステップS04に進む。
【0055】
ステップS04では、車両情報取得部12は自車両の現在位置である自車現在位置および自車両の進行方向である自車進行方向を含む自車両の車両情報を取得し、ステップS05に進む。ステップS05では、地図情報取得部13は地図情報を取得し、ステップS06に進む。ステップS06では、接近時間予測部19は対象人物情報と車両情報とから対象人物と自車両とが最も接近するまでに要する時間である接近時間を予測し、ステップS07に進む。
【0056】
ステップS07では、人移動先候補抽出部14aは人移動先候補抽出処理を行い、ステップS08に進む。ステップS07では、人移動先候補抽出部14aは、少なくとも、対象人物現在位置をもとに地図情報から対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出する。ステップS08では、障害物移動経路計算部16aは障害物移動経路計算処理を行い、ステップS09に進む。ステップS08では、障害物移動経路計算部16aは、少なくとも、周辺情報取得部11から移動障害物の現在位置である移動物現在位置と移動障害物の進行方向である移動物進行方向とを含む移動物情報を取得し、地図情報取得部13から地図情報を取得し、移動物情報および地図情報をもとに移動障害物の移動物現在位置からの移動経路である障害物移動経路を求める。
【0057】
ステップS09では、人移動経路候補生成部15aは人移動経路候補生成処理を行い、ステップS10に進む。ステップS09では、人移動経路候補生成部15aは、少なくとも、対象人物現在位置および人移動先候補をもとに対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成する。ステップS10では、自車移動経路計算部17aは自車移動経路計算処理を行い、ステップS11に進む。ステップS10では、自車移動経路計算部17aは、少なくとも、車両情報および地図情報をもとに自車両の自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める。ステップS11では、車両制御部18cは制御信号生成処理を行い、ステップS12に進む。ステップS11では、車両制御部18cは、少なくとも、人移動経路候補が自車移動経路に交差するときに自車両を制御する車両制御信号を出力する。ステップS12では、駆動制御装置20は車両制御部18cから車両制御信号が出力されたかどうかを確認し、車両制御信号が出力された場合にはステップS13に進み、車両制御信号が出力されなかった場合には処理を終了する。ステップS13では、駆動制御装置20は車両制御信号をもとに自車両の駆動制御を行い、処理を終了する。
【0058】
図26は、実施の形態4の人移動先候補抽出部14aにおける人移動先候補抽出処理の内容を説明するためのフローチャートであり、図25のステップS07に示した人移動先候補抽出処理の詳細を示すものである。ステップS21は人移動先候補抽出ステップであり、ステップS22は対象人物予測位置計算ステップであり、ステップS23は人移動先追加候補抽出ステップである。
【0059】
ステップS21では、人移動先候補抽出部14aは対象人物現在位置をもとに地図情報から対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出し、ステップS22に進む。ステップS22では、人移動先候補抽出部14aは接近時間予測部19から接近時間の情報を取得し、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における対象人物の位置である対象人物予測位置を求め、ステップS23に進む。ステップS23では、人移動先候補抽出部14aはそれぞれの対象人物予測位置に対応する対象人物の移動先の候補である人移動先追加候補を抽出し、人移動先候補抽出処理を終了する。
【0060】
図27は、実施の形態4の障害物移動経路計算部16aにおける障害物移動経路計算処理の内容を説明するためのフローチャートであり、図25のステップS08に示した障害物移動経路計算処理の詳細を示すものである。ステップS31は障害物移動経路計算ステップであり、ステップS32は移動障害物予測位置計算ステップであり、ステップS33は障害物追加移動経路計算ステップである。
【0061】
ステップS31では、障害物移動経路計算部16aは、移動物情報および地図情報をもとに、移動障害物の移動物現在位置からの移動経路である障害物移動経路を求めて、ステップS32に進む。ステップS32では、障害物移動経路計算部16aは、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における移動障害物の位置である移動障害物予測位置を求めて、ステップS33に進む。ステップS33では、障害物移動経路計算部16aは、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における移動障害物予測位置からの移動経路である障害物追加移動経路を求めて、障害物移動経路計算処理を終了する。
【0062】
図28は、実施の形態4の人移動経路候補生成部15aにおける人移動経路候補生成処理の内容を説明するためのフローチャートであり、図25のステップS09に示した人移動経路候補生成処理の詳細を示すものである。ステップS41は人移動経路候補生成ステップであり、ステップS42は人移動経路追加候補生成ステップである。ステップS41では、人移動経路候補生成部15aは、対象人物の移動経路の候補として、対象人物現在位置から人移動先候補に向かう人移動経路候補を生成して、ステップS42に進む。ステップS42では、人移動経路候補生成部15aは、対象人物予測位置および人移動先追加候補をもとに接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における対象人物の移動経路の候補である人移動経路追加候補を生成して、人移動経路候補生成処理を終了する。
【0063】
図29は、実施の形態4の自車移動経路計算部17aにおける自車移動経路計算処理の内容を説明するためのフローチャートであり、図25のステップS10に示した自車移動経路計算処理の詳細を示すものである。ステップS51は自車移動経路計算ステップであり、ステップS52は自車予測位置計算ステップであり、ステップS53は自車追加移動経路計算ステップである。
【0064】
ステップS51では、自車移動経路計算部17aは、車両情報および地図情報をもとに自車両の自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求めてステップS52に進む。ステップS52では、自車移動経路計算部17aは、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における自車両の位置である自車予測位置を求めて、ステップS53に進む。ステップS53では、自車移動経路計算部17aは、接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における自車予測位置からの移動経路である自車追加移動経路を求めて、自車移動経路計算処理を終了する。
【0065】
図30は、実施の形態4の車両制御部18cにおける制御信号生成処理の内容を説明するためのフローチャートであり、図25のステップS11に示した制御信号生成処理の詳細を示すものである。ステップS61は第一交差確認ステップであり、ステップS62は制御量第一変更ステップであり、ステップS63は第二交差確認ステップであり、ステップS64は制御量第二変更ステップであり、ステップS65は制御範囲設定処理ステップであり、ステップS66は制御範囲確認ステップであり、ステップS67は制御様態変更ステップであり、ステップS68は制御信号出力ステップである。なお、ステップS65からステップS67の処理はスキップしてもよく、ステップS65からステップS67がスキップされた場合は、ステップS62またはステップS64の後で、ステップS68
に進む。
【0066】
ステップS61では、車両制御部18cは、人移動経路候補が自車移動経路に交差しているかどうかを確認し、人移動経路候補が自車移動経路に交差しているときはステップS62に進み、人移動経路候補が自車移動経路に交差していないときはステップS63に進む。ステップS62では、車両制御部18cは、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数に応じて車両制御信号における制御量を変更して、ステップS65に進む。ステップS63では、車両制御部18cは、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において人移動経路追加候補が自車追加移動経路に交差しているかどうかを確認し、人移動経路追加候補が自車追加移動経路に交差しているときはステップS64に進み、人移動経路追加候補が自車追加移動経路に交差していないときは制御信号生成処理を終了する。ステップS64では、車両制御部18cは、自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数に応じて車両制御信号における制御量を変更して、ステップS65に進む。
【0067】
ステップS65では、車両制御部18cは、制御範囲設定処理を行い、ステップS66に進む。ステップS66では、車両制御部18cは、対象人物現在位置が自車現在位置の前方に設定された複数の制御範囲のいずれかに含まれるかどうかを確認し、対象人物現在位置がいずれかの制御範囲に含まれるときはステップS67に進み、対象人物現在位置がいずれかの制御範囲に含まれないときは制御信号生成処理を終了する。ステップS67では、車両制御部18cは、対象人物現在位置が含まれた制御範囲に応じて車両制御信号の制御様態を変更して、ステップS68に進む。ステップS68では、車両制御部18cは、車両制御信号を出力して、制御信号生成処理を終了する。
【0068】
図31は、実施の形態4の車両制御部18cにおける制御範囲設定処理の内容を説明するためのフローチャートであり、図30のステップS65に示した制御範囲設定処理の詳細を示すものである。ステップS71は制御範囲設定ステップであり、ステップS72は制御範囲第一変更ステップであり、ステップS73は制御範囲第二変更ステップであり、ステップS74は制御範囲第三変更ステップである。
【0069】
ステップS71では、車両制御部18cは、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数に応じて、制御範囲の大きさを決定し、ステップS72に進む。車両制御部18cは、例えば、自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数が多いほど、制御範囲の大きさを大きくする。また、ステップS71では、車両制御部18cは、人移動経路候補が自車移動経路に交差せず、かつ、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において人移動経路追加候補が自車追加移動経路に交差するときには、自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数に応じて、制御範囲の大きさを決定し、ステップS72に進む。
【0070】
ステップS72では、車両制御部18cは、対象人物が新規に検出された対象人物検出位置に応じて制御範囲の大きさを変更し、ステップS73に進む。ステップS73では、車両制御部18cは、車両制御部18cは、対象人物種別、車線幅および交通量に応じて制御範囲の大きさを変更し、ステップS74に進む。ステップS74では、車両制御部18cは、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数が自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数よりも多いときに、制御範囲の大きさを変更し、制御範囲設定処理を終了する。ステップS74では、車両制御部18cは、例えば、接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において自車追加移動経路に交差する人移動経路追加候補の本数が自車移動経路に交差する人移動経路候補の本数よりも多いときに、制御範囲の大きさを大きくする。
【0071】
図32は、実施の形態による車両走行支援装置10、10a、10b、10cのハードウェア構成の一例を示す模式図である。周辺情報取得部11と、車両情報取得部12と、地図情報取得部13と、人移動先候補抽出部14、14aと、人移動経路候補生成部15、15aと、障害物移動経路計算部16、16aと、自車移動経路計算部17、17aと、車両制御部18、18a、18b、18cと、接近時間予測部19とは、メモリ202に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ201によって実現される。メモリ202は、プロセッサ201が実行する各処理における一時記憶装置としても使用される。メモリ202は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、または、これらを組み合わせたものである。プロセッサ201およびメモリ202は、バス203に接続されている。周辺監視装置1、車両情報センサ2、地図情報データベース3、無線通信装置4および駆動制御装置20は、入出力インタフェース204を通してバス203に接続されている。
【0072】
図33は、実施の形態による車両走行支援装置10、10a、10b、10cのハードウェア構成の別の一例を示す模式図である。図33においては、処理回路205はバス203に接続されており、周辺監視装置1、車両情報センサ2、地図情報データベース3、無線通信装置4および駆動制御装置20は、入出力インタフェース204を通してバス203に接続されている。処理回路205が専用のハードウェアである場合、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。車両走行支援装置10、10a、10b、10cの機能のそれぞれが処理回路205で実現されてもよいし、機能をまとめて処理回路205で実現してもよい。また、車両走行支援装置10、10a、10b、10cの各機能は、一部が専用のハードウェアで実現され、他の一部がソフトウェアまたはファームウェアで実現されるようにしてもよい。
【0073】
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つまたは複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0074】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限される
ことはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態
等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0075】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0076】
(付記1)
自車両の周辺情報を取得し、前記周辺情報をもとに対象人物を検出し、前記対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得部と、
地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記対象人物現在位置をもとに前記地図情報から前記対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出する人移動先候補抽出部と、
前記対象人物現在位置および前記人移動先候補をもとに、前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成する人移動経路候補生成部と、
前記自車両の現在位置である自車現在位置および前記自車両の進行方向である自車進行方向を含む前記自車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報および前記地図情報をもとに、前記自車両の前記自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める自車移動経路計算部と、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差するときに前記自車両を制御する車両制御信号を出力する車両制御部とを備える車両走行支援装置。
(付記2)
前記人移動先候補は、
前記対象人物に対して道路を渡った反対側の道路の端の地点と、
前記対象人物が交差点において道路の反対側に渡って交差道路へ進むときの移動先と、
交差点における曲がり角と、
道路沿いにある店舗と、
道路沿いにある公共交通機関の施設との少なくとも一つを含むことを特徴とする付記1に記載の車両走行支援装置。
(付記3)
前記対象人物情報は、前記対象人物の進行方向の情報を含み、
前記人移動先候補は、前記対象人物の進行方向にある地点を含むことを特徴とする付記2に記載の車両走行支援装置。
(付記4)
前記周辺情報取得部は、前記周辺情報をもとに静止障害物を検出し、前記静止障害物の現在位置である静止物現在位置を含む静止物情報を出力し、
前記人移動先候補は、前記静止障害物の道路中央側の側面を含むことを特徴とする付記2または3に記載の車両走行支援装置。
(付記5)
前記人移動経路候補生成部は、
前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路の上に、歩道と車道との境界である歩道境界線と、ガードレールと、中央分離帯とのいずれかがあったときに、前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路を前記人移動経路候補としないことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の車両走行支援装置。
(付記6)
前記周辺情報取得部は、前記周辺情報をもとに移動障害物を検出し、前記移動障害物の現在位置である移動物現在位置と前記移動障害物の進行方向である移動物進行方向とを含む移動物情報を出力し、
前記車両走行支援装置は、前記移動物情報および前記地図情報から前記移動障害物の前記移動物現在位置からの移動経路である障害物移動経路を求める障害物移動経路計算部を備え、
前記人移動経路候補生成部は、
前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路が前記障害物移動経路に交差するときに、前記対象人物現在位置から前記人移動先候補に向かう移動経路を前記人移動経路候補としないことを特徴とする付記1から5のいずれか1項に記載の車両走行支援装置。
(付記7)
前記車両制御部は、前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数に応じて前記車両制御信号における制御量を変更することを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の車両走行支援装置。
(付記8)
前記車両制御部は、前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、前記自車現在位置の前方に設定された複数の制御範囲のいずれかに前記対象人物現在位置が含まれるときに、前記対象人物現在位置が含まれた前記制御範囲に応じて前記車両制御信号の制御様態を変更することを特徴とする付記1から7のいずれか1項に記載の車両走行支援装置。
(付記9)
前記車両制御部は、前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数が多いほど、前記制御範囲の大きさを大きくすることを特徴とする付記8に記載の車両走行支援装置。
(付記10)
前記対象人物情報は、前記対象人物の進行方向と前記対象人物の進行速度との情報を含み、
前記車両情報は、前記自車両の進行速度の情報を含み、
前記車両走行支援装置は、前記対象人物情報と前記車両情報とから前記対象人物と前記自車両とが最も接近するまでに要する時間である接近時間を予測する接近時間予測部を備え、
前記人移動先候補抽出部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の位置である対象人物予測位置を求め、それぞれの前記対象人物予測位置に対応する前記対象人物の移動先の候補である人移動先追加候補を抽出し、
前記人移動経路候補生成部は、前記対象人物予測位置および前記人移動先追加候補をもとに前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路追加候補を生成し、
前記自車移動経路計算部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記自車両の位置からの移動経路である自車追加移動経路を求め、
前記車両制御部は、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差せず、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記人移動経路追加候補が前記自車追加移動経路に交差するときに、前記車両制御信号を出力し、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数よりも多いときに、前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数以下のときに比べて前記制御範囲の大きさを大きくすることを特徴とする付記8または9に記載の車両走行支援装置。
(付記11)
前記対象人物情報は、前記対象人物の進行方向と前記対象人物の進行速度との情報を含み、
前記車両情報は、前記自車両の進行速度の情報を含み、
前記車両走行支援装置は、前記対象人物情報と前記車両情報とから前記対象人物と前記自車両とが最も接近するまでに要する時間である接近時間を予測する接近時間予測部を備え、
前記人移動先候補抽出部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の位置である対象人物予測位置を求め、それぞれの前記対象人物予測位置に対応する前記対象人物の移動先の候補である人移動先追加候補を抽出し、
前記人移動経路候補生成部は、前記対象人物予測位置および前記人移動先追加候補をもとに前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路追加候補を生成し、
前記自車移動経路計算部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記自車両の位置からの移動経路である自車追加移動経路を求め、
前記障害物移動経路計算部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻における前記移動障害物の位置からの移動経路である障害物追加移動経路を求め、
前記人移動経路候補生成部は、前記接近時間が経過するまでのそれぞれの時刻において、前記対象人物予測位置から前記人移動先追加候補に向かう移動経路が前記障害物追加移動経路に交差するときに、前記対象人物予測位置から前記人移動先追加候補に向かう移動経路を前記人移動経路追加候補とせず、
前記車両制御部は、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、前記自車現在位置の前方に設定された複数の制御範囲のいずれかに前記対象人物現在位置が含まれるときに、前記対象人物現在位置が含まれた前記制御範囲に応じて前記車両制御信号の制御様態を変更し、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差せず、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記人移動経路追加候補が前記自車追加移動経路に交差するときに、前記車両制御信号を出力し、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差し、かつ、前記接近時間が経過するまでのいずれかの時刻において前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数よりも多いときに、前記自車追加移動経路に交差する前記人移動経路追加候補の本数が前記自車移動経路に交差する前記人移動経路候補の本数以下のときに比べて前記制御範囲の大きさを大きくすることを特徴とする付記6に記載の車両走行支援装置。
(付記12)
前記対象人物情報は、前記対象人物が新規に検出された対象人物検出位置の情報を含み、
前記車両制御部は、前記対象人物検出位置に応じて前記制御範囲の大きさを変更することを特徴とする付記8または9に記載の車両走行支援装置。
(付記13)
前記周辺情報取得部は、前記対象人物の種別である対象人物種別を含む対象人物情報と、前記自車両が走行中の車道の車線幅および交通量の情報を出力し、
前記車両制御部は、前記対象人物種別、前記車線幅および前記交通量に応じて前記制御範囲の大きさを変更することを特徴とする付記8または9に記載の車両走行支援装置。
(付記14)
自車両の周辺情報を取得し、前記周辺情報をもとに対象人物を検出し、前記対象人物の現在位置である対象人物現在位置を含む対象人物情報を出力する周辺情報取得ステップと、
地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
前記対象人物現在位置をもとに前記地図情報から前記対象人物の移動先の候補である人移動先候補を抽出する人移動先候補抽出処理ステップと、
前記対象人物現在位置および前記人移動先候補をもとに、前記対象人物の移動経路の候補である人移動経路候補を生成する人移動経路候補生成処理ステップと、
前記自車両の現在位置である自車現在位置および前記自車両の進行方向である自車進行方向を含む前記自車両の車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両情報および前記地図情報をもとに、前記自車両の前記自車現在位置からの移動経路である自車移動経路を求める自車移動経路計算処理ステップと、
前記人移動経路候補が前記自車移動経路に交差するときに前記自車両を制御する車両制御信号を出力する制御信号生成処理ステップとを含む車両走行支援方法。
【符号の説明】
【0077】
1 周辺監視装置、2 車両情報センサ、3 地図情報データベース、4 無線通信装置、10、10a、10b、10c 車両走行支援装置、11 周辺情報取得部、12 車両情報取得部、13 地図情報取得部、14、14a 人移動先候補抽出部、15、15a 人移動経路候補生成部、16、16a 障害物移動経路計算部、17、17a 自車移動経路計算部、18、18a、18b、18c 車両制御部、19 接近時間予測部、20 駆動制御装置、30 自車現在位置、31 自車移動経路、32 移動物現在位置、33 障害物移動経路、34a、34b、34c、34e 自車予測位置、35a、35b、35c、35e 自車追加移動経路、36b 移動物予測位置、37b 障害物追加移動経路、40 対象人物現在位置、41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41i、41j、41k、41m 人移動先候補、42a、42b、42g、42h、42i 人移動経路候補、43j、43k、43m 移動経路、44a、44b、44c、44e 対象人物予測位置、45a、45b、45c、45d、45e 人移動先追加候補、46a、46b、46c、46d、46e 人移動経路追加候補、47a、47b 対象人物検出位置、50 静止障害物、51 ガードレール、52 中央分離帯、53 歩道境界線、61、61a、61b 第一制御範囲、62、62a、62b 第二制御範囲、63、63a、63b 第三制御範囲、70 検出エリア、100、100a、100b、100c 車両走行支援システム、201 プロセッサ、202 メモリ、203 バス、204 入出力インタフェース、205 処理回路。
図1
図2
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