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特開2024-164939画像形成装置および画像形成装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164939
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G03G15/08 366
G03G15/08 390B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080679
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】明渡 秀一
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AE06
2H077BA08
2H077CA13
2H077EA03
(57)【要約】
【課題】 画像形成装置の現像装置が備える搬送部材の軸部とシール部材との接触部分が互いに摺擦することに起因する音鳴きを防止する。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置(10)の現像装置50は、搬送部材としての第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516を備える。第1搬送スクリュー514の軸部518は、軸受526により回転可能に支持され、第2搬送スクリュー516の軸部532は、軸受540により回転可能に支持される。また、軸受526は、シール部材としてのゴムシール220aを有し、軸受540も同様に、ゴムシール220を有する。そして、絶対湿度(Ha)が所定の湿度閾値(Hs)以上になることを含む所定条件が満足された場合に、第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516のそれぞれが現像処理時とは逆方向へ所定の逆回転時間Txにわたって回転駆動される。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の現像剤を用いて現像処理を行う現像装置を備える電子写真方式の画像形成装置であって、
前記現像装置は、
前記現像剤を収容する収容部、
軸部と当該軸部の外周に設けられた螺旋状の羽根部とを有し、当該軸部の両端部または当該両端部の近傍が軸受部材により回転可能に支持された状態で回転駆動されることによって前記収容部内の前記現像剤を撹拌しながら搬送する搬送部材、および、
前記軸受部材による前記軸部の支持部分よりも当該軸部の延伸方向における当該軸部の中心寄りの位置に設けられ、前記現像剤が当該軸受部材による当該軸部の支持部分に侵入するのを防止するシール部材を備え、その上で、
前記搬送部材を回転駆動する駆動手段、
前記画像形成装置の内部または周囲の温度と相対湿度とを検出する検出手段、および、
前記検出手段による検知結果から導出される絶対湿度が所定の湿度閾値以上であることを含む所定条件が満足された場合に、前記搬送部材を前記現像処理が行われるときとは逆方向へ所定の逆回転時間にわたって回転駆動するように前記駆動手段を制御する逆回転処理を含む回転制御処理を実行する駆動制御手段をさらに備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記回転制御処理は、前記逆回転処理と、前記搬送部材を前記現像処理が行われるときと同じ方向へ所定の正回転時間にわたって回転駆動するように前記駆動手段を制御する正回転処理と、を交互に複数回にわたって行う繰り返し処理を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前回の前記回転制御処理の実行後からの経過時間が所定の第1時間を超えたことを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前回の前記回転制御処理の実行後に前記現像処理が行われた時間の累積値である累積現像時間が所定の第2時間を超えたことを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザ操作を受け付ける操作受付手段、および、
所定の前記ユーザ操作が前記操作受付手段により受け付けられた場合に、前記逆回転処理と、前記搬送部材を前記現像処理が行われるときと同じ方向へ所定の正回転時間にわたって回転駆動するように前記駆動手段を制御する正回転処理と、を交互に複数回にわたって行う空転制御処理を実行する空転制御手段をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記逆回転時間は、前記絶対湿度が高いほど長い、請求項1から5までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
粉末状の現像剤を用いて現像処理を行う現像装置を備える電子写真方式の画像形成装置の制御方法であって、
前記現像装置は、
前記現像剤を収容する収容部、
軸部と当該軸部の外周に設けられた螺旋状の羽根部とを有し、当該軸部の両端部または当該両端部の近傍が軸受部材により回転可能に支持された状態で回転駆動されることによって前記収容部内の前記現像剤を撹拌しながら搬送する搬送部材、および、
前記軸受部材による前記軸部の支持部分よりも当該軸部の延伸方向における当該軸部の中心寄りの位置に設けられ、前記現像剤が当該軸受部材による当該軸部の支持部分に侵入するのを防止するシール部材を備え、
前記画像形成装置は、
前記搬送部材を回転駆動する駆動手段、および、
前記画像形成装置の内部または周囲の温度と相対湿度とを検出する検出手段をさらに備え、その上で、
前記検出手段による検知結果から導出される絶対湿度が所定の湿度閾値以上であることを含む所定条件が満足された場合に、前記搬送部材を前記現像処理が行われるときとは逆方向へ所定の逆回転時間にわたって回転駆動するように前記駆動手段を制御する逆回転処理を含む回転制御処理を実行する駆動制御ステップを有する、画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関し、特に、粉末状の現像剤を用いて現像処理を行う現像装置を備える、電子写真方式の画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、粉末状の現像剤を用いて現像処理を行う現像装置を備える。現像装置は、一般に、現像剤を収容する収容部、および、当該収容部内の現像剤を撹拌しながら搬送する搬送部材を備える。搬送部材は、軸部と、当該軸部の外周に設けられた螺旋状の羽根部と、を有するオーガスクリューであり、当該軸部の両端またはその近傍が軸受部材により回転可能に支持された状態で回転駆動される。また、軸受部材による軸部の支持部分に現像剤が侵入するのを防止するために、常套的に、当該軸受部材による軸部の支持部分よりも当該軸部の延伸方向における当該軸部の中心寄りの位置に、シール部材(パッキン)が設けられる。
【0003】
一方、特許文献1には、搬送部材(スクリュー部材)の軸部の端部が軸受凹部に挿入された状態で回転自在に支持される軸受構造を有する現像装置において、シール部材を設けずに、当該軸受凹部への現像剤の侵入を防止する技術が、開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、軸部における軸受凹部の開口周縁部と対向する外周に溝が形成されることで、当該軸受凹部への現像剤の侵入が防止される。しかしながら、現像剤の侵入を確実に防止するには、やはりシール部材が設けられるのが、より有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6186902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シール部材は、搬送部材の軸部を挿通させる挿通孔を有し、この挿通孔の内径と搬送部材の軸部の外径との締め代が適当に設定(設計)されることで、当該シール部材と軸部との接触部分を介しての軸受部材による軸部の支持部分への現像剤の侵入が防止される。ここで、シール部材は、たとえばゴム製であり、これに対して、搬送部材の軸部は、たとえば金属製であるが、これら両者の接触部分が互いに摺擦することに起因して、異音が発生し、言わば音鳴きが生ずることがある。
【0006】
この音鳴きを防止するための方策として、たとえばシール部材と軸部との接触部分にグリスなどの液状潤滑剤を塗布することが考えられるが、この場合、当該液状潤滑剤を塗布するための工程が増えたり、塗布した液状潤滑剤が外部へ漏出したりするなどの、別の不都合が生ずる。その一方で、音鳴きという現象を精微に観察したところ、周囲の温度(環境温度)と相対湿度とに応じて、詳しくは当該周囲の温度と相対湿度とに従う絶対湿度(容積絶対湿度:空気中に含まれる水蒸気の量)が高い(大きい)ほど、音鳴きが生じ易い傾向にあることが、判明した。また、シール部材と軸部との接触部分に適量の現像剤が入り込むことで、音鳴きが防止されることが、つまり当該現像剤が音鳴きを防止するための潤滑剤として作用することが、判明した。
【0007】
そこで、本開示は、シール部材と搬送部材の軸部との接触部分にグリスなどの液状潤滑剤を塗布することなく、当該シール部材と搬送部材の軸部との接触部分が互いに摺擦することに起因する音鳴きを防止することができる、新規な画像形成装置および画像形成装置の制御方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本開示は、画像形成装置に係る第1の開示、および、画像形成装置の制御方法に係る第2の開示を含む。
【0009】
このうちの画像形成装置に係る第1の開示は、当該画像形成装置が、粉末状の現像剤を用いて現像処理を行う現像装置を備える電子写真方式の画像形成装置であることを、前提とする。ここで、現像装置は、収容部、搬送部材およびシール部材を備える。収容部は、現像剤を収容する。搬送部材は、軸部と、当該軸部の外周に設けられた螺旋状の羽根部と、を有する。そして、搬送部材は、軸部の両端部またはその近傍が軸受部材により回転可能に支持された状態で回転駆動されることによって、収容部内の現像剤を撹拌しながら搬送する。シール部材は、軸受部材による軸部の支持部分よりも当該軸部の延伸方向における当該軸部の中心寄りの位置に設けられ、現像剤が当該軸受部材による軸部の支持部分に侵入するのを防止する。その上で、本第1の開示に係る画像形成装置は、駆動手段、検出手段および駆動制御手段をさらに備える。駆動手段は、搬送部材を回転駆動する。検出手段は、画像形成装置の内部または周囲の温度と相対湿度とを検出する。そして、駆制御手段は、検出手段による検知結果から導出される絶対湿度が所定の湿度閾値以上であることを含む所定条件が満足された場合に、回転制御処理を実行する。この回転制御処理は、逆回転処理を含む。逆回転処理は、搬送部材を現像処理が行われるときとは逆方向へ所定の逆回転時間にわたって回転駆動するように、駆動手段を制御する処理である。
【0010】
なお、回転制御処理は、前述の逆回転処理と、正回転処理と、を交互に複数回にわたって行う繰り返し処理を含んでもよい。正回転処理は、搬送部材を現像処理が行われるときと同じ方向へ所定の正回転時間にわたって回転駆動するように、駆動手段を制御する処理である。
【0011】
また、本第1の開示における所定条件は、前回の回転制御処理の実行後からの経過時間が所定の第1時間を超えたことを含んでもよい。
【0012】
さらに、本第1の開示における所定条件は、前回の回転制御処理の実行後に現像処理が行われた時間の累積値である累積現像時間が所定の第2時間を超えたことを含んでもよい。
【0013】
加えて、本第1の開示においては、操作受付手段および空転制御手段が、さらに備えられてもよい。操作受付手段は、ユーザ操作を受け付ける。そして、空転制御手段は、所定のユーザ操作が操作受付手段により受け付けられた場合に、逆回転処理と、正回転処理と、を交互に複数回にわたって行う空転制御処理を実行する。
【0014】
そして、逆回転時間については、絶対湿度が高いほど、つまり当該絶対湿度の値が大きいほど、長くなるように、設定されてもよい。
【0015】
本開示のうちの画像形成装置の制御方法に係る第2の開示は、前述の第1の開示と同様、当該画像形成装置が、粉末状の現像剤を用いて現像処理を行う現像装置を備える電子写真方式の画像形成装置であることを、前提とする。ここで、現像装置は、収容部、搬送部材およびシール部材を備える。収容部は、現像剤を収容する。搬送部材は、軸部と、当該軸部の外周に設けられた螺旋状の羽根部と、を有する。そして、搬送部材は、軸部の両端部またはその近傍が軸受部材により回転可能に支持された状態で回転駆動されることによって、収容部内の現像剤を撹拌しながら搬送する。シール部材は、軸受部材による軸部の支持部分よりも当該軸部の延伸方向における当該軸部の中心寄りの位置に設けられ、現像剤が当該軸受部材による軸部の支持部分に侵入するのを防止する。また、画像形成装置は、駆動手段および検出手段をさらに備える。駆動手段は、搬送部材を回転駆動する。そして、検出手段は、画像形成装置の内部または周囲の温度と相対湿度とを検出する。その上で、本第1の開示に係る画像形成装置の制御方法は、駆動制御ステップを有する。駆動制御ステップにおいては、検出手段による検知結果から導出される絶対湿度が所定の湿度閾値以上であることを含む所定条件が満足された場合に、回転制御処理を実行する。この回転制御処理は、逆回転処理を含む。逆回転処理は、搬送部材を現像処理が行われるときとは逆方向へ所定の逆回転時間にわたって回転駆動するように、駆動手段を制御する処理である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、シール部材と搬送部材の軸部との接触部分にグリスなどの液状潤滑剤を塗布することなく、当該シール部材と搬送部材の軸部との接触部分が互いに摺擦することに起因する音鳴きを防止することができる、
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示の第1実施例に係る画像形成装置の内部の構成を概略的に示す図である。
図2図2は、第1実施例における画像形成部の一部を拡大して示す図である。
図3図3は、図2におけるA-A端面を示す図である。
図4図4は、第1実施例における現像装置の搬送スクリュー用の軸受の分解図である。
図5図5は、第1実施例における現像装置の搬送スクリューが軸受により支持された状態を示す端面図である。
図6図6は、第1実施例における現像装置による現像処理が行われるときの収容部内の現像剤の搬送状態を説明するための図である。
図7図7は、第1実施例における逆回転処理が行われるときの収容部内の現像剤の搬送状態を説明するための図である。
図8図8は、第1実施例における温度閾値を説明する際の参考となる絶対湿度表を示す図である。
図9図9は、第1実施例における回転制御処理の要領を説明するための図である。
図10図10は、第1実施例に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図11図11は、第1実施例における保全管理タスクの流れを示すフロー図である。
図12図12は、第1実施例における回転制御タスクの流れを示すフロー図である。
図13図13、本開示の第2実施例における逆回転時間テーブルの構成を概念的に示す図である。
図14図14は、第2実施例における回転制御タスクの流れを示すフロー図である。
図15図15は、本開示の第3実施例における回転制御処理の要領を説明するための図である。
図16図16は、第3実施例における回転制御タスクの流れを示すフロー図である。
図17図17は、本開示の第4実施例における空転制御タスクの流れを示すフロー図である。
図18図18は、本開示に係る軸受部材の別例の構成要素である軸受本体の外観を示す斜視図である。
図19図19は、図18に示される軸受本体を含む軸受により搬送スクリューが支持された状態を示す端面図である。
図20図20は、本開示に係る軸受部材のさらに別例の構成要素である軸受本体の外観を示す斜視図である。
図21図21は、図20に示される軸受本体を含む軸受により搬送スクリューが支持された状態を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施例]
本開示の第1実施例について、図1に示されるカラーの画像形成装置10を例に挙げて説明する。
【0019】
本第1実施例に係る画像形成装置10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する、いわゆる複合機(MFP)である。なお、図1は、使用可能な状態に設置された画像形成装置10の内部の構成を当該画像形成装置10の前方側から見た図である。すなわち、図1における上下方向は、画像形成装置10の上下方向に対応する。そして、図1における左右方向は、画像形成装置10の左右方向に対応する。さらに、図1の紙面の手前側は、画像形成装置10の前方に対応する。そして、図1の紙面の奥側は、画像形成装置10の後方に対応する。
【0020】
この画像形成装置10の上部には、画像読取手段としての画像読取部12が設けられる。画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このため、画像読取部12は、原稿が載置される原稿台14を有する。原稿台14は、概略矩形平板状のガラスなどの透明部材により形成され、その両主面を水平方向に沿わせるように設けられる。そして、原稿台14の下方に、画像読取ユニット16が設けられる。詳しい説明は省略するが、画像読取ユニット16は、光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを有し、原稿台14の上面に画像形成装置10の前後方向に沿って延伸する直線状の画像読取位置Prを形成する。さらに、原稿台14の下方には、画像読取ユニット16の画像読取位置Prを画像形成装置10の左右方向に沿って移動(走査)させるための不図示の駆動機構が設けられる。すなわち、原稿台14に原稿が載置された状態で、画像読取ユニット16の画像読取位置Prが駆動機構により移動されることで、当該原稿の画像が読み取られ、いわゆる固定読み方式により読み取られる。なお、画像形成装置10の前後方向は、主走査方向と呼ばれる。そして、画像形成装置10の左右方向は、副走査方向と呼ばれる。
【0021】
また、原稿台14の上方には、当該原稿台14に載置された原稿を押さえるための原稿押さえカバーを兼ねる自動原稿送り装置(ADF)18が設けられる。自動原稿送り装置18は、原稿台14の上面を外部に露出させる状態と、当該原稿台14の上面を覆う状態と、に遷移可能に設けられる。このため、自動原稿送り装置18は、不図示のヒンジなどの適当な可動支持部材を介して画像形成装置10の本体(筐体)に結合される。なお、図1は、自動原稿送り装置18が原稿台14の上面を覆った状態を示す。また、自動原稿送り装置18は、図1に示される如く原稿台14の上面を覆った状態にあるときに、次に説明する如くそれ本来の機能を発揮する。
【0022】
すなわち、自動原稿送り装置18は、原稿載置トレイ20を有する。この原稿載置トレイ20には、原稿が、厳密にはシート状の原稿が、載置可能であり、とりわけ複数枚の原稿が積層状に載置可能である。詳しい説明は省略するが、自動原稿送り装置18は、原稿載置トレイ20に載置された原稿を1枚単位で(1枚ずつ)取り込み、当該自動原稿送り装置18内の原稿搬送路22に沿って搬送させる。その途中で、原稿は、画像読取位置Prを通過し、厳密には固定された状態にある画像読取位置Prを通過する。これにより、原稿の画像が読み取られ、いわゆる流し読み方式で読み取られる。その後、原稿は、原稿排出トレイ24へ排出される。
【0023】
画像読取部12の下方には、画像形成手段としての画像形成部26が設けられる。この画像形成部26は、不図示のシート状の画像記録媒体、たとえば用紙に、前述の読取画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を形成する画像形成処理を担い、つまり印刷を担う。この印刷は、公知の電子写真方式により行われる。また、画像形成部26は、カラーの印刷を行うために、タンデム方式を採用する。
【0024】
具体的には、画像形成部26は、互いに異なる複数の色、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)という4つの色の、単色トナー像を個別に形成するための4つの単色画像形成手段としての画像形成ステーション(「プロセスユニット」と呼ばれることもある。)28,28,…を有する。併せて、画像形成部26は、各画像形成ステーション28,28,…による単色トナー像の形成に必要な露光処理を行う露光手段としての露光装置30を有する。さらに、画像形成部26は、各画像形成ステーション28,28,…により形成された各単色トナー像を後述する中間転写ベルト32に順次転写し、当該中間転写ベルト32に転写されたトナー像を用紙に転写するための転写手段としての転写ユニット34を有する。加えて、画像形成部26は、用紙に転写されたトナー像を当該用紙に定着させるための定着処理を担う定着手段としての定着装置36を有する。さらに加えて、画像形成部26は、各画像形成ステーション28,28,…の後述する各現像装置50,50,…に不図示のトナーを個別に補給するための4つのトナー補給装置37,37,…を有する。
【0025】
転写ユニット34は、中間転写ベルト(「1次転写ベルト」と呼ばれることもある。)32、中間転写ベルト32を回転させる駆動ローラ38、駆動ローラ38とともに中間転写ベルト32を張架する従動ローラ40、中間転写ベルト32の内側における各画像形成ステーション28,28,…と対応する位置に設けられた4つの中間転写ローラ(「1次転写ローラ」と呼ばれることもある。)42,42,…、転写部材の一例としての転写ローラ(「2次転写ローラ」と呼ばれることもある。)44などを有する。
【0026】
中間転写ベルト32は、駆動ローラ38および従動ローラ40によって張架される。駆動ローラ38は、不図示の中間転写ベルト用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば図1において反時計回りに回転する。これに伴い、中間転写ベルト32が回転(周回移動)するとともに、従動ローラ40が回転する。中間転写ベルト32における駆動ローラ38と従動ローラ40との間の領域のうちの下側の領域32aは、水平方向に沿って張架されており、この水平方向に沿って張架された領域32aと対向するように、各画像形成ステーション28,28,…が配置される。この中間転写ベルト32における各画像形成ステーション28,28…が配置された領域32aは、中間転写領域と呼ばれる。この中間転写領域32aにおいては、中間転写ベルト32は、画像形成装置10の左側から右側へ向かって移動し、つまり副走査方向に沿って移動する。
【0027】
なお、中間転写ベルト32は、可撓性を持つ無端帯状体であり、カーボンブラックなどの導電性材料が適宜に配合された合成樹脂(たとえばポリイミドあるいはポリカーボネート)製である。また、詳しい説明は省略するが、従動ローラ40は、中間転写ベルト32に適宜の張力を付与することにより、当該中間転写ベルト32の弛みを防止する機能を兼ね備える。
【0028】
各画像形成ステーション28,28,…は、中間転写ベルト32の中間転写領域32aの下方において、当該中間転写領域32aにおける中間転写ベルト32の移動方向に沿って、つまり副走査方向に沿って、一定の間隔を置いて設けられる。前述したように、これら各画像形成ステーション28,28,…は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックという4つの色の単色トナー像を中間転写ベルト32に個別に形成する。なお、図1を含む各図からは分からないが、各画像形成ステーション28,28,…は、中間転写領域32aにおける中間転写ベルト32の移動方向の上流側から下流側へ向かって(図1における左側から右側へ向かって)、イエロー用、マゼンタ用、シアン用およびブラック用の順番で設けられる。ただし、この順番は、一例であり、これに限定されない。また、各画像形成ステーション28,28,…は、互いに異なる色の単色トナー像を中間転写ベルト32に形成する以外は、互いに同じ構造である。
【0029】
それぞれの画像形成ステーション28は、感光体ドラム46、帯電装置48、現像装置50、クリーニング装置52、不図示の除電装置などを有する。
【0030】
感光体ドラム46は、後述する静電潜像および単色トナー像を担持する像担持体であり、アルミニウムなどの導電性材料により形成された円筒状の基体を有する。この基体の表面(外周面)には、感光層が形成される。そして、感光体ドラム46は、中間転写領域32aにおいて、基体の表面を中間転写ベルト32の外側面に当接させるように設けられ、この状態で、不図示のドラム用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば図1において時計回りに回転する。なお、感光体ドラム46は、中間転写ベルト32の移動速度に合わせた速度で回転し、厳密には基体の周速度が中間転写ベルト32の移動速度よりも僅かに、たとえば0.1%~0.3%ほど、低い速度で回転する。これは、感光体ドラム46の表面に形成された後述する単色トナー像が中間転写ベルト32の外側面に転写され易くするためであり、換言すれば当該単色トナー像が感光体ドラム46の表面から中間転写ベルト32の外側面に転写されない現象、とりわけ文字の中抜け現象を、防止するためである。
【0031】
帯電装置48は、感光体ドラム46の表面を所定の電位に帯電させる帯電処理を担う、帯電手段である。この帯電装置48による帯電処理により所定の電位に帯電された感光体ドラム46の表面は、前述の露光装置30により露光処理を施される。露光装置30は、各画像形成ステーション28,28,…の並びの下方に設けられ、それぞれの画像形成ステーション28の感光体ドラム46の表面に対して、その下方から露光処理を施し、つまり印刷に供される画像データに応じた態様の光を照射する。これにより、印刷に供される画像データに応じた態様の静電潜像が、感光体ドラム46の表面に形成される。なお、露光装置30は、たとえば光源としての不図示のレーザダイオードや、偏向手段としてのポリゴンミラーなどを有するレーザスキャニングユニットであるが、これに代えて、光源としてのLEDが並べられたLEDアレイを有するLEDユニットが、露光装置30として採用されてもよい。
【0032】
現像装置50は、感光体ドラム46の表面に形成された静電潜像をトナー像に顕像化する現像処理を担う、現像手段である。すなわち、現像装置50は、後述する如くトナーを含む不図示の粉末状の現像剤を撹拌することによって、当該トナーを帯電させ、この帯電されたトナーを感光体ドラム46上の静電潜像に付着させることで、当該静電潜像を単色トナー像として顕像化し、つまり現像処理を行う。
【0033】
この現像装置50による現像処理によって顕像化された単色トナー像は、感光体ドラム46の表面と中間転写ベルト32の外側面との当接位置において、当該感光体ドラム46の表面から中間転写ベルト32の外側面に転写され、いわゆる中間転写(1次転写)される。そのために、中間転写ベルト32を挟んで感光体ドラム46と対向するように、中間転写ローラ42が設けられる。中間転写ローラ42は、自身の表面(外周面)を中間転写ベルト32の内側面に当接させるように設けられ、当該中間転写ベルト32が回転することによる駆動力を受けて回転し、たとえば図1において反時計回りに回転する。そして、中間転写ローラ42に不図示の中間転写電源から所定の中間転写電圧が印加されることで、感光体ドラム46の表面と中間転写ベルト32の外側面との間に転写電界が形成される。この転写電界の作用によって、感光体ドラム46上の単色トナー像が中間転写ベルト32上に転写される。
【0034】
このような要領で、中間転写ベルト32上にイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックという4つの色の単色トナー像が個別に形成される。そして、これら4つの色の単色トナー像が互いに重なり合うことで、中間転写ベルト32上にカラーのトナー像が形成される。
【0035】
クリーニング装置52は、感光体ドラム46上から中間転写ベルト32上に単色トナー像が転写された後の当該感光体ドラム46上の残留トナーを除去するクリーニング処理を担う、クリーニング手段である。そして、不図示の除電装置は、クリーニング装置52によるクリーニング処理後の感光体ドラム46上の静電気を除去する除電処理を担う、除電手段である。この除電手段による除電処理が行われた後、前述の帯電装置48による帯電処理以降の工程が繰り返される。
【0036】
中間転写ベルト32上に形成されたカラーのトナー像は、当該中間転写ベルト32と転写ローラ44との当接部分である転写ニップ部Ntにおいて、用紙に転写される。具体的には、転写ローラ44は、中間転写ベルト32を挟んで駆動ローラ38と対向する位置において、当該駆動ローラ38との間で中間転写ベルト32を押圧するように設けられる。そして、転写ローラ44は、中間転写ベルト32が回転することによる駆動力を受けて回転し、つまり図1において時計回りに回転する。その上で、不図示の転写バイアス電源から駆動ローラ38にトナーの帯電極性と同じ極性の転写バイアス電流が印加される。これにより、中間転写ベルト32と転写ローラ44との間に、つまり転写ニップ部Ntに、転写電界が形成される。この状態で、転写ニップ部Ntを用紙が通過すると、中間転写ベルト32上のトナー像が当該用紙上に転写される。
【0037】
定着装置36は、後述する用紙搬送路54に沿って搬送される用紙の搬送方向、厳密には後述する順方向、における転写ニップ部Ntよりも下流側に設けられる。前述したように、定着装置36は、用紙上のトナー像を当該用紙に定着させ、詳しくはトナー像を加熱して溶融し、さらには押圧することにより、当該トナー像を用紙に定着(熱定着)させる、定着処理を担う。そのために、定着装置36は、加熱ローラ56および加圧ローラ58を有する。これら加熱ローラ56および加圧ローラ58は、互いの表面(外周面)を当接させた状態で設けられる。そして、加熱ローラ56は、その内部に設けられた不図示のランプヒータなどの適当な熱源により所定の温度(定着温度)に加熱される。併せて、加熱ローラ56は、不図示の定着用ローラ駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば図1において反時計回りに回転する。これに伴い、加圧ローラ58もまた回転し、つまり図1において時計回りに従動回転する。そして、転写ニップ部Ntを通過した用紙が加熱ローラ56の表面と加圧ローラ58の表面との当接部分である定着ニップ部Nfを通過することで、用紙上のトナー像が当該用紙上に定着され、つまり定着処理を施される。これをもって、画像形成部26による印刷のための一連の処理が終了する。
【0038】
また、それぞれのトナー補給装置37は、自身に対応する現像装置50にトナーとキャリアとが混合された2成分系の現像剤を補給する。すなわち、現像装置50は、現像処理に供されるトナーを含む現像剤を収容する後述する収容部506を有する。この収容部506に収容された現像剤に含まれるトナーは、現像装置50による現像処理が行われることによって、消費される。このトナーの消費分を補うとともに、古いキャリアを新しいものと入れ替えるために、それぞれの現像装置50に対応するトナー補給装置37から、厳密には当該トナー補給装置37に装着されたトナーカートリッジ59から、当該現像装置50の収容部506に現像剤が補給される。なお、トナーカートリッジ59は、トナー補給装置37に対して着脱可能であり、自身の現像剤の残量および使用期限に応じて適宜に交換される。そしてたとえば、トナーは、非磁性体であり、キャリアは、磁性体である。
【0039】
さらに、画像形成部26の下方に、換言すれば画像形成装置10内の下部に、給紙手段としての給紙部60が設けられる。給紙部60は、給紙カセット62を有し、この給紙カセット62には、複数枚の用紙が積層状に収容(セット)可能である。併せて、給紙部60は、ピックアップローラ64を有する。そして、給紙部60は、給紙カセット62に収容された用紙をピックアップローラ64により1枚単位で取り出し、次に説明する用紙搬送路54へ供給する。
【0040】
用紙搬送路54は、給紙部60から転写ニップ部Ntおよび定着ニップ部Nfを介して排紙トレイ66への排紙口68へ至るように設けられる。そして、用紙搬送路54の適宜の位置には、給紙部60から供給された用紙を排紙口68へ向けて当該用紙搬送路54に沿って搬送させるための複数の搬送ローラ(厳密にはローラ対)70,70,…が設けられる。なお、各搬送ローラ70,70,…のうち、用紙搬送路54における用紙の搬送方向の転写ニップ部Ntよりも上流側であって、当該転写ニップ部Ntに最も近い位置に設けられた搬送ローラ70aは、用紙を転写ニップ部Ntへ突入させるタイミングを計るためのレジストローラ(「ペーパストップローラ」と呼ばれることもある。)である。また、各搬送ローラ70,70,…のうち、用紙搬送路54における用紙の搬送方向の最下流側に設けられた、つまり排紙口68の近傍に設けられた、搬送ローラ70bは、当該排紙口68を介して排紙トレイ66へ用紙を排出するための排紙ローラである。排紙トレイ66は、画像読取部12と画像形成部26との間の胴内空間に設けられるが、これに限定されない。
【0041】
加えて、画像形成装置10内には、両面印刷用の反転搬送路72が設けられる。この反転搬送路72は、一旦、定着ニップ部Nfを通過した用紙を、つまり印刷済の用紙を、取り込んで、改めて当該用紙を画像形成部26による印刷に供するための搬送路である。すなわち、反転搬送路72に取り込まれた用紙は、当該反転搬送路72を経由して改めて用紙搬送路54に供給され、詳しくは用紙搬送路54における用紙の搬送方向のレジストローラ74aよりも上流側の位置に供給される。これにより、レジストローラ74aの上流側の位置に供給される用紙は、その表裏が反転された状態となる。そして、この表裏が反転された用紙に対して改めて印刷が行われ、いわゆる両面印刷が実現される。この両面印刷用の反転搬送路72の適宜の位置にも、当該反転搬送路72に沿って用紙を搬送させるための搬送ローラ74が設けられる。
【0042】
さらに、画像形成装置10の右側面には、給紙部60を構成する手差しトレイ76が設けられる。この手差しトレイ76には、複数枚の用紙が積層状に載置(セット)可能である。給紙部60は、この手差しトレイ76が用紙の供給元として指定された場合は、当該手差しトレイ76から用紙を1枚単位で用紙搬送路54へ供給する。
【0043】
併せて、給紙部60は、不図示のオプションの給紙カセットを有する場合がある。このオプションの給紙カセットは、給紙カセット62の下方に設けられる。そして、給紙部60は、オプションの給紙カセットが用紙の供給元として指定された場合は、当該オプションの給紙カセットから用紙を1枚単位で用紙搬送路54へ供給する。なお、オプションの給紙カセットからの用紙を用紙搬送路54へ供給するためのオプション用搬送ローラ78が適宜の位置に設けられる。
【0044】
さて、現像装置50に注目すると、当該現像装置50は、図2に示されるように、第1室502および第2室504という2つの空間から成る収容部506を有する。この収容部506は、現像装置50の筐体50aにより形成される。そして、収容部506には、前述の如く2成分系の現像剤が収容される。
【0045】
図2におけるA-A端面を示す図3を併せて参照して、収容部506を成す第1室502および第2室504は、互いに平行を成して延伸する細長い空間である。これら第1室502および第2室504は、仕切り壁508によって互いに仕切られるとともに、それぞれの両端部付近に設けられた2つの連通部510および512を介して互いに連通する。そして、第1室502には、第1搬送スクリュー514が設けられ、第2室504には、第2搬送スクリュー516が設けられる。
【0046】
第1搬送スクリュー514は、本開示に係る搬送部材の一例であり、金属製の細長い丸棒状の軸部(スクリュー軸)518と、当該軸部518の外周に設けられた螺旋状の羽根部520と、を有するオーガスクリューである。厳密に言えば、第1搬送スクリュー514は、軸部518と、羽根部520を含む羽根部材522と、により構成される。羽根部材522は、細長い円柱状の中空芯部524と、当該中空芯部524の外周に設けられた羽根部520とが、硬質樹脂により一体に形成された成型部材である。そして、羽根部材522の中空芯部524の中空部に軸部518が挿通されることで、第1搬送スクリュー514が構成される。
【0047】
この第1搬送スクリュー514の軸部518の一方端部、たとえば後方側端部、の近傍は、軸受526により回転可能に支持される。そして、軸部518の他方端部、つまり前方側端部、もまた、軸受528により回転可能に支持される。さらに、軸部518の後方側端部には、第1駆動力受動手段としてのギア(平ギア)530が設けられる。
【0048】
第2搬送スクリュー516もまた、本開示に係る搬送部材の一例であり、金属製の細長い丸棒状の軸部532と、当該軸部532の外周に設けられた螺旋状の羽根部534と、を有するオーガスクリューである。厳密に言えば、第2搬送スクリュー516は、軸部532と、羽根部534を含む羽根部材536と、により構成される。羽根部材536は、細長い円柱状の中空芯部538と、当該中空芯部538の外周に設けられた羽根部534とが、硬質樹脂により一体に形成された成型部材である。そして、羽根部材536の中空芯部538の中空部に軸部532が挿通されることで、第2搬送スクリュー516が構成される。
【0049】
この第2搬送スクリュー516の軸部532の一方端部、たとえば後方側端部、の近傍は、軸受540により回転可能に支持される。そして、軸部532の他方端部、つまり前方側端部、もまた、軸受542により回転可能に支持される。さらに、軸部532の後方側端部には、第2駆動力受動手段としてのギア(平ギア)544が設けられる。
【0050】
第1駆動力受動手段としてのギア530と、第2駆動力受動手段としてのギア544とは、互いに噛み合った状態にあり、後述する現像用駆動手段としての現像用モータ546からの駆動力を受けて、厳密には不図示の駆動力伝達手段としての適当なギアを介して当該駆動力を受けて、互いに反対の方向へ回転する。これにより、第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516が、互いに反対の方向へ回転駆動される。
【0051】
このようにして回転駆動される第1搬送スクリュー514に注目すると、当該第1搬送スクリュー514が回転駆動されることで、第1室502内の現像剤が図3に太実線の矢印100で示される方向へ、つまり後方から前方へ向けて、撹拌されながら搬送される。これにより、第1室502内の現像剤が適当に均されるとともに、当該現像剤に含まれるトナーおよびキャリアが適当に帯電される。そして、第1室502内を後方から前方へ向けて搬送された現像剤は、前方側の連通部510を介して第1室502内から第2室504内へ送られる。
【0052】
なお、第1搬送スクリュー514の前方側には、羽根部520とは巻き方向が反対の逆巻き羽根548が設けられ、厳密には当該逆巻き羽根548を有する羽根部材550が設けられる。併せて、羽根部材550の逆巻き羽根548が設けられた部分よりもさらに前方側には、当該逆巻き羽根548とは巻き方向が反対のトリクル排出用羽根551が設けられる。このトリクル排出用羽根551は、当該トリクル排出用羽根551よりも前方側に設けられた不図示のトリクル排出口と協働して、収容部506内の古い現像剤を不図示の廃トナーボックスへ排出するための公知のトリクル排出を行うトリクル排出部を構成する。すなわち、第1搬送スクリュー514により第1室502内を矢印100で示される方向へ搬送される現像剤の一部(オーバフロー分)は、逆巻き羽根548を乗り越えて、トリクル排出用羽根551が設けられたトリクル排出部へ送られ、トリクル排出口を介して廃トナーボックスへ排出される。その際に、トリクル排出部へ送られる現像剤の量が、言わばトリクル排出量が、逆巻き羽根548によって抑制(制御)される。逆巻き羽根548の巻き数は、たとえば2~3であり、トリクル排出用羽根551の巻き数は、たとえば5~6であるが、これらの数に限らない。
【0053】
また、第2搬送スクリュー516に注目すると、当該第2搬送スクリュー516が回転駆動されることで、第2室504内の現像剤が図3に太実線の矢印102で示される方向へ、つまり前方から後方へ向けて、撹拌されながら搬送される。これにより、第2室504内の現像剤が適当に均されるとともに、当該現像剤に含まれるトナーおよびキャリアが適当に帯電される。そして、第2室504内を前方から後方へ向けて搬送された現像剤は、後方側の連通部512を介して第2室504内から第1室502内へ送られる。
【0054】
なお、第2搬送スクリュー516の後方側には、羽根部534とは巻き方向が反対の逆巻き羽根552が設けられ、厳密には羽根部材536により当該逆巻き羽根552が形成される。このような逆巻き羽根552が設けられることで、第2室504内を前方から後方へ向けて搬送された現像剤が前方側へ適度に押し戻される。これにより、後方側の軸受540に現像剤が押し寄せることによる過度な圧力が掛かり、ひいては当該軸受540内に現像剤が侵入するのが、抑制される。この第2搬送スクリュー516の逆巻き羽根552の巻き数は、たとえば1であるが、これに限らない。
【0055】
すなわち、現像剤は、第1室502および第2室504という2つの空間の間を2つの連通部510および512を介してループ状に(図3において反時計回りに)巡回する。なお、現像剤がループ状の巡回経路を一周(一巡)するのに要する時間は、第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516それぞれの回転速度などの諸状況にもよるが、たとえば3秒間~4秒間程度である。
【0056】
そして特に、現像剤は、第2室504内を搬送される際に、当該第2室504の上方に設けられた現像ローラ560の表面(外周面)に吸着される。そのために、現像ローラ560は、不図示の磁石を内蔵する。この現像ローラ560は、自身の表面を感光体ドラム46の表面に近接させた状態で設けられる。そして、現像ローラ560は、現像用駆動手段としての現像用モータ546(図10参照)からの駆動力を受けて回転する。これに伴い、現像ローラ560の表面に吸着された現像剤が感光体ドラム46の表面の近傍にまで運ばれる。すると、現像ローラ560の表面の現像剤のうちのトナーのみが感光体ドラム46の表面の静電潜像に付着する。これにより、静電潜像がトナー像に顕像化され、つまり現像処理が行われる。このとき、現像ローラ560には、不図示の現像バイアス電源から適当な現像バイアス電圧が印加される。その後、現像ローラ560の表面の現像剤は、さらに第2室504へ向けて運ばれ、当該第2室504に戻される。第2室504に戻された現像剤は、改めて前述の如くループ状に巡回する。
【0057】
なお前述したように、現像装置50による現像処理が行われることによって、収容部506内の現像剤に含まれるトナーが消費される。このトナーの消費分を補うとともに、古いキャリアを新しいものと入れ替えるために、トナー補給装置37(トナーカートリッジ59)から収容部506へ、詳しくは第1室502へ、現像剤が補給される。
【0058】
ここで、第2搬送スクリュー516(軸部532)の後方側に設けられた軸受540に注目すると、この軸受540は、図4に示されるように、軸受筐体200、焼結管210およびゴムシール220を有する。
【0059】
軸受筐体200は、硬質樹脂により形成された成型部材であり、概略円筒状の円筒部202と、この円筒部202の一方端側の開口部周縁に設けられたフランジ部204と、を有する。フランジ部204は、円筒部202の半径方向へ突出するように設けられた概略鍔状の要素である。また、円筒部202の中空部206内の側壁には、当該中空部206の内側(中心軸)へ向かって突出した概略環状の仕切り部208が設けられる。
【0060】
焼結管210は、円筒状に形成された金属製の焼結体である。この焼結管210は、図4に白抜きの矢印230で示されるように、軸受筐体200のフランジ部204が設けられている側から当該軸受筐体200(円筒部202)の中空部206内に挿入される。この軸受筐体200の中空部206内に挿入された焼結管210は、当該中空部206内と嵌合し、つまりはそうなるように構成される。
【0061】
ゴムシール220は、概略環状のゴム製のシール部材であり、図4に白抜きの矢印240で示されるように、軸受筐体200のフランジ部204が設けられていない側から当該軸受筐体200(円筒部202)の中空部206内に挿入される。この軸受筐体200の中空部206内に挿入されたゴムシール220は、当該中空部206内と嵌合し、つまりはそうなるように構成される。
【0062】
なお、軸受筐体200の中空部206内に挿入された焼結管210およびゴムシール220は、互いに干渉することのないように、仕切り部208によって仕切られる。また、軸受筐体200の中空部206と、焼結管210の中空部212と、ゴムシール220の中空部222とは、互いに連通することで、第2搬送スクリュー516の軸部532を挿通させるための一連の挿通孔250を構成する。
【0063】
すなわち、図5に示されるように、軸受540の挿通孔250に第2搬送スクリュー516の軸部532が挿通されることで、当該軸受540を含む第2搬送スクリュー516が軸受540によって回転可能に支持される。なお、軸受540は、厳密には軸受筐体200および焼結管210は、本開示に係る軸受部材の一例である。他の軸受526,528および542についても、これと同様の構成である。
【0064】
そして、軸受540は、現像装置50の筐体50aに固定され、厳密には図6に示される如く固定部材570を介して筐体50aに固定される。そのために、固定部材570には、軸受540(円筒部202)を嵌合させるための貫通孔である嵌合孔572が設けられる。
【0065】
これと同様に、第1搬送スクリュー514の後方側に設けられた軸受526もまた、固定部材570を介して筐体50aに固定される。そのために、固定部材570には、軸受526を嵌合させるための貫通孔である嵌合孔574が設けられる。なお、軸受526は、軸受540と同様の軸受筐体200a、焼結管210aおよびゴムシール220aを有する。
【0066】
その上で、たとえば第2搬送スクリュー516に注目すると、当該第2搬送スクリュー516が前述の如く回転駆動されることで、第2室504内の現像剤が図6に一点鎖線の矢印110で示される方向へ、つまり前方から後方へ向かって、搬送される。このとき、軸受540内に、詳しくは軸受540による軸部532の支持部分に、より詳しくは焼結管210の内周面と軸部532の外周面との間に、現像剤が侵入することが懸念されるが、ゴムシール220により当該現像剤の侵入が防止される。そのために、ゴムシール220の中空部222(図4参照)の内径と、軸部532の外径と、の締め代が、適当に設定(設計)される。また、軸受540の近傍にまで搬送された現像剤は、当該軸受540の近傍において、図6に破線の矢印112で示される如く逆巻き羽根552によって前方側へ適度に押し戻されるので、軸受540内への現像剤の侵入がより確実に防止される。
【0067】
一方、第1搬送スクリュー514に注目すると、当該第1搬送スクリュー514が前述の如く回転駆動されることで、第1室502内の現像剤が図6に二点鎖線の矢印114で示される方向へ、つまり後方から前方へ向かって、搬送される。併せて、第2室504内から第1室502内へ現像剤が送られることで、軸受526内に、詳しくは軸受526による軸部518の支持部分に、より詳しくは焼結管210aの内周面と軸部518の外周面との間に、現像剤が侵入することが懸念されるが、ゴムシール220aにより当該現像剤の侵入が防止される。
【0068】
改めて軸受540に注目すると、当該軸受540のゴムシール220は、適度な締め代により第2搬送スクリュー516の軸部532と接触するが、この接触部分が軸部532の回転に伴って互いに摺擦することに起因して、異音が発生し、言わば音鳴きが生ずることがある。この音鳴きという現象を精微に観察したところ、周囲の温度θと相対湿度Hrとに応じて、詳しくは当該周囲の温度θと相対湿度Hrとに従う絶対湿度Haが高い(大きい)ほど、より詳しくは絶対湿度Haが17g/m以上である場合に、音鳴きが生じ易い傾向にあることが、判明した。その一方で、ゴムシール220と軸部532との接触部分に適量の現像剤が入り込むことで、音鳴きが防止されることが、つまり当該現像剤が音鳴きを防止するための潤滑剤として作用することが、判明した。これらのことは、他の軸受526,528および542についても、同様である。
【0069】
そこで、本第1実施例においては、音鳴きが生じる可能性がある場合に、詳しくは絶対湿度Haが所定の湿度閾値Hs(Ha≧Hs)以上であることを含む所定条件が満足された場合に、第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516のそれぞれが現像処理時とは逆方向へ所定の逆回転時間Txにわたって回転駆動される。この言わば逆回転処理が行われることによって、音鳴きの防止が図られる。
【0070】
すなわち、図7を参照して、たとえば第1搬送スクリュー514に注目すると、当該第1搬送スクリュー514が現像処理時とは逆方向へ回転駆動されることで、第1室502内の現像剤が図7に二点鎖線の矢印120で示される方向へ、つまり前方から後方へ向かって、搬送される。この逆回転処理が逆回転時間Txという限られた時間にわたって行われることで、軸受526に現像剤が押し寄せることによる圧力が適度に掛かり、当該軸受526のゴムシール220aと第1搬送スクリュー514の軸部518との接触部分に現像剤が適度に入り込む。このゴムシール220aと軸部518との接触部分に入り込んだ現像剤が潤滑剤として作用することで、当該接触部分における音鳴きの発生が防止される。併せて、ゴムシール220aの劣化速度が低減され、換言すれば当該ゴムシール220aの寿命の延伸化が図られる。
【0071】
また、第2搬送スクリュー516に注目すると、当該第2搬送スクリュー516が現像処理時とは逆方向へ回転駆動されることで、第2室504内の現像剤の多くが図7に一点鎖線の矢印122で示される方向へ、つまり後方から前方へ向かって、搬送される。その一方で、軸受540の近傍においては、当該軸受540の近傍にある現像剤が図7に破線の矢印124で示される如く逆巻き羽根552によって後方へ、つまり軸受540に向けて、搬送される。これにより、軸受540に現像剤が押し寄せることによる圧力が適度に掛かり、当該軸受540のゴムシール220と第2搬送スクリュー516の軸部532との接触部分に現像剤が適度に入り込む。このゴムシール220と軸部532との接触部分に入り込んだ現像剤が潤滑剤として作用することで、当該接触部分における音鳴きの発生が防止される。併せて、ゴムシール220の劣化速度が低減され、換言すれば当該ゴムシール220の寿命の延伸化が図られる。
【0072】
これらのことは、他の軸受528および542についても、同様であるが、その詳しい説明は、省略する。
【0073】
なお、湿度閾値Hsは、たとえば17g/mとされる。これは、前述の如く絶対湿度Haが17g/m以上である場合に、音鳴きが生じ易い傾向にあることによる。
【0074】
また、絶対湿度Haは、周囲の温度θおよび相対湿度Hrから導出され、詳しくは当該温度θおよび相対湿度Hrを変数とする次の式1から導出される。
【0075】
《式1》
Ha=f(θ,Hr)
【0076】
この式1における温度θは、画像形成装置10(の筐体)内の適当な箇所に設けられた温度検出手段としての温度センサ310a(図10参照)によって検出され、つまり当該温度センサ310aによる温度検出値が式1における温度θとして適用される。そして、式1における相対湿度Hrは、画像形成装置10内の適当な箇所に設けられた相対湿度検出手段としての湿度センサ310b(図10)参照によって検出され、つまり当該湿度センサ310bによる湿度検出値が式1における相対湿度Hrとして適用される。
【0077】
図8は、温度θおよび相対湿度Hrに応じた絶対湿度Haの一覧表であり、いわゆる絶対湿度表である。この図8において、網掛け模様が付された領域は、絶対湿度Haが湿度閾値Hs(17g/m)以上となる温度θおよび相対湿度Hrの領域を示す。すなわち、温度θおよび相対湿度Hrが網掛け模様の領域に該当する関係にあるときに、絶対湿度Haが湿度閾値Hs以上となる。
【0078】
さらに、ここで言う逆回転時間Txは、数秒間程度が適当であり、たとえば5秒間とされる。この逆回転時間Txが過度に短いと、現像剤が音鳴きを防止するための潤滑剤として作用し得ない。一方、逆回転時間Txが過度に長いと、それぞれの軸受526,528,540および542内に(たとえば軸受526については、焼結管210aの内周面と軸部518の外周面との間に)現像剤が侵入する虞がある。このことから、逆回転時間Txは、数秒間程度が適当であり、たとえば5秒間とされる。
【0079】
加えて、逆回転処理は、頻繁に行われる必要はなく、換言すれば適当な時間を置いて行われれば足りる。これは、音鳴きを防止するための潤滑剤として作用する現像剤の効力が相応の時間にわたって維持されるからである。このため、絶対湿度Haが湿度閾値Hs以上であるとしても、前回の逆回転処理が行われてからの経過時間Teが所定の第1時間T1を超える(Te>T1)までは、逆回転処理は行われない。言い換えれば、前回の逆回転処理が行われてからの経過時間Teが第1時間T1を超えることもまた、前述の所定条件に含まれる。なお、第1時間T1は、数日間に相当する程度の時間とされ、たとえば120時間とされる。
【0080】
さらに加えて、現像装置50による現像処理が頻繁に行われていない場合には、換言すれば第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516のそれぞれが頻繁に回転駆動されてない場合には、音鳴きを防止するための潤滑剤として作用する現像剤の効力が十分に維持されていると考えられることから、逆回転処理は行われる必要はない。このため、絶対湿度Haが湿度閾値Hs以上であるとしても、また、前回の逆回転処理が行われてからの経過時間Teが所定の第1時間T1を超えたとしても、前回の逆回転処理の実行後に現像処理が行われた時間の累積値である累積現像時間Tdが所定の第2時間T2を超える(Td>T2)までは、逆回転処理は行われない。言い換えれば、累積現像時間Tdが第2時間T2を超えることもまた、前述の所定条件に含まれる。なお、第2時間T2は、数時間程度が適当であり、つまり前述の第1時間T1よりも短く(T2<T1)、たとえば1時間とされる。
【0081】
そして当然に、逆回転処理は、現像処理の実行中は、換言すれば現像装置50の動作中は、行われない。すなわち、現像装置50の動作中でないこともまた、前述の所定条件に含まれる。
【0082】
要するに、現像装置50の動作中でないこと、絶対湿度Haが湿度閾値Hs以上であること、前回の逆回転処理が行われてからの経過時間Teが第1時間T1を超えたこと、および、累積現像時間Tdが第2時間T2を超えたこと、を含む所定条件が満足された場合に、逆回転処理が行われる。
【0083】
また、逆回転処理が行われた後、第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516のそれぞれが現像処理時と同じ方向へ所定の正回転時間Tyにわたって回転駆動される。この言わば正回転処理が行われることによって、収容部506(第1室502および第2室504)内の現像剤が均され、来たる現像処理に備えられ、たとえば当該現像処理が開始されるまでの準備時間の短縮化が図られる。なお、正回転時間Tyは、収容部506内の現像剤を均すのに必要かつ十分な時間であり、たとえば30秒間とされる。
【0084】
すなわち、図9に示されるように、逆回転処理が逆回転時間Txにわたって行われた後、正回転処理が正回転時間Tyにわたって行われる。したがって厳密に言えば、前述の所定条件が満足された場合に、逆回転処理および正回転処理を含む言わば回転制御処理が行われる。
【0085】
ここで、図10を参照して、画像形成装置10の電気的な構成について説明する。
【0086】
図10に示されるように、画像形成装置10は、制御部300を有する。そして、制御部300に、バス302を介して、画像読取部12、自動原稿送り装置18、画像形成部26および給紙部60が接続される。併せて、制御部300に、バス302を介して、操作ユニット304、補助記憶部306、通信部308、温湿度検出部310などが接続される。なお、画像形成装置10は、これら以外にも、種々の要素を備えるが、ここでは、本開示の本旨に直接的に関係しない要素についての図示および説明は省略してある。また、画像読取部12、自動原稿送り装置18、画像形成部26および給紙部60については、前述した通りある。特に、画像形成部26は、現像装置50および現像用モータ546を有する。
【0087】
制御部300は、画像形成装置10全体の制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部300は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU300aを、有する。併せて、制御部300は、CPU300aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部300bを有する。主記憶部300bは、たとえば不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU300aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。そして、RAMは、CPU300aが制御プログラムに従う処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0088】
操作ユニット304は、不図示のタッチパネル付きのディスプレイを有する。タッチパネル付きのディスプレイは、不図示のユーザによる操作を受付可能な操作受付手段の一例としてのタッチパネルと、各種の情報を表示する表示手段の一例としてのディスプレイと、が一体的に組み合わされた構成品である。また、操作ユニット304は、タッチパネル付きのディスプレイの他に、不図示のLEDなどの適宜の発光手段、および、不図示の押しボタンなどの適宜のハードウェアスイッチを有する。
【0089】
補助記憶部306は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部306には、前述の読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部306は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。併せて、補助記憶部306は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0090】
通信部308は、通信手段の一例である。すなわち、通信部308は、不図示のLAN回線を介しての双方向の通信処理を担う。なお、通信部308は、LAN回線と有線により接続されてもよいし、無線により接続されてもよい。また、通信部308は、不図示の公衆交換電話網を介しての双方向の通信処理をも担う。
【0091】
温湿度検出部310は、前述の温度センサ310aおよび湿度センサ310bを有する。この温湿度検出部310h、本開示に係る検出手段の一例である。なお、温度センサ310aおよび湿度センサ310bは、画像形成装置10内に設けられが、これに限らず、画像形成装置10の外部(周囲)に設けられてもよい。
【0092】
前述したように、本第1実施例によれば、現像装置50の動作中でないこと、絶対湿度Haが湿度閾値Hs以上であること、前回の逆回転処理が行われてからの経過時間Teが第1時間T1を超えたこと、および、累積現像時間Tdが第2時間T2を超えたこと、を含む所定条件が満足された場合に、逆回転処理と正回転処理とを含む回転制御処理が行われる。そのために、CPU300aは、前述の制御プログラムに従って、厳密には当該制御プログラムに含まれる保全管理プログラムに従って、保全管理タスクを実行する。併せて、CPU300aは、制御プログラムに含まれる回転制御プログラムに従って、回転制御タスクを実行する。
【0093】
このうちのまず、保全管理タスクについて、説明する。この保全管理タスクの流れを、図11に示す。なお、保全管理タスクは、比較的に短い周期で、たとえば1秒間という周期で、繰り返し実行される。
【0094】
この保全管理タスクによれば、CPU300aは、ステップS1において、現像装置50が非動作中であるかどうかを、換言すれば当該現像装置50が動作中であるかどうかを、判定する。ここで、現像装置50が動作中である場合(S1:NO)、CPU300aは、一旦、保全管理タスクを終了する。一方、現像装置50が動作中でない場合は(S1:YES)、CPU300aは、処理をステップS3へ進める。
【0095】
ステップS3において、CPU300aは、温度センサ310aによる温度検出値から温度θを確認するとともに、湿度センサ310bによる湿度検出値から相対湿度Hrを確認する。そして、CPU300aは、処理をステップS5へ進める。
【0096】
ステップS5において、CPU300aは、S3で確認された温度θおよび相対湿度Hrに基づいて、つまり当該温度θおよび相対湿度Hrを前述の式1に適用することで、絶対湿度Haを導出する。そして、CPU300aは、処理をステップS7へ進める。
【0097】
ステップS7において、CPU300aは、ステップS5で導出された絶対湿度Haと湿度閾値Hsとを比較する。ここで、絶対湿度Haが湿度閾値Hs以上である場合(S7:YES)、CPU300aは、処理をステップS9へ進める。一方、絶対湿度Haが湿度閾値Hs未満である場合は(S7:NO)、CPU300aは、一旦、保全管理タスクを終了する。
【0098】
ステップS9において、CPU300aは、前回の逆回転処理が行われてからの、厳密には前回の回転制御タスクが実行されてからの、経過時間Teを、確認する。なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、画像形成装置10は、経過時間Teを計測するためのタイマを有し、CPU300aは、ステップS9において、当該タイマにより計測された経過時間Teを確認する。この経過時間Teを計測するためのタイマは、たとえばCPU300aにより構成されるソフトウェアタイマであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアタイマであってもよい。また、経過時間Teを計測するためのタイマは、保全管理タスクが最初に実行されるときに、換言すれば画像形成装置10が起動(電源オン)された直後に実行される初期設定処理において、リセットされた上で、当該経過時間Teの計測を開始する。このステップS9の実行後、CPU300aは、処理をステップS11へ進める。
【0099】
ステップS11において、CPU300aは、ステップS9で確認された経過時間Teと第1時間T1とを比較する。ここで、経過時間Teが第1時間T1を超えている場合(S11:YES)、CPU300aは、処理をステップS13へ進める。一方、経過時間Teが第1時間T1を超えていない場合は(S11:NO)、CPU300aは、一旦、保全管理タスクを終了する。
【0100】
ステップS13において、CPU300aは、前回の逆回転処理の実行後に、厳密には前回の回転制御タスクの実行後に、現像処理が行われた時間の累積値である累積現像時間Tdを、確認する。なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、画像形成装置10は、累積現像時間Tdを計測するためのタイマを有し、CPU300aは、ステップS13において、当該タイマにより計測された累積現像時間Tdを確認する。この累積現像時間Tdを計測するためのタイマは、たとえばCPU300aにより構成されるソフトウェアタイマであるが、適当なハードウェア要素により構成されるハードウェアタイマであってもよい。また、累積現像時間Tdを計測するためのタイマは、保全管理タスクが最初に実行されるときに、換言すれば画像形成装置10が起動された直後に実行される初期設定処理において、リセットされた上で、当該累積現像時間Tdの計測を開始する。このステップS13の実行後、CPU300aは、処理をステップS15へ進める。
【0101】
ステップS15において、CPU300aは、ステップS13で確認された累積現像時間Tdと第2時間T2とを比較する。ここで、累積現像時間Tdが第2時間T2を超えている場合(S15:YES)、CPU300aは、所定条件が満足されたものと認識して、処理をステップS17へ進める。一方、累積現像時間Tdが第2時間T2を超えていない場合は(S15:NO)、CPU300aは、一旦、保全管理タスクを終了する。
【0102】
ステップS17において、CPU300aは、回転制御処理を行うべく、回転制御タスクの実行を開始して、一旦、保全管理タスクを終了する。なお、回転制御タスクについては、次に説明する。
【0103】
回転制御タスクの流れを、図12に示す。この回転制御タスクによれば、CPU300aは、ステップS101において、逆回転時間Txにわたって逆回転処理を実行し、つまりは当該逆回転処理が実行されるように現像用モータ546を制御する。そして、CPU300aは、処理をステップS103へ進める。
【0104】
ステップS103において、CPU300aは、正回転時間Tyにわたって正回転処理を実行し、つまりは当該正回転処理が実行されるように現像用モータ546を制御する。そして、CPU300aは、処理をステップS105へ進める。
【0105】
ステップS105において、CPU300aは、経過時間Teを計測するための前述のタイマをリセットする。リセットされたタイマは、経過時間Teの計測を改めて開始する。そして、CPU300aは、処理をステップS107へ進める。
【0106】
ステップS107において、CPU300aは、累積現像時間Tdを計測するための前述のタイマをリセットする。リセットされたタイマは、累積現像時間Tdの計測を改めて開始する。このステップS107の実行をもって、CPU300aは、回転制御タスクを終了する。
【0107】
このように、本第1実施例によれば、現像装置50の動作中でないこと、絶対湿度Haが湿度閾値Hs以上であること、前回の逆回転処理が行われてからの経過時間Teが第1時間T1を超えたこと、および、累積現像時間Tdが第2時間T2を超えたこと、を含む所定条件が満足された場合に、逆回転処理と正回転処理とを含む回転制御処理が行われる。特に、逆回転処理が行われることによって、現像装置50の各軸受526,528,540および542における音鳴きの発生が防止される。その上で、正回転処理が行われることによって、収容部506内のトナーが均され、来たる現像処理に備えられる。
【0108】
なお、絶対湿度Haについては、式1に基づくのではなく、たとえば図8に示される絶対湿度表のような一覧がデータ化されたルックアップテーブルが設けられ、このルックアップテーブルに基づいて、導出されてもよい。
【0109】
また、逆回転時間Txについては、5秒間とされたが、これに限らず、第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516それぞれの回転速度などの諸状況に応じて適宜に定められるのが、適当である。これと同様に、正回転時間Tyについても、30秒間とされたが、これに限らず、諸状況に応じて適宜に定められるのが、適当である。
【0110】
さらに極端に言えば、正回転処理については、設けられなくてもよい。ただし、収容部506内のトナーを均して、来たる現像処理に備えることを考慮すると、正回転処理は設けられるのが、好ましい。
【0111】
本第1実施例における現像用モータ546は、本開示に係る駆動手段の一例である。そして、保全管理タスクおよび回転制御タスクを実行するCPU300aは、本開示に係る駆動制御手段の一例である。
【0112】
[第2実施例]
次に、本開示の第2実施例について、説明する。
【0113】
前述の第1実施例においては、逆回転時間Txが一定(たとえば5秒間)とされたが、本第2実施例においては、絶対湿度Haに応じて当該逆回転時間Txが設定(変更)される。
【0114】
すなわち前述したように、現像装置50の各軸受526,528,540および542における音鳴きは、絶対湿度Haが高い(大きい)ほど生じ易い傾向にある。そこで、本第2実施例においては、絶対湿度Haに応じて逆回転時間Txが設定され、詳しくは当該絶対湿度Haが高いほど逆回転時間Txが長めに設定される。
【0115】
より具体的には、図13に示されるような逆回転時間テーブル400が設けられる。この逆回転時間テーブル400によれば、たとえば絶対湿度Haが17g/m以上かつ20g/m未満である場合には、逆回転時間Txが5秒間に設定される。そして、絶対湿度Haが20g/m以上かつ30g/m未満である場合には、逆回転時間Txが6秒間に設定される。さらに、絶対湿度Haが30g/m以上かつ40g/m未満である場合には、逆回転時間Txが7秒間に設定される。そして、絶対湿度Haが40g/m以上である場合には、逆回転時間Txが8秒間に設定される。これらの値は、一例であり、これに限定されない。また、逆回転時間テーブル400は、たとえば制御プログラムに組み込まれるが、これに限らず、言わばオプションとして別のプログラム(オプションプログラム)に組み込まれてもよい。
【0116】
そして、本第2実施例においても、CPU300aは、保全管理タスクを実行するとともに、回転制御タスクを実行するが、保全管理タスクについては、第1実施例と同様の流れで実行される。一方、回転制御タスクについては、図14に示されるような流れで実行される。
【0117】
すなわち、本第2実施例における回転制御タスクによれば、CPU300aは、ステップS201において、絶対湿度Haに応じた逆回転時間Txを設定する。このとき、CPU300aは、保全管理タスクのステップS5で導出された絶対湿度Haを逆回転時間テーブル400と照合することで、当該絶対湿度Haに応じた逆回転時間Txを設定する。そして、CPU300aは、処理をステップS203へ進める。
【0118】
ステップS203において、CPU300aは、ステップS201で設定された逆回転時間Txにわたって逆回転処理を実行し、つまりは当該逆回転処理が実行されるように現像用モータ546を制御する。そして、CPU300aは、処理をステップS205へ進める。
【0119】
これ以降、CPU300aは、第1実施例における回転制御タスクのステップS103~ステップS107と同様の要領で、ステップS205~ステップS209を実行する。これらステップS205~ステップS209については、その説明を省略する。
【0120】
このように、本第2実施例によれば、絶対湿度Haに応じて逆回転時間Txが設定され、つまり当該絶対湿度Haに応じた長さの逆回転時間Txにわたって逆回転処理が行われる。したがって、現像装置50の各軸受526,528,540および542における音鳴きの発生がより確実に防止される。
【0121】
[第3実施例]
次に、本開示の第3実施例について、説明する。
【0122】
本第3実施例においては、回転制御処理として、逆回転処理と正回転処理とが交互に複数回にわたって繰り返される、言わば繰り返し処理が行われる。
【0123】
具体的には、図15に示されるように、逆回転処理が所定の逆回転時間Tx’にわたって行われた後、正回転処理が所定の正回転時間Ty’にわたって行われ、これが交互にN(N:2以上の整数)回にわたって繰り返される。なお、図15は、繰り返し回数の規定値Nが3である場合の例を示す。
【0124】
ここで、逆回転時間Tx’は、繰り返し回数の規定値Nによって適宜に定められる。たとえば、繰り返し回数の規定値Nが3である場合は、逆回転時間Tx’は2秒間とされる。この場合、1回の回転制御処理(繰り返し処理)における逆回転時間Tx’の合計は、6秒間となり、第1実施例における逆回転時間Tx’(たとえば5秒間)とおおむね同等になる。これにより、第1実施例において逆回転処理が行われるのと同様の効果が、つまり現像装置50の各軸受526,528,540および542における音鳴きを防止することができるという効果が、発揮される。
【0125】
また、正回転時間Ty’も同様に、繰り返し回数の規定値Nによって適宜に定められる。たとえば、繰り返し回数の規定値Nが3である場合は、正回転時間Ty’は10秒間とされる。この場合、1回の回転制御処理における正回転時間Ty’の合計は、30秒間となり、第1実施例における正回転時間Ty’(たとえば30秒間)と同等になる。これにより、第1実施例において正回転処理が行われるのと同様の効果が、つまり現像装置50の収容部506内の現像剤が均されるという効果が、発揮される。
【0126】
本第3実施例においても、CPU300aは、保全管理タスクを実行するとともに、回転制御タスクを実行するが、保全管理タスクについては、第1実施例と同様の流れで実行される。一方、回転制御タスクについては、図16に示されるような流れで実行される。
【0127】
すなわち、本第3実施例における回転制御タスクによれば、CPU300aは、ステップS301において、逆回転処理と正回転処理との繰り返し回数のカウント値nに、その初期値としての1という値を設定する。そして、CPU300aは、処理をステップS303へ進める。
【0128】
ステップS303において、CPU300aは、逆回転時間Tx’にわたって逆回転処理を実行し、つまりは当該逆回転処理が実行されるように現像用モータ546を制御する。そして、CPU300aは、処理をステップS305へ進める。
【0129】
ステップS305において、CPU300aは、正回転時間Ty’にわたって正回転処理を実行し、つまりは当該正回転処理が実行されるように現像用モータ546を制御する。そして、CPU300aは、処理をステップS307へ進める。
【0130】
ステップS307において、CPU300aは、繰り返し回数のカウント値nと当該繰り返し回数の規定値Nとを比較する。ここで、繰り返し回数のカウント値nが当該繰り返し回数の規定値Nに達していない場合(S307:NO)、CPU300aは、処理をステップS309へ進める。一方、繰り返し回数のカウント値nが当該繰り返し回数の規定値Nに達した場合(S307:YES)は、CPU300aは、処理を後述するステップS311へ進める。
【0131】
ステップS309において、CPU300aは、繰り返し回数のカウント値nをインクリメントする。そして、CPU300aは、処理をステップS303へ戻す。
【0132】
これに対して、CPU300aは、処理をステップS307からステップS311へ進めた場合、当該ステップS311において、前述の経過時間Teを計測するためのタイマをリセットする。リセットされたタイマは、経過時間Teの計測を改めて開始する。そして、CPU300aは、処理をステップS313へ進める。
【0133】
ステップS313において、CPU300aは、前述の累積現像時間Tdを計測するためのタイマをリセットする。リセットされたタイマは、累積現像時間Tdの計測を改めて開始する。このステップS313の実行をもって、CPU300aは、回転制御タスクを終了する。
【0134】
このように、本第3実施例によれば、回転制御処理として繰り返し処理が行われ、つまり逆回転処理と正回転処理とが交互に複数回にわたって繰り返される。このような第3実施例によっても、第1実施例と同様に、現像装置50の各軸受526,528,540および542における音鳴きの発生が防止されるとともに、収容部506内のトナーが均される。
【0135】
なお、本第3実施例における逆回転時間Tx’、正回転時間Ty’および繰り返し回数の規定値Nについては、前述した値に限らず、諸状況に応じて適宜に定められるのが、適当である。
【0136】
また、本第3実施例においても、第2実施例と同様に、絶対湿度Haに応じて逆回転時間Tx’が適宜に設定(変更)されてもよい。
【0137】
さらに、絶対湿度Haに応じて繰り返し回数の規定値Nが設定(変更)されてもよい。すなわち、繰り返し回数の規定値Nによって、1回の回転制御処理における逆回転時間Tx’の合計が適宜に設定(変更)されてもよい。
【0138】
そして、回転制御処理は、正回転処理で終わるのが、好ましい。これは、収容部506内のトナーを均して、来たる現像処理に備えるためである。
【0139】
[第4実施例]
次に、本開示の第4実施例について、説明する。
【0140】
本第4実施例においては、空転制御処理が、さらに設けられる。この空転制御処理は、画像形成装置10の出荷時や設置時など、収容部506内の現像剤が偏った状態にあるときに(その可能性が高いときに)行われる。
【0141】
具体的には、画像形成装置10の出荷時や設置時などに、ユーザにより、とりわけサービスマンなどの特定のユーザにより、所定のユーザ操作としての空転開始操作が成されると、これに応答して、空転制御処理が行われる。この空転制御処理では、第3実施例における繰り返し処理と同様の処理が行われる。すなわち、逆回転処理が所定の逆回転時間Tx’にわたって行われた後、正回転処理が所定の正回転時間Ty’にわたって行われ、これが交互にN回にわたって繰り返される。この空転制御処理が行われることによって、収容部506内のトナーが均される。併せて、現像装置50の各軸受526,528,540および542における音鳴きが防止され、換言すれば当該音鳴きを防止するための処置が事前に施される。
【0142】
このような空転制御処理を実現するために、CPU300aは、前述の制御プログラムに従って、厳密には当該制御プログラムに含まれる空転制御プログラムに従って、空転制御タスクを実行する。この空転制御タスクの流れを、図17に示す。この空転制御タスクは、前述の空転開始操作が成されることに応答して、実行される。なお、図17から分かるように、空転制御タスクにおいては、第3実施例における回転制御タスクのステップS301~ステップS313と同じ要領で、ステップS401~ステップS413が実行される。したがって、この回転制御タスクの各ステップS401~ステップS413については、その説明を省略する。
【0143】
このように、本第4実施例によれば、特定のユーザにより空転開始操作が成されると、これに応答して、空転制御処理が行われる。これにより、収容部506内のトナーが均されるとともに、現像装置50の各軸受526,528,540および542における音鳴きを防止するための処置が事前に施される。
【0144】
なお、空転開始操作は、操作ユニット304(タッチパネル)によって受け付けられる。また、空転開始操作は、特定のユーザに限らず、任意のユーザによっても、これを成すことができるように構成されてもよい。
【0145】
さらに、本第4実施例においても、第2実施例と同様に、絶対湿度Haに応じて逆回転時間Tx’が適宜に設定(変更)されてもよい。
【0146】
本第4実施例における空転制御タスクを実行するCPU300aは、本開示に係る空転制御手段の一例である。
【0147】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本開示を適用することができる。
【0148】
たとえば、第2搬送スクリュー516(軸部532)の後方側に設けられた軸受540を構成する軸受筐体200については、図18に示されるように、円筒部202のフランジ部204が設けられた側とは反対側の端部に、当該円筒部202と同心の円筒状のリブ260が設けられてもよい。このリブ260は、図19に太実線の矢印130で示されるように、ゴムシール220と軸部532との接触部分の近傍の空間に現像剤を積極的に案内する作用を奏する。これにより特に、逆回転処理が行われる際に、ゴムシール220と軸部532との接触部分に現像剤が押し寄せることによる圧力が適度に掛かり、当該接触部分に現像剤が適度に入り込み易くなる。その結果、音鳴きがより確実に防止されるとともに、ゴムシール220の劣化速度がより確実に低減される。この構成は、他の軸受526,528および542についても、同様に適用されてもよい。
【0149】
さらにたとえば、図18に示される形状のリブ260に代えて、図20に示されるように、その一部が切り取られた形状の、言わば概略C字状(あるいは概略U字状)の、リブ270が、設けられてもよい。このようなリブ270が設けられた軸受筐体200を含む軸受540は、図21に示されるように、当該リブ270の切欠き部272が下方に位置するように取り付けられる。これにより、リブ280は、図21に太実線の矢印130で示されるように、ゴムシール220と軸部532との接触部分の近傍の空間に現像剤を積極的に案内する作用を奏する。そして、ゴムシール220と軸部532との接触部分の近傍の空間に案内された現像剤は、図21に破線の矢印140で示されるように、当該空間から切欠き部272を介して下方へ流れ出る。したがって特に、逆回転処理が行われる際に、ゴムシール220と軸部532との接触部分に現像剤が押し寄せることによる圧力がより適度に掛かり、当該接触部分に現像剤がより適度に入り込み易くなる。その結果、音鳴きがより一層確実に防止されるとともに、ゴムシール220の劣化速度がより一層確実に低減される。この構成は、他の軸受526,528および542についても、同様に適用されてもよい。
【0150】
また、第1搬送スクリュー514および第2搬送スクリュー516という2つの搬送部材が設けられたが、これ以外の数の搬送部材が設けられてもよい。
【0151】
加えて、前述の各実施例においては、カラーの画像形成装置10を例に挙げたが、モノクロの画像形成装置にも、本開示を適用することができる。
【0152】
さらに加えて、前述の各実施例における画像形成装置10は、複合機であるが、プリンタ専用機やコピー専用機、ファクス専用機などの当該複合機以外の画像形成装置にも、本開示を適用することができる。
【0153】
そして、本開示は、画像形成装置という装置の形態に限らず、画像形成装置の制御方法という方法の形態によっても、提供することができる。
【符号の説明】
【0154】
10 … 画像形成装置
26 … 画像形成部
50 … 現像装置
200,200a … 軸受筐体
210,210a … 焼結管
220,220a … ゴムシール
300 … 制御部
300a … CPU
300b … 主記憶部
310 … 温湿度検出部
310a … 温度センサ
310b … 湿度センサ
502 … 第1室
504 … 第2室
506 … 収容部
514 … 第1搬送スクリュー
516 … 第2搬送スクリュー
518,532 … 軸部
526,528,540,542 … 軸受
520,534 … 羽根部
546 … 現像用モータ
548,552 … 逆巻き羽根
Ha … 絶対湿度
Hr … 相対湿度
T1 … 第1時間
T2 … 第2時間
Tx,Tx’ … 逆回転時間
Ty,Ty’ … 正回転時間
θ … 温度
図1
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