(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164964
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】工具の姿勢検知ユニット
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20241121BHJP
B23P 19/06 20060101ALI20241121BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20241121BHJP
B23B 45/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B23P19/06 D
B25B21/00 530Z
B23B45/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080718
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高松 直輝
(72)【発明者】
【氏名】神原 真治
(72)【発明者】
【氏名】須永 耕平
【テーマコード(参考)】
3C036
3C064
【Fターム(参考)】
3C036EE01
3C064AA01
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC03
3C064AC09
3C064AC14
3C064BA12
3C064BB32
3C064BB58
3C064BB84
3C064CB24
3C064CB64
3C064CB71
3C064CB84
3C064CB93
(57)【要約】
【課題】既存の工具に取り付け可能にし、低コストで工具の軸のワークに対する傾きを検知できる工具の姿勢検知ユニットを提供する。
【解決手段】ワーク25に対して処理を行う工具24の軸20の、ワーク25に対する傾き状態を検知する工具の姿勢検知ユニット111であって、本体5と、本体5を工具24に着脱可能に固定する固定部8と、本体5のワーク25と対向する面52の複数箇所から軸20のワーク25に対する傾き値を演算するための計測を行う計測部2と、計測部2の計測結果から軸20のワーク25に対する傾き値を演算し、当該傾き値が設定された許容閾値を超えているか否かを判定する制御部4と、傾き値が許容閾値を超えていると制御部4が判定した場合、当該判定結果を外部に出力する出力部6とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して処理を行う工具の軸の、前記ワークに対する傾き状態を検知する工具の姿勢検知ユニットであって、
本体と、
前記本体を前記工具に着脱可能に固定する固定部と、
前記本体の前記ワークと対向する面の複数箇所から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算するための計測を行う計測部と、
前記計測部の計測結果から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算し、当該傾き値が設定された許容閾値を超えているか否かを判定する制御部と、
前記傾き値が前記許容閾値を超えていると前記制御部が判定した場合、当該判定結果を外部に出力する出力部とを備えた工具の姿勢検知ユニット。
【請求項2】
前記許容閾値を設定する設定部を備えた請求項1に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【請求項3】
前記制御部には、前記許容閾値の初期値が格納され、
前記許容閾値を前記初期値にリセットするリセット部を備えた請求項2に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【請求項4】
前記出力部は、前記判定結果として、音または光の少なくとも一方を出力する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【請求項5】
前記出力部は、前記判定結果を外部装置に出力する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【請求項6】
前記本体は、円柱状にて形成され、
前記本体の中心部には軸方向に貫通し前記軸が挿入可能な挿入孔と、
前記本体の前記挿入孔の軸方向の上面側または下面側の少なくとも一方に突出して形成され、前記挿入孔に連通するフランジ状の突出部とを有し、
前記固定部は、前記突出部に設置された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【請求項7】
前記固定部は、チャック機構にて形成された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【請求項8】
前記本体は、円柱状にて形成され、前記本体の中心部には軸方向に貫通し前記軸が挿入可能な径よりも大きな径を有するとともに内周面に第1ねじを有する貫通孔を有し、
前記軸が挿入可能な挿入孔を有するとともに前記本体の軸方向の長さよりも長い長さを有する筒体にて形成され、外周面に前記第1ねじに螺合する第2ねじを有する保持部を備え、
前記保持部は、前記本体の前記挿入孔に着脱可能に形成され、
前記固定部は、前記本体の上面側または下面側の少なくとも一方から軸方向に突出する前記保持部の突出箇所に設置された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【請求項9】
前記計測部は、前記本体の前記ワークに対向する軸方向の下面に少なくとも3箇所に設置され、前記ワークまでの最短距離をそれぞれ計測するセンサにて構成される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、工具の姿勢検知ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動工具は、電力または空圧等を動力元とし、ねじ締めを行うものである。製品生産時に、正常なねじ締めが行われないと、製品にガタツキまたはゆがみが生じ、電気的に導通不良が発生し、製品が誤動作することがある。ねじ締め不良の主原因は、ねじ取り付け面に対する自動工具の傾きにある。この状態で、ねじ締めを行うと、ねじ締め時にねじ山が破損し、ねじが最後まで締められない場合がある。このため、例えば、特許文献1では、自動工具の本体に、検知する部分を内蔵し、ねじ取り付け面との距離を測定し、斜め検知を行い、斜め締めを防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の、自動工具本体に検知する部分を内蔵しているため、既存の自動工具では利用できなく、自動工具自体を検知する部分を有する内蔵タイプに取り替える必要があり、高コストになるという問題点があった。また、既存の自動工具が空圧式の場合、既存の空圧配線から当該従来の電気配線に変更するための工事が新たに発生し、高コストになるという問題点があった。さらに、既存の自動工具が電気式の場合、検知する部分を有する内蔵タイプに入れ替えるために、交流電源、直流電源、電圧等の違い生じた場合、電気配線を変更する必要があり、高コストになるという問題点があった。
【0005】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、既存の工具に取り付け可能にし、低コストで工具の軸のワークに対する傾きを検知できる工具の姿勢検知ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される工具の姿勢検知ユニットは、
ワークに対して処理を行う工具の軸の、前記ワークに対する傾き状態を検知する工具の姿勢検知ユニットであって、
本体と、
前記本体を前記工具に着脱可能に固定する固定部と、
前記本体の前記ワークと対向する面の複数箇所から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算するための計測を行う計測部と、
前記計測部の計測結果から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算し、当該傾き値が設定された許容閾値を超えているか否かを判定する制御部と、
前記傾き値が前記許容閾値を超えていると前記制御部が判定した場合、当該判定結果を外部に出力する出力部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される工具の姿勢検知ユニットによれば、
既存の工具に取り付け可能にし、低コストで工具の軸のワークに対する傾きを検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による工具の姿勢検知ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの設置状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの設置状態を示す別方向からの斜視図である。
【
図4】
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの使用方法を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの使用状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6Aは、実施の形態2による工具の姿勢検知ユニットの本体の構成を示す斜視図、
図6Bは、実施の形態2による固定部の構成を示す斜視図、
図6Cは、実施の形態2による固定部の他の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図6Aと
図6Bとを組み合わせた場合の工具の姿勢検知ユニットの使用状態を示す部分斜視図である。
【
図8】
図6Aと
図6Cとを組み合わせた場合の工具の姿勢検知ユニットの使用状態を示す部分斜視図である。
【
図9】本願の工具の姿勢検知ユニットの制御部のハードウエア構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による工具の姿勢検知ユニットの構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの設置状態を示す斜視図である。
図3は、
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの設置状態を示す別方向からの斜視図である。
図4は、
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの使用方法を示す斜視図である。
図5は、
図1に示した工具の姿勢検知ユニットの使用状態を示す斜視図である。
【0010】
図5に示すように、工具の姿勢検知ユニット111は、工具24の回転軸としてのビット20に装着して使用するものである。工具24は、ビット20を回転させてワーク25に対して処理を行うものである。例えば、処理としては、ねじ締め、または、穴開けなどであり、各処理に対応するビット20が用いられる。なお、図においては、工具24として電動工具の例を示し、さらに、工具24に着脱可能なドライバのビット20の例を図示している。そして、工具の姿勢検知ユニット111は、ビット20のワーク25に対する状態を検知するものである。
【0011】
図1に示すように、工具の姿勢検知ユニット111は、電源部1、入力部3、計測部2、制御部4、および出力部6を備える。そして、
図2、
図3に示す本体5に、これら、電源部1、入力部3、計測部2、制御部4、および出力部6が設置されている。本体5は、ビット20を回転中心として回転するものであり、円柱状にて形成される。本体5のワーク25と対向する面は、軸方向Yの下面52(
図3参照)であり、ワーク25と対向しない面は、軸方向Yの上面51(
図5参照)である。
【0012】
図1に示すように、電源部1は、工具の姿勢検知ユニット111の電源を供給する部分であり、例えば、DC(direct currentの略称)/DCコンバータ11、バッテリ12、充電回路部13を備える。DC/DCコンバータ11は、図示されないDC電源の電圧を変換し、工具の姿勢検知ユニット111の電源となる。バッテリ12は、例えば、ボタン電池、乾電池、二次電池等にて構成される。バッテリ12が二次電池にて形成されている場合は、充電回路部13を外部電源230に接続して当該二次電池を充電する。本体5の側面57には、外部電源230から電源を供給するための充電用ケーブルの差込口9(
図2参照)が形成されている。
【0013】
計測部2は、本体5のワーク25と対向する面の複数箇所から取得する情報によって、ビット20のワーク25に対する傾き値を演算するための計測を行うものである。具体的には、
図3に示すように、本体5の軸方向Yの下面52の少なくとも3箇所に設置された光電センサ21、22、23が計測部2である。そして、当該光電センサ21、22、23が、本体5からワーク25までの複数箇所の距離を同時に測定している。各光電センサ21、22、23の光軸は、ビット20の回転軸と同軸である。
【0014】
制御部4は、計測部2の計測結果からビット20のワーク25に対する相対的な傾き値を演算し、この傾き値が設定された許容閾値を超えているか否かを判定する。具体的には、制御部4は、データ取得部41、演算部42、判定部43、および格納部44を備える。データ取得部41は、計測部2が測定した計測結果を取得する。演算部42は、計測結果からビット20とワーク25との傾き値を演算する。具体的は、光電センサ21、22、23にて測定された光電センサ21、22、23とワーク25との間の距離から、ビット20のワーク25に対する傾き値を演算している。格納部44は、ビット20とワーク25との傾き値の許容閾値を格納する。出荷時には、許容閾値の初期値が格納されている。判定部43は、演算部42にて演算された傾き値が格納部44に格納された許容閾値を越えているか否かを判定する。
【0015】
出力部6は、傾き値が許容閾値を超えていると制御部4が判定した場合、判定結果を外部に出力する。具体的に、出力部6は、本体5の下面52側から警告用の音を出力するブザー60(
図3参照)、本体の上面51側から警告用の光を出力するLED(light emitting diodeの略称)61、62、63(
図2参照)、および外部装置30に判定結果を出力する無線部64を備える。
【0016】
外部装置30とは、例えば、無線モジュールで送信可能なPC(personal computerの略称)、または、PLC(programmable logic controllerの略称)等が考えられる。但し、出力部6は、ブザー60、LED61、62、63および無線部64のいずれか1つまたは2つを備える場合も考えられる。
【0017】
入力部3は、本体5の側面57に形成され、ON/OFFボタン31、設定部としての設定ボタン32、リセット部としてのリセットボタン33など、外部からの入力を行う部分であり、例えばタクトスイッチにて形成される。ON/OFFボタン31は、工具の姿勢検知ユニット111のON/OFFを行うものである。設定ボタン32は、許容閾値を設定し、格納部44に格納する。リセットボタン33は、格納部44に格納されている許容閾値を初期値にリセットする。
【0018】
そして、
図2および
図3に示すように、工具の姿勢検知ユニット111の本体5には、中央部に、軸方向Yに貫通したビット20を挿入可能な挿入孔110が形成される。本体5の軸方向Yの上面51側には、挿入孔110に連通するフランジ状の上突出部53が形成される。また、本体5の軸方向Yの下面52側には、挿入孔110に連通するフランジ状の下突出部54が形成される。そして、下突起部54には、本体5をビット20に着脱可能に固定する固定部8を備える。固定部8は、例えばねじ止め部から構成される。なお、ここでは、固定部8が下突出部54に設置される例を示したが、これに限られることはなく、上突出部53に固定部が設置される場合、また、両突出部53、54にそれぞれ固定部が設置される場合が考えられる。
【0019】
次に、上記のように構成された実施の形態1の工具の姿勢検知ユニット111の使用方法について説明する。まず、
図4に示すように、ビット20を本体5の上面51側に形成された上突出部53の挿入孔110から挿入し、本体5の下面52側に形成された下突出部54の挿入孔110から送出する。そして、下突出部54の固定部8のねじ止めを行い、ビット20に本体5を固定する。
【0020】
次に、ビット20を工具24に固定する。このように、工具の姿勢検知ユニット111が工具24に固定される。次に、入力部3のON/OFFボタン31を押し、計測部2の各センサ21、22、23が、各センサ21、22、23とワーク25との間の距離を計測する。次に、制御部4のデータ取得部41は、各センサ21、22、23からの計測結果からワーク25との距離情報を受け取る。次に、演算部42は、各センサ21、22、23の測定値の差からワーク25に対するビット20の傾き値を演算する。
【0021】
次に、判定部43は、格納部44から許容閾値を抽出し、演算部42が演算した傾き値が許容閾値を超えているか否かを判定する。次に、出力部10は、判定部43からの判定結果を警告情報として外部に出力する。例えば、警告用のブザー60で警告音を発生させる。または、警告用のLED61、62、63で警告の光を発光させる。これらの警告により作業者は、工具24の不具合を容易に知ることができる。
【0022】
また、無線部64は、外部装置30に工具24のビット20の傾きに不具合が発生したことを知らせる。外部装置30に知らせることで、外部装置30はビット20の傾き不具合を把握でき、工具24のビット20のワーク25に対する傾きを許容閾値外で作成された製品を検知でき、さらに、当該製品の流出を防止できる。
【0023】
次に、設定ボタン32にて、格納部44に格納されている許容閾値を設定する方法について説明する。まず、作業者は、工具24のビット20が作業において不良とならない程度まで傾ける。そして、この工具24を傾けたワーク25に対するビット20の傾きが、工具24のビット20のワーク25に対する傾きの許容閾値であることを設定するために、作業者は設定ボタン32を押す。すると、この許容できるまで傾けられた工具24のビット20の傾きが許容閾値として格納部44に格納される。
【0024】
また、変更された許容閾値を初期値に戻したい場合には、リセットボタン33を作業者が押すことで、格納部44の許容閾値を出荷時の初期値にリセットできる。
【0025】
なお、上記実施の形態1においては、計測部2を、3個の光電センサ21、22、23にて構成する例を示したが、これに限られることはなく、軸のワークに対する傾き値を演算するための計測を行うことができるものであればよく、例えば、ジャイロセンサ、レーザーセンサ等の傾きまたは距離を計測する他のセンサにて構成しても同様に行うことができる。
【0026】
さらに、本体5をビット20に固定して使用する例を示したが、これに限られることはなく。工具24自体に本体5を固定部8により固定して設置しても同様に行うことができる。
【0027】
さらに、軸としてのビット20は工具24に着脱可能なものの例を示したが、これに限られることはなく、工具24に固定のビット20に対して同様に検知を行うことが可能である。
【0028】
さらに、ビット20を用いる工具として電動工具の例を示したが、これに限られることはなく、工具として、空気式工具を用いる場合であっても、手動の工具であっても、工具の姿勢検知ユニット111に電源が内蔵されているため、同様に設置して工具24のビット20のワーク25に対する傾きの検知を行うことができる。
【0029】
上記のように構成された実施の形態1の工具の姿勢検知ユニットによれば、
ワークに対して処理を行う工具の軸の、前記ワークに対する傾き状態を検知する工具の姿勢検知ユニットであって、
本体と、
前記本体を前記工具に着脱可能に固定する固定部と、
前記本体の前記ワークと対向する面の複数箇所から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算するための計測を行う計測部と、
前記計測部の計測結果から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算し、当該傾き値が設定された許容閾値を超えているか否かを判定する制御部と、
前記傾き値が前記許容閾値を超えていると前記制御部が判定した場合、当該判定結果を外部に出力する出力部とを備えたので、
工具の姿勢検知ユニットの本体を既存の工具に取り付け、工具の軸のワークに対する傾き状態を検知できるため、低コストで工具の軸のワークに対する傾きを許容閾値外で行われたことを検知できる。よって、既存の工具が空圧式の場合であっても、他の形式の工具であっても、工具の姿勢検知ユニットは工具の方式によらず取り付け可能であるため、低コストで工具の軸のワークに対する傾きが許容閾値内での処理ができていないことを検知できる。
【0030】
さらに、実施の形態1の工具の姿勢検知ユニットによれば、
前記許容閾値を設定する設定部を備えたので、
許容閾値を自由に設定できるため、利便性に優れている。
【0031】
さらに、実施の形態1の工具の姿勢検知ユニットによれば、
前記制御部には、前記許容閾値の初期値が格納され、
前記許容閾値を前記初期値にリセットするリセット部を備えたので、
許容閾値を初期値にリセットできるため、利便性に優れている。
【0032】
さらに、実施の形態1の工具の姿勢検知ユニットによれば、
前記出力部は、前記判定結果として、音または光の少なくとも一方を出力するので、
判定結果を容易に確認できる。
【0033】
さらに、実施の形態1の工具の姿勢検知ユニットによれば、
前記出力部は、前記判定結果を外部装置に出力するので、
判定結果を外部装置にて確認でき、遠隔から操作指示、工具の軸のワークに対する傾きが許容閾値内での処理ができていない製品の確認などが可能となる。
【0034】
さらに、実施の形態1の工具の姿勢検知ユニットによれば、
前記本体は、円柱状にて形成され、
前記本体の中心部には軸方向に貫通し前記軸が挿入可能な挿入孔と、
前記本体の前記挿入孔の軸方向の上面側または下面側の少なくとも一方に突出して形成され、前記挿入孔に連通するフランジ状の突出部とを有し、
前記固定部は、前記突出部に設置されたので、
簡便な構成で、本体を工具に固定でき、容易に設置が可能となる。
【0035】
さらに、実施の形態1の工具の姿勢検知ユニットによれば、
前記計測部は、前記本体の前記ワークに対向する軸方向の下面に少なくとも3箇所に設置され、前記ワークまでの最短距離をそれぞれ計測するセンサにて構成されるので、
簡便な構成で、工具の軸のワークに対する傾き状態を検知できる。
【0036】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、1つの径のサイズのビットのみに対応する例を示したが、これに限られることはなく、複数種の径のサイズのビットに対応する場合について説明する。
【0037】
図6Aは、実施の形態2による工具の姿勢検知ユニットの本体の構成を示す斜視図、
図6Bは、実施の形態2による固定部の構成を示す斜視図、
図6Cは、実施の形態2による固定部の他の構成を示す斜視図である。
図7は、
図6Aと
図6Bとを組み合わせた場合の工具の姿勢検知ユニットの使用状態を示す部分斜視図である。
図8は、
図6Aと
図6Cとを組み合わせた場合の工具の姿勢検知ユニットの使用状態を示す部分斜視図である。なお、実施の形態2においては、上記実施の形態1と同様の部分は適宜図示を省略するとともに、その説明を省略する。
【0038】
本実施の形態2では、工具の姿勢検知ユニット111が、
図7、
図8に示すように、径の異なるビット201、および、ビット202に対応する場合について説明する。
図6Aに示すように、本体5は、ビット201、202を挿入するための後述する挿入孔72、73の径よりも大きな径を有し、中心部で軸方向Yに貫通する貫通孔55を備える。そして、貫通孔55の内周には、第1ねじとしての雌ねじ56を備える。
【0039】
図6Bに示すように、1つの保持部711は、ビット201(
図7参照)を挿入するための挿入孔72を有し、本体5の軸方向Yの長さよりも長い長さを有する筒体にて形成され、外周面に貫通孔55の雌ねじ56に螺合する第2ねじとしての雄ねじ71を備える。
図6Cに示すように、他の保持部712は、ビット202(
図8参照)を挿入するための挿入孔73を有し、本体5の軸方向Yの長さよりも長い長さを有する筒体にて形成され、外周面に貫通孔55の雌ねじ56に螺合する雄ねじ71を備える。
【0040】
そして、ビット201を使用する場合には、
図7に示すように、当該ビット201に対応する挿入孔72を有する保持部711を本体5の貫通孔55に挿入する。そして、貫通孔55の雌ねじ56に保持部711の雄ねじ71を螺合してねじ止めして装着する。保持部711は、本体5の軸方向Yの長さよりも長い長さを有しているため、保持部711は、本体5の上面51側から、および、本体5の下面52側から突出する突出箇所を有する。そして、ビット201を挿入孔72から挿入し、保持部711の本体5の下面52側から突出する突出箇所に設置された固定部8のねじにて保持部711にねじ止めして本体5に固定する。
【0041】
また、ビット202を使用する場合には、
図8に示すように、当該ビット202に対応する挿入孔73を有する保持部712を本体5の貫通孔55に挿入する。そして、貫通孔55の雌ねじ56に保持部712の雄ねじ71を螺合してねじ止めして装着する。保持部712は、本体5の軸方向Yの長さよりも長い長さを有しているため、保持部712は、本体5の上面51側から、および、本体5の下面52側から突出する突出箇所を有する。そして、ビット202を挿入孔73から挿入し、保持部712の本体5の下面52側から突出する突出箇所に設置された固定部8のねじにて保持部712にねじ止めして本体5に固定する。
【0042】
このように形成すれば、複数種の径のみが異なる挿入孔72、73を有する保持部711、712を備えることにより、径の異なるビット201、202に本体5を固定して設置でき、上記実施の形態1と同様に、工具の軸のワークに対する傾きが許容閾値内での処理ができているか否かを判定できる。
【0043】
なお、ここでは、保持部711、712を円筒形状にて形成する例を示したが、これに限られることはなく、保持部711、712を本体5に設置した際に、本体5の軸方向Yの下面52側から突出する突出箇所のみを多角形筒状にて形成する場合も考えられる。その場合、雌ねじ56と雄ねじ71との螺合が行いやすく、かつ、螺合が確実に可能となる。
【0044】
また、ここでは保持部711、712を本体5に設置した際に、本体5の軸方向Yの下面52側から突出した突出箇所に固定部8を設置する例を示したが、これに限られることはなく、保持部711、712を本体5に設置した際に、本体5の軸方向Yの上面51側から突出した突出箇所に固定部を設置してもよい。また、保持部711、712を本体5に設置した際に、本体5の軸方向Yの上面51側からおよび下面52側から突出した突出箇所の両方に固定部を設置してもよい。
【0045】
また、ここでは、保持部711、712を本体5に設置した際に、本体5の軸方向Yの上面51側からおよび下面52側からのいずれからも突出する突出箇所を備えた例を示したが、これに限られることはなく、本体5の軸方向Yの上面51側からまたは下面52側からのいずれかのみに突出箇所を備える場合であってもよい。また、雌ねじ56が雄ねじで、雄ねじ71が雌ねじで形成されていてもよい。
【0046】
なお、上記実施の形態2においては、保持部711、712を複数種備えることにより、ビットの径のサイズが変わっても対応する例を示したが、これに限られることはなく、固定部を、チャック機構にて形成し、ビットの径を問わず固定できるように形成してもよい。
【0047】
上記のように構成された実施の形態2の工具の姿勢検知ユニットによれば、
前記本体は、円柱状にて形成され、前記本体の中心部には軸方向に貫通し前記軸が挿入可能な径よりも大きな径を有するとともに内周面に第1ねじを有する貫通孔を有し、
前記軸が挿入可能な挿入孔を有するとともに前記本体の軸方向の長さよりも長い長さを有する筒体にて形成され、外周面に前記第1ねじに螺合する第2ねじを有する保持部を備え、
前記保持部は、前記本体の前記挿入孔に着脱可能に形成され、
前記固定部は、前記本体の上面側または下面側の少なくとも一方から軸方向に突出する前記保持部の突出箇所に設置されたので、
保持部の挿入孔の径を軸に対応して変更することにより、
簡便な構成で、径の異なる軸に対応できる。
【0048】
また、実施の形態2の工具の姿勢検知ユニットによれば、
固定部は、チャック機構にて形成されたので、
軸の径を問わず対応できる。
【0049】
なお、制御部4のハードウエアの一例を
図9に示す。
図9に示すように、制御部4は、プロセッサ100と記憶装置101から構成される。記憶装置は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを備える。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を備えてもよい。プロセッサ100は、記憶装置101から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ100にプログラムが入力される。また、プロセッサ100は、演算結果等のデータを記憶装置101の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0050】
本願は、様々な例示的な実施の形態および実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0051】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0052】
(付記1)
ワークに対して処理を行う工具の軸の、前記ワークに対する傾き状態を検知する工具の姿勢検知ユニットであって、
本体と、
前記本体を前記工具に着脱可能に固定する固定部と、
前記本体の前記ワークと対向する面の複数箇所から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算するための計測を行う計測部と、
前記計測部の計測結果から前記軸の前記ワークに対する傾き値を演算し、当該傾き値が設定された許容閾値を超えているか否かを判定する制御部と、
前記傾き値が前記許容閾値を超えていると前記制御部が判定した場合、当該判定結果を外部に出力する出力部とを備えた工具の姿勢検知ユニット。
(付記2)
前記許容閾値を設定する設定部を備えた付記1に記載の工具の姿勢検知ユニット。
(付記3)
前記制御部には、前記許容閾値の初期値が格納され、
前記許容閾値を前記初期値にリセットするリセット部を備えた付記2に記載の工具の姿勢検知ユニット。
(付記4)
前記出力部は、前記判定結果として、音または光の少なくとも一方を出力する付記1から付記3のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
(付記5)
前記出力部は、前記判定結果を外部装置に出力する付記1から付記4のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
(付記6)
前記本体は、円柱状にて形成され、
前記本体の中心部には軸方向に貫通し前記軸が挿入可能な挿入孔と、
前記本体の前記挿入孔の軸方向の上面側または下面側の少なくとも一方に突出して形成され、前記挿入孔に連通するフランジ状の突出部とを有し、
前記固定部は、前記突出部に設置された付記1から付記5のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
(付記7)
前記固定部は、チャック機構にて形成された付記1から付記5のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
(付記8)
前記本体は、円柱状にて形成され、前記本体の中心部には軸方向に貫通し前記軸が挿入可能な径よりも大きな径を有するとともに内周面に第1ねじを有する貫通孔を有し、
前記軸が挿入可能な挿入孔を有するとともに前記本体の軸方向の長さよりも長い長さを有する筒体にて形成され、外周面に前記第1ねじに螺合する第2ねじを有する保持部を備え、
前記保持部は、前記本体の前記挿入孔に着脱可能に形成され、
前記固定部は、前記本体の上面側または下面側の少なくとも一方から軸方向に突出する前記保持部の突出箇所に設置された付記1から付記5のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
(付記9)
前記計測部は、前記本体の前記ワークに対向する軸方向の下面に少なくとも3箇所に設置され、前記ワークまでの最短距離をそれぞれ計測するセンサにて構成される付記1から付記8のいずれか1項に記載の工具の姿勢検知ユニット。
【符号の説明】
【0053】
1 電源部、100 プロセッサ、101 記憶装置、11 DC/DCコンバータ、
110 挿入孔、111 工具の姿勢検知ユニット、12 バッテリ、
13 充電回路部、2 計測部、20 ビット、201 ビット、202 ビット、
21 光電センサ、22 光電センサ、23 光電センサ、24 工具、25 ワーク、
230 外部電源、3 入力部、30 外部装置、31 ON/OFFボタン、
32 設定ボタン、33 リセットボタン、4 制御部、41 データ取得部、
42 演算部、43 判定部、44 格納部、5 本体、51 上面、52 下面、
53 上突出部、54 下突出部、55 貫通孔、56 雌ねじ、57 側面、
6 出力部、60 ブザー、61 LED、62 LED、63 LED、
64 無線部、711 保持部、712 保持部、71 雄ねじ、72 挿入孔、
73 挿入孔、8 固定部、9 差込口、Y 軸方向。