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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164969
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20241121BHJP
   B65H 31/20 20060101ALI20241121BHJP
   B65H 31/34 20060101ALI20241121BHJP
   B65H 7/10 20060101ALI20241121BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65H29/70
B65H31/20
B65H31/34
B65H7/10
B65H5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080725
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】小西 裕子
【テーマコード(参考)】
3F048
3F053
3F054
3F101
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA22
3F048BB02
3F048BB04
3F048BB05
3F048CC05
3F048DA06
3F048DB13
3F048DC11
3F048EA15
3F048EB21
3F053HA06
3F053HB11
3F053HB16
3F053HB22
3F053LA01
3F053LB01
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BB02
3F054BD02
3F054BE00
3F054BH17
3F054CA04
3F054CA08
3F054CA23
3F054CA35
3F101FB11
3F101FE03
3F101FE11
3F101LA01
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】幅方向に位置ずれして搬送された用紙の排紙揃えを良好にする。
【解決手段】搬送方向Xに搬送される用紙Pの幅方向Wの端部を検出する用紙幅検出センサ13と、搬送されてきた用紙Pを幅方向Wの内側に曲げて用紙Pを腰付けするウイング部14と、ウイング部14で腰付けされて排出された用紙Pを幅方向Wにおいて揃えるサイドフェンス25A、25Bを有し、排紙された用紙Pが積載される排紙台22と、用紙幅検出センサ13の検出結果に基づいて、用紙Pの幅方向Wにおける位置ずれを検出する検出部6と、ウイング部14による用紙Pの曲げ角度に対応するウイング部14の傾斜角度を調整する調整部6とを備え、調整部6は、用紙Pが幅方向Wに位置ずれしている場合に、検出部6の検出結果に応じて、幅方向Wに位置ずれした用紙Pがサイドフェンス25A、25Bの幅方向Wにおける間隔W2に収まるように、ウイング部14の傾斜角度を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送される用紙の、前記搬送方向と直交する幅方向の端部を検出する用紙幅検出部と、
搬送されてきた用紙を前記幅方向の内側に曲げて前記用紙を腰付けするウイング部と、
前記ウイング部で腰付けされて排出された用紙を前記幅方向において揃える排紙フェンス部を有し、排紙された用紙が積載される排紙台と、
前記用紙幅検出部の検出結果に基づいて、前記用紙の前記幅方向における位置ずれを検出する検出部と、
前記ウイング部による前記用紙の曲げ角度に対応する前記ウイング部の傾斜角度を調整する調整部とを備え、
前記調整部は、前記用紙が前記幅方向に位置ずれしている場合に、前記検出部の検出結果に応じて、前記幅方向に位置ずれした前記用紙が前記排紙フェンス部の前記幅方向における間隔に収まるように、前記ウイング部の前記傾斜角度を調整する
用紙搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速印刷可能な印刷装置において、排紙トレイに排紙する印刷済の用紙に腰付けするために、搬送方向と直交する幅方向の両側の部分を湾曲させるものが知られている。特許文献1には、印刷速度が速い場合に用紙の搬送面に対する腰付け角度を急にする排紙装置が提案されている。この排紙装置では、強く腰付けされた用紙が排紙トレイのサイドフェンスに高速で接触し跳ね上がって排紙揃えが大きく乱れるという課題を解決し、良好な排紙揃え状態を得ることができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-114114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の排紙装置は、高速で排紙される用紙が排紙トレイのサイドフェンスに接触することへの対策を提供するものである。特許文献1の排紙装置は、幅方向に位置ずれして搬送された用紙がサイドフェンスに接触することへの対策を提供するものではない。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、幅方向に位置ずれして搬送された用紙の排紙揃えを良好にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様による用紙搬送装置は、
搬送方向に搬送される用紙の、前記搬送方向と直交する幅方向の端部を検出する用紙幅検出部と、
搬送されてきた用紙を前記幅方向の内側に曲げて前記用紙を腰付けするウイング部と、
前記ウイング部で腰付けされて排出された用紙を前記幅方向において揃える排紙フェンス部を有し、排紙された用紙が積載される排紙台と、
前記用紙幅検出部の検出結果に基づいて、前記用紙の前記幅方向における位置ずれを検出する検出部と、
前記ウイング部による前記用紙の曲げ角度に対応する前記ウイング部の傾斜角度を調整する調整部とを備え、
前記調整部は、前記用紙が前記幅方向に位置ずれしている場合に、前記検出部の検出結果に応じて、前記幅方向に位置ずれした前記用紙が前記排紙フェンスの前記幅方向における間隔に収まるように、前記ウイング部の前記傾斜角度を調整する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、幅方向に位置ずれして搬送された用紙の排紙揃えを良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る用紙搬送装置を内蔵する印刷装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1の印刷装置の制御系に関する構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1の給紙台における用紙の積載状態の一例を示す図である。
図4図4は、図1のウイング部の構成を示す図である。
図5図5は、幅方向に位置ずれしたまま図1の排紙台に用紙が排紙された場合に一例を示す図である。
図6図6は、図1の用紙幅検出センサが搬送中の用紙の端部を検出する例を示す図である。
図7図7は、図4のウイング部により端部が曲げられた用紙とサイドフェンスの間隔との関係の一例を示す図である。
図8図8は、図4のウイング部により端部が曲げられた用紙とサイドフェンスの間隔との関係の別例を示す図である。
図9図9は、図2の制御部が行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、図9の処理によって制御部により制御されるウイングの角度調整量と用紙の排紙速度との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る用紙搬送装置を内蔵する印刷装置の概略構成を示す図である。図1に示す本実施形態の印刷装置100は、給紙部1と、搬送部2と、印刷部3と、排紙部4とを備える。図2は、図1の印刷装置の制御系に関する構成の一例を示す図である。印刷装置100は、さらに、記憶部5と制御部6とを備える。記憶部5は、例えば、SSD(Solid State Drive )又はHDD(Hard Disk Drive )等の記憶装置によって構成することができる。なお、以下の説明において、図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0012】
給紙部1は、搬送部2に用紙Pを給紙する。給紙部1は、用紙Pが積載される給紙台11と、給紙台11から用紙Pを取り出して印刷部3へ搬送する給紙ローラ12とを備える。給紙台11には、例えば、図3に示すように、包装を解いた複数の用紙束P1~P5を積載することができる。用紙束P1~P5は、例えば、500枚単位で包装された枚葉紙の束であってもよい。図3の紙面の左右方向は、用紙Pの幅方向Wに当たる。図3は、給紙台11を図1の右方向に見た図である。給紙台11の用紙束P1~P5の用紙Pは、最上面から1枚ずつ給紙ローラ12で繰り出され、搬送部2に供給される。
【0013】
図1の搬送部2は、給紙台11から供給された用紙Pを印刷部3において搬送する。搬送部2は、搬送中の用紙Pの端部を検出する用紙幅検出センサ13(用紙幅検出部に相当)と、搬送されてきた用紙Pを腰付けするウイング部14とを備える。本実施形態の搬送部2は、ベルトプラテン機構15(図4参照)を有している。ベルトプラテン機構15は、例えば、無端の周回ベルトを用いて用紙Pを搬送するものとすることができる。
【0014】
用紙幅検出センサ13は、搬送方向Xに搬送される用紙Pの、搬送方向Xと直交する幅方向の端部を検出する。幅方向は、図1の前後方向に当たる。用紙幅検出センサ13には、例えば、CIS(Contact Image Sensor)を用いることができる。ウイング部14は、搬送部2を搬送中の用紙Pを幅方向の内側に曲げる。ウイング部14の構成は後述する。
【0015】
印刷部3は、搬送部2による搬送中の用紙Pに印刷を行う。印刷部3は、例えば、インクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドからインクを吐出して用紙Pに印刷を行う。
【0016】
排紙部4は、印刷部3で印刷された用紙Pを排紙する。排紙部4は、図1に示す排紙台22と、上面検知センサ24と、サイドフェンス(規制部に相当)25A,25Bと、エンドフェンス27とを備える。排紙部4は、図2に示す排紙搬送部21と、昇降モータ23と、サイドフェンスモータ26と、エンドフェンスモータ28とをさらに備える。
【0017】
排紙搬送部21は、搬送部2により印刷部3から送り出された印刷済みの用紙Pを搬送して排紙台22へ排紙(排出)する。排紙搬送部21は、印刷部3から送り出された用紙Pの上下の向きをそのままにして排紙するか、または、用紙Pを上下反転させて排紙する。図1の排紙台22は、排紙された用紙Pが積載されるものである。排紙台22は、図2の昇降モータ23により昇降可能に構成されている。
【0018】
上面検知センサ24は、基準上面位置において、排紙台22に積載された用紙Pの有無を検知するためのものである。基準上面位置は、排紙台22の積載面上に積載された用紙Pの最上面の、幅方向の中央部における高さ位置(上面位置)の基準となる位置である。上面検知センサ24は、透過型の光センサからなり、発光部24aと、受光部24bとを有する。発光部24aと受光部24bとは、排紙台22の積載面上に用紙Pが積載される領域を挟んで左右方向に互いに離間して配置されている。発光部24aは、受光部24bに向けて光を発する。発光部24aおよび受光部24bは、光軸の高さ位置が基準上面位置に一致するように配置されている。発光部24aおよび受光部24bは、前後方向においては、光軸が排紙台22の積載面の中央部を通るように配置されている。
【0019】
サイドフェンス25A,25B(排紙フェンスに相当)は、排紙台22へ排紙される用紙Pの幅方向(前後方向)における位置を規制する。サイドフェンス25A,25Bは、排紙台22の上方に吊り下げられる状態で所定の高さ位置に配置され、排紙台22からは分離している。具体的には、サイドフェンス25A,25Bは、排紙台22の積載面上に積載された用紙Pの上面位置において、用紙Pの幅方向における位置を規制できる高さ位置に配置されている。サイドフェンス25A,25Bは、前後方向に互いに離間して配置されている。
【0020】
サイドフェンス25A,25Bは、図1の前後方向に移動可能に構成されている。規制位置は、サイドフェンス25A,25Bが用紙Pの幅方向の位置を規制する位置である。退避位置は、サイドフェンス25A,25Bが用紙Pから遠ざかるように規制位置から退避した位置である。サイドフェンス25A,25Bは、規制位置と退避位置との間で前後方向(幅方向)に移動して、排紙台22へ排紙された用紙Pの幅方向における位置を規制するジョガー動作(規制動作に相当)を行うことができる。具体的には、サイドフェンス25A,25Bのジョガー動作は、サイドフェンス25A,25Bが退避位置から規制位置へ移動し、その後、退避位置へ戻る動作である。
【0021】
図2のサイドフェンスモータ26は、サイドフェンス25A,25Bを図1の前後方向に移動させる。サイドフェンスモータ26の一方の回転方向の駆動によりサイドフェンス25A,25Bが互いに近づき、サイドフェンスモータ26の他方の回転方向の駆動によりサイドフェンス25A,25Bが互いに遠ざかるようになっている。サイドフェンスモータ26には、例えば、パルスモータを用いることができる。サイドフェンスモータ26の動力によるサイドフェンス25A,25Bのジョガー動作は、必要に応じて休止してもよい。
【0022】
図1のエンドフェンス27は、排紙台22へ排紙される用紙Pの先端(右端)の位置を規制する。エンドフェンス27は、排紙台22の上方に吊り下げられる状態でサイドフェンス25A,25Bと同様の高さ位置に配置され、排紙台22からは分離している。エンドフェンス27は、図1の左右方向に移動可能に構成されている。規制位置は、エンドフェンス27が用紙Pの先端(右端)の位置を規制する位置である。退避位置は、エンドフェンス27が規制位置から右方へ退避した位置である。エンドフェンス27は、規制位置と退避位置との間で左右方向(排紙方向)に移動して排紙台22へ排紙された用紙Pの先端(右端)の位置を規制するジョガー動作を行う。具体的には、エンドフェンス27のジョガー動作は、上述したサイドフェンス25A,25Bのジョガー動作と同様に、退避位置から規制位置へ移動し、その後、退避位置へ戻る動作である。エンドフェンス27のジョガー動作は、サイドフェンス25A,25Bのジョガー動作とともに行われる。
【0023】
図2のエンドフェンスモータ28は、エンドフェンス27を図1の左右方向に移動させる。エンドフェンスモータ28には、例えば、パルスモータを用いることができる。エンドフェンスモータ28の動力によるエンドフェンス27のジョガー動作は、必要に応じて休止してもよい。
【0024】
図1のウイング部14は、図4に示すように、用紙Pの幅方向Wにおけるベルトプラテン機構15の両脇に配置された2つのサイドウイング16、17を有している。サイドウイング16、17は、ベルトプラテン機構15の水平な搬送面に対して、傾斜角度を個別に変更可能に構成されている。サイドウイング16、17は、ベルトプラテン機構15により搬送方向Xに搬送されてきた用紙Pを幅方向Wの内側に曲げて用紙Pを腰付けする。サイドウイング16、17の傾斜角度は、ウイング部14による用紙Pの曲げ角度に対応する。
【0025】
図2のサイドウイングモータ18、19は、サイドウイング16、17を揺動させ、ベルトプラテン機構15による用紙Pの水平な搬送面に対する傾斜角度を個別に変更させる。サイドウイングモータ18、19には、例えば、パルスモータを用いることができる。
【0026】
図1の給紙台11が用紙揃え機能を有していない場合、給紙台11に積載された用紙束P1~P5は、例えば図3に示すように、束単位で幅方向Wに位置ずれする場合がある。幅方向Wに位置ずれした用紙Pが、搬送部2により給紙台11から印刷部3に搬送されると、印刷部3による印刷後の用紙Pが、幅方向Wに位置ずれしたまま排紙台22に排紙される可能性がある。
【0027】
幅方向Wに位置ずれして排紙される用紙Pがサイドフェンス25A,25Bに衝突するのを回避するには、例えば、用紙Pの排紙中に、サイドフェンス25A,25Bを、幅方向Wにおける用紙Pの位置ずれ範囲よりも外側に退避させる必要がある。つまり、印刷速度に合わせてサイドフェンス25A,25Bをジョガー動作させる必要がある。高速印刷が可能な印刷装置100の場合は、サイドフェンスモータ26を大型化して高速なジョガー動作を実現しなければならず、装置コストが増加してしまう。
【0028】
サイドフェンスモータ26のジョガー動作を不要とするには、例えば、図4に示すように、幅方向Wにおける用紙Pの位置ずれの範囲以上の間隔W1に、サイドフェンス25A,25Bの間隔を拡げる必要がある。この間隔W1のサイドフェンス25A,25Bでは、幅方向Wに位置ずれして搬送された用紙Pを排紙揃えすることができない。排紙揃えされていない用紙Pは、例えば、製本装置等の後処理装置を印刷装置100に接続して後処理する場合にそのまま流用するのが難しくなる。
【0029】
本実施形態の印刷装置100では、図6に示すように、搬送部2の用紙Pの幅方向Wにおける端部を用紙幅検出センサ13によって検出する。図1の制御部6は、用紙Pの幅方向Wにおける位置ずれを検出するのに、用紙幅検出センサ13が検出した用紙Pの端部の位置を利用する。
【0030】
制御部6は、用紙Pの位置ずれを検出するほか、給紙部1、搬送部2、印刷部3、排紙部4の動作を制御する。制御部6は、例えば、汎用のマイクロコントローラを有している。汎用のマイクロコントローラは、CPU及びメモリを備える。メモリは、ROM及びRAMを含む。本実施形態の制御部6は、メモリに記憶させた制御プログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。複数の情報処理回路は、検出部及び調整部を構成することができる。検出部及び調整部は、個別の情報処理回路で構成してもよく、1つの情報処理回路で構成してもよい。
【0031】
本実施形態では、制御部6に構築される複数の情報処理回路をソフトウェアによって実現する例を示す。情報処理回路は、専用のハードウェアを用いて構成してもよい。専用のハードウェアは、検出部及び調整部の後述する情報処理を実行する。1つのハードウェアで複数の情報処理回路を構成してもよく、1つのハードウェアで1つの情報処理回路を構成してもよい。専用のハードウェアは、検出部及び調整部の機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。
【0032】
制御部6は、用紙Pが幅方向Wに位置ずれしている場合に、用紙幅検出センサ13が検出した端部の位置から用紙Pの幅方向Wにおける位置ずれ量を算出する。制御部6の調整部は、算出した用紙Pの位置ずれ量に応じて、幅方向Wに位置ずれした用紙Pがサイドフェンス25A,25Bの間隔W2に収まるように、ウイング部14の傾斜角度を調整する。この間隔W2は、幅方向Wにおける用紙Pの位置ずれの範囲以上とした図4の間隔W1よりも狭く、用紙Pの幅方向Wにおける間隔に近い。
【0033】
例えば、図7では、用紙Pが幅方向Wにおいて位置ずれしていない場合の例を示している。この例では、制御部6によりサイドウイング16、17が、共にデフォルトの傾斜角度に制御される。図8では、用紙Pが幅方向Wにおいて、図中の右側に位置ずれしている場合の例を示している。この例では、サイドウイング16、17がデフォルトの傾斜角度のままでは、用紙Pの幅方向Wにおける右側が、排紙の際に、サイドフェンス25A,25Bの間隔W2の外に位置し、サイドフェンス25Bと接触する可能性がある。この場合、制御部6は、図中右側のサイドウイング17の傾斜角度を、左側のサイドウイング16よりも大きい傾斜角度に調整する。大きい傾斜角度とは、ベルトプラテン機構15による用紙Pの水平な搬送面に対する傾斜角度が大きいことを意味する。サイドウイング16、17の傾斜角度を大きくするほど、傾斜角度が小さい場合よりも、サイドウイング16、17の向きが、水平方向から遠ざかって鉛直方向に近づく。
【0034】
次に、図1の制御部6が行う処理の手順の一例を、図9のフローチャートを参照して説明する。制御部6の検出部は、用紙幅検出センサ13により、搬送部2を搬送中の用紙Pの幅方向Wにおける端部の位置を検出する(ステップS101)。制御部6は、検出した用紙Pの端部の位置に基づいて、用紙Pが幅方向Wに位置ずれしているか否かを確認する(ステップS103)。位置ずれしていない場合は(ステップS103でNO)、制御部6の調整部が、通常角度・速度で用紙Pを排紙台22に排出させる(ステップS105)。通常角度とは、サイドウイング16、17をデフォルトの傾斜角度に調整することを意味する。通常速度とは、印刷速度に対応する用紙Pの排紙台22への排紙速度を通常速度に調整することを意味する。
【0035】
サイドウイング16、17の傾斜角度を大きくするほど、排紙台22に排紙される用紙Pの幅方向Wにおける端部の曲げ量が大きくなる。曲げ量が大きいほど、排紙台22に排紙された用紙Pが平らな状態に復帰するのに時間がかかる。制御部6は、例えば、図10に示すように、サイドウイング16、17の調整量が増えてサイドウイング16、17の傾斜角度が大きくなるほど、排紙台22への用紙Pの排紙速度を線形的に下げてもよい。制御部6は、給紙部1及び搬送部2による用紙Pの給紙速度、搬送速度を下げ、また、印刷部3による用紙Pへの印刷速度を下げることで、排紙速度を下げることができる。図10に示すサイドウイング16、17の調整量と用紙Pの排紙速度との関係は、例えば、図1の記憶部5にテーブル化して記憶させておいてもよい。このテーブルは、用紙Pのサイズ、種類別に構成してもよい。
【0036】
用紙Pが幅方向Wに位置ずれしている場合は(ステップS103でYES)、制御部6が、検出した位置ずれの量を算出し、算出したずれ量からサイドウイング16、17の調整量を算出する。制御部6の調整部は、算出した調整量によりサイドウイング16、17の傾斜角度を調整する(以上、ステップS107)。制御部6の調整部は、サイドウイング16、17の調整量に対応する速度に、用紙Pの排出速度を下げる(ステップS109)。
【0037】
制御部6は、ステップS107で算出したサイドウイング16、17の調整量が閾値以上であるか否かを確認する(ステップS111)。この閾値は、例えば、図10の横軸の中央付近に記載した点線で示す調整量とすることができる。サイドウイング16、17の調整量が閾値未満である場合は(ステップS111でNO)、制御部6は、排紙台22の位置を通常位置とする(ステップS113)。サイドウイング16、17の調整量が閾値以上である場合は(ステップS111でYES)、制御部6は、排紙台22の位置を通常位置よりも低い位置に下げる(ステップS115)。
【0038】
制御部6は、ステップS101~ステップS115の処理を、例えば、印刷ジョブの印刷が全て終了するまで繰り返して実行することができる。制御部6は、印刷した全ての用紙Pを排紙し終えたら(ステップS117)、一連の処理を終了する。
【0039】
本実施形態の印刷装置100では、搬送中の用紙Pが幅方向Wに位置ずれしている場合に、位置ずれ量に対応する調整量でサイドウイング16、17の傾斜角度を調整する。調整後の傾斜角度のサイドウイング16、17により、搬送部2を搬送中の用紙Pは、用紙Pの幅方向Wの間隔に対応する間隔W2としたサイドフェンス25A,25Bの内側に収まる姿勢で、排紙台22に排紙される。用紙Pが幅方向Wに位置ずれしていても、用紙Pの幅方向Wの間隔に対応する間隔W2に狭めたサイドフェンス25A,25Bの内側に排紙される。このため、サイドフェンス25A,25Bをジョガー動作させなくても、排紙台22上の用紙Pの排紙揃えを良好にすることができる。
【0040】
本実施形態に係る用紙搬送装置は、例えば、搬送部2の用紙幅検出センサ13及びウイング部14、排紙部4の排紙台22及びサイドフェンス25A、25B、制御部6を含む構成によって実現することができる。本実施形態の印刷装置100では、排紙台22への用紙Pの排紙速度を、サイドウイング16、17の傾斜角度の調整量が増えるほど下げる。このため、サイドウイング16、17により内側に曲げた用紙Pの幅方向Wにおける端部を、次の用紙Pが排紙台22に排紙されるまでの間に、元の平らな状態に復帰させることができる。用紙Pの排紙速度は、印刷速度に支障が生じない範囲で調整してもよい。
【0041】
サイドウイング16、17の傾斜角度の調整量が増えて、用紙Pの排紙速度を下げるのが難しくなった場合は、本実施形態のように、排紙台22の位置を下げてもよい。排紙台22の位置を下げると、印刷部3を通過し排紙搬送部21から排紙された用紙Pが、排紙台22の用紙Pの最上面位置に落下するまでの所要時間が増える。排紙速度を減らさなくても、サイドウイング16、17による内側への曲げ量が増えた用紙Pが元の姿勢に戻るまでの時間を、排紙搬送部21から排紙台22の用紙Pの最上面位置まで用紙Pが落下する時間で確保することができる。
【0042】
なお、本発明は上記の実施形態のままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0043】
[付記]
以上に説明した実施形態によって、以下に示す態様の発明が開示される。
【0044】
即ち、一つの態様の発明として、
搬送方向に搬送される用紙の、前記搬送方向と直交する幅方向の端部を検出する用紙幅検出部と、
搬送されてきた用紙を前記幅方向の内側に曲げて前記用紙を腰付けするウイング部と、
前記ウイング部で腰付けされて排出された用紙を前記幅方向において揃える排紙フェンス部を有し、排紙された用紙が積載される排紙台と、
前記用紙幅検出部の検出結果に基づいて、前記用紙の前記幅方向における位置ずれを検出する検出部と、
前記ウイング部による前記用紙の曲げ角度に対応する前記ウイング部の傾斜角度を調整する調整部とを備え、
前記調整部は、前記用紙が前記幅方向に位置ずれしている場合に、前記検出部の検出結果に応じて、前記幅方向に位置ずれした前記用紙が前記排紙フェンスの前記幅方向における間隔に収まるように、前記ウイング部の前記傾斜角度を調整する
用紙搬送装置が開示される。
【0045】
そして、上記態様による発明によれば、幅方向に位置ずれして搬送された用紙の排紙揃えを良好にすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 給紙部
2 搬送部
3 印刷部
4 排紙部
6 制御部(検出部、調整部)
13 用紙幅検出センサ(用紙幅検出部)
14 ウイング部
22 排紙台
25A,25B サイドフェンス(排紙フェンス)
100 印刷装置
P 用紙
W 幅方向
X 搬送方向
図1
図2
図3
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図10