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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164989
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20241121BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20241121BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20241121BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20241121BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241121BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241121BHJP
   B60L 53/122 20190101ALI20241121BHJP
   B60L 53/124 20190101ALI20241121BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/40
H02J50/60
H02J50/80
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/122
B60L53/124
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080774
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 侑生
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 将也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英介
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
【テーマコード(参考)】
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5H105AA01
5H105AA11
5H105AA12
5H105BB05
5H105CC02
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BE02
5H125CD03
5H125DD02
(57)【要約】
【課題】非接触給電装置の故障を早期に判断すること。
【解決手段】送電共振回路42と、切替回路44と、切替回路を制御するユニット制御部46と、を備え、ユニット制御部は、非共振状態における検出部により検出された第1検出値を用いて非接触給電装置は異常であるか否かを判断するための第1異常判断処理と、共振状態における検出部により検出された第2検出値を用いて非接触給電装置は異常であるか否かと判断するための第2異常判断処理と、の少なくともいずれか一方を行う非接触給電装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次コイル(L2)を有する受電装置(80)に非接触給電する非接触給電装置(10,210)であって、
前記2次コイルと磁気結合可能な1次コイル(L1)と、1次コンデンサ(C1)とを有する送電共振回路(42,442,542)と、
前記送電共振回路に予め定められた動作周波数の交流電力を供給する交流電源(11)と、
前記送電共振回路の状態を共振状態と非共振状態との間で切り替えるための切替回路(44)と、
前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的または間接的に検出するための検出部(51)と、
前記切替回路を制御するユニット制御部(46)と、を備え、
前記ユニット制御部は、
前記非共振状態における前記検出部により検出された第1検出値を用いて前記非接触給電装置は異常であるか否かを判断するための第1異常判断処理と、前記共振状態における前記検出部により検出された第2検出値を用いて前記非接触給電装置は異常であるか否かを判断するための第2異常判断処理と、の少なくともいずれか一方を行い、
前記第1異常判断処理において、前記第1検出値は予め定められた第1基準範囲外であるか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップにおいて、前記第1基準範囲外であると判断した場合に、異常であると判断する第1異常判断ステップとを行い、
前記第2異常判断処理において、前記第2検出値は予め定められた第2基準範囲外であるか否かを判断する第2判断ステップと、前記第2判断ステップにおいて、前記第2基準範囲外であると判断した場合に、異常であると判断する第2異常判断ステップとを行う、非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部は、前記第2異常判断処理において、
前記第2判断ステップにおいて前記第2基準範囲外であると判断した場合に、前記第2検出値は、前記第2基準範囲よりも範囲の大きい回路基準範囲外であるか否かを判断する第3判断ステップをさらに行い、前記第3判断ステップにおいて、前記回路基準範囲外であると判断した場合に、前記非接触給電装置が有する回路に異常がある回路異常であると判断し、前記第3判断ステップにおいて、前記回路基準範囲外でないと判断した場合に、前記非接触給電装置に異物が付着した異物異常であると判断する、非接触給電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部と通信する送電制御装置(60)をさらに備え、
前記ユニット制御部は、前記第1異常判断処理において異常であると判断した場合に、前記送電制御装置に第1異常通知信号を送信し、前記第2異常判断処理において異常であると判断した場合に、前記送電制御装置に第2異常通知信号を送信する、非接触給電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触給電装置であって、
前記送電共振回路と、前記切替回路と、前記検出部と、前記ユニット制御部とを含む送電ユニット(40)を複数備え、
前記複数の送電ユニットは配列されており、
前記送電制御装置は、
前記第1異常通知信号と前記第2異常通知信号との少なくともいずれか一方を受信した場合、前記第1異常通知信号と前記第2異常通知信号との少なくともいずれか一方を送信した前記送電ユニットの隣の送電ユニットに、前記送電共振回路を前記共振状態に設定することを禁止する第1禁止信号を送信する、非接触給電装置。
【請求項5】
請求項3に記載の非接触給電装置であって、
前記送電共振回路と、前記切替回路と、前記検出部と、前記ユニット制御部とを含む送電ユニット(40)を複数備え、
前記送電制御装置は、
前記複数の送電ユニットのうち、1つを前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う対象送電ユニットに設定し、
前記対象送電ユニットに検査許可信号を送信し、
前記対象送電ユニットは、前記検査許可信号を受信した場合、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う、非接触給電装置。
【請求項6】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部は、前記非接触給電装置の起動時に、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う、非接触給電装置。
【請求項7】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う前に、非接触給電可能な位置範囲に前記受電装置が位置するか否かを判断する受電装置判断ステップを行い、
前記受電装置判断ステップにおいて、前記受電装置が位置しないと判断した後に、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う、非接触給電装置。
【請求項8】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部と通信する送電制御装置をさらに備え、
前記送電制御装置は、前記ユニット制御部に検査許可信号を送信し、
前記ユニット制御部は、前記検査許可信号を受信すると、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行い、
前記送電制御装置は、前記受電装置に、前記検査許可信号の送信先である前記ユニット制御部が制御する前記切替回路によって状態が切り替えられる前記送電共振回路への接近を禁止する第2禁止信号を送信する、非接触給電装置。
【請求項9】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記1次コンデンサは、第1送電コンデンサと、第2送電コンデンサとを含み、
前記送電共振回路は、前記第2送電コンデンサと直列に接続する第1スイッチをさらに有し、
前記第1送電コンデンサは、前記1次コイルに直列に接続され、
前記第2送電コンデンサと前記第1スイッチとの接続体は、前記第1送電コンデンサと並列に接続され、
前記検出部は、前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的に検出する第1電流センサであり、
前記非接触給電装置は、さらに、
前記1次コイルと磁気結合可能な3次コイルと、前記3次コイルと並列に接続された3次コンデンサと、前記3次コイルと並列に接続された第2スイッチと、を有する結合回路と、
前記第2送電コンデンサの電圧を検出する電圧センサと、
前記3次コイルに流れる電流を直接的に検出する第2電流センサと、
前記1次コイル近傍の磁束の大きさを検出する磁気センサと、を備え、
前記切替回路は、前記第1スイッチをオン状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記共振状態に設定し、前記第1スイッチをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記非共振状態に設定し、
前記ユニット制御部は、前記第1異常判断ステップの後に、前記電圧センサの検出値が予め定められた第1基準電圧範囲外であるか否かを判断する第4判断ステップと、前記第2電流センサの検出値が予め定められた第1基準電流範囲外であるか否かを判断する第5判断ステップと、前記磁気センサの検出値が予め定められた第1基準磁束範囲外であるか否かを判断する第6判断ステップと、を行い、
前記第4判断ステップにおいて、前記電圧センサの検出値が前記第1基準電圧範囲外であると判断し、かつ、前記第5判断ステップにおいて、前記第2電流センサの検出値が前記第1基準電流範囲外であると判断し、かつ、前記第6判断ステップにおいて、前記磁気センサの検出値が前記第1基準磁束範囲外であると判断した場合に、前記第1スイッチは短絡故障していると判断する、非接触給電装置。
【請求項10】
請求項9に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部は、前記第2異常判断ステップの後に、前記電圧センサの検出値が予め定められた第2基準電圧範囲外であるか否かを判断する第7判断ステップと、前記第2電流センサの検出値が予め定められた第2基準電流範囲外であるか否かを判断する第8判断ステップと、前記磁気センサの検出値が予め定められた第2基準磁束範囲外であるか否かを判断する第9判断ステップと、を行い、
前記第7判断ステップにおいて、前記電圧センサの検出値が前記第2基準電圧範囲外であると判断し、かつ、前記第8判断ステップにおいて、前記第2電流センサの検出値が前記第2基準電流範囲外であると判断し、かつ、前記第9判断ステップにおいて、前記磁気センサの検出値が前記第2基準磁束範囲外であると判断した場合に、前記送電共振回路は故障していると判断する、非接触給電装置。
【請求項11】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記1次コンデンサは、第1送電コンデンサと、第2送電コンデンサとを含み、
前記送電共振回路は、前記第2送電コンデンサと直列に接続する第1スイッチをさらに有し、
前記第1送電コンデンサは、前記1次コイルに直列に接続され、
前記第2送電コンデンサと前記第1スイッチとの接続体は、前記第1送電コンデンサと並列に接続され、
前記非接触給電装置は、さらに、前記1次コイルと磁気結合可能な3次コイルと、前記3次コイルと並列に接続された3次コンデンサと、前記3次コイルと並列に接続された第2スイッチと、付加コンデンサと、前記付加コンデンサと直列に接続される第3スイッチと、を有する結合回路を備え、
前記付加コンデンサと前記第3スイッチとの接続体は、前記3次コイルに並列に接続されており、
前記検出部は、前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的に検出する第1電流センサであり、
前記切替回路は、前記第1スイッチおよび前記第3スイッチをオン状態に設定するとともに前記第2スイッチをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記共振状態に設定し、前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記第3スイッチとをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記非共振状態に設定する、非接触給電装置。
【請求項12】
請求項1に記載の非接触給電装置であって、
前記送電共振回路は、(i)前記1次コイルと直列に接続する第1スイッチと、(ii)前記1次コイルと前記第1スイッチとの間に、前記1次コイルに並列に接続する第2スイッチと、をさらに有し、
前記1次コンデンサは、前記第1スイッチと前記1次コイルとの間に、前記1次コイルに並列に接続され、
前記検出部は、前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的に検出する第1電流センサであり、
前記切替回路は、前記第1スイッチをオン状態に設定するとともに前記第2スイッチをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記共振状態に設定し、前記第1スイッチをオフ状態に設定するとともに前記第2スイッチをオン状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記非共振状態に設定する、非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非接触給電装置から非接触給電を受ける受電コイルに流れる誘導電流が第1の閾値以下の場合に、非接触給電装置が故障していると判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-76657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受電に際して、故障が判明し、受電できない事は不便であるため、早期に故障を判定する技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、2次コイル(L2)を有する受電装置(80)に非接触給電する非接触給電装置(10)が提供される。この非接触給電装置は、前記2次コイルと磁気結合可能な1次コイル(L1)と、1次コンデンサ(C1)とを有する送電共振回路(42,442,542)と、前記送電共振回路に予め定められた動作周波数の交流電力を供給する交流電源(11)と、前記送電共振回路の状態を共振状態と非共振状態との間で切り替えるための切替回路(44)と、前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的または間接的に検出するための検出部(51)と、前記切替回路を制御するユニット制御部(46)と、を備える。前記ユニット制御部は、前記非共振状態における前記検出部により検出された第1検出値を用いて前記非接触給電装置は異常であるか否かを判断するための第1異常判断処理と、前記共振状態における前記検出部により検出された第2検出値を用いて前記非接触給電装置は異常であるか否かを判断するための第2異常判断処理と、の少なくともいずれか一方を行い、前記第1異常判断処理において、前記第1検出値は予め定められた第1基準範囲外であるか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップにおいて、前記第1基準範囲外であると判断した場合に、異常であると判断する第1異常判断ステップとを行い、前記第2異常判断処理において、前記第2検出値は予め定められた第2基準範囲外であるか否かを判断する第2判断ステップと、前記第2判断ステップにおいて、前記第2基準範囲外であると判断した場合に、異常であると判断する第2異常判断ステップとを行う。
【0007】
この形態によれば、非接触給電装置で、第1異常判断処理と第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行うことにより、異常であると判断することができる。よって、非接触給電装置の故障を早期に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る非接触給電システムの概略構成図。
図2】第1実施形態に係る非接触給電システムの回路図。
図3】給電シーケンスのフローチャート。
図4】第1実施形態に係る異常検出処理のフローチャート。
図5】第2実施形態に係る非接触給電システムの回路図。
図6】第2実施形態に係る故障と検出値の変化との第1の対応表。
図7】第2実施形態に係る故障と検出値の変化との第2の対応表。
図8】第2実施形態に係る各状態の正常時における各コイルの電流値を示す図。
図9】第2実施形態に係る異常検出処理のフローチャート。
図10】第3実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
図11】第3実施形態に係る各状態の正常時における各コイルの電流値を示す図。
図12】第3実施形態に係る故障と検出値の変化との第1の対応表。
図13】第3実施形態に係る故障と検出値の変化との第2の対応表。
図14】第3実施形態に係る故障と検出値の変化との第3の対応表。
図15】第3実施形態に係る異常検出処理の前半のフローチャート。
図16】第3実施形態に係る異常検出処理の後半のフローチャート。
図17】第4実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
図18】第4実施形態の故障と検出値の変化との第1の対応表。
図19】第4実施形態の故障と検出値の変化との第2の対応表。
図20】第5実施形態に係る非接触給電装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A1.非接触給電システムの構成:
図1に示すように、非接触給電システム1は、非接触給電装置10と、受電装置80とを備える。本実施形態では、非接触給電装置10は、道路RSの下に埋設されている。受電装置80は、道路RSを走行する移動体としての車両VEに搭載されている。車両VEの走行中に、受電装置80は、非接触給電装置10から給電される。ここで、走行中とは、車両VEが移動している場合と、信号待ち等で車両が停止している場合とを含む。車両VEは、例えば、電気自動車やハイブリッド車として構成される。
【0010】
非接触給電装置10は、1次コイルとしての送電コイルL1を有する送電ユニット40と、送電ユニット40に給電する交流電源11とを有する。交流電源11は、複数の送電ユニット40に対して予め定められた動作周波数の交流電力を供給する。詳細には、交流電源11は系統電源から供給される交流電力を直流電力に変換する直流電源と、直流電源から供給される直流電力を動作周波数の交流電力に変換するDC/AC変換装置とを含む。複数の送電コイルL1は、道路RSの延在方向に沿って配列されている。
【0011】
なお、受電装置80が搭載される移動体は、道路RSを走行する車両VEに限られず、例えば、AGV(無人搬送車)や、走行ロボットなどでもよい。また、送電ユニット40は、道路RSの下ではなく、道路RSに隣接する歩道や駐車場、AGVが走行する経路に設置されてもよい。また、交流電源11に対して、1つの送電ユニット40が接続される構成としてもよい。
【0012】
受電装置80は、負荷装置としてのバッテリ84と、2次コイルとしての受電コイルL2を有する受電共振回路81と、受電側制御部96とを備えている。受電コイルL2は、送電コイルL1と磁気結合可能である。本実施形態では、受電コイルL2は、送電コイルL1と対向する位置である、車両VEの下面に設けられている。
【0013】
受電コイルL2で受電された電力は、バッテリ84に供給される。バッテリ84は、供給される直流電力により充電される2次電池である。バッテリ84に充電された電力は、走行のための駆動力などに用いられる。
【0014】
受電側制御部96は、受電装置80内の受電共振回路81などの各部を制御する。受電側制御部96は、ECU(engine control unit)を含んで実現される。なお、ECUは、1つのマイクロコントローラーで実現されてもよく、複数のマイクロコントローラーを含んで実現されてもよい。
【0015】
A2.非接触給電システムの回路構成:
図2に示すように、送電ユニット40は、上記構成に加え、送電共振回路42と、切替回路44と、ユニット制御部46を有する。送電共振回路42は、送電コイルL1と、1次コンデンサとしての送電コンデンサC1と、第1スイッチSW1とを有する。送電コンデンサC1は、送電共振回路42を動作周波数にて共振状態とするとともに、送電共振回路42を動作周波数にて非共振状態とする機能を有する。送電コンデンサC1は、第1送電コンデンサC11と、第2送電コンデンサC12とを含む。
【0016】
切替回路44は、送電共振回路42の状態を共振状態と非共振状態との間で切り替える。ユニット制御部46は、切替回路44を制御する。ユニット制御部46は、例えばマイクロコントローラーで実現されている。ユニット制御部46のメモリには、後述する異常検出処理のプログラムが記憶されている。
【0017】
第1送電コンデンサC11は、送電コイルL1と直列に接続されている。第2送電コンデンサC12は第1スイッチSW1と直列に接続されている。そして、第2送電コンデンサC12と第1スイッチSW1との接続体は、第1送電コンデンサC11と並列に接続されている。第1スイッチSW1は、2つのFET(Field effect transistor)の各々のソース端子が接続された双方向スイッチである。2つのFETのゲート端子には、切替回路44から出力される切替信号Sig1が入力される。これにより、第1スイッチSW1のオン・オフ状態が制御される。
【0018】
第1スイッチSW1にハイレベルの切替信号Sig1が入力されると、第1スイッチSW1はオン状態、すなわち導通状態となり、第2送電コンデンサC12に電流が流れる。ここで、第1送電コンデンサC11と第2送電コンデンサC12との合成容量と、送電コイルL1のインダクタンスとは、送電コイルL1と受電コイルL2とが磁気結合した場合に、動作周波数で共振状態となる値に設定されている。これにより、第1スイッチSW1はオン状態となると、第1送電コンデンサC11と、第2送電コンデンサC12と、送電コイルL1とにより、送電共振回路42は共振状態となる。対して、第1スイッチSW1にロウレベルの切替信号Sig1が入力されると、第1スイッチSW1はオフ状態、すなわち非導通状態となる。そして、第1送電コンデンサC11と送電コイルL1とにより形成される共振回路の共振振動数は、動作周波数からずれるため、送電共振回路42は非共振状態となる。
【0019】
送電ユニット40は、さらに、送電コイルL1に流れる電流の電流値を直接的または間接的に検出するための検出部としての第1電流センサ51と、磁気センサ52とを有する。本実施形態では、第1電流センサ51は、送電コイルL1に流れる電流の電流値を直接的に検出し、検出した電流値を示す信号をユニット制御部46に送信する。
【0020】
ここで、送電コイルL1に流れる電流の電流値を間接的に検出するとは、具体的には、例えば、送電コイルL1の電圧値や、送電コイルL1近傍の磁束密度や、第1送電コンデンサC11の電圧を検出することをいう。送電コイルL1に流れる電流の電流値が大きいほど、送電コイルL1の電圧値が大きくなる。このため、送電コイルL1の電圧値を、送電コイルL1を流れる電流の電流値に換算することができる。送電コイルL1に流れる電流の電流値が大きいほど、送電コイルL1近傍の電流密度が大きくなる。このため、送電コイルL1近傍の磁束密度を、送電コイルL1を流れる電流の電流値に換算することができる。従って、送電コイルL1の電流値を検出するために、すなわち、検出部として、第1電流センサ51に代えて、送電コイルL1の電圧値を検出する電圧センサや、送電コイルL1近傍の磁束密度を検出する磁気センサを用いてもよい。
【0021】
磁気センサ52は、検出コイルLspを内蔵する。検出コイルLspは、送電コイルL1の近傍に配置されている。磁気センサ52は、送電コイルL1近傍の磁束密度を検出し、検出した磁束密度を示す検出値をユニット制御部46に送信する。本実施形態では、磁気センサ52は、検出コイルLspに誘起された電圧を検出する電圧センサを内蔵する。検出する磁束密度が大きいほど、磁気センサ52の検出する電圧値は大きくなる。
【0022】
受電装置80は、受電コイルL2と受電コンデンサC2とを有する直列共振回路である受電共振回路81を有する。
【0023】
A3.給電シーケンス:
送電コイルL1は、道路RSの延在方向に配列されており、受電コイルL2は、最寄りの送電コイルL1から非接触給電を受ける。送電ユニット40は、待機状態と給電状態とのいずれかの状態に設定される。具体的には、待機状態に設定する場合、ユニット制御部46は、切替回路44に命令して、第1スイッチSW1をオフ状態に設定して送電共振回路42を非共振状態に設定する。対して、給電状態に設定する場合、ユニット制御部46は、切替回路44に命令して、第1スイッチSW1をオン状態に設定して送電共振回路42を共振状態に設定する。待機状態において送電コイルL1に流れる待機電流は、給電状態において送電コイルL1に流れる給電電流よりも小さい。
【0024】
送電ユニット40は、起動時には待機状態に設定されている。そして、受電コイルL2の接近を検出すると、送電ユニット40は、待機状態から給電状態に切り替えて、受電コイルL2に給電する。待機状態と給電状態との切替の詳細を示す給電シーケンスについて図3を用いて説明する。
【0025】
送電ユニット40は、起動時に待機状態に設定されている。送電ユニット40は、待機状態において、送電コイルL1に待機電流を流すことにより、送電コイルL1から磁束を発生させている。送電コイルL1に受電コイルL2が近づくと、受電装置80は、図示しない2次側検出回路を用いて、送電コイルL1が発生する磁束を検出する。受電装置80は、送電コイルL1が発生する磁束を検出すると、開始用磁束を発生させる。具体的には、受電装置80は、図示しない磁束発生用コイルに交流電力を印加する。これにより、磁束発生用コイルは磁束を発生させる。発生させた磁束により磁気センサ52の検出値が大きくなり、予め定められた基準値よりも大きくなる。
【0026】
ユニット制御部46は、磁気センサ52の検出値が第1基準値よりも大きくなると、送電コイルL1の近傍に受電コイルL2が位置していると判断する。対して、ユニット制御部46は、磁気センサ52の検出値が第2基準値以下なると、送電コイルL1の近傍に受電コイルL2が位置していないと判断する。なお、第1基準値と第2基準値とは同じ値と、異なる値とのいずれでもよい。以下の説明において、ユニット制御部46が送電コイルL1の近傍に受電コイルL2が位置していると判断した場合を、単に「受電コイルL2が接近した場合」と記載する場合がある。ユニット制御部46が送電コイルL1の近傍に受電コイルL2が位置していないと判断した場合を、単に「受電コイルL2が離脱した場合」と記載する場合がある。
【0027】
ユニット制御部46は、図3のステップS1において、送電コイルL1の近傍に受電コイルL2が位置していると判断すると、ステップS3において、送電共振回路42を共振状態に設定する。具体的には、ユニット制御部46は、切替回路44に命令して、切替信号Sig1を用いて、第1スイッチSW1をオフ状態からオン状態に切り替える。送電コイルL1と受電コイルL2とが磁気的に結合している場合において、送電共振回路42の共振周波数と、受電共振回路81の共振周波数とは、略同一になるように設定されている。これにより、送電コイルL1と、受電コイルL2との磁界共振結合によって、受電コイルL2への非接触給電を行うことができる。
【0028】
ユニット制御部46は、ステップS5において、送電コイルL1の近傍に受電コイルL2が位置していないと判断する、送電共振回路42を非共振状態に設定する。具体的には、ユニット制御部46は、切替回路44に命令して、切替信号Sig1を用いて、第1スイッチSW1をオン状態からオフ状態に切り替える。これにより、これにより、給電が停止され、送電ユニット40は待機状態に設定される。
【0029】
A4.異常検出処理:
送電ユニット40が起動された後、ユニット制御部46は、図4に示す異常検出処理を開始する。ステップS10にて、ユニット制御部46は、給電可能な位置範囲に受電装置80が存在するか否かを判断する。具体的には、ユニット制御部46は、磁気センサ52の検出値が予め定められた第1基準値以下の場合に、給電可能な範囲に受電装置80が存在しないと判断する。対して、ユニット制御部46は、磁気センサ52の検出値が第1基準値より大きい場合に、給電可能な範囲に受電装置80が存在すると判断する。異常が発生しているか否かの判断は、受電コイルL2が給電可能な位置範囲に存在しない状態で行われる。そこで、ステップS10において、給電可能な位置範囲に受電装置80が存在すると判断した場合には、ユニット制御部46は、受電装置80が存在しないと判断するまで、ステップS10を繰り返し実行する。
【0030】
ステップS10において、給電可能な範囲に受電装置80が存在しないと判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS14において、ユニット制御部46は、第1電流センサ51の検出値を取得する。なお、送電ユニット40の状態は、非共振状態から変更されていないため、ステップS14にて取得される第1電流センサ51の検出値は、すなわち、非共振状態における検出値である。
【0031】
ステップS20において、ユニット制御部46は、取得した電流値は、予め定められた基準範囲外であるか否かを判断する。具体的に、基準範囲とは、予め定められた基準値以下の範囲である。そして、ユニット制御部46は、取得した電流値が基準値より大きい場合には、基準範囲外であると判断する。一方、ユニット制御部46は、取得した検出値が基準値以下である場合には、基準範囲外でない、すなわち、基準範囲内であると判断する。
【0032】
送電ユニット40は、待機状態に設定されているため、送電共振回路42が故障していない正常時には、送電コイルL1には待機電流が流れている。従って、送電コイルL1に流れる電流が正常時よりも大きい場合には、送電共振回路42が故障していると判断することができる。この場合の故障とは、具体的には、第1スイッチSW1の短絡故障と、第1送電コンデンサC11の短絡故障とが考えられる。ここで、短絡故障とは、常時導通状態となる故障である。このような故障は、不必要な、送電コイルL1からの磁束の発生を招くため、早期に検出することが好ましい。
【0033】
ステップS20にて使用される基準値とは、正常時の待機電流よりも大きい値であり、実験などにより予め定められている。
【0034】
ステップS20において、検出値が基準範囲外でないと判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS22において、送電ユニット40は正常であると判断し、給電許可状態に設定する。給電許可状態とは、給電シーケンスを実行可能な状態である。一方、ステップS20において、検出値が基準範囲外であると判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS24において、送電ユニット40は異常であると判断し、給電禁止状態に設定する。給電禁止状態とは、給電シーケンスを実行不可能な状態である。給電禁止状態では、送電ユニット40は、常時、待機状態に設定される。ユニット制御部46は、ステップS22の実行後と、ステップS24の実行後に本処理シーケンスを終了する。
【0035】
ステップS14において、ユニット制御部46が取得する検出値を第1検出値とも呼ぶ。ステップS20を第1判断ステップとも呼ぶ。ステップS24を第1異常判断ステップとも呼ぶ。ステップS20とステップS24とを合わせて第1異常判断処理とも呼ぶ。
【0036】
以上説明した第1実施形態によれば、ユニット制御部46は、ステップS14において、非共振状態における検出値を取得し、ステップS20において、検出値が基準範囲外であるか否かを判断することにより、非接触給電装置10は異常であるか、すなわち故障しているか否かを判断する。よって、給電動作とは異なる時期に、事前に非接触給電装置10が故障しているか否かを判断することができ、早期に非接触給電装置10の故障を判断できる。
【0037】
また、ユニット制御部46は、起動時、すなわち起動した後、待機状態から給電状態に切り替える前に異常検出処理を行う。これにより、非接触給電装置10が故障した状態での、待機状態から給電状態への切り替えを避けることができる。
【0038】
B.第2実施形態:
図5に示し本実施形態に係る非接触給電装置210は、送電制御装置60を有する点と、送電ユニット240の回路構成と、異常検出処理の処理内容とが、上記第1実施形態とは異なる。上記第1実施形態と同一の構成および同一の処理ステップには同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0039】
B1.非接触給電システムの回路構成:
図5に示すように、送電ユニット240は、結合回路48を有する。結合回路48は、送電ユニット240と受電装置80との電力伝送経路を形成または遮断するために用いられる。結合回路48は、3次コイルL3と、3次コンデンサC3と、第2スイッチSW2とを有する。3次コンデンサC3と、第2スイッチSW2とは、3次コイルL3に並列に接続されている。第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1と同様の双方向スイッチである。3次コイルL3は、送電コイルL1と磁気結合可能な位置に配置されている。これにより、送電コイルL1と受電コイルL2とが磁気結合する場合には、送電コイルL1と、受電コイルL2と、3次コイルL3とが互いに磁気結合する。
【0040】
3次コンデンサC3の容量値は、送電コイルL1と、受電コイルL2と、3次コイルL3とが互いに磁気結合した場合に、3次コイルL3と3次コンデンサC3とで形成される並列共振回路が共振状態となる値に設定されている。
【0041】
受電装置80は、第1実施形態と同様に移動体に搭載されており、送電コイルL1に受電コイルL2が接近した場合には、ユニット制御部46は、送電共振回路42および結合回路48を非共振状態から共振状態に切り替えて、送電ユニット40を待機状態から給電状態に切り替える。具体的には、切替回路44は、上記のように、第1スイッチSW1をオフ状態からオン状態に切り替えるとともに、第2スイッチSW2をオン状態からオフ状態に切り替える。第2スイッチSW2は、オフ状態に切り替えられると、3次コイルL3と3次コンデンサC3とで形成される並列共振回路が共振状態となる。これにより、送電コイルL1には給電電流が流れ、受電コイルL2に非接触給電される。
【0042】
対して、受電コイルL2が離脱した場合には、ユニット制御部46は、送電共振回路42および結合回路48を共振状態から非共振状態に切り替えて、送電ユニット40を給電状態から待機状態に切り替える。具体的には、切替回路44は、上記のように、第1スイッチSW1をオン状態からオフ状態に切り替えるとともに、第2スイッチSW2をオフ状態からオン状態に切り替える。第2スイッチSW2がオン状態に切り替えられると、3次コイルL3の両端子が短絡されるため、結合回路48は非共振状態になる。これにより、送電ユニット40は、送電コイルL1に給電電流よりも小さい待機電流が流れる待機状態に切り替えられる。
【0043】
送電コイルL1は、配列されており、受電コイルL2は、配列されている送電コイルL1のうち、最寄りの送電コイルL1から給電される。つまり、配列されている複数の送電コイルL1は、配置順に、順次、待機状態から給電状態に切り替えられる。このため、給電状態に設定されている送電ユニット40の送電コイルL1が発生させる磁束が、隣の待機状態に設定されている送電ユニット40の送電コイルL1を貫く場合が生じ得る。ここで、結合回路48が非共振状態に設定されていることにより、送電コイルL1に流れる待機電流を小さくすることができる。
【0044】
さらに、待機状態において、結合回路48は、受電コイルL2の接近を検出するための磁気センサとしても機能する。待機状態では、第2スイッチSW2がオン状態に設定されるため、3次コイルL3に誘起された電流は、導通状態の第2スイッチSW2を流れる。3次コイルL3に流れる電流は後述の第2電流センサ54により検出することができる。第1実施形態では、給電シーケンスにおける、図3のステップS1では、磁気センサ52が用いられる。これに対して、本実施形態では、給電シーケンスにおける受電コイルL2の接近は、第2電流センサ54を用いて行われる。給電シーケンスにおける受電コイルL2の離脱は、第1電流センサ51を用いて行われる。なお、本実施形態においても、受電コイルL2の接近と離脱とを、第1実施形態と同様に、磁気センサ52を用いて行われてもよい。後述するように、第2電流センサ54の検出値は、異常検出処理に用いられる。つまり、受電コイルL2の接近を検出するための第2電流センサ54を異常検出処理に用いることができる。このため、新たなセンサを追加することなく、異常検出処理を行うことができる。
【0045】
送電ユニット240は、第1電流センサ51と、磁気センサ52とに加え、電圧センサ53と、第2電流センサ54とを備える。電圧センサ53は、第2送電コンデンサC12の電圧値を検出し、検出した電圧値を示す信号をユニット制御部46に送信する。第2電流センサ54は、3次コイルL3に流れる電流の電流値を直接的に検出し、検出した電流値を示す信号をユニット制御部46に送信する。本実施形態では、第1電流センサ51に加え、電圧センサ53と、第2電流センサ54と、第2電流センサ54と、磁気センサ52とが異常検出処理に使用される。第1電流センサ51が検出する電流値と、磁気センサ52が検出する電圧値と、電圧センサ53が検出する電圧値と、第2電流センサ54が検出する電流値とを検出値と総称する。
【0046】
送電制御装置60は、各送電ユニット240と通信可能である。具体的には、送電制御装置60は、ユニット制御部46と通信可能である。送電制御装置60は、例えば、マイクロコントローラーを含んで実現される。
【0047】
B2.異常判断処理の概要:
図6および図7は、故障個所と、各検出値の変化とをまとめた表である。検出値の変化とは、詳細には、正常時の検出値に対する異常時の検出値の変化を示す。表中の「増加」とは、故障していない正常時に対して、故障している異常時の検出値が大きくなることを示す。表中の「減少」とは、正常時に対して、検出値が小さくなることを示す。表中の「-」とは、正常時に対して変動がないか、変化量が小さいことを示す。また、表中の「I(L1)」は、第1電流センサ51の電流値を示す。表中の「I(L3)」は、第2電流センサ54の電流値を示す。表中の「V(C12)」は、電圧センサ53の電圧値を示す。表中の「φ(L1)」は、磁気センサ52の電圧値が示す磁束密度を示す。
【0048】
本実施形態では、送電共振回路42に加え、結合回路48を有するため、送電共振回路42の共振状態と非共振状態との状態に代えて、送電ユニット240の待機状態と給電状態とを用いて説明する。なお、送電共振回路42と結合回路48とのそれぞれの共振状態と非共振状態との状態と、送電ユニット240の待機状態と給電状態との対応関係は上記の通りである。
【0049】
待機状態では、送電共振回路42と結合回路48とのいずれも非共振状態に設定されている。このため、図8に示すように、送電コイルL1に流れる電流と、3次コイルL3に流れる電流とは、いずれも小さい。給電状態では、送電共振回路42と結合回路48とのいずれも共振状態に設定されている。正常時においても、送電コイルL1に流れる電流値と、3次コイルL3に流れる電流値とは異なる。また、送電コイルL1について、待機状態における電流値と、給電状態における電流値とは異なる。そこで、異常検出処理で使用する基準値は、各検出値と、待機状態と給電状態との各状態との組み合わせ毎に設定されている。
【0050】
第1スイッチSW1を除く回路素子に故障はなく、第1スイッチSW1が短絡故障なった場合の検出値の変化を例示して説明する。図6に示すように、第1スイッチSW1が短絡故障なった場合、待機状態では、第1電流センサ51の電流値と、電圧センサ53の電圧値と、第2電流センサ54の電流値と、磁気センサ52の検出値とのいずれもが正常時に対して増加する。
【0051】
待機状態では、第1スイッチSW1はオフ状態に設定されるため、正常時には、上記の通り、送電コイルL1には、給電状態よりも小さな待機電流が流れる。しかし、第1スイッチSW1が短絡故障すると、送電共振回路42の状態は、給電状態とほぼ同じ状態となるため、送電コイルL1には、給電電流と同程度の電流が流れて、第1電流センサ51の検出値は増加する。そして、送電コイルL1に流れる電流が増加することにより、磁気結合している3次コイルL3に流れる電流も増加する。よって、第2電流センサ54検出値は増加する。送電コイルL1に直列に接続されている第2送電コンデンサC12に流れる電流も増加するため、電圧センサ53の検出値も増加する。送電コイルL1に流れる電流が増加することにより、磁気結合している検出コイルLspに流れる電流も増加する。よって、磁気センサ52の検出値も増加する。
【0052】
対して、給電状態では、第1スイッチSW1が短絡故障した場合でも、検出値は大きく変動しない。給電状態の時には、第1スイッチSW1は、オン状態に設定されるため、第1スイッチSW1が短絡故障した場合との大きな差異はないからである。
【0053】
第1スイッチSW1が開放故障した場合には、給電状態では、送電共振回路42の状態が正常時の待機状態とほぼ同じ状態となるため、第1電流センサ51の電流値と、電圧センサ53の電圧値と、第2電流センサ54の電流値と、磁気センサ52の磁束密度とのいずれもが正常時に対して減少する。対して、第1スイッチSW1が開放故障した場合には、待機状態では、第1スイッチSW1は、オフ状態に設定されるため、第1スイッチSW1が開放故障した場合との大きな差異はないからである。
【0054】
以上のように、待機状態に加え、給電状態における各検出値を用いることにより、待機状態だけでは検出できない故障を検出することができる。さらに、待機状態における各検出値の変化と、給電状態における各検出値の変化とを比較することによって、故障している回路素子を特定することや、短絡故障や開放故障などの故障モードを特定することができる。
【0055】
図6の「C低下」とはコンデンサの容量値の低下を示す。図7の「L増加」とはコイルのインダクタンスの増加を示す。図7の「L低下」とはコイルのインダクタンスの低下を示す。図7の「異物(金属など)」と「異物(磁性材など)」については後述する。
【0056】
B3.異常判断処理の詳細:
図9に示すように、ユニット制御部46は、ステップS10において、給電可能な位置範囲に受電装置80が存在しないと判断した場合に、ステップS14に処理を進める。送電コイルL1と磁気結合可能な位置範囲に受電コイルL2が存在する場合には、送電コイルL1と受電コイルL2との結合の程度によって、送電コイルL1に流れる電流値は変動する。そこで、給電可能な位置範囲に受電装置80が存在しないと判断した場合に、異常か否かの判断を行うことにより、異常か否かの判断を精度良く行うことができる。
【0057】
ステップS14において、ユニット制御部46は、待機状態における各検出値を取得し、取得した検出値を内蔵するメモリに記憶する。ここで、各検出値とは、第1電流センサ51の電流値と、電圧センサ53の電圧値と、第2電流センサ54の電流値と、磁気センサ52の電圧値とを示す。ステップ16において、ユニット制御部46は、送電ユニット240を給電状態に設定する。ステップS18において、ユニット制御部46は、各検出値を取得して、取得した各検出値を内蔵するメモリに記憶する。
【0058】
ステップS20において、待機状態における検出値は、第1基準範囲外であるか否かを判断する。第1基準範囲とは、待機状態における検出値について異常か否かを判断するための基準範囲である。対して、次のステップS21の第2基準範囲とは、給電状態における検出値について異常か否かを判断するための基準範囲である。第1基準範囲と第2基準範囲とを総称して基準範囲とも呼ぶ。
【0059】
ステップS20は、具体的には、4つの検出値の各々について、検出値と、予め定められている下限基準値と上限基準値とを比較することによって行われる。検出値が下限基準値よりも小さい場合と、検出値が上限基準値よりも大きい場合とには、第1基準範囲外であると判断される。対して、検出値が下限基準値以上であって、上限基準値以下の場合には、第1基準範囲外ではない、すなわち第1基準範囲内であると判断される。
【0060】
なお、検出値が下限基準値よりも小さい場合とは、図6および図7における「減少」に対応する。検出値が上限基準値よりも大きい場合とは、図6および図7における「増加」に対応する。検出値が下限基準値以上であって、上限基準値以下の場合とは、図6および図7における「-」に対応する。
【0061】
ユニット制御部46は、4つの検出値の各々について、第1基準範囲外であるか否かを判断した結果、4つの検出値の少なくとも1つの検出値が第1基準範囲外であると判断した場合には、ステップS20において、第1基準範囲外であると判断する。対して、4つの検出値のすべての検出値が第1基準範囲外でない、すなわち、第1基準範囲内である場合には、ステップS20において、ユニット制御部46は、第1基準範囲外でないと判断する。
【0062】
ステップS20において、待機状態における検出値は、第1基準範囲外でないと判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS21において、給電状態における検出値は、第2基準範囲内であるか否かを判断する。具体的には、ステップS20と同様に、4つの検出値の各々について、検出値と第2基準範囲とを比較して、4つの検出値の少なくとも1つの検出値が第2基準範囲外である場合には、ステップS21において、第2基準範囲外であると判断する。一方、各検出値を、第2基準範囲と比較して、4つの検出値のすべての検出値が第2基準範囲外でない、すなわち、第2基準範囲内である場合には、ステップS21において、ユニット制御部46は、第2基準範囲外でないと判断する。
【0063】
ステップS21において、給電状態における検出値は、第2基準範囲外でないと判断した場合、待機状態と給電状態とのいずれにおいても検出値は、基準範囲内であるため、ユニット制御部46は、ステップS22において、送電ユニット40は正常であると判断し、給電許可状態に設定して、本処理ルーチンを終了する。
【0064】
ステップS21において、給電状態における検出値は、第2基準範囲外であると判断した場合、待機状態における検出値が第1基準範囲外であり、異常であるため、ユニット制御部46は、処理をステップS38に進める。
【0065】
ステップS20において、待機状態における検出値は、第1基準範囲外であると判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS24において、異常と判断するとともに、送電ユニット240を給電禁止状態に設定する。ステップS32において、ユニット制御部46は、待機状態において異常と判断されたことを示す第1異常通知信号を送電制御装置60に送信する。
【0066】
ステップS34において、ユニット制御部46は、ステップS21と同様に、給電状態における検出値は、第2基準範囲外であるか否かを判断する。給電状態における検出値は、第2基準範囲外でないと判断した場合、ユニット制御部46は、本処理ルーチンを終了する。対して、給電状態における検出値は、第2基準範囲外であると判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS38において、異常と判断するとともに、送電ユニット240を給電禁止状態に設定する。ステップS40において、ユニット制御部46は、給電状態において異常と判断されたことを示す第2異常通知信号を送電制御装置60に送信して、送電ユニット240を給電禁止状態に設定した後、本処理ルーチンを終了する。
【0067】
ステップS18において、ユニット制御部46が取得する検出値を第2検出値とも呼ぶ。ステップS21およびステップS34を第2判断ステップとも呼ぶ。ステップS38を第2異常判断ステップとも呼ぶ。ステップS34とステップS38とを合わせて第2異常判断処理とも呼ぶ。ステップS10を受電装置判断ステップとも呼ぶ。
【0068】
以上説明した第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。また、ユニット制御部46は、ステップS24において、異常と判断した場合、ステップS32において、第1異常通知信号を送電制御装置60に送信する。ユニット制御部46は、ステップS38において、異常と判断した場合、ステップS40において、第2異常通知信号を送電制御装置60に送信する。これにより、送電制御装置60は、第1異常通知信号と、第2異常通知信号との少なくともいずれか一方を受信した場合に、応対する処理を行うことができる。応対する処理として、例えば、交流電源11から送電ユニット240への給電を停止することができる。これにより、例えば、送電ユニット240から磁束が発生することにより、2次故障を抑制することができる。また、応対する処理として、例えば、非接触給電装置10の管理者へ故障の修理を促すことができる。
【0069】
また、ユニット制御部46は、ステップS10において、非接触給電可能な位置範囲に受電装置80が位置しないと判断した場合に、検出値を基準範囲と比較するステップS20とステップS34とを行う。これにより、異常か否かの判断を精度良く行うことができる。
【0070】
C.第2実施形態の他の形態1:
本実施形態では、ユニット制御部46は、図9のステップS24の後に、電圧センサ53の検出値が予め定められた第1基準電圧範囲外であるか否かを判断する第4判断ステップと、第2電流センサ54の検出値が予め定められた第1基準電流範囲外であるか否かを判断する第5判断ステップと、磁気センサ52の検出値が予め定められた第1基準磁束範囲外であるか否かを判断する第6判断ステップと、を行う。その後、ユニット制御部46は、第4判断ステップにおいて、電圧センサ53の検出値が第1基準電圧範囲外であると判断し、かつ、第5判断ステップにおいて、第2電流センサ54の検出値が第1基準電流範囲外であると判断し、かつ、第6判断ステップにおいて、磁気センサ52の検出値が第1基準磁束範囲外であると判断した場合に、第1スイッチSW1は短絡故障していると判断する。この形態によれば、故障が、第1スイッチSW1の短絡故障であると特定することができる。
【0071】
なお、第1基準電圧範囲、第1基準電流範囲と、第1基準電圧範囲とは、実験などにより予め定められている。
【0072】
さらに、第1スイッチSW1は短絡故障していると判断した場合に、ユニット制御部46は、第1スイッチSW1は短絡故障していることを示す通知信号を送電制御装置60に送信してもよい。通知信号を送信することにより、例えば、非接触給電装置10の管理者は、予め故障個所が特定されているため、非接触給電装置10を早期に修理することができる。
【0073】
D.第2実施形態の他の形態2:
本実施形態では、ユニット制御部46は、ステップS38の後に、電圧センサ53の検出値が予め定められた第2基準電圧範囲外であるか否かを判断する第7判断ステップと、第2電流センサ54の検出値が予め定められた第2基準電流範囲外であるか否かを判断する第8判断ステップと、磁気センサ52の検出値が予め定められた第2基準磁束範囲外であるか否かを判断する第9判断ステップと、を行う。その後、ユニット制御部46は、第7判断ステップにおいて、電圧センサ53の検出値が第2基準電圧範囲外であると判断し、かつ、第8判断ステップにおいて、第2電流センサ54の検出値が第2基準電流範囲外であると判断し、かつ、第9判断ステップにおいて、磁気センサ52の検出値が第2基準磁束範囲外であると判断した場合に、送電共振回路42は故障していると判断する。この形態によれば、送電共振回路42が故障していると特定することができる。故障個所を特定することにより、上記「第2実施形態の他の形態1」と同様の効果を奏することができる。
【0074】
E.第2実施形態の他の形態3:
本実施形態は、図7の「異物(金属など)」と「異物(磁性材など)」に対応する。金属や磁性材などの異物が、送電コイルL1近傍に付着した場合には、送電コイルL1のインダクタンスと、送電コイルL1と磁気結合する3次コイルL3のインダクタンスとが変化する。従って、給電状態における検出値が変化する。
【0075】
ただし、異物の付着は、回路素子の故障よりも、検出値の変化量は小さい。そこで、本実施形態では、検出値の変化量が比較的小さい場合には、異物による故障であると判断し、検出値の変化量が比較的大きい場合には、回路素子の故障であると判断する。詳細には、本実施形態では、図9のステップ21およびステップS34の第2基準範囲は、異物による故障か否かの判断に使用される。そして、第2基準範囲外よりも範囲の大きい回路基準範囲が、回路素子の故障であるか否かの判断に使用される。
【0076】
ユニット制御部46は、ステップS34において、検出値は、第2基準範囲外であると判断した場合に、第2基準範囲外よりも範囲の大きい回路基準範囲外であるか否かを判断する第3判断ステップを行う。その後、ユニット制御部46は、第3判断ステップにおいて、回路基準範囲外であると判断した場合に、非接触給電装置210が有する回路に異常がある回路異常であると判断する。対して、第3判断ステップにおいて、回路基準範囲外でないと判断した場合に、非接触給電装置210に異物が付着した異物異常であると判断する。
【0077】
この形態によれば、故障の原因が、回路素子と、異物とのいずれであるかを区別することできる。故障個所が回路素子か異物であるかを特定することにより、上記「第2実施形態の他の形態1」と同様の効果を奏することができる。
【0078】
なお、図7の「増加/減少」とは、送電コイルL1や受電コイルL2のインダクタンスとの大小関係により、電流値が正常時に対して増加する場合と、減少する場合とがあることを示している。
【0079】
F.第3実施形態:
図10に示す本実施形態に係る送電ユニット340は、結合回路348の回路構成が第2実施形態に係る結合回路48と異なる。また、異常判断処理の処理内容が第2実施形態とは異なる。上記各実施形態と同じ構成および同じ処理ステップには同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0080】
F1.非接触給電装置の回路構成:
本実施形態の結合回路348は、第2実施形態の結合回路48にさらに、付加コンデンサC4と、第3スイッチSW3とを備える。付加コンデンサC4と第3スイッチSW3とは、送電共振回路42の第1スイッチSW1と第2送電コンデンサC12と同様に機能する。すなわち、付加コンデンサC4は、第3スイッチSW3と直列に接続されており、付加コンデンサC4と第3スイッチSW3との接続体は、3次コンデンサC3と並列に接続されている。第3スイッチSW3の状態をオフ状態とオン状態との間で切り替えることにより、3次コイルL3を含むLC並列共振回路の容量値が変更される。具体的には、結合回路348を共振状態に設定する場合には、第2スイッチSW2がオフ状態に設定されるとともに、第3スイッチSW3はオン状態に設定される。対して、結合回路348を非共振状態に設定する場合には、第2スイッチSW2はオフ状態に設定されるとともに、第3スイッチSW3はオフ状態に設定される。結合回路348では、第2スイッチSW2に加えて、第3スイッチSW3を用いても非共振状態に設定することができる。よって、例えば、第2スイッチSW2が常時オフ状態となる開放故障が発生した場合にも、第3スイッチSW3を用いて、3次共振回路948を非共振状態に設定することができる。
【0081】
また、本実施形態では、送電制御装置60は受電装置80の受電側制御部96(図5)と通信可能である。
【0082】
F2.異常検出処理の概要:
本実施形態では、異常判断処理を行う場合に、送電ユニット340を待機状態と給電状態とに設定した場合の各々の検出値に加え、点検状態に設定した場合の検出値が用いられる。点検状態は、給電シーケンスでは設定されることがない状態である。点検状態における検出値が用いられることにより、後に詳述するように、第3スイッチSW3の故障を検出することができる。
【0083】
図10に示すように、送電ユニット340を待機状態に設定する場合には、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2と第3スイッチSW3との全てがオフ状態に設定される。送電ユニット340を給電状態に設定する場合には、第1スイッチSW1と第3スイッチSW3とがオン状態に設定され、第2スイッチSW2がオフ状態に設定される。送電ユニット340を点検状態に設定する場合には、第1スイッチSW1がオフ状態に設定され、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3とがオン状態に設定される。これにより、送電共振回路42と結合回路348とはいずれも非共振状態に設定される。
【0084】
第2実施形態と同様に、図11に示すように、待機状態では、送電コイルL1に流れる電流と、3次コイルL3に流れる電流とは、いずれも小さい。また、給電状態では、3次コイルL3に流れる電流は、送電コイルL1に流れる電流よりも大きい。また、点検状態では、送電共振回路42は、非共振状態に設定されるため、待機状態と同様に、送電コイルL1に流れる電流は小さい。待機状態と点検状態との違いは、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3との設定である。待機状態では、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3とはいずれもオフ状態に設定される。対して、点検状態では、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3とはいずれもオン状態に設定される点である。点検状態では、3次コイルL3は短絡されるため、3次コイルL3に流れる電流が、待機状態より減少する。
【0085】
図10に示すように、第2スイッチSW2が開放故障すると、点検状態に設定された場合、第3スイッチSW3はオン状態に設定されているため、3次コイルL3と、3次コンデンサC3と付加コンデンサC4とで並列共振回路が形成される。このため、図12に示すように、点検状態において、待機電流が流れている送電コイルL1と、3次コイルL3とが磁気結合して、並列共振回路は共振状態となるため、3次コイルL3に流れる電流は正常時よりも増加する。このように、第2スイッチSW2の開放故障を検出することができる。故障と、検出値の変化との対応関係は、図12図14に示す通りである。
【0086】
F3.異常検査処理の詳細:
図15に示すように、ユニット制御部46は、ステップS50において、送電制御装置60に、検査可能信号を送信する。送電制御装置60は、検査可能信号を受信すると、配列されている送電ユニット40のうち、少なくとも隣り合う2つの送電ユニット40が同じ時期に異常検出処理を実行しないように、送電ユニット40に検査許可信号を送信する。具値的には、送電制御装置60は、複数の送電ユニット340のうち、1つの送電ユニット340を、異常判断処理を行う対象送電ユニットに設定する。本実施形態では、送電制御装置60は、配列されている送電ユニット40の配列順に、順に、対象送電ユニットに設定する。
【0087】
また、送電制御装置60は、検査許可信号を送信した後、受電装置80に、検査許可信号の送信先であるユニット制御部46が制御する切替回路44によって状態が切り替えられる送電共振回路42への接近を禁止する第2禁止信号を送信する。受電側制御部96は、第2禁止信号を受信すると、許可信号を受信するまで、検査許可信号の送信先である送電共振回路42を中心とする予め定めた位置範囲内に移動しない。具体的には、例えば、送電制御装置60は、第2禁止信号に、検査許可信号の送信先である送電共振回路42を含む送電ユニット340の位置情報を含める。受電側制御部96は、移動を停止する、または、位置範囲を迂回して移動する。これにより、隣の送電コイルL1が磁束を発生させることによる、検査対象の送電コイルL1に流れる電流の変動を抑制することができる。また、受電装置80の受電コイルL2が近づくことによる検査対象の送電コイルL1に流れる電流の変動を抑制することができる。よって、検査精度を向上させることができる。
【0088】
ユニット制御部46は、ステップS52において、送電制御装置60から検査許可信号を受信したか否かを判断する。ステップS52において、検査許可信号を受信したと判断すると、ステップS10に処理を進める。一方、ステップS52において、検査許可信号を受信していないと判断すると、ユニット制御部46は、検査許可信号を受信したと判断するまで、ステップS50およびステップS52を繰り返し実行する。
【0089】
ユニット制御部46は、ステップS52において、検査許可信号を受信したと判断すると、ステップS10からステップ18までを実行する。ステップS54において、ユニット制御部46は、送電ユニット340を点検状態に設定する。ステップS56において、ユニット制御部46は、点検状態における検出値を取得し、取得した検出値を内蔵するメモリに記憶する。ステップS20において、ユニット制御部46は、待機状態における検出値は第1基準範囲外であるか否かを判断する。ステップS20において、ユニット制御部46は、待機状態における検出値は、第1基準範囲外でないと判断すると、図16のステップS21において、給電状態における検出値は、第2基準範囲外であるか否かを判断する。ユニット制御部46は、ステップS21において、給電状態における検出値は、第2基準範囲外であると判断すると、処理をステップS38に進める。
【0090】
ユニット制御部46は、ステップS21において、給電状態における検出値は、第2基準範囲外でないと判断すると、ステップS58において、点検状態における検出値は、第3基準範囲外であるか否かを判断する。ステップS58において、点検状態における検出値は、第3基準範囲外であると判断すると、ユニット制御部46は、処理をステップS62に進める。ステップS58において、点検状態における検出値は、第3基準範囲外でないと判断すると、ユニット制御部46は、ステップS22において、正常であると判断する。ステップS66において、ユニット制御部46は、送電制御装置60に検査終了信号を送信して、本処理ルーチンを終了する。送電制御装置60は、検査終了信号を受信すると、対象送電ユニットを変更する。
【0091】
図15のステップS20において、ユニット制御部46は、待機状態における検出値は、第1基準範囲外であると判断すると、ステップS24において、異常であると判断する。ステップS32において、ユニット制御部46は、第1異常通知信号を送電制御装置に送信する。
【0092】
図16のステップ34において、ユニット制御部46は、給電状態における検出値は、第2基準範囲外であるか否かを判断する。ステップ34において、給電状態における検出値は、第2基準範囲外でないと判断した場合、ユニット制御部46は、処理をステップS60に進める。ステップ34において、給電状態における検出値は、第2基準範囲外であると判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS38において、異常であると判断する。ステップS40において、ユニット制御部46は、第2異常通知信号を送電制御装置60に送信する。
【0093】
ステップS60において、ユニット制御部46は、点検状態における検出値は第3基準範囲外であるか否かを判断する。ステップS60において、点検状態における検出値は第3基準範囲外でないと判断した場合、ユニット制御部46は、処理をステップS66に進める。ステップS60において、点検状態における検出値は第3基準範囲外であると判断した場合、ユニット制御部46は、ステップS62において、異常であると判断する。ステップS64において、ユニット制御部46は、点検状態において検出値が第3基準範囲外であることを示す第3以上通知信号を送電制御装置60へ送信する。ユニット制御部46は、ステップS64の実行後、ステップS66に処理を進める。
【0094】
送電制御装置60は、第1異常通知信号と、第2異常通知信号と、第3異常信号との少なくともいずれか1つの信号を受信した場合、信号を送信した送電ユニット340の隣の送電ユニット340に、送電共振回路42を共振状態に設定することを禁止する第1禁止信号を送信する。ユニット制御部46は、第1禁止信号を受信すると、許可信号を受信するまで、送電共振回路42の状態を非共振状態に維持する。これにより、多例えば、磁束が過剰に発生することによる、送電ユニット340に2次故障が生じることを抑制することができる。
【0095】
以上説明した第3実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果を奏する。また、送電制御装置60は、第1異常通知信号と、第2異常通知信号と、第3異常通知信号との少なくともいずれか一つの信号を受信した場合、信号を送信した送電ユニット340の隣の送電ユニット340に、第1禁止信号を送信する。これにより、2次故障の発生を抑制することができる。
【0096】
また、送電制御装置60は、送電ユニット340の一つを対象送電ユニットに設定し、対象送電ユニットに検査許可信号を送信する。送電ユニット340は、検査許可信号を受信すると、異常判断処理を行う。これにより、隣り合う2つの送電ユニット340が同時期に異常判断処理を行うことがないため、磁束が干渉を防ぎ、検出値の判断の精度を向上させることができる。
【0097】
また、ユニット制御部46は、受電装置80に、検査許可信号の送信先であるユニット制御部46を含む送電ユニット340への接近を禁止する第2禁止信号を送信する。これにより、異常判断処理が行われる送電コイルL1と受電コイルL2とが磁気結合することが回避されるため、検出精度を向上させることができる。故障が発生しているにもかかわらず、正常と判断される誤検出や、故障が発生していないにもかかわらず、異常と判断される誤検出を抑制することができる。
【0098】
G.第4実施形態:
図17に示す本実施形態に係る送電ユニット440は、回路構成が、上記各実施形態とは異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0099】
G1.非接触給電装置の回路構成:
送電ユニット440は、送電コイルL1と、送電コンデンサC1と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とを有する。送電コンデンサC1は、送電コイルL1と並列に接続されている。第1スイッチSW1は送電コイルL1と直列に接続されている。第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1と、送電コイルL1との間に接続されている。送電共振回路442は、並列共振回路である。
【0100】
待機状態に設定する場合、ユニット制御部46は、第1スイッチSW1をオフ状態に設定し、第2スイッチSW2をオン状態に設定する。給電状態に設定する場合、第1スイッチSW1をオン状態に設定し、第2スイッチSW2をオフ状態に設定する。
【0101】
第2電流センサ54は、交流電源11と第1スイッチSW1との間に接続されており、送電共振回路442への入力電流を検出する。電圧センサ53は、送電コンデンサC1の電圧を検出する。第1電流センサ51と、磁気センサ52とは、上記第1実施形態と同様である。
【0102】
故障が生じた場合の各検出値の変化は、図18および図19に示す通りである。図18および図19中の「I(IN)」とは、第2電流センサ54の検出値である。
【0103】
本実施形態の送電共振回路442においても、待機状態において、第1スイッチSW1が短絡故障した場合には、第1電流センサ51の検出値は、正常時に比べて増加する。よって、第1実施形態と同様に、待機状態における検出値を用いて、異常検出処理を行うことができる。
【0104】
H.第5実施形態:
図20に示す本実施形態に係る送電ユニット540は、回路構成が、上記各実施形態とは異なる。上記各実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0105】
H1.非接触給電装置の回路構成:
送電ユニット540は、送電コイルL1と、第1送電コンデンサC11と、第2送電コンデンサC12と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3とを有する。第1送電コンデンサC11は、送電コイルL1と並列に接続されている。第2送電コンデンサC12は、第3スイッチSW3と直列に接続されている。第3スイッチSW3は、1つのFETを有する片方向スイッチである。第2送電コンデンサC12と第3スイッチSW3との接続体は、送電コイルL1と並列に接続されている。第2スイッチSW2は送電コイルL1と直列に接続されている。第1スイッチSW1は、送電コイルL1と直列に接続されている。第2スイッチSW2と、第2送電コンデンサC12と第3スイッチSW3との接続体と、第1送電コンデンサC11とは、第1スイッチSW1と、送電コイルL1との間に接続されている。
【0106】
第3スイッチSW3のオン・オフ状態を切り替えることにより、並列共振回路である送電共振回路542の容量値が切り替えられる。
【0107】
待機状態に設定する場合、ユニット制御部46は、第1スイッチSW1をオフ状態に設定し、第2スイッチSW2をオン状態に設定し、第3スイッチSW3をオフ状態に設定する。給電状態に設定する場合、第1スイッチSW1をオン状態に設定し、第2スイッチSW2をオフ状態に設定し、第3スイッチSW3をオン状態に設定する。点検状態に設定する場合、第1スイッチSW1をオフ状態に設定し、第2スイッチSW2をオフ状態に設定し、第3スイッチSW3をオフ状態に設定する。第2点検状態に設定する場合、第1スイッチSW1をオフ状態に設定し、第2スイッチSW2をオン状態に設定し、第3スイッチSW3をオン状態に設定する。
【0108】
本実施形態の送電共振回路542においても、待機状態において、第1スイッチSW1または第3スイッチSW3が短絡故障した場合には、第1電流センサ51の検出値は、正常時に比べて増加する。よって、第1実施形態と同様に、待機状態における検出値を用いて、異常検出処理を行うことができる。
【0109】
I.他の実施形態:
(I1)上記第1実施形態では、ユニット制御部46は、送電ユニット40の起動時に異常検出処理を行う。異常検出処理が行われるタイミングは、送電ユニット40の起動時に限られず、例えば、管理者が、ユニット制御部46に異常検出処理の実行を指示されたタイミングで実行されてもよい。
【0110】
(I2)上記第2実施形態に係る異常検出処理におけるステップS14、ステップS16、およびステップS18の順番は、各状態における検出値を取得できればよいため、上記に限られない。同様に、異常か否かを判断するステップS20,ステップS21,ステップS34についても同様に、順番は上記に限られない。第3実施形態に係る異常検出処理についても同様である。
【0111】
(I3)上記第1実施形態では、受電コイルL2の接近は磁気センサ52を用いて検出される。受電コイルL2の検出方法は、これに限られず、例えば、カメラなどで検出してもよい。
【0112】
(I4)上記第1実施形態では、送電共振回路42では、送電コイルL1に送電コンデンサC1が直列に接続され、受電共振回路81では、受電コイルL2に受電コンデンサC2を直列に接続された、いわゆるS-S方式の回路構成である。送電共振回路42の回路構成および受電共振回路81の回路構成は、S-S方式に限られない。(a)例えば、送電共振回路42では、送電コイルL1に送電コンデンサC1が並列に接続され、受電共振回路81では、受電コイルL2に受電コンデンサC2を直列に接続された、いわゆるP-S方式の回路構成でもよい。(b)また、送電コイルL1に直列に接続された送電コンデンサC1に加え、送電コイルL1に並列に接続されたコンデンサを備え、受電共振回路81では、受電コイルL2の両端子のそれぞれに2つの受電コンデンサC2のそれぞれが直列に接続された、いわゆるP-SS方式の回路構成でもよい。(c)また、送電コイルL1に直列に接続された送電コンデンサC1に加え、送電コイルL1に並列に接続されたコンデンサを備え、受電共振回路81では、受電コイルL2に直列に接続された第1の受電コンデンサと、受電コイルL2に並列に接続された第2の受電コンデンサとを備える、いわゆるSP-PS方式の回路構成でもよい。(d)また、送電共振回路42は、コイルとコンデンサとが直列に接続された閉回路を備えてもよい。この閉回路のコイルは、送電コイルL1と受電コイルL2と磁気結合した場合に、受電コイルL2と磁気結合可能な位置に配置される。(e)さらに、閉回路のコンデンサが、コイルと直列ではなく、並列に接続されもよい。(f)また、送電共振回路42は、送電コイルL1と直列に接続されたコイルを備えると共に、コイルと並列に接続されたコンデンサを備えてもよい。このコイルは、送電コイルL1と受電コイルL2と磁気結合した場合に、受電コイルL2と磁気結合可能な位置に配置される。
【0113】
(I5)上記第1実施形態では、第1スイッチSW1を構成するスイッチング素子は、FETで実現される。他の実施形態として、スイッチング素子を他の半導体素子、例えば、還流ダイオードが接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)にて実現してもよい。第1実施形態以外の実施形態における、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3についても同様である。また、第1スイッチSW1は双方向スイッチに限られず、1つのスイッチング素子で構成された片方向スイッチでもよい。第3スイッチSW3は双方向スイッチでもよい。
【0114】
(I6)上記第2実施形態では、第2電流センサ54によって3次コイルL3に流れる電流の電流値が直接的に検出される。3次コイルL3に流れる電流を検出する方法は、第2電流センサ54を用いた方法に限られない。第1電流センサ51と同様に、3次コイルL3の電圧値や、3次コイルL3近傍の磁束密度を検出することにより、3次コイルL3に流れる電流を間接的に検出してもよい。同様に、第2送電コンデンサC12の電圧値を直接的に検出する方法は、電圧センサ53を用いた方法に限られない。第2送電コンデンサC12に流れる電流値を検出することによって、第2送電コンデンサC12の電圧値を間接的に検出してもよい。また、上記第2実施形態では、送電ユニット240は、第1電流センサ51と、磁気センサ52と、電圧センサ53と、第2電流センサ54とを備える。送電ユニット240は、第1電流センサ51と、磁気センサ52と、電圧センサ53と、第2電流センサ54との4つのセンサを備える構成に限られない。所望する故障に応じてセンサを取り付けることが好ましい。送電ユニット240は、例えば、少なくとも第1電流センサ51を備えることで、第1スイッチSW1の短絡故障を検出することができる。
【0115】
(I7)上記第3実施形態の結合回路348は、3次コイルL3に並列に接続された3次コンデンサC3と、付加コンデンサC4とを備える。結合回路348の他の実施形態として、3次コンデンサC3を備えなくてもよい。この3次コンデンサC3を備えない場合、付加コンデンサC4と直列に接続された第3スイッチSW3の状態をオフ状態とオン状態との間で切り替えることにより、結合回路348の状態と非共振状態と共振状態との間で切り替えてもよい。
【0116】
(I8)上記第3実施形態では、送電制御装置60は受電装置80の受電側制御部96と通信可能である。図15に示す異常検出処理における、例えばステップS50などの送電制御装置60との通信を行わない場合には、送電制御装置60と受電側制御部96とは通信不可能であってもよい。
【0117】
本開示は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0118】
J:他の形態:
本開示の特徴を以下の通り示す。
(形態1)
2次コイル(L2)を有する受電装置(80)に非接触給電する非接触給電装置(10,210)であって、
前記2次コイルと磁気結合可能な1次コイル(L1)と、1次コンデンサ(C1)とを有する送電共振回路(42,442,542)と、
前記送電共振回路に予め定められた動作周波数の交流電力を供給する交流電源(11)と、
前記送電共振回路の状態を共振状態と非共振状態との間で切り替えるための切替回路(44)と、
前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的または間接的に検出するための検出部(51)と、
前記切替回路を制御するユニット制御部(46)と、を備え、
前記ユニット制御部は、
前記非共振状態における前記検出部により検出された第1検出値を用いて前記非接触給電装置は異常であるか否かを判断するための第1異常判断処理と、前記共振状態における前記検出部により検出された第2検出値を用いて前記非接触給電装置は異常であるか否かを判断するための第2異常判断処理と、の少なくともいずれか一方を行い、
前記第1異常判断処理において、前記第1検出値は予め定められた第1基準範囲外であるか否かを判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップにおいて、前記第1基準範囲外であると判断した場合に、異常であると判断する第1異常判断ステップとを行い、
前記第2異常判断処理において、前記第2検出値は予め定められた第2基準範囲外であるか否かを判断する第2判断ステップと、前記第2判断ステップにおいて、前記第2基準範囲外であると判断した場合に、異常であると判断する第2異常判断ステップとを行う、非接触給電装置。
(形態2)
形態1に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部は、前記第2異常判断処理において、
前記第2判断ステップにおいて前記第2基準範囲外であると判断した場合に、前記第2検出値は、前記第2基準範囲よりも範囲の大きい回路基準範囲外であるか否かを判断する第3判断ステップをさらに行い、前記第3判断ステップにおいて、前記回路基準範囲外であると判断した場合に、前記非接触給電装置が有する回路に異常がある回路異常であると判断し、前記第3判断ステップにおいて、前記回路基準範囲外でないと判断した場合に、前記非接触給電装置に異物が付着した異物異常であると判断する、非接触給電装置。
(形態3)
形態1に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部と通信する送電制御装置(60)をさらに備え、
前記ユニット制御部は、前記第1異常判断処理において異常であると判断した場合に、前記送電制御装置に第1異常通知信号を送信し、前記第2異常判断処理において異常であると判断した場合に、前記送電制御装置に第2異常通知信号を送信する、非接触給電装置。
(形態4)
形態3に記載の非接触給電装置であって、
前記送電共振回路と、前記切替回路と、前記検出部と、前記ユニット制御部とを含む送電ユニット(40)を複数備え、
前記複数の送電ユニットは配列されており、
前記送電制御装置は、
前記第1異常通知信号と前記第2異常通知信号との少なくともいずれか一方を受信した場合、前記第1異常通知信号と前記第2異常通知信号との少なくともいずれか一方を送信した前記送電ユニットの隣の送電ユニットに、前記送電共振回路を前記共振状態に設定することを禁止する第1禁止信号を送信する、非接触給電装置。
(形態5)
形態3に記載の非接触給電装置であって、
前記送電共振回路と、前記切替回路と、前記検出部と、前記ユニット制御部とを含む送電ユニット(40)を複数備え、
前記送電制御装置は、
前記複数の送電ユニットのうち、1つを前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う対象送電ユニットに設定し、
前記対象送電ユニットに検査許可信号を送信し、
前記対象送電ユニットは、前記検査許可信号を受信した場合、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う、非接触給電装置。
(形態6)
形態1から5のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部は、前記非接触給電装置の起動時に、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う、非接触給電装置。
(形態7)
形態1から6のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う前に、非接触給電可能な位置範囲に前記受電装置が位置するか否かを判断する受電装置判断ステップを行い、
前記受電装置判断ステップにおいて、前記受電装置が位置しないと判断した後に、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行う、非接触給電装置。
(形態8)
形態1から7のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部と通信する送電制御装置をさらに備え、
前記送電制御装置は、前記ユニット制御部に検査許可信号を送信し、
前記ユニット制御部は、前記検査許可信号を受信すると、前記第1異常判断処理と前記第2異常判断処理との少なくともいずれか一方を行い、
前記送電制御装置は、前記受電装置に、前記検査許可信号の送信先である前記ユニット制御部が制御する前記切替回路によって状態が切り替えられる前記送電共振回路への接近を禁止する第2禁止信号を送信する、非接触給電装置。
(形態9)
形態1から8のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記1次コンデンサは、第1送電コンデンサと、第2送電コンデンサとを含み、
前記送電共振回路は、前記第2送電コンデンサと直列に接続する第1スイッチをさらに有し、
前記第1送電コンデンサは、前記1次コイルに直列に接続され、
前記第2送電コンデンサと前記第1スイッチとの接続体は、前記第1送電コンデンサと並列に接続され、
前記検出部は、前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的に検出する第1電流センサであり、
前記非接触給電装置は、さらに、
前記1次コイルと磁気結合可能な3次コイルと、前記3次コイルと並列に接続された3次コンデンサと、前記3次コイルと並列に接続された第2スイッチと、を有する結合回路と、
前記第2送電コンデンサの電圧を検出する電圧センサと、
前記3次コイルに流れる電流を直接的に検出する第2電流センサと、
前記1次コイル近傍の磁束の大きさを検出する磁気センサと、を備え、
前記切替回路は、前記第1スイッチをオン状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記共振状態に設定し、前記第1スイッチをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記非共振状態に設定し、
前記ユニット制御部は、前記第1異常判断ステップの後に、前記電圧センサの検出値が予め定められた第1基準電圧範囲外であるか否かを判断する第4判断ステップと、前記第2電流センサの検出値が予め定められた第1基準電流範囲外であるか否かを判断する第5判断ステップと、前記磁気センサの検出値が予め定められた第1基準磁束範囲外であるか否かを判断する第6判断ステップと、を行い、
前記第4判断ステップにおいて、前記電圧センサの検出値が前記第1基準電圧範囲外であると判断し、かつ、前記第5判断ステップにおいて、前記第2電流センサの検出値が前記第1基準電流範囲外であると判断し、かつ、前記第6判断ステップにおいて、前記磁気センサの検出値が前記第1基準磁束範囲外であると判断した場合に、前記第1スイッチは短絡故障していると判断する、非接触給電装置。
(形態10)
形態9に記載の非接触給電装置であって、
前記ユニット制御部は、前記第2異常判断ステップの後に、前記電圧センサの検出値が予め定められた第2基準電圧範囲外であるか否かを判断する第7判断ステップと、前記第2電流センサの検出値が予め定められた第2基準電流範囲外であるか否かを判断する第8判断ステップと、前記磁気センサの検出値が予め定められた第2基準磁束範囲外であるか否かを判断する第9判断ステップと、を行い、
前記第7判断ステップにおいて、前記電圧センサの検出値が前記第2基準電圧範囲外であると判断し、かつ、前記第8判断ステップにおいて、前記第2電流センサの検出値が前記第2基準電流範囲外であると判断し、かつ、前記第9判断ステップにおいて、前記磁気センサの検出値が前記第2基準磁束範囲外であると判断した場合に、前記送電共振回路は故障していると判断する、非接触給電装置。
(形態11)
形態1から8のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記1次コンデンサは、第1送電コンデンサと、第2送電コンデンサとを含み、
前記送電共振回路は、前記第2送電コンデンサと直列に接続する第1スイッチをさらに有し、
前記第1送電コンデンサは、前記1次コイルに直列に接続され、
前記第2送電コンデンサと前記第1スイッチとの接続体は、前記第1送電コンデンサと並列に接続され、
前記非接触給電装置は、さらに、前記1次コイルと磁気結合可能な3次コイルと、前記3次コイルと並列に接続された3次コンデンサと、前記3次コイルと並列に接続された第2スイッチと、付加コンデンサと、前記付加コンデンサと直列に接続される第3スイッチと、を有する結合回路を備え、
前記付加コンデンサと前記第3スイッチとの接続体は、前記3次コイルに並列に接続されており、
前記検出部は、前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的に検出する第1電流センサであり、
前記切替回路は、前記第1スイッチおよび前記第3スイッチをオン状態に設定するとともに前記第2スイッチをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記共振状態に設定し、前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記第3スイッチとをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記非共振状態に設定する、非接触給電装置。
(形態12)
形態1から11のいずれかに記載の非接触給電装置であって、
前記送電共振回路は、(i)前記1次コイルと直列に接続する第1スイッチと、(ii)前記1次コイルと前記第1スイッチとの間に、前記1次コイルに並列に接続する第2スイッチと、をさらに有し、
前記1次コンデンサは、前記第1スイッチと前記1次コイルとの間に、前記1次コイルに並列に接続され、
前記検出部は、前記1次コイルに流れる電流の電流値を直接的に検出する第1電流センサであり、
前記切替回路は、前記第1スイッチをオン状態に設定するとともに前記第2スイッチをオフ状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記共振状態に設定し、前記第1スイッチをオフ状態に設定するとともに前記第2スイッチをオン状態に設定することによって、前記送電共振回路を前記非共振状態に設定する、非接触給電装置。
【符号の説明】
【0119】
10…非接触給電装置、L1…送電コイル、C1…送電コンデンサ、11…交流電源、42,442,542…送電共振回路、44…切替回路、46…ユニット制御部、51…第1電流センサ
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