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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024164990
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】カプセルフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/30 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B01D35/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080775
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】岩見 百華
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA05
4D116AA16
4D116AA22
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC48
4D116DD05
4D116KK04
4D116QB03
4D116QB17
4D116QB24
4D116QB26
4D116QB32
4D116QB35
4D116QB37
4D116QC49
4D116VV30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易に製造可能な長さの長いカプセルフィルタを提供する。
【解決手段】筒状のカプセルチューブと、カプセルチューブの両端にそれぞれ設けられた第1カプセルキャップ及び第2カプセルキャップと、を有するハウジングと、ハウジングの内部に設けられたフィルタエレメントと、を備える。カプセルチューブは、チューブ本体と、チューブ本体の両端にそれぞれ設けられた第1取付部及び第2取付部とを有し、第1カプセルキャップ及び第2カプセルキャップは、液体流入口、液体流出口が設けられている。キャップ本体部は、筒状の第3取付部を有する。第1取付部及び第3取付部、ならびに第2取付部及び第3取付部は、それぞれ一方の中空部に他方が挿入され、それぞれ一方に複数の突起が設けられており、他方に突起が挿入される複数の孔が設けられている。カプセルチューブの長さは、キャップ本体部の長さ以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられたフィルタエレメントと、を備え、
前記ハウジングは、筒状のカプセルチューブと、前記カプセルチューブの両端にそれぞれ設けられた第1カプセルキャップ及び第2カプセルキャップと、を有し、
前記カプセルチューブは、筒状のチューブ本体と、前記チューブ本体の両端にそれぞれ設けられた筒状の第1取付部及び筒状の第2取付部と、を有し、
前記第1カプセルキャップ及び前記第2カプセルキャップは、それぞれ、一端が覆われた有底筒状のキャップ本体部を有し、
前記第1カプセルキャップの前記キャップ本体部には、液体流入口が設けられており、
前記第2カプセルキャップの前記キャップ本体部には、流体流出口が設けられており、
前記キャップ本体部は、筒状の第3取付部を有し、
前記第1取付部と前記第3取付部とは、一方の中空部に他方が挿入され、
前記第2取付部と前記第3取付部とは、一方の中空部に他方が挿入され、
前記第1取付部及び前記第3取付部には、一方に複数の突起が設けられており、他方に前記突起が挿入される複数の孔が設けられており、
前記第2取付部及び前記第3取付部には、一方に複数の突起が設けられており、他方に前記突起が挿入される複数の孔が設けられており、
前記カプセルチューブの長さは、前記キャップ本体部の長さ以上である
ことを特徴とするカプセルフィルタ。
【請求項2】
前記孔は、突出部に設けられており、
前記突出部の板厚は一定であり、
前記突出部には、隣り合う前記孔の間に位置する切り欠きが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のカプセルフィルタ。
【請求項3】
前記第1取付部、前記第2取付部及び前記第3取付部は円筒形状であり、
前記突起及び前記孔は、周方向に均等に8箇所以上設けられている。
ことを特徴とする請求項2に記載のカプセルフィルタ。
【請求項4】
前記突起は、1つの第1突起と、前記第1突起と大きさ又は形状が異なる第2突起と、を有し、
前記孔は、前記第1突起が挿入される第1孔と、前記第2突起が挿入される第2孔と、を有し、
前記第1孔と前記第2孔とは大きさ又は形状が異なり、前記第2突起は前記第1孔に挿入できない
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のカプセルフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中空フィルターカプセルハウジングと、フィルターモジュールと、モジュール位置合わせ要素と、中空円筒形キャップエンドとを備えるフィルターカプセルが開示されている。モジュール位置合わせ要素は、弾性リングを収容する少なくとも1つの周溝を含む側壁を備え、弾性リングは封止をもたらすようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-199497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、中空フィルターカプセルハウジングが3つの部品(中空上側ハウジング部分、中空中間ハウジング部分及び中空下側ハウジング部分)を含み、これらは溶接接合により一体化されている。しかしながら、筒状の中空中間ハウジング部分が長い場合には、溶接接合により中空上側ハウジング部分や中空下側ハウジング部分と中空中間ハウジング部分とを結合することが加工技術上困難である。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、容易に製造可能な長さの長いカプセルフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るカプセルフィルタは、例えば、ハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられたフィルタエレメントと、を備え、前記ハウジングは、筒状のカプセルチューブと、前記カプセルチューブの両端にそれぞれ設けられた第1カプセルキャップ及び第2カプセルキャップと、を有し、前記カプセルチューブは、筒状のチューブ本体と、前記チューブ本体の両端にそれぞれ設けられた筒状の第1取付部及び筒状の第2取付部と、を有し、前記第1カプセルキャップ及び前記第2カプセルキャップは、それぞれ、一端が覆われた有底筒状のキャップ本体部を有し、前記第1カプセルキャップの前記キャップ本体部には、液体流入口が設けられており、前記第2カプセルキャップの前記キャップ本体部には、流体流出口が設けられており、前記キャップ本体部は、筒状の第3取付部を有し、前記第1取付部と前記第3取付部とは、一方の中空部に他方が挿入され、前記第2取付部と前記第3取付部とは、一方の中空部に他方が挿入され、前記第1取付部及び前記第3取付部には、一方に複数の突起が設けられており、他方に前記突起が挿入される複数の孔が設けられており、前記第2取付部及び前記第3取付部には、一方に複数の突起が設けられており、他方に前記突起が挿入される複数の孔が設けられており、前記カプセルチューブの長さは、前記キャップ本体部の長さ以上であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るカプセルフィルタによれば、カプセルチューブの長さはキャップ本体部の長さ以上であり、複数の突起がそれぞれ複数の孔に挿入されて第1取付部と前記第3取付部とが取り付けられ、かつ、第2取付部と前記第3取付部が取り付けられる。これにより、容易に製造可能な長さの長いカプセルフィルタを提供することができる。
【0008】
前記孔は、突出部に設けられており、前記突出部の板厚は一定であり、前記突出部には、隣り合う前記孔の間に位置する切り欠きが設けられていてもよい。これにより、ハウジング内部の圧力が高くなっても突出部が破損し難く、カプセルフィルタとしての機能が発揮できる圧力範囲を広げることができる。
【0009】
前記第1取付部、前記第2取付部及び前記第3取付部は円筒形状であり、前記突起及び前記孔は、周方向に均等に8箇所以上設けられていてもよい。これにより、ハウジング内部の圧力が高くなっても突出部が破損し難く、カプセルフィルタとしての機能が発揮できる圧力範囲を広げることができる。
【0010】
前記突起は、1つの第1突起と、前記第1突起と大きさ又は形状が異なる第2突起と、を有し、前記孔は、前記第1突起が挿入される第1孔と、前記第2突起が挿入される第2孔と、を有し、前記第1孔と前記第2孔とは大きさ又は形状が異なり、前記第2突起は前記第1孔に挿入できなくてもよい。これにより、カプセルキャップとカプセルチューブとの周方向の位置決めを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易に製造可能な長さの長いカプセルフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態であるカプセルフィルタ1の概略を示す図であり、(A)は正面から見たときの断面図であり、(B)は右側面図である。
図2】カプセルキャップ10の概略を示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は(A)のA矢視図である。
図3】カプセルチューブ30の概略を示す断面図である。
図4】取付部11hと取付部32との取り付けの様子を説明する図であり、(A)は取付部11hの部分拡大図であり、(B)は取付部32の部分拡大図であり、(C)は取付部11hと取付部32とが組み立てられた状態を示す。
図5】比較例の概略を示す断面図である。
図6】変形例の概略を示す図である。
図7】変形例の概略を示す図である。
図8】変形例の概略を示す図である。
図9】カプセルフィルタ2の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明のカプセルフィルタは、液体の外漏れを防止する効果が高く、主に小中規模の製造ラインや研究施設における有害な液体の少流量濾過に用いられている。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態であるカプセルフィルタ1の概略を示す図であり、(A)は正面から見たときの断面図(ただし、断面を示すハッチングを一部省略している)であり、(B)は右側面図である。カプセルフィルタ1は、主として、ハウジング40と、フィルタエレメント50と、を備える。ハウジング40は樹脂(例えばポリプロピレン)で形成されている。フィルタエレメント50は、ハウジング40の内部に設けられている。フィルタエレメント50は公知であるため、説明を省略する。
【0015】
ハウジング40は、カプセルキャップ10、20と、カプセルチューブ30と、を有する。カプセルチューブ30は、筒状である。カプセルキャップ10、20は、カプセルチューブ30の両端にそれぞれ設けられている。
【0016】
カプセルキャップ10、20は、それぞれ、主として、キャップ本体部11、21(本発明のキャップ本体部に相当)と、突出部12、13、22、23とを有する。カプセルキャップ10、20は同一形状である。以下、カプセルキャップ10、20についてカプセルキャップ10を用いて説明する。
【0017】
図2は、カプセルキャップ10の概略を示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は(A)のA矢視図である。
【0018】
キャップ本体部11は、一端が覆われた有底筒状の部材である。キャップ本体部11には、キャップ本体部11の開口部11aからカプセルチューブ30(図1参照)が挿入される。キャップ本体部11の底面11bは、開口部11aの反対側の端に設けられている。底面11bには、突出部12が設けられている。
【0019】
突出部12は、底面11bからキャップ本体部11と反対側に突出している。また、底面11bには、キャップ本体部11の内部に向けて突出部13が設けられている。
【0020】
突出部13の先端には、フィルタエレメント50(図1参照)が当接する。突出部12、13には、液体が通過する孔14が設けられている。孔14は、キャップ本体部11の底面11bを貫通する。
【0021】
キャップ本体部11は、筒状(ここでは、円筒形状)の側面11cを有する。ただし、側面11cの形状は円筒形状に限られない。底面11bは、側面11cの一方の端を覆う。なお、図2では、底面11bと突出部12、13との境界を示す仮想線を点線で示す。キャップ本体部11の長さ、すなわち開口部11aと底面11bとの間の長さはL2である。
【0022】
また、キャップ本体部11は、側面11cの外周面に設けられた複数の突起11dを有する。突起11dの位置または大きさの少なくとも一つは、周方向に均等である。本実施の形態では、同じ大きさの突起11dが等間隔で8箇所設けられている。
【0023】
また、側面11cの外周面には、環状の突起11eと、環状の溝11fとが設けられている。また、側面11cには、ドレン孔11gが設けられている。側面11cの突起11eよりも開口部11a側の取付部11h(本発明の第3取付部に相当)には、カプセルチューブ30が取り付けられる。
【0024】
図3は、カプセルチューブ30の概略を示す断面図である。カプセルチューブ30は、主として、筒状のチューブ本体31(本発明のチューブ本体に相当)と、チューブ本体31の両端にそれぞれ設けられた筒状の取付部32(本発明の第1取付部に相当)及び取付部33(本発明の第2取付部に相当)とを有する。なお、本実施の形態では、チューブ本体31の直径が取付部32、33の直径より小さいが、チューブ本体31の直径が取付部32、33の直径より大きくてもよい(後に詳述する図6参照)し、チューブ本体31の直径と取付部32、33の直径とが同じであってもよい。
【0025】
取付部32、33は、筒状(ここでは、円筒形状)である。取付部32、33は、それぞれ、突出部32a、33aと、孔32b、33bとを有する。孔32b、33bは、それぞれ突出部32a、33aに設けられている。突出部32a、33a及び孔32b、33bは、周方向に均等に8箇所設けられている。突出部32a、33aの板厚、すなわち孔32b、33bの周囲の板厚は一定である。なお、突出部32a、33aの形状はこれに限られない。
【0026】
突出部32a、33aには、それぞれ、切り欠き32l、33lが設けられている。切り欠き32l、33lは、それぞれ、隣り合う孔32b、33bの間に位置するように設けられている。これにより、突出部32a、33aの先端32d、33d側の領域が複数の先端部32e、33eに切り離され、先端部32e、33eが変形しやすくなる。先端部32eは、それぞれ孔32bの先端32d側に位置し、先端部33eは、それぞれ孔33bの先端33d側に位置する。
【0027】
なお、本実施の形態では、切り欠き32l、33lにより先端32d、33dの形状が波形となっているが、先端32d、33dの形状、すなわち切り欠き32l、33lの形状は大きさは図3に示す形態に限られない。例えば、切り欠き32l、33lは、単なるスリットでもよいが、三角形状、台形状、半円形状、半楕円形状等様々な形状とすることができる。また、本実施の形態では、切り欠き32l、33lの底が孔32b、33bの周方向に沿った中心線c上に位置するが、切り欠き32l、33lの底の位置、すなわち切り欠き32l、33lの深さはこれに限られない。
【0028】
図1の説明に戻る。ハウジング40の組み立ては、内部にフィルタエレメント50を挿入した状態で、カプセルチューブ30の両端にそれぞれカプセルキャップ10、20を取り付けることにより行われる。このとき、取付部32、33には、それぞれ、取付部11h、21hが取り付けられる。取付部32の中空部に取付部11hが挿入され、取付部33の中空部に取付部21hが挿入される。
【0029】
なお、フィルタエレメント50は、突出部23の先端の開口部23aにフィルタエレメント50の突出部50aを挿入することで、カプセルキャップ20に取り付けられている。フィルタエレメント50は、カプセルキャップ10には固定されていない。
【0030】
ハウジング40は、カプセルチューブ30が長い点に特徴がある。例えば、カプセルチューブ30の長さがキャップ本体部11、21の長さ以上である。本実施の形態では、カプセルチューブ30の長さL1(図3も併せて参照)がキャップ本体部11、21の長さL2(図2も併せて参照)の2倍以上である。また、カプセルチューブ30を長くすることで、フィルタエレメント50も長くなる。例えば、フィルタエレメント50の長さL3は20cm以上であることが望ましい。なお、図1では、チューブ本体31及びフィルタエレメント50の一部を省略している。
【0031】
なお、本実施の形態では、ハウジング40の中に長さL3のカプセルチューブ30が1本設けられているが、短いカプセルチューブを複数連結してハウジング40の中に設けてもよい。この場合には、連結された複数のカプセルチューブ全体の長さが長さL3であればよい。
【0032】
カプセルキャップ10の孔14は、ハウジング40の内部に液体を流入させる液体流入口であり(図1白抜き矢印参照)、カプセルキャップ20の孔24は、ハウジング40の内部から液体を流出させる液体流出口である(図1白抜き矢印参照)。孔14から流入した液体は、図1の二点鎖線矢印で示すように、突出部13とフィルタエレメント50との間のすき間を通過し、フィルタエレメント50の外側から内側へ流れることで濾過され、フィルタエレメント50の中空部に流入する。濾過された液体は、カプセルキャップ20と接続されたフィルタエレメント50の流出口50bを通過し、孔24から流出する。
【0033】
図4は、取付部11hと取付部32との取り付けの様子を説明する図であり、(A)は取付部11hの部分拡大図であり、(B)は取付部32の部分拡大図であり、(C)は取付部11hと取付部32とが組み立てられた状態を示す。取付部21hと取付部33との取り付けは、取付部11hと取付部32との取り付けと同様であるため、説明を省略する。
【0034】
取付部32に取付部11hが挿入されると、開口部11aが取付部32の底面32cに当接し、突出部32aの先端32dが突起11eに当接し、突起11dが孔32bに挿入される。このとき、先端部32eが変形し、突出部32aが突起11dを乗り越える。
【0035】
溝11fには、Oリング等のシール部材41が挿入されている。したがって、取付部32と取付部11hとの間から液体が漏れないようにシールされている。
【0036】
突起11dが孔32bに挿入されることで、取付部32に取付部11hが取り付けられた状態で固定され、カプセルキャップ10とカプセルチューブ30とが一体化される。突起11dが断面視三角形状であるため、突起11dを孔32bに挿入するのは容易である。また、先端部32eが突起11dの垂直面11iに当接するため、先端部32eが突起11dを乗り越えることは困難であり、カプセルキャップ10とカプセルチューブ30とが強固に固定される。
【0037】
フィルタエレメント50で液体を濾過するときには、ハウジング40内の圧力が高くなり、取付部32が取付部11hから抜ける方向の力F(図4(C)の矢印参照)が取付部11h及び取付部32に加わる。突起11dの高さhを突出部32aの板厚t以上とする(本実施の形態では、高さhが板厚tと略同一)ことで、取付部32が取付部11hから抜けにくくなる。また、先端部32eの板厚を突出部32aの先端部32e以外の部分32fの板厚より薄くせず、突出部32aを一定の板厚tとすることで、突出部32aが破損し難くなる。また、突起11d及び孔32bが周方向に均等に8箇所設けられているため、力Fが大きい場合であっても突出部32aは破損し難い。
【0038】
本実施の形態によれば、長さの長いカプセルフィルタ1を容易に製造することができる。特に、突起11dを孔32bに挿入するだけで済むため、チューブ本体31の長さがキャップ本体部11、21の長さ以上である長いカプセルチューブ30を用いても、容易にカプセルフィルタ1を製造することができる。
【0039】
カプセルフィルタの用途は少流量濾過が主であるため、ハウジングを構成する部材が短い小型のカプセルフィルタが一般的であったが、近年、より濾過効率が高く長さの長いカプセルフィルタが要求されてきている。
【0040】
例えば、従来のカプセルフィルタでは、ハウジングを構成する部材同士が溶接接合により一体化されている。溶接接合としては例えばスピン溶着や熱溶着が挙げられるが、溶接接合を行うにはハウジングを構成する部材を保持する治具が必要である。従来の短い小型のカプセルフィルタでは、治具を用いて問題なく部材を保持できていたが、ハウジングを構成する部材が長くなると、治具が大きくなるとともに溶接接合を行う機械の加工エリアを超えてしまい、溶接接合を行うことが加工技術上困難である。
【0041】
また、スピン溶着では、正確な部品の位置決めが困難であり、それにより大物部品の溶着が困難である。さらに、熱溶着では、樹脂の熱伝導のばらつきにより、一定条件で加工したとしても、耐圧基準を満たさない溶着不良品の発生が避けられず、歩留まりが悪いという問題がある。
【0042】
それに対し、本実施の形態のカプセルフィルタ1では、突起11d、21dを孔32b、33bに挿入してカプセルキャップ10、20とカプセルチューブ30とを組み立てるため、カプセルキャップ10、20及びカプセルチューブ30の長さに関わらずハウジング40を組み立てることができる。また、組立時に精密な位置合わせが不要であり、製造が容易である。さらに、カプセルフィルタ1の組立時に熱を利用しないため、歩留まりが安定し、組み立て過程での部品のロスを防ぐことができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、突出部32a、33aの板厚tが一定であるため、ハウジング40内部の圧力が高くなったとしても突出部32a、33aが破損し難く、液体の外漏れを防止する効果が高い。
【0044】
一般的には、突起11dを孔32bに挿入しやすくするため、図5に示すように先端部32e’の板厚を突出部32a’のその他の部分32fの板厚より薄くする。しかしながら、先端部32e’の板厚を薄い場合には、ハウジング40内部の圧力が高くなると先端部32e’が破損するおそれがある。
【0045】
それに対し、本実施の形態のカプセルフィルタ1では、突出部32a、33aの板厚tが一定であるため、ハウジング40内部の圧力が高くなっても突出部32a、33aが破損し難く、カプセルフィルタ1としての機能が発揮できる圧力範囲を広げ、使い勝手が良いカプセルフィルタ1とすることができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、突起11d、21d及び孔32b、33bが周方向に均等に8箇所設けられているため、ハウジング40内部の圧力が高くなったとしても突出部32a、33aが破損し難く、液体の外漏れを防止する効果が高い。したがって、カプセルフィルタ1としての機能が発揮できる圧力範囲を広げ、使い勝手が良いカプセルフィルタ1とすることができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、突起11d、21d及び孔32b、33bが周方向に均等に8箇所設けられていたが、突起11d、21d及び孔32b、33bの数はこれに限られない。より高圧でカプセルフィルタを使用できるようにするために、突起11d、21d及び孔32b、33bが8箇所以上設けられていてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、カプセルキャップ10、20(取付部11h、21h)に突起11d、21dが設けられており、カプセルチューブ30(取付部32、33)に孔32b、33bが設けられていたが、カプセルキャップ10、20に孔を設け、カプセルチューブ30に突起を設けてもよい。また、本実施の形態では、取付部32、33の内側に取付部11h、21hが挿入されたが、カプセルキャップ10、20の取付部の内側にカプセルチューブ30の取付部が挿入されてもよい。さらに、本実施の形態では、突起11d、21dは外側に向けて(中心軸axから遠ざかる方向)に向けて突出していたが、突起が内側に向けて(中心軸axに向けて)突出していてもよい。
【0049】
例えば、図6に示すように、カプセルキャップ10Aの筒状の取付部11jの内側にカプセルチューブ30Aの取付部32Aの筒状の取付部32gが挿入され、取付部32Aが突起32hを有し、取付部11jが孔11kを有し、突起32hが孔11kに挿入されることでカプセルキャップ10Aとカプセルチューブ30Aとが固定されてもよい。このように、カプセルキャップ10Aの取付部11jの内側にカプセルチューブ30Aの取付部32gが挿入されることで、濾過時にカプセルチューブ30A内部の圧力が上昇してカプセルチューブ30Aが膨張しても、突起32hの孔11kのへの挿入が強固になり、カプセルキャップ10Aがカプセルチューブ30Aから外れにくくなる。なお、カプセルキャップ20A(図示省略)についても同様に、カプセルキャップ20Aの筒状の取付部の内側にカプセルチューブ30Aの筒状の取付部が挿入され、カプセルチューブ30Aの取付部が突起を有し、カプセルキャップ20Aの取付部が孔を有し、突起が孔に挿入されることでカプセルキャップ20Aとカプセルチューブ30Aとが固定されてもよい。
【0050】
また、例えば、図7に示すように、カプセルチューブ30Bの取付部32Bの筒状の取付部32nの内側にカプセルキャップ10Bの筒状の取付部11mが挿入され、取付部32Bが内側に向けて突出する突起32mを有し、取付部11mが孔11nを有し、突起32mが孔11nに挿入されることでカプセルキャップ10Bとカプセルチューブ30Bとが固定されてもよい。なお、カプセルキャップ20B(図示省略)についても同様に、カプセルチューブ30Bの筒状の取付部の内側にカプセルキャップ20Bの筒状の取付部が挿入され、カプセルチューブ30Bの取付部が内側に向けて突出する突起を有し、カプセルキャップ20Bの取付部が孔を有し、突起が孔に挿入されることでカプセルキャップ20Bとカプセルチューブ30Bとが固定されてもよい。
【0051】
また、図示しないが、カプセルキャップの筒状の取付部の内側にそれぞれカプセルチューブの筒状の取付部が挿入され、カプセルキャップの取付部が内側に向けて突出する突起を有し、カプセルチューブの取付部が孔を有し、カプセルキャップの突起がカプセルチューブの孔に挿入されることでカプセルキャップとカプセルチューブとが固定されてもよい。
【0052】
そして、これらの変形例及び図4等に示す実施の形態は、別々に組み合わせることが可能である。例えば、カプセルキャップとしてカプセルキャップ10A、20を採用し、カプセルチューブが取付部32A、33を有していてもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、突起11d、21dの大きさが均等、すなわち8箇所の突起11d、21d及び孔32b、33bがすべて同一形状であったが、突起11d、21d及び孔32b、33bと大きさ又は形状が異なる突起及び孔を有していてもよい。例えば、図8に示すように、カプセルキャップ10Bが突起11dと大きさ又は形状が異なる突起11lを有し、カプセルチューブ30Bが突出部32a及び孔32bとは大きさ又は形状が異なる突出部32i及び孔32jを有していてもよい。突起11lは突起11dよりも大きく、突起11lは孔32jには挿入できるが孔32bには挿入できない。これにより、カプセルキャップ10Bとカプセルチューブ30Bとの周方向の位置決めを容易に行うことができる。また、同様の方法により、カプセルキャップ20B(図示省略)とカプセルチューブ30Bとの周方向の位置決めを容易に行うことができる。なお、突起11d、11lの数はこれに限られない。さらに、本実施の形態では、突起11d、21dの位置が周方向に均等であったが、突起11d、21dの位置は周方向に均等でなくてもよい。例えば、8個の突起11d、21d及び孔32b、33bのうちの2つの突起11d、21d及び孔32b、33bが隣接して設けられていてもよい。
【0054】
<第2の実施の形態>
図9は、第2の実施の形態に係るカプセルフィルタ2の概略を示す図である。なお、カプセルフィルタ1と同一の部分については説明を省略する。
【0055】
カプセルフィルタ2は、主として、主として、ハウジング40Cと、フィルタエレメント50(図示省略)と、を備える。ハウジング40Cは、カプセルキャップ10C、20Cと、カプセルチューブ30Cと、を有する。
【0056】
カプセルキャップ10C、20Cは、突起11d、21dが4箇所である点でカプセルキャップ10、20と異なる。
【0057】
カプセルチューブ30Cは、取付部32C、33Cを有する。取付部32C、33Cは、4つの突出部32k、33kと、孔32b、33bとを有する。突出部32k、33kは、突出部32a、33aよりも強度が高い。例えば、突出部32k、33kは、インサート成形により金属の薄板が樹脂に挿入されていてもよい。また、突出部32k、33kは、突出部32a、33aの板厚を部分的に厚くして補強したものであってもよい。
【0058】
本実施の形態によれば、突出部32k、33kの強度を高くすることで、突起11d、21dや孔32b、33bの数を減らすことができる。なお、突出部32k、33kの大きさや強度を調整しても、少なくとも2個の突出部32k、33kが必要である。
【0059】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0060】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略直交」とは、厳密に直交の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0061】
また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0062】
1、2 :カプセルフィルタ
10、10A、10B、10C、20、20A、20B、20C:カプセルキャップ
11、21:キャップ本体部
11a :開口部
11b :底面
11c :側面
11d、11e、21d:突起
11f :溝
11g :ドレン孔
11h、21h:取付部
11i :垂直面
11j :取付部
11k :孔
11l :突起
12、13、22、23:突出部
14、24:孔
30、30A、30B、30C:カプセルチューブ
31 :チューブ本体
32、32A、32C、33、33C:取付部
32a、32a'、33a:突出部
32b、33b、32i、32k、33k:孔
32c :底面
32d :先端
32e、32e':先端部
32f :部分
32h :突起
32j :孔
40、40C:ハウジング
41 :シール部材
50 :フィルタエレメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9