(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165020
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】制御処理装置、制御処理方法、及び制御処理システム
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20241121BHJP
G01C 3/00 20060101ALI20241121BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
G01C3/00 110
G01C3/06 120R
B61L23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080825
(22)【出願日】2023-05-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国土交通省、次世代鉄道開発補助金事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直人
(72)【発明者】
【氏名】小林 広幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美彦
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 達哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚久
(72)【発明者】
【氏名】浅野 渉
(72)【発明者】
【氏名】服部 陽平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 紀康
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 泰誠
(72)【発明者】
【氏名】行木 英明
【テーマコード(参考)】
2F112
5H161
【Fターム(参考)】
2F112AD03
2F112AD10
2F112BA01
2F112CA05
2F112CA12
2F112FA35
5H161AA01
5H161MM01
5H161MM05
5H161MM12
5H161NN10
5H161NN13
5H161PP12
(57)【要約】
【課題】気象状況の変化による影響を抑制可能な鉄道車両の制御処理装置、制御処理方法、及び制御処理システムを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る制御処理装置は、画像取得部と、線路情報取得部と、線路検出部と、第1視程算出部と、を備える。画像取得部は、鉄道車両の進行方向の撮像画像を得る。線路検出部は、撮像画像中の鉄道車両が進行する方向の線路を所定の基準にしたがい検出する。第1視程算出部は、検出された線路の長さに基づき、視程に関する第1視程値を演算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の進行方向の撮像画像を得る画像取得部と、
前記撮像画像中の前記鉄道車両が進行する方向の線路を所定の基準にしたがい検出する線路検出部と、
前記検出された線路の長さに基づき、視程に関する第1視程値を演算する第1視程算出部と、
を備える、制御処理装置。
【請求項2】
前記第1視程算出部は、前記検出された線路の長さが長くなるに従い、前記第1視程値を大きくする、請求項1に記載の制御処理装置。
【請求項3】
前記第1視程算出部は、前記検出された線路の長さと、第1基準値との差分に応じて、前記第1視程値を演算する、請求項1に記載の制御処理装置。
【請求項4】
前記第1視程算出部は、前記検出された線路の長さと、前記鉄道車両の位置に応じて変動する第2基準値との差分に応じて、前記第1視程値を演算する、請求項1に記載の制御処理装置。
【請求項5】
ミリ波、及びレーザ光のいずれかの照射波を照射する照射部と、
前記ミリ波、及びレーザ光のいずれかが反射した反射波を受信する受信部と、
前記受信部が、受信した所定時間内の前記反射波に基づく信号強度に応じて、視程に関する第2視程値を演算する第2視程算出部と、を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御処理装置。
【請求項6】
前記第1視程値、及び前記第2視程値は、それぞれ視程の値であり、
前記第1視程値、及び前記第2視程値の少なくとも一方に基づき、視程値を生成する視程判定部を、を更に備える、請求項5に記載の制御処理装置。
【請求項7】
前記視程判定部は、前記線路検出部の検出結果に応じて、前記第1視程値、及び前記第2視程値の少なくとも一方を選択する判定を行う、請求項6に記載の制御処理装置。
【請求項8】
前記視程判定部は、外界の照度、及び時刻の少なくとも一方に応じて、前記第1視程値、及び前記第2視程値のいずれかを選択する判定を行う、請求項7に記載の制御処理装置。
【請求項9】
前記視程値に応じて、前記鉄道車両の制御処理を変更する制御部を、更に備える、請求項7に記載の制御処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記視程値に応じて、前記鉄道車両の制動距離、及び速度の少なくとも一方を変更する、請求項9に記載の制御処理装置。
【請求項11】
前記視程値に応じて、前記撮像画像に対して実行する画像処理を変更する画像処理部を、更に備える、請求項7に記載の制御処理装置。
【請求項12】
前記画像処理は、曇り除去処理であり、前記視程値が短くなるにしたがい、除去処理の強度をあげる、請求項11に記載の制御処理装置。
【請求項13】
雨量を生成する雨量処理部を更に備え、
前記第1視程算出部、及び前記第2視程算出部のそれぞれは、前記雨量に応じて、前記第1視程値、前記第2視程値を補正する、請求項6に記載の制御処理装置。
【請求項14】
風速を生成する風速処理部を更に備え、
前記第1視程算出部、及び前記第2視程算出部のそれぞれは、前記風速に応じて、前記第1視程値、及び前記第2視程値をそれぞれ補正する、請求項6に記載の制御処理装置。
【請求項15】
前記鉄道車両の速度を生成する速度処理部を更に備え、
前記雨量処理部は、前記前記鉄道車両の速度に応じて、前記雨量を補正し、
前記第1視程算出部、及び前記第2視程算出部のそれぞれは、前記補正後の雨量に応じて、前記第1視程値、及び前記第2視程値をそれぞれ生成する、請求項13に記載の制御処理装置。
【請求項16】
前記鉄道車両の速度を生成する速度処理部を更に備え、
前記風速処理部は、前記前記鉄道車両の速度に応じて、前記風速を補正し、
前記第1視程算出部、及び前記第2視程算出部のそれぞれは、前記補正後の風速に応じて、前記第1視程値、及び前記第2視程値をそれぞれ生成する、請求項14に記載の制御処理装置。
【請求項17】
鉄道車両の進行方向の撮像画像を得る画像取得工程と、
前記撮像画像中の前記鉄道車両が進行する方向の線路を所定の基準にしたがい検出する線路検出工程と、
前記検出された線路の長さに基づき、視程に関する第1視程値を演算する第1視程演算工程と、
を備える、制御処理方法。
【請求項18】
制御処理装置と、
線路に基づき、障害物を検知する障害物検知装置と、を備える制御処理システムであって、
前記制御処理装置は、
鉄道車両の進行方向の撮像画像を得る画像取得部と、
前記撮像画像中の前記鉄道車両が進行する方向の前記線路を所定の基準にしたがい検出する線路検出部と、
前記検出された線路の長さに基づき、視程に関する第1視程値を演算する第1視程算出部と、
を有する、制御処理システム。
【請求項19】
障害物検知装置は、前記検知した障害物の位置が前記第1視程値よりも前記鉄道車両側に近い位置であるか否かに応じて警報信号を変更する、請求項18に記載の制御処理システム。
【請求項20】
前記鉄道車両の位置を検出する走行位置情報収集装置を更に備え、
前記第1視程算出部は、前記鉄道車両の位置に応じて前記第1視程値の演算方法を変更する、請求項19に記載の制御処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御処理装置、制御処理方法、及び制御処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両、自動車などの自動運転化が進められている。このような自動運転化での運転支援、或いは自動運転を行う制御処理装置では、車両を減速させたり、障害物に対して車両を停止させたり、警笛を鳴らさせたりなどの制御処理を実行する。ところが、気象状況により、制御処理に影響を受けてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気象状況の変化による影響を抑制可能な制御処理装置、制御処理方法、及び制御処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る制御処理装置は、画像取得部と、線路情報取得部と、線路検出部と、第1視程算出部と、を備える。画像取得部は、鉄道車両の進行方向の撮像画像を得る。線路検出部は、撮像画像中の鉄道車両が進行する方向の線路を所定の基準にしたがい検出する。第1視程算出部は、検出された線路の長さに基づき、視程に関する第1視程値を演算する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態に係る制御処理システムの構成例を示すブロック図。
【
図2】本実施形態に係る制御処理装置の詳細な構成例を示すブロック図。
【
図5】第1視程処理部の処理例を示すフローチャート。
【
図6】第2実施形態に係る制御処理装置の構成例を示すブロック図。
【
図7】制御処理装置の処理例を示すフローチャート。
【
図8】第3実施形態に係る制御処理装置の構成例を示すブロック図。
【
図9】第3実施形態に係る制御処理装置の処理例を示すフローチャート。
【
図10】第4実施形態に係る制御処理装置の構成例を示すブロック図。
【
図11】第4実施形態に係る制御処理装置の処理例を示すフローチャート。
【
図12】第5実施形態に係る制御処理装置の構成例を示すブロック図。
【
図13】第5実施形態に係る制御処理装置の処理例を示すフローチャート。
【
図14】第6実施形態に係る制御処理装置の構成例を示すブロック図。
【
図15】第6実施形態に係る制御処理装置の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る制御処理システム1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る制御処理システム1は、鉄道車両5に搭載される制御処理装置10と、走行位置情報収集装置20と、障害物検知装置30と、モータ40と、警笛部50と、通信装置60と、を備える。鉄道車両5は、固定された軌道である線路R100上を走行する。集中制御室M110には、監視装置70と、表示装置80が配置される。
【0009】
制御処理装置10は、カメラ111で撮像した画像を用いて鉄道車両5の制御処理を実行する。例えば、制御処理装置10は、視程を算出して、視程に応じた制御処理を実行することが可能である。
【0010】
カメラ111は、例えばR、G、B画像を走行動画として連続的に撮像可能である。このカメラ111は、例えば鉄道車両5の前方に固定されている。このため、鉄道車両5が線路上を走行中に撮像した走行動画を構成する各画像は、例えば同じ位置で撮像された場合には、同じアングル且つ同じ撮像倍率の画像となる。なお、本実施形態に係るカメラ111が画像取得部に対応する。
【0011】
さらに、不図示の照明装置が鉄道車両5には、搭載されている。照明装置は、例えば鉄道車両5の前方に固定され、同じ照度、且つ同じ波長の光を前方に照射する。このため、鉄道車両5が線路上を走行中に撮像した走行動画を構成する各画像は、外界の環境が同一であれば同じ照度での撮像が可能となる。このため、同じ環境であれば、同一の位置で撮像した画像は、再現性のある画像となる。換言すると、同一の位置で撮像した画像内の撮像対象、例えば線路の状態変化は、外界変化の影響を受けたものである。なお、制御処理装置10の詳細は、後述する。
【0012】
走行位置情報収集装置20は、鉄道車両5の現在位置を取得し、鉄道車両5の進行方向における現在位置に対して所定の線路範囲の情報を出力する。例えば、走行位置情報収集装置20は、鉄道車両5の現在位置に応じた線路R100に関する情報を出力する。これらの線路R100に関する情報は、基準となる天候状態を考慮して、予め測定されている。例えば天候状態には、相対湿度、気温、日時、及び照度などが含まれる。
【0013】
走行位置情報収集装置20は、例えば、走行距離計により現在位置を取得することが可能である。或いは、グローバル・ポジショニング・システム(GPS: Global Positioning System、 Global Positioning Satellite)により、現在位置を取得してもよい。
【0014】
障害物検出装置30は、制御処理装置10により撮像された撮像画像、及び検出された線路に基づき、鉄道車両5が進行する際に障害となる障害物を検出する。この障害物検出装置30は、制御処理装置10の算出した視程値に応じて、警告情報を変更することが可能である。例えば、障害物検出装置30は、制御処理装置10の算出した視程値よりも手前側の距離で検出した障害物に対する第1警告信号と、第1視程値よりも遠い距離で検出した障害物に対する第2警告信号と、に異ならせることが可能である。
【0015】
モータ40は、鉄道車両5の車輪を駆動する。このモータ40は、運転士による操作信号、或いは、制御処理装置10の制御信号により制御可能である。
【0016】
警笛部50は、警笛を発生する。この警笛部50は、運転士による操作信号、或いは、制御処理装置10の制御信号により制御可能である。
【0017】
上述の制御処理装置10は、障害物検出装置30が生成する警告信号に応じて、減速制御信号をモータ40に出力し、警笛出力信号を警笛部50に出力する。例えば、制御処理装置10は、第1警告信号と、第2警告信号とで異なる制御をモータ40に対して実行する。例えば、制御処理装置10は、第1警告信号に対する停止距離を第2警告信号に対する停止距離よりも短くするように、モータ40に対する制御を実行する。或いは、制御処理装置10は、第2警告信号に対しては、警笛のみを警笛部50に発生させる制御を実行する。
【0018】
通信装置60は、集中制御室M110内の監視装置70と通信を実行する。例えば、通信装置60は、カメラ111で撮像した画像を監視装置70に送信する。通信は、有線でも、或いは、無線でもよい。また、通信装置60は、制御処理装置10の制御信号に応じて、カメラ111で撮像した画像を監視装置70に送信することも可能である。例えば、通信装置60は、制御処理装置10が警告信号に応じて、減速制御信号、警笛出力信号などを出力する場合に、画像を監視装置70に送信してもよい。
【0019】
監視装置70は、例えば鉄道車両5の運転状態を監視するために用いられる。例えば、監視装置70は、制御処理装置10から通信装置60を介して送信される画像、視程値、警告信号、減速制御信号、及び警笛出力信号などの情報を蓄積すると共に、表示装置80に表示させる。表示装置80は、例えばモニタであり、通信装置60から送信される画像を表示する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る制御処理装置10の詳細な構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御処理装置10は、外界環境に応じて、鉄道車両5の制御処理を変更可能である装置である。例えば、制御処理装置10は、上述のように、視程値に応じて、制御処理方法を変更する。
【0021】
本実施形態に係る視程値は、視程に関する値であり、視程の値であってもよい。この視程値は、霧の濃さなどに相関性を有する値である。例えば、本実施形態では、運転速度等を調整する必要があるか、或いはないかなどの制御処理上での評価値を視程値と称する場合がある。このため、本実施形態に係る視程値は、肉眼での限界視界を示す一般的な視程と相関を有するが、ずれが生じ得る。例えば、大雨や雪、暗がりなどで視界が悪くなると、視程は一般に低下する。一方で、制御処理上での視程値の低下は、画像処理を含む制御処理により、視界の限界値の低下よりも抑制される場合がある。
【0022】
この制御処理装置10は、鉄道車両5のモータ40、及び警笛部50の制御が可能であり、第1視程処理部11と、判定処理部12とを、備える。第1視程処理部11は、カメラ111で撮像した画像を用いて、線路長に基づき、視程に関する第1視程値を生成する。なお、本実施形態に係る視程値を視程と称する場合がある。
【0023】
判定処理部12は、第1視程処理部11が生成した第1視程値に応じた、制御信号を出力し、鉄道車両5の制御処理方法を変更可能である。或いは、判定処理部12は、障害物検出装置30の出力する第1警告信号、及び第2警告信号に応じた制御信号をモータ40、及び警笛部50に出力する。なお、判定処理部12の詳細は、後述する。
【0024】
ここで、第1視程処理部11の詳細を説明する。この第1視程処理部11は、カメラ111と、線路検出部112と、第1視程算出部113とを有する。上述したように、カメラ111は、固定アングルで線路を含む画像を撮像する。本実施形態に係る第1視程処理部11は、第1基準長と検出線路長との差分に基づき、第1視程値を算出する第1モードと、鉄道車両5の現在位置に応じて値が変更される第2基準長と検出線路長との差分に基づき、第1視程値を算出する第2モードと、を有する。
【0025】
図3は、第1モードでの処理例を示す図である。第1モードは、直線性の高い線路が多い路線で主として用いられる。
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、線路検出部112が、検出した線路R100の例を示す図である。
図3(a)、(b)、(c)、(d)の順に相対湿度が上昇し、例えば霧が順に濃くなり、線路検出部112が検出した線路長が短くなる。
【0026】
図4は、第2モードでの処理例を示す図である。第2モードは、曲線性の高い線路が多い路線で主として用いられる。
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、線路検出部112が、検出した線路R100の例を示す図である。
図3(a)、(b)、(c)、(d)の順に相対湿度が上昇し、例えば霧が順に濃くなり、線路検出部112が検出した線路長が短くなる。
【0027】
線路検出部112は、線路を所定の基準で検出する。
図3に示すように、一般に、線路R100は、カメラ111の視点で手前側から奥側のy方向に向かって延びる。このため、本実施形態に係る線路検出部112は、第1モードでは、輝度値の横軸(x軸)方向の勾配を特徴量として算出し、所定の勾配値以上を有する点を基準点に、線路を検出する。より具体的には、輝度値の横軸(x軸)方向の差分値を演算し、所定のプラス値を示す画素と所定のマイナス値を示す画素との差分値が所定の距離内である範囲を線路R100の領域として検出する。すなわち、差分値の絶対値が所定値以上であり、プラスを示す差分値の位置とマイナスを示す差分値の位置との間隔が所定の距離内(所定の画素数内)である範囲を線路R100の領域として検出する。なお、差分値のプラス、マイナスは、使用する画像、及び差分演算の方向により逆になる場合もある。また、線路検出方法は、一例であり、他の検出方法を用いてもよい。
【0028】
図4に示すように、カーブした線路R100では、輝度値の横軸方向の勾配よりも、輝度値の縦軸(y軸)方向の勾配の方が大きくなる画像領域も生じ得る。このため、第2モードでは、輝度値の横軸方向の勾配と縦軸方向の勾配との両方に着目し、検出対象となるエリア(画素群)に応じて着目する勾配を切り替えながら特徴データを取得する。線路検出部112は、第2モードでは、鉄道車両5の位置に応じて、差分値の演算領域および演算方法を走行位置情報収集装置20から取得する。すなわち、カメラ111の撮像アングルは固定であるので、走行位置情報収集装置20は、鉄道車両5の位置に応じた差分値の演算領域および演算方法を予め記憶することが可能である。これにより、線路検出部112は、第2モードでは、鉄道車両5の位置に応じて、差分値の演算領域および演算方法を変更しつつ、線路R100を検出する。
【0029】
第1視程算出部113は、第1基準長と検出した線路R100の長さとの差分値に基づき、第1視程値を算出する。すなわち、第1視程算出部113は、第1基準長と検出した線路R100の長さとの差分値の絶対値が小さくなるに従い、第1視程値が大きくなるように算出する。この場合、第1視程算出部113は、第1モードでは、予め決められた固定値である第1基準長が用いられるので、より高速に、視程演算が可能となる。
【0030】
一方で、カーブした線路R100では、同じ視程であっても、線路R100の曲率に応じて、検出される線路R100の画像上での長さがかわってしまう。また、同様に、線路R100の勾配角の影響を受ける場合もある。そこで、第1視程算出部113は、第2モードでは、鉄道車両5の位置に応じた第2基準長を走行位置情報収集装置20から取得し、第2基準長を基準長とする。すなわち、第1視程算出部113は、第2モードでは、第2基準長と検出した線路R100の長さとの差分値の絶対値が小さくなるに従い、第1視程値が大きくなるように算出する。これにより、曲率の高い線路R100、及び画像内の線路R100の勾配が変化する領域の視程演算の精度低下を抑制できる。なお、直線性の高い線路R100に対しても第2モードを用いることが可能である。また、第1視程値の演算は、所定の時間ごとに演算してもよい。例えば、第1視程算出部113は、1分間隔で、第1視程値を演算する。
【0031】
再び
図2に示すように、判定処理部12は、記憶部121と、視程判定部122と、制御部123とを備える。記憶部121は、例えば、鉄道車両5の位置情報、及び時刻と、検出した線路R100の線路長、第1視程値を関連付けて記憶する。例えば、時刻には、判定処理部12が有する基準時計の時刻を用いることが可能である。また、鉄道車両5の位置情報には、走行位置情報収集装置20が出力する情報を用いることが可能である。
【0032】
視程判定部122は、第1視程算出部113が算出した第1視程値に応じた制御指令信号を制御部123に出力する。例えば、視程判定部122は、第1視程値が所定の距離値よりも小さくなると、第1視程値の情報を有する制御指令信号を制御部123に出力する。例えば、視程判定部122は、第1視程値が所定の距離値よりも小さくなると、視程判定部122は、第1視程値の情報を有する制御指令信号を制御部123に出力する。
【0033】
制御部123は、鉄道車両5の制御処理をすることが可能である。例えば、制御部123は、第1視程値が所定の距離よりも小さくなると、鉄道車両5を減速する制御をモータ40に対して実行する。或いは、制御部123は、第1視程値が所定の距離よりも小さくなると、通信装置60を介して、監視装置70に第1視程値の情報を有する警報信号を送信する。これにより、監視装置は、例えば表示装置80を介して、視程の情報を有する警報情報と共に、カメラ111の画像を表示させる。また、鉄道車両5が有人運転である場合には、制御部123は、第1視程値が所定の距離よりも小さくなると、鉄道車両5の運転席に警報情報を通知する。例えば、運転席の表示部、スピーカなどを介して、第1視程値と共に警報情報を通知することができる。これにより、運転手は、外界の状況を客観的に把握可能となり、鉄道車両5の運転に反映することができる。
【0034】
図5は、本実施形態に係る第1視程処理部11の処理例を示すフローチャートである。ここでは第1モードの例で説明する。
【0035】
図5に示すように、先ず、カメラ111は、画像を撮像する(ステップS11)。次に、線路検出部112は、線路R100を画像から検出する(ステップS12)。続けて、第1視程算出部113は、線路検出部112が検出した線路R100の長さを算出する(ステップS13)。続けて、第1視程算出部113は、第1基準長と算出した線路R100の長さとの差分値を演算し(ステップS14)、差分値に応じて、第1視程値を算出する(ステップS15)。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る制御処理装置10は、線路R100を撮像し、画像中から同一の基準で線路R100の検出をして、画像中の線路R100の長さに基づき、第1視程値を演算することとした。線路R100は、位置によらず同じ大きさ、且つ同質である。これにより、画像中から、差分値の大きさなどの同一の検出基準で線路R100の検出をすると、霧の濃さなどの外界環境に応じて、線路R100の長さが変化する。このため、画像中から検出された線路R100の長さを基準値の長さと比較することにより、第1視程値をより高精度に得ることが可能となる。特に、撮像画像中の線路R100の長さと、運転者の肉眼での視界限界とは、類似性が高いので、より肉眼の視界限界に近づくように、線路R100を検出する基準を設定することが容易となる。これにより、肉眼での視界限界により近づけた第1視程値を得ることが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る制御処理装置10は、受信電波から第2視程値を算出する第2視程処理部13を更に備える点で、第1実施形態に係る制御処理装置10と相違する。以下では、第1実施形態に係る制御処理装置10と相違する点を説明する。
【0038】
図6は、第2実施形態に係る制御処理装置10の構成例を示すブロック図である。
図6に示すよう、第2実施形態に係る制御処理装置10は、第2視程処理部13を更に備える。第2視程処理部13は、受信電波の減衰量から第2視程値を演算する。この第2視程処理部13は、照射部131と、受信部132と、第2視程算出部133とを有する。照射部131は、ミリ波又はレーザ光を照射する。照射部131は、例えば、鉄道車両5が走行位置情報収集装置20の指示信号に基づき基準位置になると、ミリ波又はレーザ光を照射する。この基準位置の前方には、基準位置から既知の距離の位置であり、且つ既知の反射率を有する測定対象が予め設定されている。
【0039】
受信部132は、ミリ波又はレーザ光の反射光を受信する。第2視程算出部133は、受信部132が受信した所定時間内の受信信号の減衰量に応じて、第2視程値を演算する。例えば、予め、予備実験が相対湿度別、或いは霧の濃さ別にされており、第2視程算出部133は、その測定データを用いて、第2視程値を演算する。すなわち、この第2視程算出部133は、受信信号の減衰量が大きくなるに従い、第2視程値を小さくする演算を実行する。第2視程算出部133は、外界の光量の影響を受けないため、照明光がなくとも、暗所での測定が可能である。
【0040】
第2視程算出部133は、レーザ光を用いる場合には、測定対象までの距離をToF(Time of Flight)に基づいて計測することも可能である。湿度に応じて測定対象までの距離が変動することが知られている。このため、第2視程算出部133は、測定対象までの距離に応じて、第2視程値を演算することも可能である。この場合にも予め、予備実験が相対湿度別、或いは霧の濃さ別にされており、第2視程算出部133は、その測定データを用いて、第2視程値を演算する。すなわち、この第2視程算出部133は、測定対象までの距離が小さくなるに従い、第2視程値を小さくする演算を実行する。この場合には、第2視程算出部133は、外界の光量の影響を受けないため、撮影光がなくとも、暗所での測定が可能である。
【0041】
記憶部121は、第2視程算出部133の算出した視程を、時刻、及び測定位置と関連付けて記憶する。本実施形態に係る視程判定部122は、第1視程処理部11の算出した第1視程値と、第2視程処理部13の算出した第2視程値と、に基づき、相補的に視程値を判定、生成することが可能である。
【0042】
例えば、視程判定部122は、夜間や、暗所なので、第1視程処理部11の検出精度が低下する時間帯、場所では、第2視程処理部13の算出した第2視程値に基づき視程値を生成する。或いは、視程判定部122は、線路検出部112が線路R100を検出できない場合には、第2視程処理部13の算出した第2視程値に基づき視程値を生成する。この場合には、夜間などでも、より高精度に視程値を生成することが可能である。
【0043】
一方で、線路検出部112が線路R100を検出可能である場合には、第1視程値に基づき視程値を生成する。この場合には、基準位置以外でも視程値の生成が可能である。
【0044】
図7は、本実施形態に係る制御処理装置10の処理例を示すフローチャートである。ここでは第1モードの例で説明する。
【0045】
図7に示すように、ステップS11、13、14、15は、
図5と同様の処理を実行する。一方で、本実施形態に係る線路検出部112は、線路R100を画像から検出する処理を実行した後に、検出精度の判定処理を実行する(ステップS12a)。例えば、線路検出部112は、夜間などの条件により、線路R100が検出できない場合には、エラー信号を視程判定部122に出力する(ステップS12aのNO)。一方で、線路検出部112は、線路R100を画像から検出できた場合(ステップS12aのYES)には、検出した線路R100の情報を、第1視程算出部113に出力する。これにより、第1視程処理部11は、ステップS13からS15の処理を実行する。
【0046】
一方で、第2視程処理部13の照射部131は、基準位置に到達すると、ミリ波又はレーザを前方に照射する(ステップS16)。次に、受信部132は、ミリ波又はレーザ光の反射光を受信する(ステップS17)。第2視程算出部133は、受信部132が受信した所定時間内の受信信号の減衰量に応じて、第2視程値を演算する(ステップS18)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る制御処理装置10は、第1視程処理部11の生成する第1視程値と、ミリ波又はレーザ光を用いる第2視程処理部13の生成する第2視程値と、を相補的に用いて、視程値を生成することとした。これにより、第1視程処理部11の生成精度が低下する時間帯、場所では、第2視程処理部13の生成する視程値を用いることにより、視程値の測定精度の低下を抑制できる。
【0048】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る制御処理装置10は、視程値に応じた画像処理を実行する画像処理部140を更に備える点で、第2実施形態に係る制御処理装置10と相違する。以下では、第2実施形態に係る制御処理装置10と相違する点を説明する。
【0049】
図8は、第3実施形態に係る制御処理装置10の構成例を示すブロック図である。
図8に示すよう、第3実施形態に係る制御処理装置10は、画像処理部140を更に備える。画像処理部140は、カメラ111で撮像した画像に対して、視程判定部122の生成した視程値に応じた画像処理を実行する。例えば、画像処理部140は、視程値が小さくなるに従い、霧除去処理の強度を強めた画像処理を、カメラ111で撮像した画像に対して実行する。例えば、カメラ111で撮像した画像の輝度値に対するヒトグラムの分布を、霧などの濃度が低減する分布に変更する。画像処理部140は、この変更の程度を視程値が小さくなるに従い強くする。或いは、画像処理部140は、コントラストを強調する先鋭化処理を実行する。この場合にも、画像処理部140は、視程値が小さくなるに従い先鋭化の強度を強くする。
【0050】
障害物検知装置30は、例えば画像処理部140が視程に応じてヒトグラムの分布を変更した画像を用いて、障害物を検知する。この場合、障害物検知装置30の検出精度が向上する。これにより、障害物検知装置30が生成する警告信号の生成精度も向上する。
【0051】
図9は、第3実施形態に係る制御処理装置10の処理例を示すフローチャートである。
図9に示すように、画像処理部140は、視程判定部122で生成した視程値、及びカメラ111で撮像した画像を取得する(ステップS21)。次に、画像処理部140は、視程値に応じた画像処理をカメラ111で撮像した画像に対して実行する(ステップS22)。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る制御処理装置10の画像処理部140は、視程判定部122で生成した視程値に応じた、霧除去処理の画像処理をカメラ111で撮像した画像に実行する。これにより、画像処理部140は、視程値に応じた画像処理を実行できるので、処理強度の適した画像処理を行うことが可能となる。
【0053】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る制御処理装置10は、雨量処理部14を更に備える点で、第3実施形態に係る制御処理装置10と相違する。以下では、第3実施形態に係る制御処理装置10と相違する点を説明する。
【0054】
図10は、第4実施形態に係る制御処理装置10の構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、第4実施形態に係る制御処理装置10は、雨量処理部14を更に備える。雨量処理部14は、雨量を生成する。この雨量処理部14は、水滴センサ141と、雨量演算部142とを有する。水滴センサ141は、時間あたりの所定面積内の水滴量を検出する。雨量演算部142は、水滴センサ141の計測した水滴量に基づき、雨量を演算する。雨量によっても視程が変動してしまう。そこで、本実施形態に係る制御処理装置10は、雨量に応じて、視程値を補正することが可能である。
【0055】
すなわち、第1視程算出部113は、雨量演算部142の演算する雨量に基づき、第1視程値を補正する。制御処理装置10は、雨量と第1視程値との関係を示す第1補正データを、予め予備実験により取得し、記憶部121に記憶している。これにより、第1視程算出部113は、雨量演算部142の演算する雨量、及び第1補正データに基づき、第1視程値を補正することが可能となる。同様に、第2視程算出部133は、雨量演算部142の演算する雨量に基づき、第2視程値を補正する。制御処理装置10は、雨量と第2視程値との関係を示す第2補正データを、予め予備実験により取得し、記憶部121に記憶している。これにより、第2視程算出部133は、雨量演算部142の演算する雨量、及び第2補正データに基づき、第2視程値を補正することが可能となる。視程判定部122は、補正後の第1視程値、及び第2視程値に応じて、最終的な視程値を生成する。
【0056】
図11は、第4実施形態に係る制御処理装置10の処理例を示すフローチャートである。
図11に示すように、水滴センサ141は、水滴量を検出する(ステップS31)。次に、雨量演算部142は、所定の時間内の水滴量を演算する(ステップS32)。そして、雨量演算部142は、所定の時間内の水滴量が、閾値を越えるか否かを判定する(ステップS33)。雨量演算部142は、所定の時間内の水滴量が閾値未満である場合に、降雨でないと判定し(ステップS33のNO)、ステップS31からの処理を繰り返す。
【0057】
一方で、雨量演算部142は、所定の時間内の水滴量が閾値以上である場合(ステップS33のYES)、降雨であると判定する(ステップS34)。次に、雨量演算部142は、水滴量に基づき、雨量を演算する(ステップS35)。
【0058】
第1視程算出部113は、雨量演算部142の演算する雨量に基づき、第1視程値を補正する。同様に、第2視程算出部133は、雨量演算部142の演算する雨量に基づき、第2視程値を補正する。視程判定部122は、補正後の第1視程値、及び第2視程値に応じて、最終的な視程値を生成する(ステップS36)。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る制御処理装置10の第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、雨量処理部14で演算した雨量に応じた補正を実行する。これにより、第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、雨量に応じた補正を実行できるので、雨量の影響を抑制した視程値を生成することが可能となる。
【0060】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る制御処理装置10は、風速処理部15を更に備える点で、第5実施形態に係る制御処理装置10と相違する。以下では、第4実施形態に係る制御処理装置10と相違する点を説明する。
【0061】
図12は、第5実施形態に係る制御処理装置10の構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、第5実施形態に係る制御処理装置10は、風速処理部15を更に備える。風速処理部15は、風速を生成する。この風速処理部15は、風量センサ151と、風速演算部152とを有する。風量センサ151は、時間あたりの風量を検出する。風速演算部152は、風量センサ151の時間あたりの風量に基づき、風速を演算する。風速によっても視程が変動してしまう。そこで、本実施形態に係る制御処理装置10は、風速に応じて、視程値を補正することが可能である。
【0062】
すなわち、第1視程算出部113は、風速演算部152の演算する風速に基づき、第1視程値を補正する。制御処理装置10は、風速と第1視程値との関係を示す第3補正データを、予め予備実験により取得し、記憶部121に記憶している。これにより、第1視程算出部113は、風速演算部152の演算する風速、及び第3補正データに基づき、第1視程値を補正することが可能となる。同様に、第2視程算出部133は、風速演算部152の演算する風速に基づき、第2視程値を補正する。制御処理装置10は、風速と第2視程値との関係を示す第4補正データを、予め予備実験により取得し、記憶部121に記憶している。これにより、第2視程算出部133は、雨量演算部142の演算する風速、及び第4補正データに基づき、第2視程値を補正することが可能となる。視程判定部122は、補正後の第1視程値、及び第2視程値に応じて、最終的な視程値を生成する。
【0063】
図13は、第5実施形態に係る制御処理装置10の処理例を示すフローチャートである。
図11に示すように、風速演算部152は、風量センサ151の計測する時間あたりの風量に基づき、風速を演算する。(ステップS51)。第1視程算出部113は、風速演算部152の演算する風速に基づき、第1視程値を補正する。同様に、第2視程算出部133は、風速演算部152の演算する風速に基づき、第2視程値を補正する。視程判定部122は、補正後の第1視程値、及び第2視程値に応じて、最終的な視程値を生成する(ステップS52)。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る制御処理装置10の第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、風速演算部152で演算した風速に応じた補正を実行する。これにより、第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、風速に応じた補正を実行できるので、風速の影響を抑制した視程値を生成することが可能となる。
【0065】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る制御処理装置10は、速度処理部16を更に備える点で、第5実施形態に係る制御処理装置10と相違する。以下では、第5実施形態に係る制御処理装置10と相違する点を説明する。
【0066】
図14は、第6実施形態に係る制御処理装置10の構成例を示すブロック図である。
図14に示すよう、第6実施形態に係る制御処理装置10は、速度処理部16を更に備える。速度処理部16は、風速演算部152で演算した風速、雨量処理部14で演算した雨量を補正することが可能である。
【0067】
この速度処理部16は、加速度センサ161と、速度演算部162とを有する。加速度センサ161は、鉄道車両5の加速度を検出する。風速演算部152は、加速度センサ161の出力値を時間で積算し、速度を演算する。
【0068】
雨量処理部14で演算した雨量、風速演算部152で演算した風速は、鉄道車両5の速度によっても、変動してしまう。そこで、本実施形態に係る制御処理装置10は、鉄道車両5の速度に応じて、雨量処理部14で演算した雨量、風速演算部152で演算した風速を補正することが可能である。
【0069】
すなわち、雨量処理部14で演算した雨量は、鉄道車両5の速度に応じて補正される。制御処理装置10は、鉄道車両5の速度と雨量との関係を示す第5補正データを、予め予備実験により取得し、記憶部121に記憶している。これにより、雨量処理部14は、速度処理部16の演算する速度、及び第5補正データに基づき、雨量を補正することが可能となる。第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、この補正された雨量に基づき、第1視程値、及び第2視程値を補正する。
【0070】
同様に、風速演算部152で演算した風速は、鉄道車両5の速度に応じて補正される。風速演算部152は、速度処理部16の演算する速度に基づき、風速を補正することが可能となる。第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、この補正された風速に基づき、第1視程値、及び第2視程値を補正する。視程判定部122は、補正後の第1視程値、及び第2視程値に応じて、最終的な視程値を生成する。
【0071】
図15は、第6実施形態に係る制御処理装置10の処理例を示すフローチャートである。
図15に示すように、先ず、加速度センサ161は加速度を計測する(ステップS61)。速度処理部16は、加速度センサ161の出力値を時間で積算し、速度を演算する(ステップS62)。続けて、雨量処理部14は、鉄道車両5の速度に応じて補正した雨量を生成する。第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、この補正された雨量に基づき、第1視程値、及び第2視程値を更に補正する。同様に、風速演算部152は、鉄道車両5の速度に応じて補正した風速を生成する。第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、この補正された風速に基づき、第1視程値、及び第2視程値を更に補正する(ステップS63)。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る制御処理装置10の第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、鉄道車両5の速度に応じて補正された雨量に応じた補正を実行する。同様に、第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、鉄道車両5の速度に応じて補正された風速に応じた補正を実行する。これにより、第1視程算出部113、及び第2視程算出部133は、鉄道車両5の速度に応じて補正された雨量、及び風速に応じた補正を実行できるので、鉄道車両5の速度、風速、及び雨量の影響を抑制した視程値を生成することが可能となる。
【0073】
これまで、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1:制御処理システム、5:鉄道車両、10:制御処理装置、11:第1視程処理部、12:判定処理部、13:第2視程処理部、14:雨量処理部、15:風速処理部、16:速度処理部、30:障害物検知装置、111:カメラ、112:線路検出部、113:第1視程算出部、123:制御部、131:照射部、132:受信部、140:画像処理部、R100:線路。