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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165026
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/654 20180101AFI20241121BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G06F8/654
G06F12/00 550Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080834
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】中尾 圭
【テーマコード(参考)】
5B160
5B376
【Fターム(参考)】
5B160AA06
5B160AA14
5B160NA02
5B376CA37
5B376CA43
5B376CA86
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】装置の大型化やコスト高を回避しつつ、不揮発性記憶部の使用可能期間を適切に延長すると共に、不揮発性記憶部を適切に更新する。
【解決手段】電子制御装置1は、データが書き込まれることで更新される不揮発性メモリ5と、データの書き込みを不揮発性メモリへ指示することで当該不揮発性メモリを更新するCPU3と、を備える。制御部は、電源オンから電源オフまでの期間中における不揮発性メモリの更新上限回数と更新間隔を設定し、更新回数が更新上限回数に到達するまでは更新間隔にしたがって不揮発性メモリを更新する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが書き込まれることで更新される不揮発性記憶部(5,15)と、
データの書き込みを前記不揮発性記憶部へ指示することで当該不揮発性記憶部を更新する制御部(3,13)と、を備え、
前記制御部は、電源オンから電源オフまでの期間中における前記不揮発性記憶部の更新上限回数と更新間隔を設定し、更新回数が前記更新上限回数に到達するまでは前記更新間隔にしたがって前記不揮発性記憶部を更新する電子制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記更新間隔を切り換える更新間隔切り換えタイミングをトリップ開始からの装置の動作時間に基づいて決定し、前記更新間隔を前記更新間隔切り換えタイミングにしたがって切り換える請求項1に記載した電子制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記更新間隔を切り換える更新間隔切り換えタイミングをトリップ開始からの前記不揮発性記憶部の更新回数に基づいて決定し、前記更新間隔を前記更新間隔切り換えタイミングにしたがって切り換える請求項1に記載した電子制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記更新間隔切り換えタイミング毎に前記更新間隔を漸増させる請求項2又は3に記載した電子制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記更新間隔切り換えタイミングと前記更新間隔とが対応付けられたテーブルを参照し、前記更新間隔を切り換える請求項2又は3に記載した電子制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、電源オンのタイミングで前記更新間隔を予め規定されている規定値に初期化する請求項2又は3に記載した電子制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、更新回数が前記更新上限回数に到達した後は前記不揮発性記憶部の更新を停止する請求項2又は3に記載した電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載される電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)と称する)は、電源オンによる動作開始から電源オフによる動作停止までの期間中に制御処理により更新したデータを不揮発性メモリに保持する構成となっている。不揮発性メモリは、データが書き込まれることで更新される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-154674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不揮発性メモリとして、例えばデータフラッシュやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等が採用されるが、データの書き込み可能回数に100万回程度という制限がある。そのため、車両の使用期間を20年と想定した場合に、十分な書き込み可能回数を保証することができない。例えば仮に20年間で毎日車両を使用すると想定すると、1日あたりの不揮発性メモリの更新回数は約130回に抑える必要があり、更新頻度を1秒毎とすると、約2分間しか不揮発性メモリを更新することができない。
【0005】
又、不揮発性メモリの一例としてデータフラッシュはマイコン内に実装されることから、データの書き込み回数が書き込み可能回数を超えたとしても不揮発性メモリだけを簡単に交換することができず、ECU自体の継続使用が不可能になってしまう。不揮発性メモリの使用可能期間を延長すべくデータの書き込み可能回数を稼ぐためにデータの記憶領域を複数面で持たせる方法が考えられる。しかしながら、そのためには不揮発性メモリの容量や実装数を増大する必要があり、装置の大型化やコスト高を招くことがある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化やコスト高を回避しつつ、不揮発性記憶部の使用可能期間を適切に延長すると共に、不揮発性記憶部を適切に更新することができる電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、データが書き込まれることで更新される不揮発性記憶部(5,15)と、データの書き込みを前記不揮発性記憶部へ指示することで当該不揮発性記憶部を更新する制御部(3,13)と、を備える。前記制御部は、電源オンから電源オフまでの期間中における前記不揮発性記憶部の更新上限回数と更新間隔を設定し、更新回数が前記更新上限回数に到達するまでは前記更新間隔にしたがって前記不揮発性記憶部を更新する。尚、電源オンから電源オフまでの期間をトリップという。
【0008】
更新上限回数を設定することで、電源オンから電源オフまでの期間中における不揮発性記憶部の更新回数を制限することができ、不揮発性記憶部の使用可能期間を適切に延長することができる。更新間隔を設定することで、不揮発性記憶部の更新タイミングの偏りを回避することができ、不揮発性記憶部を適切な更新間隔で更新することができる。この場合、データの記憶領域を複数面で持たせる必要もなく、装置の大型化やコスト高を回避しつつ、不揮発性記憶部の使用可能期間を適切に延長すると共に、不揮発性記憶部を適切に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の全体構成を示す機能ブロック図
図2】更新間隔設定値テーブルを示す図
図3】フローチャート
図4】トリップ開始からのECUの動作時間と更新間隔との関係を説明する図
図5】トリップ開始からトリップ終了までの更新間隔の変化を説明する図
図6】第2実施形態の全体構成を示す機能ブロック図
図7】更新間隔設定値テーブルを示す図
図8】フローチャート
図9】トリップ開始からの不揮発性メモリの更新回数と更新間隔との関係を説明する図
図10】トリップ開始からトリップ終了までの更新間隔の変化を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。尚、後続する実施形態において、先行する実施形態と同一内容について説明を省略することがある。
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明を、例えば車両に搭載されるHV(Hybrid Vehicle)-ECUに適用した第1実施形態について図1から図5を参照して説明する。HV-ECUは、ハイブリッドシステムにおける総合的制御として、例えばモータとエンジンの駆動力協調制御、高圧バッテリ制御、回生ブレーキ制御等を行う装置である。尚、他の用途のECUに適用することもできる。
【0012】
図1に示すように、HV-ECU(以下、ECUと称する)1は、装置全体の動作を制御するマイコン2を備える。マイコン2は、各制御ソフトウェアを処理するCPU3(制御部に相当する)と、データを記憶可能な揮発性メモリ4と、データを記憶可能な不揮発性メモリ5(不揮発性記憶部に相当する)とを備える。揮発性メモリ4はRAMであり、不揮発性メモリ5はデータフラッシュやEEPROMである。ECU1は、例えばイグニッションスイッチがオンすると、電源がオンして動作を開始し、イグニッションスイッチがオフすると、電源がオフする。ECU1は、電源がオフしても直ちに動作を停止せず、動作停止前処理を行ってから動作を停止する。
【0013】
CPU3は、例えば制御ソフトウェアA~Cを実装し、各制御ソフトウェアA~Cのイベント発生にしたがって各制御ソフトウェアA~Cを実行する。制御ソフトウェアAは実行することに伴ってデータAを使用し、制御ソフトウェアBはデータBを使用し、制御ソフトウェアCはデータCを使用する。ここでいうデータの使用とは、データの読み出し、データの加工や編集、データの書き込み等の少なくとも何れかを含む。本実施形態では、CPU3が3個の制御ソフトウェアA~Cを実装する構成を例示しているが、CPU3が実装する制御ソフトウェアの個数、各制御ソフトウェアが使用するデータの個数は任意である。
【0014】
CPU3は、ECU1が動作を開始すると、トリップの開始を特定し、不揮発性メモリ5に記憶されている各データA~Cを揮発性メモリ4に反映させる。各制御ソフトウェアA~Cは、各データA~Cを揮発性メモリ4から読み出す処理や各データA~Cを揮発性メモリ4に書き込む処理を行う。CPU3は、定期的に揮発性メモリ4に記憶されている各データA~Cを不揮発性メモリ5に反映させ、不揮発性メモリ5を更新する。
【0015】
揮発性メモリ4には、上記した各データA~Cに加え、不揮発性メモリ5の更新に用いる更新回数カウンタ、更新間隔、更新間隔カウンタ、トリップ開始からのECU1の動作時間のデータが保持される。不揮発性メモリ5には、各データA~Cに加え、更新上限回数のデータ、更新間隔設定値テーブルが保持される。
【0016】
図2に示すように、更新間隔設定値テーブルは、トリップ開始からのECU1の動作時間と更新間隔とが対応付けられたテーブルである。トリップ開始からのECU1の動作時間により更新間隔切り換えタイミングを設定する。CPU3は、例えばトリップ開始からのECU1の動作時間が「T1」に到達するまでは不揮発性メモリ5の更新間隔を「t0」に設定し、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T1」に到達すると、不揮発性メモリ5の更新間隔を「t0」から「t1」に切り換える。CPU3は、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T2」に到達するまでは不揮発性メモリ5の更新間隔を「t1」に維持し、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T2」に到達すると、更新間隔を「t1」から「t2」に切り換える。同様に、CPU3は、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T2」に到達するまでは不揮発性メモリ5の更新間隔を「t2」に維持し、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T3」に到達すると、更新間隔を「t2」から「t3」に切り換える。トリップ開始からのECU1の動作時間である「T1」~「Tn」及び不揮発性メモリ5の更新間隔である「t1」~「tn」は静的に変更可能な値である。更新上限回数も変更可能な値であっても良い。不揮発性メモリ5の更新間隔の初期値「t0」は更新間隔設定値テーブル外で規定された値である。不揮発性メモリ5の更新間隔は、以下の式に示す通りに漸増していく関係にある。
t0≦t1≦t2≦…≦tn
【0017】
次に、上記した構成の作用について図3から図5を参照して説明する。CPU3は、電源のオンを監視しており、電源のオンを特定し、トリップの開始を特定すると、不揮発性メモリ更新処理を開始する。
【0018】
CPU3は、不揮発性メモリ更新処理を開始すると、イニシャル処理として、更新回数カウンタをリセットし、更新間隔を「t0」に設定して初期化し、更新間隔カウンタをリセットし、トリップ開始からのECU1の動作時間をリセットする(S1)。CPU3は、トリップ開始からのECU1の動作時間をカウントし(S2)、動作停止前処理の条件が成立しているか否かを判定する(S3)。動作停止前処理とは、イグニッションスイッチがオフしたことに伴って電源がオフしてからECU1が動作停止するまでの処理である。即ち、CPU3は、電源がオフしてからECU1が動作停止するまでの期間で動作停止前処理を行う。
【0019】
CPU3は、動作停止前処理の条件が成立していないと判定すると(S3:NO)、更新回数カウンタと、更新上限回数から「1」を差引いた値とを照合し、更新回数カウンタが更新上限回数から「1」を差引いた値に到達しているか否かを判定する(S4)。CPU3は、更新回数カウンタが更新上限回数から「1」を差引いた値に到達していないと判定すると(S4:NO)、上記した図2で説明した更新間隔設定値テーブルを参照し、トリップ開始からのECU1の動作時間に対応して更新間隔を決定する(S5)。
【0020】
CPU3は、更新間隔カウンタが更新間隔に到達しているか否かを判定する(S6)。CPU3は、更新間隔カウンタが更新間隔に到達していないと判定すると(S6:NO)、不揮発性メモリ5の更新タイミングの待機状態であると特定し、更新間隔カウンタをカウントし(S7)、上記したステップS2に戻る。
【0021】
CPU3は、更新間隔カウンタが更新間隔に到達していると判定すると(S6:YES)、不揮発性メモリ5の更新タイミングに到達していると特定し、不揮発性メモリ5の更新を実行する(S8)。CPU3は、更新回数カウンタをカウントし(S9)、更新間隔カウンタをリセットし(S10)、上記したステップS2に戻る。
【0022】
即ち、CPU3は、動作停止前処理の条件が成立しておらず、且つ更新回数カウンタが更新上限回数から「1」を差引いた値に到達していない期間では、トリップ開始からのECU1の動作時間に追従して更新間隔を決定し、更新間隔カウンタが更新間隔に到達する毎に不揮発性メモリ5の更新を実行する。
【0023】
一方、CPU3は、更新回数カウンタが更新上限回数から「1」を差引いた値に到達していると判定すると(S4:YES)、次に実行する不揮発性メモリ5の更新が該当するトリップ中の更新上限回数目の更新であり、該当するトリップ中の最終の更新となるので、動作停止前処理の条件が成立するまでは不揮発性メモリ5の更新を実行しない。即ち、CPU3は、更新上限回数を設定したことにより、不揮発性メモリ5の更新を抑制する。
【0024】
CPU3は、動作停止前処理の条件が成立したと判定すると(S3:YES)、ECU1が動作停止する直前の最終状態のデータを不揮発性メモリ5に記憶すべく不揮発性メモリ5の更新を実行する(S11)。CPU3は、更新回数カウンタをカウントし(S12)、不揮発性メモリ更新処理を終了する。
【0025】
CPU3は、上記した不揮発性メモリ更新処理を実行することで、図4及び図5に示すように、ECU1が動作を開始した直後では更新間隔を「t0」に設定し、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T1」に到達するまでの期間では「t0」が経過する毎に不揮発性メモリ5の更新を実行する。CPU3は、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T1」に到達すると、更新間隔を「t0」から「t1」に切り換え、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T2」に到達するまでの期間では「t1」が経過する毎に不揮発性メモリ5の更新を実行する。同様に、CPU3は、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T2」に到達すると、更新間隔を「t1」から「t2」に切り換え、トリップ開始からのECU1の動作時間が「T3」に到達するまでの期間では「t2」が経過する毎に不揮発性メモリ5の更新を実行する。この場合、上記したように更新間隔が漸増するので、更新上限回数を設定しているが、不揮発性メモリ5の更新が該当するトリップの初期側に偏って終了してしまうことはない。
【0026】
以上に説明したように第1実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。ECU1において、電源オンから電源オフまでの期間中における不揮発性メモリ5の更新上限回数と更新間隔を設定し、更新回数が更新上限回数に到達するまでは更新間隔にしたがって不揮発性メモリ5を更新するようにした。更新上限回数を設定することで、電源オンから電源オフまでの期間中における不揮発性メモリ5の更新回数を制限することができ、不揮発性メモリ5の使用可能期間を適切に延長することができる。更新間隔を設定することで、不揮発性メモリ5の更新タイミングの偏りを回避することができ、不揮発性メモリ5を適切な更新間隔で更新することができる。この場合、データの記憶領域を複数面で持たせる必要もなく、装置の大型化やコスト高を回避しつつ、不揮発性メモリ5の使用可能期間を適切に延長すると共に、不揮発性メモリ5を適切に更新することができる。
【0027】
更新間隔を切り換える更新間隔切り換えタイミングをトリップ開始からのECU1の動作時間に基づいて決定するようにした。トリップ開始からのECU1の動作時間を用いることにより簡単な構成で不揮発性メモリ5の更新間隔を切り換えることができる。
【0028】
更新間隔切り換えタイミング毎に更新間隔を漸増させるようにした。トリップ開始からのECU1の動作時間が長くなることに追従して更新間隔を漸増させることで、早期に更新回数が更新上限回数更新に到達してECU1が動作中であるにも拘らず不揮発性メモリ5が更新されなくなる事態を回避することができる。
【0029】
トリップ開始からのECU1の動作時間と更新間隔とが対応付けられた更新間隔設定値テーブルを参照し、更新間隔を切り換えるようにした。更新間隔設定値テーブルを予め用意しておくことにより簡単な構成で不揮発性メモリ5の更新間隔を切り換えることができる。
【0030】
電源オンのタイミングで更新間隔を予め規定されている初期値「t0」に初期化するようにした。電源オンのタイミングで更新間隔を初期化することで、不揮発性メモリ5を適切な更新間隔で更新することができる。
【0031】
更新回数が更新上限回数に到達した後は不揮発性メモリ5の更新を停止するようにした。更新回数が更新上限回数に到達した後で不揮発性メモリ5を更新しないことで、不揮発性メモリ5の使用可能期間を適切に延長することができる。
【0032】
(第2実施形態)
第2実施形態について図6から図10を参照して説明する。第1実施形態が更新間隔をトリップ開始からのECU1の動作時間に基づいて決定する構成であるのに対し、第2実施形態は、更新間隔をトリップ開始からの不揮発性メモリの更新回数に基づいて決定する構成である。
【0033】
図6に示すように、ECU11は、装置全体の動作を制御するマイコン12を備える。マイコン12は、CPU13(制御部に相当する)と、揮発性メモリ14と、不揮発性メモリ15(不揮発性記憶部に相当する)とを備える。
【0034】
揮発性メモリ14には、各データA~Cに加え、不揮発性メモリ15の更新に用いる更新回数カウンタ、更新間隔、更新間隔カウンタのデータが保持される。不揮発性メモリ15には、各データA~Cに加え、更新上限回数のデータ、更新間隔設定値テーブルが保持される。
【0035】
図7に示すように、更新間隔設定値テーブルは、トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数と更新間隔とが対応付けられたテーブルである。トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数により更新間隔切り換えタイミングを設定する。CPU13は、例えばトリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数が「N1」に到達するまでは不揮発性メモリ5の更新間隔を「t0」に設定し、トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数が「N1」に到達すると、不揮発性メモリ15の更新間隔を「t0」から「t1」に切り換える。CPU13は、トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数が「N2」に到達するまでは不揮発性メモリ5の更新間隔を「t1」に維持し、トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数が「N2」に到達すると、更新間隔を「t1」から「t2」に切り換える。CPU13は、トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数が「N3」に到達するまでは不揮発性メモリ5の更新間隔を「t2」に維持し、トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数が「N3」に到達すると、更新間隔を「t2」から「t3」に切り換える。トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数である「N1」~「Nn」及び不揮発性メモリ15の更新間隔である「t1」~「tn」は静的に変更可能な値である。更新上限回数も変更可能な値であっても良い。又、不揮発性メモリ15の更新間隔の初期値「t0」は更新間隔設定値テーブル外で規定された値である。この場合も、不揮発性メモリ15の更新間隔は、以下の式に示す通りに漸増していく関係にある。
t0≦t1≦t2≦…≦tn
【0036】
次に、上記した構成の作用について図8から図10を参照して説明する。CPU13は、電源のオンを監視しており、電源のオンを特定すると、不揮発性メモリ更新処理を開始する。
【0037】
CPU13は、不揮発性メモリ更新処理を開始すると、イニシャル処理として、更新回数カウンタをリセットし、更新間隔を「t0」に設定して初期化し、更新間隔カウンタをリセットする(S21)。CPU13は、上記した第1実施形態で説明したステップS3~S12を行う。この場合、CPU13は、上記した図7で説明した更新間隔設定値テーブルを参照し、更新回数カウンタによりカウントしたトリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数に対応して更新間隔を決定する(S5)。
【0038】
以上に説明したように第2実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。ECU11において、電源オンから電源オフまでの期間中における不揮発性メモリ15の更新上限回数と更新間隔を設定し、更新回数が更新上限回数に到達するまでは更新間隔にしたがって不揮発性メモリ15を更新するようにした。第1実施形態と同様に、装置の大型化やコスト高を回避しつつ、不揮発性メモリ15の使用可能期間を適切に延長すると共に、不揮発性メモリ15を適切に更新することができる。
【0039】
更新間隔を切り換える更新間隔切り換えタイミングをトリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数に基づいて決定するようにした。トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数を用いることにより簡単な構成で不揮発性メモリ5の更新間隔を切り換えることができる。
【0040】
更新間隔切り換えタイミング毎に更新間隔を漸増させるようにした。トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数が多くなることに追従して更新間隔を漸増させることで、早期に更新回数が更新上限回数更新に到達してECU11が動作中であるにも拘らず不揮発性メモリ15が更新されなくなる事態を回避することができる。
【0041】
トリップ開始からの不揮発性メモリ15の更新回数と更新間隔とが対応付けられた更新間隔設定値テーブルを参照し、更新間隔を切り換えるようにした。更新間隔設定値テーブルを予め用意しておくことにより簡単な構成で不揮発性メモリ15の更新間隔を切り換えることができる。
【0042】
(その他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述したが、当該実施例や構造に限定されるものではない。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0043】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0044】
図面中、1,11はECU(電子制御装置)、3,13はCPU(制御部)、5,15は不揮発性メモリ(不揮発性記憶部)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10