(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165031
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 43/04 20060101AFI20241121BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65H43/04
B65H5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080846
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 登
【テーマコード(参考)】
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
3F048AA07
3F048AB04
3F048AB05
3F048BA08
3F048BB02
3F048BC03
3F048BC08
3F048BD07
3F048BD08
3F048CA03
3F048DA06
3F048EB24
3F049AA03
3F049CA32
3F049DA12
3F049DA19
3F049DB04
3F049EA22
3F049LA09
3F049LA10
3F049LB05
3F049LB09
(57)【要約】
【課題】 ローラの摩耗量を管理し信頼性の高い搬送装置を提供する。
【解決手段】投入された券媒体を搬送路に沿って搬送する搬送機構と、前記搬送路を挟んで互いに対向して設けられた第1ローラ及び第2ローラと、前記第2ローラを前記第1ローラに押圧する押圧機構と、前記第1ローラ及び前記第2ローラが接触している初期状態における前記第2ローラの第1位置から、前記押圧機構で前記第2ローラを前記第1ローラに押圧した状態における前記第2ローラの第2位置までの変位量を検出する変位検出部と、前記変位検出部で検出された変位量に基づいて前記第1ローラ及び前記第2ローラの摩耗量を検出する摩耗検出部を有しているコントローラと、を備えている、搬送装置。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された券媒体を搬送路に沿って搬送する搬送機構と、
前記搬送路を挟んで互いに対向して設けられた第1ローラ及び第2ローラと、
前記第2ローラを前記第1ローラに押圧する押圧機構と、
前記第1ローラ及び前記第2ローラが接触している初期状態における前記第2ローラの第1位置から、前記押圧機構で前記第2ローラを前記第1ローラに押圧した状態における前記第2ローラの第2位置までの変位量を検出する変位検出部と、
前記変位検出部で検出された変位量に基づいて前記第1ローラ及び前記第2ローラの摩耗量を検出する摩耗検出部を有しているコントローラと、を備えている、
搬送装置。
【請求項2】
前記摩耗検出部は、初期変位量と前記変位検出部で検出された変位量との差分に基づいて、摩耗量を検出する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第2ローラを前記第1ローラから離間する方向に移動させるアクチュエータをさらに備え、
前記コントローラは、前記摩耗検出部で摩耗量を検出した後、前記アクチュエータにより、変位量に応じて前記第1ローラと前記第2ローラとの間の隙間の大きさを調整する、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記コントローラは、メモリを有し、任意の期間ごとに摩耗量を複数回検出し、複数回検出した摩耗量を順次前記メモリに記憶し、記憶した摩耗量に基づいて将来的な摩耗量の推移を予測する、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1ローラ及び前記第2ローラの交換が必要になる摩耗量を示す閾値を格納し、前記閾値と前記将来的な摩耗量の推移とに基づいて、前記第1ローラ及び前記第2ローラの交換時期を算出する、
請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
外部に情報を通知可能な通知部を備え、
前記コントローラは、前記交換時期を外部に通知する、
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記押圧機構は、前記第2ローラを押圧するソレノイドを有している、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動改札装置は、一対のローラや、一対のローラのうちの一方のローラを他方のローラに向かって押圧する押圧機構など有し、磁気券などの券媒体を搬送する搬送装置を備えている。搬送装置としての分離装置は、投入口に券媒体が複数枚同時に投入された場合、一対のローラで1枚ずつに分離する。一対のローラは、隙間を置いて対向し、券媒体が1枚だけ通過可能な大きさに上記隙間を調整しておくことで、複数枚の券媒体を1枚ずつに分離できる。
【0003】
隙間は、一方のローラを他方のローラに押圧したときの一方のローラの位置を基準とし、押圧による一方のローラの変位量を考慮して一方のローラを他方のローラから離間させることで、所望の大きさに調整される。一対のローラが偏摩耗し、且つ、摩耗量が所定の値よりも大きい場合、一方のローラを他方のローラに押圧したとき、一対のローラの間の隙間を完全になくすことができず、摩耗量が大きい箇所において隙間が残ってしまうことがある。そのため、変位量を考慮して他方のローラを離間させても、一対のローラの間の隙間の大きさは、所望の大きさよりも大きくなってしまう。隙間の大きさを適切な範囲に調整できない場合、分離不良を起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-132296号公報
【特許文献2】特開2009-175412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の課題は、ローラの摩耗量を管理し信頼性の高い搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る搬送装置は、投入された券媒体を搬送路に沿って搬送する搬送機構と、前記搬送路を挟んで互いに対向して設けられた第1ローラ及び第2ローラと、前記第2ローラを前記第1ローラに押圧する押圧機構と、前記第1ローラ及び前記第2ローラが接触している初期状態における前記第2ローラの第1位置から、前記押圧機構で前記第2ローラを前記第1ローラに押圧した状態における前記第2ローラの第2位置までの変位量を検出する変位検出部と、前記変位検出部で検出された変位量に基づいて前記第1ローラ及び前記第2ローラの摩耗量を検出する摩耗検出部を有しているコントローラと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る自動改札装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態に係る自動改札装置の分離装置を示す側面図である。
【
図5】
図5は、上記実施形態に係る自動改札装置の分離装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、自動隙間調整を説明するための概略図である。
【
図7】
図7は、
図6に続く、自動隙間調整を説明するための概略図である。
【
図8】
図8は、
図7に続く、自動隙間調整を説明するための概略図である。
【
図9】
図9は、
図8に続く、自動隙間調整を説明するための概略図である。
【
図10】
図10は、新品の第1ローラ及び第2ローラと、摩耗品の第1ローラ及び第2ローラと、を示す側面図である。
【
図11】
図11は、自動改札装置の稼働時間と第2ローラの変位量との関係を示すグラフである。
【
図12】
図12は、交換時期を予測する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宣変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面や説明をより明確にするため、実際の様態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宣省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る搬送装置について、自動改札装置の分離装置を例に詳細に説明する。
【0009】
図1は、一実施形態に係る自動改札装置10の一例を示す図である。
図1に示すように、自動改札装置10は、投入口ENと、分離装置20と、整列装置100と、磁気処理装置110と、パンチ・印刷装置120と、放出・集札装置130と、放出口EXと、を備えている。分離装置20、整列装置100、磁気処理装置110、パンチ・印刷装置120、及び放出・集札装置130は、投入口ENから投入された券媒体Pを搬送路に沿って搬送する搬送機構を有している。なお、券媒体Pは、例えば、磁気乗車券である。
【0010】
投入口ENは、複数枚、例えば、4枚の磁気乗車券を重ねた状態で投入可能な寸法(長さ、幅、高さ)を有している。
分離装置20は、投入口ENに複数枚の券媒体Pが同時に(重ねて)投入された場合に、券媒体Pを1枚ずつに分離し、1枚ずつ整列装置100に搬送する。
整列装置100は、分離装置20から搬送された券媒体Pの搬送方向及び位置を整列させ、磁気処理装置110に券媒体Pを搬送する。
磁気処理装置110は、整列装置100から搬送された券媒体Pに対して、磁気処理を行う。上記磁気処理としては、例えば、駅構内に入場する際に自動改札装置10を利用する場合、入場駅、入場時刻などの情報を券媒体Pに記録する処理がある。磁気処理装置110は、磁気処理した券媒体Pをパンチ・印刷装置120に搬送する。
【0011】
パンチ・印刷装置120は、磁気処理装置110から搬送された券媒体Pに自動改札装置10を通過したことを示す孔をパンチにより形成すると共に、券媒体Pに必要な情報を印刷する。パンチ・印刷装置120は、パンチ処理及び印刷処理をした券媒体Pを放出・集札装置130に搬送する。
放出・集札装置130は、パンチ・印刷装置120から搬送された券媒体Pを放出口EXから放出する。このとき、券媒体Pが複数枚、例えば、2枚同時に投入口ENに投入され、分離装置20で分離され、順次、整列装置100、磁気処理装置110、パンチ・印刷装置120に搬送されている場合、2枚の券媒体Pは、放出・集札装置130で集札され、放出口EXから2枚同時に放出される。
【0012】
図2乃至
図4を参照して分離装置20の構成について説明する。
図2は、上記実施形態に係る自動改札装置10の分離装置20を示す側面図である。
図3は、
図2に示す分離装置20の一部を示す斜視図である。
図4は、
図2の矢視Aから見た側面図である。なお、
図2及び
図3では、フレームFrが省略されている。
図2乃至
図4に示す第1方向X、第2方向Y、第3方向Zについて定義する。第1方向Xは、券媒体Pの長さ方向に相当する。第2方向Yは、券媒体Pの厚さ方向に相当する。第3方向Zは、券媒体Pの幅方向に相当する。
図2乃至
図4に示すように、分離装置20は、搬送機構22と、厚さ検出部24と、フィードローラ26と、分離ローラ28と、変位検出部30と、ピックアップローラ32と、支持機構34と、フレームFrと、を備えている。
【0013】
始めに、搬送機構22の基本的な構成について説明する。
搬送機構22は、券媒体Pが搬送される搬送路36と、第1モータ38と、第2モータ40と、を有している。さらに、搬送機構22は、第1モータ38及び第2モータ40の他に搬送路36を駆動するために各種のモータを有している。搬送路36は、
図2に示す各種のローラやベルトなどによって定められている。
搬送路36は、搬送ベルトB1と搬送ローラRa1との間、搬送ベルトB1と厚さ検出部24との間、搬送ベルトB1と搬送ベルトB2との間、搬送ベルトB1と分離ローラ28との間、及びピックアップローラ32と回転体42との間である。一例において、搬送路36は、第1方向Xに延在している。
投入口ENから投入された券媒体Pは、搬送路36に沿って搬送される。
【0014】
搬送ベルトB1は、無端状のベルトである。搬送ベルトB1の内側には、搬送ローラRa2,Ra3,Ra4、従動ローラRb1,Rb2、及びフィードローラ26(より詳細には、搬送ローラRa5)が位置している。搬送ベルトB1は、搬送ローラRa5及び従動ローラRb1,Rb2に巻き付けて設けられている。搬送ベルトB1は、搬送ローラRa5及び従動ローラRb1,Rb2に同期して回転する。搬送ベルトB1は、従動ローラRb3によって外側から付勢されている。
【0015】
搬送ベルトB2は、搬送ベルトB1の上方に位置している。搬送ベルトB2は、搬送ベルトB1よりも短い無端状のベルトである。搬送ベルトB2の内側には、駆動ローラRc1、搬送ローラRa6,Ra7、及び従動ローラRb4が位置している。搬送ベルトB2は、駆動ローラRc1及び従動ローラRb4に巻き付けて設けられている。搬送ベルトB2は、駆動ローラRc1及び従動ローラRb4と同期して回転する。
搬送ローラRa6は、第2方向Yにおいて搬送ローラRa3に対向している。搬送ローラRa7は、第2方向Yにおいて搬送ローラRa4に対向している。
【0016】
次に、分離装置20が備える各機器について説明する。
厚さ検出部24は、投入口ENから投入された券媒体Pの厚さや枚数を検出する。厚さ検出部24は、第2方向Yにおける一端に接触子25を有している。接触子25は、下方に付勢されている。厚さ検出部24は、接触子25の変位量(移動量)を基に券媒体Pの厚さや券媒体Pの枚数を検出する接触式のセンサである。なお、厚さ検出部24は、接触式のセンサであることに限定されず、例えば、光の反射を利用する非接触式のセンサであってもよい。
【0017】
フィードローラ26は、第1ローラR1と、第1回転軸44と、2つの搬送ローラRa5と、を有している。第1ローラR1は、2つの搬送ローラRa5の間に位置している。第1ローラR1及び搬送ローラRa5は、第1回転軸44に固定され、第1回転軸44を中心として回転可能である。第1回転軸44は、第1モータ38に接続されている。フィードローラ26は、第1モータ38によって駆動される。第1ローラR1は、ゴムで形成されている。
上述したように、搬送ローラRa5に搬送ベルトB1が巻き付けられているため、フィードローラ26を駆動することで搬送ベルトB1を動かすことができる。一例では、フィードローラ26を反時計回りに回転させることで、券媒体Pが第1方向Xに搬送される。
【0018】
分離ローラ28は、厚さ検出部24の下流側に位置し、第2ローラR2と、第2回転軸46と、を有している。分離ローラ28は、第2方向Yにおいてフィードローラ26に隙間G1を置いて対向している。より詳細には、第2ローラR2は、第1ローラR1に隙間G1を置いて対向している。
隙間G1の大きさは、自動改札装置10で処理する券媒体Pの厚さに応じて予め設定されている。具体的には、券媒体Pの厚さより少し大きい値である。例えば、券媒体Pの厚さが0.2mmであった場合、隙間G1の大きさは、0.25乃至0.3mmに設定される。第2ローラR2は、ゴムで形成されている。
【0019】
第2ローラR2は、第2回転軸46を中心として回転可能である。第2回転軸46は、第2モータ40に接続されている。分離ローラ28は、第2モータ40によって駆動される。分離ローラ28は、複数枚の券媒体Pが重ねて投入口ENに投入された場合、分離動作を行う。分離動作とは、厚さ検出部24で検出された値が所定の大きさ以上であった場合に、券媒体Pを搬送方向に送らない向きに分離ローラ28を回転させることである。一例では、分離装置20は、分離ローラ28を反時計回りに回転させることで、複数枚の券媒体Pを分離する。
【0020】
変位検出部30は、分離ローラ28の第2方向Yにおける変位量(移動量)を検出可能に設けられている。変位検出部30は、第2方向Yにおける一端に接触子31を有している。接触子31は、下方に付勢されている。変位検出部30は、接触子31の変位量を基に分離ローラ28(第2ローラR2)の変位量を検出する接触式のセンサである。なお、変位検出部30は、接触式のセンサであることに限定されず、例えば、光の反射を利用する非接触式のセンサであってもよい。
【0021】
ピックアップローラ32は、フィードローラ26及び分離ローラ28の下流側に位置している。ピックアップローラ32は、回転体42に押圧されている。回転体42は、例えば、ベアリングである。ピックアップローラ32は、フィードローラ26及び分離ローラ28から送り出された券媒体Pを受け取り、券媒体Pを整列装置100に搬送する。
【0022】
支持機構34は、連結部材48と、支持部材50と、第1アーム52と、第2アーム54と、隙間調整機構56と、を有している。
連結部材48は、第3方向Zに延在する本体部48aと、本体部48aの一端から第1方向Xに向かって延出して形成された延出部48bと、本体部48aの他端から第1方向Xに向かって延出して形成された延出部48cと、を有している。連結部材48は、一対の延出部48b,48cで第2回転軸46の両端を回転可能に支持している。
支持部材50は、第3方向Zに延出して柱状に形成され、連結部材48の本体部48aに固定されている。
【0023】
第1アーム52は、アーム本体58と、ブラケット60と、回転体62と、を有している。アーム本体58は、側面視において略L字状に形成され、支持部材50の第3方向Zにおける一端に固定されている。
ブラケット60は、第1方向Xに板状に延在して形成され、アーム本体58にねじで固定されている。ブラケット60は、第1方向Xにおける一端に第3方向Zに延出して形成された支持部64を有している。支持部64には、回転体62が固定されている。回転体62は、例えば、支持部64を中心に回転可能なベアリングである。回転体62は、変位検出部30の接触子31に接触している。
【0024】
第2アーム54は、第1方向Xに延在して形成され、連結部66と、調整部68と、を有している。連結部66は、支持部材50の第3方向Zにおける他端に固定されている。
調整部68は、第1調整面Saと、第1調整面Saの反対側に位置している第2調整面Sbと、第1調整面Saと第2調整面Sbとの間に位置している取付け孔Hと、を有している。第1調整面Saは、第2調整面Sbに平行な平面である。取付け孔Hには、バネ70が取付けられている。バネ70は、自然長より長い状態であり、調整部68を下方に引っ張っている。
【0025】
隙間調整機構56は、第3モータ72と、取付け部材74と、押圧機構76と、を有している。第3モータ72は、調整部68の下方に位置し、モータ軸78を有している。モータ軸78の上端78aは、第1調整面Saに対向している。第3モータ72を駆動すると、モータ軸78は、第2方向Yに沿って上下に移動する。モータ軸78を第1調整面Saに押し付けると、第2アーム54には、第2ローラR2を第1ローラR1から離間する方向に変位させる力が作用する。上記のことから、第3モータ72は、第2ローラR2を第1ローラR1から離間させる方向に変位させるアクチュエータである。
【0026】
取付け部材74は、第2方向Yにおける一端に位置している取付け部80と、第2方向における他端に位置しているストッパSTと、を有している。取付け部80は、フレームFr(フレームFr2)に固定され、第3モータ72を固定している。ストッパSTは、フレームFr(フレームFr2)に固定され、モータ軸78の下端78bに対向している。ストッパSTは、モータ軸78の移動範囲(下限)を規定している。
【0027】
押圧機構76は、ソレノイド82と、ソレノイドレバー84と、ソレノイドリンク86と、を有している。ソレノイド82は、筐体部82aと、筐体部82aから第1方向Xに延出して設けられた可動部82bと、を有している。筐体部82aは、フレームFr(フレームFr2)に固定され、第2アーム54や支持部材50などの下方に位置している。
ソレノイド82は、ONとOFFとを切り替え可能であり、通電されている状態がONである。ソレノイド82がONになると、可動部82bは、筐体部82aの内部に引き込まれる。
【0028】
ソレノイドレバー84は、第1方向Xに延在して板状に形成され、ソレノイドレバー84の一端84aは、ソレノイド82の可動部82bに連結されている。
ソレノイドリンク86は、第2方向Yに延在して板状に形成され、ソレノイドリンク86の一端86aは、ソレノイドレバー84の他端84bに回動可能に連結されている。ソレノイドリンク86の他端86bには、枢軸88と、押圧ピン90とが設けられている。
【0029】
枢軸88は、第3方向Zに延出して柱状に形成され、フレームFr(フレームFr2)に回動可能に支持されている。押圧ピン90は、枢軸88と反対方向に延出して柱状に形成され、第2調整面Sbに対向する外周面を有している。押圧ピン90は、第1方向Xにおいて、枢軸88から離れて位置している。
押圧機構76は、上記のように構成されているため、ソレノイド82をONにすると、ソレノイドリンク86が枢軸88を中心として回動し、押圧ピン90の外周面から第2調整面Sbに所定の荷重を作用させ、第2ローラR2を第1ローラR1に押圧する。
【0030】
一対のフレームFrは、第1方向X及び第2方向Yに延在して形成されている。一方のフレームFr1は、第3方向Zにおいて、連結部材48と第1アーム52との間に位置している。他方のフレームFr2は、第3方向Zにおいて、連結部材48と第2アーム54との間に位置している。一対のフレームFrには、第1回転軸44及び支持部材50が架設されている。一対のフレームFrは、第1回転軸44及び支持部材50を回転可能に支持している。
【0031】
支持機構34及びフレームFrが上記のように構成されているため、第2アーム54に第2方向Yの力を作用させると、分離ローラ28、連結部材48、第1アーム52、及び第2アーム54は、支持部材50を中心として一体的に回動する。このとき、変位検出部30の接触子31が第1アーム52に接触した状態を維持するため、変位検出部30は、回転体62の変位量に基づいて、分離ローラ28(第2ローラR2)の変位量を検出することができる。
【0032】
次に、分離装置20の制御構成について説明する。
図5は、上記実施形態に係る自動改札装置10の分離装置20の制御構成を示すブロック図である。
図5に示すように、分離装置20は、コントローラ92と、通知部96と、操作部98と、を更に備えている。コントローラ92は、第1モータ38及び第2モータ40を含む搬送機構22、厚さ検出部24、変位検出部30、第3モータ72、ソレノイド82、通知部96、及び操作部98に接続されている。
【0033】
コントローラ92は、摩耗検出部93及びメモリ94を有している。摩耗検出部93は、変位検出部30で検出された情報に基づいて、第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量を検出する。
メモリ94は、厚さ検出部24及び変位検出部30で検出された情報を記憶する。例えば、メモリ94は、変位検出部30で検出された情報を日付や時間などと関連付けて記憶する。メモリ94は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの一般に知られている媒体で形成されている。メモリ94には、第1ローラR1及び第2ローラR2に関する閾値Thが格納されている。
【0034】
コントローラ92は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などを備えるコンピュータとして構成され、ROMに格納されたプログラムを実行することにより、搬送機構22、厚さ検出部24、変位検出部30、第3モータ72、ソレノイド82、及び通知部96のそれぞれの動作など、分離装置20の全体の動作を制御する。
例えば、コントローラ92は、第1モータ38や第2モータ40などを駆動し、券媒体Pを搬送路36に沿って搬送することができる。
【0035】
コントローラ92は、厚さ検出部24で検出された情報に基づいて、分離動作を行うか否かを判断し、第2モータ40の回転方向を制御することができる。
コントローラ92は、自動改札装置10の所定のタイミング、例えば起動時や停止時などに、第3モータ72やソレノイド82などを駆動して、第1ローラR1と第2ローラR2との間の隙間の大きさを自動で調整する自動隙間調整を行うことができる。
【0036】
コントローラ92は、第3モータ72を駆動して隙間調整機構56を後述する初期状態にし、ソレノイド82をONにして押圧機構76で第2ローラR2を第1ローラR1に押圧した押圧状態にし、変位検出部30で初期状態における第2ローラR2の第1位置から押圧状態における第2ローラR2の第2位置までの第2ローラR2の変位量を検出し、摩耗検出部93で検出した変位量を基に第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量を検出することができる。
コントローラ92は、任意の期間(例えば、1日、1週間、1ヶ月)ごとに第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量を複数回検出することができる。
【0037】
コントローラ92は、複数回取得した摩耗量を順次メモリ94に記憶することができる。
コントローラ92は、複数回検出した摩耗量を基に、第1ローラR1及び第2ローラR2の将来的な摩耗量の推移を予測することができる。
コントローラ92は、メモリ94に格納されている閾値と将来的な摩耗量の推移とに基づいて、第1ローラR1及び第2ローラR2の交換時期を算出することができる。
コントローラ92は、将来的な摩耗量の推移を通知部96で外部に通知することができる。通知部96は、例えば、外部の受信機に情報を送信可能な発信機であり、駅員や自動改札装置10の製造元に将来的な摩耗量の推移や交換時期を通知することができる。
コントローラ92は、操作部98を介した操作者の操作に基づいて、自動改札装置10の起動及び停止を行うことができる。
【0038】
次に、自動隙間調整について
図6乃至
図9を参照して詳細に説明する。
図6は、自動隙間調整を説明するための概略図である。
図6は、自動隙間調整の初期状態を示す図である。
図6は、第2アーム54、バネ70、第3モータ72、取付け部材74、及び押圧機構76を示す側面図であり、第1ローラR1、第2ローラR2、及び連結部材48を二点鎖線で示している。
【0039】
図6に示すように、自動隙間調整の初期状態において、モータ軸78の上端78aは隙間を置いて第1調整面Sに対向し、モータ軸78の下端78bはストッパSTに接触している。バネ70は、荷重F1で第2アーム54の調整部68を下方に引っ張ることで、第2ローラR2を第1ローラR1に向かって付勢している。つまり、第2ローラR2は、第2ローラR2や第2ローラR2に連結された部材の自重と、バネ70による荷重F1とによって、第1ローラR1に接触している。このときの第2ローラR2の位置を第1位置とする。ソレノイド82は、OFFになっている。
このとき、モータ軸78の上端78aを第1調整面Saに押し付けると、第2アーム54は、反時計回りに回動する。そのため、初期状態では、第1ローラR1と第2ローラR2とが接触した状態におけるモータ軸78の上端78aの位置(0点)を特定できない。
【0040】
図7は、
図6に続く、自動隙間調整を説明するための概略図である。
図7は、ソレノイド82をONした状態を示している。
図7に示すように、ソレノイド82をONにすると、ソレノイドリンク86が枢軸88を中心として回動し、押圧ピン90が第2アーム54の第2調整面Sbに荷重F2を作用させる。つまり、第2ローラR2は、押圧ピン90によって、第1ローラR1に押圧される。このとき、第1ローラR1及び第2ローラR2がゴムで形成されているため、第1ローラR1及び第2ローラR2の形状が変形し、第2ローラR2の位置は、第1位置よりも下方の第2位置に変位する。第2ローラR2の第1位置から第2位置までの変位量d1は、第1ローラR1及び第2ローラR2の変形量(撓み量)に相当する。一例において、第1ローラR1における第2ローラR2との接触面、及び第2ローラR2における第1ローラR1との接触面は、押圧機構76で押圧される前は湾曲面であったが、第1方向X及び第3方向Zに平行な平面形状に変形している。
【0041】
図8は、
図7に続く、自動隙間調整を説明するための概略図である。
図8に示すように、ソレノイド82はONの状態であり、モータ軸78の上端78aは第2アーム54の第1調整面Saに押し付けられている。第2アーム54は、押圧機構76によって下方に押圧されているため、モータ軸78による力を受けても回動しない。そのため、モータ軸78の下端78bがストッパSTに接触している状態から、モータ軸78の上端78aが第1調整面Saに接触するまでのモータ軸78の移動量を特定することができ、上記移動量を特定することでモータ軸78の0点出しが完了する。
【0042】
図9は、
図8に続く、自動隙間調整を説明するための概略図である。
図9は、ソレノイド82をOFFにした後、モータ軸78を上方に移動させ、自動隙間調整が完了した状態を示している。
図9に示すように、ソレノイド82はOFFの状態であり、押圧機構76から第2アーム54への荷重F2は、作用していない。このとき、モータ軸78を上方に移動させると、連結部材48及び第2アーム54は、支持部材50を中心として、一例では反時計回りに回動し、第2ローラR2は、第1ローラR1から離間する方向に移動する。そのため、変位量d1に応じてモータ軸78の移動量を決定することで、隙間G1を所望の大きさに設定することができる。より具体的には、第2ローラR2が第2位置から変位量d1と隙間G1の所望の大きさとを合計した距離だけ第1ローラR1から離間する方向に変位するように、0点からモータ軸78を上方に移動させることで、隙間G1を所望の大きさに設定することができる。
なお、初期状態であっても、第1ローラR1及び第2ローラR2は、荷重F1と自重によって僅かに撓んでいる。この撓みによる第2ローラR2の変位量d2を予め算出し、変位量d2も考慮して、隙間G1を所望の大きさに設定してもよい。つまり、変位量d1,d2を考慮して、隙間G1を所望の大きさに設定してもよい。
【0043】
次に、第1ローラR1及び第2ローラR2を繰り返し使用した場合について説明する。
図10は、第1ローラR1及び第2ローラR2の新品と摩耗品とを示す側面図である。
図10に示すように、新品の第1ローラR1及び第2ローラR2の形状は、円柱状である。一方、繰り返し使用された第1ローラR1及び第2ローラR2の形状は、略鼓状であり、中央部C1,C2が摩耗している。つまり、券媒体Pが隙間G1を繰り返し通過することで、第1ローラR1及び第2ローラR2の外周面が偏摩耗する。
【0044】
以下、中央部C1,C2が摩耗する理由について説明する。
図4に示すように、第3方向Zにおいて、第1ローラR1と一対の搬送ローラRa5との間には、隙間が存在している。また、第3方向Zにおいて、第2ローラR2と連結部材48(詳細には、延出部48b,48c)との間には、隙間が存在している。つまり、第1ローラR1の第3方向Zにおける両端部、及び第2ローラR2の第3方向Zにおける両端部は、自由度を持っている。さらに、上述したように、第1ローラR1及び第2ローラR2がゴムで形成されているため、隙間G1に券媒体Pが挿入され、第1ローラR1及び第2ローラR2の外周面に荷重が加えられた場合、第1ローラR1及び第2ローラR2の両端部は、外側に逃げることができる。
一方、第1ローラR1及び第2ローラR2の中央部C1,C2は、自由度がないため外側に逃げることができない。これにより、第1ローラR1及び第2ローラR2の中央部C1,C2は、隙間G1を通過する券媒体Pの枚数に応じて摩耗する。
【0045】
次に、第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量の検出について説明する。
上述したように、第1ローラR1及び第2ローラR2は、ゴムで形成され、且つ、両端部に自由度を持っている。そのため、第1ローラR1及び第2ローラR2が摩耗している場合、第1ローラR1及び第2ローラR2が新品である場合と比較して、第1位置から第2位置までの変位量d1が大きくなる。言い換えると、第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量が増加するほど、変位量d1が大きくなる。
【0046】
上記のことから、第1ローラR1及び第2ローラR2が新品である場合における第2ローラR2の第1位置から第2位置までの初期変位量と、自動改札装置10を使用してから検出した変位量d1とを比較することで、第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量を検出することができる。具体的には、初期変位量と変位量d1との差分を算出することで摩耗量を検出することができる。
本実施形態に係る搬送装置は、摩耗量を複数回検出し、検出した摩耗量を基に将来的な摩耗量の推移を予測することができる。
【0047】
次に、将来的な摩耗量の推移の予測について説明する。
図11は、自動改札装置10の稼働時間と第2ローラR2の変位量d1との関係を示すグラフである。
図11では、検出値Dを実線で示し、検出値Dを基に作成した関数Fを破線で示している。
図11に示すように、検出値Dは、第1ローラR1及び第2ローラR2を新品のときから使用開始して20ヶ月が経過するときまでに、変位検出部30で実際に検出された変位量d1である。検出値Dは、初期変位量idから稼働時間の経過に伴って増加している。検出値Dの増加の割合は、時期によって異なり、例えば、夏休みや冬休みなど学生の利用が少なくなる時期に小さくなる。
【0048】
関数Fは、検出値Dを近似して作成された曲線であり、稼働時間の経過に伴って増加している。関数Fは、検出値Dが存在しない期間にも存在し、一例においては、20ヶ月が経過した後の予測期間においても存在している。予測期間における関数Fは、将来的な変位量d1の推移に相当する。上述したように、本実施形態の自動改札装置10は、変位量d1を基に摩耗量を検出することができるため、関数Fを基に将来的な摩耗量の推移を予測することができる。
【0049】
閾値Thは、第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量が第1ローラR1及び第2ローラR2を新品に交換すべき値になる第2ローラR2の変位量d1に相当し、一例において、100μmに設定されている。
交換時期T1は、関数Fが閾値Thに達するときの時間である。
交換時期T2は、交換時期T1の所定期間前から交換時期T1の所定期間経過後までの期間である。
上記のことから、本実施形態の自動改札装置10は、将来的な変位量d1の推移と閾値Thとから交換時期T1,T2を算出することができる。なお、交換時期T1,T2は、将来的な摩耗量の推移と、閾値Thを摩耗量に換算した閾値とから算出されてもよい。
【0050】
次に、交換時期T1,T2を予測する処理について説明する。
図12は、交換時期T1,T2を予測する処理の一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、処理が開始されると、まず、コントローラ92は、操作部98を介した操作者の指示に基づいて自動改札装置10を起動する(S1)。次に、コントローラ92は、自動隙間調整を開始し、隙間調整機構56を初期状態にし、ソレノイド82をONすることにより押圧機構76で第2ローラR2を第1ローラR1に押圧する(S2)。
【0051】
次いで、コントローラ92は、初期変位量idと変位検出部30で検出した変位量d1とを基に第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量を検出し(S3)、検出した摩耗量をメモリ94に記憶する(S4)。その後、コントローラ92は、第3モータ72を駆動して0点出しを行ってから、ソレノイド82をOFFにすることにより押圧機構76による第2ローラR2の第1ローラR1への押圧を解除し(S5)、変位量d1(及び変位量d2)を考慮して第3モータ72のモータ軸78を上方に移動させることで、隙間G1を所望の大きさに調整し、自動隙間調整を終了する(S6)。
【0052】
続いて、コントローラ92は、摩耗量を検出した回数が所定回数を超えているか否かを判断し(S7)、摩耗量を検出した回数が所定回数を超えていない場合、ステップS1からステップS7までの処理を実施する。より詳細には、自動改札装置10の電源が停止されてから、再び電源を起動した際にステップS1からステップS7までの処理を実施する。摩耗量を検出した回数が所定回数を超えている場合(S7)、コントローラ92は、検出された変位量d1である検出値Dを基に関数Fを作成し、関数Fを基に将来的な摩耗量の推移を予測する(S8)。
【0053】
次に、コントローラ92は、メモリ94に予め格納されている閾値と将来的な摩耗量の推移とを基に、第1ローラR1及び第2ローラR2の交換時期T1,T2を算出し(S9)、将来的な摩耗量の推移や交換時期T1,T2などを通知部96で外部に通知し(S10)、交換時期T1,T2を予測する処理を終了する。
なお、ステップS7における所定回数は、1回や2回であってもよいが、摩耗量の推移を正確に予測することを考慮すると、より多いことが好ましい。ステップ7は、任意の期間ごとに摩耗量を検出した回数が所定回数を超えたか否かを判断する処理であってもよい。
また、ステップS10は、将来的な摩耗量の推移及び交換時期T1,T2のうちいずれか一方のみを通知する処理であてもよい。
【0054】
以下、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る搬送装置によれば、搬送装置は、第1ローラR1及び第2ローラR2と、第2ローラR2を第1ローラR1に押圧する押圧機構76と、第2ローラR2の第1位置から第2位置までの変位量d1を検出する変位検出部30と、変位量d1に基づいて摩耗量を検出する摩耗検出部93を有するコントローラ92と、を備えている。
摩耗検出部93は、初期変位量idと検出された変位量d1との差分に基づいて摩耗量を検出する。これにより、第1ローラR1及び第2ローラR2の摩耗量を管理することができるため、信頼性の高い搬送装置を得ることができる。
【0055】
搬送装置は、第2ローラR2を第1ローラから離間する方向に移動させるアクチュエータとしての第3モータ72をさらに備えている。コントローラ92は、変位量d1に応じて隙間G1の大きさを調整する。
コントローラ92は、摩耗量を複数回検出し、検出した摩耗量をメモリ94に記憶し、記憶した摩耗量に基づいて将来的な摩耗量の推移を予測する。
コントローラ92は、将来的な摩耗量の推移とメモリに格納されている閾値とに基づいて、第1ローラR1及び第2ローラR2の交換時期T1,T2を算出する。
コントローラ92は、将来的な摩耗量の推移や交換時期T1,T2などを通知部96で外部に通知する。
これにより、第1ローラR1及び第2ローラR2が摩耗することによって生じる動作不良、例えば、券詰まりなどが生じる前に、第1ローラR1及び第2ローラR2を新品に交換することができ、自動改札装置10の稼働率を向上することができる。
【0056】
コントローラ92は、摩耗量を検出した後、隙間G1の大きさを調整する。これにより、自動隙間調整が自動改札装置10の起動時など券媒体Pが投入されることのない期間に実施される場合、自動改札装置10の運転中に摩耗量を検出することによる稼働率の低下を抑制することができる。
押圧機構76は、ONとOFFとを入れ替え可能なソレノイド82を有し、ソレノイド82がONである場合、前記第2ローラR2を前記第1ローラR1に押圧する。
【0057】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、第2ローラR2を第1ローラR1に押圧した際の第2ローラの変位量に基づいて摩耗量を検出する例を説明したが、第1ローラR1を第2ローラR2に押圧した際の変位量に基づいて摩耗量を検出してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…自動改札装置、20…分離装置、22…搬送機構、26…フィードローラ、28…分離ローラ、30…変位検出部、36…搬送路、56…隙間調整機構、72…第3モータ、76…押圧機構、78…モータ軸、82…ソレノイド、92…コントローラ、93…摩耗検出部、94…メモリ、96…通知部、G1…隙間、P…券媒体、R1…第1ローラ、R2…第2ローラ、T1,T2…交換時期、Th…閾値、d1…変位量、id…初期変位量。