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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165039
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20241121BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20241121BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1368
G02F1/1337
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080858
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰人
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
2H290
【Fターム(参考)】
2H092GA13
2H092GA14
2H092GA15
2H092GA31
2H092HA04
2H092JA24
2H092MA15
2H092MA17
2H092MA43
2H092NA01
2H092PA02
2H092PA09
2H092QA06
2H192AA24
2H192BA23
2H192BB01
2H192BB13
2H192EA22
2H192EA32
2H192EA43
2H192FA01
2H192GD12
2H192JA13
2H192JA33
2H290AA33
2H290AA73
2H290BA26
2H290CA13
2H290CA42
2H290CA46
(57)【要約】
【課題】表示ムラの発生を抑制する。
【解決手段】表示装置11は、画像が表示される表示領域AAと、表示領域AAに配され、透明電極膜11F1からなる複数の画素電極18と、表示領域AAを取り囲む非表示領域NAAと、非表示領域NAAに配される回路部14と、非表示領域NAAのうちの回路部14と表示領域AAとの間に位置して配され、透明電極膜11F1のうちの画素電極18とは別の部分からなるダミー部28と、を備え、ダミー部28は、画素電極18とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示される表示領域と、
前記表示領域に配され、透明電極膜からなる複数の画素電極と、
前記表示領域を取り囲む非表示領域と、
前記非表示領域に配される回路部と、
前記非表示領域のうちの前記回路部と前記表示領域との間に位置して配され、前記透明電極膜のうちの前記画素電極とは別の部分からなるダミー部と、を備え、
前記ダミー部は、前記画素電極とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なる表示装置。
【請求項2】
前記表示領域と前記非表示領域とに跨がって配され、前記透明電極膜の上層側に配される配向膜を備えており、
前記配向膜は、前記表示領域にて前記画素電極を覆い、前記非表示領域にて前記ダミー部を覆う請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記ダミー部は、前記画素電極とは前記平面形状及び前記大きさが共に異なっていて、前記表示領域から遠ざかる向きである第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向と、のそれぞれについて間隔を空けて複数が分散配置されている請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記ダミー部は、前記画素電極とは前記平面形状及び前記大きさが共に異なっていて、前記表示領域から遠ざかる向きである第1方向について第1間隔を空けて複数が並んで配されるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在して設けられている請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記画素電極は、前記第1方向と交差する第3方向に沿って延在する部分を含んでいて、間に第2間隔を空けて配される少なくとも2つの電極部を有しており、
前記ダミー部は、幅寸法が前記電極部の幅寸法と等しく、前記第2間隔が前記第1間隔と等しい請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記画素電極は、前記表示領域から遠ざかる向きである第1方向と交差する第3方向に沿って延在する電極部を有しており、
前記ダミー部は、前記画素電極とは前記平面形状及び前記大きさが共に異なっていて、前記第1方向について間隔を空けて複数が並んで配されるとともに、前記電極部の外形に並行するよう延在して設けられている請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項7】
画像が表示される表示領域を取り囲む非表示領域に回路部を設け、
前記表示領域と前記非表示領域とに跨がるよう透明電極膜を成膜し、
前記透明電極膜の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、
前記フォトレジスト膜を露光してから現像し、
現像された前記フォトレジスト膜を介して前記透明電極膜をエッチングし、残存した前記透明電極膜の一部によって前記表示領域に配される複数の画素電極を設け、残存した前記透明電極膜のうち前記画素電極とは別の部分によって前記非表示領域のうちの前記回路部と前記表示領域との間に位置して配されて前記画素電極とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なるダミー部を設ける表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記透明電極膜の上層側に前記表示領域と前記非表示領域とに跨がって配される配向膜を成膜し、成膜された前記配向膜によって前記表示領域にて前記画素電極を覆い、前記非表示領域にて前記ダミー部を覆う請求項7記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、表示装置として液晶表示装置が記載されている。特許文献1に記載の液晶表示装置は、第1の基板上において、画素選択用TFTとそれに接続した画素電極とを備えた複数の画素を含む表示画素領域が形成されている。また、表示画素領域に隣接して、画素選択用TFTとそれに接続した画素電極とを備えブラックマトリクスによって遮光された複数のダミー画素を含むダミー画素領域が形成されている。さらに、ダミー画素の画素電極と重畳するようにして、駆動用TFT、即ちサンプリング用TFTが形成されている。即ち、ダミー画素の画素電極は、平坦化絶縁膜を介して、サンプリング用TFTのチャネル領域の少なくとも一部と重畳している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-101701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の液晶表示装置では、ダミー画素領域にあるダミー画素の画素電極は、表示画素領域にある画素の画素電極と平面形状及び大きさが同一とされる。このため、ダミー画素領域の大きさによっては、ダミー画素領域におけるダミー画素の画素電極のパターン密度が、表示画素領域における画素の画素電極のパターン密度から大きく解離する場合がある。その場合、表示画素領域のうちの外端付近に位置する画素電極の仕上がりが、表示画素領域のうちの中央付近に位置する画素電極の仕上がりとは異なるものとなり、それに起因して表示画素領域のうちの外端付近において局所的に透過率が高くなるおそれがあった。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、表示ムラの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる表示装置は、画像が表示される表示領域と、前記表示領域に配され、透明電極膜からなる複数の画素電極と、前記表示領域を取り囲む非表示領域と、前記非表示領域に配される回路部と、前記非表示領域のうちの前記回路部と前記表示領域との間に位置して配され、前記透明電極膜のうちの前記画素電極とは別の部分からなるダミー部と、を備え、前記ダミー部は、前記画素電極とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なる。
【0007】
(2)また、上記表示装置は、上記(1)に加え、前記表示領域と前記非表示領域とに跨がって配され、前記透明電極膜の上層側に配される配向膜を備えており、前記配向膜は、前記表示領域にて前記画素電極を覆い、前記非表示領域にて前記ダミー部を覆ってもよい。
【0008】
(3)また、上記表示装置は、上記(1)または上記(2)に加え、前記ダミー部は、前記画素電極とは前記平面形状及び前記大きさが共に異なっていて、前記表示領域から遠ざかる向きである第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向と、のそれぞれについて間隔を空けて複数が分散配置されてもよい。
【0009】
(4)また、上記表示装置は、上記(1)または上記(2)に加え、前記ダミー部は、前記画素電極とは前記平面形状及び前記大きさが共に異なっていて、前記表示領域から遠ざかる向きである第1方向について第1間隔を空けて複数が並んで配されるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在して設けられてもよい。
【0010】
(5)また、上記表示装置は、上記(4)に加え、前記画素電極は、前記第1方向と交差する第3方向に沿って延在する部分を含んでいて、間に第2間隔を空けて配される少なくとも2つの電極部を有しており、前記ダミー部は、幅寸法が前記電極部の幅寸法と等しく、前記第2間隔が前記第1間隔と等しくてもよい。
【0011】
(6)また、上記表示装置は、上記(1)または上記(2)に加え、 前記画素電極は、前記表示領域から遠ざかる向きである第1方向と交差する第3方向に沿って延在する電極部を有しており、前記ダミー部は、前記画素電極とは前記平面形状及び前記大きさが共に異なっていて、前記第1方向について間隔を空けて複数が並んで配されるとともに、前記電極部の外形に並行するよう延在して設けられてもよい。
【0012】
(7)本明細書に記載の技術に関わる表示装置の製造方法は、画像が表示される表示領域を取り囲む非表示領域に回路部を設け、前記表示領域と前記非表示領域とに跨がるよう透明電極膜を成膜し、前記透明電極膜の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、前記フォトレジスト膜を露光してから現像し、現像された前記フォトレジスト膜を介して前記透明電極膜をエッチングし、残存した前記透明電極膜の一部によって前記表示領域に配される複数の画素電極を設け、残存した前記透明電極膜のうち前記画素電極とは別の部分によって前記非表示領域のうちの前記回路部と前記表示領域との間に位置して配されて前記画素電極とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なるダミー部を設ける。
【0013】
(8)また、上記表示装置の製造方法は、上記(7)に加え、前記透明電極膜の上層側に前記表示領域と前記非表示領域とに跨がって配される配向膜を成膜し、成膜された前記配向膜によって前記表示領域にて前記画素電極を覆い、前記非表示領域にて前記ダミー部を覆ってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に記載の技術によれば、表示ムラの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る液晶パネル、ドライバ及びフレキシブル基板の平面図
図2】実施形態1に係る液晶パネル、ドライバ及びフレキシブル基板の断面図
図3】実施形態1に係る液晶パネルの画素配列に示す平面図
図4】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域の断面構成を示す断面図
図5】実施形態1に係る液晶パネルに備わるアレイ基板における画素電極の配列を示す平面図
図6】実施形態1に係る画素電極を構成する電極部の幅寸法における基準値からの差分と光透過率との関係を表すグラフ
図7】実施形態1に係る画素電極に印加される電圧値と光透過率との関係を表すグラフ
図8】実施形態1に係るアレイ基板のうち、表示領域の外端付近と非表示領域の内端付近との構成を示す平面図
図9】実施形態1に係る表示領域の外端付近と非表示領域の内端付近との構成を示す断面図
図10】実施形態1に係る表示領域における画素電極の位置と電極部の幅寸法との関係を表すグラフ
図11】実施形態1に係る表示領域における透過光量の測定位置と光透過率との関係を表すグラフ
図12】実施形態1に係る表示領域における透過光量の測定位置とu′値との関係を表すグラフ
図13】実施形態1に係る表示領域における透過光量の測定位置とv′値との関係を表すグラフ
図14】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成するアレイ基板製造工程の第5工程にて、フォトレジスト膜を露光した状態を示す断面図
図15】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成するアレイ基板製造工程の第5工程にて、フォトレジスト膜を現像した状態を示す断面図
図16】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成するアレイ基板製造工程の第5工程にて、透明電極膜をエッチングした状態を示す断面図
図17】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成するアレイ基板製造工程の第6工程にて、配向膜材料を塗布する途中の状態を示す断面図
図18】実施形態2に係るアレイ基板のうち、表示領域の外端付近と非表示領域の内端付近との構成を示す平面図
図19】実施形態3に係るアレイ基板のうち、表示領域の外端付近と非表示領域の内端付近との構成を示す平面図
図20】実施形態4に係るアレイ基板のうち、表示領域の外端付近と非表示領域の内端付近との構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図17によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、図2図4図9図14から図17の上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
【0017】
液晶表示装置10は、図1に示すように、横長の方形状をなしていて画像を表示可能な液晶パネル(表示装置)11と、液晶パネル11に対して表示に利用するための光を照射する外部光源であるバックライト装置(照明装置)と、を少なくとも備える。バックライト装置は、液晶パネル11に対して裏側(背面側)に配置され、白色の光(白色光)を発する光源(例えばLEDなど)や光源からの光に光学作用を付与することで面状の光に変換する光学部材などを有する。液晶パネル11は、画面の中央側部分が、画像が表示される表示領域AAとされる。これに対し、液晶パネル11の画面における表示領域AAを取り囲む額縁状の外周側部分が、画像が表示されない非表示領域NAAとされる。
【0018】
液晶パネル11に関して図1に加えて図2を参照して詳しく説明する。液晶パネル11は、図1及び図2に示すように、一対のほぼ透明な(透光性を有する)基板11A,11Bを貼り合わせてなる。一対の基板11A,11Bのうち表側(正面側)が対向基板(CF基板)11Aとされ、裏側(背面側)がアレイ基板(TFT基板)11Bとされる。対向基板11A及びアレイ基板11Bは、いずれもガラス基板の内面側に各種の膜が積層形成されてなる。互いに貼り合わせられる対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間には、所定の間隔が空けられている。対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間には、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む液晶層11Cが挟持される。一対の基板11A,11Bの外周端部間には、液晶層11Cを封止する封止部(シール部)11Dが介在して設けられている。封止部11Dは、液晶層11Cを取り囲むよう方形の枠状に形成されている。なお、両基板11A,11Bの外面側には、それぞれ偏光板11E,11Fが貼り付けられている。
【0019】
アレイ基板11Bは、図1及び図2に示すように、長辺寸法が対向基板11Aの同寸法よりも大きくされており、長辺方向についての一方の端部が、対向基板11Aから側方に突き出す突き出し部11B1となっている。突き出し部11B1は、対向基板11Aにより覆われずに露出している。突き出し部11B1は、全域が非表示領域NAAであり、各種信号を供給するためのドライバ12及びフレキシブル基板13が取り付けられている。ドライバ12は、突き出し部11B1に対してCOG(Chip On Glass)実装されている。ドライバ12は、内部に駆動回路を有するLSIチップからなり、フレキシブル基板13により供給される各種信号を処理し、詳しくは後述するソース配線16に画像信号を供給する。フレキシブル基板13は、絶縁性及び可撓性を有する合成樹脂材料(例えばポリイミド系樹脂等)からなる基材上に多数本の配線パターンを形成した構成とされる。フレキシブル基板13は、その一方の端部が突き出し部11B1に、他方の端部がコントロール基板(信号供給源)に、それぞれ接続されており、コントロール基板から供給される信号をアレイ基板11Bに伝送する。
【0020】
アレイ基板11Bの非表示領域NAAには、図1に示すように、ゲート回路部(回路部)14が設けられている。ゲート回路部14は、アレイ基板11Bにモノリシックに設けられており、フレキシブル基板13によってアレイ基板11Bに伝送される信号を処理し、詳しくは後述するゲート配線15に走査信号を供給する。ゲート回路部14は、表示領域AAをX軸方向について両側から挟み込む形で一対が配されている。ゲート回路部14は、ゲート配線15の並び方向であるY軸方向に沿って延在する帯状をなしている。ゲート回路部14に関しては、後に改めて説明する。
【0021】
図3を用いてアレイ基板11Bの表示領域AAにおける画素配列について説明する。アレイ基板11Bの表示領域AAにおける内面側には、図3に示すように、格子状をなす複数本ずつのゲート配線(走査配線)15及びソース配線(画像配線)16が配されている。ゲート配線15及びソース配線16の交差部位付近には、TFT(薄膜トランジスタ)17及び画素電極18が設けられている。ゲート配線15は、表示領域AAを横断する形で概ねX軸方向に沿って延在し、各TFT17のゲート電極17Aに接続される。ゲート配線15は、複数がY軸方向に間隔を空けて並んで配される。ソース配線16は、表示領域AAを縦断する形で概ねY軸方向に沿って延在し、各TFT17のソース電極17Bに接続される。ソース配線16は、複数がX軸方向に間隔を空けて配される。ゲート配線15及びソース配線16は、互いに交差するものの、間に絶縁膜が介在することで絶縁されている。TFT17及び画素電極18は、複数個ずつX軸方向及びY軸方向に沿って規則的に並んでマトリクス状(行列状)に平面配置されている。画素電極18は、TFT17のドレイン電極17Cに接続されている。画素電極18は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極材料からなる。TFT17は、上記したゲート電極17A、ソース電極17B及びドレイン電極17Cに加えて、半導体部17Dを有する。半導体部17Dは、半導体材料からなり、ソース電極17Bとドレイン電極17Cとに接続される。そして、TFT17は、ゲート配線15に供給される走査信号に基づいて駆動されると、ソース配線16に供給される画像信号(データ信号)に基づいた電位に画素電極18を充電する。
【0022】
図4を用いて液晶パネル11の表示領域AAにおける断面構成について説明する。なお、図4では、上記したゲート配線15、ソース配線16及びTFT17を、「画素回路部19」として簡略化して図示している。液晶パネル11を構成する対向基板11Aの表示領域AAには、図4に示すように、アレイ基板11Bに備わる各画素電極18と重畳する位置に多数個のカラーフィルタ20が設けられている。カラーフィルタ20は、赤色(R),緑色(G),青色(B)を呈する3色がX軸方向に沿って繰り返し交互に並ぶ配置とされるとともに、それらがY軸方向に沿って延在することで、全体としてストライプ状に配列されている。各色のカラーフィルタ20は、アレイ基板11B側の画素電極18と対向している。赤色のカラーフィルタ20と対向する画素電極18とが赤色画素を構成する。緑色のカラーフィルタ20と対向する画素電極18とが緑色画素を構成する。青色のカラーフィルタ20と対向する画素電極18とが青色画素を構成する。この液晶パネル11においては、X軸方向に沿って並ぶ赤色画素、緑色画素及び青色画素によって所定の階調のカラー表示を可能な表示画素が構成されている。対向基板11Aの表示領域AAには、隣り合うカラーフィルタ20間を仕切ることで混色を防ぐなどのために遮光部(ブラックマトリクス)21が設けられている。遮光部21は、非表示領域NAAにも設けられている。遮光部21は、表示領域AAではゲート配線15及びソース配線16と重畳するよう格子状をなしているものの、非表示領域NAAではベタ状をなしている。カラーフィルタ20及び遮光部21の上層側には、オーバーコート膜22が形成される。オーバーコート膜22は、対向基板11Aにおいてほぼ全域にわたって概ねベタ状に設けられている。オーバーコート膜22は、例えばアクリル樹脂(例えばPMMA等)等の有機材料からなり、自身よりも下層側に生じた段差を平坦化するのに機能する。本実施形態では、オーバーコート膜22の表面を、対向基板11Aの第1主面11A1とする。なお、オーバーコート膜22の上層側(対向基板11Aの最内面)には、液晶層11Cに含まれる液晶を配向させるための第1配向膜23が設けられている。
【0023】
液晶パネル11を構成するアレイ基板11Bの表示領域AAには、図4に示すように、下層側から順に、画素回路部19、平坦化膜24、共通電極25、層間絶縁膜26、画素電極18及び第2配向膜(配向膜)27が設けられている。このうちの共通電極25は、画素電極18と同様に透明電極材料からなる。共通電極25は、全体として表示領域AAと同等の大きさを有する。共通電極25は、層間絶縁膜26を介して全ての画素電極18に対して重畳して配されている。共通電極25には、共通電位(基準電位)が供給されている。従って、共通電極25と画素電極18との間には、画素電極18に充電された電位に基づく電位差が生じ得る。この電位差を利用して液晶層11Cに含まれる液晶の配向状態を制御することができる。画素電極18の上層側(アレイ基板11Bの最内面)には、液晶層11Cに含まれる液晶を配向させるための第2配向膜27が設けられている。
【0024】
層間絶縁膜26は、例えば窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)等の無機材料からなる。平坦化膜24は、例えばアクリル樹脂(例えばPMMA等)等の有機材料からなり、自身よりも下層側に生じた段差を平坦化するのに機能する。平坦化膜24は、無機材料からなる層間絶縁膜26等よりも大きな膜厚を有する。本実施形態では、平坦化膜24の表面を、アレイ基板11Bの第2主面11B2とする。第2配向膜27は、例えばポリイミド等の有機材料からなる。第2配向膜27は、液晶層11Cに臨む表面に光配向処理が施された光配向膜である。第2配向膜27は、表示領域AAの全域に加えて、非表示領域NAAの一部(少なくとも表示領域AAに隣接する内周端側部分を含む)にまで延在する、ベタ状をなしている。つまり、第2配向膜27は、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がって配されている。なお、アレイ基板11B側の第1配向膜23も、第2配向膜27と同様の構成である。
【0025】
画素電極18の詳しい構成について図5を参照して説明する。図5には、アレイ基板11Bの表示領域AAにおける画素電極18の配列が図示されており、画素電極18以外の構成(各配線15,16及びTFT17)の図示が省略されている。画素電極18は、図5に示すように、画素電極本体18Aと、画素回路部19に含まれるTFT17のドレイン電極17Cに接続されるコンタクト部18Bと、を有する。このうち、コンタクト部18Bは、画素電極本体18AからY軸方向に沿って片側に突出して設けられている。コンタクト部18Bは、平面に視て略方形状をなしている。コンタクト部18Bは、ドレイン電極17C(図3を参照)に対して重畳して配されており、平坦化膜24等に開口形成されたコンタクトホールを通してドレイン電極17Cに接続されている。
【0026】
画素電極本体18Aは、平面形状が縦長形状とされ、その長手方向について途中で屈曲している。詳しくは、画素電極本体18Aは、長手側の両側縁がY軸方向に対して僅かに傾斜するとともにほぼ中央位置にて一度屈曲されていて浅い逆V字型をなしている。このように、画素電極18の「長手方向」には、Y軸方向に対して傾いた第1斜め方向(第3方向)と、Y軸方向に対して傾き且つ第1斜め方向に対して交差する第2斜め方向(第4方向)と、が含まれる。上記した第1斜め方向は、図5において左下から右上へ向かう方向である。上記した第2斜め方向は、図5において左上から右下へ向かう方向である。画素電極本体18Aは、X軸方向について間隔を空けて並ぶ複数の電極部18A1と、複数の電極部18A1における長手方向についての両端部同士を繋ぐ繋ぎ部18A2と、を有する。画素電極本体18Aにおいて隣り合う電極部18A1の間には、スリット18A3が設けられている。スリット18A3の設置数は、画素電極本体18Aの設置数から1を差し引いた数とされる。図5では、電極部18A1が4本とされ、スリット18A3が3本とされる場合が図示されている。電極部18A1及びスリット18A3は、画素電極本体18Aにおける長手側の外形に倣った平面形状であり、Y軸方向に対して僅かに傾斜するとともにほぼ中央位置にて一度屈曲されていて浅い逆V字型をなしている。繋ぎ部18A2は、X軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐに延在している。
【0027】
このような構成の画素電極18と共通電極25との間に電位差が生じると、図4に示すように、画素電極18におけるスリット18A3の開口縁と共通電極25との間に電界が生じ、その電界には、アレイ基板11Bの第2主面11B2に沿う成分に加えて、アレイ基板11Bの第2主面11B2に対する法線方向の成分を含むフリンジ電界(斜め電界)が含まれる。従って、本実施形態に係る液晶パネル11の表示モードは、フリンジ電界を利用して液晶層11Cに含まれる液晶の配向状態を制御する、いわゆるFFS(Fringe Field Switching)モードとされている。
【0028】
ところで、上記した画素電極18は、表示領域AAには存在するものの、非表示領域NAAには存在しない。このことに起因して、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18と、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18と、で仕上がりに違いが生じるおそれがある。具体的には、既知のフォトリソグラフィ法によってアレイ基板11Bを製造する過程で画素電極18を設けるには、透明電極材料からなる透明電極膜11F1とフォトレジスト膜11F2とを順次に成膜してから(図14を参照)、フォトレジスト膜11F2を露光・現像することで、フォトレジスト膜11F2を部分的に除去し、残存したフォトレジスト膜11F2を介して透明電極膜11F1をエッチングする。ここで、仮に非表示領域NAAに透明電極膜11F1からなる構造物が存在しない場合には、フォトレジスト膜11F2を現像すると、表示領域AAではフォトレジスト膜11F2が残存するものの、非表示領域NAAではフォトレジスト膜11F2が残存することがなくなる。このため、表示領域AAに比べて非表示領域NAAでは現像液DE(図15を参照)の濃度が低下し、表示領域AAの外端付近に位置するフォトレジスト膜11F2が、表示領域AAの中央付近に位置するフォトレジスト膜11F2よりも仕上がり寸法が大きくなる傾向にある。そうなると、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18が、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18よりも仕上がり寸法が大きくなり易く、結果として表示領域AAの外端付近での光透過率が、表示領域AAの中央付近での光透過率よりも高くなるおそれがあった。
【0029】
以下、図6を用いて画素電極18の仕上がり寸法と光透過率との関係について説明する。図6は、横軸を電極部18A1の幅寸法における基準値からの差分(単位は「μm」)とし、縦軸を光透過率(単位は「%」)としたグラフである。電極部18A1の幅寸法における基準値(0μm)は、電極部18A1の設計値である。図6の横軸における「+」符号は、電極部18A1の幅寸法における基準値よりも大きいことを意味し、「-」の符号は、電極部18A1の幅寸法における基準値よりも小さいことを意味する。光透過率における基準値(100%)は、電極部18A1の幅寸法が基準値の場合における光透過率である。また、図6には、画素電極18の各寸法(短辺寸法、長辺寸法、電極部18A1の幅寸法、スリット18A3の幅寸法等)が異なる3種類の機種A~Cに関してプロットが記されている。図6によれば、上記した差分の絶対値が大きくなるほど、光透過率が低下する傾向にあることが分かる。詳しくは、差分の絶対値が同じであっても差分が負の値である場合よりも差分が正の値である場合の方が、光透過率が大きく低下する傾向にある。例えば、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18は、差分の値が-0.2~-0.3程度となる仕上がりだった場合、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18は、差分の値が-0.1~+0.2程度となる仕上がりとなり得る。この場合、表示領域AAの外端付近での光透過率が、表示領域AAの中央付近での光透過率よりも高くなる。
【0030】
また、仮に非表示領域NAAに透明電極膜11F1からなる構造物が存在しない場合には、透明電極膜11F1の上層側に配される第2配向膜27に膜厚ムラが生じるおそれがある。具体的には、アレイ基板11Bを製造する過程では、透明電極膜11F1からなる画素電極18が設けられた後に、配向膜材料を塗布することで、第2配向膜27が成膜される。このとき、第2配向膜27は、表示領域AAにおいては画素電極18の上層側に成膜されるものの、非表示領域NAAにおいては層間絶縁膜26の上層側に成膜される。このため、第2配向膜27のうち、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がる部分が適切にレベリングされず、当該部分の膜厚が、表示領域AAの中央付近に位置する部分の膜厚よりも小さくなりがちとされる。表示領域AAの外端付近と、表示領域AAの中央付近と、で第2配向膜27の膜厚が異なると、表示領域AAの外端付近での表示色と、表示領域AAの中央付近での表示色と、に差が生じるおそれがある。
【0031】
以下、図7を用いて第2配向膜27の膜厚とVT特性(画素電極18の電圧値と光透過率との関係)との関係について説明する。図7は、横軸を画素電極18に印加される電圧値(単位は「V」)とし、縦軸を光透過率(単位は「%」)としたグラフである。光透過率における基準値(100%)は、画素電極18に電圧の最大値(5.2V程度)が印加された場合における光透過率である。電圧の最大値が印加された画素電極18によって画素は、最大階調(例えば255階調)での表示を行うことになる。図7には、第2配向膜27の膜厚が設計値と一致した場合が実線によって示され、第2配向膜27の膜厚が設計値よりも小さい場合が破線によって示されている。図7によれば、電圧が概ね1V~6Vの範囲において、第2配向膜27の膜厚が設計値よりも小さい場合は、第2配向膜27の膜厚が設計値と一致した場合に比べると、光透過率が全般的に高いことが分かる。このため、例えば、全ての表示画素が橙色を呈するよう画像表示した場合、次の問題が生じ得る。表示画素において橙色を表示するには、青色画素を構成する画素電極18の電圧を2.2V(例えば159階調:図7の横軸に「B」と表記)とし、緑色画素を構成する画素電極18の電圧を3V(例えば219階調:図7の横軸に「G」と表記)とし、赤色画素を構成する画素電極18の電圧を5.2V(例えば255階調:図7の横軸に「R」と表記)とする。ここで、表示領域AAの中央付近での第2配向膜27の膜厚が設計値(図7の実線のグラフ)とされ、表示領域AAの外端付近での第2配向膜27の膜厚が設計値よりも小さい場合(図7の破線のグラフ)を想定する。全表示画素を橙色表示した場合、表示領域AAの外端付近では、表示領域AAの中央付近よりも、青色画素の光透過率が差分α高く、緑色画素の光透過率が差分β高く、赤色画素の光透過率が差分γ高い。緑色画素の光透過率の差分βが最大であり、その次に青色画素の光透過率の差分αが大きく、赤色画素の光透過率の差分γが最小となっている。つまり、表示領域AAの外端付近での表示色は、表示領域AAの中央付近での表示色に比べると、緑色味が最も強く、次いで青色味が強く、赤色味が僅かに強くなる。このため、表示領域AAの外端付近では、表示領域AAの中央付近に比べると、CIE(Commission Internationale d'Eclairage:国際照明委員会)1976色度図における色度座標の値であるu′値が小さい数値となる。つまり、第2配向膜27に上記のような膜厚ムラが生じると、表示領域AAの外端付近での表示色と、表示領域AAの中央付近での表示色と、の間に差が生じるおそれがある。なお、表示色が橙色以外であっても、上記のような色ムラが生じるおそれがある。
【0032】
そこで、本実施形態に係るアレイ基板11Bの非表示領域NAAには、図8及び図9に示すように、透明電極膜11F1(図14を参照)のうちの画素電極18とは別の部分からなるダミー部28が設けられている。なお、図8では、透明電極膜11F1からなる構成を網掛け状にして図示している。ダミー部28は、非表示領域NAAのうちのゲート回路部14と表示領域AAとの間に位置して配されている。つまり、ダミー部28は、ゲート回路部14よりも表示領域AAに近い配置であり、非表示領域NAAのうちの内端付近に配されている、と言える。ダミー部28は、非表示領域NAAの内端付近において、表示領域AAを全周にわたって取り囲むよう配されている。ダミー部28は、非表示領域NAAの内端付近において、層間絶縁膜26の上層側に配されている。このように、非表示領域NAAの内端付近にダミー部28が配されているので、フォトレジスト膜11F2を現像する際に用いられる現像液DEの濃度が表示領域AAの外端付近において低下する事態が生じ難くなる。これにより、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18の仕上がりを、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18の仕上がりに近くすることができる。以上により、表示領域AAの外端付近において局所的に透過率が高くなる事態が生じ難くなり、輝度ムラのような表示不良が生じ難くなる。
【0033】
また、非表示領域NAAの内端付近に配されるダミー部28は、図9に示すように、第2配向膜27によって上層側から覆われている。このようにすれば、仮にダミー部が存在しない場合に比べると、第2配向膜27のうちの表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がる部分が良好にレベリングされる。これにより、表示領域AAの外端付近での第2配向膜27の膜厚と、表示領域AAの中央付近での第2配向膜27の膜厚と、の間に差が生じ難くなる。つまり、第2配向膜27の膜厚を、表示領域AAの外端付近と表示領域AAの中央付近とのいずれにおいても設計値に近い厚みとすることができる(図7を参照)。従って、表示領域AAの外端付近での表示色と、表示領域AAの中央付近での表示色と、の間に差が生じ難くなるので、色ムラのような表示不良が生じ難くなる。
【0034】
また、ダミー部28は、図8に示すように、非表示領域NAAのうち、ゲート回路部14に接続された接続配線29に対して平面に視て重畳する位置に配されている。以下、ゲート回路部14及び接続配線29の構成に関して詳しく説明する。まず、ゲート回路部14は、いわゆるシフトレジスタ回路であり、複数の単位回路部を有している。複数の単位回路部は、Y軸方向に沿って並んで配されており、それぞれが複数の接続配線29を介して複数のゲート配線15に対して個別に接続されている。ゲート回路部14は、複数の単位回路部のうちの上段側から順に、走査信号を複数のゲート配線15に供給することができる。接続配線29は、X軸方向についてゲート回路部14と表示領域AAとの間に挟まれた配置、つまりゲート回路部14よりも表示領域AAに近い配置とされる。接続配線29は、ゲート回路部14から接続対象のゲート配線15に至るまで、途中で繰り返し蛇行するよう配索されている。接続配線29がこのように配索されることで、走査信号の伝送特性に係る時定数を容易に調整することが可能となっている。なお、ゲート回路部14には、透明電極膜11F1のうちの画素電極18及びダミー部28とは別の部分からなる回路重畳部30が平面に視て重畳して配されている。また、接続配線29のうちのゲート配線15に接続される部分には、透明電極膜11F1のうちの画素電極18、ダミー部28及び回路重畳部30とは別の部分からなる共通配線31が平面に視て重畳して配されている。共通配線31は、共通電位信号を伝送するものであり、共通電極25に接続されている。共通配線31は、表示領域AAと非表示領域NAAとの境界位置に臨む位置(非表示領域NAAのうちの外端位置)に配されており、表示領域AAを全周にわたって取り囲むよう延在して全体として枠状をなしている。
【0035】
そして、本実施形態に係るダミー部28は、図8及び図9に示すように、画素電極18とは平面形状及び大きさが共に異なっている。つまり、ダミー部28の平面形状及び大きさは、画素電極18の平面形状及び大きさとは無関係に設定されている。具体的には、ダミー部28には、平面形状が丸形とされる第1ダミー部28Aと、平面形状が四角形とされる第2ダミー部28Bと、平面形状が三角形とされる第3ダミー部28Cと、が含まれている。また、各ダミー部28A~28Cは、いずれも画素電極18のようなスリット18A3を有さない。このような3種類のダミー部28A~28Cは、アレイ基板11Bの第2主面11B2の面内において千鳥状に分散配置されている。詳しくは、表示領域AAから遠ざかる向きを第1方向(例えば図8ではX軸方向)とし、第1方向と交差する方向を第2方向(例えば図8ではY軸方向)としたとき、3種類のダミー部28A~28Cは、第1方向及び第2方向のそれぞれについて間隔を空けて複数が分散配置されている。第1ダミー部28Aは、X軸方向及びY軸方向の双方に対して傾いた斜め方向に沿って間隔を空けて複数が並んで配されている。第2ダミー部28Bは、第1ダミー部28Aの並び方向(斜め方向)に並行する形で間隔を空けて複数が並んで配されている。第3ダミー部28Cは、第1ダミー部28A及び第2ダミー部28Bの並び方向(斜め方向)に並行する形で間隔を空けて複数が並んで配されている。このような複数のダミー部28は、回路重畳部30と共通配線31との間に挟まれた第1領域A1と、共通配線31と表示領域AAとの間に挟まれた第2領域A2と、にそれぞれ配されている。第1領域A1は、接続配線29の大部分が配される領域であり、複数のダミー部28を千鳥状に配置する上で十分な広さとなっている。第2領域A2は、X軸方向についてダミー部28を1つ弱程度しか配置することができない広さであり、第1領域A1に比べるとかなり狭い。
【0036】
以上のように、ダミー部28は、図8及び図9に示すように、画素電極18とは平面形状及び大きさが共に異なっているから、パターン密度に係る自由度が高くなっている。従って、ダミー部28を配置する領域A1,A2がどのような広さであっても、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部28のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極18のパターン密度に近似させることができる。具体的には、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部28のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極18のパターン密度の±10%程度にまで近似させることができる。これにより、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18の仕上がりを、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18の仕上がりにより近くすることができるので、表示領域AAのうちの外端付近において局所的に透過率が高くなる事態をより生じ難くすることができる。以上により、表示ムラの発生を抑制することができる。しかも、複数のダミー部28は、第1方向と第2方向とのそれぞれについて間隔を空けて分散配置されているから、第1方向についての配列間隔や第2方向についての配列間隔を調整することで、パターン密度を細やかに制御することができる。
【0037】
次に、本実施形態に係るダミー部28による作用及び効果について検証するため、以下の比較実験1を行った。比較実験1では、ダミー部28を有さない液晶パネルを比較例1とし、ダミー部28を有する液晶パネル11を実施例1とした。実施例1の液晶パネル11は、本段落以前に説明した通りである。比較例1の液晶パネルは、ダミー部28を有さない点を除いては、実施例1の液晶パネル11と同様の構成とされる。比較実験1では、比較例1及び実施例1の各液晶パネル11を製造し、製造された各液晶パネル11に備わる画素電極18における電極部18A1の幅寸法を測定した。測定結果に基づき、表示領域AAにおける画素電極18の位置と、電極部18A1の幅寸法と、の関係を示すグラフを作成した。作成したグラフは、図10に示される通りである。図10は、横軸を表示領域AAにおける画素電極の位置(無単位)とし、縦軸を電極部18A1の幅寸法(単位は「μm」)としたグラフである。図10に示される実線が実施例1であり、破線が比較例1である。図10の横軸には、表示領域AA内の位置である「端位置」と「中央位置」とが記されている。その上で、比較実験1では、比較例1及び実施例1の各液晶パネル11に対し、テスト用のバックライト装置から光を照射しつつ、全表示画素を橙色表示した場合の透過光量を測定した。測定した透過光量に基づいて、表示領域AAにおける測定位置と、光透過率と、の関係を示すグラフを作成した。作成したグラフは、図11に示される通りである。図11は、横軸を表示領域AAにおける透過光量の測定位置(無単位)とし、縦軸を光透過率(無単位)としたグラフである。図11に示される実線が実施例1であり、破線が比較例1である。図11の横軸には、表示領域AA内の位置である「端位置」と「中央位置」とが記されている。図11の縦軸である光透過率は、比較例1及び実施例1における光透過率の最大値を基準(1.0)とした相対値である。さらには、比較実験1では、比較例1及び実施例1の各液晶パネル11に対し、テスト用のバックライト装置から光を照射しつつ、全表示画素を橙色表示した場合の色度を測定した。ここでは、色度としてCIE1976色度図における色度座標の値であるu′値及びv′値を測定した。測定結果に基づき、表示領域AAにおける測定位置とu′値との関係を示すグラフと、表示領域AAにおける測定位置とv′値との関係を示すグラフと、を作成した。作成したグラフは、図12及び図13に示される通りである。図12は、横軸を表示領域AAにおける透過光量の測定位置(無単位)とし、縦軸をu′値(無単位)としたグラフである。図13は、横軸を表示領域AAにおける透過光量の測定位置(無単位)とし、縦軸をv′値(無単位)としたグラフである。図12及び図13に示される実線が実施例1であり、破線が比較例1である。図12及び図13の横軸には、表示領域AA内の位置である「端位置」と「中央位置」とが記されている。図12及び図13の縦軸であるu′値及びv′値は、表示領域AAの中央位置でのu′値及びv′値をそれぞれ基準(0)とした相対値である。
【0038】
比較実験1の実験結果について説明する。図10によれば、比較例1及び実施例1は、いずれも表示領域AAの端位置付近では、中央位置付近に比べると、電極部18A1の幅寸法が大きい。しかし、実施例1は、比較例1に比べると、表示領域AAの端位置付近での電極部18A1の幅寸法の変化量及び変化率がいずれも小さい。具体的には、表示領域AAの端位置での電極部18A1の幅寸法を比べると、比較例1は、2.4μm程度であるのに対し、実施例1は、2.22μm程度となっている。図11によれば、比較例1及び実施例1は、いずれも表示領域AAの端位置付近では、中央位置付近に比べると、光透過率が高い。しかし、実施例1は、比較例1に比べると、表示領域AAの端位置付近での光透過率の変化量及び変化率がいずれも小さい。具体的には、表示領域AAの端位置での光透過率を比べると、比較例1は、1.0であるのに対し、実施例1は、0.95程度となっている。図13によれば、比較例1及び実施例1は、いずれも表示領域AAの端位置付近と、中央位置付近と、でv′値に関して殆ど同じとされる。一方、図12によれば、実施例1は、表示領域AAの端位置付近と、中央位置付近と、でu′値に関して殆ど変化がないのに対し、比較例1は、表示領域AAの端位置付近では、中央位置付近に比べると、u′値が大きく低下している。具体的には、表示領域AAの端位置でのu′値を比べると、比較例1は、-0.01強程度であるのに対し、実施例1は、-0.001弱程度となっている。以上のように、比較実験1の実験結果である図10から図13によれば、実施例1は、比較例1に比べると、表示領域AAの端位置付近において、電極部18A1の幅寸法が大きくなるのが抑制され、それによって光透過率が高くなるのが抑制され、さらにはu′値の低下が抑制されている。つまり、実施例1は、比較例1に比べると、表示領域AAの端位置付近で輝度ムラ及び色ムラが生じ難くなっている、と言える。
【0039】
本実施形態は以上のような構造であり、続いて液晶パネル11の製造方法を説明する。液晶パネル11の製造方法には、対向基板11Aを製造する対向基板製造工程(CF基板製造工程)と、アレイ基板11Bを製造するアレイ基板製造工程と、製造された対向基板11Aとアレイ基板11Bとを貼り合わせる貼り合わせ工程と、が含まれている。以下では、このうちのアレイ基板製造工程について説明する。
【0040】
アレイ基板製造工程には、画素回路部19を形成する第1工程と、平坦化膜24を形成する第2工程と、共通電極25を形成する第3工程と、層間絶縁膜26を形成する第4工程と、画素電極18及びダミー部28等を形成する第5工程と、第2配向膜27を形成する第6工程と、が少なくとも含まれる。このうちの第5工程及び第6工程に関して図14から図17を用いて説明する。
【0041】
第5工程では、図14に示すように、アレイ基板11Bにおける層間絶縁膜26の上層側に透明電極膜11F1をベタ状に成膜し、さらに透明電極膜11F1の上層側にフォトレジスト膜11F2をベタ状に成膜する。その後、露光装置と、フォトマスク11Pと、を用いてフォトレジスト膜11F2を露光する。第5工程で用いられるフォトレジスト膜11F2は、ポジ型の感光性レジスト材料からなる。ここで、フォトマスク11Pについて説明する。フォトマスク11Pは、十分に高い透光性を有する透明な基材11P1と、基材11P1の主面に形成される遮光膜11P2と、を備える。遮光膜11P2は、露光装置の光源からの露光光を遮光し、部分的な開口11P2Aを有する。フォトマスク11Pは、遮光膜11P2の形成範囲が光を遮る遮光領域とされ、開口11P2Aの形成範囲(遮光膜11P2の非形成範囲)が光を透過する透過領域とされている。遮光膜11P2は、表示領域AAにおいて複数の画素電極18と重畳するよう設けられ、非表示領域NAAにおいて複数のダミー部28、回路重畳部30及び共通配線31のそれぞれと重畳するよう設けられている。
【0042】
第5工程において、露光装置の光源から発せられた露光光が、上記のような構成のフォトマスク11Pを介してフォトレジスト膜11F2に対して照射されると、フォトレジスト膜11F2は、遮光膜11P2と重畳する範囲が非露光とされ、開口11P2Aと重畳する範囲が選択的に露光される。露光に続いて現像が行われると、図15に示すように、ポジ型のフォトレジスト膜11F2のうちの露光部分は、現像液DEによって溶解される速度、つまり溶解速度が早いので除去される。一方、非露光部分については溶解速度が遅くなっていて残存することになる。現像の結果、表示領域AAと非表示領域NAAとにそれぞれフォトレジスト膜11F2が残存する。ここで、本実施形態では、フォトレジスト膜11F2の非露光部分は、表示領域AAに加えて非表示領域NAAにも存在しており、そのパターン密度が表示領域AAと非表示領域NAAとで近似したものとなっている。従って、現像に際してフォトレジスト膜11F2のうちの現像液DEによって溶解される部分の分布密度が、表示領域AAと非表示領域NAAとで近似することになる。これにより、表示領域AAと非表示領域NAAとで現像液DEの濃度に差が生じ難くなるので、表示領域AAの外端付近と表示領域AAの中央付近とでフォトレジスト膜11F2の仕上がり寸法に差が生じ難くなる。
【0043】
以上のようにしてフォトレジスト膜11F2をパターニングしたら、フォトレジスト膜11F2をマスクとして用いて透明電極膜11F1をエッチングする。エッチングが行われて透明電極膜11F1がパターニングされると、図16に示すように、表示領域AAには複数の画素電極18が設けられ、非表示領域には複数のダミー部28、回路重畳部30及び共通配線31がそれぞれ設けられる。エッチングのマスクとして用いられるフォトレジスト膜11F2は、表示領域AAの外端付近と表示領域AAの中央付近とで仕上がり寸法に差が生じ難くなってるから、エッチングにより形成された画素電極18の仕上がり寸法も、表示領域AAの外端付近と表示領域AAの中央付近とで差が生じ難くなる。結果として、表示領域AAの外端付近と表示領域AAの中央付近とで画素電極18の電極部18A1の幅寸法に差が生じ難くなる。透明電極膜11F1のエッチングを終えたら、フォトレジスト膜11F2を剥離する。
【0044】
第6工程では、図17に示すように、透明電極膜11F1からなる構造物の上層側に、インクジェット装置やスピンコータ装置等によって第2配向膜27の配向膜材料PIを塗布する。スピンコータ装置を用いた場合、配向膜材料PIは、表示領域AAの中央側から非表示領域NA側へ向けて塗り広げられていく。表示領域AAでは複数の画素電極18が配向膜材料PIによって覆われ、非表示領域NAAでは複数のダミー部28、回路重畳部30及び共通配線31がそれぞれ配向膜材料PIによって覆われる。このようにして塗布された配向膜材料PIによって第2配向膜27が設けられる。第2配向膜27には、光配向処理が施される。このようにして設けられた第2配向膜27は、非表示領域NAAにおいて複数のダミー部28、回路重畳部30及び共通配線31を覆うことで、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がる部分が良好にレベリングされる。これにより、表示領域AAの外端付近での第2配向膜27の膜厚と、表示領域AAの中央付近での第2配向膜27の膜厚と、の間に差が生じ難くなっている。
【0045】
以上説明したように本実施形態の液晶パネル(表示装置)11は、画像が表示される表示領域AAと、表示領域AAに配され、透明電極膜11F1からなる複数の画素電極18と、表示領域AAを取り囲む非表示領域NAAと、非表示領域NAAに配されるゲート回路部(回路部)14と、非表示領域NAAのうちのゲート回路部14と表示領域AAとの間に位置して配され、透明電極膜11F1のうちの画素電極18とは別の部分からなるダミー部28と、を備え、ダミー部28は、画素電極18とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なる。
【0046】
表示領域AAに配された複数の画素電極18がそれぞれ充電されることで、表示領域AAに所定の画像が表示される。非表示領域NAAのうちのゲート回路部14と表示領域AAとの間には、透明電極膜11F1のうちの画素電極18とは別の部分からなるダミー部28が配されているので、表示領域AAの外端付近と、非表示領域NAAの内端付近と、にそれぞれ透明電極膜11F1のパターンが存在することになる。これにより、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18の仕上がりを、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18の仕上がりに近くすることができるので、表示領域AAの外端付近において局所的に透過率が高くなる事態が生じ難くなる。
【0047】
その上で、ダミー部28は、画素電極18とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なっているから、パターン密度に係る自由度が高くなっている。従って、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部28のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極18のパターン密度に近似させることができる。具体的には、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部28のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極18のパターン密度の±10%程度にまで近似させることができる。これにより、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18の仕上がりを、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18の仕上がりにより近くすることができるので、表示領域AAのうちの外端付近において局所的に透過率が高くなる事態をより生じ難くすることができる。以上により、表示ムラの発生を抑制することができる。
【0048】
また、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がって配され、透明電極膜11F1の上層側に配される第2配向膜(配向膜)27を備えており、第2配向膜27は、表示領域AAにて画素電極18を覆い、非表示領域NAAにてダミー部28を覆う。第2配向膜27は、非表示領域NAAの内端付近にてダミー部28を覆っているので、仮にダミー部28が存在しない場合に比べると、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がる部分が良好にレベリングされる。これにより、表示領域AAの外端付近での第2配向膜27の膜厚と、表示領域AAの中央付近での第2配向膜27の膜厚と、の間に差が生じ難くなるので、表示領域AAの外端付近での表示色と、表示領域AAの中央付近での表示色と、の間にも差が生じ難くなる。
【0049】
また、ダミー部28は、画素電極18とは平面形状及び大きさが共に異なっていて、表示領域AAから遠ざかる向きである第1方向と、第1方向と交差する第2方向と、のそれぞれについて間隔を空けて複数が分散配置されている。ダミー部28は、画素電極18とは平面形状及び大きさが共に異なっているから、パターン密度に係る自由度がより高い。複数のダミー部28は、第1方向と第2方向とのそれぞれについて間隔を空けて分散配置されているから、第1方向についての配列間隔や第2方向についての配列間隔を調整することで、パターン密度を細やかに制御することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る液晶パネル11の製造方法は、画像が表示される表示領域AAを取り囲む非表示領域NAAにゲート回路部14を設け、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がるよう透明電極膜11F1を成膜し、透明電極膜11F1の上層側にフォトレジスト膜11F2を成膜し、フォトレジスト膜11F2を露光してから現像し、現像されたフォトレジスト膜11F2を介して透明電極膜11F1をエッチングし、残存した透明電極膜11F1の一部によって表示領域AAに配される複数の画素電極18を設け、残存した透明電極膜11F1のうち画素電極18とは別の部分によって非表示領域NAAのうちのゲート回路部14と表示領域AAとの間に位置して配されて画素電極18とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なるダミー部28を設ける。
【0051】
透明電極膜11F1及びフォトレジスト膜11F2を順次に成膜してから、フォトレジスト膜11F2を露光・現像することで、フォトレジスト膜11F2を部分的に除去することができる。現像の結果、残存したフォトレジスト膜11F2を介して透明電極膜11F1をエッチングすると、透明電極膜11F1のうち、フォトレジスト膜11F2の開口部分と重畳する部分が除去され、フォトレジスト膜11F2と重畳する部分が残存する。エッチングの結果、残存した透明電極膜11F1のうち、表示領域AAに配される部分が複数の画素電極18となり、非表示領域NAAに配される部分がダミー部28となる。ダミー部28は、非表示領域NAAのうちのゲート回路部14と表示領域AAとの間、つまり非表示領域NAAの内端付近に配されており、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18に近い配置とされる。従って、フォトレジスト膜11F2を現像する際には、非表示領域NAAの内端付近と、表示領域AAの外端付近と、表示領域AAの中央付近と、にそれぞれフォトレジスト膜11F2が残存することになるので、現像液DEの濃度を、非表示領域NAAの内端付近と、表示領域AAの外端付近と、表示領域AAの中央側と、で均一化することができる。これにより、フォトレジスト膜11F2の仕上がりが、表示領域AAの外端付近と、表示領域AAの中央付近と、で近似したものとなり、結果としてパターニングされた透明電極膜11F1の残存部分である画素電極18の仕上がりを、表示領域AAの外端付近と、表示領域AAの中央付近と、で近似させることができる。もって表示領域AAの外端付近において局所的に透過率が高くなる事態が生じ難くなる。
その上で、ダミー部28は、画素電極18とは平面形状及び大きさのうちの少なくとも一方が異なっているから、パターン密度に係る自由度が高くなっている。従って、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部28のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極18のパターン密度に近似させることができる。具体的には、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部28のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極18のパターン密度の±10%程度にまで近似させることができる。これにより、表示領域AAの外端付近に位置する画素電極18の仕上がりを、表示領域AAの中央付近に位置する画素電極18の仕上がりにより近くすることができるので、表示領域AAのうちの外端付近において局所的に透過率が高くなる事態をより生じ難くすることができる。以上により、表示ムラの発生を抑制することができる。
【0052】
また、透明電極膜11F1の上層側に表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がって配される第2配向膜27を成膜し、成膜された第2配向膜27によって表示領域AAにて画素電極18を覆い、非表示領域NAAにてダミー部28を覆う。第2配向膜27を成膜すると、表示領域AAでは第2配向膜27によって画素電極18が覆われ、非表示領域NAAでは第2配向膜27によってダミー部28が覆われる。このようにすれば、仮にダミー部28が存在しない場合に比べると、第2配向膜27のうち、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がる部分が良好にレベリングされる。これにより、表示領域AAの外端付近での第2配向膜27の膜厚と、表示領域AAの中央付近での第2配向膜27の膜厚と、の間に差が生じ難くなるので、表示領域AAの外端付近での表示色と、表示領域AAの中央付近での表示色と、の間にも差が生じ難くなる。
【0053】
<実施形態2>
実施形態2を図18によって説明する。この実施形態2では、ダミー部128の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0054】
本実施形態に係るダミー部128は、図18に示すように、Y軸方向に沿って直線的に延在する帯状をなしている。なお、図18では、透明電極膜11F1(図14を参照)からなる構成を網掛け状にして図示している。詳しくは、表示領域AAから遠ざかる向きを第1方向(例えば図18ではX軸方向)とし、第1方向と交差する方向を第2方向(例えば図18ではY軸方向)としたとき、ダミー部128は、第2方向に沿って延在するとともに、複数が第1方向について第1間隔C1を空けて並んで配されている。ダミー部128の延在方向は、第2方向と一致しており、画素電極118を構成する電極部118A1の延在方向(第3方向及び第4方向)に対して交差する関係とされる。また、画素電極118において互いに隣り合う2つの電極部118A1の間には、第2間隔C2が空けられている。
【0055】
このように、本実施形態では、画素電極118とは平面形状及び大きさが共に異なるダミー部128が、第1方向について第1間隔C1を空けて複数が並んで配されるとともに、第2方向に沿って延在して設けられているので、第1間隔C1や幅寸法W1を調整することで、パターン密度を細やかに制御することができる。そして、本実施形態では、複数のダミー部128の配列間隔である第1間隔C1は、複数の電極部118A1の配列間隔である第2間隔C2と等しくなっている。さらには、ダミー部128の幅寸法W1は、電極部118A1の幅寸法W2と等しくなっている。このようにすれば、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部128のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極118のパターン密度により近づけることができる。また、第2配向膜27(図9を参照)を塗布する際にも、第2配向膜27のうち、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がる部分を良好にレベリングすることができる。
【0056】
以上説明したように本実施形態によれば、ダミー部128は、画素電極118とは平面形状及び大きさが共に異なっていて、表示領域AAから遠ざかる向きである第1方向について第1間隔C1を空けて複数が並んで配されるとともに、第1方向と交差する第2方向に沿って延在して設けられている。ダミー部128は、画素電極118とは平面形状及び大きさが共に異なっているから、パターン密度に係る自由度がより高い。複数のダミー部128は、第1方向について第1間隔C1を空けて並んで配されるとともに、第2方向に沿って延在して設けられているから、第1間隔C1や幅寸法W1を調整することで、パターン密度を細やかに制御することができる。
【0057】
また、画素電極118は、第1方向と交差する第3方向に沿って延在する部分を含んでいて、間に第2間隔C2を空けて配される少なくとも2つの電極部118A1を有しており、ダミー部128は、幅寸法W1が電極部118A1の幅寸法W2と等しく、第2間隔C2が第1間隔C1と等しい。このようにすれば、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部128のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極118のパターン密度により近づけることができる。
【0058】
<実施形態3>
実施形態3を図19によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態2からダミー部228の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0059】
本実施形態に係るダミー部228は、図19に示すように、概ねY軸方向に沿って延在するものの、ジグザグ状に繰り返し屈曲して設けられている。なお、図19では、透明電極膜11F1(図14を参照)からなる構成を網掛け状にして図示している。詳しくは、ダミー部228は、表示領域AAにおいてY軸方向に沿って間隔を空けて並ぶ複数の画素電極218の各外形に並行するよう延在して設けられている。ダミー部228は、画素電極218を構成する電極部218A1の側縁に並行する部分と、コンタクト部218Bの側縁に並行する部分と、を有する。ダミー部228のうち、電極部218A1の側縁に並行する部分は、電極部218A1と同様に、浅いV字型をなすよう屈曲した平面形状となっている。ダミー部228のうち、コンタクト部218Bの側縁に並行する部分は、Y軸方向に沿って延在する。このようにすれば、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部228のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極218のパターン密度にさらに近づけることができる。また、第2配向膜27(図9を参照)を塗布する際にも、第2配向膜27のうち、表示領域AAと非表示領域NAAとに跨がる部分を良好にレベリングすることができる。
【0060】
以上説明したように本実施形態によれば、画素電極218は、表示領域AAから遠ざかる向きである第1方向と交差する第3方向に沿って延在する電極部218A1を有しており、ダミー部228は、画素電極218とは平面形状及び大きさが共に異なっていて、第1方向について間隔を空けて複数が並んで配されるとともに、電極部218A1の外形に並行するよう延在して設けられている。ダミー部228は、画素電極218とは平面形状及び大きさが共に異なっているから、パターン密度に係る自由度がより高い。複数のダミー部228は、第1方向について間隔を空けて並んで配されるとともに、電極部218A1の外形に並行するよう延在して設けられているから、第1方向についての配列間隔や幅寸法を調整することで、パターン密度を細やかに制御することができるとともに、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部228のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極218のパターン密度にさらに近づけることができる。
【0061】
<実施形態4>
実施形態4を図20によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態1からダミー部328の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0062】
本実施形態に係るアレイ基板311Bでは、図20に示すように、透明電極膜11F1(図14を参照)からなる構成に、実施形態1にて説明した共通配線31が含まれない。なお、図20では、透明電極膜11F1からなる構成を網掛け状にして図示している。これに伴い、複数のダミー部328は、非表示領域NAAにおいて回路重畳部330と表示領域AAとの間に挟まれた領域である第3領域A3の全域にわたって分散配置されている。第3領域A3は、実施形態1にて説明した第1領域A1及び第2領域A2に、共通配線31の配置領域を加えた広さとなっている(図8を参照)。このように、複数のダミー部328は、回路重畳部330から表示領域AAに至るまでの第3領域A3において広く分散配置されるから、非表示領域NAAの内端付近でのダミー部328のパターン密度を、表示領域AAの外端付近での画素電極318のパターン密度により近づけることができる。
【0063】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0064】
(1)ダミー部28,128,228,328の具体的な平面形状は、図示以外にも適宜に変更可能である。例えば、ダミー部28,128,228,328は、画素電極18,118,218,318と相似形で(平面形状が同一)で大きさが異なるよう構成されてもよい。逆に、ダミー部28,128,228,328は、画素電極18,118,218,318と大きさが同じで平面形状が異なるよう構成されてもよい。
【0065】
(2)実施形態1,4に記載の構成において、複数のダミー部28,328は、行列状に分散配置されてもよい。
【0066】
(3)実施形態1,4に記載の構成において、複数のダミー部28,328における具体的な平面に視た大きさ(画素電極18,318に対する相対的な大きさ)や配列間隔等は、図示以外にも適宜に変更可能である。
【0067】
(4)実施形態2,3に記載の構成において、ダミー部128,228は、電極部118A1,218A1とは幅寸法が異なってもよい。また、ダミー部128,228は、電極部118A1,218A1とは配列間隔が異なってもよい。また、ダミー部128,228は、電極部118A1,218A1とは幅寸法と配列間隔との両方が異なってもよい。
【0068】
(5)画素電極18,118,218,318の具体的な平面形状は、図示以外にも適宜に変更可能である。例えば、画素電極18,118,218,318は、Y軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐな縦長の方形状でもよい。その場合、電極部18A1,118A1,218A1及びスリット18A3は、いずれもY軸方向に沿ってほぼ真っ直ぐに延在する形状となる。
【0069】
(6)画素電極18,118,218,318における電極部18A1,118A1,218A1及びスリット18A3の具体的な設置本数や平面形状等は、図示以外にも適宜に変更可能である。
【0070】
(7)フォトレジスト膜11F2は、ポジ型の感光性レジスト材料でもよいが、ネガ型の感光性レジスト材料でもよい。
【0071】
(8)ゲート回路部14は、設置数1つとされ、表示領域AAに対してX軸方向について片側に隣り合うよう配されてもよい。
【0072】
(9)液晶パネル11の平面形状は、縦長の長方形、正方形、円形、半円形、長円形、楕円形、台形などでもよい。
【0073】
(10)液晶パネル11の表示モードは、FFSモード以外にもVAモード、IPSモード等でもよい。
【0074】
(11)液晶パネル11は、透過型以外にも反射型や半透過型であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
11…液晶パネル(表示装置)、11F1…透明電極膜、11F2…フォトレジスト膜、14…ゲート回路部(回路部)、18,118,218,318…画素電極、18A1,118A1,218A1…電極部、27…第2配向膜(配向膜)、28,128,228,328…ダミー部、AA…表示領域、C1…第1間隔、C2…第2間隔、NAA…非表示領域、W1…幅寸法、W2…幅寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16
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図20